説明

タングステン基焼結合金製ウェート及びその製造方法並びに振動発生装置用振動子

【課題】酸化防止用のNiメッキやコーティング処理技術によらず、さらにはこれらの処理をせずとも所望の耐酸化特性を有して、腐食することがないタングステン基焼結合金製ウェートを提供することを目的とする。
【解決手段】結合相形成成分として、Niが0.5〜7質量%、Moが0.5〜4質量%及びCrが0.1〜1.0質量%であって、残部がW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜19であるタングステン基焼結合金製ウェートとした。また、結合相形成成分として、Niが0.5〜7質量%、Moが0.5〜4質量%、Crが0.1〜1.0質量%、Feが0.5〜3.0質量%であって、残部がW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜19であるタングステン基焼結合金製ウェートとした。さらに、好ましくは前記不可避不純物として、Cuが1質量%以上含有されていないタングステン基焼結合金製ウェートとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯通信機器等における呼び出しのための振動発生用の偏心ウェート、防振のためのバランスウェートその他のウェートに用いるのに好適なタングステン基焼結合金製ウェート及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の偏心ウェートを構成するタングステン基焼結合金としては、大別してW−Ni−Cu系、W−Ni−Fe系、W−Ni−Mo−Fe系及びW−Ni−Mo−Co系の合金が知られている。
【0003】
しかしながら、これらの合金は、耐酸化特性が不充分であり、大気中、特に水蒸気中のような酸化性雰囲気中において酸化されて、偏心ウェートが腐食するという問題があった。特に、Cu成分が酸化や腐食の要因となりやすく、Cu成分を含む偏心ウェートの腐食が著しい。
このため、通常、これらの合金を用いた偏心ウェートに耐食性を付与すべくNiメッキ処理や、コーティング処理が施されている。
【0004】
ところが、このNiメッキ処理等を施した場合にも、加工条件や使用条件等によりNiメッキ等が剥がれやすくなり、腐食の発生を完全には防止できないという問題があった。
特に、携帯通信機器等に用いられる振動発生用の偏心ウェート等においては、加締めによってモータに一体的に取り付けられており、この加締め時に加えられる衝撃によってNiメッキ等が剥がれやすく、腐食の問題が顕著に現れる。
【0005】
なお、本件発明者は、この種のタングステン基焼結合金製ウェートとして、例えば特許文献1に開示されたものを提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−129164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、酸化防止用のNiメッキやコーティング処理技術によらず、さらにはこれらの処理をせずとも所望の耐酸化特性を有して、腐食することがないタングステン基焼結合金製ウェートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、結合相形成成分として、Niが0.5〜7質量%、Moが0.5〜4質量%及びCrが0.1〜1.0質量%であって、残部がW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜19であることを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェートである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、結合相形成成分として、Niが0.5〜7質量%、Moが0.5〜4質量%、Crが0.1〜1.0質量%、Feが0.5〜3.0質量%であって、残部がW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜19であることを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェートである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の前記不可避不純物として、Cuが1質量%以上含有されていないことを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェートである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタングステン基焼結合金製ウェートの組成となるように結合相形成成分、W及び不可避不純物の原料を配合して、分散した後に、押圧成形して圧粉体を形成して、当該圧粉体を水素雰囲気中で焼結するタングステン基焼結合金製ウェートの製造方法であって、前記結合相形成成分のCrの原料として、炭化クロムを配合したことを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェートの製造方法である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタングステン基焼結合金製ウェート又は請求項4に記載のタングステン基焼結合金製ウェートの製造方法により得られたタングステン基焼結合金製ウェートからなる振動発生装置用振動子であって、モータの回転軸が挿通される溝部を有し、当該溝部の周囲が加締められることによって上記回転軸に一体的に結合されるようになっていることを特徴とする振動発生装置用振動子である。
【発明の効果】
【0013】
上述の請求項1又は2に記載の発明によれば、Crが0.1〜1.0質量%含有されて、W−Moの分散相中に均一に拡散されるため、タングステン基焼結合金製ウェートに耐食性を付与することができる。このため、腐食防止用のNiメッキやコーティング処理技術によらず、さらにはこれらの処理をせずとも腐食することがないタングステン基焼結合金製ウェートを提供することができる。
また、タングステン基焼結合金製ウェートは、比重が17〜19と高いため、小型化して、例えば薄型化が要求される携帯電話に用いることができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、Feが0.5〜3.0質量%含有されて、Ni成分中に固溶してNi−Fe−Mo結合相となり、タングステン基焼結合金製ウェートの強度を向上させることができる。また、このNi−Fe−Mo結合相中に、Cr成分が拡散されて、タングステン基焼結合金製ウェートに耐食性を付与することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、酸化又は腐食の要因に成りやすいCuが含有されないため、タングステン基焼結合金製ウェートに耐食性を付与することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、結合相形成成分としてのCrの原料として、炭化クロムとして配合することにより、後の予備焼結工程及び本焼結工程において、分解されると同時に分散相及び結合相に拡散して、固溶する。すると、酸化されやすいCrも、酸化されることなく、分散相及び結合相に固溶して、より耐食性に優れたタングステン基焼結合金製ウェートを得ることができる。
なお、Crは、酸化されやすい性質を有するが、タングステン基焼結合金製ウェートとしては不動態となるため、酸化を最小限に抑えることができる。このため、上述の請求項1ないし3のように炭化クロム以外の化合物又は単体を、原料として配合してもよい。
また、水素雰囲気中で焼結することにより、結合相形成成分等の酸化を防止して、タングステン基焼結合金製ウェートに耐食性を付与することができる。
【0017】
上述したように、請求項1〜4に記載の発明によれば、タングステン基焼結合金製ウェートは、Crを0.1〜1.0質量%含有して、W−Moの分散相中や、Ni−Fe−Mo結合相中に均一に拡散しているため、耐食性を有する。
このため、請求項5に記載の発明の振動発生装置用振動子は、加締め加工時の衝撃によって腐食防止用のNiメッキ等が剥がれやすいが、Niメッキ等の有無に拘わらず腐食の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明にかかるタングステン基焼結合金製ウェート及びその製造方法の一実施形態を、図1及び図2を用いて説明する。
【0019】
本実施形態におけるタングステン基焼結合金製ウェートは、図1に示されるように、W粉末と、Ni粉末等とを配合する原料配合(SP1)工程と、この原料をボールミル粉砕等する湿式混合(SP2)工程と、この湿式混合により分散された原料を押圧成形して成形体を得る押圧成形(SP3)工程と、この成形体を仮焼結する予備焼結(SP4)工程と、さらに完全に粉末を焼結させる本焼結(SP5)工程とを得ることにより製造される。
【0020】
次に、原料配合(SP1)工程から本焼結(SP5)工程まで順次説明する。
まず、原料配合(SP1)工程においては、原料として、分散相形成成分としてのW粉末と、結合相形成成分としてのNi粉末、Mo粉末、Cr32粉末及び必要によりFe粉末等とを配合する。
【0021】
このW粉末は、適正な成形性及び焼結性を得るために平均粒径が0.5〜5μmmのものを用いる。また、結合相形成成分についても、W粉末と同程度の平均粒径を有する粉末を用いる。
【0022】
この結合相形成成分としては、本焼結(SP5)工程後における各成分が、Niが0.5〜7質量%、Moが0.5〜4質量%、Crが0.1〜1.0質量%及び必要によりFeが0.5〜3.0質量%となり、かつタングステン基焼結合金製ウェートの比重が17〜19となるように各粉末を配合する。
【0023】
ここで、Crは、非常に酸化されやすいためCr32原料として配合することが好ましい。このCr32は、後の予備焼結(SP4)工程及び本焼結(SP5)工程において分解されると同時に分散相及び結合相に拡散して、酸化されることなく固溶する。
なお、Crは、タングステン基焼結合金製ウェートの表面に不動態膜を形成している。このため、タングステン基焼結合金製ウェートは、酸化が最小限に抑制されて、所望の耐食性を有する。よって、原料としてCr32以外の化合物又は単体を配合してもよい。
【0024】
次に、湿式混合(SP2)工程においては、上記原料配合工程(SP1)において配合された粉末をボールミルに投入して、アセトン等の有機溶媒を用いて48時間の湿式混合を行う。これにより、各粉末の粉砕、混合が充分に行われることになり、結合相形成成分がW粉末に均一に分散された状態になる。
【0025】
次いで、成形体形成(SP3)工程において、均一に分散された粉末を、押型に充填して、19×60×105Pa(2000kg/cm2)の圧力で成形する。
これにより、例えば図2に示すような円弧半径数mmの横断面略扇型状を有し、この扇状部分全体が偏心荷重部11である圧粉体が得られる。そして、この偏心荷重部11の扇状を描く外周円弧の中心部には溝部13があり、この溝部13の両側には、偏心荷重部11から膨出して溝部13の両側縁部を形成する側壁14が連続して設けられている。
【0026】
次に、予備焼結(SP4)工程において、上記圧粉体を900°の温度の水素雰囲気中で3時間焼結させる。
その後、本焼結工程(SP5)において、予備焼結を行った圧粉体を、さらに1400°から1550°の温度の水素雰囲気中で1時間焼結させる。
【0027】
このように予備焼結(SP4)工程及び本焼結(SP5)工程において、水素雰囲気中にて圧粉体を焼結させるため、酸化されやすいCr成分も還元雰囲気において焼結されて、酸化クロムの発生を抑制する。また、その他の結合相形成成分等の酸化を防止して、タングステン基焼結合金製ウェートに耐食性が付与される。
【0028】
これにより、図2に示すタングステン基焼結合金製ウェート10(但し、加締め部14cが形成されていない形状)が得られる。そして、このウェート10は、比重、抗折強度(×107Pa(kgf/mm2))及び延性(%)等を評価した後に、完成品として取り扱われる。
【0029】
ここで例えば、上述のタングステン基焼結合金製ウェート10における側壁14の先端部端面14aのうち、軸線方向の両端部を残した中央部分において、側壁14の外周側部分14bを残した溝部13側の加締め部14cを、直方体状の加締めパンチ(図示せず)によって、溝部13の開口15側から底側に向けて加締め変形させる。この際、加締め部14cを、例えばSUS420などのステンレス製モータの回転軸12が嵌め込められる形状となるように加締め変形させる。これにより、タングステン基焼結合金製ウェート10が回転軸12に一体的に結合されるようになり、図2に示す携帯電話(携帯通信機器)に組み込まれたモータに取り付けられる振動発生用装置用の振動子となる。
【0030】
上述の原料配合(SP1)工程から本焼結(SP5)工程を得て製造されて、上述の評価において完成品として取り扱われた製品は、比重が17〜19であり、結合相形成成分として、Niを0.5〜7質量%、Moを0.5〜4質量%、Crを0.1〜1.0質量%含有し、残部が分散相形成成分としてのWと、不可避不純物とからなる。
また、好ましくは上記結合相形成成分として、さらにFeを0.5〜3.0質量%含有し、残部が分散相形成成分としてのWと、不可避不純物とからなる。
【0031】
この不可避不純物として、Cuを1質量%未満であれば含有してもよいが、好ましくは含有しない。
Cu成分は、合金の耐食性を低下させるため、Cu成分を含有するタングステン基焼結合金製ウェートは、腐食し易くなり、特に含有量が1質量%以上であると、遊離Cuの存在による著しい酸化や腐食現像により、顕著に腐食し易くなる。他方、1質量%未満であれば、Ni−Fe−Mo結合相への固溶によりウェート表面に析出した遊離Cuが極めて少なく耐酸化性への影響が少ない。
【0032】
さらには好ましくは、上記分散相形成成分としてのWを90質量%以上含有させる。Wを90質量%以上とすることにより、タングステン基焼結合金製ウェートの比重を17.0〜19.0に保持し易くなるためである。
また、上述のようにタングステン基焼結合金製ウェートは、比重が17.0〜19.0と高いため小型化されて、例えば薄型化が要求される携帯電話に適合可能となる。
【0033】
上述のタングステン基焼結合金製ウェートにおいて、Ni成分は、W粉末の焼結に必要な液相を提供し、かつWの粒界拡散係数を向上させるための必要不可欠な結合相形成成分である。そして、Ni成分を上記の範囲に規定しているのは、0.5質量%未満ではW焼結合金の緻密化が起きず、比重が低減するのみならず、残留空孔の存在により強度が極端に低下するためである。
他方、7.0質量%を超えると、その他の結合相形成成分と併せて10質量%を超えて、分散相形成成分としてのWが90質量%未満となり、17.0〜19.0の高比重のタングステン基焼結合金製ウェートが得られなくなるためである。
【0034】
また、Mo成分は、分散相形成成分としてのW成分に全率固溶する性質を有し、分散相形成成分の強度を向上させる。そして、Mo成分を上記の範囲に規定しているのは、0.5質量%未満では強度向上の効果が小さく、4質量%を超えると焼結性が阻害され、焼結温度が著しく上昇することにより、焼結不足となりやすく、未拡散Moの存在により却って合金の強度を損なうこととなるためである。
【0035】
さらに、Cr成分は、W−Mo分散相形成成分又はNi−Fe−Mo結合相形成成分中に均一に拡散する性質があり、それにより全面的に不動態化するCrの皮膜を形成し、酸化性雰囲気あるいは湿潤環境におけるタングステン基焼結合金製ウェートの耐酸化特性を向上させる。
このCr成分を上記の範囲に規定しているのは、0.1質量%未満では耐酸化特性が充分に発揮されないためである。また、1.0質量%を超える場合には、焼結性に劣るだけでなく、その他の結合相形成成分と併せて10質量%を超えて、分散相形成成分としてのWが90質量%未満となり、17.0〜19.0の高比重のタングステン基焼結合金製ウェートが得られなくなる。さらに、Cr32の熱分解に時間を要し、経済的効果に劣るのみならず、Cr32が残留した場合には却ってタングステン基焼結合金製ウェートの強度特性が低下することとなる。
【0036】
上記Fe成分は、上記Ni成分中に固溶して、結合相形成成分の強度を向上させる。このFe成分の含有量を上記のように限定しているのは、0.5質量%未満では強度向上効果が不十分であり、3質量%を超えると、遊離Feの析出によって却って合金の強度を損なうこととなるためである。
【0037】
また、上述の振動発生用の振動子10(図2参照)の加締め部14cは、腐食防止のNiメッキ等の処理を施しても、加締め変形の際に掛かる負荷により剥がれて腐食の発生しやすい状態であったが、上述の組成からなる振動子とすることによって腐食の発生が防止される。
【実施例】
【0038】
以下、実施例1〜3及び比較例1について説明する。
まず結合相形成成分としてのNi粉末、Mo粉末、Cr32粉末及びFe粉末と、分散相形成成分としてのW粉末とを、本焼結後の各成分(質量%)及び比重が表1に示す実施例1〜3の割合となるように各々原料配合した。この際、実施例2及び3は、各々3つ原料配合した。なお、Ni粉末としては、平均粒径5μmのインコー社製のInco123を用い、Mo粉末としては、平均粒径10μmの日本新金属株式会社製のMo−1を用い、Cr32粉末としては、粒径2μmの日本新金属株式会社製のCr32粉を用い、Fe粉末としては、粒径2μmのインコー社製のFe粉を用い、W粉末としては、粒径4μmの日本新金属株式会社製のW−4を用いた。[以上SP1]
【0039】
【表1】

【0040】
次いで、配合された実施例1〜3の粉末を、ボールミルに投入して、有機溶媒としてアセトンを用いて、48時間の湿式混合を行った。[以上SP2]
次に、上述の実施の形態における成形体形成工程(SP3)及び予備焼結工程(SP4)と同様にして成形した後、この成形体を予備焼結した。
【0041】
その後、水素雰囲気中で本焼結を行い、タングステン基焼結合金製ウェート得た。この時、実施例1の予備焼結した成形体を1450°にて2時間焼結を行った。実施例2の成形体を1440°下において焼結したものを実施例2−1とし、1460°下において焼結したものを実施例2−2とし、1480°下において焼結したものを実施例2−3とした。同様に、実施例3の成形体を1440°下において焼結したものを実施例3−1とし、1460°下において焼結したものを実施例3−2とし、1480°下において焼結したものを実施例3−3とした。
【0042】
これにより得られた実施例1〜3の質量を計測し、一定時間(6時間、10時間、27時間48時間及び72時間)経過後の質量を再度計測して、その差から酸化による増加質量(g)を求めて表2に示した。
【0043】
【表2】

【0044】
[比較例]
結合相形成成分としての上記Ni粉末を3質量%、Cu粉末を2質量%となるように配合した外は、実施例1と同様にして、タングステン基焼結合金製ウェートを得た。また、同様にして酸化による増加質量(g)を求めて表2に示した。
【0045】
表2からわかるように、実施例1〜3については、72時間経過した後も酸化による増量が0.01g〜0.05gと微量であるのに対し、比較例1については、72時間経過後に0.52g増量していた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の一実施の形態として示したタングステン基焼結合金製ウェートの製造プロセスのフロー図である。
【図2】同タングステン基焼結合金製ウェートからなる振動発生用装置用の振動子を電動モータの回転軸(携帯電話に組み込まれたモータ)に加締めにより結合した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10・・・タングステン基焼結合金製ウェート(振動発生用装置用の振動子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合相形成成分として、Niが0.5〜7質量%、Moが0.5〜4質量%及びCrが0.1〜1.0質量%であって、残部がW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜19であることを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェート。
【請求項2】
結合相形成成分として、Niが0.5〜7質量%、Moが0.5〜4質量%、Crが0.1〜1.0質量%、Feが0.5〜3.0質量%であって、残部がW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜19であることを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記不可避不純物として、Cuが1質量%以上含有されていないことを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェート。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタングステン基焼結合金製ウェートの組成となるように結合相形成成分、W及び不可避不純物の原料を配合して、分散した後に、押圧成形して圧粉体を形成して、当該圧粉体を水素雰囲気中で焼結するタングステン基焼結合金製ウェートの製造方法であって、前記結合相形成成分のCrの原料として、炭化クロムを配合したことを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェートの製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタングステン基焼結合金製ウェート又は請求項4に記載のタングステン基焼結合金製ウェートの製造方法により得られたタングステン基焼結合金製ウェートからなる振動発生装置用振動子であって、モータの回転軸が挿通される溝部を有し、当該溝部の周囲が加締められることによって上記回転軸に一体的に結合されるようになっていることを特徴とする振動発生装置用振動子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−161076(P2006−161076A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351109(P2004−351109)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(594111292)三菱マテリアルシ−エムアイ株式会社 (54)
【Fターム(参考)】