説明

タイヤ内部構造観察方法、及びタイヤ内部構造観察装置

【課題】 タイヤの内部構造、例えば、スチールコードのトレッド踏面に沿った方向の変形や挙動を、実使用状態に近い状態で観察することを可能とする。
【解決手段】 負荷荷重機構14でタイヤ12をベルト機構34のベルト部材40に押し付け、X線を出射する放射線源20をリム30の軸心に配置し、X線透過画像を得る放射線検出器22をベルト部材40の下方に配置する。この状態でX線を照射することで、荷重の負荷されたタイヤ12のトレッド内部の構造、例えば、スチールコードの観察を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ内部構造観察方法、及びタイヤ内部構造観察装置にかかり、特に、荷重を負荷した状態で、スチールコード等のタイヤ内部の構造を観察可能なタイヤ内部構造観察方法、及びタイヤ内部構造観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤの内部構造をX線を用いて観察する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4)。
【特許文献1】特公平8―1377号公報
【特許文献2】実開昭61―157824号公報
【特許文献3】特開平9−15172号公報
【特許文献4】特開昭55−703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の装置では、構成が断層撮影装置(いわゆるCT)であるため、例えば、スチールベルトの断面構造しか観察できず、スチールベルト層自身や、スチールベルト層を構成するスチールコードのトレッド踏面(接地面内)に沿った方向の変形や挙動を観察することができない。
【0004】
また、特許文献2〜4の装置では、荷重を負荷した状態のタイヤを観察できないので、実車使用時に近い状態でのスチールコードのトレッド踏面に沿った方向の変形や挙動を観察することができない。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、タイヤの内部構造、例えば、スチールコードのトレッド踏面に沿った方向の変形や挙動を、荷重負荷状態、即ち、実使用状態に近い状態で観察することのできるタイヤ内部構造観察方法、及びタイヤ内部構造観察装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、タイヤにX線照射手段から出射されたX線を照射し、前記タイヤを透過したX線をX線検知手段で検知することでタイヤ内部構造を観察するタイヤ内部構造観察方法であって、X線を透過可能なリムにタイヤを組み付けて内圧の調整を行い、前記リムに組み付けたタイヤを押圧対象に押し付け、前記X線照射手段と前記X線検知手段との間に前記リムに組み付けたタイヤを配置して前記X線照射手段と前記X線検知手段とを固定した状態で前記X線照射手段から前記タイヤにX線を面状に照射し、前記リム、及び前記タイヤを透過したX線を面状のX線検出手段で検出して負荷の作用した前記タイヤのX線透過画像を得る、ことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載のタイヤ内部構造観察方法では、先ず、X線を透過可能なリムにタイヤを組み付けて内圧の調整を行う。
【0008】
次に、リムに組み付けたタイヤを押圧対象に押し付け、X線照射手段とX線検知手段との間にリムに組み付けたタイヤを配置する。
【0009】
次に、X線照射手段とX線検知手段とを固定した状態にて、X線照射手段から拡散するX線(所謂コーンビーム)を出射してタイヤにX線を面状に照射する。
【0010】
リム、及びタイヤを透過したX線は面状のX線検出手段で検出され、負荷状態のタイヤのX線透過画像が得られる。タイヤを透過したX線を面状のX線検出手段で検出するので、例えば、トレッド踏面に垂直な方向から見るような感じでタイヤ内のスチールコードを観察することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ内部構造観察方法において、X線の照射を行いながら前記押圧対象に押し付けられたタイヤを回転させ、回転中のタイヤ内部構造を観察する、ことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載のタイヤ内部構造観察方法によれば、X線の照射を行いながら押圧対象に押し付けられたタイヤを回転させるので、動的な状態でのタイヤ内部の状態を直接的に観察することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のタイヤ内部構造観察方法において、前記押圧対象の平面部分に対して、回転軸を前記平面部分と平行にして前記タイヤを押し付ける、ことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載のタイヤ内部構造観察方法によれば、押圧対象の平面部分に対して、回転軸を平面部分と平行にしてタイヤを押し付けるので、実使用時(タイヤを実車に装着して路面に押し付けられた時。)に近い状態でのスチールコードの状態等、タイヤ内部構造を観察することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のタイヤ内部構造観察方法において、前記押圧対象は、一部分に平面部を有する回転可能な無限軌道を備えており、前記タイヤを回転する前記無限軌道の前記平面部にてスリップアングルをかけた状態で回転させ、回転中のタイヤ内部構造を観察する、ことを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載のタイヤ内部構造観察方法によれば、タイヤを回転する無限軌道の平面部にてスリップアングルをかけた状態で回転させることで、スリップアングルを付与した実使用時(ここでは、走行時)に近い状態でのスチールコードの状態等のタイヤ内部構造を観察することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記押圧対象は、一部分に平面部を有する回転可能な無限軌道を備えており、前記タイヤを回転する前記無限軌道の前記平面部にてスリップアングルをかけた状態で回転させ、回転停止後にタイヤ内部構造を観察する、ことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ内部構造観察方法。
【0018】
請求項5に記載のタイヤ内部構造観察方法によれば、タイヤを回転する無限軌道の平面部にてスリップアングルをかけた状態で回転させ、回転停止後にタイヤ内部のスチールコードを観察することで、スリップアングルを付与した後に停止した状態でのスチールコードの状態等のタイヤ内部構造を観察することができる。
【0019】
請求項6に記載のタイヤ内部構造観察装置は、タイヤに対して面状にX線を照射するX線照射手段と、前記タイヤのX線透過画像を得るための平面状のX線検出手段と、前記X線照射手段と前記X線検出手段との間にタイヤを保持可能し、少なくとも一部分がX線を透過可能とするタイヤ保持手段と、前記タイヤが押し付けられる押圧対象と、前記タイヤ保持手段で保持された前記タイヤが前記押圧対象に押し付けられるように荷重を付加するための荷重付加手段と、を有することを特徴としている。
【0020】
次に、請求項6に記載のタイヤ内部構造観察装置の作用を説明する。
【0021】
請求項6に記載のタイヤ内部構造観察装置によれば、先ず、観察対象とするタイヤをタイヤ保持手段に保持させる。なお、タイヤ保持手段にタイヤを保持した後、内圧を調整する。
【0022】
次に、タイヤ保持手段で保持されたタイヤが押圧対象に押し付けられるように荷重負荷手段で荷重を付加させる。
【0023】
次に、X線照射手段からタイヤに対して面状にX線を照射する。
【0024】
リム、及びタイヤを透過したX線は面状のX線検出手段で検出され、負荷状態のタイヤのX線透過画像が得られる。タイヤを透過したX線を面状のX線検出手段で検出するので、トレッド踏面に垂直な方向から見るような感じで負荷状態のタイヤの内部構造、例えば、タイヤ内のスチールコードを観察することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のタイヤ内部構造観察装置において、前記タイヤ保持手段は、前記タイヤを回転可能に保持する、ことを特徴としている。
【0026】
次に、請求項7に記載のタイヤ内部構造観察装置の作用を説明する。
【0027】
タイヤ保持手段は、タイヤを回転可能に保持するので、タイヤを回転させた状態で観察を行うことができる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のタイヤ内部構造観察装置におて、前記押圧対象は、一部分に平面部を有する回転可能な無限軌道を備えている、ことを特徴としている。
【0029】
次に、請求項8に記載のタイヤ内部構造観察装置の作用を説明する。
【0030】
無限軌道の平面部にタイヤを押し付けて回転させることで、路面の状態まで含めた実使用時(走行時)に近い状態でのスチールコードの状態等のタイヤ内部構造を観察することができる。
【0031】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のタイヤ内部構造の観察装置において、前記X線照射手段と前記X線検出手段とは、前記タイヤの観察対象部分を挟むように配置される、ことを特徴としている。
【0032】
次に、請求項9に記載のタイヤ内部構造観察装置の作用を説明する。
【0033】
請求項9に記載のタイヤ内部構造観察装置では、X線照射手段とX線検出手段とがタイヤの観察対象部分、例えば変形部分を挟むように配置される。したがって、X線はタイヤの変形部分を透過し、該変形部分のX線透過画像が得られる。
【0034】
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載のタイヤ内部構造観察装置において、前記X線照射手段は、前記タイヤ中心側に配置され、前記X線検出手段は、前記タイヤの外側に配置される、ことを特徴としている。
【0035】
次に、請求項10に記載のタイヤ内部構造観察装置の作用を説明する。
【0036】
請求項10に記載のタイヤ内部構造観察装置では、タイヤ中心側に配置されたX線照射手段からX線が照射され、X線はタイヤを内側から外側へ向けて透過する。
そして、タイヤを内側から外側へ向けて透過したX線がタイヤ外側に配置されたX線検出手段で検出される。
【0037】
リム内側はスペースが狭く、リム内側よりもタイヤ外側は大きなスペースをとることができるので、大型のX線検出手段を用いることができる。
【0038】
請求項11に記載の発明は、請求項6乃至請求項10の何れか1項に記載のタイヤ内部構造観察装置において、前記タイヤ保持手段を回転させて、前記タイヤにスリップアングルを付与するスリップアングル変更装置を有する、ことを特徴としている。
【0039】
次に、請求項11に記載のタイヤ内部構造観察装置の作用を説明する。
【0040】
請求項11に記載のタイヤ内部構造観察装置では、スリップアングル変更装置でタイヤ保持手段を回転することができ、これにより、タイヤ保持手段で保持されたタイヤのスリップアングルを変更することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように本発明によれば、タイヤの内部構造、例えば、スチールコードのトレッド踏面に沿った方向の変形や挙動を、荷重負荷状態で観察できる、という優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面を用いて本発明のタイヤ内部構造観察装置の実施形態を説明する。
【0043】
図1に示すように、本実施形態のタイヤ内部構造観察装置10は、被試験体であるタイヤ12を回転可能に支持した状態でそのタイヤ12に荷重を加えるための負荷荷重機構14と、荷重を加えた状態でタイヤ12を回転させ走行状態と同様の状態にするためのタイヤ走行回転機構16と、タイヤ12内の空気の圧力を可変させるタイヤ内圧可変機構18と、点状の焦点から錐状にX線を出射するX線管等を含む放射線源20、及びタイヤのX線透過画像を得る放射線検出器22とがタイヤ12を介して対向配置されている放射線撮像装置と、タイヤの回転を検出するタイヤ回転検出器24と、放射線源20をタイヤ軸方向に移動させる移動機構25と、負荷荷重機構14およびタイヤ走行回転機構16およびタイヤ内圧可変機構18、および移動機構25の駆動制御および放射線源20からの放射線出力制御を行う駆動制御部26と、検出された透過率データに基づいて画像を形成するための画像形成処理部28とを備えている。
【0044】
タイヤ走行回転機構16は、タイヤ12を支持するリム30と、タイヤ12の接地面に対向して設けられたベルト機構34とを有し、リム30は、ベルト機構34に向って移動自在に、かつベアリング35を介して回転自在に支持されている。
【0045】
ベルト機構34は、2つのプーリ36,38間にタイヤ12の円周方向に沿って捲回されているベルト部材40を有しており、ベルト部材40は、2つのプーリ36,38の内のプーリ38がベルト42を介してモータ44により駆動されることによって駆動される。そして、リム30には、タイヤ回転検出器24が設けられている。
【0046】
放射線検出器22は、ベルト部材40の内側に配置されている。なお、放射線検出器22は、床面に設置されたベルト機構34のベース33に対して、図示しない支持体を介して固定されている。
【0047】
一方、放射線源20は、床面に設置された支柱21から水平方向に延びるアーム23の先端に固定されている。支柱21には、レール27Aが水平に取り付けられており、このレール27Aにリニアガイド27Bがスライド自在に係合している。このリニアガイド27Bには、アーム23の基部が固定されている。このため、放射線源20をリム30の軸線方向に沿って移動可能としており、リム30の軸心の空間部分に放射線源20を配置可能としている。
【0048】
放射線検出器22は、放射線検出面が平面状とされており、タイヤのX線透過画像を得ることができる。このような放射線検出器22としては、例えば、イメージインテンシファイアー、フラットパネルディテクター等がある。なお、放射線検出器22に代えてX線フィルムを用いても良い。
【0049】
本実施形態では、X線透過画像の歪みを小さくするために、放射線源20から出射されるX線ビームの中心軸を、放射線検出器22の放射線検出面に対して直角に設定している。
【0050】
ここで、ベルト部材40は、X線を透過し易い材料、例えばアルミニウムや、合成樹脂やゴム等のエラストマーで一定厚さに形成されており、X線透過画像に影が映らないようにスチール等の金属が含まれていないものが好ましい。
【0051】
リム30は、少なくともタイヤ12の両ビード部間においては、X線を透過し易いように構成することが好ましく、アクリル等の合成樹脂等の非金属材料で形成したり、金属を用いる場合にはX線を透過し易いアルミニウム等でX線透過部分を薄く形成することが好ましく、厚さも一定にすることが好ましい。
【0052】
負荷荷重機構14は、支柱21に水平に取り付けられたレール29Aにスライド自在に係合したリニアガイド29Bと、リニアガイド29Bからレール長手方向と直交する水平方向に伸びるアーム31を備えている。
【0053】
アーム31の先端側下方には、サブフレーム32が配置されている。サブフレーム32は、アーム31に取り付けられたスリップアングル変更装置37に取り付けられている。
【0054】
サブフレーム32の下部には、後述するモータ52が取り付けられている。
【0055】
リム30を回転自在に支持するベアリング35を支持するための支持部材66を有しており、その支持部材66は、可動梁68に取り付けられている。
【0056】
可動梁68は、ネジ70と螺合しており、サブフレーム32に固定されたモータ52の駆動によりネジ70を回転させることによりベルト機構34の方向に移動する構成となっている。
【0057】
なお、可動梁68は、サブフレーム32に取り付けられた一対の上下ガイド機構39により、昇降可能に支持されている。
【0058】
従って、上述した負荷荷重機構14においてモータ52を駆動させる事により、可動梁68と共にリム30がベルト機構34の方向へ移動し、結果として、タイヤ12が、ベルト機構34のベルト部材40の平面部分に接触し、タイヤ12に対して半径方向に圧縮負荷をかけることができる。
【0059】
ここで、モータ44を駆動することによりベルト部材40が周方向に駆動され、タイヤは路面走行状態と同様になる。
【0060】
また、スリップアングル変更装置37により、サブフレーム32は回転可能となっているので、タイヤ12の回転軸の向きをベルト部材40の移動方向に対して変更すること、即ち、スリップアングルを変更することができる。
【0061】
タイヤ内圧可変機構18は、タイヤ12の回転停止時にタイヤ12にエアノズル74からエアーを供給するためのエアポンプ76から成っている。
【0062】
そして、駆動制御部26は、ベルト機構34のモータ44、負荷荷重機構14のモータ72、タイヤ12にエアを注入するエアポンプ76の作動制御を行なう駆動コントローラ78と、放射線源20からの放射線出力制御および出力された放射線の放射線検出器22で検出された放射線信号の画像形成処理部28へのデータ収集制御、さらに駆動コントローラ78の制御とを行う制御部80とから成っている。
【0063】
画像形成処理部28は、前記放射線検出器22から出力された信号に基づいて画像信号を生成するものであり、例えば、マイクロコンピュータ等で構成される計算機82と、この計算機82に対し接続されているデータ収集部84、前処理部86、再構成部88、画像メモリ部90、X線透過画像を表示するCRT表示装置92、補助記憶装置94等を有する構成である。
(作用)
次に、タイヤ12の観測手順を説明する。
【0064】
先ず、タイヤ12をリム30に装着し、エアポンプ76を作動させてタイヤ内にエアノズル74からエアーを供給し、所望の内圧に調整する。
【0065】
次に、モータ52でネジ70を回転駆動させ、可動梁とタイヤ12とをタイヤ走行回転機構16のベルト部材40の方へ移動させ、ベルト部材40平面部分とタイヤ12とを所定荷重で接触させる。
【0066】
また、放射線源20をリム30の中央に配置する。
【0067】
静止状態のタイヤ12を観察する場合には、ここで放射線源20から放射線検出器22に向けてX線を発射する。タイヤ12を透過したX線は放射線検出器22で検出され、CRT表示装置92にトレッドの接地部分のX線透過画像が表示される。なお、X線の照射範囲を調整することで、接地部分より外側の部分も表示可能である。
【0068】
なお、X線を発射しながら荷重を変化させてタイヤ12を観察することもでき、荷重変化に対するスチールコードの変化を見ることができる。
【0069】
また、内圧充填途中でタイヤ12を観察することもでき、内圧変化に対するスチールコードの変化を見ることができる。
【0070】
なお、荷重を作用させずにX線を発射してスチールコードの状態を観察することもできる。
【0071】
一方、回転中のタイヤ12を観察する場合には、モータ44でベルト部材40を回転駆動させ、そのベルト部材40の駆動によってタイヤ12を回転させ、放射線源20からX線を発射すれば良い。なお、タイヤ12の回転は、タイヤ回転検出器24により検知されその検出量は回転速度に対応するパルス信号として制御部80へ出力される。これにより、タイヤ12の回転速度が検出できる。
【0072】
また、本実施形態のタイヤ内部構造観察装置10では、タイヤ12にスリップアングルを付与してタイヤ内部構造を観察することもできる。この場合、スリップアングル変更装置37によりサブフレーム32を回転させ、タイヤ12の回転軸の向きをベルト部材40の移動方向に対して変更する。
【0073】
これにより、スリップアングル付与時の回転中のタイヤ12のタイヤ内部構造を観察できる。なお、回転を停止し、停止状態でタイヤ内部構造を観察することもできる。
【0074】
本実施形態では、タイヤ12の内部のスチールコードを観察したが、X線の透過率の違いがあればスチールコード以外の部材を観察することもできる。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、放射線源20をタイヤ12の中心側に配置し、放射線検出器22をタイヤ外側かつ接地面の下方に配置したが、図2(A)に示すように、放射線検出器22をタイヤ12の中心側に配置し、放射線源20をベルト機構34側に配置しても良い。
【0075】
また、図2(B)に示すように、放射線源20をタイヤ12の中心側に配置し、放射線検出器22をタイヤ側方に配置しても良く、図2(C)に示すように、放射線検出器22をタイヤ12の中心側に配置し、放射線源20をタイヤ側方に配置しても良い。
【0076】
このように、放射線源20と放射線検出器22との間にタイヤ12の観察部位を配置すれば良く、何れの場合も、負荷状態のタイヤ12のX線透過画像を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ内部構造観察装置の全体構成図である。
【図2】(A)乃至(C)は、他の実施形態に係るタイヤ内部構造観察装置の要部の側面図である。
【符号の説明】
【0078】
10 タイヤ内部構造観察装置
12 タイヤ
14 荷重機構
16 タイヤ走行回転機構
20 放射線源
22 放射線検出器
30 リム
34 ベルト機構
37 スリップアングル変更装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤにX線照射手段から出射されたX線を照射し、前記タイヤを透過したX線をX線検知手段で検知することでタイヤ内部の構造を観察するタイヤ内部構造観察方法であって、
X線を透過可能なリムにタイヤを組み付けて内圧の調整を行い、
前記リムに組み付けたタイヤを押圧対象に押し付け、
前記X線照射手段と前記X線検知手段との間に前記リムに組み付けたタイヤを配置して前記X線照射手段と前記X線検知手段とを固定した状態で前記X線照射手段から前記タイヤにX線を面状に照射し、前記リム、及び前記タイヤを透過したX線を面状のX線検出手段で検出して負荷の作用した前記タイヤのX線透過画像を得る、ことを特徴とするタイヤ内部構造観察方法。
【請求項2】
X線の照射を行いながら前記押圧対象に押し付けられたタイヤを回転させ、回転中のタイヤ内部の構造を観察する、ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ内部構造観察方法。
【請求項3】
前記押圧対象の平面部分に対して、回転軸を前記平面部分と平行にして前記タイヤを押し付ける、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ内部構造観察方法。
【請求項4】
前記押圧対象は、一部分に平面部を有する回転可能な無限軌道を備えており、前記タイヤを回転する前記無限軌道の前記平面部にてスリップアングルをかけた状態で回転させ、回転中のタイヤ内部構造を観察する、ことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ内部構造観察方法。
【請求項5】
前記押圧対象は、一部分に平面部を有する回転可能な無限軌道を備えており、前記タイヤを回転する前記無限軌道の前記平面部にてスリップアングルをかけた状態で回転させ、回転停止後にタイヤ内部構造を観察する、ことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ内部構造観察方法。
【請求項6】
タイヤに対して面状にX線を照射するX線照射手段と、
前記タイヤのX線透過画像を得るための平面状のX線検出手段と、
前記X線照射手段と前記X線検出手段との間にタイヤを保持可能し、少なくとも一部分がX線を透過可能とするタイヤ保持手段と、
前記タイヤが押し付けられる押圧対象と、
前記タイヤ保持手段で保持された前記タイヤが前記押圧対象に押し付けられるように荷重を付加するための荷重付加手段と、
を有することを特徴とするタイヤ内部構造観察装置。
【請求項7】
前記タイヤ保持手段は、前記タイヤを回転可能に保持する、ことを特徴とする請求項6に記載のタイヤ内部構造観察装置。
【請求項8】
前記押圧対象は、一部分に平面部を有する回転可能な無限軌道を備えている、ことを特徴とする請求項7に記載のタイヤ内部構造観察装置。
【請求項9】
前記X線照射手段と前記X線検出手段とは、前記タイヤの観察対象部分を挟むように配置される、ことを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のタイヤ内部構造観察装置。
【請求項10】
前記X線照射手段は、前記タイヤ中心側に配置され、
前記X線検出手段は、前記タイヤの外側に配置される、
ことを特徴とする請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載のタイヤ内部構造観察装置。
【請求項11】
前記タイヤ保持手段を回転させて、前記タイヤにスリップアングルを付与するスリップアングル変更装置を有する、ことを特徴とする請求項6乃至請求項10の何れか1項に記載のタイヤ内部構造観察装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−308316(P2006−308316A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128191(P2005−128191)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】