説明

タイリング印刷のフォーマット設定システム

【課題】他のホスト装置を用いない構成によるタイリング印刷のフォーマット設定システムを提供する。
【解決手段】画像読取装置で読み取られる参考印刷画像またはその画像の一部と、参考画像を複数の領域に区切る境界指標との、座標上の相対位置関係に基づいて、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段を含むことを特徴とする特徴とする構成により提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイリング印刷のフォーマット設定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機で読み取った画像を印刷用紙に出力したり、ホスト装置から出力される画像をプリンタ装置で印刷用紙に出力する画像形成処理は高機能化が進み、出力画像をつなぎ合わせて画像記録装置に搭載してある用紙のサイズより大きな出力画像を形成するために用紙をつなぎ合わせて印字を行う、連写あるいはタイリングと呼ばれる画像形成方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−348331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような従来の画像形成方法においては、プリンタ・スキャナのような画像記録装置とは別の、パーソナルコンピュータ等のホスト装置を用いてタイリング印刷に関する設定を行う必要があり、ホスト装置およびホスト装置との接続部等が必要となる等、画像記録装置単体では設定を行うことができないという問題があった。
【0005】
上記問題を背景として、本発明の課題は、他のホスト装置を用いない構成によるタイリング印刷のフォーマット設定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記問題を解決するタイリング印刷のフォーマット設定システムは、画像読取装置で読み取られる参考印刷画像またはその画像の一部と、参考印刷画像を複数の領域に区切る境界指標との、座標上の相対位置関係に基づいて、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段を含むことを特徴とする。
【0007】
上記構成のシステムは、本システムのユーザが参考印刷画像を画像読取装置に読み取らせるだけで、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定できる。すなわち、本システムのユーザは容易にタイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を用いたタイリング印刷を行うことができる。また、参考印刷画像と境界指標との相対位置関係に基づいてタイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置が決定される。すなわち、参考印刷画像と境界指標とが座標上の相対位置関係で表されるので、実際にタイリング印刷を行う場合、タイリング印刷画像の参考印刷画像に対する拡縮率が決定すれば相対位置関係と拡縮率との乗算のみ行えばよいため、実際のタイリング印刷対象画像の大きさによらずタイリング印刷対象画像を画像読取装置で物理的に読み取り可能な大きさに縮尺した参考印刷画像を使用できる。また、パーソナルコンピュータ等のホスト装置を用いてタイリング印刷に関する設定を行う必要はなくなり、画像読取装置単体でタイリング印刷に関する設定を行うことが可能となる。また、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置の決定のためだけに必要以上に大きな画像読取装置を使用する必要がない。
【0008】
また、上記問題を解決するタイリング印刷のフォーマット設定システムは、画像読取装置で読み取られる参考印刷画像と、画像読取装置で読み取られる参考印刷画像を複数の領域に区切る境界指標との、座標上の相対位置関係を演算する相対位置関係演算手段と、その相対位置関係に基づいて、タイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記構成のシステムは、本システムのユーザが参考印刷画像と境界指標とを画像読取装置に読み取らせるだけで、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定できる。すなわち、本システムのユーザは容易にタイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を用いたタイリング印刷を行うことができる。また、参考印刷画像と境界指標との相対位置関係に基づいてタイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置が決定される。すなわち、参考印刷画像と境界指標とが座標上の相対位置関係で表されるので、実際にタイリング印刷を行う場合、タイリング印刷画像の参考印刷画像と境界指標とに対する拡縮率が決定すれば相対位置関係と拡縮率との乗算のみ行えばよいので、印刷対象画像のタイリング印刷画像への展開の際に複雑な演算を行わずに済むという利点がある。このため、実際のタイリング印刷対象画像の大きさによらずタイリング印刷対象画像を画像読取装置で物理的に読み取り可能な大きさに縮尺した参考印刷画像と境界指標とを使用できる。また、座標演算は比較的簡単に行うことができるので、画像読取装置の処理負荷の増大を抑制することができる。また、パーソナルコンピュータ等のホスト装置を用いてタイリング印刷に関する設定を行う必要はなくなり、画像読取装置単体でタイリング印刷に関する設定を行うことが可能となる。また、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置の決定のためだけに必要以上に大きな画像読取装置を使用する必要がない。
【0010】
また、上記問題を解決するタイリング印刷のフォーマット設定システムは、画像読取装置で読み取られる参考印刷画像中で予め指定された画像部分と、予定されている参考印刷画像を複数の領域に区切る境界指標との相対位置関係を演算する相対位置関係演算手段と、その相対位置関係に基づいて、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
上記構成によって、ユーザが指定した画像部分と境界指標が重ならないように相対位置関係を演算すれば、複数の用紙に分割されて印刷されたくない部分は1枚の用紙で印刷されるというように、ユーザが所望する相対位置関係でタイリング印刷が可能となる。また、上記構成によっても、パーソナルコンピュータ等のホスト装置を用いてタイリング印刷に関する設定を行う必要はなくなり、画像読取装置単体でタイリング印刷に関する設定を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムは、参考印刷画像が形成された画像形成媒体に境界指標が形成された透明性を有する指標形成媒体が参考印刷画像を透視可能な状態で重ね合わされ、参考印刷画像上に境界指標が積層された画像を画像読取装置が読み取り、相対位置関係演算手段は、その読み取られた結果から相対位置関係を演算するように構成することもできる。
【0013】
上記構成によって、参考印刷画像上に境界指標が積層された画像を画像読取装置が読み取ることで、画像読取装置単体でタイリング印刷に関する設定を行うことが可能となり、パーソナルコンピュータ等のホスト装置は不要となる。また、本システムのユーザは参考印刷画像と境界指標とを重ね合わせて画像読取装置による読み取りを実行するだけで、所望のタイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を得ることが可能となる。
【0014】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムは、参考印刷画像と境界指標を選択する選択項目部が形成された第2の画像形成媒体を画像読取装置が読み取り、相対位置関係演算手段は、その選択項目部で示される境界指標から相対位置関係を演算するように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、指標形成媒体を形成して指標形成媒体が参考印刷画像を透視可能な状態で重ね合す必要はなくなり、ユーザの操作負荷を増大させることなく画像読取装置単体でタイリング印刷に関する設定を行うことが可能となる。また、パーソナルコンピュータ等のホスト装置は不要である。
【0016】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムにおける境界指標は参考印刷画像上に形成され、選択項目部においてその形成された境界指標を選択するように構成することもできる。
【0017】
上記構成によっても、指標形成媒体を形成して指標形成媒体が参考印刷画像を透視可能な状態で重ね合す必要はなくなり、参考印刷画像上に形成された境界指標を見ながら所望の境界指標を選択することができ、ユーザの操作負荷を増大させることなく画像読取装置単体でタイリング印刷に関する設定を行うことが可能となる。また、パーソナルコンピュータ等のホスト装置は不要である。
【0018】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムは、参考印刷画像に対して境界指標が伸びる方向を示す目印が参考印刷画像上に形成されない位置に形成され、選択項目部においてその形成された目印を選択するように構成することもできる。
【0019】
上記構成によっても、指標形成媒体を形成して指標形成媒体が参考印刷画像を透視可能な状態で重ね合す必要はなくなる。また、参考印刷画像に境界指標が重ね合わされないように形成されるので、ユーザは境界指標が参考印刷画像のどの位置となるかを想定あるいは確認しながら境界指標を選択することが可能となる。
【0020】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムにおける参考印刷画像は予め指定された所定の領域を含み、境界指標と所定の領域とが重ならないように境界指標の座標を決定する境界指標座標決定手段を備えるように構成することもできる。
【0021】
上記構成によって、例えば、人物の顔のように一枚の印刷用紙に印刷されることが望ましい画像が複数の印刷用紙に分割されないように境界指標座標を決定することが可能となる。
【0022】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムは、タイリング印刷のフォーマットにより参考印刷画像を印刷する印刷手段を備えるように構成することもできる。
【0023】
上記構成によって、画像読取装置単体でタイリング印刷に関する設定およびその設定においてのタイリング印刷を行うことが可能となり、パーソナルコンピュータ等のホスト装置は不要である。
【0024】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムは、印刷手段とは別の外部機器に含まれる外部機器印刷手段で印刷するための、タイリング印刷のフォーマットを出力する出力手段を備えるように構成することもできる。
【0025】
上記構成によって、画像読取装置が印刷手段を備えていない場合でも、あるいは、画像読取装置の印刷手段が所望の用紙サイズで印刷できない場合でも、設定されたフォーマットで他の印刷機器においてタイリング印刷を行うことが可能となる。
【0026】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムは、相対位置を確認するための確認出力手段を備えるように構成することもできる。
【0027】
上記構成によって、例えば一枚の印刷用紙で実際にタイリング印刷を行った際の状態を事前に確認することができるので、印刷用紙の無駄遣いを防ぐことができる。
【0028】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムにおける境界指標はその境界を表す線分で記されるように構成することもできる。
【0029】
上記構成によって、境界指標の大きさを把握することが可能となる。
【0030】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムにおける前記相対位置あるいは前記相対位置関係は、二次元座標で表されるように構成することもできる。
【0031】
上記構成によって、前記相対位置あるいは前記相対位置関係の演算を容易に行うことが可能となる。また、演算結果を記憶する場合にも記憶媒体の占有領域を少なくすることが可能となる。
【0032】
また、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムは、相対位置関係決定手段によって決定されたタイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置のデータを、その相対位置関係を変えることなく実際の印刷すべき画像に対する境界指標の相対位置のデータに変換する変換手段を含み、その変換された境界指標の相対位置のデータが印刷手段に出力されてタイリング印刷が実行されるように構成することもできる。
【0033】
上記構成によって、変換手段によってタイリング印刷の規模に応じて相対位置のデータに変換されるので、相対位置関係決定手段によって決定された相対位置のデータによってタイリング印刷を実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
他のホスト装置を用いない構成によるタイリング印刷のフォーマット設定システムを提供する目的を、画像読取装置で読み取られる参考印刷画像またはその画像の一部と、参考画像を複数の領域に区切る境界指標との、座標上の相対位置関係に基づいて、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像とタイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段を含むことを特徴とする構成により実現した。
【実施例】
【0035】
以下、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムの実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明のタイリング印刷のフォーマット設定システムの画像読取装置である複合機10のブロック図を示す。なお、本発明の構成では必ずしも複合機10を用いる必要はなく、画像読取機能のあるスキャナ装置であってもよい。
【0036】
複合機10は、CPU11、ワークメモリ12aを備えるRAM12、各種プログラムを記憶するROM13、バスライン14、入出力部15(図1ではI/Oと表記)、メモリ16、通信インターフェース18(図1では通信I/Fと表記)、印刷制御データ等の受信したデータを一時格納する受信バッファ17、および外部メモリ19を備えて構成される。
【0037】
ROM13には、印刷制御プログラム13a、スキャナ制御プログラム13b、FAX制御プログラム13c、通信プログラム13d、および画像処理プログラム13eが格納されている。
【0038】
入出力部15には、操作パネル20(図2参照)、周知のインクジェット印字機構、レーザー印字機構、熱転写印字機構、あるいはドットインパクト式印字機構などからなる印刷部23、イメージセンサ等を含む原稿の読み取りを行うスキャナ部24、FAXモデム等を含みファクシミリ通信を行うFAX部25、およびスキャナ部24で読み取られた画像データの各種処理を行う画像処理部26等が制御対象として接続されている。これら印刷部23、スキャナ部24およびFAX部25の動作は周知のものであり、ROM13に格納された対応する印刷制御プログラム13a、スキャナ制御プログラム13b、FAX制御プログラム13cあるいは画像処理プログラム13eを、CPU11がRAM12のワークメモリ12aを用いて実行することで動作制御される。
【0039】
また、通信インターフェース18は通信ネットワーク30を介してPC1とデータ等を送受信するための通信インターフェース回路を含んで構成される。通信ネットワーク30に接続された外部通信網を経由した各種データの送受信は、CPU11が通信プログラム13dを実行することで行なわれる。
【0040】
メモリ16は、例えばEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)等の不揮発性メモリで構成される。例えば、スキャナ部24で読み取られた画像データが記憶される。また、ここには他に例えば人名または会社名等に電話番号等の送信先情報が付加された電話帳が記憶されている。この電話帳を用いて所望の電話番号にファクシミリ送信を行うことができる。また、メモリ16としてハードディスク装置を用いてもよい。
【0041】
外部メモリ19は、メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体およびそのインターフェース回路等を含んで構成され、複合機10のデータのバックアップ等に用いられる。
【0042】
図2に、複合機10の操作パネル20の例を示す。操作パネル20は操作部21と表示部22とを含んで構成される。操作部21はメカニカルキーが用いられ、複合機10の電源の入/切を行う電源ボタン21a、カーソルキー21b、コピーボタン21c1,FAXボタン21c2,スキャナボタン21c3を含んで構成される機能選択ボタン21c、テンキー21d、電話番号、FAX番号等の情報が登録されるワンタッチボタン21e,各種動作の開始を行うスタートボタン21f、各種動作を中断あるいは停止させるストップボタン21g、およびスピーカ20a等が含まれる。
【0043】
表示部22は周知のドット・マトリックス方式のカラー液晶表示器および液晶表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、入出力部15から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示部22として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0044】
また、操作部21として、表示部22と一体になったタッチパネルを用いてもよい。タッチパネルは、表示部22の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【0045】
図3を用いてタイリング印刷の概要について説明する。図3(a)はタイリング印刷の対象となる印刷イメージ31を示したもので、横方向(x方向)の長さはWi、縦方向(y方向)の長さはHiとなっている。矩形の印刷イメージ31の左上頂点が原点P1となっている。
【0046】
印刷イメージ31は、タイリング印刷時には例えばA4縦サイズの用紙によってイメージが分割されて印刷される。図3(b)の例では縦Hn枚,横Wn枚の用紙が使われる。なお、Wn=(Wd+Wi+Wp−1)/Wp,Hn=(Hd+Hi+Hp−1)/Hpである。ここで、Wp,Hpはそれぞれタイリング印刷後に各用紙を貼り合わせる領域を除く印刷可能領域Rの横方向および縦方向の長さである(図3(b)の用紙34参照)。また、Wd,Hdはそれぞれ印刷イメージ31の原点P1が含まれる用紙33(印刷ページ番号P1:後述)において、印刷可能領域の原点から印刷イメージ31の原点までのx方向,y方向の距離を表している。また、印刷ページ番号Pは、P(x,y)=x+Wn×(y−1)と表され、1≦x≦Wn,1≦y≦Hnである。また、各印刷ページの左上を(0,0)としたときの各印刷ページの原点の座標値は、X座標値=Wd−(x−1)×Wp,Y座標値=Hd−(y−1)×Hpと表される。
【0047】
(タイリングフォーマット設定処理1)
図4のフロー図および図5から図10を用いて本発明のタイリングフォーマット設定処理について説明する。なお、本処理はスキャナ制御プログラム13bおよび画像処理プログラム13eにおいて実行される。まず、スキャンする対象の画像(原稿)を複合機10のスキャナ部24に含まれる図示しない原稿読取部にセットし、操作部21のスキャナボタン21c3を押下すると、表示部22に図5(a)のようなスキャンメニューが表示されるので、通常のスキャンかタイリング印刷のためのスキャンかを選択する。そして、スタートボタン21fを押下すると原稿のスキャンが行われる(S1)。
【0048】
図5(a)のスキャンメニューにおいて「通常スキャン」ボタンが押下されてスキャンが行われた場合、(S2:No)には操作部21によって設定されたスキャンモードによって通常のスキャン処理が行われる(S3)。
【0049】
次に、図5(a)のスキャンメニューにおいて「タイリング印刷設定」ボタンが押下されてスキャンが行われた場合(S2:Yes)の処理について説明する。例えば、図8(a)のような印刷イメージ51をタイリング印刷する場合、例えばA4縦サイズのようなスキャナ部24で読み取り可能な用紙にその全体が印刷可能なように拡縮率Rpで印刷用紙52に印刷する。なお、拡縮率Rpは、Rp=1/Max(Wi/(Wp×Rr),Hi/(Hp×Rr))で表され、印刷用紙52と透明シート53(後述)を重ね合わせてスキャンするためにRrは2/3のような1以下の値が望ましい。
【0050】
また、図8(b)のように、印刷イメージ51は印刷用紙52の中央部に印刷される。このとき、印刷用紙52における印刷イメージ51の原点は、印刷用紙52のX座標値=Wp/2−Wi×Rp/2,Y座標値=Hp/2−Hi×Rp/2で表される。また、印刷イメージ51の識別を容易に行うために印刷イメージ51の外縁部に青色の枠51aを印刷する。
【0051】
次に、図8(c)のような透明シート53を用意する。透明シート53は画像イメージ51と同一の拡縮率Rpで境界指標53aが赤色で印刷されている。この境界指標の縦線は、X座標値:1,1×Wp/Rp−1,2×Wp/Rp−1,...,Wpを通り、横線は、Y座標値:1,1×Hp/Rp−1,2×HP/Rp−1,...,Hpを通る。
【0052】
そして、図9のように上述の印刷イメージ51が印刷された印刷用紙52の上に透明シート53を重ねて貼り合わせ、テープ54等で固定する。次いで、図5(b)のタイリング印刷設定画面において、設定された内容で印刷を行うか設定された内容を記憶するかのいずれかを選択した上で「スキャン」ボタンあるいはスタートボタン21fを押下する。これをスキャナ部24において読み取る。図10に読み取られた後のビットマップイメージ55を示す。図9の印刷イメージ51が印刷イメージ画像56,枠51aは枠画像56a,透明シート53の境界指標53aは境界指標画像57としてスキャンされる。
【0053】
読み取られたビットマップイメージ55を用いてタイリング情報認識処理(S4:後述)を行い、タイリングオフセットWd,Hd等を算出する(S5)。図5(b)のメニュー画面で「印刷する」ボタンが押下された場合(S6:Yes)、図6(a)のようなメニュー画面が表示され、タイリング情報に基づいて印刷を行うか、タイリング情報の内容を確認するための印刷(後述)を行うかを選択する。
【0054】
図6(a)のメニュー画面で「タイリング印刷」を押下すると、図6(b)のメニュー画面が表示されるので印刷先を指定する。例えば「ローカルプリンタ」ボタンを押下すると、印刷部23に指令が送られタイリング情報に基づいて印刷が実行される(S8)。印刷が完了すると、図6(c)のような画面が表示される。図6(c)のように、タイリング印刷時の設定内容を記憶可能な構成としてもよい。記憶方法については後述する。
【0055】
一方、図5(b)のメニュー画面で「記憶する」ボタンが押下された場合(S6:No)、図7(a)のような画面が表示されるので、記憶先を指定する。「内部メモリ」ボタンを押下するとメモリ16が、「外部メモリ」ボタンを押下すると外部メモリ19が記憶先に指定される。記憶先を指定すると図7(b)のような画面が表示されるので設定ファイル名を指定する。タイリング情報が記憶されると図7(c)のような画面が表示される(S7)。
【0056】
図11にタイリング情報の記憶内容の一例を示す。タイリング情報には上記で算出されたWi,Hi,Wd,Hdや用紙サイズ,印刷イメージファイル名等が含まれる。Wr,Hr(後述)を含めてもよい。
【0057】
図12のフロー図と図13から図16を用いて図4のステップS4に相当するタイリング情報認識処理について説明する。スキャナ部24で読み取られた画像データは画像処理部26において一般的な2値化処理を施すことにより、ピクセル毎のデジタル多値画像データ(ビットマップイメージ55:図10参照)に変換される。そして、得られたビットマップイメージ55から、一般的な画像処理手法を用いて、図13のようなR(赤色)要素を抽出して少なくとも境界指標画像57を含むR要素イメージと、図14のようなB(青色)要素を抽出して少なくとも枠画像56aを含むB要素イメージとを得る(S11)。
【0058】
次に、ポインタiおよびjに1(ビットマップイメージ55の原点)をセットする。また、m,nにビットマップイメージの座標値のx方向,y方向の最大値をセットする(S12)。そして、n行m列のビットマップ値B[i,j]が0でない(すなわち、R要素あるいはB要素を含む)行番号を上先頭行から探索し0でない列番号を左先頭列から探索する。以下、R要素イメージの探索を例に挙げて説明する。
【0059】
ビットマップイメージ値B[i,j]が0の(R要素がない)場合(S13:No)、次の列のビットマップ値B[i+1,j]にR要素が含まれているかを調べる(S14,S15:No)。iが最大値のmとなった場合(S15:Yes)は、次の行(i=1,j=j+1)についてR要素が含まれているかを調べる(S16,S17:Yes)。行列の最後のビットマップ値B[m,n]までにR要素が含まれていない場合(S17:No)は、表示部22にR要素すなわち境界指標画像57を認識できなかった旨のメッセージを表示する(S18)。ビットマップ値B[i,j]にR要素が含まれている場合(S13:Yes)、そのときの行の値jを、n行m列のビットマップイメージ55の原点Psを基準としたときの境界指標画像57の原点PfのY座標値であるHfとする(S19)。
【0060】
そして、ポインタiおよびjに1をセットし(S20)、行(j)を固定し列(i)を変化させることでビットマップ値B[i,j]にR要素が含まれているかを調べ(S21〜S26)、R要素が含まれているとき(S21:Yes)の列の値iを印刷指標の原点PfのX座標値であるWfとする(S27)。
【0061】
上述と同様の方法で、B要素イメージを探索し、印刷イメージ画像56の原点PrのX座標値Wr,Y座標値Hrを求める。
【0062】
最後に、タイリングオフセットWd,Hdを計算式Wd=(Wr−Wf)×Rp,Hd=(Hr−Hf)×Rpにより算出する(図15参照)。なお、図15において、58aが1枚の用紙枠に相当する。
【0063】
上述の方法では、図16(a)のようにB(あるいはR)要素の行方向の探索方向S1〜Snに対し平行な位置にビットマップイメージ55がスキャンされた場合以外にも、図16(b)あるいは図16(c)のように探索方向S1〜Snに対し平行でない位置にビットマップイメージ55がスキャンされた場合でも、B(あるいはR)要素を探索できるのでタイリングオフセットWd,Hdを算出可能である。
【0064】
(タイリングフォーマット設定処理2)
図17から図20を用いてタイリングフォーマット設定処理の別の例について説明する。なお、本処理の概要は図4のフロー図とほぼ同様であるため、上述のタイリングフォーマット設定処理1と異なる部分のみの説明とする。まず、複合機10のスキャナ部24で読み取らせるための印刷イメージ61(図8(a)と同様のもの)を例えばA4縦サイズのような1枚の印刷用紙60に収まるように拡縮率Rpを設定して作成する。拡縮率Rpは、例えば、Rp=1/Max(Wi/Wp,Hi/Hp)として表される。また、印刷イメージ61の印刷色は青のグレースケールで、印刷イメージ61の識別を容易に行うために印刷イメージ61の外縁部には青色の枠61aが印刷される。また、印刷用紙60には、タイリング印刷される用紙のサイズを示す用紙枠62が上記拡縮率Rpにより印刷される。
【0065】
また、印刷イメージ61は印刷用紙60の中央部に印刷される。このとき、印刷用紙60における印刷イメージ61の原点は、印刷用紙60のX座標値=Wp/2−Wi×Rp/2,Y座標値=Hp/2−Hi×Rp/2で表される。
【0066】
次に、この印刷用紙60と用紙枠62とから、例えば印刷イメージ61における水鳥の頭部のような用紙枠62に収まることが望ましい画像(複数枚の用紙に分割されて印刷されたくない画像)に例えば赤色で印63,64を付ける(図18参照)。
【0067】
そして、この赤色の印63,64が付けられた印刷イメージ61を含む印刷用紙60をスキャナ部24において読み取らせる。そして、タイリング情報認識処理(後述)を実行する。
【0068】
表示部22にタッチパネルが含まれている場合、印刷イメージ61のみを含む印刷用紙60をスキャナ部24において読み取らせ、画像処理部26で生成されたビットマップイメージを表示部22に表示させ、タッチパネルでタイリング印刷される用紙の枠内に収まることが望ましい画像を選択(タッチ)する構成としてもよい。この場合、タッチパネルではタッチされた座標が検出され、例えば検出された座標を中心とする所定の半径の円で表される領域が選択された画像として赤色で表され、表示部22は図18のような画面が表示される。そして、図示しない「選択終了」ボタンを押下すると、先に生成されたビットマップイメージとは別に図20(a)のようなビットマップイメージ65が生成される。
【0069】
図19のフロー図と図20とを用いて図4のステップS4に相当するタイリング情報認識処理の別の例について説明する。スキャナ部24で読み取られた印刷用紙60は画像処理部26で上述のような画像処理が行われ、図20(a)のようなビットマップイメージ65が生成される。さらに、そのビットマップイメージ65から、図20(b)のようなR(赤色)要素を抽出して少なくとも印画像68,69を含むR要素イメージと、図20(c)のようなB(青色)要素を抽出して少なくとも枠画像66aを含むB要素イメージとを得るそして、印画像68,69のビットマップイメージ65の原点P2を基準とした座標をT[x,y]としてワークメモリ12aに記憶する。(S31)。
【0070】
次に、以下のように、想定するタイリングオフセットHd,Wdにおける境界指標が印画像68,69と重なるかどうかを判定し、全ての印画像と重ならないHd,Wdをタイリングオフセットとして決定する。
【0071】
まず、ポインタxおよびyに1をセットする。また、m,nに用紙枠画像67の座標値の横方向,縦方向の最大値Wp/Rp,Hp/Rpをセットする(S32)。境界指標は、縦方向の線は、X座標値1,1×Wp/Rp−1,2×Wp/Rp−1,...,Wpを通り、横方向の線は、Y座標値1,1×Hp/Rp−1,2×Hp/Rp−1,...,Hpを通るので、境界指標上に上記印画像の座標Tが含まれているかどうかを調べる。
【0072】
x,yの値をそれぞれWd,Hdとしたときに、境界指標上に上記印画像の座標Tが全く含まれていない場合(S33:Yes)は、そのときのx,yの値をそれぞれWd,Hdとしてタイリングオフセットを決定する(S39)。
【0073】
一方、境界指標上に上記印画像の座標Tが一つでも含まれる場合(S39:No)、ポインタxおよびyを順次更新してWd,Hdとし、境界指標線上に上記印画像の座標Tが全く含まれていないx,yを探す(S34〜S37)。上記印画像の座標Tが全く含まれていないx,yがない場合(S37:No)は、表示部22にタイリングオフセットを決定できなかった旨のメッセージを表示する(S38)
【0074】
最後に、図12と同様の方法で、図20(c)のB要素イメージからWr,Hrを求める。なお、ステップS33の判定条件を、境界指標上に上記印刷画像の座標Tを含んでいる数をカウントし、カウントされた数が予め定められメモリ16等に記憶される所定値Tmaxよりも小さいこととして、この判定条件が成立した場合のx,yの値をそれぞれWd,Hdとしてもよい。
【0075】
(タイリングフォーマット設定処理3)
図21から図23を用いて図4のステップS4に相当するタイリング情報認識処理の別の例について説明する。印刷用紙70に印刷イメージ71を印刷する場合、上述のように印刷イメージ71が印刷用紙70の中央部に収まるように、拡縮率Rp(後述)を設定する。このとき、図21のように、境界指標の基準枠72a,72b、横方向の境界指標選択欄76、縦方向の境界指標選択欄77、および用紙サイズ選択欄78を印刷する。
【0076】
図22に図21の部分拡大図を示す。図22の例は、Wd=0,Hd=0の場合の境界指標の基準枠72a,72bを示したものである。横方向の基準枠72aは印刷イメージ71の原点P3を基準にQ(例えば30mm)離れた位置に縦方向の長さM(例えば20mm)、横方向の長さWp/Rpの長方形が横方向にWn個連なる形で形成される。同様に、縦方向の基準枠72bは印刷イメージ71の原点P3を基準にQ(例えば30mm)離れた位置に横方向の長さM(例えば20mm)、縦方向の長さHp/Rpの長方形が横方向にHn個連なる形で形成される。なお、印刷イメージ71の原点P3は、X座標値=Wp/2−Wi×Rp/2,Y座標値=Hp/2−Hi×Rp/2で表される。また、Wn,Hnはそれぞれ、Wn=(Wd+Wi+Wp−1)/Wp,Hn=(Hd+Hi+Hp−1)/Hpで表される(図3と同様)。
【0077】
そして、横方向の基準枠72aから印刷イメージ71に向かう辺の延長線と、縦方向の基準枠72bから印刷イメージ71に向かう辺の延長線とによって境界指標が形成される。
【0078】
図23に複数の境界指標の基準枠から選択する例を示す。ユーザは上記基準枠から横方法および縦方向を選択するための数字をそれぞれの境界指標選択欄76,境界指標選択欄75に記入する。また、タイリング印刷に用いる用紙サイズ(例えばA4)を用紙サイズ選択欄78に記入する。
【0079】
上記の記入の終わった印刷用紙70をスキャン部24で読み取り、画像処理部26において周知の文字認識処理を行って記入された文字を識別してタイリングオフセットWd,Hdを決定する。
【0080】
横方向の境界指標選択欄76の文字認識結果と対応するWdの値は以下のとおりである。
文字認識結果1(基準枠75a):Wd=Wp/Rp×3/4
文字認識結果2(基準枠74a):Wd=Wp/Rp×2/4
文字認識結果3(基準枠73a):Wd=Wp/Rp×1/4
文字認識結果4(基準枠72a):Wd=0
【0081】
縦方向の境界指標選択欄77の文字認識結果と対応するHdの値は以下のとおりである。
文字認識結果1(基準枠75b):Hd=Hp/Rp×3/4
文字認識結果2(基準枠74b):Hd=Hp/Rp×2/4
文字認識結果3(基準枠73b):Hd=Hp/Rp×1/4
文字認識結果4(基準枠72b):Hd=0
【0082】
また、基準枠72aおよび72b,基準枠73aおよび73b,基準枠74aおよび74b,基準枠75aおよび75bの組毎に異なる色で印刷するようにしてもよい。こうすることで、ユーザが基準枠の選択を容易に行うことが可能となる。
【0083】
なお、拡縮率RpはRp=1/Max(Wi/Wp,Hi/Hp)で、図3と同様にWi,Hiは印刷イメージ71のサイズでWp,Hpはタイリング印刷用紙1枚における印刷可能範囲である。印刷可能範囲Wp,Hpは用紙サイズにより求められる。また、文字認識結果とWdあるいはHdとの関係は、メモリ16の所定の領域に記憶されている。
【0084】
(タイリングフォーマット設定処理4)
図24を用いて図4のステップS4に相当するタイリング情報認識処理の別の例について説明する。印刷用紙80に印刷イメージ81を印刷する場合、上述のように印刷イメージ81が印刷用紙80の中央部に収まるように拡縮率Rp(図3と同様)を設定する。このとき、図24のように、境界指標を印刷イメージ81に重ねて印刷する。
【0085】
また、境界指標を印刷する際に、横方向の境界指標選択欄82,縦方向の境界指標選択欄83、およびタイリング印刷に用いる用紙サイズ選択欄84も合わせて印刷される。
【0086】
図24の例では、横方向の一点鎖線85aはWd=0,実線86aはWd=Wp/Rp×(1/3),破線87aはWd=Wp/Rp×(2/3)、縦方向の一点鎖線85bはHd=0,実線86bはHd=Hp/Rp×(1/3),破線87bはHd=Hp/Rp×(2/3)としたときの境界指標を表したものである。また、同一の線種の間隔は横方向がWp/Rp、縦方向がHp/Rpである。また、横方向の隣り合う境界指標の間隔はWp/Rp×(1/3)、縦方向の隣り合う境界指標の間隔はHp/Rp×(1/3)である。
【0087】
また、一点鎖線,実線,一点鎖線の線種毎に色を変えて印刷するようにしてもよい。また、一点鎖線85aおよび85b,実線86aおよび86b,破線87aおよび87bの組毎に色を変えて印刷するようにしてもよい。こうすることで、ユーザが境界指標の選択を容易に行うことが可能となる。
【0088】
ユーザは上記横方法および縦方向の境界指標を選択するために、境界指標選択欄82,縦方向の境界指標選択欄83、および用紙サイズ選択欄84の所望の欄(1箇所)を鉛筆等で塗りつぶす。
【0089】
上記の選択の終わった印刷用紙80をスキャン部24で読み取り、画像処理部26において周知のOCR(Optical Character Recognition:光学式文字認識)処理を行って記入された位置を識別してタイリングオフセットWd,Hdを決定する。
【0090】
横方向の境界指標選択欄82の文字認識結果と対応するWdの値は以下のとおりである。
OCR認識結果1(境界指標85a):Wd=0
OCR認識結果2(境界指標86a):Wp/Rp×(1/3)
OCR認識結果3(境界指標87a):Wp/Rp×(2/3)
【0091】
縦方向の境界指標選択欄83の文字認識結果と対応するHdの値は以下のとおりである。
OCR認識結果1(境界指標85b):Hd=0
OCR認識結果2(境界指標86b):Hd=Hp/Rp×(1/3)
OCR認識結果3(境界指標87b):Hd=Hp/Rp×(2/3)
【0092】
図25(a)のように、タイリングオフセットWd,HdやWn,Hn等が決定してタイリング印刷可能な状態となったときに、印刷用紙1枚に収まるように確認印刷を行うようにしてもよい。これは、図6(a)のメニュー画面において「確認印刷」ボタンを押下した場合に実行される。確認印刷時にも図6(b)のように印刷先を指定可能なようにしてもよい。
【0093】
確認印刷は、図25(b)のように、拡縮率RをR=1/Max(Wn,Hn)とした場合、X=Wd×R,Y=Hd×Rを原点にして印刷イメージ91を印刷し、加えて、X座標値1,1×Wp×R−1,2×Wp×R−1,...,Wn×R−1を通る縦線L10,L11,...,L1nと、Y座標値1,1×Hp×R−1,2×Hp×R−1,...,Hn×R−1を通る横線L20,L21,...,L2nとを境界指標として印刷するものである。
【0094】
上述の各処理において求められたタイリングオフセットWd,Hd等のタイリング印刷に必要なタイリング情報を図1のプリンタ31のような他の印刷手段に送信し、その印刷手段でタイリング印刷を行う構成としてもよい。これは、図6(b)のメニュー画面において「他のプリンタ」ボタンを押下した場合に実行される。送信の対象となるタイリング情報は上述のWi,Hi,Wd,Hd,タイリング用紙サイズ,印刷イメージファイル名,タイリング情報ファイル名等のうちの少なくとも一つを含む。
【0095】
メモリ16あるいは外部メモリ19に記憶されたタイリング情報を呼び出して、他の印刷手段に送信する構成としてもよい。操作部21のスキャナボタン21c3等を操作して、表示部22に表示される図示しないメニュー画面の操作により、メモリ16等に記憶されている所望のタイリング情報を呼び出し、呼び出されたタイリング情報から所望のものを選択する。次いで、送信先を指定してタイリング情報を送信する。
【0096】
また、プリンタ31が通信ネットワーク30に接続されていなくても、プリンタ31が外部メモリ19を着脱可能な構成であれば、複合機10で設定されたタイリング情報を用いてタイリング印刷が可能となる。
【0097】
また、図26のように、タイリング情報を、バーコード95や、QRコード(登録商標)のような二次元コードで用紙に印刷出力する構成としてもよい。この用紙に印刷イメージを印刷してスキャナ部24で読み取ると、印刷イメージとともにスキャナ部24に含まれる図示しないバーコードリーダや二次元コードリーダ等でその内容(タイリング情報)が読み取られ、読み取られたタイリング情報に基づいて印刷部23においてタイリング印刷が行われる。
【0098】
また、図27のように、印刷イメージを印刷する用紙にスキャンの際の位置決めのためのマーク100〜102を予め印刷しておいてもよい。また、印刷イメージを印刷する際に印刷してもよい。この印刷イメージおよびマーク100〜102が含まれた用紙を用いてスキャナ部24において印刷イメージの読み取りを行って、用紙がスキャナ部24の図示しない原稿読取台に正しくセットされず、例えば、図16(b)または(c)のように印刷イメージ画像の外縁がビットマップイメージの外縁と平行とならない場合、マーク100と102とを結ぶ線から横方向のずれを修正し、マーク100と101とを結ぶ線から縦方向のずれを修正することができる。修正されたビットマップイメージを用いれば、図16(a)のように、スキャン方向S1〜Snと平行にビットマップイメージが配置されタ状態でR要素あるいはB要素の探索を行うことができるので、探索処理効率が向上する。
【0099】
図28を用いて、図4のステップS8に相当するタイリング印刷処理について説明する。まず、印刷用紙サイズの設定(Wp,Hp)を取得する(S51)。取得の方法は以下のいずれを用いてもよい。
(1)ユーザが操作部21の操作により指定した用紙サイズ名から取得
用紙サイズそのものをWp,Hpとする。
(2)基本用紙サイズと、タイリング印刷時に使用する用紙との基本用紙サイズに対する縮尺比から取得
境界指標のシート1マスはA4サイズをデフォルトとしている。すなわち、A4サイズに対するWp,Hpがデフォルト値として決まっている。ユーザがA3サイズを選択したら、Wp,HpもA4→A3の倍率(144%)をかける。
(3)用紙サイズ名と印刷可能領域値から取得
用紙サイズに対応する印刷可能領域をWp,Hpとする。
【0100】
次に、レイアウト構成の設定(Wn,Hn)を取得する(S52)。取得の方法は以下のいずれを用いてもよい。
(1)2×2,3×3,4×4,5×5など印刷用紙構成がユーザから入力される。
(2)ユーザから印刷イメージをR倍するという入力がされ、印刷イメージのWi,Hiの拡大率Rから、Wn=(Wi×R+(Wp−1))/Wp,Hn=(Hi×R+(Hp−1))/Hpとして計算する。
【0101】
次に、上述した方法で演算されたWd,Hdを取得して上記で取得されたレイアウト構成に(倍率)に応じてWd,Hdの実際の値を演算し(S53)、印刷用紙位置の位置を表す変数x,yの値をともに1として初期化を行う(S54)。
【0102】
次に、各印刷ページの左上の頂点を(0,0)とした場合の印刷イメージの原点座標値を以下のように算出する(S55)。
X座標値=Wd-(x-1)×Wp,Y座標値=Hd-(y-1)×Hp
なお、1≦x≦Wn,1≦y≦Hnである。
【0103】
そして、その印刷用紙に対応する印刷イメージを印刷する(S56)。これらステップS55およびS56の処理を印刷用紙行の左から右へ順次行い(S57,S58)、行の右端の印刷用紙までの印刷が終了したら次の行の印刷用紙へ移り、行の左端の印刷用紙から順次印刷を行う(S59,S60)
【0104】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】複合機のブロック図。
【図2】複合機の操作パネルを示す図。
【図3】タイリング印刷を説明する図。
【図4】タイリングフォーマット設定処理1を説明するフロー図。
【図5】スキャンボタンが押下されたときの表示部の表示例。
【図6】タイリング印刷設定時の表示部の表示例。
【図7】タイリング印刷設定を記憶する場合の表示部の表示例。
【図8】タイリングフォーマット設定処理1を説明する図。
【図9】図8に続くタイリングフォーマット設定処理1を説明する図。
【図10】図9に続くタイリングフォーマット設定処理1を説明する図。
【図11】タイリング情報の記憶内容の一例を示す図。
【図12】タイリング情報認識処理を説明するフロー図。
【図13】タイリング情報認識処理を説明する図。
【図14】図13に続くタイリング情報認識処理を説明する図。
【図15】図14に続くタイリング情報認識処理を説明する図。
【図16】図15に続くタイリング情報認識処理を説明する図。
【図17】タイリングフォーマット設定処理2を説明する図。
【図18】図17に続くタイリングフォーマット設定処理2を説明する図。
【図19】タイリング情報認識処理の別の例を説明するフロー図。
【図20】図19のタイリング情報認識処理を説明する図。
【図21】タイリング情報認識処理の別の例を説明する図。
【図22】図21のタイリング情報認識処理を説明する図。
【図23】図22に続くタイリング情報認識処理を説明する図。
【図24】タイリング情報認識処理の別の例を説明する図。
【図25】タイリング確認印刷を説明する図。
【図26】タイリング情報のバーコード印刷を説明する図。
【図27】位置決めマーク印刷を説明する図。
【図28】タイリング印刷処理を説明するフロー図。
【符号の説明】
【0106】
10 複合機
11 CPU(相対位置決定手段,相対位置関係演算手段,境界指標座標決定手段,変換手段)
16 メモリ(出力手段)
19 外部メモリ(出力手段)
21 操作部
22 表示部
23 印刷部(印刷手段,確認出力手段)
24 スキャナ部
26 画像処理部
31 プリンタ(印刷手段,確認出力手段)
51 印刷イメージ(参考印刷画像)
52 印刷用紙(画像形成媒体)
53 透明シート(指標形成媒体)
55 ビットマップイメージ(参考印刷画像上に境界指標が積層された画像)
56 印刷イメージ画像(タイリング印刷対象画像)
57 境界指標画像(第2の境界指標)
65 ビットマップイメージ(タイリング印刷対象画像)
67 用紙枠画像
68,69 印画像
70 印刷用紙(第2の画像形成媒体)
71 印刷イメージ(参考印刷画像)
72a〜75a 横方向の基準枠
72b〜75b 縦方向の基準枠
76 横方向の境界指標選択欄(選択項目部)
77 縦方向の境界指標選択欄(選択項目部)
78 用紙サイズ選択欄(選択項目部)
80 印刷用紙(第2の画像形成媒体)
81 印刷イメージ(参考印刷画像)
82 横方向の境界指標選択欄(選択項目部)
83 縦方向の境界指標選択欄(選択項目部)
84 用紙サイズ選択欄(選択項目部)
85a〜87a 横方向の境界指標
85b〜87b 縦方向の境界指標
100 スキャナシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置で読み取られる参考印刷画像またはその画像の一部と、前記参考印刷画像を複数の領域に区切る境界指標との、座標上の相対位置関係に基づいて、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像と前記タイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段を含むことを特徴とするタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項2】
画像読取装置で読み取られる参考印刷画像と、画像読取装置で読み取られる前記参考印刷画像を複数の領域に区切る境界指標との、座標上の相対位置関係を演算する相対位置関係演算手段と、
その相対位置関係に基づいて、タイリング印刷対象画像と前記タイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段と、
を含むことを特徴とするタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項3】
画像読取装置で読み取られる参考印刷画像中で予め指定された画像部分と、予定されている前記参考印刷画像を複数の領域に区切る境界指標との相対位置関係を演算する相対位置関係演算手段と、
その相対位置関係に基づいて、タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像と前記タイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置を決定する相対位置決定手段と、
を含むことを特徴とするタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項4】
前記参考印刷画像が形成された画像形成媒体に前記境界指標が形成された透明性を有する指標形成媒体が前記参考印刷画像を透視可能な状態で重ね合わされ、前記参考印刷画像上に前記境界指標が積層された画像を前記画像読取装置が読み取り、
前記相対位置関係演算手段は、その読み取られた結果から前記相対位置関係を演算する請求項2または3に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項5】
前記参考印刷画像と前記境界指標を選択する選択項目部が形成された第2の画像形成媒体を前記画像読取装置が読み取り、
前記相対位置関係演算手段は、その選択項目部で示される境界指標から前記相対位置関係を演算する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項6】
前記境界指標は前記参考印刷画像上に形成され、
前記選択項目部においてその形成された境界指標を選択する請求項5に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項7】
前記参考印刷画像に対して前記境界指標が伸びる方向を示す目印が前記参考印刷画像上に形成されない位置に形成され、
前記選択項目部においてその形成された目印を選択する請求項5または6に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項8】
前記参考印刷画像は予め指定された所定の領域を含み、
前記境界指標と前記所定の領域とが重ならないように前記境界指標の座標を決定する境界指標座標決定手段を備える請求項3に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項9】
前記タイリング印刷のフォーマットにより前記参考印刷画像を印刷する印刷手段を備える請求項1ないし8のいずれか1項に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項10】
前記印刷手段とは別の外部機器に含まれる外部機器印刷手段で印刷するための、前記タイリング印刷のフォーマットを出力する出力手段を備える請求項9に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項11】
前記相対位置を確認するための確認出力手段を備える請求項1ないし10のいずれか1項に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項12】
前記境界指標はその境界を表す線分で記される請求項1ないし11のいずれか1項に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項13】
前記相対位置あるいは前記相対位置関係は、二次元座標で表される請求項1ないし12のいずれか1項に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。
【請求項14】
前記相対位置関係決定手段によって決定された前記タイリング印刷に際してのタイリング印刷対象画像と前記タイリング印刷対象画像を複数の領域に区切る第2の境界指標との相対位置のデータを、その相対位置関係を変えることなく実際の印刷すべき画像に対する境界指標の相対位置のデータに変換する変換手段を含み、
その変換された境界指標の相対位置のデータが前記印刷手段に出力されて前記タイリング印刷が実行される請求項9ないし12のいずれか1項に記載のタイリング印刷のフォーマット設定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図16】
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【図19】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−235746(P2007−235746A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56776(P2006−56776)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】