説明

タッチパネル付きの表示パネル、及び電子機器

【課題】タッチパネルを簡単に、かつ高精度に組み付けることができるタッチパネル付きの表示パネル、及びこれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】表示面を構成する第1のガラス基板10を備えた液晶(表示)パネル3において、外部からの押圧操作に応じて、変形可能に構成された透明な上部電極部5と、上部電極部5に対向して配置された透明な下部電極部6とを具備したタッチパネル3を設置する。さらに、第1のガラス基板10の外側(表示面側)の表面に、下部電極部6を直接設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルが組み付けられたタッチパネル付きの表示パネル、及びこれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばPDAに代表される携帯情報端末には、一般的に、タッチパネル付きの液晶表示装置が含まれており、ユーザからの操作指示を入力して、その入力した操作指示に従って文字等の情報を表示可能になっている。すなわち、上記のような携帯情報端末では、通常、情報の表示を行う表示部に薄型・軽量などの特長を有する液晶パネルを使用することで携帯性の向上が図られている。また、携帯情報端末では、上記操作指示を入力するタッチパネルに、光学式や静電容量式等の他の方式のものに比べ、構造簡単で、かつ、ユーザからの操作指示を精度よく検出可能なコストパフォーマンスに優れた抵抗膜式のものが一般に使用されている。
【0003】
上記のような従来のタッチパネル付きの液晶表示装置では、例えば下記特許文献1、2に記載されているように、タッチパネルと液晶パネルとを別個に製造するとともに、これらのタッチパネルと液晶パネルとを両面粘着テープや相互接着層などを用いて互いに貼り合わせることでタッチパネルを液晶パネルに組み付け、液晶表示装置として一体化していた。
【0004】
具体的には、図4に示すように、従来のタッチパネル付きの液晶表示装置50には、ユーザの視認側に配置されるとともに、平板状の上部電極部52及び下部電極部53を有するタッチパネル51と、このタッチパネル51の背面側(図の下側)に設置された液晶パネル61とが設けられている。上部電極部52は、透明な基板52a及びこの基板52aの液晶パネル61側の表面全面にわたって形成された透明導電膜からなる抵抗膜52bを備えている。同様に、下部電極部53には、透明な基板53a及びこの基板53aの液晶パネル61とは反対側の表面全面にわたって形成された透明導電膜からなる抵抗膜53bが設けられている。
【0005】
また、上部電極部52と下部電極部53との間には、電気絶縁性を有する材料により構成されるとともに、枠状に設置されたスペーサ54が上部電極部52及び下部電極部53の各外周部分に取り付けられており、これらの上部電極部52と下部電極部53とのクリアランスを確保した状態で、抵抗膜52b、53bを相対させるようになっている。また、上部電極部52、下部電極部53、及びスペーサ54に囲まれたタッチパネル51の内部空間には、複数のドットスペーサ55が設けられている。そして、タッチパネル51では、上部電極部52がユーザからの操作指示(押圧操作)に応じて変形して、その抵抗膜52bが下部電極部53の抵抗膜53bに接触することにより、当該操作指示を検出・入力可能になっている。
【0006】
液晶パネル61は、一対のガラス基板62、63と、これらのガラス基板62、63に狭持された液晶層64とを備えている。また、ガラス基板62のタッチパネル51側の表面には、偏光板65が積層されている。一方、ガラス基板63の液晶層64とは反対側の表面には、偏光板66が積層されている。また、液晶層64は、その外周部分に設けられたシール部材Sにより封止されている。そして、液晶パネル61では、バックライトユニット67からの光が照明光として与えられて、ガラス基板62の表面上に情報を表示させ、タッチパネル51を介してユーザに視認可能に構成されている。
【0007】
また、液晶パネル61では、一方のガラス基板63が枠状に設けられた両面粘着テープ68により、バックライトユニット67の筐体に貼り合わせられている。また、他方のガラス基板62は、断面L字状に構成された表ケース69の内側表面に接触されている。
【0008】
一方、タッチパネル51では、下部電極部53の基板53aが枠状の両面粘着テープ70によって表ケース69の外側表面に貼り合わせられており、従来のタッチパネル付きの液晶表示装置50では、表ケース69を介在させることによってタッチパネル51と液晶パネル61とが互いに組み付けられている。
【特許文献1】特開2001−356323号
【特許文献2】特開2002−227856号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記のような従来のタッチパネル付きの液晶表示装置50では、表ケース69の内側表面にガラス基板62を接触させた状態で、当該表ケース69の外側表面に対し両面粘着テープ70を用いて下部電極部53の基板53aを貼り合わせることにより、別々に製造したタッチパネル51と液晶パネル61とを互いに組み付けていた。また、この組付作業では、タッチパネル51と液晶パネル61との位置合わせを精度よく行わせるために、固定ジグなどの専用の位置決め部材を用いる必要があった。このため、従来のタッチパネル付きの液晶表示装置50では、タッチパネル61と液晶パネル51との組付作業に時間及び手間を要するという問題点があった。
【0010】
上記の課題に鑑み、本発明は、タッチパネルを簡単に、かつ高精度に組み付けることができるタッチパネル付きの表示パネル、及びこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示パネルは、表示面を構成する基板を備えた表示パネルであって、
外部からの押圧操作に応じて、変形可能に構成された透明な上部電極部と、前記上部電極部に対向して配置された透明な下部電極部とを具備したタッチパネルが設置され、かつ
前記基板の表示面側の表面に、前記下部電極部が直接設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
上記のように構成された表示パネルでは、タッチパネルの下部電極部が上記基板の表示面側の表面に直接設けられているので、両面粘着テープや専用の位置決め部材などを用いることなく、当該表示パネルの表示面側にタッチパネルを精度よく組み付けることが可能となる。従って、上記従来例と異なり、タッチパネルと表示パネルとの貼り合わせ作業を行うことなく、タッチパネルを簡単に、かつ高精度に表示パネルに組み付けることができる。
【0013】
また、上記表示パネルにおいて、前記下部電極部には、前記基板の表示面側の表面に直接形成された透明な抵抗膜と、前記抵抗膜上で互いに平行に形成された一対の透明な平行電極とが含まれていることが好ましい。
【0014】
この場合、下部電極部の抵抗膜が表示パネルの表示面側に直接設けられるので、タッチパネルが簡単な組付作業にて高精度に組み付けられたタッチパネル付きの表示パネルをより確実に構成することができる。
【0015】
また、上記表示パネルにおいて、前記上部電極部と前記下部電極部とのクリアランスを確保するスペーサを備えるとともに、
前記スペーサには、両面粘着材が用いられてもよい。
【0016】
この場合、上部電極部と下部電極部とを互いに組み付ける組付部材として、スペーサを兼用させることができるので、当該組付部材の設置を省略することができ、タッチパネル付きの表示パネルの部品点数を削減することが可能となる。
【0017】
また、上記表示パネルにおいて、前記基板に対向して配置された対向基板を備えるとともに、
前記基板と前記対向基板との間には、液晶層が狭持されてもよい。
【0018】
この場合、タッチパネルが簡単な組付作業にて高精度に組み付けられたタッチパネル付きの液晶パネルを容易に構成することができる。
【0019】
また、上記表示パネルにおいて、前記上部電極部の上側には、偏光板が一体的に設けられていることが好ましい。
【0020】
この場合、上記液晶パネルの偏光板がタッチパネルに一体的に設けられることとなり、タッチパネル付きの液晶パネルの組立作業の簡単化を容易に図ることができる。
【0021】
また、上記表示パネルにおいて、前記液晶層の内部には、前記基板と前記対向基板との間隙を一定に保つための柱状スペーサが複数設けられていることが好ましい。
【0022】
この場合、複数の柱状スペーサにより、基板と対向基板とによる液晶層の支持強度を向上させることができることから、上記液晶パネルによるタッチパネルの支持強度も向上させることができる。これにより、タッチパネルへの操作入力の検出精度の低下を防ぎつつ、液晶パネルの表示品位が低下するのを防止することが可能となる。
【0023】
また、本発明の電子機器は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電子機器であって、
前記表示部に、上記いずれかの表示パネルを用いたことを特徴とするものである。
【0024】
上記のように構成された電子機器では、簡単な組付作業にて高精度に組み付けられたタッチパネルを有する表示パネルにて上記表示部が構成されているので、組立作業が簡単化されたコスト安価で高性能なタッチパネル付きの電子機器を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タッチパネルを簡単に、かつ高精度に組み付けることができるタッチパネル付きの表示パネル、及びこれを用いた電子機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の表示パネル、及び表示装置(電子機器)の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合を例示して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態にかかるタッチパネル付きの液晶パネル、及びこれを用いた液晶表示装置の要部構成を示す側面図である。図1において、本実施形態のタッチパネル付きの液晶表示装置1は、ユーザの視認側(図の上側)に配置された抵抗膜式のタッチパネル2と、このタッチパネル2の背面側(図の下側)に設置された表示部としての液晶パネル3とを備えており、タッチパネル2が液晶パネル3の表示面側(図の上側)に直接的に設けられることでこれらパネル2、3の組付作業の簡単化が図られている(詳細は後述。)。また、液晶表示装置1には、液晶パネル3の背面側に配置され、当該液晶パネル3に照明光を照射するバックライトユニット4が設けられている。
【0028】
タッチパネル2は、外部からの押圧操作に応じて、変形可能に構成された透明な上部電極部5と、上部電極部5に対向して配置された透明な下部電極部6とを備えている。また、タッチパネル2では、後に詳述するように、上部電極部5がユーザからの操作指示(押圧操作)に応じて変形し、下部電極部6に部分的に接触することにてオフ状態からオン状態に切り換えられて、当該操作指示を検出・入力可能に構成されている。
【0029】
上部電極部5には、厚さ120〜188μm程度の薄板状の基板5aと、この基板5aの下部電極部6側の表面全面を覆うように形成された抵抗膜5bとが設けられている。基板5aは、透明で可撓性を有する合成樹脂、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いて構成されている。また、抵抗膜5bは、ITO(酸化インジウム錫)などの透明な導電性薄膜により構成されたものであり、例えばスパッタ法によって0.01〜0.015μm(100〜150Å)程度の厚みで基板5aの表面上に成膜されている。
【0030】
また、基板5aの上側表面には、その表面全面を覆うように、液晶パネル3の偏光板9が図示を省略した粘着層により一体的に貼り付けられている。この偏光板9には、厚さ150〜450μm程度の透明で可撓性に優れたTAC(トリアセチルセルロース)またはPVA(ポリビニルアルコール)などの樹脂フィルムが使用されており、偏光板9は、ユーザからの操作指示に応じて、上部電極部5と一体的に、かつ部分的に変形可能になっている。
【0031】
下部電極部6には、図2(a)に示すように、抵抗膜6aと、この抵抗膜6a上で互いに平行に設けられた一対の平行電極6b、6cとが設けられている。抵抗膜6aは、上部電極部5の抵抗膜5bと同様に、ITO膜などの透明な導電性薄膜により構成されている。また、この抵抗膜6aは、液晶パネル3に含まれた第1のガラス基板10の表示面側の表面に対して、例えばスパッタ法により直接形成されたものであり、当該表面上に0.01〜0.015μm(100〜150Å)程度の厚みで成膜されている。
【0032】
各平行電極6b、6cは、抵抗膜6aと同じ透明な導電性材料を用いて当該抵抗膜6aと一体的に設けられたものであり、図2の上下方向(以下、Y軸方向という。)に沿って帯状に形成されている。また、各平行電極6b、6cは、位置検出用のFPC(Flexible Printed Circuit)15に接続されており、FPC15を介して接続された電源(図示せず)から直流電圧が印加されるようになっている。また、FPC15には、図示を省略した位置検知部が接続されており、抵抗膜6aと上部電極部5側の抵抗膜5bとが接触したときに、上記位置検知部は、抵抗膜5b、6aの接触点と平行電極6bまたは6cと間の電圧値を検出し、その検出電圧値を基に同図2の左右方向(以下、X軸方向という。)での抵抗膜5b、6aの接触点の位置を検知するようになっている。
【0033】
一方、上部電極部5には、図2(b)に示すように、X軸方向に沿って帯状に形成された一対の平行電極5c、5dが抵抗膜5b上で互いに平行に設けられている。これらの各平行電極5c、5dは、抵抗膜5bと同じ透明な導電性材料を用いて当該抵抗膜5bと一体的に形成されたものであり、FPC15に接続されている。そして、平行電極5c、5dは、下部電極部6側の平行電極6b、6cと同様に、FPC15を介して直流電圧が印加されるようになっている。さらに、上部電極部5では、抵抗膜5bと下部電極部6側の抵抗膜6aとが接触したときに、上記位置検知部が、抵抗膜5b、6aの接触点と平行電極5cまたは5dと間の電圧値を検出し、その検出電圧値を基にY軸方向での抵抗膜5b、6aの接触点の位置を検知するようになっている。
【0034】
また、上部電極部5と下部電極部6との間では、電気絶縁性を有する材料により構成されたスペーサ7が上部電極部5及び下部電極部6の各外周部分に枠状に取り付けられており、これらの上部電極部5と下部電極部6とのクリアランスを確保した状態で、抵抗膜5b、6aを互いに対向させるようになっている。また、このスペーサ7には、両面粘着材(両面テープ)及びその内側に設けられた透明絶縁材が使用されており、抵抗膜5b、6aとスペーサ7とにより囲まれたタッチパネル2の内部空間を封止した状態で、上部電極部5と下部電極部6とを互いに組み付ける組付部材として兼用されている。これにより、液晶表示装置1では、専用の上記組付部材の設置を省略して、当該液晶表示装置1の部品点数を削減することができる。
【0035】
さらに、枠状のスペーサ7の一辺上には、図2(a)に示すように、FPC15が載置されており、上部電極部5と下部電極部6とがスペーサ7により組み付けられたときに、FPC15は同時に上部電極部5の抵抗膜5bに気密に固着されるようになっている。
【0036】
また、タッチパネル2では、図2に一点鎖線にて示す入力領域(すなわち、平行電極5c、5d及び6b、6cで囲まれた領域)が設定されており、この入力領域内でユーザからの操作指示を受け入れるようになっている。また、この入力領域の内部には、透明材料からなるドットスペーサ8(図1)が下部電極部6側の抵抗膜6a上に複数形成されており、抵抗膜5b及び6aが常時接触するのを確実に防止したり、上記操作指示を円滑、かつ高精度に検出したりすることができるようになっている。
【0037】
さらに、タッチパネル2では、液晶パネル3の表示面上に表示された操作入力画面が上記入力領域内で偏光板9を介してユーザに視認可能に構成されている。そして、ユーザが当該操作入力画面に対し、指やタッチペンなどを用いた操作指示を行うと、上部電極部5が当該操作指示に応じて変形して、その抵抗膜5bが下部電極部6の抵抗膜6aに接触することにより、タッチパネル2では、上述のように、X軸方向及びY軸方向での各接触点の位置が検知されて、ユーザからの操作指示が判別される。
【0038】
尚、上記の説明では、上部電極部5及び下部電極部6に各々一対の平行電極5c、5d及び6b、6cを具備した4線式の抵抗膜式タッチパネル2を用いた場合について説明したが、補助電極を設置した5線式や8線式などの抵抗膜式タッチパネルを用いることもできる。
【0039】
液晶パネル3には、互いに平行に配置された第1及び第2のガラス基板10、11と、これらのガラス基板10、11の間に狭持された液晶層12とが設けられている。第1及び第2のガラス基板10、11は、それぞれ液晶パネル(表示パネル)3の表示面を構成する基板及びこの基板に対向して配置された対向基板であり、これらのガラス基板10、11には、0.15〜0.7mm程度の厚さを有するものが使用されている。また、液晶層12は、その外周部分に設けられたシール部材Sにより封止されている。また、第2のガラス基板11のバックライトユニット4側の表面上には、偏光板13が一体的に設けられており、液晶パネル3では、液晶層12を画素単位に駆動可能に構成されている。そして、液晶パネル3では、偏光板13を介してバックライトユニット4から入射された照明光の偏光状態が液晶層12にて変調され、かつ、偏光板9を通過する光量が制御されることにより、所望画像が表示される。
【0040】
詳細には、図3も参照して、第1のガラス基板10のタッチパネル2側の表面には、上述したように、下部電極部6の抵抗膜6aが直接形成されており、当該第1のガラス基板10が、下部電極部6の基板として機能するようになっている。また、第1のガラス基板10の液晶層12側の表面には、カラーフィルタ(ブラックマスクを含む。)16、ITO膜からなる透明電極17、及び配向膜18がこの順番で順次形成されている。
【0041】
また、第1のガラス基板10では、カラーフィルタ16などの液晶層12側の表面に積層される積層体が形成された後、この積層体よりも容易に成膜することができる下部電極部6の抵抗膜6aが液晶層12とは反対側の表面に形成されるようになっており、液晶表示装置1の製造歩留まりや品質の低下が極力防がれるようになっている。
【0042】
第2のガラス基板11では、その液晶層12側の表面上に、補助容量用電極19、絶縁膜20、TFT(Thin Film Transistor)21、及び層間絶縁膜22、23が順次形成されている。さらに、層間絶縁膜23上には、上記透明電極17に対向配置されるとともに、ITO膜からなる画素電極24、及び配向膜25が順次形成されており、液晶層12を画素単位に駆動可能になっている。
【0043】
液晶層12の内部には、図3に例示するように、断面台形状に構成された複数の柱状スペーサ26が画素電極24毎に設けられており、第1及び第2のガラス基板10、11の間隙が一定に保たれるように構成されている。
【0044】
バックライトユニット4には、例えばサイドライト型の照明装置が用いられている。すなわち、バックライトユニット4は、図1に示すように、筐体4aと、この筐体4aの内部に設けられた光源4b及び導光板4cとを備えている。筐体4aには、枠状に設けられた両面テープ14により、第2のガラス基板11が固着されるようになっており、この両面テープ14を介在させて、タッチパネル2が一体的に取り付けられた液晶パネル3がバックライトユニット4と一体化されて、タッチパネル付きの液晶表示装置1が構成される。
【0045】
また、光源4bには、例えばLEDからなる点状光源が使用されており、光源4bは、液晶パネル3の第2のガラス基板11に平行に設置された導光板4cの側面に対向配置されて、当該導光板4cの内部に光を導入するようになっている。また、導光板4cでは、内部に導入された光源4bの光を当該光源4bから遠ざかる方向に導きつつ、液晶パネル3側に出射するようになっており、バックライトユニット4は、均一な平面状の上記照明光で液晶パネル3を照明するように構成されている。
【0046】
尚、この説明以外に、例えば液晶パネル3の背面側に複数の線状光源を配列した直下型の照明装置をバックライトユニット4に用いることもできる。
【0047】
以上のように構成された本実施形態のタッチパネル付きの液晶表示装置1では、タッチパネル2に含まれた下部電極部6の抵抗膜6aが液晶パネル3の第1のガラス基板10の表示面側の表面に直接設けられている。これにより、本実施形態では、上記従来例と異なり、両面粘着テープや専用の位置決め部材などを用いることなく、液晶パネル3の表示面側にタッチパネル2を高精度に組み付けることができる。従って、本実施形態では、タッチパネル2と液晶パネル3との貼り合わせ作業を実施することなく、液晶パネル3に対してタッチパネル2を簡単に、かつ高精度に組み付けることができる。
【0048】
また、本実施形態では、下部電極部6の抵抗膜6aを第1のガラス基板10の表示面側の表面に直接設けることにより、当該ガラス基板10を下部電極部6の基板と兼用させているので、下部電極部6(タッチパネル2)、ひいては液晶表示装置1の薄型・軽量化を容易に行うことができ、タッチパネル2及び液晶表示装置1の部品点数を削減して、コスト安価に構成することができる。また、上記従来例と異なり、両面粘着テープや専用の位置決め部材などを不要としているので、タッチパネル2と液晶パネル3との組付作業を簡単化することもできる。
【0049】
さらに、本実施形態では、抵抗膜6aを第1のガラス基板10の上記表面上に直接形成しているので、タッチパネル2と液晶パネル3との密着不良の発生やこれらのパネル2、3の組付作業時にゴミ等の異物が当該パネル2、3の間に進入するのを防ぐことができ、空気層を介在させることなくタッチパネル2を液晶パネル3に取り付けている点とも相まって、表示品位の低下が極力防がれた表示性能に優れたタッチパネル付きの液晶表示装置1を容易に構成することができる。しかも、本実施形態では、タッチパネル2を液晶パネル3に高精度に組み付けることができるので、これらのパネル2、3の位置合わせも高精度に行うことができる。この結果、タッチパネル2の上記入力領域に形成される、当該タッチパネル2での検出動作保証領域(キーエリア)を小さくした高分解能でコンパクトなタッチパネル2を容易に構成することが可能となる。また、このように高分解能でコンパクトなタッチパネル2を容易に構成することができることから、タッチパネル付きの液晶表示装置1のコンパクト化及び高性能化も容易に図ることが可能となる。
【0050】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
例えば、上記の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射型や半透過型の他の液晶表示装置に適用することができる。
【0052】
また、上記の説明では、液晶表示装置の表示部としての液晶パネルに適用した場合について説明したが、本発明は文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部が設けられた電子機器であれば何等限定されるものではなく、例えば電子手帳などのPDAや携帯電話を含んだ携帯情報端末、またはカーナビゲーションシステムやATMあるいは券売機などの任意の箇所に設置されて固定的に使用される各種電子機器に好適に用いることができる。
【0053】
また、上記の説明では、タッチパネルを液晶パネルに組み付けた場合について説明したが、本発明は表示面を構成する基板を備えた表示パネルであればよく、上記液晶パネル以外に、プラズマディスプレイパネル(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)パネル、エレクトロルミネンス(EL)パネル、及びプロジェクションパネル(リアプロジェクション型の投写型表示装置に使用されるものを含む。)などのいずれかの表示パネルの表示面を構成する基板にタッチパネルを直接組み付け、当該表示パネルにタッチパネル機能を付与することもできる。
【0054】
また、上記の説明では、基板としての上記第1のガラス基板の表面にタッチパネルの下部電極部に含まれた抵抗膜を直接設ける場合について説明したが、本発明の基板及び下部電極部はこれに限定されるものではなく、従来、必要とされた下部電極部の基板を、表示パネルが本来的に有する基板と兼用させたものであれば、基板及び下部電極部の材質、構成等は上記のものに何等限定されない。具体的には、アクリル樹脂などの合成樹脂からなる透明基板を基板として使用するとともに、この透明基板の表面に下部電極部の一対の平行電極を設けるための2つの溝を形成して、一対の平行電極及び抵抗膜の順番で、透明な導電性材料からなる下部電極部を当該透明基板の表面上に直接に設ける構成でもよい。
【0055】
また、上記の説明以外に、タッチパネルの抵抗膜や平行電極あるいは液晶パネルの透明電極にIZO(酸化インジウム亜鉛)などの他の透明な導電性材料を使用することもできる。
【0056】
また、上記の説明では、液晶パネルの偏光板を上部電極部の基板の上側表面に貼り付けた構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば偏光性を有する透明な樹脂フィルムを上部電極部の基板として兼用させるとともに、この基板の表面上に抵抗膜及び一対の平行電極を直接的に成膜することで上部電極部と偏光板とを一体的に設けることもできる。このように上部電極部と偏光板とを一体的に設けた場合には、タッチパネル付きの液晶パネルの組立作業の簡単化を容易に図ることができる点で好ましい。
【0057】
また、上記の説明では、液晶層の内部に複数設けた柱状スペーサによって第1及び第2のガラス基板の間隙を一定に維持させた構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば球状スペーサを用いて上記間隙を一定に保つこともできる。但し、上記実施形態のように、柱状スペーサを用いる場合の方が、当該柱状スペーサが基板側及び対向基板側に面接触した状態で、液晶層を支持することが可能となる点で好ましい。つまり、柱状スペーサを用いることにより、液晶層の支持強度を向上させるとともに、液晶パネルによるタッチパネルの支持強度も向上させることができ、タッチパネルへの操作入力の検出精度の低下を防ぎつつ、液晶パネルの表示品位が低下するのを防止することが可能となる点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態にかかるタッチパネル付きの液晶パネル、及びこれを用いた液晶表示装置の要部構成を示す側面図である。
【図2】図1に示したタッチパネルを説明する図であり、(a)及び(b)はそれぞれ上部電極部及び下部電極部から見たときの下部電極部及び上部電極部の平面図である。
【図3】図1に示した液晶パネルの要部構成を説明する図である。
【図4】従来のタッチパネル付きの液晶表示装置を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
1 液晶表示装置(電子機器)
2 タッチパネル
3 液晶パネル(表示パネル、表示部)
5 上部電極部
5a 基板(上部電極部)
5b 抵抗膜(上部電極部)
5c、5d 平行電極(上部電極部)
6 下部電極部
6a 抵抗膜(下部電極部)
6b、6c 平行電極(下部電極部)
7 スペーサ
9 偏光板
10 第1のガラス基板(基板)
11 第2のガラス基板(対向基板)
12 液晶層
26 柱状スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を構成する基板を備えた表示パネルであって、
外部からの押圧操作に応じて、変形可能に構成された透明な上部電極部と、前記上部電極部に対向して配置された透明な下部電極部とを具備したタッチパネルが設置され、かつ
前記基板の表示面側の表面に、前記下部電極部が直接設けられていることを特徴とするタッチパネル付きの表示パネル。
【請求項2】
前記下部電極部には、前記基板の表示面側の表面に直接形成された透明な抵抗膜と、前記抵抗膜上で互いに平行に形成された一対の透明な平行電極とが含まれている請求項1に記載のタッチパネル付きの表示パネル。
【請求項3】
前記上部電極部と前記下部電極部とのクリアランスを確保するスペーサを備えるとともに、
前記スペーサには、両面粘着材が用いられている請求項1または2に記載のタッチパネル付きの表示パネル。
【請求項4】
前記基板に対向して配置された対向基板を備えるとともに、
前記基板と前記対向基板との間には、液晶層が狭持されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネル付きの表示パネル。
【請求項5】
前記上部電極部の上側には、偏光板が一体的に設けられている請求項4に記載のタッチパネル付きの表示パネル。
【請求項6】
前記液晶層の内部には、前記基板と前記対向基板との間隙を一定に保つための柱状スペーサが複数設けられている請求項4または5に記載のタッチパネル付きの表示パネル。
【請求項7】
文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電子機器であって、
前記表示部に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示パネルを用いたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−102565(P2007−102565A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292724(P2005−292724)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】