説明

タンデムイオントラップを操作する方法

a)第1の時間において、第1のイオントラップ内にイオンを蓄積するステップと、b)第2の時間において、第1の複数のイオンを第1のイオントラップから第2のイオントラップ内へと通過させるステップであって、第1の複数のイオンは、第1の質量範囲内の質量を有する、ステップと、c)第2の時間において、第2の複数のイオンを第1のイオントラップ内に留保するステップであって、第2の複数のイオンは、第1の質量範囲と異なる第2の質量範囲内の質量を有する、ステップと、d)第3の時間において、第1の複数のイオンを第2のイオントラップから通過させるステップと、e)第3の時間において、第2の複数のイオンを第1のイオントラップから第2のイオントラップ内へと通過させるステップとを伴う、タンデムイオントラップを操作するための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、イオントラップに関し、より具体的には、空間電荷効果を制御または低減するための、タンデム質量分析計構成およびその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載される種類の従来のイオントラップ質量分析計は、3つの電極、すなわちリング電極と一対のエンドキャップ電極とを含み得る。適切なRF/DC電圧が電極に適用されることにより、特定の質量対電荷範囲内のイオンをトラップする3次元電界を確立し得る。線形四重極が、またイオントラップ質量分析計として構成され得、これは適用されるRF電圧によって提供されている放射方向イオン拘束とロッドの組の各端におけるDC電圧障壁によって提供される軸方向イオン拘束とを伴っている。線形イオントラップ内にトラップされたイオンの質量選択検出は、特許文献2によって教示されるようなイオンの放射方向の放出を利用し得、特許文献3によって教示されるようなイオンの軸方向の放出(MSAE)を利用し得る。フーリエ変換技術も特許文献4によって教示されるような原位置検出に利用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2,939,952号明細書
【特許文献2】米国特許第5,420,425号明細書
【特許文献3】米国特許第6,177,668号明細書
【特許文献4】米国特許第4,755,670号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の側面によると、第1のイオントラップと、第2のイオントラップとを有する、タンデム質量分析計システムを操作する方法であって、a)第1の時間において、第1のイオントラップ内にイオンを蓄積するステップと、b)第2の時間において、第1のイオントラップから第1の複数のイオンを第2のイオントラップ内へと通過させるステップであって、第1の複数のイオンは、第1の質量範囲内の質量を有する、ステップと、c)第2の時間において、第1のイオントラップ内に第2の複数のイオンを留保するステップであって、第2の複数のイオンは、第1の質量範囲と異なる第2の質量範囲内の質量を有する、ステップと、d)第3の時間において、第2のイオントラップから第1の複数のイオンを通過させるステップと、e)第3の時間において、第1のイオントラップから第2の複数のイオンを第2のイオントラップ内へと通過させるステップとを備えている、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の図面を参照して、種々の実施形態の詳細な説明が、以下に提供される。
【図1】図1は、本発明の実施形態のある側面による方法を実装するように構成可能なタンデム線形イオントラップ質量分析計システムを例示する、ブロック図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態のある側面による、印加される補助AC励起周波数が一定に保持されるときのイオンの質量選択的軸方向射出に好適な例示的RF電圧および補助AC励起周波数波形のタイミング図である。
【図2B】図2Bは、本発明の実施形態のある側面による、イオンの質量選択的軸方向射出に好適な例示的RF電圧および補助AC励起周波数波形のタイミング図である。
【図2C】図2Cは、本発明の実施形態のある側面による、イオンの質量選択的軸方向射出に好適な例示的RF電圧および補助AC励起周波数波形のタイミング図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態のある側面による、並行操作される2つの線形イオントラップの開始および操作質量範囲のタイミング図である。
【図4】図4は、本発明の代替実施形態のある側面による方法を実装するように構成可能なタンデム線形イオントラップ質量分析計システムを例示する、ブロック図である。
【図5】図5は、本発明の代替実施形態のある側面による方法を実装するように構成可能なタンデム線形イオントラップ質量分析計システムを例示する、ブロック図である。
【図6】図6は、本発明の代替実施形態のある側面による方法を実装するように構成可能なタンデム線形イオントラップ質量分析計システムを例示する、ブロック図である。
【図7】図7は、本発明の代替実施形態のある側面による方法を実装するように構成可能なタンデム線形イオントラップ質量分析計システムを例示する、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面および付随の関連説明は、本質的に例示としてのみ意図されるものであって、本発明の範囲をいかようにも制限するものではないことは、当業者には理解されるであろう。便宜上、同一参照番号は、必要に応じて、図面の同一特徴を説明するために反復して使用されるであろう。
【0007】
イオントラップ質量分析計のスペクトル分解能は、トラップされるイオンの密度または空間電荷に依存し得る。従来の技術を使用する場合、イオントラップ質量分析計のスペクトル分解能は、トラップされるイオンの空間電荷が、ある閾値レベルに到達または超越すると、急激に降下し得る。極端な場合、質量スペクトルピークは、空間電荷効果のために完全に失われる可能性がある。他の望ましくない空間電荷効果として、イオントラップの自発的排出、分光計内の質量較正偏移、および他の形態のスペクトル歪が含まれる可能性がある。
【0008】
最初に、本発明の実施形態のある側面による方法を実装するように構成される、三連四重極質量分析計システム10を例示するブロック図である、図1を参照する。質量分析計システム10は、集束イオン流を発生させ、カーテンプレート22へと指向させる、イオン源20を備える。いくつかの実施形態では、イオン源20は、例えば、イオンスプレーまたはエレクトロスプレーデバイスであってもよい。カーテンプレート22内の開口を通過するイオンは、カーテンプレート22とオリフィスプレート24との間に形成される、カーテンチャンバ23内へと流入可能である。カーテンチャンバ23内へのカーテンガス流は、質量分析計システム10の分析セクション内への望ましくない中性粒子の流入を低減可能である。イオンは、オリフィスプレート24内の開口を通して、カーテンチャンバ23から流出し、ロッドセット26を通過し、四重極間障壁28内の開口を経由して、四重極ロッドセット30内へと流入可能である。四重極ロッドセット30の機能の1つは、質量分析計システム10の下流検出段階への通過のために、イオンを収集および集束可能であることである。四重極ロッドセット30の副次的機能は、カーテンチャンバ23を偶発的に通過するイオン流から、さらに中性粒子を抽出可能であることである。
【0009】
四重極ロッドセット30内に収集および集束されるイオンは、四重極間障壁32内の開口を通して流出し、RF短太ロッドセット34(Brubakerレンズとしても知られる)を通して、質量フィルタとして構成可能な四重極ロッドセット36内へと通過可能である。当業者には周知のように、質量フィルタは、ロッドセットを通過するイオンを選択的に安定化または不安定化させる四重極ロッドセットに、四重極RFおよび直流(DC)電位の組み合わせを印加することによって、構成可能である。DCおよびRF電位の振幅および比率を制御することによって、着目範囲外の質量を有するイオンは、不安定化され、射出されるため、下流検出段階への通過のための着目範囲内にある質量を有するイオンを単離させることが可能である。このように、四重極ロッドセット36は、着目質量範囲を実質的に単離可能である。
【0010】
RF短太ロッドセット38は、四重極ロッドセット36から射出されるイオンを四重極ロッドセット40内へと誘導する。衝突セル42は、四重極ロッドセット40を封入し、窒素またはアルゴン等の好適な衝突ガスを注入することによって、所望の高圧に維持される。また、衝突セル42は、それぞれ、衝突セル42内外にイオンを流出入させるための流入開口39と、流出開口43と、を備える。RF短太ロッドセット44は、流出開口43を通って、衝突セル42から流出するイオンを、四重極ロッドセット40より低い圧力に維持可能な四重極ロッドセット46内へと誘導する。最後に、四重極ロッドセット46から射出されるイオンは、好適な検出器によって、質量検出のために、流出レンズ48を通過する。
【0011】
図1の表示が、概略に過ぎないことは、当業者には理解されるであろう。質量分析計システム10を完成させるために、付加的要素が組み立てられる必要があってもよい。例えば、複数の電源が、四重極ロッドセット36、40、46と、流出開口43と、流出レンズ48と、を含む、システムの異なる要素に、DCおよびRF電圧を送達するために使用されてもよい。加えて、ガスポンプまたは他の配列を使用して、説明されるような衝突セル42を含む、システムの異なるチャンバを所望の圧力レベルに維持してもよい。また、1つ以上のイオン検出器が提供されてもよい。また、1つ以上の結合コンデンサが提供されてもよい。
【0012】
図1に示される質量分析計システム10では、四重極ロッドセット40は、米国特許第6,177,668号に開示されるように、イオンの質量選択的軸方向射出(MSAE)を提供可能なように、適切なRF/DC閉じ込め電圧およびAC励起電圧を印加することによって、第1の線形イオントラップ40として構成可能である。同様に、四重極ロッドセット46もまた、MSAEのために動作可能な第2の線形イオントラップ46として構成可能である。上述のように、四重極ロッドセット36は、所望の着目質量範囲を単離するための質量フィルタ36として構成可能である。さらに、第1および第2の線形イオントラップ40、46は、コンデンサCaを使用して、共結合可能である一方、第2の線形イオントラップ46は、コンデンサCbを使用して、RF短太ロッドセット44に結合可能である。
【0013】
着目質量範囲内の質量を有するイオンは、質量フィルタ36によって、選択的に濾過され、第1のイオントラップ40内に蓄積可能である。例えば、蓄積されたイオンの質量は、下限および上限イオン質量によって定義される質量範囲内にある。代替として、質量フィルタ36によって選択されるイオンは、高衝突エネルギーで、衝突セル42内へと運搬可能である。これらのイオンは、その結果、衝突セル42内へと注入される衝突ガス分子との衝突を通して、分裂されてもよい。遅延周期を使用して、衝突支援解離(CAD)を通して形成され、線形イオントラップ40内にトラップされた分裂イオンを冷却可能である。遅延周期の終了時、第1のイオントラップ40は、米国特許第6,177,668号によって教示されるMSAEのための技術のうちの1つを使用して、RF短太ロッドセット44を経由して、第2のイオントラップ46内へとイオンの通過を開始可能である。第1のイオントラップ40から質量選択的に射出されるイオンは、第2のイオントラップ46内で蓄積および冷却可能である。さらなる遅延周期後、イオンは、再び、米国特許第6,177,668号によって教示されるMSAE技術のうちの1つを使用して、線形イオントラップ46から射出可能である。このように、第1および第2のイオントラップ40、46は、並列操作可能である。
【0014】
MSAEのための複数の異なる技術が知られている。そのような方法の1つは、一定のDCトラップ電界を提供するステップと、次いで、イオントラップの下流端に付加的補助AC電界を提供するステップを伴う。すなわち、DCトラップ電界は、イオントラップの四重極ロッドに印加されるDCオフセット電圧より高いDCオフセット電圧を印加することによって、イオントラップの下流端に生成可能である。そのように印加されるこれらのDC電圧によって、半径方向RF閉じ込め電界内の安定したイオンは、イオントラップの下流端に生成されるDC電位障壁に衝突し、その上、軸方向にトラップ可能である。図1の構成では、例えば、必要DC電位障壁は、流出開口43の近傍に適切なDCオフセット電圧を提供することによって、第1の線形イオントラップ40内に、同様に、流出レンズ48に適切なDCオフセット電圧を提供することによって、第2の線形イオントラップ46内に、生成可能である。
【0015】
イオントラップの中心の周囲に凝集されるイオンは、略完全に四重極性であるRF閉じ込め電界に遭遇可能である。しかしながら、下流端近傍のイオンは、四重極ロッドセット端で終端するRF/DC電界のため、四重極電界に不完全に遭遇し得る。これらの不完全電界(一般に、「漏れ電界」と称される)は、トラップされるイオンの運動の半径方向および軸方向成分を結合する傾向がある。言い換えると、トラップされるイオンの半径方向および軸方向運動成分は、本質的に非結合または非常に疎結合の運動成分を有する、イオントラップの中心の周囲に凝集されるイオンと異なり、本質的に、相互に直交しなくなり得る。イオントラップの下流端近傍に形成される漏れ電界のため、近傍のイオンは、適切な周波数の低電圧補助AC電界の印加によって、イオントラップから質量依存的に走査可能である。印加される補助AC電界は、半径方向および軸方向両方の永年イオン運動に結合する。補助AC電界からエネルギーを吸収することによって、イオンは、イオントラップの下流端に形成されるDC電位障壁を克服可能なように、十分に励起された状態になり得る。補助AC電界によって十分に励起されないイオンは、補助AC電界の周波数が、イオントラップから質量選択的に射出可能であるその永年周波数と一致するように変化するまで、イオントラップ内に閉じ込められたままであり得る。
【0016】
また、イオンの質量選択的軸方向射出のための他の技術も、線形四重極ロッドセットに実装可能である。例えば、流出開口に提供される補助AC電界の周波数を走査するのではなく、代わりに、四重極ロッドに提供される主要RF閉じ込め電界の振幅を走査可能である。半径方向射出のために典型的に使用される約0.907のq値を遥かに下回る、わずか約0.2乃至0.3のq値が、軸方向射出のために使用可能である。したがって、主要RF電圧の振幅が走査される際の半径方向射出のために失われ得るイオンは、たとえあったとしても、ほとんどない。図面を参照して説明されるように、質量分析計システム10は、ある範囲の振幅にわたって、主要RF閉じ込め電界を走査することによって、質量選択的にイオンを射出可能である。当然ながら、質量分析計システム10が、本発明の範囲を制限することなく、他のMSAE技術のために適合または再構成可能であることは、当業者には理解されるであろう。また、異なるMSAE技術を組み合わせて使用可能であることも、当業者には理解されるであろう。例えば、RF閉じ込め電圧の振幅は、印加される補助AC励起電界周波数の走査と組み合わせて、走査可能である。代替として、例えば、米国特許第5,783,824号および米国特許公報第2005/0269504 A1号に記載のもの等、軸方向通過を伴う他のイオントラップも使用可能である。
【0017】
次に、質量分析計システム10内の第1および第2のイオントラップ40、46のイオンの質量選択的軸方向射出に好適な例示的RF電圧および補助AC励起周波数波形を例示する、図2Aを参照する。波形110は、第1のイオントラップ40に印加されるRF閉じ込め電圧を表す一方、波形115は、第2のイオントラップ46に印加されるRF閉じ込め電圧を表す。故に、波形110、115は、MSAEに好適であり得、RF閉じ込め電圧の振幅が走査され、印加される補助AC励起電界の周波数が一定に保持される(定線105によって表される)。また、波形110、115は、1つ以上の電圧源(図示せず)によって、第1および第2のイオントラップ40、46に別々に提供されてもよい。
【0018】
例示されるように、両波形110、115は、印加されるRF電圧が一定である蓄積/冷却相に続いて、印加されるRF電圧が直線的に走査される質量選択的射出相を備えることが可能である。また、波形110、115は、印加されるRF閉じ込め電圧をその走査前レベルにリセット可能なリセット相を備えることが可能であって、質量分析計システム10内に依然としてトラップされる浮遊イオンは、第1および第2のイオントラップ40、46内のDCトラップ障壁を降下させることによって排出可能である。波形115は、図2Aに示され、以下にさらに論じられるように、遅延時間間隔Δtだけ、波形110に対して時間遅延可能である。
【0019】
質量フィルタ36によって濾過されるイオンは、時間T0において開始する第1のイオントラップ40内へと通過され、時間T1まで蓄積および冷却可能である。時間T0とT1との間に第1のイオントラップ40内に蓄積するイオンの質量範囲は、図3に示されるように、第1のイオントラップ40の開始質量範囲220と称され得る。時間T1において、イオンは、ダルトン/秒(Da/s)単位で定義される第1の走査速度で、第1のイオントラップ40から第2のイオントラップ46内へと質量選択的に走査を開始可能である。質量選択的射出相の間の波形110の傾斜は、本第1の走査速度を表す。例えば、イオンは、走査から25ms後、25Da質量範囲が、第2のイオントラップ46内に蓄積されるように、1000Da/sの速度で走査可能である。遅延時間間隔(図2AのΔt)後、第2のイオントラップ46内に蓄積されたイオンは、第2の走査速度で、質量選択的に走査を開始可能である。図2Aに示されるように、第1のイオントラップ40の走査は、T1から開始し、T3で完了する一方、第2のイオントラップ46の走査は、T2から開始し、T4で完了する。次いで、リセット相が、質量選択的射出相の終了時から開始する。
【0020】
第2の走査速度を第1の走査速度と実質的に同等に設定することによって、第2のイオントラップ40に流入するイオンの速度は、そこから射出されるイオンの速度と実質的に同等に維持可能である。したがって、質量分析計システム10の操作時間間隔にわたって、第2のイオントラップ46内にトラップされるイオンの質量範囲は、時間T1とT2との間の遅延時間間隔Δtの間に、第2のイオントラップ46内に初めに蓄積されるイオン質量範囲と実質的に同等であることが可能である。本質量範囲は、第2のイオントラップ46の変動操作質量範囲222と称され得る。言い換えると、質量分析計システム10の操作時間間隔にわたって、第2のイオントラップの質量範囲は、時間T1とT2との間の遅延時間間隔Δt(本実施例では、25ms)を乗じた第1のイオントラップ40の走査速度(本実施例では、1000Da/s)と略同等であり得る。
【0021】
イオンが、第1のイオントラップ40の走査速度と実質的に同一走査速度で、ただし、遅延時間間隔Δtだけ時間遅延され、第2のイオントラップ46から走査される場合、第2のイオントラップ46の変動操作質量範囲222は、適切な遅延時間間隔Δtを選択することによって、第1のイオントラップ40の開始質量範囲220より狭く設定可能である。再び、上述の実施例の観点では、25msの遅延時間間隔後の任意の時点において、第2のイオントラップ46内のイオンは、約25Daの質量範囲を有して得る。したがって、第1のイオントラップ40の開始質量範囲220が、1000Daである場合、第2のイオントラップ46の変動操作質量範囲222は、第1のイオントラップ46の開始質量範囲のわずか約2.5%であり得る。代わりに、第1のイオントラップ40の開始質量範囲220が、500Daであった場合、第2のイオントラップ46の変動操作質量範囲222は、第1のイオントラップ40の開始質量範囲222のわずか約5%であり得る。質量分析計システム10の操作時間間隔の間、より狭いイオン質量範囲を有することによって、第2のイオントラップ46は、第1のイオントラップ40と比較して、空間電荷効果を受け難くなり得る。その結果、イオンは、そうでなければ、走査されていたであろう第1のイオントラップ40より高い分解能を伴う、第2のイオントラップ46から走査可能である。また、空間電荷効果を受け難くなることによって、本発明の代替実施形態では、第2のイオントラップ46は、第1のイオントラップ40と比較して、より短い長さを有してもよい。
【0022】
上述のように、波形110、115は、MSAEに好適であり得、RF閉じ込め電圧の振幅が走査され、印加される補助AC電界の周波数が一定に保持される。当業者に理解されるように、線形四重極イオントラップのマシュー関数q値は、以下によって求められ得る。
【0023】
【数1】

ここで、mおよびeは、それぞれ、イオン質量と電荷であって、rは、四重極トラップの電界半径であって、Ωは、四重極の角駆動周波数であって、Vは、極点から接地まで測定されたRF半径方向閉じ込め電界の振幅である。また、イオン基本共鳴周波数は、以下によって表され得る。
【0024】
【数2】

これは、n=0に設定し、式1に定義される関係を使用することによって、以下のように書き換えられ得る。
【0025】
【数3】

あるいは、式3は、以下のように、印加される補助AC電界ωの周波数および半径方向閉じ込め電界VのRF振幅の観点から明示的に表され得る。
【0026】
【数4】

イオンの共鳴励起は、四重極に印加される補助AC電界の周波数が、イオン基本共鳴周波数ωと一致するときに生じる。したがって、式4が、半径rおよび駆動周波数Ωの四重極電界内にトラップされる、質量mと、電荷eとを有する、イオンの共鳴励起をもたらす、印加される補助AC電界の周波数(ωと同等)と半径方向閉じ込め電界VのRF振幅との間の各イオントラップ40、46に対する全体的関係をどう定義し得るかが理解されるであろう。さらに、本全体的関係は、第1および第2のイオントラップ40、46のための制御システムの一部として使用されてもよい。特に、同一補助AC電界が、各イオントラップ40、46に印加される場合、イオンの共鳴励起は、同一の印加されるRF振幅Vに対して生じ得る。図2Aの波形105によって例示されるように、第1および第2のイオントラップ40、46のそれぞれに印加される補助AC励起周波数は、一定かつ同等であってもよい。したがって、その場合、第1および第2のイオントラップ40、46のRF振幅が走査される速度を制御することは、特定の質量および電荷のイオンが射出される時間を制御する方法を提供し得る。例えば、第2のイオントラップ46のRF振幅は、第1のイオントラップ40のRF振幅と同一速度で走査されてもよいが、ただし、波形110、115に見られるように、遅延時間間隔だけ、時間遅延される。また、これらの波形は、1つ以上の電圧源によって、第1および第2のイオントラップ40、46に別々に提供されてもよい。また、選択された遅延時間間隔は、イオンの冷却時間に実質的に対応する。
【0027】
次に、本発明の代替実施形態のある側面による、質量分析計システム10内の第1および第2のイオントラップ40、46のための質量選択的軸方向射出に好適な例示的RF電圧および補助AC励起周波数波形を例示する、図2Bを参照する。本代替実施形態では、イオンのMSAEは、一定RF閉じ込め電界を使用して、第1および第2のイオントラップ40、46に印加される補助AC励起電界の周波数を走査することによって、提供されてもよい。図2Bの波形120は、第2のイオントラップ46に印加されるRF閉じ込め電界の振幅を表す一方、波形125は、第1のイオントラップ40に印加されるRF閉じ込め電界の振幅を表す。例示されるように、波形120および125は、異なる振幅を有するが、また、同一振幅を有してもよい。RF閉じ込め電圧は、後述のように、1つ以上の電圧源によって、または容量結合を使用して、別々に提供されてもよい。一般に、第1のイオントラップの波形は、破線を使用して表される一方、第2のイオントラップの波形は、実線を使用して表される。
【0028】
波形130および135は、イオンのMSAEに好適であり得る、補助AC周波数波形を表す。波形130は、第2のイオントラップ46に印加される補助AC励起電界の周波数を表す一方、波形135は、第1のイオントラップ40に印加される補助AC励起電界の周波数を表す。例示されるように、波形130は、質量選択的射出相の間の波形135の基準化された時間遅延バージョンである。すなわち、波形130は、遅延時間間隔だけ時間遅延され、波形120および125が基準化される同一割合において、式4に従って基準化される。波形130と135との間の本特定の関係を設定することによって、第1のイオントラップ40から第2のイオントラップ46内へと射出されるある質量のイオンもまた、次いで、遅延時間間隔Δtと同等の時間周期の間、第2のイオントラップ46内で冷却された後、第2のイオントラップ46から射出されてもよい。
【0029】
次に、本発明の代替実施形態のある側面による、質量分析計システム10内の第1および第2のイオントラップ40、46のためのイオンの質量選択的軸方向射出に好適な例示的RF電圧および補助AC励起周波数波形を例示する、図2Cを参照する。波形140は、第2のイオントラップ46に印加されるRF閉じ込め電圧を表す一方、波形145は、第1のイオントラップ40に印加されるRF閉じ込め電圧を表す。図2Aに示される波形110、115と同様、波形140、145はそれぞれ、蓄積/冷却相、質量選択的射出相、およびリセット相を備える。波形140の振幅の波形145の振幅に対する比率150は、例えば、時間T0とT4との間の操作時間間隔にわたって、実質的に一定であることが可能である。
【0030】
波形140、145は、イオンのMSAEに好適なRF閉じ込め電圧を表し得、米国特許第6,177,668号から周知のように、イオントラップRF閉じ込め電圧の振幅に加え、印加される補助AC電界の周波数が走査される。例示されるように、波形140、145の振幅は、同一速度ではないが、略同一割合において、走査されてもよい。すなわち、振幅の比率150は、実質的に固定されてもよい。
【0031】
波形140、145は、1つ以上の電圧源によって、第2および第1のイオントラップ46、40に別々に印加されてもよいが、また、波形140、145は、第1と第2のイオントラップ40、46との間の容量結合を使用して、印加されてもよい。例えば、図1に例示されるように、コンデンサCaは、第1のイオントラップ40を第2のイオントラップ46と結合し、コンデンサCbは、第2のイオントラップ46をRF短太ロッド44と結合してもよい。必要に応じて、付加的回路要素とともに、コンデンサCaおよびCbは、第1と第2のイオントラップ40、46との間にAC電圧分配器を設けてもよい。故に、周知のように、比率150は、CaおよびCbのための適切な値を選択することによって、選択可能である。例えば、それぞれ、第2および第1のイオントラップ46、40に印加されるRF閉じ込め電圧の振幅を表す、波形140の波形145に対する比率150は、質量分析計10の操作間隔にかけて、2と略同等であってもよい。
【0032】
式1に従って、第1および第2のイオントラップが同一四重極電界半径rを有すると仮定すると、第1のイオントラップ40のq値は、2と略同等の比率150の場合、第2のイオントラップ40のq値の約半分となるであろう。同様に、式3に従って、第1のイオントラップ40のイオン基本共鳴周波数ωは、第2のイオントラップ46の約半分となるであろう。したがって、例えば、第2のイオントラップ46が、操作間隔にかけて、q=0.846で操作される場合、第1のイオントラップ40に印加される補助AC励起周波数は、ある値q<0.423に対応し得る。本関係は、ある質量のイオンが、第1のイオントラップ40から(第2のイオントラップ46内へと)射出後の一定遅延時間間隔に続いて、第2のイオントラップ46から励起され得る事実を反映する不等式として表される。遅延時間間隔の制御は、第1のイオントラップ40に印加される補助励起周波数ωを制御することによって達成されてもよい。イオンが第1のイオントラップ40から射出され得るq値が低いほど、励起周波数ωも低くなり、対応して、遅延時間間隔も大きくなる。再び、その遅延時間間隔は、イオンの冷却時間に対応し得る。
【0033】
若干異なる表現で説明すると、第1および第2のイオントラップ40、46それぞれに対して、式4は、RF振幅V、Vと補助AC励起周波数ω、ωとの間の全体的関係を提供し得る。したがって、例えば、それぞれ、波形145、140によって表されるRF振幅V1、V2を考えると、式4は、イオンのMSAEに好適な補助励起周波数ω、ωを提供する。例えば、波形155および160は、時間の関数として、イオンのMSAEに好適な例示的補助AC励起周波数を例示する。特に、イオンの質量範囲および質量分析計10の操作間隔にかけて、イオンが、第1のイオントラップ10から(第2のイオントラップ46内へと)射出後の遅延時間間隔に続いて、第2のイオントラップ46から射出されるように、ω、ωが走査されてもよい。波形160によって例示されるように、第1のイオントラップ40のための補助AC励起周波数は、線時間T1およびT3によって定義されるように、第1のイオントラップ40の質量選択的射出相の間、線形に走査されるように選択されてもよい。次いで、式4は、波形155によって例示されるように、第2のイオントラップ46のための補助AC励起周波数の走査方法を判定する手段を提供してもよい。そのような場合、第2のイオントラップの走査速度は、非線形であってもよい。時間T1およびT2の間、第2のイオントラップ46が、第1のイオントラップ40から射出されるイオンを蓄積する際、補助AC励起周波数は、式4に従って、第2のイオントラップ46に印加されるRF閉じ込め電界の振幅を考慮して、第2のイオントラップ46内の漏れ電界が、少なくとも時間T2まで、いかなる相当量のイオンの共鳴励起も生じさせないような任意の値であってもよい。しかしながら、時間T2において、第2のイオントラップ46が、イオンのMSAEを開始し得るとき、補助AC励起周波数の値は、例えば、再び式4に従って、MSAEのために制御されてもよい。RF振幅および補助AC励起周波数の両方が走査されるように、第1および第2のイオントラップ40、46が操作される際、ω、ωの走査は、異なるが、比例する走査速度V、Vを補正するための補償機能を果たすと考えられ得、本補償機能を伴わない場合、第1および第2のイオントラップ40、46の異なるイオン射出速度をもたらすであろう。再び、上述のように、遅延時間間隔は、イオンの冷却時間に対応し得る。
【0034】
次に、図2A-2Cに示されるようなRF電圧波形を使用して励起される際の第1および第2のイオントラップ40、46のイオン質量範囲の実施例を示す、図3を参照する。領域205は、時間の関数として、第1のイオントラップ40内にトラップされるイオンの質量範囲を表す。同様に、領域210は、時間の関数として、第2のイオントラップ46内にトラップされるイオンの質量範囲を表す。図3は、必ずしも正確な縮尺で描写されておらず、具象表現にすぎない。例示されるように、領域205は、下限および上限質量(それぞれ、MLowおよびMUPP)によって定義される開始質量範囲220を有する。示されるように、領域205は、垂直方向は、それぞれ、MLowおよびMUPP時の水平線206および207によって、左側は、時間T0におけるY軸によって、右側は、(T1、MLow)から(T3、MUPP)まで延在する傾斜208線によって、境界を画される。蓄積/冷却相の間、すなわち、時間T0とT1との間、第1のイオントラップ40の質量範囲は、開始質量範囲220のまま実質的に一定である。しかしながら、時間T1で開始する第1のイオントラップ40からのイオンの質量選択的走査開始に伴って、トラップされるイオンの質量範囲は、経時的に狭小し始める。波形110の振幅の走査に伴って、時間T3まで、次第により大きな質量のイオンが、第1のイオントラップ40から射出され、この時点で、イオンは、第1のイオントラップ40内に全く残留し得ない、またはごくわずかにすぎない。
【0035】
第2のイオントラップでは、第1のイオントラップ40からのイオンの走査が未だ開始されないため、初期(時間T1前)、イオンは全く存在し得ない、またはごくわずかにすぎないであろう。しかしながら、時間T1とT2との間の遅延時間間隔Δtの間、第2のイオントラップ46が、時間T2において、その操作質量範囲222に到達するまで、次第により大きな質量のイオン(すなわち、第1のイオントラップ40から射出されたイオン)が、蓄積され得る。その時点では、第2のイオントラップ46の入射および射出速度は、略同等であり得るため、第2のイオントラップ46内にトラップされるイオン質量の範囲は、実質的に一定のままであることが可能であるが、イオン質量自体は、経時的に増加し得る。時間T3までに、第1のイオントラップ40は、その中にトラップされる全部または実質的に全部のイオンを射出し、その時点で、第2のイオントラップ46内にトラップされるイオンの質量範囲は、図3に示されるように、最終的に全部または実質的に全部のイオンが、第2のイオントラップ46から射出され得るまで(時間T4において生じる)、狭小し続け得る。図3に示されるように、かつ上述から推測され得るように、領域210は、(T1、MLOW)から(T2、MLOW)まで延在する水平線206によって定義される下限を有し、(T3、MUPP)から(T4、MUPP)まで延在する水平線207によって、その上限が境界を付されている。領域210は、また、(T1、MLOW)から(T3、MUPP)まで延在する傾斜線208によって左側が境界を付され、(T2、MLOW)から(T4、MUPP)まで延在する傾斜線209によって右側が境界を付されている。
【0036】
主要RF閉じ込め電圧および/または補助AC励起周波数は、場合によって、質量選択的軸方向射出が実装されている方法に応じて、継続的または断続的に走査されてもよい。電圧が継続的に走査される場合、線形または非線形的に走査されてもよい。異なるRF/AC電圧波形が、本目的には好適である。図2A−2Cは、イオンの継続的かつ線形走査に好適であり得る、それぞれ、電圧波形110と115、120と125、および140と145のRF対を例示する。次いで、図3は、これらの印加されるRF/AC電圧のいずれかに従って、第1および第2のイオントラップ40、46の結果として得られる質量範囲を表し得る。上述のように、本発明のいくつかの実施形態の側面に従って、RF閉じ込め電圧に加え、第1および第2のイオントラップ40、46の補助AC励起周波数が、走査され得ることを理解されるであろう。図2Cの波形140、145は、それらのRF閉じ込め電圧を表し得る。また、図2Bの波形130、135によって例示されるように、場合によって、補助AC励起周波数のみ走査され得る。最後に、異なる結果として得られる質量範囲をもたらし得る、他のRF/AC電圧波形も、本発明の代替実施形態に従って、好適である可能性があることも理解されるであろう。
【0037】
再び、図2Aを参照すると、上述のように、例えば、米国特許第6,177,668号に教示されるように、質量選択的軸方向射出技術を使用して、イオンを第1および第2のイオントラップ40、46から走査可能である。タンデムMSAEとして第1および第2のイオントラップ40、46を走査するために、第1および第2のイオントラップ40、46に印加される主要RF閉じ込め電圧を並行走査可能である。特に、第2のイオントラップ46に印加されるRF電圧115は、第1のイオントラップ40に印加されるRF電圧110に実質的に対応可能であるが、ただし、第2のイオントラップ46内の質量選択的イオン射出が、遅延時間間隔Δtだけ、第1のイオントラップ40内の質量選択的イオン射出から遅れるように、遅延時間間隔Δtだけ時間遅延される。本目的のために、別個の電源を使用して、別々のRF電圧が、第1および第2のイオントラップ40、46に印加され得る。
【0038】
代替として、RF閉じ込め電圧は、図1に例示されるような1つ以上の結合コンデンサを使用して、第1および第2のイオントラップ40、46に印加可能である。質量分析計10のこれらの構成では、静電容量値は、第1および第2のイオントラップ40、46に印加されるRF閉じ込め電圧間に異なる割合を確立するように選択可能である。図2Bおよび2Cは、波形120、125および140、145の好適な対を例示する。イオンの質量範囲と質量分析計10の操作時間間隔とにわたって、結合コンデンサCa、Cbの値を選択し、第1および第2のイオントラップ40、46に印加されるRF閉じ込めおよび補助AC励起周波数を制御することによって、ある質量のイオンが、第1のイオントラップ40から放出後の遅延時間間隔に続いて、第2のイオントラップ46から射出可能である。さらに、遅延時間間隔は、第2のイオントラップ46内に蓄積されるイオンの冷却時間(同様に、イオンの特性(質量、初期エネルギー等)ならびにイオントラップの特性(容積、圧力等)に依存する)に実質的に対応するように選択可能である。遅延時間間隔は、イオンの冷却時間を上回る可能性があるが、それによって、質量分析計システムのデューティサイクルを減少させ、したがって、概して、望ましくない場合がある。
【0039】
本発明の実施形態の種々の側面は、図2A−2Cおよび3を参照して、後述される。タンデム質量分析計システムを操作する方法は、異なる時間における、質量分析計またはシステム内に含まれるイオントラップの状態を参照することによって、説明可能である。例えば、第1の時間において(T0とT1との間)、イオンは、第1のイオントラップ40内に蓄積され得る。次いで、第2の時間において(図2Aおよび3に示されるように、T1とT3との間の任意の時間において)、第1の複数のイオンが、第1のイオントラップ40から、第2のイオントラップ46内へと通過され得る。第1の複数のイオンは、第1の質量範囲内の質量を有するであろう。また、本第2の時間において、第2の複数のイオンは、第1のイオントラップ40内に留保され得る。第2の複数のイオンは、第1の質量範囲と異なる第2の質量範囲内の質量を有するであろう。次に、第2の時間後の図2Aおよび3に示されるT2とT3との間の任意の時点である、第3の時間を検討する。本第3の時間の間、第1の複数のイオンは、第2のイオントラップ46から通過され得る一方、第2の複数のイオンは、第1のイオントラップ40から、第2のイオントラップ46内へと通過され得る。
【0040】
上述の説明は、本発明の実施形態のある側面による方法を通して、3つの異なる時間で撮影される、一連の3枚のスナップショットとして捉えることが可能である。明確にするために、本説明は、図3を具体的に参照して繰り返される(第1の時間、第2の時間、および第3の時間は、それぞれ、参照番号212、214、216として指定される)。具体的には、示されるように、第1の時間212において、イオンは、第1のイオントラップ40内に蓄積している。代替として、イオンは、時間T0の前に、第1のイオントラップ内に蓄積し続け得る。次いで、第2の時間214において、上限Mによって定義される質量範囲を有する第1の複数のイオンが、第1のイオントラップ40から第2のイオントラップ46へと通過され得る一方、M直上からMまでの第2の質量範囲を有する第2の複数のイオンは、第1のイオントラップ内に留保され得る。図3に例示されるように、第2の時間214は、T1とT2との間にあるが、また、T2とT3との間にあってもよいことに留意されたい。次に、第3の時間216において、最大質量Mを有する第1の複数のイオンは、第2のイオントラップ46から射出され得る一方、M直上とMとの間の質量範囲を有する第2の複数のイオンは、第1のイオントラップ40から第2のイオントラップ46に通過され得る。
【0041】
上述の説明は、異なる時間における、本発明のある側面による方法の一連のスナップショットとして捉えることが可能である。上述のように、第2の時間214における第2のイオントラップ46内の第2の空間電荷密度と比較して、第2の時間214における第1のイオントラップ40内の第1の空間電荷密度を遥かに高く維持することは、有利となり得る。上述のように、第2の時間214が、T1に近接する場合、第1の空間電荷密度は、第2の空間電荷密度の5、10、または20倍であってもよい。当然ながら、第2の時間214のT1からT3への移動に伴って、第1および第2のイオントラップ40、46の空間電荷密度内の相対的差異も減少し得る。
【0042】
本発明の実施形態のいくつかの側面は、恐らく、一連のスナップショットを通して、より分かりやすく説明され得るが、本発明の実施形態の他の側面は、恐らく、一連のスナップショットではなく、本方法が経時的にどう作用するかを説明するためのより動的な語彙、例えば、ビデオと類似した方法を使用することによって、より分かりやすく説明される。図3に示されるように、T1とT3との間にある操作時間のための線208と209との間の変動操作質量範囲222は、線208の高さによって定義される上限を有する、第1の滑動通過時間帯の例として捉えられ得る。第1の滑動通過時間帯の上限は、MSAEのための第1のイオントラップ40に印加されるRF電圧および補助AC励起周波数に関連する。特に、式1および3に従って、所与のRF電圧レベルおよび補助AC励起周波数の場合、第1の滑動通過時間帯の上限は、そのRF電圧レベルおよび補助AC励起周波数に対して、MSAEのために、第1のイオントラップ40から十分に励起されるであろう最も重いイオン質量を定義してもよい。RF電圧レベルの走査に伴って、本発明のいくつかの実施形態の側面によると、第1の滑動通過時間帯の上限が増加する。したがって、RF電圧波形110が走査されるT1とT3との間、第1の滑動通過時間帯の上限が変化するであろう。特に、図3に示されるように、第2の時間214において、第1の滑動通過時間帯は、Mの上限を有する一方、第3の時間216において、第1の滑動通過時間帯は、Mの上限を有するであろう。他の実施形態では、第1のイオントラップ40に印加される補助AC励起周波数もまた、第1の滑動通過時間帯の上限の変化に伴って、T1とT3との間で走査される。
【0043】
同様に、第2のイオントラップ46から通過されるイオンを表す、第2の滑動通過時間帯を検討する。第1の滑動通過時間帯と同様に、傾斜線209によって表される第2の滑動通過時間帯の上限は、T2とT4との間のRF電圧波形115の走査に伴って、経時的に変化するであろう。したがって、第3の時間216まで、第2のイオントラップ46は、少なくともMの質量を有する第1の複数のイオンを留保するように動作可能であるが、しかしながら、第3の時間216において、第2の滑動通過時間帯の上限は、次に、これらのイオンが第2のイオントラップ46から射出され得るように、質量Mのイオンに到達するであろう。第1の滑動通過時間帯と同様に、本発明のいくつかの実施形態の側面によると、RF電圧波形115は、T2とT4との間で走査される一方、他の実施形態では、第2のイオントラップ46に印加される補助AC励起周波数もまた、走査される。
【0044】
図3に示されるように、第1の滑動通過時間帯によって網羅される第1の変動質量範囲および第2の滑動通過時間帯によって網羅される第2の変動質量範囲は、実質的に同一速度で、線形に走査可能である。例えば、T2からT3までの操作時間間隔にわたって、第2の滑動通過時間帯は、操作時間間隔の間の任意の操作時間における第1の変動質量範囲が、操作時間プラス遅延時間間隔Δtにおける第2の変動質量範囲に実質的に対応し得るように、図3のΔtとして示される遅延時間間隔だけ、第1の滑動通過時間帯に対して時間遅延可能である。例えば、図3に示されるように、Mを表す水平線が傾斜線208および209と交差する点は、約Δtだけ離れている。いくつかの実施形態では、示されるように、線208の傾斜によって表される第1の走査速度は、線209の傾斜によって表される第2の走査速度と実質的に同等であり得る。
【0045】
任意に、第2のイオントラップ46のための第2の空間電荷レベルが選択され、第2のイオントラップ46内にイオンを留保し、第2の空間電荷レベルを提供するための冷却時間間隔が選択可能である。その場合、遅延時間間隔Δtは、冷却時間間隔と実質的に同等であってもよい。
【0046】
上述のように、第1の走査速度は、線208の傾斜によって、図3に表され得る。本傾斜に遅延時間間隔Δtを乗じることによって、T2とT3との間の任意の時点における線208と209との間の垂直方向距離を求めることが可能である(当然ながら、傾斜208と209とは同等(言い換えると、第1のイオントラップ40と第2のイオントラップ46の走査速度とは同等)であると仮定する)。本垂直方向の差異は、当然ながら、第2のイオントラップ46の変動操作質量範囲222である。任意に、分解能を向上させ、空間電荷問題を低減するために、本変動操作質量範囲222は、開始質量範囲220と比べ、比較的小さい範囲に維持可能である。例えば、開始質量範囲220の半分未満、あるいは開始質量範囲220の5分の1または10分の1未満であり得る。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1のイオントラップと第2のイオントラップとは、容量結合可能である。いくつかのそのような実施形態では、第1のイオントラップからの第1の走査速度は、第1のイオントラップに提供される第1のRF電圧および第1の補助AC電圧を調節することによって制御可能である。次いで、容量結合の結果、第2のRF電圧を第2のイオントラップに自動的に印加可能である。再び、容量結合の結果、第1のイオントラップに印加される第1のRF電圧と、第2のイオントラップに印加される第2のRF電圧の比率は、タンデムイオントラップの操作時間にかけて、実質的に一定に維持可能である。具体的には、第1のRF電圧の第2のRF電圧に対する比率は、1つ以上の結合コンデンサの静電容量を選択することによって制御可能である。
【0048】
上述のように、第1のイオントラップからの第1の走査速度が、第2のイオントラップからの第2の走査速度と同等であることは、望ましい可能性がある。イオントラップが容量結合される実施形態において、これを提供するために、第1のイオントラップに印加される第1の補助AC電圧および第2のイオントラップに印加される第2の補助AC電圧は、第1の走査速度が第2の走査速度と実質的に同等であるように、第1のRF電圧の第2のRF電圧に対する比率に基づいて判定可能である。当然ながら、他の実施形態によると、上述のように、第1のRF電圧および第2のRF電圧は、それぞれ、第1および第2のイオントラップに別々に提供可能である。
【0049】
次に、本発明の代替実施形態による、三連四重極質量分析計システムの異なる可能な構成を例示するブロック図である、図4-7を参照する。これらの代替実施形態は、図1に例示される質量分析計システム10と同一または同様に機能する。故に、代替実施形態における差異のみ、詳細に説明する。明確にするために、図4-7に例示される代替実施形態の要素は、図1の質量分析計システム10内の同様または類似要素を指定するために使用される参照番号を用いて指定される。
【0050】
図4は、本発明の代替実施形態に従って構成される、質量分析計システム100のブロック図を例示する。質量分析計システム100は、四重極ロッドセット26および四重極間障壁28(両方とも、質量分析計システム10内に含められる)の代わりに、スキマープレート52を備える。オリフィスプレート24内の開口を通して、カーテンチャンバ23から流出するイオンは、スキマープレート52を通って、四重極ロッドセット30内へと通過する。また、質量分析計システム100は、付加的四重極間障壁50を備える。
【0051】
三連四重極質量分析計システム100は、第1のイオントラップとして作用するRF短太ロッド44および第2のイオントラップとして作用する四重極ロッドセット46を構成することによって、タンデム線形イオントラップ質量分析計として操作される。実際、付加的四重極間障壁50が、RF短太ロッド44内にDCトラップ電界を設けるための可能な構成の1つとして、質量分析計システム100内に含められる。また、補助AC電界も、四重極間障壁50に提供可能である。任意に、MSAEの該当モードが実装されている場合、印加される補助AC電界の周波数を走査可能である。そうでなければ、四重極間障壁50が、DC電位および実質的に一定補助AC励起周波数を受信可能である一方、イオンのMSAEを提供するために、RF短太ロッド44の四重極ロッドに印加される主要RF閉じ込め電圧が走査され得る。質量分析計システム100では、衝突セル40は、比較的に高圧に維持され、イオン冷却を補助可能であるが、第1および第2のイオントラップ44、46は両方とも、低圧に維持され得る。例えば、衝突セル40内の操作圧は、5x10−5Torrと20mTorrとの間に維持可能である一方、イオントラップ44、46内の操作圧は、6x10−6Torrと5x10−4Torrとの間に維持され得る。また、結合コンデンサCa、Cbは、第1および第2のイオントラップ44、46に印加されるRF閉じ込め電圧の比率を設定するための電圧分配器の一部として利用可能であって、印加される補助AC励起周波数の適切な操作とともに、本発明のいくつかの実施形態の側面に従って、第1および第2のイオントラップ44、46からイオンのタンデムMSAEを提供し得る。
【0052】
図5は、本発明の代替実施形態に従って構成される、質量分析計システム200のブロック図を例示する。質量分析計システム200は、質量分析計システム100と同様に、四重極ロッドセット26および四重極間障壁28の代わりに、スキマープレート52を備え、さらに、第1のイオントラップとして構成される四重極ロッドセット36と、第2のイオントラップとして構成される四重極ロッドセット46と、を有する。したがって、質量分析計システム200では、イオンは、第1のイオントラップ36からの射出後、かつ第2のイオントラップ46内での蓄積前に、高圧衝突セルを通過可能である。第1および第2のイオントラップ36、46は両方とも、低圧に維持可能である。また、質量分析計システム200の構成では、例示されるように、その間に容量結合が提供されないため、RF閉じ込め電圧は、第1および第2のイオントラップ36、46に別々に供給可能であることに留意されたい。当然ながら、質量分析計200システムは、他の実施形態では、第1と第2のイオントラップ36、46との間に容量結合を提供するように再構成可能である。
【0053】
図6は、本発明の代替実施形態に従って構成される、質量分析計システム300のブロック図を例示する。質量分析計システム300は、質量分析計システム100および200と同様に、四重極ロッドセット26ならびに四重極間障壁28の代わりに、スキマープレート52を備え、さらに、第1のイオントラップとして構成される四重極ロッドセット30と、第2のイオントラップとして構成される四重極ロッドセット36と、を有する。次に、コンデンサCaは、第1および第2のイオントラップ30、36を結合する一方、コンデンサCbは、同様に、RF短太ロッド34および第2のイオントラップ36を結合する。したがって、質量分析計システム300は、容量結合および1つ以上の電圧源(図示せず)を使用して、第1および第2のイオントラップ36、46に提供されるRF閉じ込め電圧を有するように構成される。
【0054】
図7は、本発明の代替実施形態に従って構成される、質量分析計システム400のブロック図を例示する。質量分析計システム400は、第2のイオントラップ36から質量選択的に射出されるイオンを検出するために使用される検出方法の観点において、質量分析計システム300と異なる。特に、質量分析計システム400は、当業者には周知のように、イオンを検出および区別するために使用可能な直交飛行時間質量分析計54を備える。
【0055】
本発明の他の変形例および修正例も可能である。例えば、四重極以外の多重極を使用して、本発明の異なる側面を実装可能である。さらに、上述のものに加え、質量分析計またはイオントラップ構成もまた、本発明の異なる側面を実装するために使用可能である。例えば、質量選択的軸方向射出イオンの代わりに、ある線形イオントラップから別のイオントラップへと、半径方向に射出可能である。半径方向射出は、第US05420425B1号によって説明されるように、主要RF極からロッドの1つを通して、または第US06770871B1号によって説明されるように、主要RF極間に介在される補助ロッド内のスロットを通して、実行可能である。加えて、上述のもの以外の質量選択的軸方向射出の技術もまた、採用可能である(すなわち、第US5783824号、第WO7072038A2号、第US2007045533号、および第US07084398B2号)。高から低質量へとイオンが第1のトラップから射出される最後に記載の技術の場合、第2のトラップは、高から低質量へと走査可能である。あらゆるそのような修正例および変形例は、請求項によって定義される本発明の領域および範囲内にあると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のイオントラップと、第2のイオントラップとを有する、タンデム質量分析計システムを操作する方法であって、該方法は、
a)第1の時間において、該第1のイオントラップ内にイオンを蓄積することと、
b)第2の時間において、第1の複数のイオンを該第1のイオントラップから該第2のイオントラップ内へと通過させることであって、該第1の複数のイオンは、第1の質量範囲内の質量を有する、ことと、
c)該第2の時間において、該第1のイオントラップ内に第2の複数のイオンを留保することであって、該第2の複数のイオンは、該第1の質量範囲と異なる第2の質量範囲内の質量を有する、ことと、
d)第3の時間において、該第1の複数のイオンを該第2のイオントラップから通過させることと、
e)該第3の時間において、該第2の複数のイオンを該第1のイオントラップから該第2のイオントラップ内へと通過させることと
を備える、方法。
【請求項2】
(b)および(e)は、第1の滑動通過時間帯の間、前記第1のイオントラップから前記第2のイオントラップ内へとイオンを通過させることを含み、該第1の滑動通過時間帯の間に通過させられる該イオンは、第1の変動質量範囲内の質量を有し、該第1の変動質量範囲は、異なる操作時間における異なる質量範囲に対応することによって、該第1の変動質量範囲は、該第2の時間における該第1の質量範囲と、該第3の時間における該第2の質量範囲とに対応し、
(d)は、第2の滑動通過時間帯の間、該第2のイオントラップからイオンを通過させることを含み、該第2の滑動通過時間帯の間に通過させられるイオンは、第2の変動質量範囲内の質量を有し、該第2の変動質量範囲は、異なる操作時間における異なる質量範囲に対応することによって、該第2の変動質量範囲は、該第3の時間における該第1の質量範囲に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
操作時間間隔にわたって、操作質量範囲にわたる、前記第1の変動質量範囲と、前記第2の変動質量範囲とを走査することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記操作時間間隔にわたって、前記第2の滑動通過時間帯は、遅延時間間隔だけ、前記第1の滑動通過時間帯に対して時間遅延されることによって、任意の操作時間における前記第1の変動質量範囲は、前記操作時間プラス前記遅延時間間隔における前記第2の変動質量範囲に実質的に対応する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記操作時間間隔にわたって、前記第2の滑動通過時間帯は、遅延時間間隔だけ、前記第1の滑動通過時間帯に対して時間遅延されることによって、任意の操作時間における前記第1の変動質量範囲は、前記操作時間プラス前記遅延時間間隔における前記第2の変動質量範囲と同等である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の変動質量範囲は、第1の走査速度において変更され、前記第2の変動質量範囲は、第2の走査速度において変更され、該第1の走査速度と該第2の走査速度とは、実質的に同等である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のイオントラップに提供される第1のRF電圧を使用して、前記第1の走査速度を制御することと、前記第2のイオントラップに提供される第2のRF電圧を使用して、前記第2の走査速度を制御することとを含むことによって、前記操作時間の間、任意の操作時間における該第1のRF電圧は、該操作時間プラス前記遅延時間間隔における該第2のRF電圧に実質的に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のRF電圧および第2のRF電圧は、前記第1のイオントラップおよび第2のイオントラップに別々に提供される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のイオントラップに提供される第1のRF電圧および第1の補助AC電圧を使用して、前記第1の走査速度を制御することと、前記第2のイオントラップに提供される第2のRF電圧および第2の補助AC電圧を使用して、前記第2の走査速度を制御することとを備えることによって、前記操作時間の間、該第1のRF電圧の該第2のRF電圧に対する第2の複数のイオンを比率は、実質的に一定である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のイオントラップおよび第2のイオントラップは、1つ以上の結合コンデンサを使用して、容量結合され、前記第1のRF電圧の前記第2のRF電圧に対する比率は、該1つ以上の結合コンデンサの静電容量を選択することによって制御される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の補助AC電圧および前記第2の補助AC電圧は、前記第1のRF電圧の前記第2のRF電圧に対する比率に基づいて決定されることによって、前記第1の走査速度は、前記第2の走査速度と実質的に同等である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のRF電圧および第2のRF電圧は、前記第1のイオントラップおよび第2のイオントラップに別々に提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のイオントラップのための第2の空間電荷レベルを選択することと、次いで、該第2のイオントラップ内にイオンを留保し、前記空間電荷レベルを提供するための冷却時間間隔を判定することとをさらに備え、前記遅延時間間隔は、前記冷却時間間隔と実質的に同等である、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のイオントラップは、第1の空間電荷で動作し、前記第2のイオントラップは、第2の空間電荷で動作し、該第1の空間電荷は、該第2の空間電荷より高い電荷である、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
第1の分解能で前記第1のイオントラップからイオンを射出することと、第2の分解能で前記第2のイオントラップから射出されるイオンを検出することとを含む、該第2の分解能は、該第1の分解能より高い、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のイオントラップ内のイオンは、開始質量範囲を有し、
前記第2のイオントラップ内のイオンは、変動操作質量範囲を有し、前記遅延時間間隔後の任意の操作時間における前記変動操作質量範囲は、該遅延時間間隔を乗じられた前記第1の走査速度と実質的に同等であり、
該変動操作質量範囲は、該開始質量範囲の半分未満である、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記変動操作質量範囲は、前記開始質量範囲の5分の1未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記変動操作質量範囲は、前記開始質量範囲の10分の1未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のイオントラップは、前記第2の時間において、第1の空間電荷密度で動作し、
前記第2のイオントラップは、該第2の時間において、第2の空間電荷密度で動作し、
該第1の空間電荷密度は、該第2の空間電荷密度の少なくとも5倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の空間電荷密度は、前記第2の空間電荷密度の少なくとも10倍である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−523172(P2011−523172A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511950(P2011−511950)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000805
【国際公開番号】WO2009/149546
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510075457)ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド (35)
【Fターム(参考)】