説明

タクシーチケット

【課題】各種複数のタクシー利用情報の記録媒体として使用することができるタクシーチケットを提供する。
【解決手段】タクシーチケット10は、タクシー車両のタクシーメーターに接続されたICタグリーダ/ライタを介して各種のタクシー利用情報を書き込み可能なICタグ11を備えている。タクシー利用情報は、タクシー車両の利用時にICタグリーダ/ライタからICタグ11に書き込まれる。タクシー利用情報には、タクシー車両の利用料金と、GPSを利用して測位された利用者のタクシー車両への乗車地を示す乗車地座標と、GPSを利用して測位された利用者のタクシー車両からの降車地を示す降車地座標とが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー車両を利用した利用者がその利用料金の支払いに使用するタクシーチケットに関する。
【背景技術】
【0002】
所定のバーコードが表示されたタクシーチケットと、タクシー車両に搭載されてタクシーメーターに接続されたチケット認証装置と、チケット認証情報が格納されてチケット認証装置に挿脱可能に挿入されるメモリカード(ICカード)とから形成され、チケット認証装置においてタクシーチケットの使用可否を判断するチケット認証システムがある(特許文献1参照)。チケット認証装置は、バーコードのチケット識別番号を読み取り可能であり、タクシーチケットに利用料金を印字可能である。さらに、メモリカードに格納された使用禁止チケット識別番号を読み取り可能であり、メモリカードに利用料金を書き込み可能である。
【0003】
このチケット認証システムにおけるチケット認証手続きを説明すると、以下のとおりである。乗務員は、タクシー車両の運行に先立って、メモリカードをチケット認証装置に挿入する。メモリカードに格納された使用禁止チケット識別番号は、メモリカードからチケット認証装置に転送される。タクシー車両の利用者は、タクシー車両に乗車し、目的地に到着した後、保持するタクシーチケットを乗務員に提供する。乗務員は、受け取ったタクシーチケットをチケット認証装置のバーコードリーダに挿入する。タクシーチケットのバーコードが表すチケット識別番号は、バーコードリーダによって読み取られる。チケット認証装置は、メモリカードの使用禁止チケット識別番号とタクシーチケットのチケット識別番号とを比較する。
【0004】
チケット認証装置は、使用禁止チケット識別番号とチケット識別番号とを比較した結果、使用禁止チケット識別番号の中にチケット識別番号が含まれる場合、そのチケット識別番号のタクシーチケットの使用不可メッセージを表示する。一方、使用禁止チケット識別番号の中にチケット識別番号が含まれない場合、チケット認証装置は、そのチケット識別番号のタクシーチケットを使用可と判断し、利用料金をタクシーチケットに印字するとともに、タクシーチケットのチケット識別番号と利用料金とをメモリカードに書き込む。乗務員は、利用料金が印字されたタクシーチケットを利用者に渡し、タクシー乗務終了後に利用料金が格納されたメモリカードをタクシー会社の業務担当者に提出する。
【特許文献1】特開2005−309480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示のチケット認証システムは、タクシーチケットに表示されたバーコードが表すチケット識別番号とメモリカードの使用禁止チケット識別番号とを比較してチケットの有効性を判断するから、チケットの不正利用を防止することができる。しかし、タクシーチケットにタクシー車両の利用料金を格納することができないのみならず、他のタクシー利用情報を格納することができないから、タクシーチケットを各種複数のタクシー利用情報の記録媒体として使用することができない。また、利用料金をタクシーチケットに印字するための時間を必要とし、その分利用者を待たせる結果となる。
【0006】
本発明の目的は、各種複数のタクシー利用情報の記録媒体として使用することができるタクシーチケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、タクシー車両を利用した利用者がその利用料金の支払いに使用するタクシーチケットである。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、タクシーチケットがタクシー車両のタクシーメーターに接続されたICタグリーダ/ライタを介して各種のタクシー利用情報を書き込み可能なICタグを備え、タクシー利用情報がタクシー車両の利用時にICタグリーダ/ライタから前記ICタグに書き込まれ、タクシー利用情報には、タクシー車両の利用料金と、GPSを利用して測位された利用者のタクシー車両への乗車地を示す乗車地座標と、GPSを利用して測位された利用者のタクシー車両からの降車地を示す降車地座標とが含まれることにある。
【0009】
本発明の一例として、タクシー利用情報には、タクシー車両のタクシー会社を識別可能なタクシー会社識別データと、タクシー車両を識別可能なタクシー車両識別データとが含まれる。
【0010】
本発明の他の一例として、タクシー利用情報には、タクシー車両の乗車地における乗車日時と、タクシー車両の降車地における降車日時と、降車時間から乗車時間を差し引いた利用時間とが含まれる。
【0011】
本発明の他の一例として、タクシー利用情報には、タクシーチケットを使用した場合のその使用済を示す使用済チケット識別データが含まれる。
【0012】
本発明の他の一例として、タクシー利用情報には、乗車地から降車地までの間のタクシー車両の走行距離が含まれる。
【0013】
本発明の他の一例として、タクシー利用情報には、GPSを利用して測位され、乗車地から降車地までの間の運行行程におけるタクシー車両の位置を示す複数の第1〜第n運行行程座標が含まれる。
【0014】
本発明の他の一例としては、ICタグリーダ/ライタを介して読み取り可能な各種のチケット属性情報がICタグに格納され、チケット属性情報には、タクシーチケットの有効期限と、タクシーチケットの利用上限金額とが含まれる。
【0015】
本発明の他の一例として、チケット属性情報には、タクシーチケットを識別するチケット識別データが含まれ、チケット識別データがタクシーチケットを紛失した場合のそのチケットを識別する紛失チケット識別データと照合される。
【0016】
本発明の他の一例として、チケット属性情報には、タクシーチケットを発行した発行元を示す発行元識別データと、タクシーチケットを利用するチケット利用先を示すチケット利用先識別データとが含まれる。
【0017】
本発明の他の一例としては、タクシーチケットが紙とポリエステルとのいずれか一方から作られたシートであって1回限りの使い捨てである。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるタクシーチケットによれば、それに設置されたICタグを利用して各種のタクシー利用情報を格納することができるから、各種のタクシー利用情報の記録媒体として使用することができる。タクシーチケットは、タクシー車両の利用料金がICタグリーダ/ライタからチケットに格納されるから、利用者がチケットに利用料金を記入する必要はなく、利用者の記入の手間を省くことができ、利用者の負担を軽減することができる。また、利用料金がICタグリーダ/ライタからチケットに瞬時に格納されるから、利用料金をチケットに印字する場合と比較し、利用者を待たせることはない。タクシーチケットは、乗車地座標と降車地座標とがICタグリーダ/ライタからタクシーチケットに格納されるから、乗車地や降車地を乗務員が手書きによって記録する必要はなく、乗務員の記録の手間を省くことができ、乗務員の負担を軽減することができる。このタクシーチケットは、ICタグリーダ/ライタを介してそれに利用料金が格納され、利用者や乗務員がタクシーチケットに利用料金を記入することはないから、利用者や乗務員による利用料金の不正記入を防ぐことができる。
【0019】
タクシー利用情報として、タクシー車両のタクシー会社を識別可能なタクシー会社識別データと、タクシー車両を識別可能なタクシー車両識別データとを含むタクシーチケットは、タクシー車両を識別するタクシー車両識別データがICタグリーダ/ライタからタクシーチケットに格納されるから、タクシーチケットを介してそのチケットが利用されたタクシー車両を特定することができ、チケットの精算集計業務を担当する担当者がタクシーチケットとタクシー車両との対応付けを行う必要はなく、その担当者の負担を軽減することができる。さらに、タクシー会社を識別するタクシー会社識別データがICタグリーダ/ライタからタクシーチケットに格納されるから、タクシーチケットを介してそのチケットが利用されたタクシー車両のタクシー会社を特定することができ、チケットの精算集計業務を担当する担当者がタクシー車両とタクシー会社との対応付けを行う必要はなく、その担当者の負担を軽減することができる。
【0020】
タクシー利用情報として、タクシー車両への乗車日時と、タクシー車両からの降車日時と、降車時間から乗車時間を差し引いた利用時間とを含むタクシーチケットは、利用者の乗車日時や降車日時がICタグリーダ/ライタからタクシーチケットに格納されるから、それらを乗務員が手書きによって記録する必要はなく、乗務員の記録の手間を省くことができ、乗務員の負担を軽減することができる。このタクシーチケットは、利用者のタクシー車両における利用時間がタクシーチケットに格納されるから、タクシーチケット毎にタクシー車両の利用時間を特定することができ、タクシーチケット毎に利用時間を集計することができる。
【0021】
タクシー利用情報として、タクシーチケットを使用した場合のその使用済を示す使用済チケット識別データを含むタクシーチケットは、ICタグに格納された使用済チケット識別データを確認することで、チケットの使用または未使用を判別することができるから、使用済のチケットの再使用を防ぐことができ、チケットの不正な再利用を防止することができる。このタクシーチケットは、その未使用や使用済を乗務員が確認する必要はないから、乗務員による確認ミスを防ぐことができる。
【0022】
タクシー利用情報として、乗車地から降車地までの間のタクシー車両の走行距離を含むタクシーチケットは、乗車地から降車地までの間の走行距離がICタグリーダ/ライタからタクシーチケットに格納されるから、それを乗務員が手書きによって記録する必要はなく、乗務員の記録の手間を省くことができ、乗務員の負担を軽減することができる。また、タクシーチケット毎にタクシー車両の走行距離を特定することができ、タクシーチケット毎に走行距離を集計することができる。
【0023】
タクシー利用情報として、出発地から到着地までの間の運行行程におけるタクシー車両の位置を示す複数の第1〜第n運行行程座標を含むタクシーチケットは、各タクシーチケット毎にそのチケットを使用したタクシー車両の運行行程を割り出すことができ、タクシーチケット毎にタクシー車両の運行ルートを特定することができる。
【0024】
ICタグリーダ/ライタを介して読み取り可能な各種のチケット属性情報がICタグに格納され、チケット属性情報として、チケットの有効期限とチケットの利用上限金額とを含むタクシーチケットは、ICタグリーダ/ライタを介してチケットの有効期限が読み取られ、電子データ化された有効期限に基づいて期限内か期限外かが判断されるから、チケットの有効期限を乗務員が確認する必要はなく、乗務員の確認作業の手間を省くことができる。また、ICタグリーダ/ライタを介してチケットの利用上限金額が読み取られ、電子データ化された利用上限金額に基づいて限度内か限度外かが判断されるから、チケットの限度額超過を乗務員が確認する必要はなく、乗務員の確認作業の手間を省くことができる。このタクシーチケットは、その有効期限や利用上限金額を乗務員が確認する必要はないから、乗務員による期限や限度額の確認ミスを防ぐことができる。
【0025】
チケット属性情報として、チケットを識別するチケット識別データが含まれ、チケット識別データが紛失チケット識別データと照合されるタクシーチケットは、ICタグリーダ/ライタを介してチケット識別データが読み取られ、そのチケット識別データが紛失チケットの紛失チケット識別データと照合されることで、チケットが拾得物かどうかを判別することができ、チケットを拾得した拾得者によるチケットの利用を防ぐことができる。また、チケットが盗まれたものかどうかを判別することができ、窃盗犯によるチケットの不正利用を防ぐことができる。
【0026】
チケット属性情報として、チケットを発行した発行元を示す発行元識別データとチケットを利用するチケット利用先を示すチケット利用先識別データとを含むタクシーチケットは、タクシーチケットを介してそのチケットの発行元を特定することができ、チケットの精算集計業務において担当者がチケットとその発行元との対応付けを行う必要はなく、精算集計業務を担当する担当者の負担を軽減することができる。また、タクシーチケットを介してそのチケットの利用先を特定することができ、チケットの精算集計業務を担当する担当者がチケットとその利用先との対応付けを行う必要はなく、その担当者の負担を軽減することができる。
【0027】
紙とポリエステルとのいずれか一方から作られたシートであって1回限りの使い捨てであるタクシーチケットは、それの複数枚を安価に作ることができるから、チケットにかかるコストを低減することができるのみならず、それの制作費を利用先に負担してもらう必要がなく、利用先にチケット自体を無償で提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
添付の図面を参照し、本発明にかかるタクシーチケットの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示すタクシーチケット10の斜視図であり、図2は、タクシーチケット10を利用したチケット処理システムの一例を示す概略構成図である。図3は、タクシー車両12の車載装置13の一例を示す概略構成図である。なお、図1に示すタクシーチケット10では、発行事業者名や利用法人名、利用部所名等の具体的な記載を省略している。図2では、タクシー会社14を1社のみ図示しているが、実際には複数のタクシー会社14が存在し、それらタクシー会社14の業務管理装置15がチケット処理システム内に存在する。タクシーチケット10は、その平面形状が名刺と略同形同大の長方形に作られている。タクシーチケット10には、ICタグ11が取り付けられている。
【0029】
タクシーチケット10は、紙から作られ、重なり合う紙の間にICタグ11が接着剤によって固定されている。また、ポリエステルシート(PETシート)から作られ、重なり合うポリエステルシートの間にICタグ11が固定されている。図2では、タクシーチケット10を1枚のみ図示しているが、実際には複数枚のチケット10が一纏めになって利用法人等に発行される。紙には、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄葉印刷紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、コート紙、再生紙等を使用することができる。また、紙とポリエステルシートとの複合シートを使用することもできる。タクシーチケット10は、それが紙やポリエステルシートから作られるから、それの複数枚を安価に作ることができる。
【0030】
チケット処理システムは、タクシー車両12に搭載された車載装置13と、そのタクシー車両12のタクシー業を運営するタクシー会社14に設置された業務管理装置15と、タクシーチケット10を発行する発行事業者16(発行元)に設置されたチケット発行装置17と、タクシーチケットセンター18に設置されたデータ集計管理装置19とから構成されている。チケット処理システムでは、車載装置13や業務管理装置15、チケット発行装置17、データ集計管理装置19がネットワークを形成している。
【0031】
タクシーチケット10には、発行事業者名(発行元名)、その事業者を識別する発行事業者識別番号、タクシーチケット10を識別するチケット識別番号、利用法人名、その利用法人を識別する利用法人識別番号(コード)、利用部門、利用部門を識別する利用部門識別番号(コード)、利用者署名欄が印字されている。タクシーチケット10は、タクシー車両を利用した利用者(乗客)が降車地(目的地)において乗務員に提供する。利用者は、チケット10の利用者署名欄にサインをした後、チケット10を乗務員に手渡す。乗務員は、利用者から受け取ったタクシーチケット10を乗務終了後にタクシー会社の業務担当者に提出する。
【0032】
タクシーチケット10に取り付けられたICタグ11には、ICタグリーダ/ライタを利用し、各種複数のタクシー利用情報や各種複数のチケット属性情報を書き込み可能である。ゆえに、タクシーチケット10には、タクシー利用情報やチケット属性情報を格納することができる。また、ICタグリーダ/ライタを利用し、ICタグ11からタクシー利用情報やチケット属性情報を読み取り可能である。ゆえに、タクシーチケット10からタクシー利用情報やチケット属性情報を取得することができる。
【0033】
ICタグ11は、制御部とアンテナとから形成されている(図示せず)。制御部は、コントロール回路とデコード回路と無線回路とメモリとから形成されている。ICタグ11の制御部は、それがICタグリーダ/ライタと送受信可能になると、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、そのアプリケーションに従って各プロセスを実行する。ICタグ11の制御部は、アンテナが受信したタクシー利用情報やチケット属性情報を示す電波信号を復調しつつ、その電波信号をメモリが記憶可能な言語に変換し、タクシー利用情報やチケット属性情報をメモリの物理アドレス領域に格納する。制御部は、メモリに格納されたタクシー利用情報やチケット属性情報を電波信号に変換しつつ電波信号を変調し、アンテナを介して電波信号をチケットから外部に発信する。
【0034】
ICタグ11には、リードライト型を使用することができる。ICタグ11には、ICタグリーダ/ライタのアンテナとの交信距離が数ミリメートル〜数メートルの近傍型を使用することが好ましい。ICタグリーダ/ライタのアンテナとICタグ11との伝送媒体方式は、交流磁界によるコイルの相互インダクタンスを利用してICタグ11を作動させる電磁結合型、ICタグ11のコイル状アンテナに生じる誘導起電力を利用してICタグ11を作動させる電磁誘導型、ICタグリーダ/ライタのアンテナから発信されたマイクロ波によってICタグ11を作動させるマイクロ波型のいずれであってもよい。
【0035】
タクシー利用情報には、タクシー車両12の利用料金、乗車地座標(GPSコード)、降車地座標(GPSコード)、タクシー車両12のタクシー会社14を識別するタクシー会社識別番号(タクシー会社識別データ)、タクシー車両12を識別するタクシー車両識別番号(タクシー車両識別データ)、タクシー車両12の乗車地における乗車日時、タクシー車両12の降車地における降車日時、降車時間から乗車時間を差し引いた利用時間、タクシーチケット10を使用した場合のその使用済を示す使用済チケット識別符号(使用済チケット識別データ)、乗車地から降車地までの間のタクシー車両12の走行距離、乗車地から降車地までの間の運行行程におけるタクシー車両12の位置を示す複数の第1〜第n運行行程座標(GPSコード)が含まれる。タクシー会社識別番号やタクシー車両識別番号には、数字、文字、または、数字と文字との組み合わせ等が使用され、任意に決定される。
【0036】
タクシー車両12の利用料金には、迎車料金、メーター料金、有料道路料金、合計料金が含まれる。乗車地座標は、タクシー車両12に搭載されたGPS(Global Positioning System)端末22によって測位された位置座標(タクシー車両の位置情報)であり、利用者のタクシー車両12への乗車地(出発地)を示す。降車地座標は、GPS端末22によって測位された位置座標であり、利用者のタクシー車両12からの降車地(到着地)を示す。第1〜第n運行行程座標は、GPS端末22によって測位された複数の位置座標であり、乗車地から降車地までの間の運行ポイントにおけるタクシー車両12の位置を示す。
【0037】
チケット属性情報には、タクシーチケット10を識別するチケット識別番号(チケット識別データ)、タクシーチケット10の有効期限、タクシーチケット10の利用上限金額、タクシーチケット10を発行した発行事業者16を示す発行事業者識別番号(発行元識別データ)、タクシーチケット10を利用する利用法人を示す利用法人識別番号(チケット利用先識別データ)、その利用法人の利用部門を示す利用部門識別番号(利用部門識別データ)が含まれる。チケット識別番号や発行事業者識別番号、利用法人識別番号、利用部門識別番号は、数字、文字、または、数字と文字との組み合わせ等が使用され、任意に決定される。
【0038】
タクシー車両12の車載装置13は、図3に示すように、タクシーメーター20、無線機21、GPS端末22、ETC車載器23、ICタグリーダ/ライタ24とから形成されている。無線機21やGPS端末22、ETC車載器23、ICタグリーダ/ライタ24は、インターフェイスを介してタクシーメーター20に接続されている。タクシーメーター20には、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリとを有するコンピュータが内蔵されている。タクシーメーター20には、図示はしていないが、ICカード(記憶デバイス)が挿脱可能に挿入される。ICカードは、タクシー会社14が発行し、タクシー車両12の乗務員が各々所持する。乗務員は、タクシー車両12の運行に先立って、ICカードをタクシーメーター20に挿入するとともに、業務が終了した後、ICカードをタクシーメーター20から取り外し、それをタクシー会社14の業務担当者に提出する。
【0039】
ICタグリーダ/ライタ24は、コントロール回路とデコード回路と無線回路とから形成されている(図示せず)。ICタグリーダ/ライタ24は、タクシーチケット10のICタグ11と送受信可能になると、ICタグ11からタクシー利用情報やチケット属性情報を読み取るとともに、ICタグ11にタクシー利用情報やチケット属性を書き込む。ICタグリーダ/ライタ24は、アンテナが受信したタクシー利用情報やチケット属性情報を示す電波信号を復調して電気信号に変換し、その電気信号を出力する。また、タクシー利用情報やチケット属性情報を示す電気信号を電波信号に変換しつつ電波信号を復調し、アンテナを介してその電波信号をICタグ 11に送信する。なお、業務管理装置15やチケット発行装置16、データ集計管理装置17に接続されたICタグリーダ/ライタも同様の機能を有する。
【0040】
タクシーメーター20は、迎車料金、メーター料金、ETC車載器から出力された有料道路料金を合計して合計料金を算出するとともに、それら料金(運行データ)をICカードのメモリに格納する。また、ICタグリーダ/ライタ24を介してそれら料金をタクシーチケット10のICタグ11に書き込む。タクシーメーター20は、GPS端末22から出力されたGPS座標(乗車地座標、降車地座標、第1〜第n運行行程座標(運行データ))をICカードのメモリに格納する。また、ICタグリーダ/ライタ24を介してそれらGPS座標をタクシーチケット10のICタグ11に書き込む。タクシーメーター20は、乗車日時、降車日時、利用時間、走行距離等の運行データをICカードのメモリに格納する。また、ICタグリーダ/ライタ24を介してタクシー会社識別番号、タクシー車両識別番号、乗車日時、降車日時、利用時間、走行距離をタクシーチケット10のICタグ11に書き込む。
【0041】
タクシーメーター20は、ICタグリーダ/ライタ24を介してタクシーチケット10のICタグ11からチケット識別番号を取得し、そのチケット識別番号を無線機21を介してタクシー会社14の業務管理装置15に送信する。タクシーメーター20は、紛失チケットを識別する紛失チケット識別番号(紛失チケット識別データ)の中にチケット識別番号が含まれているとの判断結果を業務管理装置15から受信した場合、そのチケット10が紛失チケットに該当するメッセージを表示する(ディスプレイへのメッセージ画像の表示、スピーカーからのメッセージ音声の出力)。
【0042】
タクシーメーター20は、タクシーチケット10に使用済チケット識別符号が記録されているかを判別し、チケット10がすでに使用済であると判断すると、そのチケット10の使用不可メッセージを表示する。タクシーメーター20は、タクシーチケット10からその有効期限を取得し、チケット10が有効期限を経過したものであると判断すると、そのチケット10の有効期限経過メッセージを表示する。タクシーメーター20は、タクシーチケット10からその利用上限金額を取得し、利用金額が利用上限金額を超過していると判断すると、そのチケット10の利用上限金額超過メッセージを表示する。
【0043】
タクシー会社14に設置された業務管理装置15は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリとを有するコンピュータを主体とし、そのコンピュータにキーボードやマウス等の入力装置やディスプレイやプリンタ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されたコンピュータ処理システムである。業務管理装置15は、タクシー車両12の管理や乗務員の管理等の会社の業務を総合的に管理する。業務管理装置15には、図示はしていないが、ICタグリーダ/ライタが接続されている。業務管理装置15は、乗務員から提出されたICカードの各種複数の運行データを読み取り、それら運行データを集計する。
【0044】
業務管理装置15は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段を実行する。業務管理装置15は、ICタグリーダ/ライタを介してタクシーチケット10からタクシー利用情報を読み取ることで、チケット10からタクシー利用情報を取得するタクシー利用情報取得手段を実行する。業務管理装置15は、タクシーチケット10から取得したタクシー利用情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納するタクシー利用情報格納手段を実行する。業務管理装置15は、ICタグリーダ/ライタを介してタクシーチケット10からチケット属性情報を読み取ることで、チケット10からチケット属性情報を取得するチケット属性情報取得手段を実行する。業務管理装置15は、タクシーチケット10から取得したチケット属性情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納するチケット属性情報格納手段を実行する。
【0045】
業務管理装置15は、タクシー利用情報やチケット属性情報をタクシーチケットセンター18のデータ集計管理装置19に出力する情報送信手段を実行する。業務管理装置15は、タクシー車両12の無線機21からタクシーチケット識別番号を受信し、紛失チケット識別番号(紛失チケット識別データ)の中に受信したチケット識別番号が含まれているかを判断する紛失チケット判別手段を実行し、その判断結果をタクシー車両12の無線機21に送信する判断結果送信手段を実行する。なお、タクシーチケット10の紛失の報告(タクシーチケット10を紛失した場合のそのチケット10を識別する紛失チケット識別番号またはタクシーチケット10が盗まれた場合のそのチケット10を識別する紛失チケット識別番号)は、チケット10の利用法人が発行事業者16に連絡する。紛失チケット識別番号は、発行事業者16から各タクシー会社14に送信され、それらタクシー会社14の業務管理装置15のメモリに格納される。
【0046】
発行事業者16に設置されたチケット発行装置17は、中央処理部とメモリとを有するコンピュータを主体とし、そのコンピュータにキーボードやマウス等の入力装置やディスプレイやプリンタ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されたコンピュータ処理システムである。チケット発行装置17は、タクシーチケット10の発行を管理し、紛失チケットの紛失チケット識別番号を各タクシー会社14に送信する。チケット発行装置16のメモリには、タクシーチケット10に付与する連番のチケット識別番号、タクシーチケット10を発行する発行事業者16を示す各種複数の発行事業者識別番号、タクシーチケット10の利用先法人を示す各種複数の利用法人識別番号、それら利用法人の各利用部門を示す利用部門識別番号が格納されている。タクシーチケット10の紛失の報告を受けた場合、チケット発行装置17は、紛失チケット識別番号をメモリに格納する。
【0047】
チケット発行装置17には、図示はしていないが、ICタグリーダ/ライタが接続されている。チケット発行装置17は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段を実行する。チケット発行装置17は、タクシーチケット10にチケット属性情報(チケット識別番号、発行事業者識別番号、利用法人識別番号、利用部門識別番号、有効期限、利用上限金額)を格納するチケット属性情報格納手段を実行する。チケット発行装置17は、タクシーチケット10に格納したチケット属性情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納する。チケット発行装置17は、紛失チケット識別番号を各タクシー会社14の業務管理装置15に送信する紛失チケット識別番号送信手段を実行する。
【0048】
チケット発行装置17におけるタクシーチケット10の発行手順を説明すると、以下のとおりである。発行事業者16の業務担当者は、チケット発行装置17に接続されたICタグリーダ/ライタにタクシーチケット10の複数枚をセットする。次に、入力装置を介してチケット属性情報のうちの有効期限、利用上限金額、利用法人名、その利用法人の利用部門をチケット発行装置に入力する。それらを入力した後、書き込み開始をチケット発行装置17に指示する。チケット発行装置17は、書き込み開始指示に従い、ICタグリーダ/ライタを介してタクシーチケット10のICタグ11にチケット属性情報を書き込む(チケット属性情報格納手段)。タクシーチケット10のICタグ11には、チケット10に割り振られたチケット識別番号、入力された有効期限や利用上限金額、利用法人名に対応する利用法人識別番号、利用部門に対応する利用部門識別番号が書き込まれる。また、タクシーチケット10には、発行事業者名、発行事業者識別番号、チケット識別番号、利用法人名、利用法人識別番号、利用部門名、利用部門識別番号が印刷される。チケット発行装置17によって発行されたタクシーチケット10は、各利用法人に郵送される。
【0049】
タクシーチケットセンター18に設置されたデータ集計管理装置19は、中央処理部とメモリとを有するコンピュータを主体とし、そのコンピュータにキーボードやマウス等の入力装置やディスプレイやプリンタ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されたコンピュータ処理システムである。データ集計管理装置19には、図示はしていないが、ICタグリーダ/ライタが接続されている。データ集計管理装置19は、各タクシー会社14から送信されたタクシー利用情報やチケット属性情報を受信し、また、タクシーチケットセンター18に直送されたチケット10のタクシー利用情報やチケット属性情報を取得してそれら情報を集計する。
【0050】
データ集計管理装置19は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って以下の各手段を実行する。データ集計管理装置19は、タクシー会社14の業務管理装置15からタクシー利用情報を受信し、受信したタクシー利用情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納する利用情報格納手段を実行する。データ集計管理装置19は、タクシー会社14の業務管理装置15からチケット属性情報を受信し、受信したチケット属性情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納する属性情報格納手段を実行する。データ集計管理装置19は、タクシー利用情報やチケット属性情報を所定の書式に従って集計しつつ集計表を作成する情報集計手段を実行し、情報集計手段によって作成した集計表を出力する集計表出力手段を実行する。
【0051】
図4は、タクシー車両12の乗車から降車までの間に行われるチケット処理システムにおける処理手順の一例を説明する図であり、図5は、タクシー車両12の乗車から降車までの間の乗車地座標や降車地座標、第1〜第n運行行程座標の格納の一例を説明する図である。図6は、タクシー車両12の車載装置13によって行われるチケット処理手順の一例を示すフローチャートであり、図7は、図6から続くフローチャートである。図4,5では、乗車地を利用者25の自宅26とし、降車地を利用者25の勤務会社27としている
【0052】
乗務員は、タクシー車両12への乗務時にタクシーメーター20にICカードを挿入した後、タクシー車両12の運行を開始する。乗務員は、利用者25がタクシー車両12に乗車した後、タクシーメーター20の実車ボタンを押し、利用者の自宅26から勤務会社27に向かう。実車ボタンを押すと、GPS端末22から乗車地座標(GPSコード)がタクシーメーター20に出力され、その乗車地座標がタクシーメーター20からICカードのメモリに格納される(S−10)。タクシーメーター20は、利用者を乗せた賃走時においてメーター料金を監視するとともに、ETC車載器23から出力された有料道路料金を記憶する。賃送時では、メーター料金が走行に応じて増加する。
【0053】
図5に示すように、タクシー車両12が乗車地(利用者25の自宅26)を出発し、降車地(利用者25の勤務会社27)に到着するまでの間の運行ルートにおいて、GPS端末22は所定の時間間隔(たとえば、10秒間隔、30秒間隔、1分間隔、2分間隔等の等間隔)で第1〜第n運行行程座標(GPSコード)をタクシーメーター20に出力する。その一例としてGPS端末22は、乗車地において乗車地座標をタクシーメーター20に出力してから30秒経過した後に、第1運行行程座標を出力し、第1運行行程座標を出力してから30秒経過した後に、第2運行行程座標を出力する。このように、乗車地から降車地までの間に30秒の等間隔で運行行程座標を出力する。タクシーメーター20に出力された第1〜第n運行行程座標は、タクシーメーター20からICカードのメモリに格納される(S−11)。
【0054】
タクシー車両12が利用者25の勤務会社27に到着すると、乗務員は、タクシーメーター20の支払いボタンを押す。支払いボタンを押すと、GPS端末22から降車地座標がタクシーメーター20に出力され、その降車地座標がタクシーメーター20からICカードのメモリに格納される(S−12)。タクシーメーター20は、メーター料金と有料道路料金とを合計して合計料金を算出する。乗務員は、未収の指定をする(S−13)。
【0055】
利用者は、降車する前に所持するタクシーチケット10にサインをした後、そのチケット10を乗務員に渡す。乗務員は、受け取ったチケット10をICタグリーダ/ライタ24に挿入する(S−14)。ICタグリーダ/ライタ24では、タクシーチケット10のICタグ11に格納されたチケット属性情報を読み取る。なお、タクシーメーター20は、ICタグリーダ/ライタ24がチケット属性情報を正常に読み取ったかを判断する(S−15)。ICタグリーダ/ライタ24では、ICタグ11の書き込み形式やICタグ11の破損によってタグ11に格納された情報を正常に読みとれない場合がある。この場合、タクシーメーター20は、情報の取得不能メッセージを表示する(S−16)。
【0056】
ICタグリーダ/ライタ24は、チケット属性情報を正常に読み取った場合、そのチケット属性情報をタクシーメーター20に出力する。タクシーメーター20は、チケット属性情報のうちのチケット識別番号を無線機21を介してタクシー会社14の業務管理装置15に送信する(S−17)。業務管理装置15は、タクシー車両12の無線機21からタクシーチケット識別番号を受信すると、紛失チケット識別番号をメモリから抽出し、紛失チケット識別番号の中に受信したチケット識別番号が含まれているかを判断する(紛失チケット判別手段)(S−18)。業務管理装置15は、その判断結果をタクシー車両12の無線機21に送信する(判断結果送信手段)。
【0057】
タクシーメーター20は、業務管理装置15から判断結果を受信し、その判断結果が紛失チケット識別番号の中にチケット識別番号が含まれているである場合、その判断結果に対応する紛失チケット該当メッセージを表示する(S−19)。チケット処理システムでは、ICタグリーダ/ライタ24を介してチケット識別データが読み取られ、業務管理装置15がチケット識別データと紛失チケット識別データと照合することで、チケット10が拾得物かどうかを判別することができ、チケット10を拾得した拾得者によるチケット10の利用を防ぐことができる。また、チケット10が盗まれたものかどうかを判別することができ、窃盗犯によるチケット10の不正利用を防ぐことができる。
【0058】
一方、判断結果が紛失チケット識別番号の中にチケット識別番号が含まれていないである場合、タクシーメーター20は、タクシーチケット10に使用済チケット識別符号が記録されているかを判断する(S−20)。使用済チケット識別符号がチケットに記録されている場合、タクシーメーター20は、チケット10がすでに使用済であると判断し、そのチケット10の使用不可メッセージを表示する(S−21)。チケット処理システムでは、タクシーメーター20がICタグ11に格納された使用済チケット識別符号を確認することで、タクシーチケット10の使用または未使用を判別するから、使用済のチケット10の再使用を防ぐことができ、チケット10の不正な再利用を防止することができる。また、タクシーチケット10の未使用や使用済を乗務員が確認する必要はないから、乗務員による確認ミスを防ぐことができる。
【0059】
使用済チケット識別符号がチケット10に記録されていない場合、タクシーメーター20は、そのタイマ機能によってチケット属性情報の取得日時を計測し、チケット属性情報に含まれるチケットの有効期限と属性情報の取得日時とを比較する(S−22)。タクシーメーター20は、チケットの有効期限が経過しているかを判断する(S−23)。その結果、有効期限が経過していると判断すると、有効期限経過メッセージを表示する(S−24)。チケット処理システムでは、ICタグリーダ/ライタ24を介してタクシーチケット10の有効期限が読み取られ、タクシーメーター20がその有効期限に基づいてチケット10の期限経過を判断するから、チケット10の有効期限を乗務員が確認する必要はなく、乗務員の確認作業の手間を省くことができる。また、有効期限を乗務員が確認する必要はないから、乗務員による有効期限の確認ミスを防ぐことができる。
【0060】
有効期限が経過していないと判断すると、タクシーメーター20は、チケット属性情報に含まれる利用上限金額と利用料金(合計料金)とを比較する(S−25)。タクシーメーター20は、利用料金が利用上限金額を超過しているかを判断する(S−26)。利用料金が利用上限金額を超過している場合、利用上限金額超過メッセージを表示する(S−27)。チケット処理システムでは、ICタグリーダ/ライタ24を介してタクシーチケット10の利用上限金額が読み取られ、タクシーメーター20がその利用上限金額に基づいてチケット10の限度額超過を判断するから、チケット10の限度額超過を乗務員が確認する必要はなく、乗務員の確認作業の手間を省くことができる。また、利用上限金額を乗務員が確認する必要はないから、乗務員による限度額の確認ミスを防ぐことができる。
【0061】
利用料金が利用上限金額を超過していない場合、タクシーメーター20は、迎車料金、メーター料金、有料道路料金、合計料金、乗車地座標、降車地座標、第1〜第n運行行程座標、乗車日時、降車日時、利用時間、走行距離をICカードのメモリに格納する。さらに、ICタグリーダ/ライタ24を介してタクシー利用情報(迎車料金、メーター料金、有料道路料金、合計料金、乗車地座標、降車地座標、第1〜第n運行行程座標、タクシー会社識別番号、タクシー車両識別番号、乗車日時、降車日時、利用時間、走行距離)をタクシーチケット10のICタグ11に書き込む(S−28)。
【0062】
タクシーメーター20は、ICタグリーダ/ライタ24を介して使用済チケット識別符号をタクシーチケット10のICタグ11に書き込む(S−29)。タクシーメーター20は、使用済チケット識別符号を書き込むと、タクシーチケット10をICタグリーダ/ライタ24から排出させる。乗務員は、乗務終了後、ICカードをタクシーメーター20から抜き取り、タクシーチケット10やICカードをタクシー会社14の業務担当者に提出する。
【0063】
タクシーチケット10は、それに設置されたICタグ11を利用して各種のタクシー利用情報を格納することができるから、各種のタクシー利用情報の記録媒体として使用することができる。タクシーチケット10は、タクシー車両12の利用料金がICタグリーダ/ライタ24からチケット10に格納されるから、利用者25がチケット10に利用料金を記入する必要はなく、利用者25の記入の手間を省くことができ、利用者25の負担を軽減することができる。また、利用料金がICタグリーダ/ライタ24からチケット10に瞬時に格納されるから、利用料金をチケットに印字する場合と比較し、利用者25を待たせることはない。
【0064】
タクシーチケット10は、ICタグリーダ/ライタ24を介してそれに利用料金が格納され、利用者25や乗務員がタクシーチケット19に利用料金を記入することはないから、利用者25や乗務員による利用料金の不正記入を防ぐことができる。タクシーチケット10は、乗車地座標、降車地座標、乗車日時、降車日時、走行距離がICタグリーダ/ライタ24からチケット10に格納されるから、乗務員がそれら手書きによって記録する必要はなく、乗務員の記録の手間を省くことができ、乗務員の負担を軽減することができる。
【0065】
図8〜11は、データ集計管理装置19のディスプレイに表示された集計表の一例を示す図であり、図12は、データ集計管理装置19のディスプレイに表示された運行ルートの一例を示す図である。図8〜11では、タクシー利用情報の具体的事項の図示を省略している。タクシー会社14の業務担当者は、乗務員から提出されたタクシーチケット10を業務管理装置15のICタグリーダ/ライタに挿入する。業務管理装置15は、チケット10のICタグ11に格納されたタクシー利用情報やチケット属性情報をICタグリーダ/ライタを介して読み取り(タクシー利用情報取得手段、タクシー属性情報取得手段)、それらの情報をメモリに格納するとともに(タクシー利用情報格納手段、タクシー属性情報格納手段)、それらの情報をタクシーチケットセンター18のデータ集計管理装置19に送信する(情報送信手段)。タクシー車両12が個人タクシーの場合は、個人タクシー協会がタクシーチケット10をタクシーチケットセンター18に直送する。
【0066】
データ集計管理装置19は、各タクシー会社14の業務管理装置15から送信されたタクシー利用情報を受信し、受信したタクシー利用情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納する(利用情報格納手段)。また、業務管理装置15から送信されたチケット属性情報を受信し、受信したチケット属性情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納する(属性情報格納手段)。データ集計管理装置19は、タクシーチケットセンター18に直送されたチケット10のタクシー利用情報をICタグリーダ/ライタを介して取得し、取得したタクシー利用情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納する(利用情報格納手段)。また、直送されたチケット10のチケット属性情報をICタグリーダ/ライタを介して取得し、取得したチケット属性情報をチケット識別番号に関連付けてメモリに格納する(属性情報格納手段)。
【0067】
データ集計管理装置19は、タクシー利用情報やチケット属性情報をチケット識別番号毎やタクシー会社識別番号毎、利用法人識別番号毎に区分するとともに、それら情報を所定の書式に従って集計しつつ、図8〜11に例示の集計表を作成する(情報集計手段)。さらに、情報集計手段によって作成したそれら集計表をディスプレイに出力し(集計表出力手段)、それら集計表をタクシー会社14の業務管理装置15や発行事業者16のチケット発行装置17に送信する(集計表出力手段)。
【0068】
図8の集計表には、縦欄に各タクシー会社が表示され、横欄にタクシー会社毎のチケット使用枚数(タクシー会社のタクシー車両12で使用されたチケットの枚数)、タクシー会社毎のチケットによる迎車料金の総額、タクシー会社毎のチケットによるメーター料金の総額、タクシー会社毎のチケットによる有料道路料金の総額、タクシー会社毎のチケットによる合計金額の総額、タクシー会社毎のタクシー車両の総走行距離が表示されている。図8の集計表によって、各タクシー会社のチケットの使われた頻度やそれらのチケット総額等がわかる。図8の集計表において、たとえばタクシー会社Aの欄にカーソルを移動させ、タクシー会社Aの欄を反転させた後、その欄をクリックすると、図9に示すように、タクシー会社Aのタクシー利用情報の詳細が表示される。
【0069】
図9の集計表には、縦欄に各チケット識別番号が表示され、横欄にチケット識別番号に対応するタクシー車両NO、乗車地、降車地、迎車料金、メーター料金、有料道路料金、合計料金、運行ルートのチェックボックス、乗車日時、降車日時、利用時間、走行距離が表示されている。図9の集計表によって、各タクシーチケット毎のチケット利用情報がわかる。図9の集計表において、たとえば運行ルートのチェックボックスにチェックマークを入れ、図示はしていないが、ルート表示ボタンを押すと、図12に示しように、特定のタクシーチケットにおける運行ルートが表示される。運行ルート表示画面には、タクシー会社名、タクシー車両NO、合計料金、乗車日時、降車日時、利用時間、走行距離が表示されている。図12の運行ルート表示画面によって、各タクシーチケットにおける各運行ルートを知ることができる。
【0070】
図10の集計表には、縦欄に各利用法人が表示され、横欄にその法人におけるチケット使用枚数、利用料金、走行距離、紛失チケット枚数が表示されている。図10の集計表によって、各利用法人のチケットの使用頻度やチケット総額等がわかる。図10の集計表において、たとえば利用法人Aの欄にカーソルを移動させ、利用法人Aの欄を反転させた後、その欄をクリックすると、図11に示すように、利用法人Aのタクシー利用情報の詳細が表示される。図11の集計表には、縦欄に各利用部門が表示され、横欄にその利用部門におけるチケット使用枚数、利用料金、走行距離、紛失チケット枚数が表示されている。図11の集計表によって、各利用部門のチケットの使用頻度やチケット総額等がわかる。
【0071】
チケット処理システムは、タクシーチケット毎にタクシー車両の利用料金が格納され、それら利用料金をICタグリーダ/ライタを介して取得し、データ集計管理装置19において利用料金を一元的に管理することができるから、精算集計業務を担当する担当者がチケットから利用料金を写し取る作業を行う必要はなく、担当者の負担を大幅に軽減することができる。また、担当者がチケットから利用料金を写し取る作業を行うことによる記載ミスを防ぐことができ、利用料金精算の過誤を防ぐことができる。
【0072】
チケット処理システムでは、タクシーチケットを介してそのチケットの発行元を特定することができ、チケットの精算集計業務において担当者がチケットとその発行元との対応付けを行う必要はなく、精算集計業務を担当する担当者の負担を軽減することができる。また、タクシーチケットを介してそのチケットの利用先法人を特定することができ、チケットの精算集計業務を担当する担当者がチケットとその利用先法人との対応付けを行う必要はなく、その担当者の負担を軽減することができる。
【0073】
チケット処理システムは、利用者のタクシー車両における利用時間や乗車地から降車地までの間の走行距離がタクシーチケットに格納されるから、タクシーチケット毎にタクシー車両の利用時間や走行距離を特定することができ、タクシーチケット毎に利用時間や走行距離を集計することができる。チケット処理システムは、各タクシーチケット毎にそのチケットを使用したタクシー車両の運行行程を割り出すことができ、タクシーチケット毎にタクシー車両の運行ルートを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】一例として示すタクシーチケットの斜視図。
【図2】チケット処理システムの一例を示す概略構成図。
【図3】タクシー車両の車載装置の一例を示す概略構成図。
【図4】タクシー車両の乗車から降車までの間に行われるチケット処理システムにおける処理手順の一例を説明する図。
【図5】タクシー車両の乗車から降車までの間のGPS座標の格納の一例を説明する図。
【図6】タクシー車両の車載装置によって行われるチケット処理手順の一例を示すフローチャート。
【図7】図6から続くフローチャート。
【図8】データ集計管理装置のディスプレイに表示された集計表の一例を示す図。
【図9】データ集計管理装置のディスプレイに表示された集計表の一例を示す図。
【図10】データ集計管理装置のディスプレイに表示された集計表の一例を示す図。
【図11】データ集計管理装置のディスプレイに表示された集計表の一例を示す図。
【図12】データ集計管理装置のディスプレイに表示された運行ルートの一例を示す図。
【符号の説明】
【0075】
10 タクシーチケット
11 ICタグ
12 タクシー車両
13 車載装置
14 タクシー会社
15 業務管理装置
16 発行事業者
17 チケット発行装置
18 タクシーチケットセンター
19 データ集計管理装置
20 タクシーメーター
21 無線機
22 GPS端末
23 ETC車載器
24 ICタグリーダ/ライタ
25 利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシー車両を利用した利用者がその利用料金の支払いに使用するタクシーチケットにおいて、
前記タクシーチケットが、前記タクシー車両のタクシーメーターに接続されたICタグリーダ/ライタを介して各種のタクシー利用情報を書き込み可能なICタグを備え、前記タクシー利用情報が、前記タクシー車両の利用時に前記ICタグリーダ/ライタから前記ICタグに書き込まれ、
前記タクシー利用情報には、前記タクシー車両の利用料金と、GPSを利用して測位された前記利用者のタクシー車両への乗車地を示す乗車地座標と、前記GPSを利用して測位された前記利用者のタクシー車両からの降車地を示す降車地座標とが含まれることを特徴とするタクシーチケット。
【請求項2】
前記タクシー利用情報には、前記タクシー車両のタクシー会社を識別可能なタクシー会社識別データと、前記タクシー車両を識別可能なタクシー車両識別データとが含まれる請求項1記載のタクシーチケット。
【請求項3】
前記タクシー利用情報には、前記タクシー車両の乗車地における乗車日時と、前記タクシー車両の降車地における降車日時と、前記降車時間から前記乗車時間を差し引いた利用時間とが含まれる請求項1または請求項2に記載のタクシーチケット。
【請求項4】
前記タクシー利用情報には、前記タクシーチケットを使用した場合のその使用済を示す使用済チケット識別データが含まれる請求項1ないし請求項3いずれかに記載のタクシーチケット。
【請求項5】
前記タクシー利用情報には、前記乗車地から前記降車地までの間の前記タクシー車両の走行距離が含まれる請求項1ないし請求項4いずれかに記載のタクシーチケット。
【請求項6】
前記タクシー利用情報には、前記GPSを利用して測位され、前記乗車地から前記降車地までの間の運行行程における前記タクシー車両の位置を示す複数の第1〜第n運行行程座標が含まれる請求項1ないし請求項5いずれかに記載のタクシーチケット。
【請求項7】
前記ICタグリーダ/ライタを介して読み取り可能な各種のチケット属性情報が、前記ICタグに格納され、前記チケット属性情報には、前記タクシーチケットの有効期限と、前記タクシーチケットの利用上限金額とが含まれる請求項1ないし請求項6いずれかに記載のタクシーチケット。
【請求項8】
前記チケット属性情報には、前記タクシーチケットを識別するチケット識別データが含まれ、前記チケット識別データが、前記タクシーチケットを紛失した場合のそのチケットを識別する紛失チケット識別データと照合される請求項7記載のタクシーチケット。
【請求項9】
前記チケット属性情報には、前記タクシーチケットを発行した発行元を示す発行元識別データと、前記タクシーチケットを利用するチケット利用先を示すチケット利用先識別データとが含まれる請求項7または請求項8に記載のタクシーチケット。
【請求項10】
前記タクシーチケットが、紙とポリエステルとのいずれか一方から作られたシートであり、1回限りの使い捨てである請求項1ないし請求項9に記載のタクシーチケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−72728(P2010−72728A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236765(P2008−236765)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETC
【出願人】(508278930)株式会社システムオリジン (4)
【Fターム(参考)】