説明

タイヤ

【課題】本発明は、ゴム成分と充填材であるシリカとの相互作用に優れた変性共役ジエン系重合体及び特定の構造を有するシランカップリング剤を含むことでシリカのゴム成分中への分散を改良し、低発熱性及び耐摩耗性が改良されたゴム組成物をトレッドに用いた上記性能を有する優れたタイヤを提供すること。
【解決手段】(A)求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体の該活性末端に、下記一般式(1)


で表される変性剤を反応させて得られた、変性共役ジエン系重合体(A)を10質量部以上含むゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して、(B)シリカ20〜150質量部を含み、かつ(C)特定な構造を有するシランカップリング剤の少なくとも一種を、前記(B)成分のシリカに対して1〜25質量%の割合で含むことを特徴とするゴム組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関し、さらに詳しくは、ゴム成分と充填材であるシリカとの相互作用に優れた変性共役ジエン系重合体及び特定の構造を有するシランカップリング剤を含むことでシリカのゴム成分中への分散を改良し、低発熱性及び耐摩耗性が改良されたゴム組成物をトレッドに用いた上記性能を有するタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム用補強充填剤としては、カーボンブラックが多用されている。これは、カーボンブラックが他の充填剤に比べて、高い補強性と優れた耐摩耗性を付与し得るからである。一方、近年の省エネルギーの社会的な要請に伴い、自動車の燃料消費節約を目的として、タイヤ用ゴムの低発熱化を図る場合、カーボンブラックの充填量の減量、あるいは大粒径のカーボンブラックの使用が考えられるが、いずれの場合も、補強性,耐摩耗性,湿潤路面でのグリップ性が低下するのを免れないことが知られている。
一方、低発熱性と湿潤路面でのグリップ性を両立させる充填剤として、湿式シリカが知られているが(例えば、特許文献1〜4参照)、この湿式シリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、ゴムへの分散が悪くなるために耐摩耗性の低下をまぬがれず、ゴム中へのシリカの分散を良くするためには混練時間を長くする必要がある。
【0003】
これらの欠点を改良するために、シランカップリング剤が開発されている(特許文献5〜7参照)。しかしながらシリカとシランカップリング剤の組み合わせのみでは、低発熱性と耐摩耗性を高度に両立させるためには未だ不十分である。したがって市場の要求性能を満足するためには、さらなる検討が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−248116号公報
【特許文献2】特開平7−70369号公報
【特許文献3】特開平8−245838号公報
【特許文献4】特開平3−252431号公報
【特許文献5】WO2004/000930パンフレット
【特許文献6】特開2006−169538号公報
【特許文献7】特表2004−525230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、タイヤに関し、さらに詳しくは、ゴム成分と充填材であるシリカとの相互作用に優れた変性共役ジエン系重合体及び特定の構造を有するシランカップリング剤を含み、低発熱性及び耐摩耗性が改良されたゴム組成物を特にトレッドに用いた上記性能を有する優れたタイヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ゴム成分として特定の構造を有する変性剤で変性された共役ジエン系ゴムを特定量含むと共に充填材としてシリカ、及び特定の構造を有するシランカップリング剤を含むゴム組成物を特にトレッドに用いたタイヤが上記目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1] (A)求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体の該活性末端に、下記一般式(1)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、A1は炭素数2以上のヒドロカルビルオキシ基、A2は加水分解性官能基、R1は炭化水素基、R2は二価の炭化水素基を示し、Xは飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基、(チオ)エポキシ基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を示す。A1及びA2は同一でも異なっていてもよい。]で表される変性剤を反応させて得られた、変性共役ジエン系重合を10質量部以上含むゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して、(B)シリカ20〜150質量部を含み、かつ(C)下記一般式(2)〜(6)で表されるシランカップリング剤の少なくとも一種を、前記(B)成分のシリカに対して1〜25質量%の割合で含むことを特徴とするゴム組成物を用いたタイヤ、
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、R3は−Cl、−Br、R8O−、R8C(=O)O−、R89C=NO−、R88N−又は−(OSiR89m(OSiR789)(ただし、R8及びR9は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)、R4はR3、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R5はR3、R4又は−[O(R10O)a0.5−基(ただし、R10は炭素数1〜18のアルキレン基、aは1〜4の整数である。)、R6は炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R7 は炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。]
【0011】
【化3】

【0012】
[式中R11は炭素数1〜20の直鎖もしくは、分岐、環状のアルキル基であり、Gはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、Zaはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、[−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−] 0.5から選ばれる基であり、Zbはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、 [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、Zcはそれぞれ独立して−Cl、−Br、−OR12、R12C(=O)O−、R1213C=NO−、R1213N−,R12−,HO−G−O−で表される官能基であり、R,Gは上記表記と一致する。m、n、u、v、wはそれぞれ独立して1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、かつ1/2u+v+2w=2又は3である。
A部が複数である場合、複数のA部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、Bが複数である場合、複数のB部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。]
【0013】
【化4】

【0014】
[式中R14及びR15はそれぞれ炭素数1〜4の炭化水素基、R16は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、qは0〜2の整数、rは平均値として1以上4未満、R17は(a):(S−R18−S)、(b):(R19−Sd−R20)及び(c):(R21−Sg−R22−Sh−R23)のいずれかに記載される二価の官能基であり、R18〜R23は直鎖状又は分岐を有する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む2価の有機基であって、R18〜R23はそれぞれ同一でも異なってもよく、d、g、hはそれぞれ平均値として1以上4未満である。]
【0015】
【化5】

【0016】
[式中、R24はメチル基またはエチル基、R25はメトキシ基、はエトキシ基または−O−(Y−O)m−Xであり、Yは分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、二価の炭化水素基であり、XはC1〜C9−アルキル基であり、mは1〜40であり、R26はメチル基、エチル基またはR25であり、R27は分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族の混合した二価のC1〜C12炭化水素基である。]
【0017】
【化6】

【0018】
[式中、R28は同一でも異なっていてもよく、各々直鎖または分岐の、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基および直鎖または分岐の、2〜8個の炭素原子を持つアルコキシアルキル基からなる群から選択される一価の炭化水素基を表し、R29およびR30は同一でも異なっていてもよく、各々直鎖または分岐の、1〜6個の炭素原子を持つアルキル基およびフェニル基からなる群から選択される、一価の炭化水素基を表し、tは3〜5なる範囲の整数または分数である。]
[2] 一般式(1)で表される変性剤において、A1は炭素数2〜18のヒドロカルビルオキシ基、A2は炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基又はハロゲン原子、R1は炭素数1〜18の炭化水素基、R2は炭素数1〜20の二価の炭化水素基である、上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[3] 一般式(1)で表される変性剤において、A2が炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基である上記[1]又は[2]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[4] 一般式(1)におけるR2が、炭素数2〜10のアルカンジイル基である、上記[2]又は[3]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[5] 一般式(1)におけるA1がエトキシ基である、上記[2]〜[4]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[6] 一般式(1)におけるR1がメチル基である、上記[2]〜[5]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[7] 一般式(1)において、Xにおける不飽和環状3級アミン化合物残基が、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基、オキサゾール残基又はピリジル基である上記[2]〜[6]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[8] 一般式(1)におけるXが、ケチミン残基、飽和環状3級アミン化合物残基、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基、ピリジル基、ニトリル基、イソシアネート基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも1種の含窒素官能基を有する一価の基である、上記[7]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[9] 含窒素官能基が、飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも1種である、上記[8]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[10] 求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体が、C−Li又はN−Liを含む有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させて得られたものである上記[1]〜[9]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[11] 共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である上記[10]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[12] 芳香族ビニル化合物がスチレンである上記[10]又は[11]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[13] 前記(C)成分のシリカと結合することのできる官能基がアルコキシシラン基であ上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[14] 前記一般式(3)で表される(C)成分が、化学式(7)、
【0019】
【化7】

【0020】
化学式(8)、及び
【0021】
【化8】

【0022】
化学式(9)
【0023】
【化9】

【0024】
[式中Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基である。]で表されるシランカップリング剤である上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[15] 前記一般式(4)におけるrが1である上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[16] 前記一般式(4)のR17における(a),(b)及び(c)中のg、d、hが平均値として2以上3以下である上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[17] 前記一般式(4)におけるR17が、(c):R21−Sd−R22−Sh−R23であり、かつR21、R22及びR23がヘキシレン基である上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[18] 前記一般式(5)における(C)成分が、一般式(5)のオリゴマー化されたまたは重合されたオルガノシランを含有する上記[1]ゴム組成物を用いたタイヤ、
[19] 前記一般式(5)における(C)成分が、ジメチルエトキシシリルプロピルメルカプタン、メチルジエトキシシリルプロピルメルカプタン、ジエチルエトキシシリルプロピルメルカプタン、エチルジエトキシシリルプロピルメルカプタン、ジメチルメトキシシリルプロピルメルカプタン、メチルジメトキシシリルプロピルメルカプタン、ジエチルメトキシシリルプロピルメルカプタン及びエチルジメトキシシリルプロピルメルカプタンである上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[20] 前記一般式(6)におけるR1がメチル、エチル、n-プロピルおよびイソプロピル基からなる群から選択され、R2およびR3がメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ヘキシルおよびフェニル基からなる群から選択される、上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[21] 前記一般式(6)における(C)成分が下記一般式(10)、
【0025】
【化10】

【0026】
[式中tは3〜5の範囲を示す。]で表されるビス‐モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィド(MESPT)である上記[20]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[22] 総充填材量に対するシリカの量が、質量比で20質量%以上である上記[1]〜[21]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[23] 補強用充填剤としてカーボンブラックをゴム成分100質量部に対して10質量部以上含有し、カーボンブラックとシリカとの総配合量が40〜160質量部の範囲である請求項1〜22のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ、及び
[24] 上記[1]〜[23]いずれかのゴム組成物をトレッド部材として使用するタイヤ、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、タイヤに用いられるシリカ含有ゴム組成物において、変性剤として、ケイ素原子に直接結合するヒドロカルビルオキシ基を2つ有し、かつ同一分子内に特定の官能基を有する二官能ヒドロカルビルオキシシラン誘導体を用いて得られた、変性共役ジエン系重合体をゴム成分中に10質量部以上含み、さらに特定の構造を有するシランカップリング剤をシリカに対して1〜25質量%の割合で含むことによってシリカに対して優れた相互作用を示し両性能が高度にバランスした、低発熱性、耐摩耗性に優れたゴム組成物をトレッドに用いた上記性能を有するタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、本発明のタイヤに係わるゴム組成物に用いられる共役ジエン系重合体について説明する。
[(A)変性共役ジエン系重合体]
本発明のタイヤに係わるゴム組成物に用いられる(A)変性共役ジエン系重合体は、求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体の該活性末端に、変性剤として、前記一般式(1)で表されるシラン化合物及び/又はその部分縮合物を反応させて変性反応を行うことで得ることができる。
【0029】
(活性末端を有する共役ジエン系重合体)
本発明において用いられる求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体は、ジエン系モノマーを単独で、又は他のモノマーと共重合して得られるものであり、その製造方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
また、共役ジエン系重合体の分子中に存在する活性部位の金属はアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種であることが好ましく、アルカリ金属が好ましく、特にリチウム金属が好ましい。
【0030】
上記溶液重合法においては、例えば有機アルカリ金属化合物、特にリチウム化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。
さらには、ハロゲン含有モノマーを混在させ、ポリマー中のハロゲン原子を有機金属化合物によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位及びパラブロモメチルスチレン単位を含む共重合体の臭素部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。
【0031】
上記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロへキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
【0032】
さらに、単量体として共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、それぞれ1,3−ブタジエン及びスチレンの使用が、単量体の入手の容易さなどの実用性面、及びアニオン重合特性がリビング性などの点で優れることなどから、特に好適である。
また、溶液重合法を用いた場合には、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は0〜55質量%の範囲が好ましい。
【0033】
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
【0034】
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物などが挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
【0035】
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
【0036】
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
【0037】
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
【0038】
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加など、あるいは共役ジエン化合物−芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエンースチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイサーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタンなどのエーテル類及び三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−tert−アミレート、カリウム−tert−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−tert−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
【0040】
これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
【0041】
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
【0042】
この重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体など、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などの反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
得られる共役ジエン系重合体の示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は−95℃〜−15℃であることが好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑え、取り扱いが容易な共役ジエン系重合体を得ることができる。
【0043】
(変性剤)
本発明に用いられる(A)変性共役ジエン系重合体の製造方法においては、前記のようにして得られた求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体の該活性末端に、変性剤として、一般式(1)
【0044】
【化11】

【0045】
で表されるシラン化合物及び/又はその部分縮合物を反応させる。
前記一般式(1)において、A1は炭素数2以上のヒドロカルビルオキシ基、A2は加水分解性官能基、R1は炭化水素基、R2は二価の炭化水素基を示し、Xは、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基、(チオ)エポキシ基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を示す。A1及びA2は同一でも異なっていてもよい。
具体的には、A1としては炭素数2〜18のヒドロカルビルオキシ基(ヒドロカルビロキシ基ともいう。)、R1としては、炭素数1〜18の炭化水素基、R2としては、炭素数1〜20の二価の炭化水素基が挙げられる。
【0046】
前記A1で表される炭素数2〜18のヒドロカルビルオキシ基としては、炭素数2〜18のアルコキシ基若しくはアルケニロキシ基、炭素数6〜18のアリーロキシ基、炭素数7〜18のアラルキロキシ基等が挙げられるが、これらの中で、良好な反応性を有する観点から、炭素数2〜10のアルコキシ基が好ましい。このアルコキシ基を構成するアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。このようなアルコキシ基としては、例えばエトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ペントキシ基、各種ヘキソキシ基、各種ヘプトキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、シクロペチロキシ基、シクロヘキシロキシ基などを挙げることができ、これらの中で、反応性の観点から、炭素数2〜6のアルコキシ基が好ましく、特にエトキシ基が好ましい。
このA1がメトキシ基である場合、変性部位同士の縮合が生じやすく、その結果、導入された変性基が、充填材に対する相互作用を充分に発揮できず、本発明の目的が達せられにくい。
2は、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基又はハロゲン原子などが挙げられるが、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基が好ましい。
なお、A1及びA2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。
【0047】
前記R1で表される炭素数1〜18の炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基などが挙げられるが、これらの中で、変性剤の反応性や性能の観点から、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。このアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。これらの中で、変性剤の反応性や性能の観点から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
2で表される炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、変性剤の性能の観点から、炭素数1〜20のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜10のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がさらに好ましい。
炭素数2〜6のアルカンジイル基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,2−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基、各種ペンタンジイル基、各種ヘキサンジイル基などを挙げることができるが、これらの中で直鎖状のもの、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基などが挙げられ、特に1,3−プロパンジイル基が好ましい。
【0048】
前記Xのうちの飽和環状3級アミン化合物残基としては、例えばヘキサメチレンイミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ヘプタメチレンイミノ基、ドデカメチレンイミノ基などを挙げることができ、不飽和環状3級アミン化合物残基としては、例えばイミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基、オキサゾール残基、ピリジル基などを挙げることができる。
前記Xとしては、性能の観点から、ケチミン残基、飽和環状3級アミン化合物残基、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基、ピリジル基、ニトリル基、イソシアネート基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも1種の含窒素官能基を有する一価の基であることが好ましく、飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも1種を有する一価の基であることが、より好ましい。
前記Xで表される一価の基における官能基の中で、脱保護可能な保護された2級アミノ基としては、N−(トリメチルシリル)アミノ基などを挙げることができる。(チオ)イソシアネート基は、−NCO基、−NCS基である。
(チオ)エポキシ基を含む一価の基としては、例えばグリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、及びこれらの基におけるエポキシ環をチオエポキシ環に置き換えたものなどが挙げられる。
【0049】
本発明で用いる変性剤は、前記したように二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物である。ここで、部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiOR基の一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
また、本発明で用いる変性剤が、ケイ素原子に直接結合したヒドロカルビルオキシ基が1つである一官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物である場合、変性反応によってヒドロカルビルオキシ基が消費され、シリカなどの無機充填材に相互作用する変性基が導入されないため、本発明の目的が達せられない。
一方、ケイ素原子に直接結合するヒドロカルビルオキシ基が3つある三官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物である場合、変性剤1分子に複数の活性末端を有する共役ジエン系重合体が反応することにより、ジエン系重合体1分子当たりの高効率な変性末端の導入が達成できない。
本発明における変性反応においては、用いる活性末端を有する共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
【0050】
前記一般式(1)で表される二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばXがケチミン残基を有する場合、具体例として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン、N−[1−メチルプロピリデン)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン及びこれらのジエトキシ(メチル)シリル化合物に対応するジエトキシ(エチル)シリル化合物,ジプロポキシ(メチル)シリル化合物,ジプロポキシ(エチル)シリル化合物等を挙げることができるが、これらの中でも、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミンが好適である。
【0051】
前記一般式(1)で表される二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばXがイミダゾール残基又はジヒドロイミダゾール残基を有する場合、具体例として、1−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−イミダゾール、1−[3−[ジエトキシ(エチル)シリル]プロピル]−イミダゾール、1−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−イミダゾール、1−[3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]プロピル]−イミダゾール、1−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−[3−[ジエトキシ(エチル)シリル]プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−[3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾールなどを挙げることができるが、これらの中で1−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−イミダゾール、1−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−イミダゾール、1−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール及び1−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾールが好適である。
【0052】
前記一般式(1)で表される二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばXがピリジル基、又はニトリル基を有する場合、具体例として、2−[2−[ジエトキシ(メチル)シリル]エチル]−ピリジン、2−[2−[ジプロポキシ(メチル)シリル]エチル]−ピリジン、2−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、2−[3−[ジエトキシ(エチル)シリル]プロピル]−ピリジン、2−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、2−[3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]プロピル]−ピリジン、4−[2−[ジエトキシ(メチル)シリル]エチル]−ピリジン、4−[2−[ジプロポキシ(メチル)シリル]エチル]−ピリジン、4−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、4−[3−[ジエトキシ(エチル)シリル]プロピル]−ピリジン、4−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、4−[3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]プロピル]−ピリジンなどのピリジン化合物、1−シアノ−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−シアノ−3−[ジエトキシ(エチル)シリル]−プロパン、1−シアノ−3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−シアノ−3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]−プロパンなどのシアノ化合物を挙げることができる。これらの中で、2−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、2−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、4−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、4−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−ピリジン、1−シアノ−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン及び1−シアノ−3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパンが好適である。
【0053】
前記一般式(1)で表される二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばXが(チオ)イソシアナート基又はオキサゾール残基を有する場合、具体例として、1−イソシアナート3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−イソシアナート3−[ジエトキシ(エチル)シリル]−プロパン、1−イソシアナート3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−イソシアナート3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]−プロパンなどのイソシアナート化合物、上記イソシアナート化合物におけるイソシアナートをチオイソシアナートに置き換えたチオイソシアナート化合物、4−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−オキサゾール、4−[3−[ジエトキシ(エチル)シリル]プロピル]−オキサゾール、4−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−オキサゾール、4−[3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]プロピル]−オキサゾールなどのオキサゾール化合物などを挙げることができる。これらの中で、1−イソシアナート3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−イソシアナート3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパン、4−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−オキサゾール及び4−[3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]プロピル]−オキサゾールが好適である。
なお、本発明においては、オキサゾール残基はイソオキサゾール残基をも包含する。
【0054】
前記一般式(1)で表される二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばXが(チオ)エポキシ基を有する場合、具体例として、1−グリシドキシ−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−グリシドキシ−3−[ジエトキシ(エチル)シリル]−プロパン、1−グリシドキシ−3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−グリシドキシ−3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]−プロパン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−[ジエトキシ(エチル)シリル]−プロパン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−[ジプロポキシ(エチル)シリル]−プロパンなどのエポキシ化合物、及び上記エポキシ化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたチオエポキシ化合物などを挙げることができる。これらの中で、1−グリシドキシ−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−グリシドキシ−3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−プロパン及び1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−[ジプロポキシ(メチル)シリル]−プロパンが好適である。
【0055】
本発明において、求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体の該活性末端に反応させる、前記一般式(1)で表される二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物からなる変性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この変性剤による変性反応は、溶液反応で行うのが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。なお、変性剤の使用量は、共役ジエン系重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.25〜3.0molの範囲が好ましく、0.5〜1.5molの範囲が更に好ましい。
【0056】
(縮合促進剤)
本発明においては、前述の変性剤として用いる二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物が関与する縮合反応を促進するために、変性反応を行ったのち、必要に応じて縮合促進剤の存在下で縮合反応を行ってもよい。
この縮合促進剤としては、周期表の4族、13族、14族及び15族の少なくとも一つに属する元素の化合物が用いられる。
当該縮合促進剤としては、チタンの化合物、スズの化合物、ジルコニウムの化合物、ビスマスの化合物及びアルミニウムの化合物の中から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられ、より好ましくは、上記各元素のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩であり、さらに好ましくは、チタンのアルコキシド、チタンのカルボン酸塩、スズのカルボン酸塩、ビスマスのカルボン酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、ジルコニウムのカルボン酸塩、アルミニウムのアルコキシド及びアルミニウムのカルボン酸塩である。
【0057】
チタン化合物からなる縮合促進剤としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテネート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテネート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
【0058】
スズ化合物からなる縮合促進剤としては、例えば二価のスズのカルボン酸塩や、四価のジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩を好ましく挙げることができ、特にビス(2−エチルヘキサン酸)スズが好適である。
ビスマス化合物からなる縮合促進剤としては、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマスなどが挙げられる。これらの中で、トリス(2−エチルヘキサノエート)が好適である。
【0059】
ジルコニウム化合物からなる縮合促進剤としては、例えばテトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラtert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキソキシ)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテネート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウムなどが挙げられる。これらの中で、テトラn−プロポキシジルコニウム、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)が好適である。
【0060】
アルミニウム化合物からなる縮合促進剤としては、例えばトリエトキシアルミニウム、トリn−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルヘキソキシ)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテネート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウムなどを挙げられる。
これらの中でトリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が好適である。
【0061】
当該縮合促進剤の使用量としては、上記化合物のモル数が、反応系内に存在するケイ素原子に結合したヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を上記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
【0062】
本発明における縮合反応は、水の存在下で行うことが好ましく、縮合反応時の温度は85〜180℃が好ましく、さらに好ましくは100〜170℃、特に好ましくは110〜150℃である。
縮合反応時の温度を上記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン系重合体の経時変化によるポリマーの老化反応などによる品質の低下などを抑えることができる。
【0063】
縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を上記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
なお、変性剤として、保護された2級アミノ基を有する二官能ヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いた場合には、該保護アミノ基におけるシリル保護基を加水分解することによって遊離したイミノ基に変換することができる。これを脱溶媒処理することにより、2級アミノ基を有する乾燥したポリマーが得られる。なお、前記縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護2級アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
【0064】
本発明におけるゴム組成物に用いられる変性共役ジエン系重合体は、10℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。Tgが10℃以下であれば、転がり抵抗をより低減でき、低温時のゴム組成物の柔軟性を高めることができるからである。
本発明におけるゴム組成物に用いられる変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度の値を上記範囲にすることによって、混練り作業性および加硫後の機械的特性のすぐれたゴム組成物を得ることができる。
【0065】
[(B)シリカ]
次に、(B)成分のシリカについて説明する。
本発明におけるゴム組成物には、充填材の必須成分としてシリカを用いる。このシリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
この湿式シリカは、補強性、加工性、ウェットグリップ性、耐摩耗性のバランス等の面から、BET法による窒素吸着比表面積(N2SA)が140〜280m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。好適な湿式シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)製のAQ、VN3、LP、NA等、デグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:210m2/g)等が挙げられる。
【0066】
(その他の充填材)
充填材中、シリカ以外の充填材として、カーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材が用いられるが、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えばFEF、GPF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAF等が挙げられる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠する)は20〜160m2/gであることが好ましく、70〜160m2/gであることがより好ましい。また、好ましくはジブチルフタレート吸油量(DBP、JIS K 6217−4:2001に準拠する)が80〜170cm3/100gのカーボンブラックである。これらのカーボンブラックを用いることにより、諸物性、特に破壊特性の改良効果は大きくなる。好ましいカーボンブラックはHAF、N339、IISAF、ISAF、SAFである。
【0067】
シリカ以外の無機充填材としては、例えば、下記一般式(11)で表される化合物を挙げることができる。
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(11)
(式中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。尚、上記式において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。)
【0068】
上記式で表わされる無機充填材としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が使用できる。また、前記一般式(10)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
上記式で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。
【0069】
[(C)シランカップリング剤]
本発明に係わるゴム組成物において、(C)成分として前記無機充填剤と結合可能な元素もしくは官能基、及び保護されたメルカプト基を少なくとも含むシランカップリング剤が用いられる。保護されたメルカプト基を有することで、加硫工程以前の加工中に初期加硫(スコーチ)の発生を防止することができるため、加工性が良好になり、かつ、無機充填剤と結合可能な元素もしくは官能基を有しているため、無機充填剤の分散性が良好となる。この中でも、無機充填剤と結合可能な官能基としては、アルコキシシラン基であると、上記効果に優れているため好ましい。
【0070】
<一般式(2)で表されるシランカップリング剤>
上記一般式(2)で表されるシランカップリング剤としては、
【0071】
【化12】

【0072】
[式中、R3は−Cl、−Br、R8O−、R8C(=O)O−、R89C=NO−、R88N−又は−(OSiR89m(OSiR789)(ただし、R8及びR9は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)、R4はR3、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R5はR3、R4又は−[O(R10O)a0.5−基(ただし、R10は炭素数1〜18のアルキレン基、aは1〜4の整数である。)、R6は炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R7 は炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。]で表されるシランカップリング剤が用いられる。
前記一般式(2)において、炭素数1〜18の一価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、前記アリール基及びアラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。これらの一価の炭化水素基の具体例としては、その例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0073】
前記一般式(2)において、R10で表される炭素数1〜18のアルキレン基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
また、R6で表される炭素数1〜18の二価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。
このR6としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を好ましく挙げることができる。
【0074】
前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤の例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
本発明に係わるゴム組成物においては、(C)成分として、このようなシランカップリング剤を用いることにより、ゴム加工時の作業性に優れると共に、ウェット制動性及び耐摩耗性の良好な空気入りタイヤを与えることができる。
【0075】
<一般式(3)で表されるシランカップリング剤>
本発明に係わるゴム組成物において、さらに、(C)成分としては、一般式(3)
【0076】
【化13】

【0077】
[式中R11は炭素数1〜20の直鎖もしくは、分岐、環状のアルキル基であり、Gはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、Zaはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、[−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−] 0.5から選ばれる基であり、Zbはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、 [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、Zcはそれぞれ独立して−Cl、−Br、−OR12、R12C(=O)O−、R1213C=NO−、R1213N−,R12−,HO−G−O−で表される官能基であり、R,Gは上記表記と一致する。m、n、u、v、wはそれぞれ独立して1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、かつ1/2u+v+2w=2又は3である。
A部が複数である場合、複数のA部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、Bが複数である場合、複数のB部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。] で表されるシランカップリング剤が用いられる。
【0078】
上記一般式(3)で得られるシランカップリング剤としては、以下の化学式(7)、
【0079】
【化14】

【0080】
化学式(8)、及び
【0081】
【化15】

【0082】
化学式(9)、
【0083】
【化16】

【0084】
[式中Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基である。]を挙げることができる。
【0085】
化学式(7)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Low−V Silane」、が挙げられる。
また、化学式(8)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Ultra Low−V Silane」、が挙げられる。
さらに、化学式(9)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標、「NXT-Z」として挙げることができる。
化学式(8)及び(9)で得られるシランカップリング剤はアルコキシシランのアルキル炭素数が多いため、揮発性化合物VOC(特にアルコール)の発生が少なく、作業環境上このましく特に化学式(9)のシランカップリング剤は低発熱性を得ることからさらに好ましい。
本発明においては、この(C)成分のシランカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、前記(B)成分の充填材中のシリカに対して、2〜25質量%の範囲で選定される。当該シランカップリング剤の配合量が上記範囲にあれば、前記本発明の効果が充分に発揮される。好ましい配合量は5〜15質量%の範囲である。
また、ゴム組成物中の当該シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果の観点から、1〜3質量%の範囲が好ましい。
さらに、当該シランカップリング剤はメルカプト基が保護されているため、脱保護を行ってポリマーをカップリングする必要があるためにDPG(ジフェニルグアニジン)などに代表されるプロトンドナーを脱保護化剤として最終混練工程に配合することが好ましい。その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
【0086】
<一般式(4)で表されるシランカップリング剤>
本発明に係わるゴム組成物において、さらに、(C)成分としては、一般式(4)
【0087】
【化17】

【0088】
[式中R14及びR15はそれぞれ炭素数1〜4の炭化水素基、R16は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、qは0〜2の整数、rは平均値として1以上4未満、R17は(a):(S−R18−S)、(b):(R19−Sd−R20)及び(c):(R21−Sg−R22−Sh−R23)のいずれかに記載される二価の官能基であり、R18〜R23は直鎖状又は分岐を有する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む2価の有機基であって、R18〜R23はそれぞれ同一でも異なってもよく、d、g、hはそれぞれ平均値として1以上4未満である。]で表されるシランカップリング剤が用いられる。
【0089】
本発明に用いられる(C)成分のシランカップリング剤は、分子の両末端にオルガノオキシシリル基を有し、分子中央部にスルフィド又はポリスルフィドを有する平均組成式(4)で表される硫黄含有シラン化合物である。
この一般式において、R14及びR15はそれぞれ炭素数1〜4の炭化水素基であって、例えば、メチル基,エチル基,n−プロピル基,i−プロピル基,n−ブチル基,i−ブチル基,t−ブチル基,ビニル基,アリル基,イソプロペニル基等が挙げられる。尚、R1とR2は同一でも異なってもよい。また、R16は炭素数1〜15の2価の炭化水素基であって、例えば、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,n−ブチレン基,i−ブチレン基,へキシレン基,デシレン基,フェニレン基,メチルフェニルエチレン基等が挙げられる。qは0〜2の整数を示し、mは平均値として1以上4未満である。rはその平均値がこの範囲内であればよく、rの異なる複数の硫黄含有シラン化合物の混合物であってもよい。後述する本発明の効果の観点から、rは平均値として1以上2未満であることが好ましく、さらにはrが1であることが最も好ましい。
一般式(4)のR17は次の(a):(S−R18−S)、(b):(R19−Sd−R20)及び(c):(R21−Sg−R22−Sh−R23)のいずれかに記載される二価の官能基である。本発明の効果の観点から、R17は上記(c):(R21−Sg−R22−Sh−R23)であることが好ましい。
【0090】
ここでR18〜R23は直鎖状又は分岐を有する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む2価の有機基であり、例えばメチレン基,エチレン基,プロピレン基,n−ブチレン基,i−ブチレン基,へキシレン基,デシレン基,フェニレン基,メチルフェニルエチレン基等及びこれらに硫黄及び酸素以外のヘテロ元素である窒素,リン等が導入された基などが挙げられる。尚、一般式(4)のR17の((a)〜(c)で表される官能基のいずれか)中のR18〜R23はそれぞれ同一でも異なってもよい。本発明の効果及び製造コストの観点から、一般式(4)のR4((a)〜(c)で表される官能基のいずれか)中のR18〜R23は、へキシレン基であることが好ましい。
また、R17は硫黄原子を含むことを必須とし、d,g,hは平均値として1以上4未満である。後述する本発明の効果の観点から、d,g,hはそれぞれ平均値として2以上4未満であることが好ましく、さらには2以上3以下であることが最も好ましい。
【0091】
シランカップリング剤として分子の両末端にオルガノオキシシリル基を有し、分子中央部にスルフィド又はポリスルフィドを有する特定の構造を有する硫黄含有シラン化合物をシリカに対して1〜25質量%の割合で配合することによってシリカの分散性の高いゴム組成物であって、タイヤのトレッド部材として使用した場合に、耐摩耗性が高く、転がり抵抗が低く、かつ湿潤路面の制動性向上したタイヤが得ることができる。
【0092】
<一般式(5)で表されるシランカップリング剤>
本発明係わるゴム組成物において、さらにまた、(C)成分として、一般式(5)
【0093】
【化18】

【0094】
[式中、R24はメチル基またはエチル基、R25はメトキシ基、はエトキシ基または−O−(Y−O)m−Xであり、Yは分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、二価の炭化水素基であり、XはC1〜C9−アルキル基であり、mは1〜40であり、R26はメチル基、エチル基またはR25であり、R27は分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族の混合した二価のC1〜C12炭化水素基である。]で表されるシランカップリング剤が用いられる。
【0095】
ゴム組成物として用いる場合はR24はメチル基またはエチル基、R25は−O−(Y−O)m−Xで表され、Yは分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、二価の炭化水素基であり、CH2,CH2CH2、CH2CH(CH3)またはCH(CH3)CH2が好ましい。
XはC1〜C9のアルキル基、好ましくはメチルまたはエチルであり、mは1〜40,好ましくはに2〜30、より好ましくは3〜25であり、4〜20、特に好ましく10〜20がもっとも好ましい。R26はメチル、エチル、メトキシ、エトキシまたはR25であり、R27は分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族の混合 した、二価のC1〜C12−炭化水素基である)で表されるオルガノシランを含有することができる。
27の好ましい例として、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2、CH2CH2CH2CH2、CH(CH3)、CH2CH(CH3)、CH(CH3)CH2、C(CH32、CH(C25)、CH2CH2CH(CH3)またはCH2CH(CH3)CH2を挙げることができる。
【0096】
一般式(5)で表される化合物として、ジメチルエトキシシリルプロピルメルカプタン、メチルジエトキシシリルプロピルメルカプタン、ジエチルエトキシシリルプロピルメルカプタン、エチルジエトキシシリルプロピルメルカプタン、ジメチルメトキシシリルプロピルメルカプタン、メチルジメトキシシリルプロピルメルカプタン、ジエチルメトキシシリルプロピルメルカプタン、エチルジメトキシシリルプロピルメルカプタン、(CH3O)(CH32Si−(CH22CH(CH3)−SHまたは(C23O)(CH32Si−(CH22CH(CH3)−SHを挙げることができる。市販品としてはDegussa社製、商品名「Si363」を挙げることができる。上記シランカップリング剤を用いることによって、加硫物の低発熱性、耐摩耗性が改良されたゴム組成物を得ることができる。
【0097】
<一般式(6)で表されるシランカップリング剤>
本発明に係わるゴム組成物において、さらに、(C)成分として、一般式(6)
【0098】
【化19】

【0099】
[式中、R28は同一でも異なっていてもよく、各々直鎖または分岐の、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基および直鎖または分岐の、2〜8個の炭素原子を持つアルコキシアルキル基からなる群から選択される一価の炭化水素基を表し、R29およびR30は同一でも異なっていてもよく、各々直鎖または分岐の、1〜6個の炭素原子を持つアルキル基およびフェニル基からなる群から選択される、一価の炭化水素基を表し、tは3〜5なる範囲の整数または分数である。]で表されるシランカップリング剤が用いられる。
従来より用いられているビス‐(アルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド等の多重硫化(polysulfurized)アルコキシシラン、中でも汎用されているビス-3-トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2(TESPTと略称することがある)Degussa社製、商品名[Si69]を挙げることができる。
しかしながらシリカとTESPTを主成分とするこれらエラストマー組成物は、カーボンブラックを充填した従来の組成物と比較して、実質的に極めて低い加硫速度を有し、長時間加硫が必要となる。しかしながら一般式(6)で表されるシランカップリング剤はカーボンブラックを主成分とする従来の組成物の硬化時間と実質的に同等な硬化時間を達成することができる。中でも下記一般式(10)、
【0100】
【化20】

【0101】
[式中tは3〜5の範囲を示す]で表される「ビス−モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィド」(MESPT省略することがある)が特に好ましい。
ここで、tは3〜5なる範囲、好ましくは3.5〜4.5なる範囲内である。
上記MESPTとゴム成分として変性ジエン系重合体とを組み合わせて使用することによって従来のTESPTを使用した場合と比較して、耐摩耗性を向上し、低い転がり抵抗(低燃費性)の優れたゴム組成物及び該ゴム組成物をトレッドに用いた耐摩耗性、低燃費性に優れた本発明のタイヤを得ることができる。
また、一般式(6)で表される好ましいシランカップリング剤として、下記一般式(12)、
【0102】
【化21】

及び下記一般式(13)
【0103】
【化22】

等をあげることができる。
【0104】
[ゴム組成物]
本発明に係わるゴム組成物は、前述の(A)変性共役ジエン系重合体を10質量部以上含むゴム成分100質量部に対して、(B)シリカ20〜150質量部及び前述の(C)シランカップリング剤を前記(B)成分のシリカに対して1〜25質量%の割合で含むことを特徴とする。
(ゴム成分)
本発明に用いられるゴム組成物は、ゴム成分として、上記(A)変性共役ジエン系重合体を少なくとも10質量部含むことが必要である。ゴム成分中の該変性共役ジエン系重合体のより好ましい含有量は30質量部以上であり、特に40質量部以上が好適である。ゴム成分中の変性共役ジエン系重合体を10質量部以上にすることによって、所望の物性を有するゴム組成物を得ることができる。
この変性共役ジエン系重合体は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、この変性共役ジエン系重合体と併用される他のゴム成分として、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、クロロブレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基をもつスチレンとイソブチレンとの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種90〜0質量部を含むことが好ましく、70〜0質量部を含むことがより好ましく、60〜0質量部を含むことが特に好ましい。
【0105】
(充填材)
本発明に用いられるゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して充填材として(B)シリカを20〜150質量部配合することが必要である。好ましくは、20〜120質量部、より好ましくは40〜110質量部である。シリカの配合量を上記範囲にすることによって、作業性の低下を抑制し、優れた低転がり抵抗性を得ることができる。
また、シリカの配合量としては、総充填材量に対するシリカの割合は20質量%以上が好ましい。より好ましくは30質量%以上である。上記配合割合にすることによって、転がり抵抗の低減を確保することができる。
【0106】
さらに、本発明に用いられるゴム組成物は、充填材としてカーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックは合計で、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上配合されることが好ましく、補強性とそれによる諸物性の改良効果の観点からカーボンブラックとシリカとの総配合量が40〜160質量部が好ましい。カーボンブラック及びシリカの量を上記範囲にすることによって混練作業性などの工場作業性に優れ、ゴム組成物として、所望の破壊特性,耐摩耗性を得ることができる。
尚、(A)成分,(B)成分及び(C)成分の詳細については前述の通りである。
【0107】
本発明に用いられるゴム組成物においては、ゴム成分として、分子活性部位にシリカとの親和性の高い官能基が導入された変性重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量は、通常の場合より低減することができる。好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、このましくは1〜25質量%の範囲で選定される。この量が1質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、25質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果およびゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、1〜20質量%,より好ましくは5〜15質量%の範囲である。
【0108】
(ゴム組成物の調製、用途)
本発明に用いられるゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、ゴム成分に通常の混練機、例えばバンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等を用いて、添加混合することができる。
本発明に用いられるゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常、ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
また、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行ない、各種ゴム製品に適用可能である。例えば、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、サイド補強ゴム、ビード部(特にビードフィラー)などのタイヤ用途に用いることができるが、特に、低発熱性、耐摩耗性に優れた、低燃費用タイヤ、大型タイヤ、高性能タイヤのトレッド用ゴムとして好適に使用される。
【0109】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前述したゴム組成物をタイヤ部材に用いたことを特徴とする。タイヤ部材としては、トレッド、ベーストレット、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーを好ましく挙げることができ、これらのいずれかに、前述のゴム組成物を用いることができるが、特にトレッドに用いることが好ましい。
本発明におけるゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、転がり抵抗が低く低燃費性、耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本発明のゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
なお、変性及び無変性スチレン−ブタジエンゴム(溶液SBR)のミクロ構造(結合ビニル含量、結合スチレン含量)、表1に示す各配合組成で得られたゴム組成物をトレッドに用いたタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)の転がり抵抗性(低RR)、耐摩耗性については、下記の方法により測定、評価した。
【0111】
(1)変性溶液SBRのミクロ構造
(1)−1.共役ジエン部分の結合ビニル含量(ジエン部分全体に対する%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
(1)−2.変性SBRの結合スチレン含量(ポリマー中の質量%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
【0112】
(2)タイヤ性能
(2)−1.転がり抵抗(RR)
スチール平面を有する外径1707.6mm、幅350mmの回転ドラムを用い、4500N(460kg)の荷重の作用下で、80km/hの速度で回転させ惰行法にて測定し評価した。測定値は比較例1の値を100として指数化した。この値が大きいほど転がり抵抗は良好(低燃費性)であることを示す。
(2)−2.耐摩耗性
タイヤサイズ:195/65R15のタイヤを用いて実車にて舗装路面を2万キロ走行後、残溝を測定し、トレッドが1mm摩耗するのに要した走行距離を相対比較し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示す。
【0113】
合成例1 変性剤Aの合成
乾燥し、窒素置換された300ミリリットルの耐圧ガラス容器に、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン1モル/リットルシクロヘキサン溶液を調製し、これと等モルとなるように、メチルリチウムの1モル/リットルジエチルエーテル溶液を滴下し、よく攪拌することにより、変性剤AとしてのN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミンの変性剤溶液(A)を調製した。
【0114】
合成例2 変性剤Bの合成
合成例1において、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンの代わりに、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−イミダゾールを用いた以外は、合成例1と同様にして、変性剤Bとして1−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−イミダゾールの変性剤溶液Bを調製した。
【0115】
製造実施例1
<活性末端を有するSBRの製造>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gとなるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.70mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(BuLi)0.70mmolを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合反応を行なった。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応工程>
次に、重合反応系に変性剤Aをリチウム(Li)対比等モルとなる量を加えて、更に50℃で30分間変性反応を行った。
<重合後処理>
次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液を加えて重合反応を停止させた。その後、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げて(スチームストリッピング)脱溶媒した後、真空乾燥して変性SBR Aを得た。得られた変性SBR Aの結合スチレン含量は21質量%及びブタジエン部分の結合ビニル含量は55%であった。
【0116】
製造実施例2
製造実施例1において、変性剤Aの代わりに、変性剤Bを用いた以外は、製造実施例1と同様にして、変性SBR Bを得た。得られた変性SBR Bの結合スチレン含量は20質量%及びブタジエン部分の結合ビニル含量は55%であった。
【0117】
無変性SBR
コントロールとして用いられる無変性SBRは製造実施例1の活性末端を有するSBRの製造によって得られたSBRを変性することなしに重合後処理を行って得られたSBRを用いた。
【0118】
一般式(4)で表されるシランカップリング剤の合成例1
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下ロートを備えた0.5リットルのセパラブルフラスコに、エタノール80g、無水硫化ソーダ5.46g(0.07モル)、硫黄2.24g(0.07モル)を仕込み、80℃に昇温した。この溶液を攪拌しながら、塩化プロピルトリエトキシシラン((CH3CH2O)3Si−(CH23−Cl)33.7g(0.14モル)及び1,6−ジクロロヘキサン(ClCH2−(CH24−CH2Cl)10.8g(0.07モル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間攪拌を続けた。攪拌終了後、冷却し、生成した塩を濾別した後、溶媒のエタノールを減圧蒸留した。
得られた溶液を赤外線吸収スペクトル分析(IR分析)、1H核磁気共鳴スペクトル分析(1H−NMR分析)及び超臨界クロマトグラフィー分析を行った結果、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−S−(CH26−S−S−(CH23−Si(OCH2CH33で表される化合物であることを確認した。すなわち、平均組成式(4)において、R1がエチル基、R3がn−プロピル基、R4がS−(CH26−S(一般式(a)に該当し、R5が(CH26である)、p=0及びm=1であった。このもののゲルパーミエーションクロマトグラフ分析(GPC分析)における純度は82.5%であった。
【0119】
実施例1〜10及び比較例1〜5
第1表に示す配合処方に従い、実施例1〜10及び比較例1〜5の各ゴム組成物を調製した。
それぞれのゴム組成物をトレッドに用いてタイヤを試作し(タイヤサイズ:195/65R15)転がり抵抗(低燃費性)及び体摩耗性を測定した。測定結果を第1表に示す。
【0120】
【表1】

「注」
*1.SBR1712[JSR社製]ゴム成分100質量部に対して37.5質量部の油で油展。油分18.75質量部含む
*2.無変性SBR:製造実施例1のSBRを変性すること無しに重合後処理を行ったSBRを用いた。
*3.変性SBR A:変性剤としてケイ素原子に直接結合するヒドロカルビルオキシ基を2つ有する「N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]−1−プロパンアミン」を用いた.
*4.変性SBR B:変性剤としてケイ素原子に直接結合するヒドロカルビルオキシ基を2つ有する「1−[3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル]−イミダゾール」を用いた。
*5.カーボンブラック:シーストKH(N339)[東海カーボン社製]
*6.シリカ:ニプシールAQ[東・ソーシリカ社製]
*7.シランカップリング剤:「Si69」[Degussa社製]
*8.NTXシラン:General Electric社製、商品名「NXTシラン」、化学名:3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン
*9.NXT Zシラン:Momentive Performance Materials社製、商標、「NXT-Z」
*10.シランカップリング剤:「Si363」[Degussa社製]
*11.一般式(4)で表されるシランカップリング剤の合成例1で得られたものを用いた。
*12.モノアルキルジエトキシシラン:化学名:ビス−モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィド
*13.老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*13.加硫促進剤DPG:ジフェニルガニジン
*14.加硫促進剤CZ:N-シクロヘキシル-2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*15.加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド
【0121】
第1表から次のようなことが分かる。
(A)成分の変性ジエン系重合体、(B)シリカ及び(C)一般式(2)〜(6)で表されるシランカップリング剤を特定量組み合わせた実施例1〜10は、比較例1〜5に比べて低燃費性及び耐摩耗性共に優れた結果が得られている。
特に,(A)成分,(B)成分とシランカップリング剤としてNXTシラン、NXT Zシラン及び一般式(4)で表される合成例1で得られたシランと組み合わせたものが、低燃費性及び耐磨耗性共にバランス良く改良されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、シリカ含有ゴム組成物において、変性剤として、ケイ素原子に直接結合するヒドロカルビルオキシ基を2つ有し、かつ同一分子内に特定の官能基を有する二官能ヒドロカルビルオキシシラン誘導体を用いて得られた、変性共役ジエン系重合体をゴム成分中に10質量部以上含み、さらに特定の構造を有するシランカップリング剤をシリカに対して1〜25質量%の割合で含むことによってシリカに対して優れた相互作用を示し両性能が高度にバランスした、低発熱性、耐摩耗性に優れたゴム組成物をトレッドに用いた上記性能を有するタイヤを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体の該活性末端に、下記一般式(1)
【化1】

[式中、A1は炭素数2以上のヒドロカルビルオキシ基、A2は加水分解性官能基、R1は炭化水素基、R2は二価の炭化水素基を示し、Xは飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基、(チオ)エポキシ基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を示す。A1及びA2は同一でも異なっていてもよい。]で表される変性剤を反応させて得られた、変性共役ジエン系重合体を10質量部以上含むゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して、(B)シリカ20〜150質量部を含み、かつ(C)下記一般式(2)〜(6)で表されるシランカップリング剤の少なくとも一種を、前記(B)成分のシリカに対して1〜25質量%の割合で含むことを特徴とするゴム組成物を用いたタイヤ。
【化2】

[式中、R3は−Cl、−Br、R8O−、R8C(=O)O−、R89C=NO−、R88N−又は−(OSiR89m(OSiR789)(ただし、R8及びR9は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)、R4はR3、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R5はR3、R4又は−[O(R10O)a0.5−基(ただし、R10は炭素数1〜18のアルキレン基、aは1〜4の整数である。)、R6は炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R7 は炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。]
【化3】

[式中R11は炭素数1〜20の直鎖もしくは、分岐、環状のアルキル基であり、Gはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、Zaはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、[−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−] 0.5から選ばれる基であり、Zbはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、 [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、Zcはそれぞれ独立して−Cl、−Br、−OR12、R12C(=O)O−、R1213C=NO−、R1213N−,R12−,HO−G−O−で表される官能基であり、R,Gは上記表記と一致する。m、n、u、v、wはそれぞれ独立して1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、かつ1/2u+v+2w=2又は3である。
A部が複数である場合、複数のA部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、Bが複数である場合、複数のB部におけるZau、Zbv及びZcwそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。]
【化4】

[式中R14及びR15はそれぞれ炭素数1〜4の炭化水素基、R16は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、qは0〜2の整数、rは平均値として1以上4未満、R17は(a):(S−R18−S)、(b):(R19−Sd−R20)及び(c):(R21−Sg−R22−Sh−R23)のいずれかに記載される二価の官能基であり、R18〜R23は直鎖状又は分岐を有する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む2価の有機基であって、R18〜R23はそれぞれ同一でも異なってもよく、d、g、hはそれぞれ平均値として1以上4未満である。]
【化5】

[式中、R24はメチル基またはエチル基、R25はメトキシ基、はエトキシ基または−O−(Y−O)m−Xであり、Yは分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、二価の炭化水素基であり、XはC1〜C9−アルキル基であり、mは1〜40であり、R26はメチル基、エチル基またはR25であり、R27は分枝状または非分枝状、飽和されたまたは飽和されていない、脂肪族、芳香族または脂肪族/芳香族の混合した二価のC1〜C12炭化水素基である。]
【化6】

[式中、R28は同一でも異なっていてもよく、各々直鎖または分岐の、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基および直鎖または分岐の、2〜8個の炭素原子を持つアルコキシアルキル基からなる群から選択される一価の炭化水素基を表し、R29およびR30は同一でも異なっていてもよく、各々直鎖または分岐の、1〜6個の炭素原子を持つアルキル基およびフェニル基からなる群から選択される、一価の炭化水素基を表し、tは3〜5なる範囲の整数または分数である。]
【請求項2】
一般式(1)で表される変性剤において、A1は炭素数2〜18のヒドロカルビルオキシ基、A2は炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基又はハロゲン原子、R1は炭素数1〜18の炭化水素基、R2は炭素数1〜20の二価の炭化水素基である、請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項3】
一般式(1)で表される変性剤において、A2が炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基である請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項4】
一般式(1)におけるR2が、炭素数2〜10のアルカンジイル基である、請求項2又は3に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項5】
一般式(1)におけるA1がエトキシ基である、請求項2〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項6】
一般式(1)におけるR1がメチル基である、請求項2〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項7】
一般式(1)において、Xにおける不飽和環状3級アミン化合物残基が、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基、オキサゾール残基又はピリジル基である請求項2〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項8】
一般式(1)におけるXが、ケチミン残基、飽和環状3級アミン化合物残基、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基、ピリジル基、ニトリル基、イソシアネート基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも1種の含窒素官能基を有する一価の基である、請求項7に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項9】
含窒素官能基が、飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、イミダゾール残基、ジヒドロイミダゾール残基及び脱離可能な官能基を有する2級アミノ基の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項10】
求核反応性を有する有機金属活性末端をもつ共役ジエン系重合体が、C−Li又はN−Liを含む有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させて得られたものである請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項11】
共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である請求項10に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項12】
芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項10又は11に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項13】
前記(C)成分のシリカと結合することのできる官能基がアルコキシシラン基である請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項14】
前記一般式(3)で表される(C)成分が、化学式(7)、
【化7】

化学式(8)、及び
【化8】

化学式(9)
【化9】

[式中Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基である。]で表されるシランカップリング剤である請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項15】
前記一般式(4)におけるrが1である請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項16】
前記一般式(4)のR17における(a),(b)及び(c)中のg、d、hが平均値として2以上3以下である請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項17】
前記一般式(4)におけるR17が、(c):R21−Sd−R22−Sh−R23であり、かつR21、R22及びR23がヘキシレン基である請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項18】
前記一般式(5)における(C)成分が、一般式(5)のオリゴマー化されたまたは重合されたオルガノシランを含有する請求項1記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項19】
前記一般式(5)における(C)成分が、ジメチルエトキシシリルプロピルメルカプタン、メチルジエトキシシリルプロピルメルカプタン、ジエチルエトキシシリルプロピルメルカプタン、エチルジエトキシシリルプロピルメルカプタン、ジメチルメトキシシリルプロピルメルカプタン、メチルジメトキシシリルプロピルメルカプタン、ジエチルメトキシシリルプロピルメルカプタン及びエチルジメトキシシリルプロピルメルカプタンである請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項20】
前記一般式(6)におけるR1がメチル、エチル、n-プロピルおよびイソプロピル基からなる群から選択され、R2およびR3がメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ヘキシルおよびフェニル基からなる群から選択される、請求項1記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項21】
前記一般式(6)における(C)成分が下記一般式(10)、
【化10】

[式中tは3〜5の範囲を示す。]で表されるビス‐モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィド(MESPT)である、請求項20に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項22】
総充填材量に対するシリカの量が、質量比で20質量%以上である請求項1〜21のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項23】
補強用充填剤としてカーボンブラックをゴム成分100質量部に対して10質量部以上含有し、カーボンブラックとシリカとの総配合量が40〜160質量部の範囲である請求項1〜22のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれかに記載のゴム組成物をトレッド部材として使用するタイヤ。

【公開番号】特開2010−189613(P2010−189613A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38467(P2009−38467)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】