説明

タイルの成形金型

【課題】主に大型のタイル素地における全体的な充填密度の差を低減し、焼成収縮によって変形することが少いタイル成形金型を提供する。
【解決手段】下型2と型枠3とにより形成される成形空間4内に充填した粉体原料Wを上型にて圧縮成形する成形金型であって、下型2は、その下方に直立配置した3本以上の油圧シリンダ9のロッド9aの先端に固定されることにより、水平に支持され、各油圧シリンダ9は作動油Sを充填した密閉空間15に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体のタイル原料を圧縮成形するタイルの成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイルは、その裏面を形成する下型と該下型を囲繞する型枠とにより形成される成形空間へ粉枡(例えば、特許文献1参照)によってタイルの粉体原料を充填し、かかる成形空間内の粉体原料へタイル表面を形成する上型を降下させて加圧圧縮することでタイル素地を形成し、その後タイル素地が素焼、施釉、焼成等の工程を経ることで得られる。
ところが、粉枡による成形空間への粉体原料の投入では、成形空間内に全体的に均一な密度を以て粉体原料を充填することはかなり難しく、密度ムラのある状態で圧縮成形したタイル素地を焼成すると、その焼成時に収縮差を生じて所望形状のタイルが得られないことがある。
かかる不具合を解消するため、特許文献2に開示される様に、成形面をラバーで形成した下型において、ラバー直下に凹部を形成すると共に、該凹部に軟質材を充填した成形金型が開発された。
この成形金型を用いることにより、タイルの圧縮成形時に、軟質材からの反作用圧力がラバー及び粉体原料に付与され、高密度の原料充填位置では軟質材が高圧力で収縮変形変位し、低圧力部分へ移動した軟質材にて低密度の原料に圧力が付与されることになり、その結果、粉体原料の充填密度の粗密が解消されて、粉体原料を均等に加圧できるため、均一な成形密度のタイル素地を成形でき、焼成時に収縮差の少ない形状の安定したタイルが得られた。
【0003】
【特許文献1】実開昭60−34408号公報(第1図)
【特許文献2】特開2001−252915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記成形空間内への粉枡によるタイル原料の投入は、特許文献1に開示される様に、粉枡が型枠上面を成形空間における一端側からその対向側の他端側の間を往復する間に粉体原料を成形空間内へ投入することで成されるため、成形空間の一端側の方が原料投入量が多くなる傾向にあり、この傾向は大型タイルの方が粉枡のストロークが長いため顕著である。
そして、上記成形金型における軟質材は、圧縮成形時に軟質材が高密度の原料充填位置で収縮変形して低圧力部分側へ変形移動することにより、低密度の原料充填位置を押し上げる様に働く構成のため、高密度の原料充填位置で変形した軟質材が、容易に低密度の原料充填位置へ移動できる様な比較的面積が小さい小型タイルの成形には適している。
しかしながら、大型タイルの成形では、上記の様に成形空間内の両極端(一端側と他端側)に原料充填密度の顕著な粗密の差を有するため、軟質材が成形空間における一端側の高密度の原料充填位置で収縮変形してもその収縮変形量が他端側の低密度の原料充填位置へ移動してかかる箇所を押し上げる程に変形しない。
又、上記成形金型で成形されたタイル素地は、原料の充填密度を均一にできるが、原料充填密度の粗密に対応した箇所では、タイル裏面に凹凸を生ずることになるので、タイル素地の形状安定性、特に裏足の平滑性を図ることはできず、その後のタイル製造工程へ進む過程で多数のタイル素地を積重して搬送、保管する場合、タイル素地の積重状態は崩れ易いといった課題を有している。
そこで、本発明では、主に大型のタイル素地における全体的な充填密度の差を低減し、焼成収縮によって変形することが少なく、しかも平滑な裏足を成形できる様にしたタイルの成形金型を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明に係るタイルの成形金型は、下型と型枠とにより形成される成形空間内に充填した粉体原料を上型にて圧縮成形するものにして、下型は、その下方に直立配置した3本以上の油圧シリンダのロッドの先端に固定されることにより、水平に支持され、各油圧シリンダは作動油を充填した密閉空間に連通したことを特徴とする。
又、下型は、成形面をラバーで形成すると共に、該ラバーの周縁を細幅に残して水平に形成されたラバー裏面に平行に陥没させた凹部を形成し、該凹部内には、その周壁との間に柔軟材を介装すると共に、凹部高さより薄肉でラバー裏面に接着一体化した金属平板を設け、該金属平板の底部に下型の底部より凹部内に突入した各油圧シリンダのロッドの先端を固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、下型は、その下方に直立配置した3本以上の油圧シリンダのロッドの先端に固定されることにより、水平に支持され、各油圧シリンダは作動油を充填した密閉空間に連通したので、成形空間内に投入された粉体原料を上型にて圧縮成形すると、粉体原料は、下型成形面、下型を支持する各油圧シリンダのロッド及び作動油に圧力を及ぼし、この時、粉体原料における高密度充填箇所には高圧力が発生して、その対応個所のロッドが押し下げられ、粉体原料における低密度充填箇所で発生する圧力は弱く、下型のその対応個所を弱くしか押し下げられないが、高圧力発生部分に対応したロッドが前記の如く押し下げられることで、そのロッドを支承している作動油が密閉空間を通じて低圧力発生部分に対応したロッドのシリンダ内に送り込まれるため、そのロッドが上昇してかかる下型部位を押し上げて下部から反作用的に圧縮することになり、下型は各ロッドの上下動により三次元的に傾斜し、粉体原料はその全体的な充填密度の粗密の差を低減する様に圧縮成形され、焼成収縮によって変形することが少ないタイル素地が成形でき、下型が成形するタイル裏面を平滑化できる。
又、下型がタイル裏面の成形面を有するものであれば、当然ながら成形されたタイルの裏足を平滑に成形でき、成形されたタイル素地を多段に積重してもガタつくことはない。
【0007】
下型は、成形面をラバーで形成すると共に、該ラバーの周縁を細幅に残して水平に形成されたラバー裏面に平行に陥没させた凹部を形成し、該凹部内には、その周壁との間に柔軟材を介装すると共に、凹部高さより薄肉でラバー裏面に接着一体化した金属平板を設け、該金属平板の底部に下型の底部より凹部内に突入した各油圧シリンダのロッドの先端を固定したので、成形空間内に投入された粉体原料を上型にて圧縮成形すると、粉体原料は、ラバーから成る下型成形面、その下部の金属平板、該金属平板を支持している油圧シリンダのロッド及び作動油に圧力を及ぼし、この時、粉体原料における高密度充填箇所には高い圧力が発生して、成形面及び金属平板におけるその対応箇所のロッドが押し下げられ、粉体原料における低密度充填箇所で発生する圧力は弱く、成形面及び金属平板におけるその対応箇所を弱くしか押し下げられないが、高圧力発生部分に対応したロッドが前記の如く押し下げられることで、そのロッドを支承している作動油が密閉空間を通じて低圧力発生部位を押し上げて下部から反作用的に圧縮することになり、この様な各ロッドの上下動により金属平板は型枠との間に介在する柔軟材の弾性変形の許容範囲内で、成形面と共に三次元的に傾斜し、粉体原料はその全体的な充填密度の粗密の差を低減する様に圧縮成形され、焼成収縮によって変形することが少ないタイル素地を成形でき、下型が成形するタイル裏面を平滑に形成でき、例え裏足を有するタイルであっても同様に裏足を平滑に形成でき、そのタイル素地を多段に積重してもガタつくことはない。
又、上記成形時においては、下型における成形面及び金属平板のみが可動するだけであって、下型全体が動作しないため、下型を囲繞している型枠との間に下型全体が三次元的に傾斜するための狭小な隙間を設ける必要はなく、よって成形空間内の粉体原料が型枠と下型との間に入り込んでその可動に支障を招く恐れが全くなく、常に上記の様な良質なタイル素地を成形できる等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係るタイルの成形金型は、図1に示す様に、タイル裏面の成形面1を有する方形板状の下型2と、該下型2を囲繞する型枠3とにより形成される成形空間4内に充填した粉体原料Wを、タイル表面の成形面(図示せず)を有し、且つ図示しない昇降装置にて降下する方形板状の上型5にて圧縮成形する様に構成されている。
【0009】
下型2は、型枠3及び上型5と同様に金属製から成り、下型2の上面はラバーにて形成された成形面1を接着している。
成形面1は、図2に示す様に、タイル裏面に有する裏足を形成するための複数の凹溝1aを所定間隔置きに形成している。
【0010】
そして、下型2は、基台6上に固定された圧力受承台7上に設置されている。
圧力受承台7は、その上面の4隅の夫々に高さ方向に長いシリンダ装填穴8を穿設し、該シリンダ装填穴8の夫々に同一構成の単動式油圧シリンダ9をそのロッド9aの先端を上向きにして螺挿することにより、油圧シリンダ9を直立する様に支持し、該油圧シリンダ9の上端にはロックナット10を螺合し、該ロックナット10によりシリンダ装填穴8対する油圧シリンダ9の出没状態を調整して各ロッド9aの先端が圧力受承台7の上面より所定長さ突出する様に成している。
尚、ロッド9aの圧力受承台7の上面からの突出長は、約0.2 〜0.3 mmに設定されており、図3においては、その突出長を便宜上誇張して示している。
【0011】
各シリンダ装填穴8の下端には、油圧シリンダ9のテール部に設けた作動油Sの油口(図示せず)に液密状に連通する垂直な直通路11を設け、隣接する直通路11同士を圧力受承台7に水平に横穿した連結路12を介して連通し、各連通路12にて四角枠状で一連の環路13を構成している(図4参照)。
又、圧力受承台7の側面において連結路12の穿孔時に形成される複数の開口部の夫々は止栓14にて液密状に閉塞されることにより、各油圧シリンダ9に連通する直通路11と、各直通路11に連通する環路13とを一連の密閉空間15と成し、該密閉空間15内に作動油Sを充填している。
【0012】
圧力受承台7において、環路13の内側の適所には上下に貫通するボルト挿通穴16を設け、下型2の底部2aにはボルト挿通穴16に位置対応するねじ穴17を設けており、ボルト挿通穴16の下端を拡径形成したボルト頭掛止口からボルト挿通穴16より小径のボルト18を遊挿してその先端をねじ穴17に螺着することにて、油圧シリンダ9のロッド9aの先端上に下型2の底部2aの四方を固定している。
この様に、油圧シリンダ9のロッド9aの先端上に底部1aの四方を載上支持された下型2は、三次元的に傾斜可能と成しており、このため型枠3と下型2との間には狭小な隙間を設けている。
【0013】
尚、上記では、油圧シリンダ9を下型2下方の四方に直立配置して、各ロッド9aの先端に下型2の底部2aを固定することにより、粉体原料Wの未充填状態の下型2を水平に支持したものを示したが、この様に下型2を水平支持するには、該下型2の底部2aを適宜3点位置で支持しても成り立つので、3本の油圧シリンダ9を用いて下型2を水平支持しても良い。
要するに、粉体原料Wの未充填状態の下型2を水平に安定支持できる構成であれば、油圧シリンダ9は、3本以上であれば良く、用いられる油圧シリンダ9の本数に応じ、圧力受承台7に形成される装填穴8の位置及び個数と、密閉空間15の構成とを適宜に変更しても良い。
【0014】
上記の様に構成された成形金型における型枠3上面には、その右側から左側(逆でも良い)へ往復移動する粉枡(図示せず)が装備されており、粉体原料Wを投入した粉枡が型枠3上を往復移動する間に成形空間4内に粉体原料Wが充填される。
この場合、上述の如く成形空間4における右側の方が左側より原料投入量が多い傾向にあり、従って成形空間4において充填された粉体原料Wの充填密度は、粉枡の往路始端側(右側)と終端側(左側)に粗密の差が激しく、図1、3では成形空間4内における粉体原料Wの充填状態を誇張して示している。
そして、成形空間4内に充填された粉体原料Wを上型5の降下により加圧圧縮すると、粉体原料Wは、下型2の成形面1、油圧シリンダ9のロッド9a及び作動油Sに圧力を及ぼす。
【0015】
この時、成形空間4内における粉体原料Wの高密度充填箇所(主に原料投入量の多い傾向にある右側)には高圧力が発生して、その対応箇所のロッド9aが強く押し下げられて収縮する。
一方、粉体原料Wにおける低密度充填箇所で発生する圧力は弱く、下型2におけるその対応箇所を弱くしか押し下げられないが、高圧力発生部分に対応したロッド9aの降下により、これを支承している作動油Sが密閉空間15を通じて低圧力発生部分に対応したロッド9aの油圧シリンダ9内に送り込まれるため、そのロッド9aが上昇して下型2のかかる部位を押し上げて下部から反作用的に圧縮する。
この様に下型2は各ロッド9aの上下動により三次元的に傾斜し、高密度充填箇所では押し下がって低密度充填箇所では押し上がって粉体原料Wを圧縮し、粉体原料Wはその全体的な充填密度の粗密の差、特に成形空間4において左側と右側に激しく生ずる粗密の差を低減する様に圧縮成形され、その結果、焼成収縮によって変形することの少ないタイル素地が成形される。
【0016】
そして、成形されたタイル素地は、下型2の成形面1がタイル裏面を成形するものであり、そのラバー製の成形面1は金属製の下型2の平坦な上面にて圧縮されるので、成形されたタイルの裏足下面は凹凸が生ぜず極めて微細に傾斜はしているものの平滑に成形されるため、タイル素地を多段に積重てもガタつくことはない。
【0017】
図5、6に基づく第二実施例の成形金型は、上記の第一実施例における下型2を主に変形したものであり、第一実施例と同一又は相当部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0018】
この下型2は、図5に示す様に、上記と同様にラバーにて形成された成形面(以下、ラバーとも称する。)1の周縁を細幅に残して水平に形成されたラバー裏面1bに平行に陥没させた方形穴状の凹部19を形成し、下型2において凹部19の開口部周端面に成形面(ラバー)1の前記周縁の裏面を接着している。
又、凹部19内には、その周壁19aとの間にシリコーンゴムなどの様にゴム状弾性を有する素材から成る柔軟材20を介装すると共に、凹部19の高さより薄肉でラバー裏面1bに接着一体化した金属平板21を設けている。
【0019】
柔軟材20は、金属平板21と凹部19との間に形成される方形枠状の狭小間隔に配されるもにして、金属平板21の4側面と、この各側面と一致する凹部19の各周壁19aの上方部とを接着しており、この様に下型2を構成することにより、金属平板21はラバー1と共に柔軟材20の弾性変形の許容範囲内で三次元的に傾斜可能と成している。
そして、金属平板21の底部21aに下型2の底部2aより凹部19内に突入した各油圧シリンダ9のロッド9aの先端を固定している。
この固定は、第一実施例と同様に、圧力受承台7のボルト挿通穴16を通して上方へ突出するボルト18の先端を下型2の底部2aに設けたねじ穴17に螺着することによって成される。
【0020】
図6に示す様に、圧力受承台7の3方の夫々には、油圧シリンダ9を直立する様に支持している。
この3本の油圧シリンダ9は、第一実施例と同様に同一構成の単動式油圧シリンダであるが、第一実施例とは異なり圧力受承台7に一体的に設けている。
即ち、圧力受承台7の上面の3方の夫々に高さ方向に長いシリンダ室8を穿設し、該シリンダ室8には、その下部に設けた直通路11に連通する圧力室8aと、シリンダ室8の上方部8bとをOリングにて気密状に区画するピストン22を摺動自在に挿嵌し、該ピストン22の上面中央部にピストン22より小径で下型2の底部2aに貫設したロッド挿通穴23に挿通可能な長尺円柱状のロッド9aを突設している。
そして、シリンダ室8の上方開口部に挿嵌された円環状のバネ受け24とピストン22上面間にロッド9aを外嵌する圧縮スプリング25を介装している。
【0021】
又、作動油Sを充填した密閉空間15は、本実施例では、3本の油圧シリンダ9を圧力受承台7の3方に配置した関係上、直通路11に垂直に連通する連結路12によって、図6に示す様に、コ字状路13を構成している。
尚、油圧シリンダ9の本数(3本以上)、及び圧力受承台7に配置される位置等は、第一実施例と同様に粉体原料Wの未充填状態の下型2を水平に安定支持できる構成であれば良く、図示例に限定されない。
当然ながら、油圧シリンダ9は、第一実施例の様に、そのシリンダチューブを圧力受承台7に装填するタイプのものであっても良い。
逆に第一実施例の油圧シリンダ9を第二実施例に示した圧力受承台7と一体的なタイプとしても良い。
【0022】
上記の様に構成された成形金型における型枠3上面には、第一実施例と同様に図示しない粉枡が装備されており、粉体原料Wを投入した粉枡が型枠3上を往復移動する間に成形空間4内に粉体原料Wが充填される。
この場合、上述の如く成形空間4における右側の方が左側より原料投入量が多い傾向にあり、従って成形空間4において充填された粉体原料Wの充填密度は、粉枡の往路始端側(右側)と終端側(左側)に粗密の差が激しく、第一実施例と同様に図5では成形空間4内における粉体原料Wの充填状態を誇張して示している。
そして、成形空間4内に充填された粉体原料Wを上型5の降下により加圧圧縮すると、粉体原料Wは、下型2の成形面(ラバー)1と、該ラバー1の直下の金属平板21と、該金属平板21を支持している油圧シリンダ9のロッド9a及び作動油Sに圧力を及ぼす。
【0023】
この時、成形空間4内における粉体原料Wの高密度充填箇所(主に原料投入量の多い傾向にある右側)には高圧力が発生して、その対応箇所のロッド9aが強く押し下げられて収縮する。
一方、粉体原料Wにおける低密度充填箇所で発生する圧力は弱く、ラバー1及び金属平板21におけるその対応箇所を弱くしか押し下げられないが、高圧力発生部分に対応したロッド9aの降下により、これを支承している作動油Sが密閉空間15を通じて低圧力発生部分に対応したロッド9aの油圧シリンダ9内に送り込まれるため、そのロッド9aが上昇してラバー1及び金属平板21のかかる部位を押し上げて下部から反作用的に圧縮する。
この様にラバー1及び金属平板21は、各ロッド9aの上下動により柔軟材20の弾性変形の許容範囲内で三次元的に傾斜し、高密度充填箇所では押し下がって低密度充填箇所では押し上がって粉体原料Wを圧縮し、粉体原料Wはその全体的な充填密度の粗密の差、特に成形空間4において左側と右側に激しく生ずる粗密の差を低減する様に圧縮成形され、その結果、焼成収縮によって変形することの少ないタイル素地が成形される。
【0024】
そして、成形されたタイル素地は、下型2の成形面1がタイル裏面を成形するものであり、そのラバー製の成形面1は金属製の金属平板21の平坦な上面にて圧縮されるので、成形されたタイルの裏足下面は凹凸が生ぜず極めて微細に傾斜はしているものの平滑に成形されるため、タイル素地を多段に積重てもガタつくことはない。
【0025】
又、成形時において、上記の様に可動するのは、下型2におけるラバー1及び金属平板21であって、下型2全体が動作しないので、第一実施例の様に下型2を三次元的に傾斜可能に可動させるために型枠3と下型2との間に狭小な隙間を設ける必要がなく、よって成形空間4内の粉体原料Wが型枠3と下型2との間に入り込んでその可動に支障を招く恐れが全くない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】タイルの成形金型の正面部分断面図である。
【図2】下型の平面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】圧力受承台の平面図である。
【図5】第二実施例を示す要部断面図である。
【図6】図5の圧力受承台の平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 成形面(ラバー)
1b ラバー裏面
2 下型
2a 底部
3 型枠
4 成形空間
5 上型
9 油圧シリンダ
9a ロッド
15 密閉空間
19 凹部
19a 周壁
20 柔軟材
21 金属平板
21a 底部
S 作動油
W 粉体原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下型と型枠とにより形成される成形空間内に充填した粉体原料を上型にて圧縮成形する成形金型であって、下型は、その下方に直立配置した3本以上の油圧シリンダのロッドの先端に固定されることにより、水平に支持され、各油圧シリンダは作動油を充填した密閉空間に連通したことを特徴とするタイルの成形金型。
【請求項2】
下型は、成形面をラバーで形成すると共に、該ラバーの周縁を細幅に残して水平に形成されたラバー裏面に平行に陥没させた凹部を形成し、該凹部内には、その周壁との間に柔軟材を介装すると共に、凹部高さより薄肉でラバー裏面に接着一体化した金属平板を設け、該金属平板の底部に下型の底部より凹部内に突入した各油圧シリンダのロッドの先端を固定したことを特徴とする請求項1記載のタイルの成形金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−273182(P2008−273182A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73628(P2008−73628)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(591219647)日本超硬株式会社 (3)
【Fターム(参考)】