タイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【課題】ドラム本体の表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、常に平滑な面に貼付けることが出来、貼合わせる際の作業性を改善し、成形精度及び製造故障を減少させることが出来るタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の巻付け方法を提供する。
【解決手段】ドラム本体11上に、複数枚のタイヤ構成部材、即ち、1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc)及びキャップトレッド(Cp)を貼付ける際、その巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体(1B)〜(4B)の表面形状を変化させて、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けるようにすることで、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し成形精度及び製造故障を減少させることが出来るのである。
【解決手段】ドラム本体11上に、複数枚のタイヤ構成部材、即ち、1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc)及びキャップトレッド(Cp)を貼付ける際、その巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体(1B)〜(4B)の表面形状を変化させて、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けるようにすることで、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し成形精度及び製造故障を減少させることが出来るのである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法に係わり、更に詳しくはタイヤ成形工程のバンド成形工程において、複数枚のベルト材やトレッド部材等を精度良く巻付け、製造精度の向上及び製造故障を減少させることを可能としたタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車用空気入りタイヤのタイヤ成形工程、特にバンド成形工程においては、拡縮可能な円筒状のバンド成形ドラム上に、サイド部材,ライナー,サイド補強材料,カーカス,キャップトレッド等を順次貼付ける方法が行われている。
【0003】
然しながら、各部材を成形ドラムD上に順次積み重ねた状態で巻付けていくと、図9及び図10に示すように、Y部において各部材Wa,Wb,Wc,Wd,We等の厚さにより徐々に表面の凹凸Gが大きくなったり、隙間Qが出来るため次の部材を巻付けて貼合わせる作業が難しくなる。そのため、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したり、部材端末部の貼合わせ部が口開きし、更にはカーカスエンドの乱れ等による製造故障の原因となる問題があった。
【0004】
そこで、図11及び図12に示すように、巻付ける部材の形状に略合わせた凹み部分G’をY’部において予め形成した成形ドラムDを拡縮させることで、巻付けた部材の表面を平滑にしようとするタイヤ組立ドラムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
然しながら、このような予め凹み部分G’を形成したドラムセグメントDとした場合には、部材に伴う形状変更を行うことが出来ず、サイズの共用が出来ないと言う問題があり、また、最初に貼付ける部材が平滑な面で貼ることが出来ず、優先される部材と、犠牲になる部材とが必然的に発生し、部材貼付け作業に支承を来すと言う問題があった。
【特許文献1】特開2003−159758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、ドラム本体の表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し、成形精度及び製造故障を減少させることが出来るタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の巻付け方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記目的を達成するため、ドラム周方向に複数に分割したプレートを円筒状に配設すると共に、プレートのドラム幅方向を複数に分割し、この分割された複数枚のプレートを径方向に拡縮作動させて任意の表面形状に形成できるように構成したタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法であって、前記タイヤ成形ドラムのドラム本体上に、複数枚のタイヤ構成部材を順次巻付ける際、各タイヤ構成部材をドラム本体上に巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体の表面形状を変化させ、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けることを要旨とするものである。
【0008】
ここで、前記ドラム本体の平滑な表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、予めタイヤ構成部材毎におけるドラム本体の表面のプロファイル形状を制御装置に記憶させておき、複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、制御装置に記憶させたプロファイル形状に基づき、拡縮手段を介して複数枚のプレートを拡径させて常にドラム本体の表面及びタイヤ構成部材の表面が平滑な状態となるように制御することも可能である。
【0009】
また、前記タイヤ成形ドラムのドラム本体の表面形状を、左右両端側において非対称形状に変化させることもでき、また前記ドラム本体の表面に伸縮可能なカバー部材を被せた状態で複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付けるものである。
【0010】
このような方法によりタイヤ構成部材を貼付けることで、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度の悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し、成形精度及び製造故障を減少させることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、上記のようにドラム周方向に複数に分割したプレートを円筒状に配設すると共に、プレートのドラム幅方向を複数に分割し、この分割された複数枚のプレートを径方向に拡縮作動させて任意の表面形状に形成できるように構成したタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法であって、前記タイヤ成形ドラムのドラム本体上に、複数枚のタイヤ構成部材を順次巻付ける際、各タイヤ構成部材をドラム本体上に巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体の表面形状を変化させて、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けるようにすることで、以下のような優れた効果を奏するものである。
(a).ドラム本体の表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し成形精度及び製造故障を減少させることが出来る。(b).タイヤ構成部材の圧着作業性を改善し、製造精度の向上と製造故障を著しく減少させることが出来る。
(c).カーカスコードウェーブや、圧着不良によるエア溜まり等の製造故障を防止できる。(d).圧着に時間を短縮でき、生産効率を高めることが出来る。
(e).サイズ間の共用が出来、生産性の向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。 図1は、この発明を実施したタイヤ成形ドラムの概略構成図を示し、このタイヤ成形ドラムのドラム本体11は、ドラム周方向Rに複数(この実施形態では24分割であるが、分割数については特に限定されない)に分割したプレート12を円筒状に配設すると共に、プレート12のドラム幅方向Lを複数に分割して構成してある。
【0013】
前記ドラム周方向R及びドラム幅方向Lに分割された複数枚のプレート12の内側には、図2〜図4に示すように、各プレート12を径方向に拡縮作動させ、かつ固定機能を備えた拡縮手段13がそれぞれ設けてあり、この各拡縮手段13を、ドラム中心軸部14に設けた図示しない駆動源に接続されている。
【0014】
前記各プレート12は、前記拡縮手段13によりドラム幅方向Lの任意の位置で所定の高さ拡径させることが出来、また前記拡縮手段13としては、この実施形態では、流体供給源に接続する油圧,または空圧等の流体シリンダーを使用しているが、ドラム中心軸部14に図示しない回転駆動装置を設け、この回転駆動装置に接続するリンク機構で拡縮可能に構成することも可能である。
【0015】
また前記分割された各プレート12のドラム幅方向Lの長さは、ドラム幅中心部S1は幅を大きくし、ドラム両端側S2は部材形状に追従可能に小さく形成することが好ましく、ドラム幅中心から片側に少なくとも3個以上分割すると共に、最も狭いプレート12は、幅8〜12mmに形成し、部材形状に追従し易い形態としている。
【0016】
また、前記各プレート12は、図5に示すような実施形態から図6に示すようにプレート12のエッジを無くし、タイヤ構成部材を平滑な面で巻付け,貼合わせることが出来るように各プレート12の周縁部12aを面取り加工したり、また図7に示すようにゴムシート等の伸縮可能なカバー部材15で覆うようにすることも可能である。
【0017】
次に、上記のようなタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法を、図8(a)〜(g)を参照しながら説明する。
【0018】
なお、この実施形態では、ドラム本体11上に複数枚のタイヤ構成部材、即ち、ベルトドラム上に1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc),キャップトレッド(Cp)を順次貼付ける場合について説明する。
【0019】
先ず図8(a)に示すように、ドラム幅方向Lに複数に分割されたプレート12を備えたドラム本体11上に、1番ベルト(1B)を貼付ける際には、ドラム本体11の表面を直線上にした状態で所定幅で、所定厚さの1番ベルト(1B)を貼付ける。
【0020】
次いで、1番ベルト(1B)とドラム本体11の両端側に位置する複数枚のプレート12(この実施形態では5枚のプレート)との表面が平坦となるように両端側に位置する複数枚のプレート12を1番ベルト(1B)の厚さ(t)だけ拡径させる(図8(b))。
【0021】
そして、図8(c)に示すように、1番ベルト(1B)上に2番ベルト(2B)及びベルトエッジカバー(Bc)を貼付けた後、図8(d)に示すように、2番ベルト(2B)とベルトエッジカバー(Bc)との表面が平坦となるように両端側に位置する複数枚のプレート12を段階的に縮径させる。
【0022】
更に、図8(e)に示すように、2番ベルト(2B)とベルトエッジカバー(Bc)との上に3番ベルト(3B),4番ベルト(4B)を順次巻付けたのち、図8(f)に示すように、3番ベルト(3B),4番ベルト(4B),ベルトエッジカバー(Bc)の表面がそれぞれ略平坦となるように両端側に位置する複数枚のプレート12を段階的に縮径させる。
【0023】
そして、このように貼付けた複数枚の1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc)の表面を平坦な状態にした後、図8(g)に示すようにキャップトレッド(Cp)を貼付ける。
【0024】
以上のような方法により、ドラム本体11上に、複数枚のタイヤ構成部材、即ち、1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc)及びキャップトレッド(Cp)を貼付ける際、その巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体(1B)〜(4B)の表面形状を変化させて、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けるようにすることで、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し成形精度及び製造故障を減少させることが出来るのである。
【0025】
また、上記の実施形態において前記ドラム本体11の分割されたプレート12を、ドラム本体11の両端部において非対称形状に変更させた状態で圧着接合させることも可能であり、また、ドラム本体11の分割されたプレート12上に伸縮可能なカバー部材15を被せた状態で複数枚のタイヤ構成部材やトレッド部材等を貼付けることも可能である。
【0026】
なお、ドラム本体11の両端部の分割されたプレート12を平坦形状に変更する場合、予め複数枚のタイヤ構成部材やトレッド部材等プロファイル形状を図示しない制御装置に記憶させておき、タイヤ構成部材の貼付け時に制御装置に記憶させたプロファイル形状に基づき、拡縮手段を介して複数枚のプレート12を作動させてドラム本体11の表面形状を変更するように構成することも可能である。
【0027】
このように予め圧着プロファイル形状を記憶させた制御装置を使用して圧着する際、拡縮手段を自動的に操作することで、人手を介することなくタイヤ構成部材の圧着作業性を改善し、製造精度の向上と製造故障を著しく減少させることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明を実施したタイヤ成形ドラムの概略構成図である。
【図2】タイヤ成形ドラムの側面図である。
【図3】図1のZ部の一部拡大断面図である。
【図4】図1のZ部の一部拡大斜視図である。
【図5】ドラム本体を構成するプレートの一部拡大正面図である。
【図6】ドラム本体を構成するプレートの他の実施形態を示す一部拡大正面図である。
【図7】ドラム本体を構成するプレートにカバー部材を被せる他の実施形態を示す一部拡大正面図である。
【図8】(a)〜(g)は、ドラム本体上に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける工程の説明する。
【図9】従来のタイヤ成形ドラムを使用してタイヤ構成部材を貼付ける工程の説明図である。
【図10】従来のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け工程の一部拡大工程図である。
【図11】従来のタイヤ成形ドラムの一部を変形した正面図である。
【図12】従来のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け工程の一部拡大工程図である。
【符号の説明】
【0029】
Wa サイド部材 Wb ライナー
Wc サイド補強材料 Wd カーカス
We キャップトレッド
G 凹凸 G’ 凹み部分 D 成形ドラム
11 ドラム本体 12 プレート
13 拡縮手段 14 ドラム中心軸部
15 カバー部材 12a プレートの周縁部
R ドラム周方向 L ドラム幅方向 S1 ドラム幅中心部 S2 ドラム両端側
1B〜4B 1〜4番ベルト Bc ベルトエッジカバー
Cp キャップトレッド
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法に係わり、更に詳しくはタイヤ成形工程のバンド成形工程において、複数枚のベルト材やトレッド部材等を精度良く巻付け、製造精度の向上及び製造故障を減少させることを可能としたタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車用空気入りタイヤのタイヤ成形工程、特にバンド成形工程においては、拡縮可能な円筒状のバンド成形ドラム上に、サイド部材,ライナー,サイド補強材料,カーカス,キャップトレッド等を順次貼付ける方法が行われている。
【0003】
然しながら、各部材を成形ドラムD上に順次積み重ねた状態で巻付けていくと、図9及び図10に示すように、Y部において各部材Wa,Wb,Wc,Wd,We等の厚さにより徐々に表面の凹凸Gが大きくなったり、隙間Qが出来るため次の部材を巻付けて貼合わせる作業が難しくなる。そのため、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したり、部材端末部の貼合わせ部が口開きし、更にはカーカスエンドの乱れ等による製造故障の原因となる問題があった。
【0004】
そこで、図11及び図12に示すように、巻付ける部材の形状に略合わせた凹み部分G’をY’部において予め形成した成形ドラムDを拡縮させることで、巻付けた部材の表面を平滑にしようとするタイヤ組立ドラムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
然しながら、このような予め凹み部分G’を形成したドラムセグメントDとした場合には、部材に伴う形状変更を行うことが出来ず、サイズの共用が出来ないと言う問題があり、また、最初に貼付ける部材が平滑な面で貼ることが出来ず、優先される部材と、犠牲になる部材とが必然的に発生し、部材貼付け作業に支承を来すと言う問題があった。
【特許文献1】特開2003−159758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、ドラム本体の表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し、成形精度及び製造故障を減少させることが出来るタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の巻付け方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記目的を達成するため、ドラム周方向に複数に分割したプレートを円筒状に配設すると共に、プレートのドラム幅方向を複数に分割し、この分割された複数枚のプレートを径方向に拡縮作動させて任意の表面形状に形成できるように構成したタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法であって、前記タイヤ成形ドラムのドラム本体上に、複数枚のタイヤ構成部材を順次巻付ける際、各タイヤ構成部材をドラム本体上に巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体の表面形状を変化させ、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けることを要旨とするものである。
【0008】
ここで、前記ドラム本体の平滑な表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、予めタイヤ構成部材毎におけるドラム本体の表面のプロファイル形状を制御装置に記憶させておき、複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、制御装置に記憶させたプロファイル形状に基づき、拡縮手段を介して複数枚のプレートを拡径させて常にドラム本体の表面及びタイヤ構成部材の表面が平滑な状態となるように制御することも可能である。
【0009】
また、前記タイヤ成形ドラムのドラム本体の表面形状を、左右両端側において非対称形状に変化させることもでき、また前記ドラム本体の表面に伸縮可能なカバー部材を被せた状態で複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付けるものである。
【0010】
このような方法によりタイヤ構成部材を貼付けることで、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度の悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し、成形精度及び製造故障を減少させることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、上記のようにドラム周方向に複数に分割したプレートを円筒状に配設すると共に、プレートのドラム幅方向を複数に分割し、この分割された複数枚のプレートを径方向に拡縮作動させて任意の表面形状に形成できるように構成したタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法であって、前記タイヤ成形ドラムのドラム本体上に、複数枚のタイヤ構成部材を順次巻付ける際、各タイヤ構成部材をドラム本体上に巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体の表面形状を変化させて、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けるようにすることで、以下のような優れた効果を奏するものである。
(a).ドラム本体の表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し成形精度及び製造故障を減少させることが出来る。(b).タイヤ構成部材の圧着作業性を改善し、製造精度の向上と製造故障を著しく減少させることが出来る。
(c).カーカスコードウェーブや、圧着不良によるエア溜まり等の製造故障を防止できる。(d).圧着に時間を短縮でき、生産効率を高めることが出来る。
(e).サイズ間の共用が出来、生産性の向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。 図1は、この発明を実施したタイヤ成形ドラムの概略構成図を示し、このタイヤ成形ドラムのドラム本体11は、ドラム周方向Rに複数(この実施形態では24分割であるが、分割数については特に限定されない)に分割したプレート12を円筒状に配設すると共に、プレート12のドラム幅方向Lを複数に分割して構成してある。
【0013】
前記ドラム周方向R及びドラム幅方向Lに分割された複数枚のプレート12の内側には、図2〜図4に示すように、各プレート12を径方向に拡縮作動させ、かつ固定機能を備えた拡縮手段13がそれぞれ設けてあり、この各拡縮手段13を、ドラム中心軸部14に設けた図示しない駆動源に接続されている。
【0014】
前記各プレート12は、前記拡縮手段13によりドラム幅方向Lの任意の位置で所定の高さ拡径させることが出来、また前記拡縮手段13としては、この実施形態では、流体供給源に接続する油圧,または空圧等の流体シリンダーを使用しているが、ドラム中心軸部14に図示しない回転駆動装置を設け、この回転駆動装置に接続するリンク機構で拡縮可能に構成することも可能である。
【0015】
また前記分割された各プレート12のドラム幅方向Lの長さは、ドラム幅中心部S1は幅を大きくし、ドラム両端側S2は部材形状に追従可能に小さく形成することが好ましく、ドラム幅中心から片側に少なくとも3個以上分割すると共に、最も狭いプレート12は、幅8〜12mmに形成し、部材形状に追従し易い形態としている。
【0016】
また、前記各プレート12は、図5に示すような実施形態から図6に示すようにプレート12のエッジを無くし、タイヤ構成部材を平滑な面で巻付け,貼合わせることが出来るように各プレート12の周縁部12aを面取り加工したり、また図7に示すようにゴムシート等の伸縮可能なカバー部材15で覆うようにすることも可能である。
【0017】
次に、上記のようなタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法を、図8(a)〜(g)を参照しながら説明する。
【0018】
なお、この実施形態では、ドラム本体11上に複数枚のタイヤ構成部材、即ち、ベルトドラム上に1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc),キャップトレッド(Cp)を順次貼付ける場合について説明する。
【0019】
先ず図8(a)に示すように、ドラム幅方向Lに複数に分割されたプレート12を備えたドラム本体11上に、1番ベルト(1B)を貼付ける際には、ドラム本体11の表面を直線上にした状態で所定幅で、所定厚さの1番ベルト(1B)を貼付ける。
【0020】
次いで、1番ベルト(1B)とドラム本体11の両端側に位置する複数枚のプレート12(この実施形態では5枚のプレート)との表面が平坦となるように両端側に位置する複数枚のプレート12を1番ベルト(1B)の厚さ(t)だけ拡径させる(図8(b))。
【0021】
そして、図8(c)に示すように、1番ベルト(1B)上に2番ベルト(2B)及びベルトエッジカバー(Bc)を貼付けた後、図8(d)に示すように、2番ベルト(2B)とベルトエッジカバー(Bc)との表面が平坦となるように両端側に位置する複数枚のプレート12を段階的に縮径させる。
【0022】
更に、図8(e)に示すように、2番ベルト(2B)とベルトエッジカバー(Bc)との上に3番ベルト(3B),4番ベルト(4B)を順次巻付けたのち、図8(f)に示すように、3番ベルト(3B),4番ベルト(4B),ベルトエッジカバー(Bc)の表面がそれぞれ略平坦となるように両端側に位置する複数枚のプレート12を段階的に縮径させる。
【0023】
そして、このように貼付けた複数枚の1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc)の表面を平坦な状態にした後、図8(g)に示すようにキャップトレッド(Cp)を貼付ける。
【0024】
以上のような方法により、ドラム本体11上に、複数枚のタイヤ構成部材、即ち、1〜4番ベルト(1B)〜(4B),ベルトエッジカバー(Bc)及びキャップトレッド(Cp)を貼付ける際、その巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体(1B)〜(4B)の表面形状を変化させて、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けるようにすることで、常に平滑な面に貼付けることが出来、部材間に空気溜まりが生じたり、貼合わせ精度が悪化したりすることがなく、貼合わせる際の作業性を改善し成形精度及び製造故障を減少させることが出来るのである。
【0025】
また、上記の実施形態において前記ドラム本体11の分割されたプレート12を、ドラム本体11の両端部において非対称形状に変更させた状態で圧着接合させることも可能であり、また、ドラム本体11の分割されたプレート12上に伸縮可能なカバー部材15を被せた状態で複数枚のタイヤ構成部材やトレッド部材等を貼付けることも可能である。
【0026】
なお、ドラム本体11の両端部の分割されたプレート12を平坦形状に変更する場合、予め複数枚のタイヤ構成部材やトレッド部材等プロファイル形状を図示しない制御装置に記憶させておき、タイヤ構成部材の貼付け時に制御装置に記憶させたプロファイル形状に基づき、拡縮手段を介して複数枚のプレート12を作動させてドラム本体11の表面形状を変更するように構成することも可能である。
【0027】
このように予め圧着プロファイル形状を記憶させた制御装置を使用して圧着する際、拡縮手段を自動的に操作することで、人手を介することなくタイヤ構成部材の圧着作業性を改善し、製造精度の向上と製造故障を著しく減少させることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明を実施したタイヤ成形ドラムの概略構成図である。
【図2】タイヤ成形ドラムの側面図である。
【図3】図1のZ部の一部拡大断面図である。
【図4】図1のZ部の一部拡大斜視図である。
【図5】ドラム本体を構成するプレートの一部拡大正面図である。
【図6】ドラム本体を構成するプレートの他の実施形態を示す一部拡大正面図である。
【図7】ドラム本体を構成するプレートにカバー部材を被せる他の実施形態を示す一部拡大正面図である。
【図8】(a)〜(g)は、ドラム本体上に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける工程の説明する。
【図9】従来のタイヤ成形ドラムを使用してタイヤ構成部材を貼付ける工程の説明図である。
【図10】従来のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け工程の一部拡大工程図である。
【図11】従来のタイヤ成形ドラムの一部を変形した正面図である。
【図12】従来のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け工程の一部拡大工程図である。
【符号の説明】
【0029】
Wa サイド部材 Wb ライナー
Wc サイド補強材料 Wd カーカス
We キャップトレッド
G 凹凸 G’ 凹み部分 D 成形ドラム
11 ドラム本体 12 プレート
13 拡縮手段 14 ドラム中心軸部
15 カバー部材 12a プレートの周縁部
R ドラム周方向 L ドラム幅方向 S1 ドラム幅中心部 S2 ドラム両端側
1B〜4B 1〜4番ベルト Bc ベルトエッジカバー
Cp キャップトレッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム周方向に複数に分割したプレートを円筒状に配設すると共に、プレートのドラム幅方向を複数に分割し、この分割された複数枚のプレートを径方向に拡縮作動させて任意の表面形状に形成できるように構成したタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法であって、
前記タイヤ成形ドラムのドラム本体上に、複数枚のタイヤ構成部材を順次巻付ける際、各タイヤ構成部材をドラム本体上に巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体の表面形状を変化させ、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けることを特徴とするタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【請求項2】
ドラム本体の平滑な表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、予めタイヤ構成部材毎におけるドラム本体の表面のプロファイル形状を制御装置に記憶させておき、複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、制御装置に記憶させたプロファイル形状に基づき、拡縮手段を介して複数枚のプレートを拡径させて常にドラム本体の表面及びタイヤ構成部材の表面が平滑な状態となるように制御する請求項1に記載のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【請求項3】
前記タイヤ成形ドラムのドラム本体の表面形状を、左右両端側において非対称形状に変化させる請求項1または2に記載のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【請求項4】
前記ドラム本体の表面に伸縮可能なカバー部材を被せた状態で複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける請求項1,2または3に記載のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【請求項1】
ドラム周方向に複数に分割したプレートを円筒状に配設すると共に、プレートのドラム幅方向を複数に分割し、この分割された複数枚のプレートを径方向に拡縮作動させて任意の表面形状に形成できるように構成したタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法であって、
前記タイヤ成形ドラムのドラム本体上に、複数枚のタイヤ構成部材を順次巻付ける際、各タイヤ構成部材をドラム本体上に巻付ける毎に、その巻付け周面を略平面にするように前記ベルト本体の表面形状を変化させ、常に平滑な面においてタイヤ構成部材を巻付けることを特徴とするタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【請求項2】
ドラム本体の平滑な表面に複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、予めタイヤ構成部材毎におけるドラム本体の表面のプロファイル形状を制御装置に記憶させておき、複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける際、制御装置に記憶させたプロファイル形状に基づき、拡縮手段を介して複数枚のプレートを拡径させて常にドラム本体の表面及びタイヤ構成部材の表面が平滑な状態となるように制御する請求項1に記載のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【請求項3】
前記タイヤ成形ドラムのドラム本体の表面形状を、左右両端側において非対称形状に変化させる請求項1または2に記載のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【請求項4】
前記ドラム本体の表面に伸縮可能なカバー部材を被せた状態で複数枚のタイヤ構成部材を順次貼付ける請求項1,2または3に記載のタイヤ成形ドラムによるタイヤ構成部材の貼付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−185887(P2007−185887A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6626(P2006−6626)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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