説明

タイヤ構造体

【課題】 古タイヤを用いて防舷材等に用いるタイヤ構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】 古タイヤを互にサイド部を接するように積み重ね、各々隣接するタイヤのビート部とビート部とを挟持するように固定板を設け、そしてタイヤ筒状体の筒状中空部内にタイヤ筒状体形状補強体を設け、該タイヤ筒状体形状補強体内に緩衝材を設け、さらに複数個のタイヤからなるストッパータイヤをタイヤ筒状体の両端部に設け、前記緩衝材を貫通する連結具によってストッパータイヤを緊縮固定するタイヤ構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防舷材等に使用するためのタイヤ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用済みの古タイヤは、その処分が大きな社会問題となっている。一部の古タイヤは、チップ状にして再利用されている。また弾力性のある輪状体をその側面を互いに接触させてまたは多少の間隔をあけて複数箇所配列して形成した筒状集合体、および該筒状集合体の長手方向の筒状空所内に挿入した該筒状空所の内径とほぼ一致する外形を有する連続した別の筒状体または棒状体を備えている緩衝材が知られている(特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特許第3364756号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記緩衝材は、輪状体のバラケが抑制され、衝撃吸収・緩衝作用を有しているが、本発明者はさらに輪状体のバラケ、衝撃吸収・緩衝作用の大きいタイヤ構造体について種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、タイヤを互いにサイド部が接するように積み重ね、その積み重ねられた各々隣接するタイヤのビート部とボート部とを挾持するように固定板を複数箇所に設けて固定することのよってタイヤ筒状体を形成させ、該タイヤ筒状体に形成された、筒状中空部を構成するタイヤのビードトー部に接するようにタイヤ筒状体形状補強体を設け、該タイヤ筒状体形成補強体の中空筒状部内に連結具の挿通する穴を有する緩衝材を設け、さらにストッパータイヤの断面形状がU字状溝部に該タイヤより小さい口径のタイヤを嵌入させて構成した係止用タイヤを、その係止用タイヤのクラウン部を前記筒状体のサイド部に接するように設け、そして該係止用タイヤの中空部と緩衝材の穴に連結具を通して緊縮固定することを特徴とするタイヤ構造体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のタイヤ構造体は、強い衝撃等によってもタイヤ筒状体が破損することがない。またタイヤ筒状体の固定板が上下交互に固定されている場合には外部からの衝撃にも非線形支持により幅広い変形に耐えることができる。さらに形状補強体を設けることによって該補強体が境界壁となり、タイヤ筒状体の形状を維持すると共に特に緩衝材にドーナツ状の形状のものを連接した芋虫状形状のものを用いた場合好適に形状を保持することができる。従って本発明の構造体は、衝撃吸収・緩衝作用が従来品に比べて極めて大きい利点を有する。従って本発明のタイヤ構造体は、防弦材、道路等に設置するショックアブソーバー、ブイ、テトラポオトの代替品、漁礁等の種々の用途に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明のタイヤ構造体について図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の説明のみに限定されるものではない。
本発明のタイヤ構造体Tは、図1に示すようにタイヤTnを互いにサイド部1が接するように任意の本数積み重ねる。積み重ねられたタイヤTnは、その積み重ねた状態を維持するために、図2に示すように、まずタイヤT1とタイヤT2とのサイド部1が接する箇所の両ビート部を、挾持するように固定板3を設け、該固定板3をボルトナット4等を用いて固定する。そしてこの固定板3、3′、3″を用いて固定する箇所は、少なくとも2箇所設けることが好ましい。例えば等間隔に3箇所(3、3′、3″)で固定すると強固に固定することができるので好ましい(図3参照)。
また一個の固定板3を固定する場合一つの固定板を2点以上で固定することが好ましい。
【0008】
前記したようにタイヤT1とタイヤT2とのビート部2を固定したら、次いでタイヤT2とタイヤT3のサイド部1が接している部分の両リード部2を挾持するように固定板5を設け、前記と同様にしてボルトナット等で固定板5、5′、5″を固定する。この時に図3に示すようにタイヤT1とタイヤT2とを固定した位置より垂直方向位置において偏位した位置に固定板5、5′、5″を設けることが好ましい(図3参照)。
【0009】
このようにしてタイヤT3とタイヤT4とのサイド部が接するタイヤT3とタイヤT4とのサイド部、タイヤT4とタイヤT5が接するタイヤT4とタイヤT5とのサイド部、タイヤT5とタイヤT6が接するタイヤT5とタイヤT6とのサイド部のそれぞれ接する部分の両ビート部を前記と同様にして固定板5を用いて挾持固定する。
このように積み重ねられたタイヤTnを固定板5によって固定することによって筒状中空部6を有するタイヤ筒状体が形成される。
【0010】
タイヤ筒状体を構成するタイヤとしては、ニューマチックタイヤ、チューブレスタイヤが用いられる。またタイヤのサイズもタイヤ構造体の使用目的によって種々のサイズのものが使用できる。
【0011】
各タイヤのビート部を挾持する固定板の形状は、特に限定されるものではなく、例えば金属、硬質プラシチック等の素材を用いる場合は予め略U字形の形状に構成したものが好ましい。またゴムシート等の可撓性を有する素材の場合は、所望の大きさに成形したシートを二つのタイヤのビート部を挾持するように折り曲げてボルトナット等で固定すればよい。
【0012】
図4は6本タイヤを用いて構成したタイヤ筒状体を用いた場合の本発明のタイヤ構造体を示す図である。
タイヤ筒状体には該タイヤ筒状体の筒状中空部6にタイヤ筒状体形状補強体7を設ける。このタイヤ筒状体形状補強体7は筒状中空部6に挿入できるものであればどのような形状のものでもよい。例えば円筒状体、あるいはゴムのような可撓性を有するシート(例えばベルトコンベア用ベルト)を丸めて筒状中空部6に挿入することによってその反発力によってタイヤ筒状体を構成するビートトー部に接するように円筒状のタイヤ筒状体形状補強体7を形成させてもよい。また略半円形を形成するようなゴムシート(板)を2枚用いてタイヤ筒状体形状補強体7を形成させてもよい。
【0013】
中空部を有するタイヤ筒状体形状補強体7にはその中空部に連結具8を挿通する穴9を有する緩衝材10をタイヤ筒状体の少なくとも両端部からはみ出さないような状態で設ける。好ましくは両端部よりやや内側に収まる状体で設けることが最適である。
緩衝材10としてはソリッドタイヤ、あるいはドーナツ状の発泡樹脂体、浮輪等が挙げられ、またゴムシートを渦巻状に巻いて筒状中空部に挿入することによって、タイヤ筒状体形状補強体と緩衝材とを併備したもの等が、目的によって使い分けることができる。
【0014】
またタイヤ筒状体の両端部のサイド部には、図4に示すようにサイド部面を合わせて一体としたストッパータイヤ11,11′(図4では2本使用した場合を図示した)のU字状溝の内部に、該ストッパータイヤ11、11′より口径の小さいタイヤ12、12′を挿入し、そしてこのようにして構成した該ストッパータイヤ11、11′のクラウン部をタイヤ筒状体のサイド部面に接するように配置する。連結具を緩衝材10の穴9を通し、前記ストッパータイヤと、口径の小さいタイヤの中空部を通して緊縮固定する。また他の態様として図5に示すように緩衝材に通す部分の連結具を一本にしてもよい。
本発明のタイヤ構造体は、設置する場合に便利なようにストッパータイヤ近傍に位置する連結具に系止具(例えばシャックル等)13を設けることが好ましい。図6は本発明のタイヤ構造体を岸壁に防弦材として設置した場合の状態図である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】タイヤ筒状体の斜視図
【図2】タイヤとタイヤのビート部を固定板で固定した状態を示した断面図
【図3】タイヤに設ける固定板を固定する位置を示したタイヤ筒状体の平面図
【図4】タイヤ構造体の断面図
【図5】他のタイヤ構造体の態様を示すタイヤ構造体の断面図
【図6】本発明のタイヤ構造体を岸壁に防弦体として設置した状態を示す側面図
【符号の説明】
【0016】
1・・・サイド部
2・・・リード部
3・・・固定板
5・・・固定板
6・・・筒状中空部
7・・・タイヤ筒状体形状補強体
8・・・連結具
9・・・穴
10・・緩衝材
11・・ストッパータイヤ
12・・タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを互いにサイド部が接するように積み重ね、その積み重ねられた各々隣接するタイヤのビート部とビート部とを挾持するように固定板を複数箇所に設けて固定することによってタイヤ筒状体を形成させ、該タイヤ筒状体に形成された、筒状中空部を構成するタイヤのビードトー部に接するようにタイヤ筒状体形状補強体を設け、該タイヤ筒状体形成補強体の中空筒状部内に連結具の挿通する穴を有する緩衝材を設け、さらにストッパータイヤの断面形状がU字状溝部に該タイヤより小さい口径のタイヤを嵌入させて構成した係止用タイヤを、その係止用タイヤのクラウン部を前記筒状体のサイド部に接するように設け、そして該係止用タイヤの中空部と緩衝材の穴に連結具を通して緊縮固定することを特徴とするタイヤ構造体。
【請求項2】
固定板の固定箇所を垂直方向位置において、互いに隣接する固定板の固定位置と異なる位置に設けてなる請求項1記載のタイヤ構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−297891(P2007−297891A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147420(P2006−147420)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000229162)日本ソリッド株式会社 (39)
【Fターム(参考)】