説明

タッチスイッチ装置

【課題】器体の小型化を図ることができるタッチスイッチ装置を提供する。
【解決手段】人体の一部が操作部に近接したことを検知する検知回路と、検知回路の検知結果に応じて負荷を制御する負荷制御回路と、検知回路および負荷制御回路に電力供給する電源回路とは、それぞれ個別の回路基板P1〜P3に形成されて器体内に収納される。回路基板P1〜P3は厚み方向に並設され、このうち負荷制御回路を形成した第2の回路基板P2は、電源回路を形成した第3の回路基板P3に実装されているAC−DCコンバータ10の構成部品との干渉を避ける形の切欠部36が形成されている。第2の回路基板P2と第3の回路基板P3とは、AC−DCコンバータ10の構成部品を第2の回路基板P2の切欠部36に挿入する形で互いに組み合わされ、第2の回路基板P2はAC−DCコンバータ10の構成部品の高さ寸法内に納まるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の一部が操作部に近接したことを検知して負荷を制御するタッチスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作部に人体の一部(手指等)が触れたことを検知して、照明器具等の負荷機器をオンオフ制御するタッチスイッチ装置が種々提供されている(たとえば特許文献1参照)。この種のタッチスイッチ装置は可動部分がないから、可動子を移動させることにより接点が開閉する機械的スイッチに比べて、耐久性が高いなどの利点がある。
【0003】
一般的なタッチスイッチ装置は、人体の一部が操作部に触れたことを検知するための検知回路と、検知回路の検知結果に応じて負荷機器を制御する負荷制御回路と、検知回路および負荷制御回路に電力供給する電源回路とを1つの器体内に有しており、器体の前面側に設けられている操作部に人体の一部が触れることで、負荷制御回路に接続されている負荷機器への電源供給がオンオフするように構成される。
【特許文献1】特許第3681417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のタッチスイッチ装置は、検知回路と負荷制御回路と電源回路とを1つの器体内に有しており、器体に収納される回路基板上の部品の実装面積が比較的大きくなるため、回路基板の厚み方向に直交する面内での器体の寸法を小さく抑えることは困難である。また、回路基板を複数枚に分割して厚み方向に重ねることも考えられるが、この場合には、回路基板の厚み方向において各回路基板にそれぞれ実装されている部品の高さ寸法が加算されるから、回路基板の厚み方向における器体の寸法を小さく抑えることが困難となる。
【0005】
タッチスイッチ装置の器体の小型化が可能になれば、タッチスイッチ装置を機械的スイッチに代えて様々なところで使用できるようになるので、タッチスイッチ装置の器体の小型化は強く要望されている。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであって、器体の小型化を図ることができるタッチスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、人体の一部が操作部に近接したことを検知する検知回路と、検知回路の検知結果に応じて負荷を制御する負荷制御回路と、検知回路および負荷制御回路に電力供給する電源回路とをそれぞれ個別の回路基板に形成して1つの器体内に備え、前記3枚の回路基板が、厚み方向に並設されており、少なくとも1枚の回路基板が、他の回路基板に実装された少なくとも1つの部品との干渉を避ける形の切欠部を有し、前記部品を切欠部内に位置させることで前記部品の高さ寸法内に収まるように配置されることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、検知回路と負荷制御回路と電源回路とをそれぞれ個別の回路基板に形成し、これら3枚の回路基板を厚み方向に並設したことにより、1枚の回路基板に検知回路と負荷制御回路と電源回路とを形成する場合に比べて、回路基板の厚み方向に直交する面内での器体の寸法を小さく抑えることができる。また、少なくとも1枚の回路基板は、他の回路基板に実装された少なくとも1つの部品との干渉を避ける形の切欠部を有し、前記部品を切欠部内に位置させることで前記部品の高さ寸法内に収まるように配置されるから、切欠部のない構成に比べて、回路基板の厚み方向における器体の寸法を小さく抑えることができる。したがって、器体の小型化を図ることができるという利点がある。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記器体が、造営面に対して埋込型配線器具を取り付けるための取付枠内に前部が挿入されるとともに、取付枠への挿入部位の両側面に取付枠と係合して取付枠に保持される取付手段を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、器体は埋込型配線器具用の取付枠を用いて造営面に取付可能であるから、器体の取付作業が容易であって、また、造営面に取り付けられた状態での器体の見映えがよいという利点がある。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記器体が前面に前記操作部を有し、器体の前面側には器体の前面を覆う操作パネルが配設され、前記回路基板のうち器体の前壁に対向して配置された回路基板には操作部の位置を示す発光素子が実装されており、器体の前壁および操作パネルにおいて発光素子に対応する部位には、発光素子の光を前方に取り出す光透過部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、光透過部から前方に取り出される発光素子の光により、使用者においては操作部の位置を理解しやすくなるという利点がある。また、負荷の制御状態に応じて発光素子の光色を変化させるようにすれば、発光素子の光を用いて負荷の制御状態を認識させることも可能である。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、他装置に接続された信号線を接続可能な遠隔制御用端子が設けられ、前記負荷制御回路が、遠隔制御用端子を介して前記他装置から受ける遠隔制御信号に応じて前記負荷を制御する遠隔制御機能を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、負荷制御回路は、人体の一部が操作部に近接したことを検知する検知回路の検知結果のみならず、他装置から受ける遠隔制御信号に応じても負荷を制御することができるので、前記他装置をタッチスイッチ装置から離れた場所に配置することにより、タッチスイッチ装置から離れた場所において負荷の制御を指示することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、回路基板の厚み方向に直交する面内での器体の寸法を小さく抑えることができ、また、回路基板の厚み方向における器体の寸法も小さく抑えることができるので、器体の小型化を図ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
本実施形態のタッチスイッチ装置1は、図2に示すように交流電源(商用電源)ACと第1および第2の負荷機器L1,L2とに接続されており、人体Hの一部(手指等)が操作部2a,2bに近接したことを検知して各負荷機器L1,L2への電力供給を個別にオンオフ制御する。ここで、各負荷機器L1,L2は交流電源ACからの電力供給を受けて動作するたとえば照明器具等の電気機器である。
【0017】
このタッチスイッチ装置1は、人体Hの一部が操作部2a,2bに近接したことを検知する検知回路3a,3bと、検知回路3a,3bの検知結果に応じて負荷機器L1,L2を制御する負荷制御回路4a,4bと、検知回路3a,3bおよび負荷制御回路4a,4bに電力供給する電源回路5とを回路ブロック6として1つの器体7内に備えている。操作部2a,2bは器体7の前面に形成されており、器体7内における操作部2a,2bの背後には検知回路3a,3bに接続された検出電極8a,8bが配設される。
【0018】
ここにおいて、検知回路3a,3bは、検出電極8a,8bの電気的状態の変化を検出することで人体Hの一部が操作部2a,2bに近接したことを検知する。本実施形態では、操作部は第1および第2の2つの操作部2a,2bに分割されており、第1の操作部2aに対応して配置された第1の検出電極8aが第1の検知回路3aに接続され、第2の操作部2bに対応して配置された第2の検出電極8bが第2の検知回路3bに接続されている。
【0019】
第1および第2の各検知回路3a,3bには第1および第2の各負荷制御回路4a,4bがそれぞれ接続されている。各負荷制御回路4a,4bは、交流電源ACと第1および第2の各負荷機器L1,L2との間の電力供給路に接点ry1,ry2(図3参照)が挿入接続されたリレー9(図1参照)をそれぞれ具備しており、各検知回路3a,3bから出力される検知信号に基づいてリレー9の接点ry1,ry2を開閉することにより各負荷機器L1,L2への電力供給を個別にオンオフする。ここでは、第1の負荷制御回路4aは、人体Hの一部が第1の操作部2aに近接したときに第1の検知回路3aから出力される検知信号を受けてリレー9の接点ry1を開閉し、第2の負荷制御回路4bは、第2の操作部2bに近接したときに第2の検知回路3bから出力される検知信号を受けてリレー9の接点ry2を開閉するものとする。
【0020】
さらに、図3に示すように、第1の負荷制御回路4aにおけるリレー9の接点ry1は、第1の負荷機器L1と交流電源ACとの間に挿入接続され、第2の負荷制御回路4bにおけるリレー9の接点ry2は、第1の負荷機器L1と交流電源ACとの間に挿入接続される。しかして、第1の負荷機器L1は第1の操作部2aに人体Hの一部が近接する度にオンオフ状態が切り替わり、第2の負荷機器L2は第2の操作部2bに人体Hの一部が近接する度にオンオフ状態が切り替わる。
【0021】
なお、本実施形態のタッチスイッチ装置1には、他装置に接続された信号線を接続するための遠隔制御用端子34が設けられており、各負荷制御回路4a,4bは、遠隔制御用端子34を介して前記他装置から受ける遠隔制御信号に応じて各負荷機器L1,L2を制御する遠隔制御機能をそれぞれ有している。図2の例では、タッチスイッチ装置1から離れた場所に設置されたホームサーバHSを前記他装置としており、ホームサーバHS−負荷制御回路4a,4b間での通信機能を付与することにより、ホームサーバHSからの遠隔制御信号に応じて負荷機器L1,L2を制御できるようにしてある。ホームサーバHSにはコントロールパネルCPが接続されており、コントロールパネルCPの操作に従ってホームサーバHSで遠隔制御信号が生成される。この構成によれば、負荷制御回路4a,4bは、人体Hの一部が操作部2a,2bに近接したことを検知する検知回路3a,3bの検知結果のみならず、タッチスイッチ装置1から離れた場所でのコントロールパネルCPの操作も負荷機器L1,L2の制御に反映させることができるので、負荷機器L1,L2の遠隔制御(オンオフ制御)が可能となる。ここに、コントロールパネルCPはホームサーバHSの一部であってもよい。
【0022】
電源回路5は、交流電源ACからの電力供給を受けて検知回路3a,3bおよび負荷制御回路4a,4bに対して直流電源を供給するものであって、少なくとも交流電力を所望の電圧の直流電力に変換するAC−DCコンバータ10(図1参照)を有している。なお、本実施形態では負荷機器L1,L2への電力供給は交流電源ACにより行っているが、この例に限らず、電源回路5から負荷機器L1,L2への電力供給を行う構成としてもよい。
【0023】
上記構成の回路ブロック6を収納する器体7は図4に示すように直方体状に形成されており、埋込型配線器具用の取付枠11を用いて壁等の造営面(図示せず)に取り付けられる。この取付枠11には後述の化粧プレート12が着脱自在に係着される。なお、以下では、タッチスイッチ装置1は図4(a)の向きで造営面に取り付けられるものとし、図4(a)の上下左右を上下左右として説明するが、造営面に対するタッチスイッチ装置1の取付方向はこの例に限るものではない。
【0024】
器体7は図5に示すように前面開口の箱状のボディ13と、ボディ13の前面側に結合されるカバー14とで構成されており、カバー14の前面には図6に示すように矩形板状の操作パネル15が覆着される。ボディ13の上下両端面にはそれぞれ各一対の組立突起16が突設されており、カバー14の後端縁から後方に延設された組立片17の孔を組立突起16に係合させることによりボディ13とカバー14とが結合される。ボディ13は左右方向においてカバー14よりも幅広に形成されており、ボディ13とカバー14とを結合した状態でボディ13の開口周部は左右方向に突出して後述の肩部として機能する。ここで、器体7は前面の上部を第1の操作部2aとし前面の下部を第2の操作部2bとしており、操作パネル15を覆着した状態では両操作部2a,2bは操作パネル15によって覆われる。
【0025】
取付枠11は、図6に示すように互いに対向する一対の縦枠18と、一対の縦枠18の各端部同士を連結する一対の横枠19とで矩形枠状に形成されており、造営面に開設された埋込孔(図示せず)の開口周部を覆う形で造営面に取付可能であって、縦枠18および横枠19で囲まれた部位に器体7が装着される長方形状の取付窓20を有する。ここで、取付窓20の長手方向である上下方向に対向する一対の横枠19においては、埋込スイッチボックス等を用いて造営面に取付枠11を固定するための孔21が貫設されている。
【0026】
また、各縦枠18のうち取付窓20に臨む部位には、縦枠18の長手方向に並んだ各一対の取付孔22が上下方向に複数組ずつ列設されている。ここに、タッチスイッチ装置1の器体7における左右両側面には取付孔22に対応する位置に取付爪(取付手段)23が突設されており、この取付爪23が取付孔22に嵌るように器体7の前端部を取付枠11の後方から取付窓20内に挿入することで、図7に示すように器体7が取付枠11に装着される。このとき、器体7の肩部(ボディ13の開口周部)が縦枠18の背面に当接することにより、前方への器体7の移動が規制される。なお、器体7の右側の側壁においては、切込24を設けることで取付爪23が突設された部位に可撓性が付与されており、この部位を撓ませることで取付爪23と取付孔22との係合を解除すれば器体7を取付枠11から取り外すことができる。
【0027】
化粧プレート12は、図5に示すように矩形枠状に形成されており、中央部に長方形状に開口した露出窓25を通して、器体7に取着された操作パネル15を露出させる。化粧プレート12の背面の四隅にはそれぞれ後方に係止片(図示せず)が突設されており、各係止片を取付枠11の四隅に形成された係止孔26にそれぞれ挿入して係合させることで、化粧プレート12が取付枠11に装着される。
【0028】
上述したように、本実施形態のタッチスイッチ装置1は、コンセント等の一般的な埋込型配線器具用の取付枠11を用いて造営面に取付可能であるから、設置作業が簡単であって、また、造営面に取り付けられた状態の見映えがよいという利点がある。しかも、取付枠11および化粧プレート12として専用品ではなく汎用品を用いることで、取付枠11および化粧プレート12を除いたタッチスイッチ装置1の本体のみを提供することができる。そのため、タッチスイッチ装置1の提供に当たり、取付枠11および化粧プレート12を同梱する場合に比べて梱包状態での小型化を図ることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、タッチスイッチ装置1の器体7は1連用の取付枠11を1個取付可能な埋込スイッチボックスに対応する大きさに形成されている。ここでいう1連用の取付枠11とは、埋込型配線器具用に規格化されている単位寸法の配線器具を幅方向(上下方向)に3個並べて取付可能な取付枠11を意味している。
【0030】
ところで、本実施形態では、回路ブロック6は図1に示すように検知回路3a,3bが形成された第1の回路基板P1と、負荷制御回路4a,4bが形成された第2の回路基板P2と、電源回路5が形成された第3の回路基板P3との3枚の回路基板P1〜P3を有している。第1〜第3の回路基板P1〜P3は厚み方向を前後方向に一致させるように、前後方向に並設される形で器体7内に収納される。ここでは、前方から第1の回路基板P1、第3の回路基板P3、第2の回路基板P2の順で、前後方向に互いに重なるように配置される。なお、第1〜第3の各回路基板P1〜P3は、いずれも器体7に収まるように上下寸法および左右寸法が同程度に設定されている。
【0031】
第1の回路基板P1は略長方形状であって、第1の回路基板P1の前面側には第1および第2の各検出電極8a,8bを具備する一対の検出素子27および操作音を発生するブザー28が実装されている。各検出素子27はそれぞれ円筒状に形成されたベース部材29を有し、ベース部材29の前端部の開口内に円環状の検出電極8a,8bを具備している。ベース部材29は回路基板P1に近づくほど内径を小さくするすり鉢状に形成されている。検出素子27は器体7の前面における第1および第2の各操作部2a,2bに対応するように上下方向に離間して配置されており、両検出素子27の間にブザー28が配置されている。ここで、器体7の前壁において各検出素子27に対応する位置には、図5に示すように円環状の表示部30が形成されており、器体7の前面における各表示部30の近傍がそれぞれ操作部2a,2bを構成する。
【0032】
第3の回路基板P3の背面側には、AC−DCコンバータ10が実装され、第3の回路基板P3の前面側には、第3のコネクタ31が実装されている。ここで、第1の回路基板P1の背面側に実装されている第1のコネクタ32(図9(b)参照)と第3のコネクタ31とを接続することにより、第1の回路基板P1と第3の回路基板P3とが電気的に接続される。AC−DCコンバータ10は図示しない整流器、コンデンサ、パワートランジスタ、放熱板等の部品を含み、これらの部品は、回路基板P3からの高さ寸法が回路基板P1〜P3に設けられている他の部品に比べて高い。
【0033】
また、第2の回路基板P2の背面側には、各負荷機器L1,L2への通電をそれぞれ制御する一対のリレー9と、交流電源ACおよび負荷機器L1,L2を接続する端子板33と、モジュラジャックからなる遠隔制御用端子34とが実装されている。第2の回路基板P2の前面側には第2のコネクタ35が実装されており、このコネクタ35によって第2の回路基板P2と第3の回路基板P3とが電気的に接続される。なお、各端子板33は、図示しない鎖錠ばねと共に、器体7の背面側から挿入された電線の芯線が接続される所謂速結端子を構成する。
【0034】
ここにおいて、第2の回路基板P2は、図1に示すように左下部であって第3の回路基板P3におけるAC−DCコンバータ10の構成部品を実装してある領域に対応する位置に切欠部36が形成されることにより、全体として略L字状に形成されている。そして、第2の回路基板P2と第3の回路基板P3とは、図8および図9に示すように第3の回路基板P3に実装されているAC−DCコンバータ10の構成部品を第2の回路基板P2の切欠部36に挿入する形で互いに組み合わされる。このとき、第2の回路基板P2はAC−DCコンバータ10の構成部品の高さ寸法内に納まるように配置されながらも、第2の回路基板P2に設けた切欠部36によって第2の回路基板P2とAC−DCコンバータ10の構成部品との干渉を避けることができる。また、本実施形態では、図9(b)に示すように第2の回路基板P2の背面側に実装されているリレー9と端子板33と遠隔制御用端子34とのいずれもが、AC−DCコンバータ10の構成部品の高さ寸法内に収まっている。
【0035】
以上説明した構成のタッチスイッチ装置1によれば、回路ブロック(検知回路3a,3b、負荷制御回路4a,4b、電源回路5)6を第1〜第3の回路基板P1〜P3に分割して形成し、これら3枚の回路基板P1〜P3を厚み方向に並設しているから、回路ブロック6を1枚の回路基板に形成する場合に比べると、回路基板P1〜P3の厚み方向に直交する面内(つまり造営面に沿う面内)での器体7の寸法を小さく抑えることができる。しかも、第2の回路基板P2には第3の回路基板P3に実装されている部品(AC−DCコンバータ10の構成部品)との干渉を避けるための切欠部36が形成されており、第2の回路基板P2と第3の回路基板P3とが前記部品を切欠部36内に位置させるように組み合わされることにより、第2の回路基板P2は前記部品の高さ寸法内に収められている。したがって、切欠部36のない場合に比較して、回路基板P1〜P3の厚み方向(つまり前後方向)での器体7の寸法を小さく抑えることができる。
【0036】
ところで本実施形態では、図9(a)に示すように第1の回路基板P1の前面側であってベース部材29に囲まれた部位に、操作部2a,2bの位置を示す発光素子としてのLED(発光ダイオード)37が配設されている。ここで、器体7の前壁において各表示部30に囲まれた部位の中央部には、それぞれ光透過性を有する材料から形成されLED37からの光を前方に取り出す光透過部38が形成されている。さらに、器体7の前面を覆う操作パネル15においては、全体が光透過性を有する材料から形成され光透過部を成しており、したがって、LED37からの光は器体7の光透過部38および操作パネル15を通して前方に取り出されることとなる。なお、操作パネル15は、全体が光透過性を有することは必須ではなく、少なくともLED37に対応する部位がLED37からの光を前方に取り出す光透過部として機能するものであればよい。
【0037】
この構成によれば、使用者においては、LED37からの光によって操作パネル15の前面側からでも操作部2a,2bの位置を理解しやすくなり、操作時に操作パネル15のどの部分に触れればよいかを容易に認識することができる。また、第1の操作部2aと第2の操作部2bとで発光色の異なるLED37を用いることで、両操作部2a,2bを区別しやすくしたり、各負荷機器L1,L2の制御状態(オン・オフ)に応じて対応するLED37の点灯状態(発光色等)を変化させる構成とすることで、各負荷機器L1,L2の制御状態を視覚的に認識できるようにしたりすることも可能である。さらにまた、器体7あるいは操作パネル15の光透過部38を任意の図柄や文字の形状としておけば、操作パネル15の表面を任意の図柄や文字の形状に発光させることもできる。
【0038】
また、本実施形態では、第1の回路基板P1と第2の回路基板P2との間に第3の回路基板P3を介在させてあるため、第3の回路基板P3に形成された接地パターン(図示せず)をシールドとして利用することが可能である。すなわち、第1の回路基板P1に形成されている検知回路3a,3bは検出電極8a,8bの電気的状態の微小な変化を検出するものであるから、第2の回路基板P2に実装されているリレー9の動作時に発生するノイズが検知回路3a,3bに影響すると誤検知を生じるおそれがあるが、上記構成によれば、前記ノイズを第3の回路基板P3の接地パターンで遮断することにより検知回路3a,3bへのノイズの影響を低減することができる。
【0039】
ところで、上記実施形態においては、回路基板P2にAC−DCコンバータ10の構成部品との干渉を避ける形の切欠部36を形成する例を示したが、この例に限るものではなく、切欠部36は、切欠部36を形成した回路基板P2以外の回路基板P1,P3に実装された少なくとも1つの部品との干渉を避ける形に形成されていればよく、たとえば回路基板P2に貫設された孔であってもよい。また、切欠部36は、第2の回路基板P2に限らず、少なくとも1枚の回路基板P1〜P3に形成されるものであればよい。
【0040】
なお、上記実施形態では、2台の負荷機器L1,L2のオンオフ制御が可能な2回路2接点型のタッチスイッチ装置1を例示したが、これ以外にも、たとえば図10に示すように1台の負荷機器L1のオンオフ制御に用いられる1回路1接点型のタッチスイッチ装置1など、多様なタッチスイッチ装置1に本発明を適用することができる。図10の例では、操作部2は1つのみであって、これに対応する検出電極8、検知回路3および負荷制御回路4もそれぞれ1つずつ設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態1の回路ブロックの構成を示す分解斜視図である。
【図2】同上の全体構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同上の接続状態を示す概略図である。
【図4】同上のタッチスイッチ装置を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図5】同上のタッチスイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図6】同上の化粧プレートを外した状態のタッチスイッチ装置を示す斜視図である。
【図7】同上の化粧プレートを外した状態のタッチスイッチ装置を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図8】同上の回路ブロックの構成を示し、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図である。
【図9】同上の回路ブロックの構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図10】同上の他の構成例を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1 タッチスイッチ装置
2,2a,2b 操作部
3,3a,3b 検知回路
4,4a,4b 負荷制御回路
5 電源回路
7 器体
10 AC−DCコンバータ
11 取付枠
15 操作パネル
36 切欠部
37 LED(発光素子)
38 光透過部
H 人体
L1,L2 負荷機器
P1 第1の回路基板
P2 第2の回路基板
P3 第3の回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の一部が操作部に近接したことを検知する検知回路と、検知回路の検知結果に応じて負荷を制御する負荷制御回路と、検知回路および負荷制御回路に電力供給する電源回路とをそれぞれ個別の回路基板に形成して1つの器体内に備え、前記3枚の回路基板は、厚み方向に並設されており、少なくとも1枚の回路基板は、他の回路基板に実装された少なくとも1つの部品との干渉を避ける形の切欠部を有し、前記部品を切欠部内に位置させることで前記部品の高さ寸法内に収まるように配置されることを特徴とするタッチスイッチ装置。
【請求項2】
前記器体は、造営面に対して埋込型配線器具を取り付けるための取付枠内に前部が挿入されるとともに、取付枠への挿入部位の両側面に取付枠と係合して取付枠に保持される取付手段を有することを特徴とする請求項1記載のタッチスイッチ装置。
【請求項3】
前記器体は前面に前記操作部を有し、器体の前面側には器体の前面を覆う操作パネルが配設され、前記回路基板のうち器体の前壁に対向して配置された回路基板には操作部の位置を示す発光素子が実装されており、器体の前壁および操作パネルにおいて発光素子に対応する部位には、発光素子の光を前方に取り出す光透過部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のタッチスイッチ装置。
【請求項4】
他装置に接続された信号線を接続可能な遠隔制御用端子が設けられ、前記負荷制御回路は、遠隔制御用端子を介して前記他装置から受ける遠隔制御信号に応じて前記負荷を制御する遠隔制御機能を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタッチスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−199896(P2009−199896A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40520(P2008−40520)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】