説明

タグリーダライタ機能付き携帯端末装置

【課題】 無線タグのある方向にアンテナの向きを容易に、かつ、簡単な構成のもので合わせることができるタグリーダライタ機能付き携帯端末装置を提供する。
【解決手段】 通信対象となる無線タグ2を取付けてある対象物3を撮影するカメラ11と、撮影した画像を表示する液晶画面と、タグリーダ用アンテナ13により無線タグ2との間で通信を行なう通信手段と、撮影の対象物3との距離とカメラ倍率をパラメータとして、液晶画面上にタグリーダ用アンテナ13の指向性の強い方向を表示する指向性表示手段であるマークとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグとの間で通信を行なうためのタグリーダライタを搭載したタグリーダライタ機能付き携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を識別する手段として、バーコードとバーコードリーダを用いたバーコードシステムが広く普及している。しかしながら、このバーコードシステムにあっては、光学的にバーコードを読み取るため、バーコードとバーコードリーダとの間に障害物などがあると読取れない、といった問題がある。
【0003】
そこで、この問題を解消するために、無線タグ、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグとの間で無線通信を行なうことができるシステムが提案されている。また、このシステムにあっては、携帯しながら無線タグ(RFIDタグ)との間で通信を行なうことができるタグリーダライタを搭載のタグリーダライタ機能付き携帯端末装置も提案されている。
従来、この種の携帯端末装置としては、例えば特許文献1に記載のものなどが知られている。これによれば、対象物をカメラで撮影するときの(焦点)距離に応じて、対象物に向けたアンテナの指向性(無線タグの読取可能領域)を変えることができるように構成されている。即ち、これは、携帯端末装置のアンテナと通信対象である無線タグとの間の距離が離れるほど、電波の照射領域、つまり無線タグの読取領域が拡大するので、アンテナの指向性を狭める必要が生じるからである。
【特許文献1】特開2004−175509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものにあっては、アンテナ指向性を変えるため、一般に、複数のアンテナ素子を用いたり、携帯端末装置本体に対するアンテナ位置を物理的に変えたりするなど、制御回路やアンテナ位置を変えるための機構などが複雑になる。その結果、携帯電話機などの携帯端末装置では、装置が小型であるのでその実現が困難である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、無線タグのある方向にアンテナの向きを容易に、かつ、簡単な構成のもので合わせることができるタグリーダライタ機能付き携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタグリーダライタ機能付き携帯端末装置は、通信対象となる無線タグを取付けてある対象物を撮影するカメラと、前記撮影した画像を表示する表示手段と、タグリーダライタ用アンテナにより前記無線タグとの間で通信を行なう通信手段と、前記撮影の対象物との距離とカメラ倍率をパラメータとして、前記表示手段の画面上に前記タグリーダライタ用アンテナの指向性を表示する指向性表示手段とを有するものである。この構成によれば、無線タグと通信する際には、液晶画面上に表示されたタグリーダライタ用アンテナの指向性の強い方向と無線タグとが一致するように携帯端末装置の向きを変えることで、効率よく通信ができる。
【0007】
また、前記指向性表示手段は、円、三角、四角の記号、又は、色分け或いは模様分けされた階層的な領域からなるマークで構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信対象となる無線タグを取付けてある対象物を撮影するカメラと、前記撮影した画像を表示する表示手段と、タグリーダライタ用アンテナにより前記無線タグとの間で通信を行なう通信手段と、前記撮影の対象物との距離とカメラ倍率をパラメータとして、前記表示手段の画面上に前記タグリーダライタ用アンテナの指向性を表示する指向性表示手段とを有することにより、通信対象である無線タグにタグリーダライタ用アンテナの指向性の強い方向が一致するように向けることで、容易に通信を行うことできるタグリーダライタ機能付き携帯端末装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、本実施形態では、タグリーダライタ機能付き携帯端末装置の1例として、無線タグ(RFIDタグ)リーダ機能を有する折畳式カメラ付き携帯電話装置1を例に挙げて説明する。
図1は本実施形態に係る折畳式カメラ付き携帯電話装置1を示すものであり、この折畳式カメラ付き携帯電話装置1は、カメラ11と、表示手段である液晶画面12(図2参照)と、無線タグ2との通信手段を構成するタグリーダ用アンテナ13と、指向性表示手段であるマーク14などを備えている。
【0010】
このうち、カメラ11は、通信対象となる無線タグ2との通信を行なう際に、通信対象となる無線タグ2を取付けた対象物(以下、「撮影対象物」とよぶ)3を撮影するようになっている。なお、本実施形態の無線タグ2は、十字(レティクル)の記号でその位置を示す。また、カメラ11による撮影可能領域をαで示す。
【0011】
液晶画面12は、カメラ11で撮影した画像結果を表示する。即ち、液晶画面12には、カメラ11で撮影される無線タグ2が取付けられた撮影対象物3を表示するとともに、この撮影対象物3が表示された画面上で、タグリーダ用アンテナ13での指向性の強い方向を示すマーク14を、同時に表示する。なお、このマーク14の表示位置は、カメラ倍率、撮影距離によって異なる。この理由については、後述する。
【0012】
タグリーダ用アンテナ13は、無線タグ2との間で電波などによる無線通信を行なうようになっている。
【0013】
指向性表示手段であるマーク14は、タグリーダ用アンテナ13と撮影対象物3との間の距離とカメラ倍率とをパラメータとして、液晶画面12上にタグリーダ用アンテナ13の指向性の強さを表示する。なお、本実施形態では、液晶画面12上で指向性の最も強い方向(位置)を丸い円などによる記号で表記する。また、タグリーダ用アンテナ13から出射する電波の照射領域(以下、「指向性領域」とよぶ)をβで示す。
【0014】
次に、本実施形態の折畳式カメラ付き携帯電話装置1に備えたカメラ11で撮影対象物3が撮影されて液晶画面12にその撮影対象物3が表示されている場合に、折畳式カメラ付き携帯電話装置1と無線タグ2との通信方法について、図1〜図3を用いて具体的に説明する。
【0015】
撮影対象物3を折畳式カメラ付き携帯電話装置1のカメラ11で撮影したときに、このカメラ11と撮影対象物3との間の撮影距離L1が所定の適正距離(例えば、焦点距離)に収まっている場合には、例えば図1に示す側面から見たときに、タグリーダ用アンテナ13の指向性領域βの中心位置が無線タグ2よりも上方にずれた位置関係にあるものとする。従って、この場合、液晶画面12上の十字の記号で表される無線タグ2が、図3(B)に示すように、液晶画面12の中央よりも下方に表示されている。なお、図3(B)に示す液晶画面12上の円形のマーク14は、前述したように、タグリーダ用アンテナ13の指向性の最も強い方向(位置)を示すものである。
【0016】
このように、折畳式カメラ付き携帯電話装置1のカメラ11及びタグリーダ用アンテナ13が、撮影対象物3に対して図1に示すような状態の場合には、折畳式カメラ付き携帯電話装置1を、図4に示すように下方に傾けることで、図5に示すように十字の記号で示す無線タグ2とタグリーダ用アンテナ13の指向性の強い方向を示す円形のマーク14とを、一致させることができる。この状態のときに無線タグ2との通信用の送信波を送出することで、電力効率の良い通信を行うことができるわけである。
【0017】
次に、タグリーダ用アンテナ13の指向性の最も強い方向を示す円形のマーク14の表示位置と撮影距離との関係について、図6及び図7を用いて説明する。なお、図6は、図1の場合と比較して、折畳式カメラ付き携帯電話装置1と撮影対象物(側面)3との撮影距離L2が近過ぎる場合を示している。この場合、タグリーダ用アンテナ13の指向性βは、図1の場合と変わらず同じである。このため、液晶画面12に表示される指向性の最も強い方向を示す円形のマーク14は、液晶画面12の中央より上方に表示される図3(B)の場合と異なり、図7に示すように液晶画面12の中央より下方に表示されることとなる。また、カメラ倍率Mによっても、液晶画面12に表示すべき指向性βの強い方向を示すマーク14位置は異なってくる。
【0018】
そこで、撮影距離L、カメラ倍率Mに対するタグリーダ用アンテナ13の指向性の最も強い方向を示すマーク14の表示位置を変える方法として、本実施形態では、いくつかの撮影距離Lとカメラ倍率Mの組合せごとに、タグリーダ用アンテナ13の指向性βから、液晶画面12に表示すべき(指向性βの強い方向を示す)マーク14の位置を実測等により予め求めておくとともに、折畳式カメラ付き携帯電話装置1の図示外の記憶部にそれを書き込んでおく。
これにより、使用時(タグリーダ用アンテナ13で無線タグ2を読取る際)には、設定されているカメラ倍率M及び撮影距離Lから、対応する指向性の最も強い方向を示すマーク14の位置情報を読み出し、これを液晶画面12に表示すれば、無線タグ2のある方向及び撮影距離Lにタグリーダ用アンテナ13の向き及び撮影距離を容易に調整できるわけである。
【0019】
なお、カメラ倍率Mは、カメラ11への設定データから求めることができ、撮影距離Lは、カメラ焦点距離、また使用者がおよその撮影距離を入力することで求めることができる。
【0020】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。例えば、タグリーダ用アンテナ13の指向性の強い方向を示すマーク14については、視覚的にわかる方法であれば、円のみならず、例えば、三角、四角の記号、又は、色分け若しくは模様分けされた階層的な領域からなるマーク(例えばモワレ縞模様や等高線状のパターン)などでも良い。また、本実施形態では、タグリーダ機能を搭載するタイプについて述べたが、同時にタグライタ機能も有する、つまりタグリーダライタ機能を搭載した携帯端末装置などであっても、同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の携帯端末装置は、通信対象となる無線タグを取付けた対象物を撮影するカメラと、撮影した画像を表示する表示手段と、無線タグとの間で通信を行なう通信手段と、撮影の対象物との距離とカメラ倍率をパラメータとして、表示手段の画面上にタグリーダライタ用アンテナの指向性を表示する指向性表示手段とを備えており、通信対象である無線タグに対して指向性の強い方向にタグリーダライタ用アンテナを向けることが容易になるので、タグリーダライタ機能付きの携帯端末装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る折畳式カメラ付き携帯電話装置の動作状態を示す説明図
【図2】その折畳式カメラ付き携帯電話装置の液晶画面での撮影対象物の表示状態を示す斜視図
【図3】(A)は撮影対象物での無線タグの取付け位置を示す説明図、(B)は本発明の実施形態に係る液晶画面において無線タグと指向性の強い方向を示すマークとにずれを生じたときの表示状態を示す説明図
【図4】本発明の実施形態に係る折畳式カメラ付き携帯電話装置の他の動作状態を示す説明図
【図5】本発明の実施形態に係る液晶画面において無線タグと指向性の強い方向を示すマークとが一致したときの表示状態を示す説明図
【図6】本発明の実施形態に係る折畳式カメラ付き携帯電話装置が撮影対象物に近づきすぎたときの状態を示す説明図
【図7】図6に示す状態の携帯電話装置における液晶画面での指向性の強い方向を示すマークの表示状態を示す説明図
【符号の説明】
【0023】
1 折畳式カメラ付き携帯電話装置
11 カメラ
12 液晶画面(表示手段)
13 タグリーダ用アンテナ
14 指向性の強い方向を示す円形のマーク(指向性表示手段)
2 (十字で示す)無線タグ
3 (無線タグが取付けられた)撮影対象物
α 撮影可能領域
β 電波の照射領域(指向性領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象となる無線タグを取付けてある対象物を撮影するカメラと、
前記撮影した画像を表示する表示手段と、
タグリーダライタ用アンテナにより前記無線タグとの間で通信を行なう通信手段と、
前記撮影の対象物との距離とカメラ倍率をパラメータとして、前記表示手段の画面上に前記タグリーダライタ用アンテナの指向性を表示する指向性表示手段と
を有するタグリーダライタ機能付き携帯端末装置。
【請求項2】
前記指向性表示手段は、円、三角、四角の記号、又は、色分け或いは模様分けされた階層的な領域からなるマークで構成した請求項1に記載のタグリーダライタ機能付き携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−309665(P2006−309665A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134399(P2005−134399)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】