説明

タッチパネル用アルミノケイ酸ガラス

タッチパネル用アルミノケイ酸ガラスを提供する。本ガラスは、シリカ55〜65重量%、酸化ナトリウム15<〜20重量%、酸化カリ2〜6重量%、マグネシア3.9〜10重量%、ジルコニア0〜5重量%、酸化亜鉛0〜4重量%、酸化カルシウム0〜4重量%、酸化ナトリウム+酸化カリ+マグネシア+酸化亜鉛+酸化カルシウムが総計で15〜28重量%、酸化錫0〜1重量%、及び二酸化チタン+酸化セリウム1重量%未満から成る。また、ガラスを100%KNOの塩浴中に浸漬してイオン交換強化処理する工程と、ガラスを温度370〜430℃で0.5〜16時間予備加熱する工程から構成される化学的強化方法も提供する。本発明ガラスはタッチパネル用の基板及びカバーシートとして利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミノケイ酸ガラス、具体的には高強度、高抗破砕性、かつ高スクラッチ耐久性を備えるアルミノケイ酸ガラス、さらに具体的には電子機器のスクリーン保護材料として利用される高強度、高抗破砕性、かつ高スクラッチ耐久性を備えるアルミノケイ酸ガラス、さらに具体的にはタッチパネル用の高強度、高抗破砕性、かつ高スクラッチ耐久性を備えるアルミノケイ酸ガラスに関する。本発明はさらに、アルミノケイ酸ガラスの化学的強化処理方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン保護は、プラズマTV、液晶TV、液晶ディスプレイ、ATM機、携帯電話、PDA、ゲーム機、情報サーチ装置、メディア広告機器等の電子ディスプレイ製品の発展と共に次第に製造者及びユーザーの関心事となっている。
【0003】
従来、通常一層の保護カバープレートが、主として有機プレート及びソーダ石灰ガラスから成る表面上へ取り付けられてきた。しかしながら、これら材料は硬度、機械的強度、表面スクラッチ耐久性、及び耐衝撃性などの機械的特性が不十分であった。特にPDA及び携帯電話タッチパネル等のタッチパネルに関しては、タッチパネル上への指、電子ペン及びキーによる書き込み、スクラッチ及び衝撃等の損傷が生じ易い頻繁な操作が行われるためスクリーンの破損あるいは表面の粗面化が起こり易く、これによって装置全体の寿命やデスィスプレイ効果にも影響が及ぶ。
【0004】
タッチパネルは、キーボード、マウス、あるいはタッチパッドなしに、ディスプレイ部分においてタッチを検知して、そのタッチに符合したディスプレイとの直接相互作用を引き起こすディスプレイである。抵抗タッチパネル、容量タッチパネル、あるいは投影容量タッチパネル等のタッチパネルには、信号を伝達する役割を果たす透明導電性酸化物を沈積させるためのガラス基板が必要とされる。特に、ディスプレイを保護するための補助ガラスカバーが通常必要とされる。
【0005】
抵抗タッチパネルは、タッチ信号を、通常プラスチックあるいはガラスプレートに透明導電性酸化物(TCO)フィルムがコーティングされて成る可撓性表面カバープレートを通して伝達する。タッチングは可撓性カバープレートを変形させて内側の伝導性基板に接触し、それによって抵抗及び回路電流を変化させるように働く。このような機構は、通常操作のためのタッチ動作として認識される。特に戸外用途の場合、可撓性表面層には高度なスクラッチ耐久性及び透過率が要求される。このような要求はプラスチックでは満たせないため、約0.1〜0.3mmの厚さをもつガラスシートが必要とされる。
【0006】
特に投影容量タッチパネルは、高透過率、高解像度、長寿命であること、さらにマルチタッチ技術をサポートすることから、タッチパネル市場において急速に発展する傾向にある。この種の容量タッチパネルには、フィルムのコーティングあるいはカバープレートの基板としてガラスを使用することが可能である。容量タッチパネルは回路の容量の変化を介して指のタッチに反応し、通常両面にTCOコーティングが施されたガラス基板だけを必要とする。
【0007】
基板として用いるガラスにはTCOフィルムがコーティングされる。基板ガラスとしては、一般的にはTCO(透明伝導コーティング)でコーティングされたソーダ石灰ガラスが用いられる。TCOフィルム層でコーティングされたガラス2枚によって薄く間隔が空けられたスペースを介したコンデンサが形成される。重要なことは最上層のガラスによってディスプレイが損傷から保護され、高い表面スクラッチ耐久性及び強度が得られることである。
【0008】
また、表面音波タッチパネル、光学タッチパネル等の他のタッチパネルのいずれにも、高透過率及び高強度なガラスカバーパネルあるいは基板が必要とされる。
【0009】
タッチパネル用途分野に用いられる基板及びカバープレートでは、ガラスの強度及び靱性をさらに増すために、ガラスには強化処理及び又は強靭化処理が為されなければならない。通常、物理的焼き戻し(tempering)を行うにはガラスの厚さが3mm以上なければならないため、ガラスの厚さが0.3mmから1.5mmの範囲内である場合には、用途上強化処理が必要とされる。従って、0.3mm〜1.5mmの厚さをもつガラスを強化処理するためには化学的処理を行うことが必要とされる。
【0010】
前記ガラス表面強化技術としては、一般的な空気焼き戻し(エアジエット強化)方法の他に、化学的焼き戻し方法もある。化学的焼き戻し技術ではガラス表面の構造に変化が加えられてガラス表面の強度が増加される。化学的焼き戻しは化学的強化とも称される。
【0011】
化学的強化は一般的に、1)ガラス表面のアルキル化処理、2)ガラス表面上への低膨張係数ガラス質材料層の処理、3)アルカリ金属イオン交換の3つのステップに分けられる。ここで述べる化学的強化をイオン交換強化と呼ぶこととする。一般的に言って、イオン交換強化ではさらに2つの工程、すなわち高温イオン交換及び低温イオン交換が実施される。また、イオン交換強化はイオン交換強靭化とも称される。
【0012】
高温イオン交換強化とは、ガラス表面にガラスの歪み温度よりも高い低膨張係数をもつガラス質材料から成る層を形成することを言う。典型的な高温イオン交換では、NaO及びKOから成るガラスが歪み温度を越えて加熱され、該ガラスは軟化温度より低い温度においてLiを含む溶融塩に浸漬され、次いで該ガラス及び前記溶融塩が歪み温度を越える温度まで加熱される。この時点で該ガラスはゆるんだ網目構造となり、表面に変化を加えることが容易になり、該ガラスと前記溶融塩間において起こるNaまたはKとLi間のイオン交換が促進される。ガラス表面上におけるLiとNaまたはK間のイオン交換の後、ガラスは焼鈍しのために取り出されて室温まで冷却されることにより、ガラス表面上へLiリッチ層が形成される。Li層の膨張係数はNaまたはKから成るイオン層の膨張係数よりもずっと低いため(ナトリウム及びカリウムがリッチなガラスと、リチウムリッチなガラスでは膨張係数が異なる)、冷却期間中に生ずるガラスの外側と内部における収縮が異なる。そのため、ガラス表面に残留圧縮応力が生成され、かつガラス内部に引っ張り応力層が生ずる。ガラスがAl及びTiOから成る場合は、イオン交換が起きる時に、さらに小さい膨張係数をもつTiO−Al−4SiO結晶が形成され、冷却後に極めて大きな圧縮応力が生ずるであろう。しかしながら、高温イオン交換によって容易に光学的歪みが生じ、ガラスを容易に変形されてしまう。また、溶融塩は、製造中は高温であり、大量の揮発物が生成して環境を汚染する。また、溶融塩は容易に効力を失い易い。
【0013】
低温イオン交換強化処理は広く利用されており、その機構は、ガラスの歪み温度よりも低い温度下でガラス中に含まれるアルカリ金属イオンの半径よりも半径の大きいイオンを与えるアルカリ金属化合物の溶融塩中にガラスを浸漬させることによって構成される。溶融塩中の大容積を占めるイオンはガラス網目構造中の当初小容積のイオンによって占められていたスペース中へ押し分けて進み、小容積のイオンは溶融塩で置き替えられる。ガラスが冷却される時、ガラス質網目構造は収縮する。大容積のイオンはより大きなスペースを必要とするため、ガラス表面上に圧縮応力が生成される。冷却される時、ガラス内部には表面圧縮応力が残存しているため、ガラス表面上に緻密な圧縮層が形成される。このような圧縮層が存在することにより、ガラス表面上に形成しているプレストレス層を用いてガラス表面上に生ずる微細なひびを減ずることが可能となり、ひいてはガラスの曲げ耐久性及び耐衝撃性が著しく向上される。
【0014】
ガラス中のより小さなイオンは化学物質中のより大きなイオンによって置き換えられる。例えばガラス中のより小さなNaイオンは、一般的に知られるKNO塩浴を用いることによって、より大きなKイオンに置き換えられる。
【0015】
イオン交換処理を効率的に行うため、ガラス中には、KNO等の塩中においてより大きなイオンによって置き換えられることを可能とする少なくとも1個のより小さなアルカリイオン、特にLi+またはNaが必要不可欠である。他の特性が失われることのない条件下において、十分な置き換え部位を与えるためにアルカリイオン量は可能な限り高くすべきである。さらに、高強度ガラス材料を提供するためにはALも不可欠な成分であり、重要なことはアルカリ金属イオンを収容するための拡散チャネルとしてより大きな網目構造が形成でき、次いで迅速かつ効果的なイオン交換が起こることである。
【0016】
イオン交換処理によって、ガラス表面上に数百MPsの圧縮応力と、表面圧縮応力によって小さな欠陥が広がることが防止される結果としてガラス中心部に引っ張り応力が生じることにより、外部負荷が加えられる際の強化効果が得られる。
【0017】
通常、イオン交換により、ガラス表面上に、外部応力に対してスクラッチ耐久性の高い数10μmの深さのイオン交換層(DoLと呼ばれる)が得られる。
【0018】
タッチパネルのカバープレート用途に課される要求を満たすため、実用的見地において、迅速かつ効果的な強化処理を行うことが極めて重要である。CN101337770Aには、430〜490℃の温度範囲内において3〜8時間処理を行うことが記載されている。またCN101508524には、40μm以上のDoLを得るためには、ガラスを420℃で8時間、あるいは500℃で5時間処理する必要があることが記載されている。しかしながら、高温塩浴あるいは長時間処理はガラス表面の網目構造を急速にゆるめさせて生ずる表面圧縮応力を低下させる傾向がある。
【0019】
さらに、有害物質が含まれない未加工ガラスを用いることが電子製品の新たな傾向となっている。US2008/0286548、US5,895,768、CN101575167A、CN101337770A、及びCN101508524Aに開示されているガラスのいずれの配合処方にもガラス清澄剤としてAs、Sb、ClまたはFが含まれており、このことが電子産業における広範囲な利用可能性に対する制限となっている。
【0020】
さらに、タッチパネル、特に戸外の公共場所において使用されるタッチパネルガラスでは指から細菌が伝播される可能性があることから、新世代タッチパネルには抗細菌作用が要求されている。US2007/0172661では、通常の平板ガラスあるいはガラスセラミックスの表面上における抗細菌機能は主としてフィルムコーティング処理あるいはイオン交換処理によって得られると報告されている。その原理は、銀イオンをガラス表面上へ導入して細菌を吸着(absorb)し死滅させるものである。
【0021】
従来技術におけるタッチパネル用ケイ酸ガラスには下記欠点があった。
1.ガラスのスクラッチ耐久性及び透過率が十分に高くない。
2.厚さ0.3〜1.5mmのガラスの強度及び靱性が不十分である。
3.高温塩浴あるいは長時間処理によってガラス表面の網目構造が急速にゆるませ表面圧縮応力が低下する。
4.ガラス清澄剤としてAs、Sb、ClあるいはFを用いるため環境に有害な影響がもたらされる。
5.細菌を吸着するためのガラス表面上への銀イオンの導入には複雑な過程が必要とされる。
【0022】
本発明の発明者は、長期に及ぶ研究の結果、新規な配合処方によるアルミノケイ酸ガラス組成を用いて適正な低温での化学的強靭化条件下で強化処理を行うことにより、高い強度、硬度、スクラッチ耐久性及びヤング率をもつ、投影容量タッチパネル用の、及びさらに他の電子製品タッチパネル用の、カバープレート及び基板ガラスとして利用できるガラスが得られることを見出した。
【0023】
新規な配合処方から成るアルミノケイ酸ガラスを適正な低温化学的強化処理を行った後に本発明において用いて、厚さが0.3〜1.5mmであって、特に高硬度、高ヤング率、及び高スクラッチ耐久性を備えるガラスを提供することが可能である。また、本願発明のガラスを化学的強化処理することにより、さらに耐衝撃性の高いガラスを得ることが可能である。本発明のアルミノケイ酸ガラスは高強度及び高スクラッチ耐久性であり、かつ好ましくは戸外での利用にも適用可能である。
【0024】
本願発明のガラスはフロート法によって製造され、錫浴中において生ずる二酸化錫によって除泡作用を得ることが可能である。従って、清澄剤等の環境上好ましくない物質の使用は不要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、タッチパネル用の、高強度及び高スクラッチ耐久性ガラスとして、及びタッチパネルのカバープレートあるいは基板として利用可能なアルミノケイ酸ガラスを提供することを目的とする。
【0026】
本発明はさらに、タッチパネルに用いるアルミノケイ酸ガラスの化学的強化方法を提供することも目的とする。本発明方法によれば、短時間の低温でタッチパネル用ガラスを効率的に強化することが可能である。
【0027】
さらに、本発明は、タッチパネルのカバープレートとして用いる、表面抗菌性機能を有するガラスを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
より具体的には、本願は下記発明に関する。
【0029】
本発明により、重量%で表わされる下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とするアルミノケイ酸ガラスが提供される。
【発明を実施するための手段】
【0030】
本発明において、各成分含量は全ガラス成分重量に対する重量%で表わされている。
【0031】
一実施態様において、SiOの含量は58〜63重量%である。
【0032】
一実施態様において、NaOの含量は12<〜15重量%である。
【0033】
一実施態様において、KOの含量は3〜5重量%である。
【0034】
一実施態様において、Alの含量は15<〜18重量%である。
【0035】
一実施態様において、Alの含量は15<〜17重量%である。
【0036】
一実施態様において、MgOの含量は3.9〜8.0重量%である。
【0037】
一実施態様において、MgOの含量は3.9〜6.0重量%である。
【0038】
一実施態様において、ZnO及びCaOの含量はそれぞれ2重量%未満である。
【0039】
一実施態様において、ZrOの含量は0.1〜3重量%である。
【0040】
一実施態様において、ZrOの含量は0.1〜2重量%である。
【0041】
一実施態様において、成分NaO+KO+MgO+ZnO+CaOの含量総計は15〜25重量%である。
【0042】
本発明によりさらに、本発明に係るアルミノケイ酸ガラスを提供することからなるガラス強化方法、及び予備加熱温度範囲が370〜430℃であり、処理時間が0.5〜16時間で行われる100%KNO塩浴中におけるイオン交換強化方法が提供される。
【0043】
一実施態様において、前記温度範囲は370〜420℃であり、及び前記処理時間は0.5〜8時間の範囲内である。
【0044】
一実施態様において、前記温度範囲は380〜420℃であり、及び前記処理時間は0.5〜4時間の範囲内である。
【0045】
一実施態様において、前記温度範囲は390〜410℃であり、及び前記処理時間は1〜3時間の範囲内である。
【0046】
一実施態様において、イオン交換後のアルミノケイ酸ガラスの圧縮応力は600〜1,000MPaである。
【0047】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのDoLは10〜80μmである。
【0048】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのDoLは10〜40μmである。
【0049】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのDoLは10〜30μmである。
【0050】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのDoLは10〜20μmである。
【0051】
一実施態様において、イオン交換後における厚さ0.3mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験での破損高さは200〜400mmであり、及びリングオンリング破損力は400〜1,000Nである。
【0052】
一実施態様において、イオン交換後における厚さ0.5mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験での破損高さは300〜500mmであり、及びリングオンリング破損力は500〜1,200Nである。
【0053】
一実施態様において、イオン交換後における厚さ0.7mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験での破損高さは400〜1,000mmであり、及びリングオンリング破損力は1,000〜4,000Nである。
【0054】
一実施態様において、イオン交換後における中心張力は60MPaより低くされる。
【0055】
一実施態様において、イオン交換後における中心張力は30MPaより低くされる。
【0056】
本発明によってさらに、重量%で表わされる下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とするアルミノケイ酸ガラスが提供される。
【0057】
一実施態様において、SiOの含量は58〜63重量%である。
【0058】
一実施態様において、NaOの含量は12<〜15重量%である。
【0059】
一実施態様において、KOの含量は3〜5重量%である。
【0060】
一実施態様において、Alの含量は15<〜18重量%である。
【0061】
一実施態様において、Alの含量は15<〜17重量%である。
【0062】
一実施態様において、MgOの含量は3.9〜8.0重量%である。
【0063】
一実施態様において、MgOの含量は3.9〜6.0重量%である。
【0064】
一実施態様において、ZnO及びCaOの含量はそれぞれ2重量%未満である。
【0065】
一実施態様において、ZrOの含量は0.1〜3重量%である。
【0066】
一実施態様において、ZrOの含量は0.1〜2重量%である。
【0067】
一実施態様において、成分NaO+KO+MgO+ZnO+CaOの含量総計は15〜25重量%である。
【0068】
本発明によりさらに、本発明に係るアルミノケイ酸ガラスプレートを与えるガラス強化方法、及び予備加熱温度370〜430℃、及び処理時間0.5〜16時間で行われる100%KNO塩浴中におけるイオン交換強化方法が提供される。
【0069】
一実施態様において、前記温度範囲は370〜420℃であり、及び前記処理時間は0.5〜8時間の範囲内である。
【0070】
一実施態様において、前記温度範囲は380〜420℃であり、及び前記処理時間は0.5〜4時間の範囲内である。
【0071】
一実施態様において、前記温度範囲は380〜410℃であり、及び前記処理時間は1〜3時間の範囲内である。
【0072】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートの圧縮応力は600〜1,000MPaである。
【0073】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートのDoLは10〜80μmである。
【0074】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートのDoLは10〜40μmである。
【0075】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのDoLは10〜30μmである。
【0076】
一実施態様において、イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのDoLは10〜20μmである。
【0077】
一実施態様において、イオン交換後における厚さ0.3mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破損高は200〜400mmであり、またリングオンリング破損力は500〜1,000Nである。
【0078】
一実施態様において、イオン交換後における厚さ0.5mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破損高は300〜500mmであり、またリングオンリング破損力は500〜1,200Nである。
【0079】
一実施態様において、イオン交換後における厚さ0.7mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破損高は400〜1,000mmであり、またリングオンリング破損力は1,000〜4,000Nである。
【0080】
一実施態様において、イオン交換後の中心張力は60MPaより低くされる。
【0081】
一実施態様において、イオン交換後の中心張力は30MPaより低くされる。
【0082】
本発明に係るアルミノケイ酸ガラスあるいはアルミノケイ酸ガラスプレートはフロート法によって製造される。
【0083】
一実施態様において、フロート法によって製造されるアルミノケイ酸ガラスあるいはアルミノケイ酸ガラスプレートの厚さは0.5〜20mmである。
【0084】
本発明に係るアルミノケイ酸ガラスあるいはアルミノケイ酸ガラスプレートはダウンドロー法によって製造される。
【0085】
一実施態様において、アルミノケイ酸ガラスあるいはアルミノケイ酸ガラスプレートに用いる清澄剤は三酸化砒素、三酸化アンチモン、硫酸塩、硝酸塩、フッ化物、または塩化物から選択される。
【0086】
一実施態様において、ダウンドロー法によって製造されるアルミノケイ酸ガラスまたはアルミノケイ酸ガラスプレートの厚さは0.1〜1.5mmである。
【0087】
本発明に係るアルミノケイ酸ガラスあるいはアルミノケイ酸ガラスプレートはタッチパネルに用いられる。
【0088】
本発明に係るアルミノケイ酸ガラスから成るタッチパネルはモバイル型電子装置に用いられる。
【0089】
本発明では、重量%で表わされる下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成るアルミノケイ酸ガラスカバープレートを含んで成るモバイル型電子装置が提供される。
【0090】
本発明によりさらに、本発明に係るアルミノケイ酸ガラスプレートを供する工程と、化学的強化処理中に溶融硝酸塩中へ硝酸銀を添加する工程から成る、抗菌性、かつ焼き戻しされたアルミノケイ酸ガラスプレートの製造方法が提供される。
【0091】
一実施態様においては、硝酸銀がKNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜15重量%の比率で添加される。
【0092】
一実施態様においては、硝酸銀はKNO塩浴中へ該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜10重量%の比率で添加される。
【0093】
一実施態様においては、硝酸銀はKNO塩浴中へ該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜5重量%の比率で添加される。
【0094】
本発明ではさらに、重量%で表わされる下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とする、タッチパネル用の抗菌性、かつ焼き戻し済みアルミノケイ酸ガラスが提供される。
【0095】
前記ガラスはさらに、該ガラスの化学的強化処理中における溶融硝酸塩中への硝酸銀の添加によって、イオン交換後に該ガラスに下記特性、すなわち
−DoL(イオン交換層深さ)が10〜80μmである、
−中心張力が60MPaより小さい、
−圧縮応力が600〜1,000MPaの範囲内である、
−厚さ0.3mmのガラスのボール落下強度試験における破損高さが200〜400mmであり、かつリングオンリング破損力が400〜1,000Nである、
−厚さ0.5mmのガラスのボール落下強度試験における破損高さが300〜500mmであり、かつリングオンリング破損力が500〜1,200Nである、
−厚さ0.7mmのガラスのボール落下強度試験における破損高さが400〜1,000mmであり、かつリングオンリング破損力が1,000〜4,000Nである、及び
−抗菌性がある、
の少なくとも1つが付与されることを特徴とする。
【0096】
一実施態様において、前記イオン交換強化処理は、100%KNO塩浴中において、予備加熱温度範囲370〜430℃、及び処理時間0.5〜16時間の範囲内で実施される。
【0097】
また、一実施態様において、前記イオン交換強化処理は、100%KNO塩浴中において、予備加熱温度範囲370〜420℃、及び処理時間0.5〜8時間の範囲内で実施される。
【0098】
また、一実施態様において、前記イオン交換強化処理は、100%KNO塩浴中において、予備加熱温度範囲380〜420℃、及び処理時間0.5〜4時間の範囲内で実施される。
【0099】
また、一実施態様において、前記イオン交換強化処理は、100%KNO塩浴中において、予備加熱温度範囲390〜410℃、及び処理時間1〜3時間の範囲内で実施される。
【0100】
一実施態様において、硝酸銀はKNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜15重量%の比率となるように添加される。
【0101】
また、一実施態様において、硝酸銀はKNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜10重量%の比率となるように添加される。
【0102】
また、一実施態様において、硝酸銀はKNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜5重量%の比率となるように添加される。
【0103】
本発明に係るアルミノケイ酸ガラスの好ましい例は、重量%で表わされる下記組成:
SiO 56〜64
NaO 12.1〜16.5
Al 15.1〜19.0
O 2.5〜5.5
MgO 3.9〜9.0
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とする。
【0104】
本発明に係るアルミノケイ酸ガラスの好ましい例は、重量%で表わされる下記組成:
SiO 57〜63
NaO 12.1〜16.0
Al 15.1〜18.5
O 2.8〜5.0
MgO 4.0〜9.0
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とする。
【0105】
本発明により、抗菌性、かつ焼き戻しアルミノケイ酸ガラスカバープレートの製造方法、すなわち該ガラスの化学的強化処理中に硝酸銀が溶融硝酸塩中に添加されることを特徴とする前記方法が提供される。銀イオンは、イオン交換中にガラス表面中へ浸透して抗細菌効果を与えることが可能である。
【0106】
本発明に係るガラスは他の用途、例えばラップトップコンピュータ、携帯電話等の電子装置の内部電子部品の保護のためのカバープレート、光電(装置)プレートのカバープレートガラス、ハードディスク基板、及びフィルム状太陽電池の沈積基板または保護カバーフーレート等の用途にも利用可能である。これらカバープレート及び基板には長期間の使用に耐える高強度及び高スクラッチ耐久性が要求される。
【発明の詳細な説明】
【0107】
SiOはガラスの網目構造を形成する主要成分である。SiO含量が55重量%より低い場合は、ガラスの成形性及び耐薬品性が低下して、ガラスが結晶化し易くなる傾向が高まる。
【0108】
SiO含量が65重量%よりも高い場合は、ガラスの粘度及び融点が高くなってフロート法に適さなくなる。良好な成形性、適正な融点及び成形温度を維持するためには、SiOの含量は好ましくは58〜63重量%の範囲内に保たれる。
【0109】
ガラスへのNaO及びKOのようなアルカリ酸化物の添加は溶融温度を低下させる。特に有効なイオン交換強化を満足させるには、高量のNaOがK+←→Na+の交換に必要とされる。ガラスと塩(KNO)との間のイオン交換が多くなる程に、ガラスは高い強度を持つ。しかしながら、過度のアルカリは熱膨張率を増大させるため、ガラスの耐熱性及び成形性を低下させる。それ故、NaOの量は12<〜17重量%、特に好ましくは12<〜15重量%に制限されるべきである。 KO量はイオン交換プロセスへの逆作用を避けるために、例えば6重量%以下の低さに制限すべきである。KOの量は好ましくは3〜5重量%である。
【0110】
Alは、高強度かつ高硬度を備えたガラス材料を提供するために不可欠な成分である。さらに、該ガラスは処理中に高スクラッチ耐久性も備えられる。Alによって通常の[SiO]網目構造よりもかなり大きい網目構造[AlO]が形成される傾向があり、次いで大形の孔がイオンの拡散チャネルとして残ることから、急速な拡散を得るためにガラス中のAlの含量を高めることで、Na←→Kのイオン交換過程が容易化されると考えられる。これにより、イオン交換過程が370〜430℃等の低温において0.5〜8時間の短時間で完了するように促進される。しかしながら、Alの含量が20重量%以上になると結晶化及びガラス粘度が増加する傾向があるため、この含量以上とすることは避けるべきである。本発明において、Alの含量は通常15<〜20重量%、好ましくは15<〜18重量%、さらに好ましくは15<〜17重量%とされる。
【0111】
MgOも不可欠な成分である。MgOの含量を10重量%未満にすることにより、融点降下、均質性向上、抗加水分解及びイオン交換の加速が促進される。MgOの含量は3.9〜10.0重量%、好ましくは3.9〜8.0重量%、最も好ましくは3.9〜6.0重量%とされる。
【0112】
ZnO及びCaOも同様な働きを示すが、過剰に添加すると結晶化が増加する傾向がある。本発明では、ZnO及びCaOの含量は、それぞれ4重量%未満に、好ましくは2重量%より低くなるように制限される。
【0113】
ZrOは、ガラスのヤング率及び耐薬品性をさらに改善するため、及びイオン交換を高めるために成分として添加される。しかしながら、ZrOは結晶化傾向を増加させ、及び融点を高くする傾向のある成分でもある。そのため、ZrOの含量は5重量%未満、好ましくは0.1〜3重量%、最も好ましくは0.1〜2重量%とされる。
【0114】
成分NaO+KO+MgO+ZnO+CaOの総計含量はさらに制限され、好ましい成分範囲内に制限られる。成分NaO+KO+MgO+ZnO+CaOの総計含量は、ガラスの良好な溶融性及び成形性を保持するために15〜28重量%の範囲内になければならない。本発明において、成分NaO+KO+MgO+ZnO+CaOの最も好ましい総計範囲は15〜25重量%である。
【0115】
特定の場合において、TiO及びCeOの添加によりガラスの溶融性を改善させることが可能である。しかしながら、これら成分の含量総計は1重量%未満とされる。
【0116】

本発明に係るガラスはBを含まない。Bの添加は、ガラス溶融性を改善し、及びガラス融点を低下させることが可能である。しかしながら、Bの添加によってイオン交換の化学的強化処理に負の影響、すなわちイオン交換速度が低下し、及び高い表面圧縮応力が生じなくなる大きな欠点がある。これは酸化ホウ素によって高密度な[BO]網目構造が形成されるためにガラス中におけるイオンの移動が制限されるためである。
【0117】
さらに、本発明に係るガラスには成分として、BaO、PbO等の環境に有害な重金属元素は全く含まれない。
【0118】
本発明に係るガラスの製造に用いられるフロート法において、錫浴上にSnOが形成される。溶融中、ガラスの清澄処理に用いられるAs、Sb、硫酸塩、硝酸塩等の有害物質の添加は全く不要であり、これによって有害成分を含まない未加工ガラスが得られる。ガラス表面に1重量%以下のSnOが含まれるのは本発明による製造方法自体の特性によるものであるが、ガラスの特性に悪影響を与えるものではない。
【0119】
当業者にとって、フロートガラスの組成の変更は、たとえ小さな変更であっても、装置に多大な投資を要するため一般的に実行しにくいことである。ガラスの成分によって耐火性材料の損傷が加速されることになれば、該装置の修復のために実生産におけるコストが非常に高くなってしまう。
ガラスのフロート製造は既知の方法である。炉から取り出した後、ガラス溶融物は液体錫が入った浴中を通過して液体錫上にガラスが浮き上がり、前方へ移動する間にガラス粘度が増大する。このようなプロセスによって汚れのない表面を有するガラスを形状化する目的が達成される。
【0120】
ダウンドロー法などの他の平板ガラス作製方法も本発明に係るガラスの製造に適する。この方法では、三酸化砒素、三酸化アンチモン、硫酸塩、硝酸塩、フッ化物、塩化物等の一般的な清澄剤の使用が可能である。
【0121】
ガラス製造のためのダウンドロー法はガラス加工にとっても既知の方法である。炉から取り出した後、ガラスは浴中を通過される。低粘度ガラスは浴の下部にある狭い溝(スロット)中を通って下方へ溢れ出てガラスが形状化され、ガラス表面が円滑化される。
【0122】
フロート法の利点は、比較的低コストで厚さが広範囲に亘る大型サイズのガラスを製造できることである。本発明に係るガラスの厚さは0.5〜20mmの範囲内である。ダウンドロー法によって製造されるガラスの厚さは通常0.1〜1.5mmの範囲内である。
【0123】
イオン交換強化処理には100%KNO塩浴が用いられる。ステンレススチールフレームはガラスを運ぶように設計され、ガラスは予備加熱工程後に塩浴中へ設置される。予備加熱は通常370〜430℃、好ましくは370〜420℃、より好ましくは380〜420℃、最も好ましくは390〜410℃の範囲内の温度で実施される。処理時間は0.5〜16時間、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは0.5〜4時間、最も好ましくは1〜3時間である。
【0124】
化学的強化処理とは、より小さなイオン(通常はNa)をより大きなイオン(通常はK)に交換してガラス表面上に圧縮応力を生成させ、ガラスの破砕靱性及び強度信頼性を増強させることをいう。同様に、Liイオンを含むガラスをNaNO等のNaを含む塩中に通過させて強化することも可能である。それゆえ、ガラス中には高い拡散性を有するので、アルカリ金属イオンが含まれていなければならない。
【0125】
KNOは、塩浴によるガラス強化にとって最も好ましい化合物である。その代替として、KNOと共に種々触媒を用いてイオン交換速度を速め、あるいは強化されたガラスの特性を改善させることが可能である。このような触媒の例としては、KSO、KSiO、KOH、Al、Al(OH)などがある。
【0126】
温度及び時間は強化処理に影響を与える最も重要な要素である。KNOは約337℃で溶融し始め、約400℃で分解される。ガラスの化学的強化処理には360〜500℃の温度範囲が広く用いられている。しかしながら、低温では迅速なイオン交換速度が得られない問題が生ずるのに対して、高温ではガラス表面の網目構造が急速にゆるんで高圧縮応力が得られない問題が生ずる。また、処理時間が短いと、イオンの浸透が不十分となり、他方処理時間が過剰であるとガラスの網目構造がゆるめて望まれる効果が得られない。最適強度及び応力状態を獲得して理想的な特性を実現するためには、適正な温度及び処理時間で処理することが必要とされる。
【0127】
表面スクラッチ及びエッジ品質は、ガラスの強化あるいは未強化に拘わらず、ガラスの強度に大きく影響する。スクラッチの深さが大きくなるにつれて、ガラス強度が徐々に低下する。それゆえ、ガラスの処理及び加工中は表面スクラッチ傷の発生が防止されなければならない。また、ガラスは時としてイオン交換前に研磨される必要がある。本発明においては、ガラスの硬度が比較的高く、従ってスクラッチ耐久性が良好であるため、深い表面研磨を行わずとも、処理中に高率でロスが生ずることが防止される。
【0128】
表面圧縮応力(CS)、圧縮応力の深さ(DoL)及び中心引っ張り応力(TS)は、強度及びスクラッチ耐久性等の強化ガラスの特性を判定するための特性である。高表面圧縮応力をもつガラスは高強度であり、またより大きな深さDoLをもつガラスは高スクラッチ耐久性である。表面張力が一定の場合、さらに大きなDoLをもつガラスの中心張力はさらに大きくなるが、その反面ガラスが容易に壊れやすくなる可能性がある。
【0129】
適正な強化特性を得るためには、温度、時間及びガラス厚による応力プロファイルを設計することが重要である。370〜430℃の温度範囲内で0.5〜16時間処理される本発明に係るガラスの圧縮応力は600MPa以上、通常は600〜1,000MPaであり、またDoLは10μm以上である。通常、DoLの範囲は、10〜80μm、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜30μm、最も好ましくは10〜20μmである。処理時間は好ましくは370〜430℃の温度範囲において0.5〜8時間継続され、この処理によれば極めて僅かな表面の緩みしか生じない。より好ましくは、前記処理は380〜420℃の温度範囲内で0.5〜4時間、最も好ましくは390〜410℃の温度範囲内で1〜3時間実施される。特定のDoL及び特定の中心引っ張り応力を伴った最適表面応力条件下では、厚さ0.5mm、あるいは0.3mmの薄ガラスでも靱性を獲得し、破損強度も著しく増強される。
【0130】
従来の強度測定法、すなわちボール落下衝撃試験及びリングオンリング強度試験を用いて、イオン交換後の強度及び信頼度について本発明に係るガラスの改善程度を試験することが可能である。
【0131】
ボール落下強度試験は下記ステップに従って実施される。すなわち、重量132g、直径31.75mmのスチール製ボールを所定の高さから落下させてサイズ50×50×0.7mmのガラスサンプルに対して衝撃を加える。衝撃試験は高さ200mmから始められ、次いで前回の高さより50mmずつ高くして繰り返され、ガラスが破砕されるまで継続される。
【0132】
リングオンリング試験は下記ステップに従って実施される。すなわち、一般的なユニバーサル強度テスターを用いて加圧する。応力を加える部分は直径4mmの環状末端部をもつ剛性のある圧力ヘッドである。ガラスが上へ静置される部材はさらに別の直径20mmの剛性のある環状支持リングである。ガラスサンプルを該リング上へ置き、ユニバーサル強度テスターを用いて徐々に応力を加える。一方、圧力ヘッドの上部をガラスサンプルの方へ転移させる。ガラスが破砕された時、該サンプルを破砕させるために要した応力を前記強度テスターによって記録する。
【0133】
ボール落下強度試験によって強化ガラスの衝撃強度を評価することが可能である。イオン交換が370〜430℃の温度範囲内で0.5〜8時間行われる標準的処理によって強化されたサイズ50×50×0.7mmのガラスは直径31.75mm、重量132gのスチール製ボールによる高さ300mmからの衝撃試験に合格可能である。好ましい場合、イオン交換パラメータを適合させることにより、強化ガラスは重量132gのスチール製ボールによる高さ800mmからの衝撃試験であっても合格可能である。最も好ましいケースでは、ガラスは高さ1,000mmからのスチール製ボールの衝撃に対しても耐えることが可能である。厚さ1.0mm、0.5mm、あるいは0.3mmのガラスであっても同程度の強化後強度増加を得ることが可能である。驚くべきことに、厚さ0.5mmのガラスは高さ500mmから落下させるスチール製ボールによる衝撃試験に対しても合格可能であり、また、ガラスが最適工程によって製造され、及び前記範囲内の温度及び時間条件で処理された場合には、厚さ0.3mmのガラスであっても高さ400mmから落下されるスチール製ボールによる衝撃試験にも合格可能である。
【0134】
ユニバーサル強度テスターによって徐々に応力が加えられる時に、ガラスの破損強度が大きく増大されたことがリングオンリング試験にから証明される。強化処理前における厚さ0.7mmのガラスのリングオンリング破損力は500〜800ニュートンであるが、強化処理後における破損力は1,000〜4,000Nに達する。強化処理後、破損力は最低の1,000Nが得られるが、より好ましくは強度は2,000N以上となり、最も好ましくは破損力は4,000N以上にもなり得る。このことは、強化処理後に強度が5倍以上増加され得ることを意味している。厚さ1.0mm、0.5mm、さらには0.3mmのガラスであっても強化処理後には同程度の強度増加を得ることが可能である。また、驚くべきことに、適正温度及び時間範囲内で最適処理を受けた強化処理後における厚さ0.5mmのガラスの破損力は1,200N以上に達し、及び厚さ0.3mmのガラスの破損力は1,000N以上にも達する。
【0135】
ガラスは欠陥を生じ易い材料であり、ガラス強度試験においてしばしば不均質性を示す。このような不均質性は、圧縮応力を保持する層を導入することによってガラスを強化することにより劇的に減ずることが可能であり、また外力によるスクラッチ生成にも耐えることが可能である。しかしながら、DoLが大きいとガラス内部に過剰に大きな引っ張り応力が生ずるリスクが高まってガラスが破損し易くなる。さらに詳細な試験によれば、本発明に係るガラスの用途に対しては、ガラスは370〜430℃の温度範囲内で0.5〜16時間処理されること、そして最も好ましくは390〜410℃の温度範囲内で1〜3時間処理すればガラスにとって十分であることが示されている。このような温度及び時間の範囲では、本発明に係るガラスのイオン交換層の深さ(DoL)は少なくとも5μmであり、最大で80μmである。処理時間を長くすると交換層のDoLは増加するが、表面応力が減少して低応力となってしまう。特に薄層ガラスの場合、内部引っ張り応力が増大してガラスが壊れやすくなるリスクが生ずる。
【0136】
抗菌性機能
本発明により、抗菌性機能を有するタッチパネル、及び抗菌性機能の達成方法が提供される。抗菌性機能は化学的強化処理によって達成可能である。その具体的態様では、化学的強化処理中に硝酸塩の溶融塩へ一定量の硝酸銀が添加され、その添加量は前記溶融塩に対して0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.1〜5重量%である。本発明方法により製造されるガラスにおいては、イオン交換(AgとNa間)を介して前記溶融塩から銀イオンがガラスの一定の深さまで侵入し、その深さは0〜20μm、好ましくは0〜10μmである。銀イオンを存在させることにより、タッチパネル表面における抗菌性機能を高めることが可能である。
【0137】
US2007/0172661に開示された情報によれば、銀イオンを含有する前駆体化合物を通して、あるいは一定温度下でのイオン交換によって抗菌性機能を有する銀フィルムを得、及び銀イオンをガラスの一定の深さまで入り込ませることが可能である。本発明の利点は、化学的強化処理及び抗菌性機能が、本発明に係るタッチパネル用のガラスパネルに成功裡に適用されるイオン交換を通して一工程で達成できることである。
【0138】
上記イオン交換処理は370〜430℃、好ましくは370〜420℃、より好ましくは380〜420℃、最も好ましくは390〜410℃の温度範囲内において実施される。イオン交換の処理時間は0.5〜16時間、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは0.5〜4時間、最も好ましくは1〜3時間である。
【0139】
上記イオン交換条件において、銀イオンはガラスの少なくとも5μmの深さまで入り込むことが可能である。有効な抗菌性機能を達成するため、銀イオン濃度はガラスの深さ2μm部位において少なくとも0.1重量%、好ましくは0.5重量%、さらに好ましくは少なくとも1.0重量%、最も好ましくは2.0重量%を越える。
【0140】
通常、銀イオンの浸透によってガラスの透過率に悪影響が及ぶ。透過率の変化はイオン交換の前後の比較で5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満、最も好ましくは1%未満であり、他方抗菌性機能はそのまま保持される。
【実施例】
【0141】
表1に本発明に係るガラスの化学的強化例を示す。
【0142】
実施例1
まず、表1の実施例1に与えられた組成に従った材料を配合し、これら材料を白金製るつぼ中において温度1600〜1630℃で溶融し、同温度に5〜15時間保持し、次いで温度1640〜1660℃で清澄し、さらに約1600℃まで冷却した。白金製るつぼを高温炉から取り出し、ガラス溶融液を冷えたステンレススチール製型中へ注ぎ入れてサイズ65×65×45mmのガラス塊を作製した。次いでガラスとステンレススチール製型を一緒に焼鈍しオープン中に約600℃で2〜8時間置いた。
【0143】
焼鈍し後、ガラスを研磨処理し、次いで切断し、縁取りし、及び微細研磨して所望のサイズ、すなわち50×50×0.7mmのサンプルを作製した。研磨後、表面粗さは1ナノメートル以下であった。サンプルは少なくとも40シート作製した。
【0144】
少なくともサンプル20シートを化学的強化処理に供試した。化学的強化処理はラボスケールの塩浴炉(直径250×250mm、深さ400mm)中において実施した。これらサンプルは耐腐食性のステンレススチール製サンプル棚上に置いた。温度390℃でのイオン交換処理後、化学的強化処理を受けたガラス20片及び無処理ガラス20片に対してボール落下試験及びリングオンリング試験をそれぞれ実施した。
【0145】
強化処理されていないガラスシートの殆どは重量132gのスチール製ボールの高さ200mmからの最初の衝撃試験に合格せず、高さを250mmとした時に数枚のみ破砕された。概して、強化処理されなかったサンプルは高さ200mmからのボールの落下による衝撃に耐えることができ、リングオンリング試験から得られた平均破砕力は550Nであった。
【0146】
同一強度試験条件下において、焼き戻しされたガラスサンプルにおいて予期していなかった試験結果が得られた。重量132gのボールを落下させる時の平均破損高さは788mm程度であり、強化処理されていないガラスに比較して約4倍強度が増加されていた。また、平均リングオンリング破砕力は1820Nであり、強化処理されていないガラスに比較して約3.3倍増加していた。これら2つの試験条件下において、すべてのサンプルについて強化処理されていないサンプルの4倍に当たる強化が達成されていた。
【0147】
同時に、これら強化処理が為されたサンプルに対して表面圧縮応力試験及びイオン交換深度試験を実施した。実施例1のガラスに対する温度390℃での2時間処理の場合、得られた平均表面圧縮応力は820MPa、DoLは20μmであった。
【0148】
FSM6000を用いて表面圧縮応力及びDoLを測定した。
【0149】
得られたガラスサンプルの熱膨張係数(CTE)を測定した。20〜300℃の温度範囲において、多成分ガラスの線膨張係数は8.7×10−6/℃であった。
【0150】
得られたガラスのガラス転移温度(Tg)を測定した。多成分ガラスのガラス転移点は約590℃であった。
【0151】
熱膨張係数及び転移点を下記方法に従って、すなわち膨張計を用いて測定した。サンプルは直径5mmのシリンダに加工した。線膨張係数を算出するため、温度20℃から300℃までにおける長さの変化を記録した。ガラス転移点付近においてガラスの線膨張係数が明らかに急激に変化することから、ガラスの転移点は外挿法によって得ることが可能である。
【0152】
ガラスの密度はアルキメデスの原理によって測定した。ガラスサンプルを水が入っている容器中へ入れて水の容積変化を注意深く測定してガラスサンプルの容積を得た。正確に測定できるサンプル重量を前記容積で割算することにより密度データが得られた。
【0153】
実施例2
表1の実施例2に与えられた組成に対応する材料を配合し、次いでこれら材料を白金製るつぼ中において温度1600〜1630℃で溶融して該温度に5〜15時間保持し、次いで1640〜1660℃で清澄してから温度約1600℃まで冷却した。白金製るつぼを高温炉から取り出し、ガラス溶融物を冷えたステンレススチール製型中へ注ぎ入れてサイズ65×65×45mmのガラス塊に成形した。次いで該ガラスをステンレススチール製型と共に焼鈍しオーブン中に入れて温度約600℃で2〜8時間加熱した。
【0154】
焼鈍し後、ガラスを研磨し、切断し、縁取りし、かつ微細研磨して所望のサイズ、すなわち50×50×0.7mmのサンプルを作製した。研磨後における表面粗さは1ナノメートル未満であった。サンプルとして少なくとも40シートを作製した。
【0155】
化学的強化処理は実施例1と同様のステップに従って温度420℃で3時間実施し、ボール落下試験、リングオンリング試験、表面圧縮応力、DoL、熱膨張係数、ガラス転移点、及び密度はすべて実施例1と同様に測定した。
【0156】
強化処理されていないガラスシートの殆どは重量132gのスチール製ボールの高さ200mmからの最初の衝撃試験に合格せず、高さが250mmの場合では数枚のガラスだけが破砕された。概して、強化処理されていないサンプルは高さ約200mmからのボールの落下による衝撃に対して耐えることができ、またリングオンリング試験から得られた平均破砕力は830Nであった。
【0157】
同一の強度試験条件下において、焼き戻しされたガラスサンプルについて予期しなかった試験結果が得られた。重量132gのボールの落下による平均破砕高さは650mm程度であり、強化処理されていないガラスサンプルに比較して3倍強度が増していた。また、平均リングオンリング破砕力は1724Nであり、強化処理されていないガラスサンプルに比較して2倍以上強度が増していた。これら2つの試験条件下において、すべてのサンプルについて、強化処理されていないガラスサンプルよりも3倍強い強度が達成された。
【0158】
同時に、強化処理されたサンプルについて、表面圧縮応力及びイオン交換深度に関する試験を実施した。実施例2のガラスに対して温度430℃で2時間処理する場合、平均表面圧縮応力として800MPa、及びDoLとして35μmが得られた。
【0159】
得られたガラスサンプルの熱膨張係数(CTE)を測定した。20〜300℃の温度範囲において、多成分ガラスの線膨張係数は8.6×10−6/℃であった。
【0160】
得られたガラスのガラス転移点(Tg)を測定した。多成分ガラスのガラステンス点は約605℃であった。
【0161】
実施例3
実施例3において、同一組成から成る厚さの異なる(0.7mm、0.5mm、0.3mm)ガラスに対して同一条件下で強化処理を行い、上記実施例1及び2において行われた試験のそれぞれを実施した。これら試験の結果から、薄いガラス、すなわち厚さ0.5mm及び0.3mmのガラスについても、より短時間の化学的強化処理でも有効な強化効果を得るために十分であり、関連分野における用途に満足されることが示された。
【0162】
比較例
比較例について表2に示す。
【0163】
ガラス1は、主成分としてのシリカ、酸化ナトリウム及び酸化カルシウムから成る通常のソーダ石灰ガラスであり、ガラス2は主成分としてのシリカ、酸化硼素及び酸化ナトリウムから成る硼珪酸ガラスであり、ガラス3は主成分としてのシリカ、酸化ナトリウム及び酸化アルミニウムから成る別のアルミノケイ酸ガラスである。
【0164】
本発明による実施例との比較において、同一の化学的強化処理条件下(KNO、390℃、2時間)で、比較例において得られた表面圧縮応力はすべて、ガラス成分のいずれもが特許請求の範囲に記載された成分範囲内に含まれる本発明による実施例において得られた表面圧縮応力よりも小さいことが分かる。さらに、比較例には、イオン交換速度が本発明による実施例において得られたイオン交換速度よりも遅い欠点がある。すなわち、20μmのDoLを得るためには、比較例におけるイオン交換の温度及び処理時間を増加させなければならない。
【0165】
抗菌性試験の実施例
抗菌性試験の実施例を表3に示す。
【0166】
実施例1〜3のガラスサンプルを用い、及び4重量%の硝酸銀を溶融塩へ添加することによって抗菌性ガラスを作製した。イオン交換は温度390℃で2時間実施した。このガラスバッチについて抗菌効果、表面層中の銀イオン含量、透過率の変化、及び強度を測定した。
【0167】
国際標準ASTM2180−01に規定されている方法に従って抗菌性試験を実施した。検出対象とされる菌種は、Pseudomonas aeruginosa, Staphylococcus aureus, Aspergillus niger, Monilia albican, Escherichia coli 及びSalmonellaとした。
【0168】
国家建設工業標準JCT1054−2007、コーティングされた抗菌性ガラスに関する標準に規定された方法に従って抗菌性試験を実施した。試験対象菌種はEscherichia coli, 及びStaphylococcus aureusとした。
【0169】
上記2つの方法に従って検出される細菌数が2桁オーダー以上減少した場合は、本発明に従った実施態様について抗菌性指標が達成されたと判定した。
【0170】
抗菌性実施例1〜3におけるガラスをASTM2180−01に記載された試験に供した。この結果より、本発明方法によって得られるガラスは上記試験に合格し、極めて優れた抗細菌効果を示すことが示された。
【0171】
走査電子顕微鏡及びエネルギースペクトル分析を用いてガラス表面層の深さ2μm内に存在する銀イオンの重量%を測定した。該銀イオンの重量%は約1%であった。
【0172】
スペクトログラフLAMDA750を用いて波長550nmにおけるイオン交換前後におけるガラスの透過率変化を測定した。ガラスサンプルの厚さは0.7mmである。強化処理前の該透過率は550nmにおいて92%であり、イオン交換後は約1%だけ減少した。すなわち、550nmにおける透過率は91%であった。
【0173】
リングオンリング試験及びボール落下試験の結果から、銀イオンの添加により化学的強化には何ら影響が及ばないこと、従ってガラス強度は全く減少しないことが示された。
【0174】
【表1】

【0175】
【表2】

【0176】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で表わされた下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
からなることを特徴とするアルミノケイ酸ガラス。
【請求項2】
SiOの含量が58〜63重量%であることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項3】
NaOの含量が12<〜15重量%であることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項4】
Oの含量が3〜5重量%であることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項5】
Alの含量が15<〜18重量%であることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項6】
Alの含量が15<〜17重量%であることを特徴とする請求項5抗記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項7】
MgOの含量が3.9〜8.0重量%であることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項8】
MgOの含量が3.9〜6.0重量%であることを特徴とする請求項7項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項9】
ZnO及びCaOの含量がそれぞれ2重量%より低いことを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項10】
ZrOの含量が0.1〜3重量%であることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項11】
ZrOの含量が0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項10項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項12】
成分、NaO+KO+MgO+ZnO+CaOの含量の総計が15〜25重量%であることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項13】
請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラスを、100%KNO塩浴中において該ガラスに対して370〜430℃での予備加熱及び0.5〜16時間の処理時間の条件下でイオン交換強化処理を行うことから構成されるガラス強化方法。
【請求項14】
前記温度範囲が370〜420℃であり、及び前記処理時間が0.5〜8時間の範囲内であることを特徴とする請求項13項記載の方法。
【請求項15】
前記温度範囲が380〜420℃であり、及び前記処理時間が0.5〜4時間の範囲内であることを特徴とする請求項13項記載の方法。
【請求項16】
前記温度範囲が390〜410℃であり、及び前記処理時間が1〜3時間の範囲内であることを特徴とする請求項13項記載の方法。
【請求項17】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスの圧縮応力が600〜1000MPaであることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項18】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのイオン交換層の深さ(DoL)が10〜80μmであることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項19】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのイオン交換層の深さ(DoL)が10〜40μmであることを特徴とする請求項18項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項20】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのイオン交換層の深さ(DoL)が10〜30μmであることを特徴とする請求項19項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項21】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスのイオン交換層の深さ(DoL)が10〜20μmであることを特徴とする請求項20項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項22】
イオン交換後における、厚さ0.3mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破砕高さが200〜400mmであり、かつリングオンリング破砕力が400〜1,000Nであることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項23】
イオン交換後における、厚さ0.5mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破砕高さが300〜500mmであり、かつリングオンリング破砕力が500〜1,200Nであることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項24】
イオン交換後における、厚さ0.7mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破砕高さが400〜1,000mmであり、かつリングオンリング破砕力が1,000〜4,000Nであることを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項25】
イオン交換後における中心張力が60MPaより低いことを特徴とする請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項26】
イオン交換後における中心張力が30MPaより低いことを特徴とする請求項25項記載のアルミノケイ酸ガラス。
【請求項27】
重量%で表わされた下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とするアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項28】
SiOの含量が58〜63重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項29】
NaOの含量が12<〜15重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項30】
Oの含量が3〜5重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項31】
Alの含量が15<〜18重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項32】
Alの含量が15<〜17重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項33】
MgOの含量が3.9〜8.0重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項34】
MgOの含量が3.9〜6.0重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項35】
ZnO及びCaOの含量がそれぞれ2重量%より低いことを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項36】
ZrOの含量が0.1〜3重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項37】
ZrOの含量が0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項36項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項38】
成分NaO+KO+MgO+ZnO+CaOの含量の総計が15〜25重量%であることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項39】
請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレートを供し、100%KNO塩浴中において該ガラスに対して370〜430℃での予備加熱及び0.5〜16時間の処理時間の条件下でイオン交換強化処理を行うことから構成されるガラスプレート強化方法。
【請求項40】
前記温度範囲が370〜420℃の範囲内であり、及び前記処理時間が0.5〜8時間の範囲内であることを特徴とする請求項39項記載の方法。
【請求項41】
前記温度範囲が380〜420℃の範囲内であり、及び前記処理時間が0.5〜4時間の範囲内であることを特徴とする請求項39項記載の方法。
【請求項42】
前記温度範囲が390〜410℃の範囲内であり、及び前記処理時間が1〜3時間の範囲内であることを特徴とする請求項39項記載の方法。
【請求項43】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートの圧縮応力が600〜1,000MPaであることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項44】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートのイオ交換層の深さ(DoL)が10〜80μmであることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項45】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートのイオ交換層の深さ(DoL)が10〜40μmであることを特徴とする請求項44項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項46】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートのイオ交換層の深さ(DoL)が10〜30μmであることを特徴とする請求項45項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項47】
イオン交換後におけるアルミノケイ酸ガラスプレートのイオ交換層の深さ(DoL)が10〜20μmであることを特徴とする請求項46項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項48】
イオン交換後における、厚さ0.3mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破砕高さが200〜400mmであり、かつリングオンリング破砕力が400〜1,000Nであることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項49】
イオン交換後における、厚さ0.5mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破砕高さが300〜500mmであり、かつリングオンリング破砕力が500〜1,200Nであることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項50】
イオン交換後における、厚さ0.7mmのアルミノケイ酸ガラスのボール落下強度試験における破砕高さが400〜1,000mmであり、かつリングオンリング破砕力が1,000〜4,000Nであることを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項51】
イオン交換後における中心張力が60MPaより低いことを特徴とする請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項52】
イオン交換後における中心張力が30MPaより低いことを特徴とする請求項51項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項53】
フロート法によって製造されることを特徴とする、請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラスまたは請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項54】
アルミノケイ酸ガラスまたはアルミノケイ酸ガラスプレートの厚さが0.5〜20mmであることを特徴とする、請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラスまたは請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項55】
ダウンドロー法によって製造されることを特徴とする、請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラスまたは請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項56】
三酸化砒素、三酸化アンチモン、硫酸塩、硝酸塩、フッ化物、または塩化物から選択される清澄剤が使用されることを特徴とする、請求項55項記載のダウンドロー法によって製造されるアルミノケイ酸ガラスまたはアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項57】
ダウンドロー法によって製造されたアルミノケイ酸ガラスあるいはアルミノケイ酸ガラスプレートの厚さが0.1〜1.5mmであることを特徴とする、請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラスまたは請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項58】
タッチパネルに用いられることを特徴とする、請求項1項記載のアルミノケイ酸ガラスまたは請求項27項記載のアルミノケイ酸ガラスプレート。
【請求項59】
請求項58項記載のアルミノケイ酸ガラスタッチパネルの携帯電子装置への使用。
【請求項60】
重量%で表わされる下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成るアルミノケイ酸ガラスカバープレートを含んで構成されることを特徴とする携帯電子装置。
【請求項61】
請求項24項記載のアルミノケイ酸ガラスプレートを供し、及び該ガラスの化学的強化処理中に硝酸塩溶融塩へ硝酸銀を添加することから構成される、抗菌性強化アルミノケイ酸ガラスプレートの製造方法。
【請求項62】
硝酸銀が、KNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜15重量%の割合となるように添加されることを特徴とする請求項61項記載の方法。
【請求項63】
硝酸銀が、KNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜10重量%の割合となるように添加されることを特徴とする請求項62項記載の方法。
【請求項64】
硝酸銀が、KNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜5重量%の割合となるように添加されることを特徴とする請求項63項記載の方法。
【請求項65】
重量%で表わされる下記組成:
SiO 55〜65
NaO 12<〜17
Al 15<〜20
O 2〜6
MgO 3.9〜10
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成るタッチパネル用抗菌性・焼戻しアルミノケイ酸ガラスであって、
該ガラスの化学的強化処理中に、硝酸塩溶融塩へ硝酸銀が添加され、及びイオン交換処理を受けた後のガラスが下記特性、すなわち、
− DoLが10〜80μmであること、
− 中心張力が60MPaより低いこと、
− 圧縮応力が600〜1,000MPaであること、
− 厚さ0.3mmのガラスのボール落下強度試験での破砕高さが200〜400mmであり、リングオンリング破砕力が400〜1,000Nであること、
− 厚さ0.5mmのガラスのボール落下強度試験での破砕高さが300〜500mmであり、リングオンリング破砕力が500〜1,200Nであること、
− 厚さ0.7mmのガラスのボール落下強度試験での破砕高さが400〜1,000mmであり、リングオンリング破砕力が1,000〜4,000Nであること、及び
− 抗菌性機能を有すること、
の少なくとも一つを有することを特徴とするタッチパネル用抗菌性・焼戻しアルミノケイ酸ガラス。
【請求項66】
予備加熱温度が370〜430℃及び処理時間0.5〜16時間の条件下で100%KNO塩浴中においてイオン交換強化処理を受けることを特徴とする、請求項65項記載のタッチパネル用抗菌性強化アルミノケイ酸ガラス。
【請求項67】
予備加熱温度が370〜420℃及び処理時間0.5〜8時間の条件下で100%KNO塩浴中においてイオン交換強化処理を受けることを特徴とする、請求項66項記載のタッチパネル用抗菌性強化アルミノケイ酸ガラス。
【請求項68】
予備加熱温度が380〜420℃及び処理時間0.5〜4時間の条件下で100%KNO塩浴中においてイオン交換強化処理を受けることを特徴とする、請求項67項記載のタッチパネル用抗菌性強化アルミノケイ酸ガラス。
【請求項69】
予備加熱温度が390〜410℃及び処理時間1〜3時間の条件下で100%KNO塩浴中においてイオン交換強化処理を受けることを特徴とする、請求項68項記載のタッチパネル用抗菌性強化アルミノケイ酸ガラス。
【請求項70】
硝酸銀が、KNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜15重量%の割合となるように添加されることを特徴とする請求項65項記載のタッチパネル用抗菌性強化アルミノケイ酸ガラス。
【請求項71】
硝酸銀が、KNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜10重量%の割合となるように添加されることを特徴とする請求項70項記載のタッチパネル用抗菌性強化アルミノケイ酸ガラス。
【請求項72】
硝酸銀が、KNO塩浴中へ、該塩浴中溶融塩の全重量に対して0.1〜5重量%の割合となるように添加されることを特徴とする請求項71項記載のタッチパネル用抗菌性強化アルミノケイ酸ガラス。
【請求項73】
重量%で表わされる下記組成:
SiO 56〜64
NaO 12.1〜16.5
Al 15.1〜19.0
O 2.5〜5.5
MgO 3.9〜9.0
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とするアルミノケイ酸ガラス。
【請求項74】
重量%で表わされる下記組成:
SiO 57〜63
NaO 12.1〜16.0
Al 15.1〜18.5
O 2.8〜5.0
MgO 4.0〜9.0
ZrO 0〜5
ZnO 0〜4
CaO 0〜4
Na2O+K2O+MgO+ZnO+CaO 15〜28
SnO 0〜1
TiO+CeO ≦ 1
から成ることを特徴とするアルミノケイ酸ガラス。

【公表番号】特表2013−513537(P2013−513537A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542341(P2012−542341)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/CN2010/002010
【国際公開番号】WO2011/069338
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【出願人】(512139847)ショット グラス テクノロジーズ (スゾウ) カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT GLASS TECHNOLOGIES (SUZHOU) CO., LTD.
【Fターム(参考)】