説明

タッチパネル及びこれを用いた可動接点体とスイッチ

【課題】各種電子機器に用いられるタッチパネル及びこれを用いた可動接点体とスイッチに関し、安価に製作が可能で、操作の確実なものを提供することを目的とする。
【解決手段】光透過性の下ベースシート1上面に形成された複数の略帯状の下電極12と、この下電極12と所定の間隙を空けて、下電極12とは直交方向に形成された複数の略帯状の上電極14を、光透過性の導電性樹脂で形成することによって、印刷等の簡易な方法で下電極12と上電極14を形成できるため、製作が容易で安価なタッチパネル16を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられる静電式のタッチパネル、及びこれを用いた可動接点体とスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやEL素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられるタッチパネルやスイッチにも、安価で確実な操作の可能なものが求められている。
【0003】
このような従来のタッチパネルやスイッチについて、図10及び図11を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0005】
図10は従来のスイッチの断面図、図11は同タッチパネルの分解斜視図であり、同図において、1はフィルム状で光透過性の下ベースシート、2は帯状で酸化インジウム錫等の光透過性の下電極で、下ベースシート1上面に複数の下電極2が所定間隔で配列されている。
【0006】
また、3はフィルム状で光透過性の上ベースシート、4は帯状で酸化インジウム錫等の光透過性の上電極で、上ベースシート3上面に複数の上電極4が所定間隔で、下電極2とは直交方向に配列されている。
【0007】
さらに、5はフィルム状で光透過性の保護シートで、下ベースシート1の上面に上ベースシート3が、上ベースシート3の上面に保護シート5が各々積重されると共に、これらが接着剤(図示せず)等によって貼り合わされて、タッチパネル6が構成されている。
【0008】
そして、7は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板、8は上方へ突出した操作軸8Aの上下動によって電気的接離が行われるプッシュスイッチで、配線基板7上面に複数のプッシュスイッチ8が実装されると共に、これらの操作軸8A上端がタッチパネル6下面に当接している。
【0009】
また、9は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子9が配線基板7上面に実装され、これらが発光面を上面に向け、複数のプッシュスイッチ8の間に配置されている。
【0010】
さらに、10は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部10Aの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部10Bが形成され、この表示部10Bがプッシュスイッチ8上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0011】
なお、以上のようなスイッチに用いられるタッチパネル6を製作する際には、先ず、上面全面に酸化インジウム錫等の導電層が形成された下ベースシート1と上ベースシート3の上面の、下電極2や上電極4を形成する箇所を合成樹脂等で覆って、各々にマスキング膜を形成する。
【0012】
次に、これらを所定の溶液に浸漬しエッチング加工して、マスキングした箇所以外の導電層を溶融除去した後、マスキング膜を剥離し、水洗い等によって洗浄して、上面に複数の下電極2が所定間隔で配列された下ベースシート1と、上面に下電極2とは直交方向に複数の上電極4が所定間隔で配列された上ベースシート3を製作する。
【0013】
最後に、この下ベースシート1の上面に上ベースシート3を、上ベースシート3の上面に保護シート5を各々積重し、接着剤によって貼り合わせて、タッチパネル6が完成する。
【0014】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、タッチパネル6の下電極2や上電極4、複数のプッシュスイッチ8や発光素子9が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0015】
以上の構成において、電子回路から複数の下電極2と上電極4へ順次電圧が印加された状態で、表示シート10上面を指等で軽く触れて接触操作すると、この指にタッチパネル6の電荷の一部が導電し、操作した箇所の下電極2と上電極4の間の容量が変化するため、これによって表示シート10のどの箇所が接触操作されたかを電子回路が検出する。
【0016】
また、表示シート10の所定の表示部10Bを下方へ押圧操作すると、表示シート10やタッチパネル6が撓んで、操作軸8Aが押圧されてプッシュスイッチ8の電気的接離が行われ、これによってどの表示部10Bが押圧操作されたかを電子回路が検出する。
【0017】
そして、これらの接触操作や押圧操作に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子9に電源が供給されると、複数の発光素子9が発光し、この光がタッチパネル6を通って、表示シート10の複数の表示部10Bを下方から照光することによって、周囲が暗い場合でも、表示部10Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0018】
つまり、電子回路がタッチパネル6の容量変化によって、表示シート10の接触操作された箇所を、プッシュスイッチ8の電気的接離によって、押圧操作された箇所を各々検出すると共に、複数の発光素子9を発光させることによって、表示シート10の複数の表示部10Bを照光するように構成されているものであった。
【0019】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2007−141269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記従来のタッチパネル6及びこれを用いたスイッチにおいては、上面に光透過性の複数の下電極2と上電極4が形成された下ベースシート1と上ベースシート3を、上面全面に導電層が形成された各ベースシートを溶液に浸漬し、エッチング加工して製作を行っているため、製作に時間を要し、高価なものになってしまうという課題があった。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、安価に製作が可能で、操作の確実なタッチパネル及びこれを用いた可動接点体とスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0023】
本発明の請求項1に記載の発明は、光透過性のベースシート上面に形成された複数の略帯状の下電極と、この下電極と所定の間隙を空けて、下電極とは直交方向に形成された複数の略帯状の上電極を、光透過性の導電性樹脂で形成してタッチパネルを構成したものであり、下電極と上電極に導電性樹脂を用いることによって、印刷等の簡易な方法で下電極と上電極を形成できるため、製作が容易で安価なタッチパネルを得ることができるという作用を有する。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、下電極及び上電極を複数の透光部と、この複数の透光部を連結する導電部から形成したものであり、導電部を銀やカーボン等で形成することによって、下電極と上電極の抵抗値を小さなものとし、安定した確実な操作を行うことが可能となるという作用を有する。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のタッチパネル下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、安価で確実な操作の可能な可動接点体を実現することができるという作用を有する。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載のタッチパネル下面に、複数のスイッチ接点と発光体を設けてスイッチを構成したものであり、スイッチを安価で確実な操作の可能なものに形成できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、安価に製作が可能で、操作の確実なタッチパネル及びこれを用いた可動接点体とスイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図9を用いて説明する。
【0029】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0030】
(実施の形態1)
実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜4記載の発明について説明する。
【0031】
図1は本発明の第1の実施の形態によるタッチパネルの断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11はポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム状で光透過性の下ベースシート、12は略帯状で光透過性の下電極で、下ベースシート11上面に複数の下電極12が所定間隔で配列されている。
【0032】
また、13は下ベースシート11と同様のフィルム状で光透過性の上ベースシート、14は略帯状で光透過性の上電極で、上ベースシート13上面に複数の上電極14が所定間隔で、下電極12とは直交方向に配列されている。
【0033】
そして、この複数の下電極12や上電極14は、図3(a)や図3(b)の部分平面図に示すように、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性樹脂から形成された略方形の複数の透光部12Aや14Aと、この複数の透光部12Aや14Aを連結する、銀やカーボン等を分散したポリエステルやエポキシ等の略矩形の複数の導電部12Bや14Bから形成されている。
【0034】
さらに、複数の下電極12や上電極14の間には、略方形の複数の空隙部12Cや14Cが設けられると共に、下ベースシート11と上ベースシート13は図1や図3(c)に示すように、複数の透光部12Aと空隙部14C、複数の空隙部12Cと透光部14Aが各々交互に重なり、上下に位置するように積重され、所定の間隙を空けて対向するように、アクリルやゴム等の接着剤(図示せず)によって貼り合わされている。
【0035】
つまり、グレー色や黒色の導電部12Bと14Bが重なった箇所以外の、光透過性の透光部12Aと空隙部14C、空隙部12Cと透光部14Aが各々重なった、ほぼ全面にわたって光が透過するように構成されている。
【0036】
また、このような複数の下電極12や上電極14は、下ベースシート11と上ベースシート13上面に、先ず、複数の透光部12Aや14Aをスクリーン印刷等によって印刷形成し乾燥した後、同じく複数の導電部12Bや14Bを印刷形成し乾燥することで、比較的短時間で容易に製作することができる。
【0037】
そして、15はフィルム状で光透過性の保護シートで、下ベースシート11の上面に上ベースシート13が、上ベースシート13の上面に保護シート15が各々積重されると共に、これらが接着剤(図示せず)等によって貼り合わされて、タッチパネル16が構成されている。
【0038】
また、図4はこのようなタッチパネル16を用いた可動接点体の断面図であり、同図において、17はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状で可撓性を有するカバーシート、18は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、カバーシート17外周の所定箇所が、接着剤(図示せず)によってタッチパネル16下面に貼付されると共に、複数の可動接点18がカバーシート17下面に貼付されている。
【0039】
さらに、19はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ19がカバーシート17下面全面を覆うように貼付され、保管や搬送時に可動接点18下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体20が構成されている。
【0040】
また、図5はこのような可動接点体20を用いたスイッチの断面図であり、同図において、21はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面に銅等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点22Aと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点22Bから形成された複数の固定接点22が設けられている。
【0041】
そして、この配線基板21上面にセパレータ19を剥離した可動接点体20が、各々の可動接点18の外周が外側固定接点22B上に載置され、可動接点18の下面中央が中央固定接点22Aと所定の間隙を空けて対向するように貼付されて、タッチパネル16下面に複数のスイッチ接点が形成されている。
【0042】
また、23は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子23が配線基板21上面に実装され、これらが発光面を上方に向け、複数の可動接点18の間に配置されて、タッチパネル16下面に発光体が形成されている。
【0043】
さらに、24は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部24Aの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部24Bが形成され、この表示部24Bが可動接点18上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0044】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、タッチパネル16の下電極12や上電極14、複数の固定接点22や発光素子23が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0045】
以上の構成において、電子回路から複数の下電極12と上電極14へ順次電圧が印加された状態で、表示シート24上面を指等で軽く触れて接触操作すると、この指にタッチパネル16の電荷の一部が導電し、操作した箇所の下電極12と上電極14の容量が変化するため、これによって表示シート24のどの箇所が接触操作されたかを電子回路が検出する。
【0046】
なお、この時、複数の下電極12と上電極14が、透光部12Aに空隙部14C、空隙部12Cに透光部14Aが各々交互に重なり、上下に位置するように積重されると共に、指による容量の変化を下電極12と上電極14の間ではなく、操作された箇所近傍の下電極12と上電極14の各々の容量変化によって検出するようになっているため、電子回路による操作箇所の検出を簡易に行えるようになっている。
【0047】
つまり、複数の下電極12と上電極14の間の容量変化を検出する場合には、例えば、下電極12と上電極14を各5本とすると、1本ずつの下電極12について全ての上電極14との組み合わせ回数分、すなわち25回の検出が必要となる。
【0048】
これに対し、透光部12Aと14Aが上下に交互に形成され、操作された箇所近傍の下電極12と上電極14の容量変化を検出する本発明の場合には、複数の下電極12と上電極14を合わせた本数分、すなわち10回の検出ですむため、簡易に操作箇所の検出を行うことが可能となっている。
【0049】
また、表示シート24の所定の表示部24Bを下方へ押圧操作すると、タッチパネル16やカバーシート17が撓んで可動接点18の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点18がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点18の下面中央が中央固定接点22Aに接触することによって、中央固定接点22Aと外側固定接点22Bが、可動接点18を介して電気的に接続された状態となり、これによってどの表示部24Bが押圧操作されたかを電子回路が検出する。
【0050】
なお、表示シート24への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点18が上方へ弾性反転し、可動接点18の下面中央が中央固定接点22Aから離れて、中央固定接点22Aと外側固定接点22Bが電気的に切断された状態となる。
【0051】
そして、これらの接触操作や押圧操作に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子23に電源が供給されると、複数の発光素子23が発光し、この光がタッチパネル16を通って、表示シート24の複数の表示部24Bを下方から照光することによって、周囲が暗い場合でも、表示部24Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0052】
つまり、電子回路がタッチパネル16の容量変化によって、表示シート24の接触操作された箇所を、固定接点22の電気的接離によって、押圧操作された箇所を各々検出すると共に、複数の発光素子23を発光させることによって、表示シート24の複数の表示部24Bを照光するように構成されている。
【0053】
そして、この時、発光素子23の光は、タッチパネル16を通って複数の表示部24Bを照光するが、上述したように、下電極12と上電極14の導電部12Bと14Bが重なった以外の殆どの箇所は、光透過性で導電樹脂製の透光部12Aと14A、空隙部14Cと12Cが各々重なって形成されているため、タッチパネル16によって輝度が損なわれることはなく、明るく良好な照光が行えるように形成されている。
【0054】
また、タッチパネル16の下電極12と上電極14が導電性樹脂から形成されているため、例えば酸化インジウム錫等で形成した場合のように、エッチング加工や洗浄といった手間をかけることなく、上述したように、スクリーン印刷等の簡易な方法でタッチパネル16を形成できるようになっている。
【0055】
さらに、下電極12と上電極14が複数の透光部12A、14Aと、この複数の透光部12A、14Aを連結する導電部12B、14Bから形成されているため、下電極12と上電極14の抵抗値を小さなものとし、安定した確実な操作を行うことができるように構成されている。
【0056】
つまり、下電極12や上電極14全体を、面積抵抗が500Ω〜1.5kΩ/□と比較的大きな抵抗値の、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性樹脂から形成するのではなく、この導電性樹脂から形成された複数の透光部12Aや14Aを、面積抵抗が10Ω〜300Ω/□と小さな抵抗値の、銀やカーボン等を分散したポリエステルやエポキシ等の導電部12Bや14Bで連結し接続することによって、下電極12や上電極14全体の抵抗値を小さなものとすることが可能なようになっている。
【0057】
このように本実施の形態によれば、光透過性の下ベースシート1上面に形成された複数の略帯状の下電極12と、この下電極12と所定の間隙を空けて、下電極12とは直交方向に形成された複数の略帯状の上電極14を、光透過性の導電性樹脂で形成することによって、印刷等の簡易な方法で下電極12と上電極14を形成できるため、製作が容易で安価なタッチパネル16を得ることができるものである。
【0058】
そして、このようなタッチパネル16下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点18を装着すると共に、可動接点18と固定接点22によって複数のスイッチ接点を、複数の発光素子23によって発光体を設けることによって、安価で確実な操作の可能な可動接点体20やスイッチを実現することができる。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態2を用いて、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0060】
なお、実施の形態1の構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0061】
図6は本発明の第2の実施の形態による可動接点体の分解断面図であり、同図において、上面に略帯状で光透過性の複数の下電極12が所定間隔で配列された下ベースシート11の上面に、上面に略帯状で光透過性の複数の上電極14が所定間隔で、下電極12とは直交方向に配列された上ベースシート13が積重されていることは、実施の形態1の場合と同様である。
【0062】
そして、この複数の下電極12や上電極14が、図1や図3に示したように、導電性樹脂から形成された略方形の複数の透光部12Aや14Aと、この複数の透光部12Aや14Aを連結する、略矩形の複数の導電部12Bや14Bから形成されていることも、実施の形態1の場合と同様である。
【0063】
なお、このような複数の透光部12Aや14A、導電部12Bや14Bが、スクリーン印刷等によって比較的短時間で容易に製作することが可能なことは、実施の形態1の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
さらに、この複数の透光部12Aと空隙部14C、複数の空隙部12Cと透光部14Aが各々交互に重なり、上下に位置するように積重されて、所定の間隙を空けて対向するように、下ベースシート11と上ベースシート13が貼り合わされてタッチパネル16が構成されていることも、実施の形態1の場合と同様であるが、この下面にはEL素子25が貼付されている。
【0065】
また、このEL素子25はフィルム状で光透過性の基材25A下面に、酸化インジウム錫等を分散した光透過性合成樹脂や、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性樹脂から形成された光透過電極層25Bと、フッ素ゴム等の合成樹脂内に発光の母材となる硫化亜鉛等の蛍光体を分散した発光体層25C、同じく合成樹脂内にチタン酸バリウム等を分散した誘電体層25D、樹脂に銀やカーボン等を分散させた背面電極層25E、これらを覆うエポキシやポリエステル樹脂等の絶縁層25Fが、順次重ねて印刷されて形成されている。
【0066】
そして、このEL素子25下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の複数の可動接点18を下面に貼付したカバーシート17が貼付されると共に、セパレータ19がカバーシート17下面全面を覆うように貼付されて、可動接点体26が構成されている。
【0067】
また、図7はこのような可動接点体26を用いたスイッチの分解断面図であり、同図において、上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板21の上面に、中央固定接点22Aと外側固定接点22Bから形成された複数の固定接点22が設けられていることや、この配線基板21上面にセパレータ19を剥離した可動接点体26が貼付されて、タッチパネル16下面に複数のスイッチ接点が形成されていることは、実施の形態1の場合と同様である。
【0068】
さらに、実施の形態1の場合と同様に、遮光部24Aが文字や記号等の形状にくり抜かれ複数の表示部24Bが形成された表示シート24が、タッチパネル16上面に配置されて、スイッチが構成されている。
【0069】
つまり、本実施の形態においては、実施の形態1の場合の、配線基板21上面に実装された複数の発光素子23に代えて、タッチパネル16とカバーシート17の間にEL素子25を配置し、このEL素子25によってタッチパネル16下面の全面に、発光体を形成した構成となっている。
【0070】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、タッチパネル16の下電極12や上電極14、EL素子25の光透過電極層25Bや背面電極層25E、複数の固定接点22が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0071】
以上の構成において、電子回路から複数の下電極12と上電極14へ順次電圧が印加された状態で、表示シート24上面を指等で軽く触れて接触操作すると、この指にタッチパネル16の電荷の一部が導電し、操作した箇所の下電極12と上電極14の容量が変化するため、これによって表示シート24のどの箇所が接触操作されたかを電子回路が検出することは、実施の形態1の場合と同様である。
【0072】
また、表示シート24の所定の表示部24Bを下方へ押圧操作すると、タッチパネル16やEL素子25等が撓んで可動接点18の略ドーム状の中央部が押圧され、可動接点18が弾性反転して下面中央が中央固定接点22Aに接触することによって、中央固定接点22Aと外側固定接点22Bが、可動接点18を介して電気的に接続された状態となり、これによってどの表示部24Bが押圧操作されたかを電子回路が検出することも、実施の形態1の場合と同様である。
【0073】
そして、これらの接触操作や押圧操作に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路からEL素子25の光透過電極層25Bと背面電極層25Eに電圧が印加されると、発光体層25Cが発光し、この光がタッチパネル16を通って、表示シート24の複数の表示部24Bを下方から照光するが、この時、EL素子25は上面の全面が発光する。
【0074】
つまり、EL素子25上面の全面が発光し、この光がタッチパネル16の導電部12Bと14Bが重なった箇所以外の、透光部12Aと空隙部14C、空隙部12Cと透光部14Aが重なった、ほぼ全面を透過して複数の表示部24Bを真下から照光することによって、高輝度で明るく視認性の良好な状態で、表示部24Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0075】
また、このように1つのEL素子25が全面発光し、この光で全ての表示部24Bを照光することによって、実施の形態1の場合のように、複数の発光素子23を配線基板21上面に実装する必要がなくなるため、安価にスイッチを構成することも可能な構成となっている。
【0076】
なお、EL素子25の光透過電極層25Bや背面電極層25E、発光体層25C等を全面にではなく、表示シート24の複数の表示部24B真下にのみ形成するようにすれば、表示部24Bの高輝度な照光はそのままで、EL素子25を安価に形成することもできる。
【0077】
このように本実施の形態によれば、実施の形態1の場合と同様に、製作が容易で安価なタッチパネル16を得ることができると共に、このタッチパネル16下面に、EL素子25と複数の可動接点18を設けて可動接点体26を構成することによって、複数の表示部24Bを真下から明るく照光することができるため、視認性が良好で容易に操作が可能な可動接点体20やスイッチを実現することができるものである。
【0078】
なお、以上の説明では、上面に複数の略帯状の下電極12が形成された下ベースシート11の上面に、上面に複数の略帯状の上電極14が形成された上ベースシート13を重ねることによって、下電極12とこれに直交方向の上電極14が所定の間隙を空けて形成されたタッチパネル16の構成について説明したが、図8の断面図に示すように、これらを1枚のベースシート上に印刷によって重ねて形成することも可能である。
【0079】
すなわち、同図に示すように、フィルム状で光透過性のベースシート27の上面に、先ずスクリーン印刷等によって複数の略帯状の下電極12を形成し乾燥した後、これを覆うようにエポキシやポリエステル樹脂等の光透過性の下絶縁層28Aを形成し、この上面に下電極12とは直交方向の複数の上電極14と、これを覆うように光透過性の上絶縁層28Bを各々順次重ねて印刷形成して、下電極12と上電極14が所定の間隙を空けたタッチパネル29を構成すれば、ベースシートが1枚ですむと共に、保護シート15も不要となり、より安価にタッチパネルを形成することができる。
【0080】
また、以上の説明では、タッチパネル16の下電極12と上電極14を、略方形の複数の透光部12Aと14Aを、略矩形の複数の導電部12Bと14Bで連結して形成した構成について説明したが、図9(a)の部分平面図に示すように、光透過性の導電性樹脂によって、複数の帯状の下電極30や上電極を形成した構成や、あるいは図9(b)に示すように、略矩形の複数の透光部31Aを複数の導電部31Bで帯状に連結して、下電極31や上電極を形成した構成とし、これら電極間の静電容量の変化によって接触操作された箇所を検出するものとしても、本発明の実施は可能である。
【0081】
さらに、以上の説明では、タッチパネル16やEL素子25の下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の複数の可動接点18を下面に貼付したカバーシート17を貼付して、可動接点体20や26を形成した構成について説明したが、カバーシート17をなくし、タッチパネル16やEL素子25下面に、複数の可動接点18を直接貼付した構成とすれば、さらに安価に可動接点体を形成することも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によるタッチパネル及びこれを用いた可動接点体とスイッチは、安価に製作が可能で、操作の確実なものを得ることができるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同部分平面図
【図4】同可動接点体の断面図
【図5】同スイッチの断面図
【図6】本発明の第2の実施の形態による可動接点体の分解断面図
【図7】同スイッチの分解断面図
【図8】同タッチパネルの断面図
【図9】同部分平面図
【図10】従来のスイッチの断面図
【図11】同タッチパネルの分解斜視図
【符号の説明】
【0084】
11 下ベースシート
12、30、31 下電極
12A、14A、31A 透光部
12B、14B、31B 導電部
12C、14C 空隙部
13 上ベースシート
14 上電極
15 保護シート
16、29 タッチパネル
17 カバーシート
18 可動接点
19 セパレータ
20、26 可動接点体
21 配線基板
22 固定接点
22A 中央固定接点
22B 外側固定接点
23 発光素子
24 表示シート
24A 遮光部
24B 表示部
25 EL素子
25A 基材
25B 光透過電極層
25C 発光体層
25D 誘電体層
25E 背面電極層
25F 絶縁層
27 ベースシート
28A 下絶縁層
28B 上絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性のベースシートと、このベースシート上面に形成された複数の略帯状の下電極と、この下電極と所定の間隙を空けて、下電極とは直交方向に形成された複数の略帯状の上電極からなり、上記下電極及び上記上電極を光透過性の導電性樹脂で形成したタッチパネル。
【請求項2】
下電極及び上電極を複数の透光部と、この複数の透光部を連結する導電部から形成した請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
請求項1記載のタッチパネル下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【請求項4】
請求項1記載のタッチパネル下面に、複数のスイッチ接点と発光体を設けたスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−170194(P2009−170194A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5347(P2008−5347)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】