説明

タッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法

【課題】効率的にタッチパネル電極付カラーフィルタ基板を得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】まず、ガラス基板2の一方面に、第1透明電極31、第1絶縁膜41、第2透明電極32及び金属電極3を形成する。次に、最上層の第2透明電極32及び金属電極33の表面全体を覆うように、第2透明絶縁膜42を形成する。次に、ガラス基板2の他方面にカラーフィルタ層5を形成する。このとき、第2透明絶縁膜42は金属電極33の保護膜として機能する。最後に、金属電極33を覆う第2透明絶縁膜42の少なくとも一部を選択的に除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル付き液晶表示装置に用いられるタッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や携帯ゲーム機をはじめとする様々な電子機器の表示装置として、入力装置の機能を兼ね備えたタッチパネル付液晶表示装置が広く用いられている。このタッチパネル付液晶表示装置は、例えば、ガラス基板の一方面にタッチパネル電極層、他方面にカラーフィルタ層を有するタッチパネル電極付カラーフィルタ基板を用いて構成される場合がある。タッチパネル電極付カラーフィルタ基板は、例えば以下のような方法により作製される。
【0003】
図2は、タッチパネル電極付カラーフィルタ基板の従来の製造方法を示す断面図である。
【0004】
タッチパネル電極付カラーフィルタ基板101を製造するには、まず、(a)に示すように、ガラス基板102の一方面にタッチパネル電極層103を形成する。より詳細には、ガラス基板102上に透明電極131と、絶縁膜141と、透明電極132とを順に積層し、透明電極131及び透明電極132に接続される金属電極133を形成する。その後、透明電極132と金属電極133の一部とを覆うように、絶縁膜142を形成する。金属電極133の内、絶縁膜142に覆われていない部分は、制御装置(図示せず)と接続するためのものである。
【0005】
次に、(b)に示すように、タッチパネル電極層103の全体を覆うように、保護膜106を形成する。この保護膜106は、カラーフィルタ層105の形成時に、タッチパネル電極103の損傷を防止するためのものである。
【0006】
次に、(c)に示すように、ガラス基板102の他方面にカラーフィルタ層105を形成する。図の例に係るカラーフィルタ層105は、例えば、着色層151と、ブラックマトリクス152と、透明電極153とを含む。
【0007】
最後に、保護膜106の全てを剥離して除去すると、(d)に示すタッチパネル電極付カラーフィルタ101が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−9750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の製造方法では、保護膜の形成及び剥離工程が不可欠である。しかしながら、保護膜自体はタッチパネル付カラーフィルタ基板にとって必要なものではないため、保護膜の形成及び剥離工程を行うことは、製造コストの増大を招くという問題があった。
【0010】
それ故に、本発明は、効率的にタッチパネル電極付カラーフィルタ基板を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ガラス基板の一方面上に、1層以上の透明電極と、透明電極に接続される金属電極と、最上層の透明電極を覆う少なくとも1層の透明絶縁膜とが積層されたタッチパネル電極層を有すると共に、ガラス基板の他方面上にカラーフィルタ層を有するタッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法に関する。タッチパネル電極付カラーフィルタ基板は、ガラス基板の一方面上に、透明電極と金属電極とを形成し、最上層の透明電極と金属電極との表面全体を覆うように透明絶縁膜を形成し、ガラス基板の他方面上にカラーフィルタ層を形成し、カラーフィルタの形成後に、金属電極を覆う透明絶縁膜の少なくとも一部を選択的に除去することで製造される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法を用いれば、保護膜形成及び剥離といった余分な工程を経ることなく、タッチパネル電極付カラーフィルタ基板を作製することができる。これにより、製造コストの低減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るタッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法を示す断面図
【図2】タッチパネル電極付カラーフィルタ基板の従来の製造方法を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法を示す断面図である。
【0015】
まず、ガラス基板の一方面にタッチパネル電極層を形成する。より詳細には、(a)に示すように、ガラス基板2の一方面に、1層目の第1透明電極31と、2層目の第1絶縁膜41と、3層目の第2透明電極32とを順に積層する。また、第1透明電極31及び第2透明電極32に接続される金属電極33を形成する。金属電極33は、ガラス基板2上の第1透明電極31及び第2透明電極32の形成領域の周辺部分に配置される。第1透明電極31及び第2透明電極32は、例えば厚み100〜2000ÅのITO(Indium Tin Oxide)よりなる。第1絶縁膜41は、例えば厚み0.5〜5.0μmの透明アクリル樹脂よりなる。金属電極33は、例えば銀合金やモリブデンとアルミニウムの積層体(Mo/Al/Mo)により形成される。
【0016】
次に、(b)に示すように、最上層の第2透明電極32と、金属電極33との表面全体を覆うように、第2絶縁膜42を形成する。第2絶縁膜42は、例えば厚み0.5〜5.0μmの透明アクリル系樹脂により形成される。
【0017】
次に、(c)に示すように、ガラス基板2の他方面上に、カラーフィルタ層5を形成する。カラーフィルタ層5は、ブラックマトリクス52と、赤、緑及び青色の各色の着色層51とを含む層をいう。図1の例では、更にブラックマトリクス52及び着色層51を覆うように透明電極53が形成されている。着色層51は、例えば各色の顔料を分散させた厚み0.5〜3.0μmのアクリル系樹脂よりなる。ブラックマトリクスは、例えば黒色顔料を分散させた厚み0.5〜3.0μmのアクリル系樹脂や、厚み100〜2000Åの金属膜により形成される。透明電極は、例えば厚み100〜2000ÅのITOよりなる。カラーフィルタ層5の形成時においては、第2透明電極32を絶縁するための第2絶縁膜42が、金属電極33の保護膜としても機能するため、金属電極33の損傷が防止される。
【0018】
最後に、(d)に示すように、第2透明絶縁膜42のうち、金属電極33を覆う少なくとも一部を選択的に除去する。この第2透明絶縁膜42の部分的除去は、例えば、266nm、355nm、532nmのいずれかの短波長レーザー、またはこれらのいくつかを組み合わせたレーザーを照射することによって行うことができる。但し、これらに限らず、第2絶縁膜42の種類に応じて最適な波長を選択すれば良い。第2絶縁膜42が剥離された部分の金属電極33は、図示しない制御装置に接続するためのものである。
【0019】
以上のように、カラーフィルタ層5を形成する間に、タッチパネル電極層3の構成部材である第2透明絶縁膜42で金属電極33を覆っておくことによって、別途保護膜を形成することなく、タッチパネル電極付カラーフィルタ基板1を形成することが可能となる。これにより、設備投資、材料費、光熱費及び労務費が削減される。また、保護膜の形成及び剥離工程で発生するロスを低減して、歩留まりを向上させることができる。この結果、製造コストの低減が実現される。
【0020】
尚、本実施形態では、ストライプ状の第1透明電極31(1層目)と、ストライプ状の第2透明電極32(3層目)とが第1透明絶縁膜41を挟んで交差するように形成されているが、必ずしもこのように2層に分けて透明電極を形成する必要はなく、透明電極の層数や形状は任意で良い。例えば、複数の透明電極を同一層に配列し、ジャンパ配線等で所定方向に整列する透明電極を接続した構成でも本発明を適用することができる。この場合でも、カラーフィルタ層の形成時に、最上層に位置する透明電極を覆う透明絶縁膜で金属電極を保護することにより、効率的にタッチパネル電極付カラーフィルタ基板を作製できる。
【0021】
また、本実施形態では、図示の都合上、第2絶縁膜をガラス基板の端まで形成しているが、第2絶縁膜が最上層の透明電極と金属電極の全体を覆っていれば、その形成範囲は任意で良い。
【0022】
更に、本実施形態では、第2透明絶縁膜の除去は、レーザーを照射することで行っているが、これ以外でも、必要な工程数を大幅に増加することなく、第2透明絶縁膜を選択的に除去できるものであれば、例えば研磨等の様々な手法を採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、例えばタッチパネル付き液晶表示装置等における、カラーフィルタ基板の製造方法として用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 タッチパネル電極付カラーフィルタ基板
2 ガラス基板
3 タッチパネル電極層
5 カラーフィルタ層
31 第1透明電極
32 第2透明電極
33 金属電極
41 第1透明絶縁膜
42 第2透明絶縁膜
51 着色層
52 ブラックマトリクス
53 透明電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の一方面上に、1層以上の透明電極と、前記透明電極に接続される金属電極と、最上層の前記透明電極を覆う少なくとも1層の透明絶縁膜とが積層されたタッチパネル電極層を有すると共に、前記ガラス基板の他方面上にカラーフィルタ層を有するタッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法であって、
前記ガラス基板の一方面上に、前記透明電極と前記金属電極とを形成し、
最上層の前記透明電極と前記金属電極との表面全体を覆うように前記透明絶縁膜を形成し、
前記ガラス基板の前記他方面上に前記カラーフィルタ層を形成し、
前記カラーフィルタの形成後に、前記金属電極を覆う前記透明絶縁膜の少なくとも一部を選択的に除去する、タッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2透明絶縁膜の除去は、レーザーを照射することにより行う、請求項1に記載のタッチパネル電極付カラーフィルタ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−43695(P2011−43695A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192156(P2009−192156)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】