説明

タイヤ摩耗検出機およびそれを備えるタイヤ摩耗状態監視システム

【課題】 タイヤの偏摩耗を検出することができるタイヤ摩耗検出機を提供する。
【解決手段】 タイヤ4内に配置され、タイヤ4のトレッド内で、タイヤ4の回転方向に直交する方向における異なる位置に設けられた複数の検出線11と、検出線11の切断状態を検出して信号処理する車輪側制御部122bと、車輪側制御部122bにて処理された検出線11の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を摩耗診断装置2、5に送信するとともに、電力チャージ用の電波を摩耗診断装置2、5から受信する車輪側送受信手段122aと、電力チャージ用の電波を受けて電力チャージを行うチャージ部121とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの摩耗状態を検出するタイヤ摩耗検出機およびそれを備えるタイヤ摩耗状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤのトレッド中にトランスポンダとループ状の検出線を埋設し、タイヤの摩耗により検出線が切断されることでタイヤの摩耗状態を検出するタイヤ摩耗状態監視システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−307981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のようなタイヤ摩耗状態監視システムでは、タイヤのトレッド面が均一に摩耗しない偏摩耗(片減り)が発生した場合、タイヤの摩耗状態を正確に検出することができないという問題があった。
【0004】
さらに、トランスポンダの電力受電用アンテナが断線した場合、電力供給を受けられないためトランスポンダが起動できなくなるので、電力受電用アンテナの故障(断線)なのかトランスポンダの故障なのかを外部から特定できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、タイヤの偏摩耗を検出することができるタイヤ摩耗検出機およびそれを備えるタイヤ摩耗状態監視システムを提供することを目的とする。
【0006】
また、トランスポンダの電力受電用アンテナが断線した場合に、電力受電用アンテナの故障(断線)なのかトランスポンダの故障なのかを外部から特定できるタイヤ摩耗検出機およびそれを備えるタイヤ摩耗状態監視システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、タイヤ(4)内に配置され、タイヤ(4)のトレッド内で、タイヤ(4)の回転方向に直交する方向における異なる位置に設けられた複数の検出線(11)と、検出線(11)の切断状態を検出して信号処理する車輪側制御部(122b)と、車輪側制御部(122b)にて処理された検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を摩耗診断装置(2、5)に送信するとともに、電力チャージ用の電波を摩耗診断装置(2、5)から受信する車輪側送受信手段(122a)と、電力チャージ用の電波を受けて電力チャージを行うチャージ部(121)とを有することを特徴としている。
【0008】
これにより、タイヤ(4)の回転方向に対して直交する方向のうち、どの場所で摩耗が進行していたとしても、それを検出することができるため、タイヤ(4)の偏摩耗を検出することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明のように、タイヤ摩耗検出機(1)と、タイヤ摩耗検出機(1)との間で通信可能な摩耗診断装置(2、5)とを備え、タイヤ摩耗検出機(1)は、検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を摩耗診断装置(2、5)に送信し、摩耗診断装置(2、5)は、タイヤ摩耗検出機(1)から送信された切断状態情報に基づいてタイヤ(4)の摩耗状態を診断するタイヤ摩耗状態監視システムとして構成してもよい。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、タイヤ(4)内に配置され、タイヤ(4)のトレッド内で、タイヤ(4)の回転方向に直交する方向に広がるように設けられた検出線(11)と、検出線(11)の切断状態を検出して信号処理する車輪側制御部(122b)と、車輪側制御部(122b)にて処理された検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を摩耗診断装置(2、5)に送信するとともに、電力チャージ用の電波を摩耗診断装置(2、5)から受信する車輪側送受信手段(122a)と、電力チャージ用の電波を受けて電力チャージを行うチャージ部(121)と、摩耗診断装置(2、5)との間の電波の送受信を行うためのメインアンテナ(13)と、メインアンテナ(13)の切断を検知する切断検知手段(14)と、切断検知手段(14)によりメインアンテナ(13)の切断が検知された場合に、メインアンテナ(13)に代えて、検出線(11)を摩耗診断装置(2、5)との間の電波の送受信を行うアンテナとして用いるアンテナ切替手段(15、16)とを備えることを特徴としている。
【0011】
このように、ループアンテナ(13)が断線した場合でも、検出線(11)を電波の送受信を行うためのアンテナとして用いることで、外部と通信することができる。
【0012】
また、検出線(11)を、タイヤ(4)の回転方向に直交する方向に広がるように配置したことで、タイヤ(4)の偏摩耗を検出することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明のように、タイヤ摩耗検出機(1)と、タイヤ摩耗検出機(1)との間で通信可能な摩耗診断装置(2、5)とを備え、タイヤ摩耗検出機(1)は、検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を摩耗診断装置(2、5)に送信し、摩耗診断装置(2)は、タイヤ摩耗検出機(1)から送信された切断状態情報に基づいてタイヤ(4)の摩耗状態を診断するタイヤ摩耗状態監視システムであって、タイヤ摩耗検出機(1)は、メインアンテナ(13)の切断を検知する切断検知手段(14)と、切断検知手段(14)によりメインアンテナ(13)の切断が検知された場合に、メインアンテナ(13)に代えて検出線(11)を摩耗診断装置(2、5)との間の電波の送受信を行うアンテナとして用いるアンテナ切替手段(15、16)とを備えるように構成してもよい。
【0014】
また、請求項5に記載の発明では、メインアンテナ(13)が切断された場合に、タイヤ摩耗検出機(1)は、タイヤ摩耗検出機(1)と通信可能な故障診断装置(2、5)にメインアンテナ(13)の断線情報を送信し、故障診断装置(2、5)は、メインアンテナ(13)の断線情報を受信することによりメインアンテナ(13)の断線状態を診断することを特徴としている。
【0015】
このように、故障診断装置(5)にメインアンテナ(13)の断線情報を送信することで、外部からメインアンテナ(13)の断線状態を診断することができ、タイヤ摩耗検出機(1)の故障の原因を特定することが可能となる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムは、車両に取り付けられるもので、検出機1、受信機2、警報機3を備えている。検出機1はタイヤに設けられ、受信機2および警報機3は車体側に設けられている。なお、検出機1が本発明のタイヤ摩耗検出機に相当し、受信機2が摩耗診断装置に相当している。
【0019】
図2は、本第1実施形態の検出機1が設けられたタイヤ4の断面図である。図2に示すように、検出線11は、タイヤ4のトレッド内におけるタイヤ4の回転方向に直交する面に複数(本第1実施形態では3本)設けられている。これらの検出線11は、トランスポンダ12に電気的に接続されている。検出線11の先端部分は、タイヤ4の接地面の近傍に位置するようになっている。これらの検出線11の高さは、タイヤ4のトレッドの摩耗が進み、タイヤ摩耗限界になったときに、検出線11の先端部分が露出するように設定されている。
【0020】
また、タイヤ4のトレッド内には、タイヤ4の全周に渡って、車体側の受信機2との間で電波の送受信を行うループアンテナ13(メインアンテナ)が設けられている。
【0021】
図3は、本第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの検出機1の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、本第1実施形態の検出機1は、検出線11、トランスポンダ12、ループアンテナ13を備えた構成となっている。検出機1は、ループアンテナ13を通じて受信機2からの電力チャージのための電波を受け取り、その電波を電力エネルギに変換してチャージ部121に蓄えることで作動する。なお、このトランスポンダ方式による電力チャージに関しては、バッテリレスのIDタグの認識等の分野において周知のものであるため、ここでは説明を省略する。
【0022】
トランスポンダ12は、チャージ部121およびマイクロコンピュータ122を備えている。
【0023】
チャージ部121は、ループアンテナ13から受け取った電波により充電され、マイクロコンピュータ122への電力供給を行うものである。
【0024】
マイクロコンピュータ122は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のもので、車輪側送受信部122aやトランスポンダ制御部122bなどを備え、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
【0025】
車輪側送受信部122aは、ループアンテナ13を通じて、電力チャージ用の電波を受け取り、その電波を電力エネルギに変換してチャージ部121およびトランスポンダ制御部122bに送る入力部としての機能と、トランスポンダ制御部122bから送られてきた応答信号を、ループアンテナ13を通じて車体側の受信機2に向けて送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0026】
トランスポンダ制御部122bは、受信機2から送信される質問信号を車輪側送受信部122aを介して受信すると、応答信号を車輪側送受信部122aを通じて受信機2に向けて送信する構成になっている。ここで、トランスポンダ制御部122bは、応答信号に検出線11の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を含めて送信するようになっている。
【0027】
図4は、本第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの受信機2の概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、受信機2は、車体側アンテナ21とマイクロコンピュータ22を備えた構成となっている。
【0028】
車体側アンテナ21は、タイヤ4の数、すなわち検出機1の数に対応した個数備えられている。各車体側アンテナ21は、車体のうち各検出機1の位置と対応する場所に設置されており、例えば、各検出機1から所定間隔離れた位置において車体に固定されている。この車体側アンテナ21は、電力チャージ用の電波および質問信号の送信用と応答信号の受信用を兼ねた共用アンテナとなっているが、これらを別々の構成とすることも可能である。
【0029】
マイクロコンピュータ22は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびカウンタなどを備えた周知のもので、車体側送受信部22aや車体側制御部22bなどを備え、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
【0030】
車体側送受信部22aは、各車体側アンテナ21を通じて、車体側制御部22bからの電力チャージ用の電波および質問信号を出力する出力部としての機能と、受信された各検出機1からの応答信号を入力し、その応答信号を車体側制御部22bに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0031】
車体側制御部22bは、電力チャージ用の電波を出力してトランスポンダ12に電力チャージを行わせるようになっている。また、所定時間おきに、検出機1に質問信号を送信し、検出機1から応答信号が出力されるのを待つ。そして、車体側制御部22bは、車体側送受信部22aから送られてきた応答信号を受け取る。また、車体側制御部22bは、受け取った応答信号に検出線11が断線しているという切断情報が含まれていたときは、その旨を示す信号を警報機3に出力するようになっている。
【0032】
図1に戻り、警報機3は、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプや警告表示器(ディスプレイ)、もしくは警報ブザーによって構成される。この警報機3は、例えば車体側制御部22bから、検出線11が断線しているという信号が送られてくると、その旨を示す警報を行うことでドライバにタイヤ4の摩耗が進行して危険な状態であることを伝えるようになっている。
【0033】
以上のようにして、本第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムが構成されている。
【0034】
次に、図5を参照しながら、本第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムのタイヤ摩耗状態の検出制御について説明する。図5は、本第1実施形態におけるタイヤ摩耗状態監視システムのトランスポンダ12のマイクロコンピュータ122がROMに格納されたプログラムに従って行う処理内容を示すフローチャートである。
【0035】
まず、トランスポンダ12は、受信機2から送信される電力チャージのための電波を受け取ることによって電力チャージを行う(S100)。
【0036】
次に、受信機2から質問信号を受信すると(S110)、複数の検出線11のうち、切断されているものがあるか否かを判定する(S120)。この結果、検出線11が1本も切断されていなかった場合は(S120:NO)、検出線11が切断されていない旨の非切断情報を含めた応答信号を受信機2に送信する(S130)。
【0037】
一方、複数の検出線11のうち、1本でも切断されていた場合は(S120:YES)、検出線11が切断された旨の切断情報を含めた応答信号を受信機2に送信する(S140)。
【0038】
以上説明したように、本第1実施形態では、タイヤ4のトレッド内におけるタイヤ回転方向に対して直交する方向の異なる位置に複数の検出線11を埋め込み、それらが切断された場合には、その旨のデータを応答信号として車体側に送信するようになっている。こうすることで、タイヤ4の回転方向に対して直交する方向のうち、どの場所で摩耗が進行していたとしても、それを検出することができる。すなわち、タイヤ4の偏摩耗を検出することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6〜図9に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態に比較して、検出線11をアンテナ線で構成し、ループアンテナ13が切断された際に、検出線11をアンテナとして使用するようにした点が異なるものである。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図6は、本第2実施形態の検出機1が設けられたタイヤ4の断面図である。図6に示すように、本第2実施形態では、1本の検出線11をタイヤ4のトレッドのタイヤ回転方向に直交する面に設けている。検出線11のループの開口面は、タイヤ4の幅方向のほぼ全域にわたって配置されている。また、本第2実施形態の検出線11は、アンテナとしての機能を有しており、メインアンテナであるループアンテナ13が切断された際に、電力チャージのための電波や質問信号を受信し、応答信号を送信するサブアンテナとして機能するように構成されている。
【0041】
図7は、本第2実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの検出機1の概略構成を示すブロック図である。図7に示すように、本第2実施形態の検出機1は、ループアンテナ13、検出線11、断線検出部14、電力切替スイッチ15、データ切替スイッチ16、第1の送受信部122a、第2の送受信部17、トランスポンダ制御部122bを備えている。なお、断線検出部14が本発明の切断検知手段に相当し、電力切替スイッチ15およびデータ切替スイッチ16がアンテナ切替手段に相当している。
【0042】
断線検出部14は、ループアンテナ13および検出線11の断線を検出し、その情報を電力切替スイッチ15、データ切替スイッチ16およびトランスポンダ12制御部に送信するものである。
【0043】
電力切替スイッチ15およびデータ切替スイッチ16は、通信を行う為のアンテナをループアンテナ13と検出線11のうちから選択できるように構成されている。電力切替スイッチ15は、電力チャージ用の電波を受信する為のアンテナを切り替えるスイッチで、データ切替スイッチ16は、質問電波を受信し、応答電波を送信する為のアンテナを切り替えるスイッチである。2つのスイッチ15、16は、断線検出部14から送られてくる情報に基づいてそれぞれのアンテナを切り換える。通常は、どちらのスイッチ15、16もループアンテナ13を選択している。しかし、断線検出部14よりループアンテナ13が切断された旨の情報が送られてきた場合には、スイッチ15、16は、アンテナを検出線11に切り替え、検出線11をアンテナとして使用できるようにする。
【0044】
第2の送受信部17は、検出線11をアンテナとして使用する際に、検出線11を通じて、電力チャージ用の電波を受け取り、その電波を電力エネルギに変換してチャージ部121およびトランスポンダ制御部122bに送る入力部としての機能と、トランスポンダ制御部122bから送られてきた応答信号を送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0045】
トランスポンダ制御部122bは、断線検出部14でループアンテナ13の断線検出された場合、応答信号にその旨のデータを含ませて送信するようになっている。
【0046】
上記構成のループアンテナ13が、走行中の衝撃などで断線した場合、車体側と通信できなくなるため、トランスポンダ12が起動できなくなる。この原因が、ループアンテナ13の断線であるのか、トランスポンダ12の故障であるのかを外部から特定するために、本第2実施形態では、図8に示す故障診断装置5を用いる。
【0047】
図8は、故障診断装置5の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、故障診断装置5は、診断装置用アンテナ51およびマイクロコンピュータ52を備えている。
【0048】
診断装置用アンテナ51は、車輪側の検出機1に電力チャージのための電波および質問信号を送信し、また、検出機1から送られてくる応答信号を受信する。
【0049】
マイクロコンピュータ52は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびカウンタなどを備えた周知のもので、診断装置送受信部52aや診断装置制御部52bなどを備え、ROM内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行するようになっている。
【0050】
診断装置送受信部52aは、診断装置用アンテナ51を通じて、診断装置制御部52bからの電力チャージ用の電波および質問信号を出力する出力部としての機能と、受信された検出機1からの応答信号を入力し、その応答信号を診断装置制御部52bに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0051】
次に、図9を参照しながら、上述の故障診断装置5を用いたタイヤ摩耗状態監視システムの故障診断制御について説明する。ユーザが故障診断をする際は、故障診断装置5をタイヤ4に近づけて行う。図9は、本第2実施形態におけるタイヤ摩耗状態監視システムのトランスポンダ12のマイクロコンピュータ122がROMに格納されたプログラムに従って行う処理内容を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ループアンテナ13の断線が検出されたか否かを判定する(S200)。この結果、ループアンテナ13の断線が検出された場合は(S200:YES)、電力切替スイッチ15およびデータ切替スイッチ16を切り替えて、検出線11を外部と通信する為のアンテナとして機能させるようにする(S210)。一方、ループアンテナ13の断線が検出されなかった場合は(S200:NO)、S200に戻る。
【0053】
次に、故障診断装置5から電力チャージのための電波を受け取ったか否か判定する(S220)。この結果、電力チャージのための電波を受け取った場合は(S220:YES)、質問信号を受信し(S230)、それに対応してループアンテナ13の断線情報を含んだ応答信号を故障診断装置5に送信する(S240)。一方、故障診断装置5から電力チャージのための電波を受け取っていない場合は(S220:NO)、S220に戻る。
【0054】
以上説明したように、本第2実施形態では、検出線11をアンテナ線で構成し、ループアンテナ13が断線して車輪側の受信機2と通信不可能となった場合には、検出線11をアンテナとして使用するようになっている。こうすることで、ループアンテナ13が断線した場合でも、外部と通信可能になる。
【0055】
さらに、本第2実施形態では、検出機1と通信可能な故障診断装置5を用い、ループアンテナ13の断線情報を応答信号として故障診断装置5に送信するようになっている。これにより、ループアンテナ13の断線を外部から検出することができ、検出機1の故障要因を特定することが可能となる。
【0056】
また、本第2実施形態では、検出線11をタイヤ4の幅方向のほぼ全域に配置している。これにより、タイヤ4の偏摩耗を検出することも可能となる。
【0057】
(他の実施形態)
なお、上記第1実施形態の検出線11をアンテナ線で構成し、ループアンテナ13が断線した際に、外部と通信を行うためのアンテナとして機能させるようにしてもよい。また、上記第1実施形態の構成で、上記第2実施形態で説明した故障診断装置5を用いてもよい。これにより、上記第2実施形態と同様の効果が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の検出機が設けられたタイヤの断面図である。
【図3】第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの検出機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの受信機の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態におけるタイヤ摩耗状態監視システムのトランスポンダのマイクロコンピュータがROMに格納されたプログラムに従って行う処理内容を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の検出機が設けられたタイヤの断面図である。
【図7】第2実施形態のタイヤ摩耗状態監視システムの検出機の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態の故障診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態におけるタイヤ摩耗状態監視システムのトランスポンダのマイクロコンピュータがROMに格納されたプログラムに従って行う処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1…検出機(タイヤ摩耗検出機)、11…検出線、121…チャージ部、122a…車輪側送受信手段、122b…車輪側制御部、13…ループアンテナ(メインアンテナ)、14…断線検出部(切断検知手段)、15…電力切替スイッチ(アンテナ切替手段)、16…データ切替スイッチ(アンテナ切替手段)、2…受信機(摩耗診断装置)、4…タイヤ、5…故障診断装置(摩耗診断装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(4)内に配置され、前記タイヤ(4)のトレッド内で、前記タイヤ(4)の回転方向に直交する方向における異なる位置に設けられた複数の検出線(11)と、
前記検出線(11)の切断状態を検出して信号処理する車輪側制御部(122b)と、
前記車輪側制御部(122b)にて処理された前記検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を摩耗診断装置(2、5)に送信するとともに、電力チャージ用の電波を前記摩耗診断装置(2、5)から受信する車輪側送受信手段(122a)と、
前記電力チャージ用の電波を受けて電力チャージを行うチャージ部(121)とを備えることを特徴とするタイヤ摩耗検出機。
【請求項2】
タイヤ(4)内に配置され、前記タイヤ(4)のトレッド内で前記タイヤ(4)の回転方向に直交する方向における異なる位置に設けられた複数の検出線(11)と、前記検出線(11)の切断状態を検出して信号処理する車輪側制御部(122b)と、前記車輪側制御部(122b)にて処理された検出信号の送信を行うとともに電力チャージ用の電波の受信を行う車輪側送受信手段(122a)と、前記電力チャージ用の電波を受けて電力チャージを行うチャージ部(121)とを有するタイヤ摩耗検出機(1)と、
前記タイヤ摩耗検出機(1)との間で通信可能な摩耗診断装置(2、5)とを備え、
前記タイヤ摩耗検出機(1)は、前記検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を前記摩耗診断装置(2、5)に送信し、
前記摩耗診断装置(2、5)は、前記タイヤ摩耗検出機(1)から送信された前記切断状態情報に基づいて前記タイヤ(4)の摩耗状態を診断することを特徴とするタイヤ摩耗状態監視システム。
【請求項3】
タイヤ(4)内に配置され、前記タイヤ(4)のトレッド内で、前記タイヤ(4)の回転方向に直交する方向に広がるように設けられた検出線(11)と、
前記検出線(11)の切断状態を検出して信号処理する車輪側制御部(122b)と、
前記車輪側制御部(122b)にて処理された前記検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を摩耗診断装置(2、5)に送信するとともに、電力チャージ用の電波を前記摩耗診断装置(2、5)から受信する車輪側送受信手段(122a)と、
前記電力チャージ用の電波を受けて電力チャージを行うチャージ部(121)と、
前記摩耗診断装置(2、5)との間の電波の送受信を行うためのメインアンテナ(13)と、
前記メインアンテナ(13)の切断を検知する切断検知手段(14)と、
前記切断検知手段(14)により前記メインアンテナ(13)の切断が検知された場合に、前記メインアンテナ(13)に代えて、前記検出線(11)を前記摩耗診断装置(2、5)との間の電波の送受信を行うアンテナとして用いるアンテナ切替手段(15、16)とを備えることを特徴とするタイヤ摩耗検出機。
【請求項4】
タイヤ(4)内に配置され、前記タイヤ(4)のトレッド内で、前記タイヤ(4)の回転方向に直交する方向に広がるように設けられた検出線(11)と、前記検出線(11)の切断状態を検出して信号処理する車輪側制御部(122b)と、前記車輪側制御部(122b)にて処理された検出信号の送信を行うとともに電力チャージ用の電波の受信を行う車輪側送受信手段(122a)と、前記電力チャージ用の電波を受けて電力チャージを行うチャージ部(121)と、情報の送受信を行うメインアンテナ(13)とを有するタイヤ摩耗検出機(1)と、
前記タイヤ摩耗検出機(1)との間で通信可能な摩耗診断装置(2、5)とを備え、
前記タイヤ摩耗検出機(1)は、前記検出線(11)の切断あるいは非切断状態を表す切断状態情報を前記摩耗診断装置(2、5)に送信し、
前記摩耗診断装置(2)は、前記タイヤ摩耗検出機(1)から送信された前記切断状態情報に基づいて前記タイヤ(4)の摩耗状態を診断するタイヤ摩耗状態監視システムであって、
前記タイヤ摩耗検出機(1)は、前記メインアンテナ(13)の切断を検知する切断検知手段(14)と、前記切断検知手段(14)により前記メインアンテナ(13)の切断が検知された場合に、前記メインアンテナ(13)に代えて、前記検出線(11)を前記摩耗診断装置(2、5)との間の電波の送受信を行うアンテナとして用いるアンテナ切替手段(15、16)とを備えることを特徴とするタイヤ摩耗状態監視システム。
【請求項5】
前記メインアンテナ(13)が切断された場合に、前記タイヤ摩耗検出機(1)は、前記タイヤ摩耗検出機(1)と通信可能な故障診断装置(2、5)に前記メインアンテナ(13)の断線情報を送信し、
前記故障診断装置(2、5)は、前記メインアンテナ(13)の断線情報を受信することにより前記メインアンテナ(13)の断線状態を診断することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ摩耗状態監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−113835(P2006−113835A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300948(P2004−300948)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】