説明

タッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイ

【課題】タッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイに関し、特にカーボンナノチューブ構造体を利用したタッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイを提供する。
【解決手段】タッチパネルは、基板22と、前記基板に設置された透明な導電構造体24と、それぞれ前記透明な導電構造体24に電気的に接続された少なくとも二つの電極28、を含む。前記透明な導電構造体24は、複数のカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ構造体を含む。前記複数のカーボンナノチューブは等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。本発明では、前記タッチパネルの製造方法及び前記タッチパネルを利用したディスプレイも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイに関し、特にカーボンナノチューブ構造体を利用したタッチパネル及びその製造方法、タッチパネルを利用したディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、画面に指やペンなどで直接触れることで機械を操作する装置であり、LCDなど表示装置、PDAなど携帯装置、銀行のATMやPOSなど多くの装置で用いられている。タッチパネルに対して、タッチした位置の検出を電気的に行うものとして、抵抗膜方式や静電容量方式などがある。一方、電気を用いないものとして、超音波方式や赤外遮光方式、画像認識方式などがある。
【0003】
静電容量方式は、指で触れることで表示パネルの表面電荷の変化を捕らえることによる位置検出方法である。現在の静電容量方式のタッチパネルは、ガラス基板と、前記ガラス基板に設置される透明な導電構造体と、前記透明な導電構造体の四隅に設置される金属電極と、を含む。前記四つの金属電極により、前記基板に等電位面が形成される。即ち、タッチパネル表面全体に低電圧の電界を形成し、タッチした指によりその部分の電界を放電して、前記金属電極に微弱な電流が発生する。前記金属電極の電流の比率を計算することで触れた位置を検出することができる。
【0004】
一般に、前記ガラス基板はソーダ石灰ガラスからなる。前記透明な導電構造体は、ITO(インジウムスズ酸化物)又はATO(三酸化アンチモン)などの透明な材料からなる。前記金属電極は、それぞれ低抵抗の金属(例えば、銀であり)を印刷することにより形成される。さらに、前記透明な導電性層に封止膜を設置する。前記封止膜は、液体のガラスを硬化又は緻密化処理することにより形成される。
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在主流の方式では、全面がITO(Indium Tin Oxide)の透明導電性薄膜で構成されるために、構造が単純となり、剥離や磨耗、断線などがおきにくいために、寿命が長く、透過率も高く改善された。しかし、ITO(Indium Tin Oxide)はスパッタリング法、イオンプレーティング、塗布法などの方法により成膜されるので、製造方法が複雑である。また、ITO薄膜は、機械的及び化学的性能が良好でなく、膜質の均一性が低いという欠点がある。また、ITO薄膜の光透過性が低いので、明るい環境で表示パネルに表示される画面が見にくくなる。従って、現在のタッチパネルは、正確性や応答性が低く、光透過性が低いという課題がある。
【0006】
前記課題を解決するために、正確性や応答性が向上し、光透過性が高いタッチパネルを提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタッチパネルは、基板と、前記基板に設置された透明な導電構造体と、それぞれ前記透明な導電構造体に電気的に接続された少なくとも二つの電極、を含む。前記透明な導電構造体は、複数のカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ構造体を含む。前記複数のカーボンナノチューブは等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。
【0008】
前記複数のカーボンナノチューブが、それぞれ前記カーボンナノチューブ構造体の一つの表面と成す角度は0°〜15°である。
【0009】
隣接するカーボンナノチューブが分子間力で結合される。前記カーボンナノチューブ構造体はシート状の自立構造を有する。
【0010】
本発明のタッチパネルの製造方法は、カーボンナノチューブアレイが成長された基板を提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイをプレスしてカーボンナノチューブ構造体を形成する第二ステップと、前記カーボンナノチューブ構造体の同じ表面、又は対向する表面にそれぞれ少なくとも二つの電極を設置する第三ステップと、を含む。
【0011】
前記第二ステップは、押し器具を利用して、基材に成長された前記カーボンナノチューブアレイに所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押してカーボンナノチューブ構造体を形成させる第一サブステップと、前記基板から前記カーボンナノチューブ構造体を分離させる第二サブステップと、基板の形状に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体を切る第三サブステップと、前記カーボンナノチューブ構造体を基板に設置する第四サブステップと、を含む。
【0012】
前記第二ステップは、基板の第一表面を前記カーボンナノチューブアレイに接触させるように、前記基板を前記カーボンナノチューブアレイの端部に設置する第一サブステップと、押し器具を利用して、前記基板の第一表面とは反対側の第二表面を押して、前記第一表面にカーボンナノチューブ構造体を形成する第二サブステップと、前記基板の形状に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体を切る第三サブステップと、を含む。
【0013】
本発明のディスプレイは、タッチパネルと、該タッチパネルに近接する表示素子と、を含む。前記タッチパネルは、基板と、前記基板に設置された透明な導電構造体と、それぞれ前記透明な導電構造体に電気的に接続された少なくとも二つの電極、を含む。前記透明な導電構造体は、複数のカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ構造体を含む。前記複数のカーボンナノチューブは等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比べると、本発明のタッチパネルは、次の優れた点を有する。本発明のタッチパネルに利用されるカーボンナノチューブフィルムは、良好な機械性及び強靱性、均一な導電性を有するので、本発明のタッチパネル及びディスプレイは、優れた導電性及び耐久性がある。さらに、本発明のカーボンナノチューブ構造体の製造方法は簡単である。従って、本発明の製造方法により、前記タッチパネル及びディスプレイの大量生産が実現でき、前記タッチパネル及びディスプレイのコストが低減することができる。さらに、本発明のカーボンナノチューブ構造体を利用することにより、前記電極及び導電層の間の接触抵抗を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1及び図2を参照すると、本実施形態のタッチパネル20は、基板22と、透明な導電構造体24と、保護層26と、少なくとも二つの電極28を含む。ここで、前記基板22は、第一表面221及び該第一表面221に対向する第二表面222を含む。前記透明な導電構造体24は、前記基板22の第一表面221に設置されている。前記少なくとも二つの電極28は前記透明な導電構造体24に電気的に接続されるように、それぞれ前記透明な導電構造体24の隅又は縁部に設置されている。このように設置されば、前記透明な導電構造体24に等電位面を形成することができる。前記保護層26は、前記透明な導電構造体24及び前記電極28の上に設置されることができる。
【0017】
前記基板22は透明な材料からなり、曲面型又は平板型に形成される。さらに、前記基板22は柔軟な薄膜であるか、又は、ガラス、石英、ダイヤモンドのような透明な基板である。本実施形態において、前記基板22はガラスからなる。さらに、前記タッチパネル20の接触領域の形状に対応した形状に、前記透明な導電構造体24及び基板22を設けることができる。例えば、前記透明な導電構造体24及び基板22は矩形又は三角形に形成されることができる。本実施形態において、前記タッチパネル20の接触領域は、矩形に形成されるので、前記透明な導電構造体24及び基板22は矩形に形成されている。
【0018】
前記電極28は金属、導電樹脂、カーボンナノチューブのいずれか一種からなり、スパッタ、メッキ処理、化学蒸着などの方法により前記透明な導電構造体24の表面に堆積される。また、前記電極28を銀ペーストを介して前記透明な導電構造体24に電気的に接続させる。あるいは、前記電極28を直接前記基板22の表面に設置することもできる。この場合、別に回路を設置し、この回路を介して前記電極28を前記透明な導電構造体24に接続させる。本実施形態において、カーボンナノチューブ構造体自体が接着性を有するので、前記電極28を直接前記カーボンナノチューブ構造体に接着させ、前記カーボンナノチューブ構造体と電気的な接続を形成することができる。勿論、上述の方法に限らず、前記電極28と前記透明な導電構造体24を電気的接続させることができる方法は、全て本発明の保護範囲に含まれている。本実施形態において、単一の前記電極28は銀からなり、ストライプ状に形成されている。隣接する前記電極28は、所定の距離で離れるように設置されている。勿論、前記電極28はそれぞれ前記透明な導電構造体24の対向する表面に設置されることができる。
【0019】
前記透明な導電構造体24は少なくとも一つのカーボンナノチューブ構造体(図示せず)を含む。さらに、前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブを含む。該複数のカーボンナノチューブは、前記複数のカーボンナノチューブが等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記複数のカーボンナノチューブが、それぞれ前記カーボンナノチューブ構造体の一つの表面と成す角度は0°〜15°である。前記角度が0°である場合、前記カーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブ構造体の表面に平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブにおいて、隣接するカーボンナノチューブが分子間力で結合されるので、前記カーボンナノチューブ構造体はシート状の自立構造を有する。ここで、「自立構造」というものは、別の支持部材を利用せず、独立な構造を保持するものである。前記カーボンナノチューブ構造体は良好な引張力を有し、任意の形状に形成されることができる。従って、前記カーボンナノチューブ構造体は、平板型又は曲面に形成されることができる。本実施形態において、前記カーボンナノチューブ構造体は平板型に形成されている。
【0020】
さらに、実際の要求に応じて、複数の前記カーボンナノチューブ構造体を隙間なく平行に並列して、大寸法のカーボンナノチューブ構造体を形成することができる。複数の前記カーボンナノチューブ構造体を積み重ねて、多層のカーボンナノチューブ構造体を形成することもできる。
【0021】
実際の用途に応じて、前記透明な導電構造体24に利用されるカーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。また、必要な光透過度が確保される限り、前記カーボンナノチューブ構造体の厚さを調整することができる。ここで、前記カーボンナノチューブ構造体の幅は1μm〜10mm、厚さは0.5nm〜100μmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである場合、単一のカーボンナノチューブの直径はそれぞれ0.5nm〜50nm、1nm〜50nm、1.5nm〜50nmの範囲に設定される。本実施形態において、前記カーボンナノチューブ構造体は、長さが30cm、幅が30cm、厚さが50μmであるように設けられている。
【0022】
さらに、前記タッチパネル20の作動時間を延長させ、抵抗・容量結合を制限するために、前記電極28、前記透明な導電構造体24の前記基板22に隣接する面とは反対側の表面を覆うように前記保護層26を設置することができる。前記保護層26は透明な材料、例えば、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリエステル又はアクリル酸などのいずれか一種からなる。所定の方法で前記保護層を加工することにより、該保護層26は防反射又は防眩性などの性能を有することができる。例えば、前記保護層26は、表面硬化処理によるプラスチック膜(例えば、PET)であることができる。本実施形態において、前記保護層26は二酸化ケイ素からなり、硬度が7H(Hは、ロックウェル硬さ試験において、基準荷重における圧子の侵入深さを示すもの)に達する。前記保護層26は導電の銀ペーストで直接前記透明な導電構造体24に接着させることができる。
【0023】
さらに、電磁妨害(Electromagnetic Interference,EMI)を防止するために、前記基板22の第二表面222に、遮蔽層25を設置することができる。該遮蔽層25はインジウムスズ酸化物(ITO)又はアンチモン含有酸化スズ(ATO)、CNTを含む物質からなる。本実施形態において、前記遮蔽層25は、カーボンナノチューブフィルムを含む。該カーボンナノチューブフィルムにおいて、カーボンナノチューブは配向して又は配向せず配列させることができる。前記カーボンナノチューブフィルムを電気的に接地させることにより、前記タッチパネル20を電磁妨害のない雰囲気において動作させることができる。
【0024】
図3を参照すると、前記タッチパネル20は次の工程により製造される。
【0025】
第一段階では、カーボンナノチューブアレイを提供する。超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)であることが好ましい。
【0026】
本実施形態において、化学気相堆積法(CVD)法により前記カーボンナノチューブアレイを成長させる。まず、基材を提供する。該基材としては、P型又はN型のシリコン基材、又は表面に酸化物が形成されたシリコン基材が利用される。本実施形態において、厚さが4インチのシリコン基材を提供する。次に、前記基材の表面に触媒層を蒸着させる。該触媒層は、Fe、Co、Ni又はそれらの合金である。次に、前記触媒層が蒸着された前記基材を、700〜900℃、空気の雰囲気において30〜90分間アニーリングする。最後に、前記基材を反応装置内に置いて、保護ガスを導入すると同時に前記基材を500〜700℃に加熱して、5〜30分間カーボンを含むガスを導入する。これにより、高さが200〜400μmの超配列カーボンナノチューブアレイが形成される。前記超配列カーボンナノチューブアレイは、相互に平行で基材に垂直に成長する複数のカーボンナノチューブからなる。前記方法により、前記超配列カーボンナノチューブアレイにアモルファスカーボン又は触媒剤である金属粒子などの不純物が残らず、純粋なカーボンナノチューブアレイが得られる。
【0027】
本実施形態において、前記カーボンを含むガスはアセチレンなどの炭化水素であり、保護ガスは窒素やアンモニアなどの不活性ガスである。勿論、前記カーボンナノチューブアレイは、アーク放電法又はレーザー蒸発法により得られることができる。
【0028】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブアレイに所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、基板の一つの表面にカーボンナノチューブ構造体を形成させる。
【0029】
前記第二ステップを行うのには、次の二つの方法がある
【0030】
第一方法は、押し器具を利用して、基材に成長された前記カーボンナノチューブアレイに所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押してカーボンナノチューブ構造体を形成させる第一サブステップと、前記基板から前記カーボンナノチューブ構造体を分離させる第二サブステップと、基板の形状に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体を切る第三サブステップと、前記カーボンナノチューブ構造体を基板22に設置する第四サブステップと、を含む。
【0031】
第二方法は、基板22の第一表面221を前記カーボンナノチューブアレイに接触させるように、前記基板を前記カーボンナノチューブアレイの端部に設置する第一サブステップと、押し器具を利用して、前記基板22の第一表面221とは反対側の第二表面222を押して、前記第一表面にカーボンナノチューブ構造体を形成する第二サブステップと、前記基板22の形状に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体を切る第三サブステップと、を含む。
【0032】
前記カーボンナノチューブアレイのカーボンナノチューブは押し器具からの圧力で倒れると同時に、前記基板から脱離することになる。前記カーボンナノチューブは分子間力でそれぞれ結合され、自立構造を有するカーボンナノチューブ構造体に形成されることができる。カーボンナノチューブが強い接着性を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体は、前記基板22に接着することができる。
【0033】
前記カーボンナノチューブに圧力をかけるために、押し器具を利用する。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブの配列方向は、該押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイの押し方向により決められている。例えば、図4を参照すると、平面を有する押し器具を利用して、前記基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブを押す場合、等方的に配列されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ構造体が形成されている。図5を参照すると、ローラー形状を有する押し器具を利用して、所定の方向又は異なる方向に沿って前記複数のカーボンナノチューブを同時に押す場合、前記複数のカーボンナノチューブは所定の方向又は異なる方向に沿って前記カーボンナノチューブ構造体に分布されている。
【0034】
前記カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブは、それぞれ該カーボンナノチューブ構造体と0°〜15°の角度を成し、均一的に配列されている。前記角度が0°である場合、前記複数のカーボンナノチューブは、それぞれ該カーボンナノチューブ構造体の表面に平行に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブの斜めの程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、該圧力が大きくなるほど、前記斜めの程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが高くなり、また、該カーボンナノチューブにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブ構造体の厚さが大きくなる。
【0035】
さらに、前記カーボンナノチューブ構造体を、もう一つのカーボンナノチューブアレイの上に重畳させて、前記第二ステップを繰り返すことにより、複数のカーボンナノチューブ構造体を含む多層のカーボンナノチューブ構造体を形成することができる。前記複数のカーボンナノチューブ構造体は、分子間力で相互に接着されている。
【0036】
勿論、複数のカーボンナノチューブ構造体を重畳させて、前記押し器具を利用して前記複数のカーボンナノチューブ構造体を押すことにより、多層のカーボンナノチューブ構造体を形成することができる。
【0037】
第三ステップでは、少なくとも二つの電極28を前記カーボンナノチューブ構造体に電気的に接続させるように前記カーボンナノチューブ構造体の表面に設置する。
【0038】
該第三ステップにおいて、まず、スクリーン印刷又は溶射方法により、前記カーボンナノチューブ構造体の表面を銀ペーストで被覆させ、次に、100℃〜120℃の温度で、前記銀ペーストを10〜60分間乾燥させて、電極28を形成する。
【0039】
図6を参照すると、本実施形態のディスプレイ100は、前記タッチパネル20と、表示素子30と、第一制御素子40と、中央処理装置(CPU)50と、第二制御素子60と、を含む。前記タッチパネル20は前記表示素子30に近接して設置され、また、外部回路(図示せず)で前記第一制御素子40に電気的に接続されている。前記タッチパネル20は、所定の空間で分離させて前記表示素子30に接続され、又は、直接前記表示素子30に密接に接続されていてもよい。本実施形態において、前記タッチパネル20は、空間106で分離させて前記表示素子30に電気的に接続されている。前記第一制御素子40及び前記中央処理装置50は、それぞれ前記第二制御素子60に電気的に接続されている。前記中央処理装置50は、前記表示素子30を制御することができる。
【0040】
前記表示素子30は、液晶表示装置、電界放出型表示装置、プラズマ表示装置、電子発光表示装置、真空蛍光ディスプレイ、陰極線管などの表示装置のいずれか一種であることができる。
【0041】
前記基板22の第二表面222に遮蔽層25を設置した場合、前記遮蔽層25の前記基板22に近接する表面とは反対側の表面に表面安定層104を設置する。前記表面安定層104は、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリエステル、アクリル樹脂、テレフタル酸ポリエチレン(PET)のいずれか一種からなる。複数のスペーサー108を利用することにより、前記表面安定層104を所定の距離で分離させて前記表示素子30の上方に設置して、前記表面安定層104及び前記表示素子30の間に隙間106を形成する。前記表面安定層104は、化学又は物理反応で前記表示素子20が損傷すること防止することができる。
【0042】
前記タッチパネル20を利用したディスプレイ100の作動方式について説明する。前記電極28に例えば5Vの電圧を印加する場合、前記タッチパネル20の透明な導電構造体24に微弱な電流が流れて、等電位面を形成する。使用者はディスプレイ100に表示された情報を読みながら、指70で前記ディスプレイ100の表面に設置された前記タッチパネル20を押す。この時、前記指70が触れる位置で、前記タッチパネル20の隅に設置される電極28から流れる電流が前記指から人体に流れて、電荷量が変化する。それぞれの前記電極28からの電流の比率を計算することにより、前記触れた位置を測定することができる。この測定データを中央処理装置50に伝送する。前記中央処理装置50は前記測定データを接収して処理した後、表示制御素子(図示せず)へ前記測定データを伝送する。これによって、前記ディスプレイにおける所定の場所に、必要な情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態のタッチパネルの平面図である。
【図2】本発明の実施形態のタッチパネルの断面図である。
【図3】本発明の実施形態のタッチパネルの製造方法のフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態のカーボンナノチューブ構造体のSEM写真である。
【図5】本発明の実施形態のカーボンナノチューブ構造体のSEM写真である。
【図6】本発明の実施形態のタッチパネルを利用したディスプレイを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
100 ディスプレイ
104 表面安定層
106 隙間
108 スペーサー
20 タッチパネル
22 基板
221 第一表面
222 第二表面
24 透明な導電構造体
25 遮蔽層
26 保護層
28 電極
30 表示素子
40 第一制御素子
50 中央処理装置
60 第二制御素子
70 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に設置された透明な導電構造体と、それぞれ前記透明な導電構造体に電気的に接続された少なくとも二つの電極、を含み、
前記透明な導電構造体が、複数のカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ構造体を含み、
前記複数のカーボンナノチューブが等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記複数のカーボンナノチューブが、それぞれ前記カーボンナノチューブ構造体の一つの表面と成す角度が0°〜15°であることを特徴とする、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
隣接するカーボンナノチューブが分子間力で結合され、
前記カーボンナノチューブ構造体がシート状の自立構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
カーボンナノチューブアレイが成長された基板を提供する第一ステップと、
前記カーボンナノチューブアレイをプレスしてカーボンナノチューブ構造体を形成する第二ステップと、
前記カーボンナノチューブ構造体の同じ表面、又は対向する表面にそれぞれ少なくとも二つの電極を設置する第三ステップと、
を含むことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項5】
前記第二ステップが、
押し器具を利用して、基材に成長された前記カーボンナノチューブアレイに所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押してカーボンナノチューブ構造体を形成させる第一サブステップと、
前記基板から前記カーボンナノチューブ構造体を分離させる第二サブステップと、
基板の形状に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体を切る第三サブステップと、
前記カーボンナノチューブ構造体を基板に設置する第四サブステップと、を含むことを特徴とする、請求項4に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項6】
前記第二ステップが、
基板の第一表面を前記カーボンナノチューブアレイに接触させるように、前記基板を前記カーボンナノチューブアレイの端部に設置する第一サブステップと、
押し器具を利用して、前記基板の第一表面とは反対側の第二表面を押して、前記第一表面にカーボンナノチューブ構造体を形成する第二サブステップと、
前記基板の形状に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体を切る第三サブステップと、を含むことを特徴とする、請求項4に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項7】
タッチパネルと、該タッチパネルに近接する表示素子と、を含むディスプレイにおいて、
前記タッチパネルが、
基板と、前記基板に設置された透明な導電構造体と、それぞれ前記透明な導電構造体に電気的に接続された少なくとも二つの電極、を含み、
前記透明な導電構造体が、複数のカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ構造体を含み、
前記複数のカーボンナノチューブが等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されていることを特徴とするディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−163729(P2009−163729A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317359(P2008−317359)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】