説明

タンパク質キナーゼ阻害剤としての化合物および組成物

本発明は、新規クラスの化合物、このような化合物を含む医薬組成物、ならびに異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性が関連する疾患または障害、特にFAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2およびc−Metキナーゼの異常な活性化が関与する疾患または障害の処置のためにこのような化合物を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互参照
本発明は、2004年2月14日出願の米国特許仮出願60/544,944に対する優先権の利益を主張する。この出願の全部の記載は、引用により、その全体として、かつ全ての目的に関して、本出願に包含される。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、新規クラスの化合物、このような化合物を含む医薬組成物、ならびに異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性が関連する疾患または障害、特にFAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2およびc−Metキナーゼの異常な活性化が関与する疾患または障害の処置のためにこのような化合物を使用する方法を提供する。
【0003】
背景
タンパク質キナーゼは、広範囲の細胞過程の制御に中心的役割を有し、そして細胞機能の制御を維持する、タンパク質の大ファミリーを示す。これらのキナーゼの部分的、非限定的リストは下記を含む:血小板由来増殖因子受容体キナーゼ(PDGF−R)、幹細胞因子のための受容体キナーゼ、c−kit、神経増殖因子受容体、trkB、c−Met、および繊維芽細胞増殖因子受容体、FGFR3のような受容体チロシンキナーゼ;Ablおよび融合キナーゼBCR−Abl、局所接着キナーゼ(FAK)、Fes、LckおよびSykのような非受容体チロシンキナーゼ;ならびにb−RAF、MAPキナーゼ(例えば、MKK6)およびSAPK2βのようなセリン/スレオニンキナーゼ。異常なキナーゼ活性が良性および悪性増殖性疾患ならびに免疫系および神経系の不適切な活性化に起因する疾患を含む多くの疾患状態で観察されている。
【0004】
本発明の新規化合物は、1個以上のタンパク質キナーゼの活性を阻害し、従って、キナーゼ関連疾患の処置に有用であるであることが予測される。
【0005】
発明の概要
第一の局面において、本発明は、式Ia、Ib、Ic、IdおよびIe:
【化1】

〔式中:
nは0、1および2から選択され;mは0、1、2および3から選択され;
wは−NR−、−S−、−O−、−S(O)−および−S(O)−から選択され;ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;
はC6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−XNR、−XNRXNR、−XNRXOR、−XOR、−XSR、−XS(O)R、−XS(O)、−XC(O)NR、−XOXRおよび−XC(O)Rから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;Rは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;そしてRは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル置換基は、さらにC1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから独立して選択される1個から5個のラジカルで置換されていてよく;
【0006】
はC6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、C3−8ヘテロアリールC0−4アルキル、−XNR、−XOR、−XSR、−XS(O)R、−XS(O)、−XSNR、−XS(O)NR、−XS(O)NR、−XC(O)OR、−XOC(O)R、−XC(O)R、−XC(O)NRXNR、−XC(O)NR、−XC(O)NRXC(O)OR、−XC(O)NRXNRC(O)R、−XC(O)NRXNRC(O)OR、−XC(O)NRXOR、−XC(O)N(XOR)、−XNRC(O)R、−XC(O)NR、−XC(O)R、−XR、−XRおよび−XC(O)NRXRから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;Rは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてRはシアノであり;
【0007】
はハロ、ヒドロキシ、−XSR、−XS(O)R、−XS(O)、−XC(O)Rおよび−XC(O)ORから選択され;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択される。〕
の化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物;およびこのような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)から選択される化合物を提供する。
【0008】
第二の局面において、本発明は、式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物;またはその薬学的に許容される塩を、1個以上の適当な賦形剤と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0009】
第三の局面において、本発明は、動物におけるキナーゼ活性、特にFAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2および/またはc−Met活性の阻害により、疾患の病状および/または総体的症状を予防、阻止または軽減できるものである疾患の処置法であって、該動物に治療的有効量の式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
第四の局面において、本発明は、動物におけるキナーゼ活性、特にFAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2および/またはc−Met活性、が疾患の病状および/または総体的症状に関与する疾患の処置用医薬の製造における、式Iの化合物の使用を提供する。
【0011】
第五の局面において、本発明は、式Iの化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物、ならびにその薬学的に許容される塩の製造法を提供する。
【0012】
発明の詳細な記載
定義
基ならびに他の基、例えばハロ−置換−アルキルおよびアルコキシの構成要素としての“アルキル”は、直鎖または分枝鎖のいずれかであり得る。C1−4−アルコキシは、メトキシ、エトキシなどを含む。ハロ−置換アルキルは、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどを含む。
【0013】
“アリール”は、6個から10個の環炭素原子を含む、単環式または縮合二環式芳香環集合体を意味する。例えば、アリールは、フェニルまたはナフチルであってよく、好ましくはフェニルである。“アリーレン”は、アリール基由来の2価ラジカルを意味する。“ヘテロアリール”は、アリールについて定義の通りであり、ここで、環員の1個以上がヘテロ原子である。例えばヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含む。
【0014】
“シクロアルキル”は、示す環原子数を含む、飽和または部分的不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環集合体である。例えば、C3−10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを意味する。“ヘテロシクロアルキル”は、示す環炭素の1個以上が−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)−(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基である)から選択される部分で置換されている以外、本明細書で定義の通りのシクロアルキルである。例えば、本発明の化合物を記載するために本明細書で使用するC3−8ヘテロシクロアルキルは、モルホリノ、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イル、1,1−ジオキソ−1l6−チオモルホリン−4−イルなど。
【0015】
“ハロゲン”(またはハロ)は、好ましくはクロロまたはフルオロを意味するが、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0016】
“処置”、“処置する”および“処置し”は、疾患および/またはその随伴症状の軽減もしくは減退法を意味する。
【0017】
好ましい態様の記載
本発明の化合物は、キナーゼの阻害に有用であり、発明の概要に詳述の通り式Iの化合物により説明される。一つの態様において、式Ia、Ib、Ic、IdおよびIeの化合物に関して、Wは−NR−および−O−から選択され;ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択される。
【0018】
さらなる態様において、RはC6−10アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、C5−10ヘテロアリール、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、−XNR、−XOR、−XSR、−XNRXNR、−XNRXOR、−XC(O)NR、−XOXRおよび−XC(O)Rから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;Rは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;そしてRは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のヘテロアリール置換基は、さらに所望により1個から5個のC1−6アルキルラジカルで置換されていてよい。
【0019】
さらなる態様において、RがC6−10アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、C3−8ヘテロアリールC0−4アルキル、−XNR、−XOR、−XSR、−XS(O)NR、−XC(O)OR、−XOC(O)R、−XC(O)NRXNR、−XC(O)NRXC(O)OR、−XC(O)NRXNRC(O)R、−XC(O)NRXNRC(O)OR、−XC(O)NRXOR、−XC(O)N(XOR)、−XNRC(O)R、−XC(O)NR、−XC(O)R、−XR、−XRおよび−XC(O)NRXRから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;Rは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてRはシアノである。
【0020】
さらなる態様において、Rはハロ、ヒドロキシ、−XC(O)Rおよび−XC(O)ORから選択され;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択される。
【0021】
さらなる態様において、Wは−NH−および−O−から選択され;そしてRはフェニル、ベンジル、5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、1H−インダゾル−7−イル、インダン−4−イルおよび1H−インドリルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルは、所望によりメトキシ、メチル、アミノ、ハロ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ、キノキサリニル、エチル、ピリジニル、メトキシ−フェニル、ピペラジニル−カルボニル、エチル−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ、ホルムアミル(formamyl)、イソプロピル、メチル−スルファニル、トリ−フルオロ−メチル、エトキシ、3−イソプロピルアミノ−プロピルアミノ、ジメチル−アミノ、モルホリノ、シクロプロピル−メトキシ、ブトキシ、シクロヘプチル−オキシおよび1,4,5,7−テトラメチル−ピロロ[3,4−d]ピリダジニルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよい。
【0022】
さらなる態様において、Rはピリジニル、フェニル、チアゾリル、ピリジニル−メチル、ピリジニル−エチル、チオフェニル、ベンジル、キノリニル、7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレニル、ナフチルおよびピリミジニルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、メチル、プロピル−スルファモイル、メチル−スルファモイル、メトキシ、メチル−カルボキシ、2−ジメチルアミノ−エチル−ホルムアミル、カルボキシ、アミノ、シアノ−エチル、シアノ−メチル、エテニル、トリ−フルオロ−メチル、ヒドロキシ−メチル、エチル、メチル−スルファニル、ブチル、イソブチル、カルボキシ−メチル−ホルムアミジル、1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジル、カルボキシ−エチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−ブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル−メチル、2−(2−ジメチルアミノ−エチルカルバモイル)−エチル、2−(2−ジメチルアミノ−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−エチル−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−プロピル−ホルムアミジル)−エチル、2−(プロピル−ホルムアミジル)−エチル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、2−(メチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、2−(エチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、モルホリノ−エチル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−メチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、シクロブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル−メチル、ジメチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、N,N−ビス−(3−ヒドロキシ−プロピル)−ホルムアミジル、シクロペンチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル−メチル、シクロペンチル−ホルムアミジル−メチル、シアノ−エチル−ホルムアミジル、シアノ−メチル−ホルムアミジル、ピロリジニル−エチル−ホルムアミジル、2−(イソブチル−ホルムアミジル)−エチル、1H−テトラゾリル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、2−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、アセチル−アミノ、シクロプロピル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル、プロピル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、1−メチル−ピペリジン−4−イル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−エチル、メトキシ−カルボニル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル−メチル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル、1−ホルミル−ピロリジン−2−イル−カルボン酸、(1−カルボキシ−3−メチル−ブチル)−ホルムアミジル、2−(メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル)−エチル、1−カルボキシ−(2,2−ジメチル−プロピル)−ホルムアミジル、3−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、アセトキシ−メチルおよび1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよい。
【0023】
さらなる態様において、nが0または1であり;mが0または1であり;そしてRがハロ、ヒドロキシ、−C(O)OHおよび−C(O)OCHから選択される。
他の態様は、式Ig:
【化2】

〔式中、
はピリジニル、フェニル、チアゾリル、ピリジニル−メチル、ピリジニル−エチル、チオフェニル、ベンジル、キノリニル、7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレニル、ナフチルおよびピリミジニルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、メチル、プロピル−スルファモイル、メチル−スルファモイル、メトキシ、メチル−カルボキシ、2−ジメチルアミノ−エチル−ホルムアミル、カルボキシ、アミノ、シアノ−エチル、シアノ−メチル、エテニル、トリ−フルオロ−メチル、ヒドロキシ−メチル、エチル、メチル−スルファニル、ブチル、イソブチル、カルボキシ−メチル−ホルムアミジル、1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジル、カルボキシ−エチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−ブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル−メチル、2−(2−ジメチルアミノ−エチルカルバモイル)−エチル、2−(2−ジメチルアミノ−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−エチル−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−プロピル−ホルムアミジル)−エチル、2−(プロピル−ホルムアミジル)−エチル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、2−(メチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、2−(エチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、モルホリノ−エチル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−メチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、シクロブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル−メチル、ジメチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、N,N−ビス−(3−ヒドロキシ−プロピル)−ホルムアミジル、シクロペンチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル−メチル、シクロペンチル−ホルムアミジル−メチル、シアノ−エチル−ホルムアミジル、シアノ−メチル−ホルムアミジル、ピロリジニル−エチル−ホルムアミジル、2−(イソブチル−ホルムアミジル)−エチル、1H−テトラゾリル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、2−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、アセチル−アミノ、シクロプロピル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル、プロピル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、1−メチル−ピペリジン−4−イル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−エチル、メトキシ−カルボニル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル−メチル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル、1−ホルミル−ピロリジン−2−イル−カルボン酸、(1−カルボキシ−3−メチル−ブチル)−ホルムアミジル、2−(メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル)−エチル、1−カルボキシ−(2,2−ジメチル−プロピル)−ホルムアミジル、3−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、アセトキシ−メチルおよび1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよい。〕
の化合物である。
【0024】
好ましい式Iの化合物は、下記実施例および表Iに詳述する。
【0025】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、タンパク質チロシンキナーゼの活性を調節し、それ自体、タンパク質チロシンキナーゼ、特にFAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2およびc−Metキナーゼが疾患の病状および/または総体的症状に関与する疾患または状態の処置に有用である。
【0026】
非受容体タンパク質−チロシンキナーゼである局所接着キナーゼ(FAK)は、シグナル伝達タンパク質の細胞骨格関連ネットワークの一部として機能する、細胞基層−細胞外マトリックス(ECM)接触部位に局在する(Schlaepfer, et al., Prog. Diophys., Mol., 1999, 71, 435-478)。接着細胞において、FAKは、しばしば接着斑でインテグリンと結合する(Schlaepfer, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1992, 89, 5192-5196)。FAKのリン酸化は、マイトージェン−活性タンパク質キナーゼ経路の活性化をもたらす。FAKの過剰発現は、癌進行に関与する。高レベルのFAKは、結腸腫瘍(Weiner, T.M., et al., Lancet, 1993, 342, 1024-1025)、乳房腫瘍(Owens, L.V., et al., Cancer Res., 1995, 55, 2752-2755)および口腔癌(Kornberg, L. J., Head Neck, 1998, 20, 634-639)の侵襲性および転移能と相関する。細胞移動におけるFAKの役割は、胚発生機能障害および血管新生疾患のような他の疾患と関連している可能性があるとの推測に至っている(Kornberg, L. J., Head Neck, 1998, 20, 634-639)。
【0027】
Abelsonチロシンキナーゼ(すなわちAbl、c−Abl)は、細胞サイクルの制御、遺伝毒性ストレスに対する細胞応答、およびインテグリンシグナル伝達を介した細胞環境に関する情報の伝達に関与する。全体として、Ablタンパク質は、様々な細胞外および細胞内供給源からのシグナルを統合する、そして細胞サイクルおよびアポトーシスに関する決定に影響する細胞モジュールとしての複合的役割を果たす。Abelsonチロシンキナーゼは、脱制御されたチロシンキナーゼ活性を有するキメラ融合体(腫瘍性タンパク質)BCR−Ablまたはv−Ablのようなサブタイプ誘導体を含む。BCR−Ablは、95%の慢性骨髄性白血病(CML)および10%の急性リンパ性白血病で決定的である。STI−571(Gleevec)は、発癌性BCR−Ablチロシンキナーゼの阻害剤であり、慢性骨髄性白血病(CML)の処置に使用されている。しかしながら、CMLの急性転化期のある患者は、BCR−Ablキナーゼにおける変異のために、STI−571に耐性である。22を超える変異が今日まで報告されており、最も一般的なものはG250E、E255V、T315I、F317LおよびM351Tである。
【0028】
本発明の化合物は、ablキナーゼ、とりわけv−ablキナーゼを阻害する。本発明の化合物はまた野生型BCR−AblキナーゼおよびBCR−Ablキナーゼの変異体も阻害し、故に白血病(とりわけアポトーシス機構の作用が見られる、とりわけ慢性骨髄性白血病および急性リンパ芽球性白血病)のようなBcr−abl−陽性癌および腫瘍疾患の処置に適し、また白血病幹細胞のサブグループに対する効果を示し、そして、該細胞の除去(例えば、骨髄除去)後のこれらの細胞の精製および癌細胞から浄化された後の該再簿の再移植(例えば、精製骨髄細胞)の可能性を示す。
【0029】
PDGF(血小板由来増殖因子)は、正常増殖およびまた、発癌および血管平滑筋細胞の疾患、例えばアテローム性動脈硬化症および血栓症において見られるような病的細胞増殖の両方に重要な役割を有する、非常に一般手金依存剤する増殖因子である。本発明の化合物は、PDGF受容体(PDGFR)活性を阻害でき、従って、神経膠腫、肉腫、前立腺腫瘍、ならびに結腸、乳房および卵巣の腫瘍のような腫瘍疾患の処置に適している。
【0030】
本発明の化合物は、例えば小細胞肺癌において、腫瘍阻害物質として使用できるだけでなく、アテローム性動脈硬化症、血栓症、乾癬、強皮症および線維症のような非悪性増殖性疾患の処置のための、ならびに、例えば5−フルオロウラシルのような化学療法剤の血液毒性と戦うための幹細胞の保護のための、および喘息における薬剤として使用できる。本発明の化合物は、とりわけPDGF受容体キナーゼの阻害に応答する疾患の処置に使用できる。
【0031】
本発明の化合物は移植、例えば、同種移植の結果として発生する疾患、とりわけ閉塞性細気管支炎(OB)、すなわち同種肺移植の慢性拒絶反応のような、とりわけ組織拒絶反応の処置に用得様な効果を示す。OBを有さない患者と比較して、OBを有する者は、しばしば気管支肺胞洗浄液中のPDGF濃度の上昇を示す。
【0032】
本発明の化合物はまた、再狭窄およびアテローム性動脈硬化症のような、血管平滑筋細胞遊走および増殖(PDGFおよびPDGF−Rがまたしばしば役割を有する)と関連する疾患に有効である。血管平滑筋細胞のインビトロおよびインビボでの増殖または遊走に対するこれらの効果およびその結果は、本発明の化合物の投与により、およびまたインビボでの機械的傷害後の血管内膜の肥厚に対するその効果の研究により、証明できる。
【0033】
本発明の化合物はまた、幹細胞因子(SCF、c−kitリガンドまたはスチール因子としても既知)を含む細胞過程を阻害し、例えば、SCF受容体(kit)自己リン酸化およびMAPKキナーゼ(マイトージェン−活性タンパク質キナーゼ)のSCF刺激活性化を阻害する。MO7e細胞は、増殖をSCFに依存するヒト前巨核球白血病細胞系である。本発明の化合物は、SCF受容体の自己リン酸化を阻害できる。
【0034】
Ras−Raf−MEK−ERKシグナル伝達経路は、増殖シグナルに対する細胞応答を介在する。Rasは、ヒト癌の〜15%で発癌性形態に変異している。Rafファミリーは、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼに属し、3個のメンバー、A−Raf、B−Rafおよびc−Raf(またはRaf−1)を含む。薬剤標的としてのRafに対する焦点は、Rasの下流エフェクターとしてのRafの関係に絞られている。しかしながら、最近のデータは、B−Rafが活性化Ras対立遺伝子の必要性なしに腫瘍形成において顕著な役割を有し得ることを示唆する(Nature 417, 949-954(01 Jul 2002))。特に、B−Raf変異は、悪性黒色腫の大部分で検出されている。
【0035】
黒色腫に対する既存の薬剤はその効果が、とりわけ後期黒色腫に対しては限定的である。本発明の化合物はまた、b−Rafキナーゼが関与する細胞過程を阻害し、ヒト癌、とりわけ黒色腫の処置のための新しい治療の機会を提供する。
【0036】
本発明の化合物はまた、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)およびNPM−ALKの融合タンパク質のチロシンキナーゼ活性の強力な阻害を示す。このタンパク質チロシンキナーゼは、ヌクレオフォスミン(NPM)と未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の遺伝子の融合に起因し、タンパク質チロシンキナーゼ活性をALKリガンド非依存的とする。NPM−ALKは、多くの造血および他のヒト細胞におけるシグナル伝達において重要な役割を有し、血液学的および新生物疾患、例えば未分化大細胞リンパ腫(ALCL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)、特にALK+NHLまたはAlkoma、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)および神経芽腫に至る(Duyster, J. et al., 2001, Oncogene 20, 5623-5637)。NPM−ALKに加えて、他の遺伝子融合がヒト血液学的および新生物疾患で同定されている;主にTPM3−ALK(非筋肉トロポミオシンとALKの融合)である。ALKチロシンキナーゼ活性の阻害は、既知の方法を使用して、例えばJ. Wood et al. Cancer Res. 60, 2178-2189(2000)に記載のVEGF−Rキナーゼアッセイに準じて、ALKの組み換えキナーゼドメインを使用して、証明できる。
【0037】
Flt3は、タイプIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーである。Flt3(fms様チロシンキナーゼ)はまたFLk−2(胎児肝臓キナーゼ2)としても既知である。Flt3遺伝子の異常な発現が、急性骨髄性白血病(AML)、3血球系骨髄異形成を伴うAML(AML/TMDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、および骨髄異形成症候群(MDS)を含む成人および小児白血病の両方で証明されている。Flt3受容体の活性化変異は、急性骨髄芽球性白血病(AML)の患者の約35%で見られており、悪い予後と関連する。最も一般的な変異は、膜近傍ドメイン内のフレーム内二量体化を含み、さらに5−10%の患者がアスパラギン835の変異も有する。これらの変異の両方とも、Flt3のチロシンキナーゼ活性の構成的活性化に関連し、リガンド非存在下での増殖およびバイアビリティーシグナルをもたらす。該受容体の変異形態を発現する患者は、治癒の機会が少ないことが示されている。故に、ヒト白血病および骨髄異形成症候群における過活性化(変異)Flt3キナーゼ活性の役割の証拠が蓄積してきている。これは、出願人に、現在の薬剤治療がほとんど有用性がない、および、既存の薬剤治療および/または幹細胞移植治療に以前失敗している、これらの患者における可能性のある治療的アプローチとしてFlt3受容体の阻害剤を探索することを促す。
【0038】
白血病は、一般に、骨髄、リンパ節、脾臓、または血液系および免疫液の他の臓器における未成熟造血細胞のDNAの後天的(遺伝的ではない)遺伝子傷害に由来する。その影響は:加速された増殖および細胞成熟の遮断であり、正常血液細胞として機能しない“白血病性芽球”と呼ばれる細胞の蓄積をもたらす;そして正常骨髄細胞の産生ができず、赤血球細胞(貧血)、血小板および正常白血球細胞の欠損に至る。芽球細胞は通常骨髄により産生され、通常成熟血液細胞へと発育し、全骨髄細胞の約1%を構成する。白血病において、芽球は適切に成熟せず、骨髄中に蓄積する。急性骨髄性白血病(AML)において、これらは、骨髄芽球と呼ばれ、一方で急性リンパ芽球性白血病(ALL)において、それらはリンパ芽球として知られている。他の白血病は、混合系統白血病(MLL)である。
【0039】
“3血球系骨髄異形成を伴うAML(AML/TMDS)”なる用語は、急性白血病に附随する造血不全性像、導入された化学療法に対する乏しい応答、および純粋骨髄異形成症候群で再発する傾向により特徴付けられる白血病の稀な形態に関する。
【0040】
“骨髄異形成症候群(MDS)”なる用語は、骨髄が正常に機能することを止め、健康な血液細胞の数が不足する、血液疾患のグループに関する。一つの型の血液細胞が大量に産生される白血病と比較して、MDSでは、何れかのおよびときどき全て型の血液細胞が影響を受ける。米国では少なくとも毎年新しく10,000症例が起こっている。MDSと診断された患者の1/3までが、急性骨髄性白血病を発症するようになる。この理由のために、本疾患はしばしば前白血病と呼ばれる。骨髄異形成症候群はまた、ときどき、骨髄異形成骨髄形成不全(dysmyelopoiesis)または乏芽球性(oligoblastic)白血病と呼ばれる。MDSはまた、多数の芽球細胞が骨髄に残っているとき、くすぶり型(smoldering)白血病とも呼ばれる。
【0041】
骨髄異形成症候群は、白血病と同様、骨髄における単一細胞のDNAの遺伝的傷害に由来する。ある種の染色体異常がMDS患者に存在する。これらの異常は、1個の染色体が破壊され、異なる染色体の破壊された部分に結合するようになるときに起こる、いわゆる転座である。同じ欠陥が、急性骨髄性白血病での頻繁に見られる。しかしながら、MDSは、患者の血液細胞の全てが異常であり、全て同じ傷害された幹細胞に由来するため、白血病と異なる。白血病患者において、骨髄は、疾患および健常血液細胞の混合物を含む。
【0042】
AMLおよび進行した骨髄異形成症候群は、現在、シトシンアラビノシドおよびダウノルビシンのような高用量の細胞毒性化学療法剤で処置されている。このタイプの処置は、約70%の患者に血液学的緩解をもたらす。しかしながら、緩解した患者の半分以上が、長時間にわたる化学療法剤の投与にもかかわらず、後に再発する。最初に緩解しなかったか、緩解後に再発した患者のほとんど全てが、最終的に白血病のために死亡する。骨髄移植は、該処置を受けた患者の50−60%までを治癒できるが、AMLまたはMDSの患者の約1/3しか移植に適格でない。新規のおよび有効な薬剤が、標準治療での緩解に失敗した患者、後に再発した患者および幹細胞移植に適格ではない患者を処置するために、緊急に必要である。さらに、有効な新規薬剤を、全患者について導入された化学療法の改善をもたらすであろうとの合理的な期待を持って、標準療法に加え得る。
【0043】
前記によって、本発明はさらに、このような処置を必要とする対象における、上記の疾患または傷害の何れかを予防または処置する方法であって、該対象に治療的有効量(下記“投与および医薬組成物”参照)の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。上記の使用の全てについて、必要な投与量は投与の形態、処置すべき具体的状態および所望の効果に依存して変化するであろう。
【0044】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、治療的有効量で、当分野で既知の通常のおよび許容される形態を介して、単独でまたは1個以上の治療剤と組み合わせて投与されるであろう。治療的有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態、使用する化合物の効力および他の因子に依存して、広範囲に変化し得る。一般に、一般に、十分な結果が、約0.03から2.5mg/体重kgの1日の投与量で全身的に得られることが示される。大型哺乳類、例えばヒトにおける指示される1日量は、約0.5mgから約100mであり、簡便には、例えば、1日4回までの分割量で、または持続形態で投与する。経口投与用の適当な単位投与形態は、約1から50mg活性成分を含む。
【0045】
本発明の化合物は、医薬組成物として任意の慣用の経路で、特に経腸的に、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセルの形で、または非経腸的に、例えば、注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏またはクリームの形で、または鼻腔内にまたは坐薬形態で投与できる。遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を少なくとも1個の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、混合、造粒またはコーティング法による、慣用の方法で製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む、錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射用組成物は、水性等張性溶液または懸濁液であり得て、坐薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造できる。該組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらはまた他の治療的に価値ある物質を含み得る。経皮適用のための適当な製剤は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。担体は、宿主の皮膚を介した通過を助けるための、吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により、化合物を宿主の皮膚に長時間にわたる制御されかつ予定された速度で送達するための速度制御バリア、および該デバイスを皮膚に固定するための手段を含むバンデージの形である。マトリックス経皮製剤も使用できる。例えば、皮膚および眼への、適当な局所投与用製剤は、好ましくは当分野で既知の水性溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これらは可溶化剤、安定化剤、張性促進剤、緩衝剤および防腐剤を含み得る。
【0046】
本発明の化合物は、治療的有効量で1個以上の治療剤と組み合わせて投与できる(医薬組み合わせ剤)。例えば、他の免疫調節性物質、抗炎症性物質または上記疾患の処置に使用される全ての物質と組み合わせたときに、例えばシクロスポリン、ラパマイシン、またはアスコマイシン、またはそれらの免疫抑制性類似体、例えばシクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG、FK−506、ラパマイシン、または同等な化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ブレキナール、レフルノミド、ミゾルビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、免疫抑制抗体、とりわけ白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体、またはCTLA41gのような他の免疫抑制性化合物と組み合わせて使用したとき、相乗効果が発生し得る。本発明の化合物を他の治療剤と組み合わせて投与するとき、併用投与する化合物の投与量は、もちろん、用いる併用剤のタイプ、用いる具体的薬剤、処置すべき状態などに依存して変化するであろう。
【0047】
本発明はまた、a)遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物である、第一剤、およびb)少なくとも1個の併用剤を含む、医薬組み合わせ剤、例えばキットを提供する。該キットはその投与のための指示書を含んでよい。
【0048】
本明細書で使用されている“併用投与”または“組み合わせ”などの用語は、選択した治療剤の単独の患者への投与を包含することを意味し、薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを包含することを意図する。
【0049】
本明細書で使用する“医薬組み合わせ剤”は、1個を超える活性成分の混合または組み合わせに由来する製品を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されてない組み合わせの両方を含む。“固定された組み合わせ”なる用語は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤を、両方とも患者に同時に一つの物または投薬の形態で投与することを意味する。“固定されていない組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤を、両方とも、患者に別々の物として、同時に、一緒にまたは具体的な時間制限なしに連続的に投与することを意味し、ここで、このような投与は患者体内で2個の化合物治療的に有効なレベルを提供する。後者はまたカクテル療法、例えば、3種以上の活性成分の投与に適用される。
【0050】
本発明の化合物の製造法
本発明はまた本発明の化合物の製造法を含む。記載の反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を、これらが最終生成物において望まれるとき、反応への望まない参加を避けるために、保護する必要があるかもしれない。慣用の保護基を標準実務に従い使用でき、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照のこと。
【0051】
Wが−NR−である式Iの化合物は、下記反応スキームIにおける通りに進行して、製造できる:
【化3】

【0052】
〔式中、R、R、R、Rおよびnは、式Iについて発明の概要で定義した通りであり、そしてYはハロゲン(例えばクロロなど)のような脱離基である。〕。式Iaの化合物は、式2の化合物と式3の化合物を、適当な塩基(例えば、カリウム3級ブトキシドおよびジイソプロピルエチルアミンなど)、適当な溶媒(例えば、1,4−ジオキサンおよびブタノールなど)の存在下反応させることにより製造できる。本反応は50から130℃で行い、完了まで4時間までかかり得る。同様に、適当な出発物質を使用して、式3の化合物との反応は、式Ib、Ic、IdおよびIeの化合物をもたらす。
【0053】
Wが−O−である式Iの化合物は、下記反応スキームIIにおける通りに進行して、製造できる:
【化4】

【0054】
〔式中、R、R、R、Rおよびnは、について発明の概要で定義した通りである。〕。式Iaの化合物は、式4の化合物と式5の化合物を適当な溶媒(例えば、DMSOなど)および適当な塩基(例えば、カリウム3級ブトキシドなど)の存在下反応させることにより製造できる。本反応は50から130℃で行い、完了まで4時間までかかり得る。
【0055】
式Iの化合物の合成の詳述は、下記実施例に見ることができる。
【0056】
本発明の化合物の製造のための付加的工程
本発明の化合物は、薬学的に許容される酸付加塩として、遊離塩基の形の化合物と、薬学的に許容される無機または有機酸を反応させることにより製造できる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、化合物の遊離酸形と、薬学的に許容される無機または有機塩基を反応させることにより製造できる。あるいは、本発明の化合物の塩形態は、出発物質または中間体の塩を使用して製造できる。
【0057】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態は、対応する塩基付加塩または酸付加塩形態から各々製造できる。例えば酸付加塩形態の本発明の化合物を、適当な塩基(例えば、アンモニウムヒドロキシド溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより対応する遊離塩基に変換できる。塩基付加塩形態の本発明の化合物を、適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより対応する遊離酸に変換できる。
【0058】
酸化されていない形の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0から80℃で、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、リチウムボロハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、リン三塩化物、三臭化物など)で処理することにより製造できる。
【0059】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細は、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば、適当なプロドラッグを、誘導体化されていない本発明の化合物と、適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより製造できる。
【0060】
本発明の化合物の被保護誘導体を、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の創成およびそれらの除去に適用できる技術の詳述は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見ることができる。
【0061】
本発明の化合物は、簡便には溶媒和物(例えば、水和物)として製造でき、または本発明の工程中に形成される。本発明の化合物の水和物は、簡便には、水性/有機溶媒混合物からの、ジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用した再結晶により製造できる。
【0062】
本発明の化合物は、それらの個々の立体異性体として、本化合物のラセミ混合物と光学活性分割剤を反応させ、ジアステレオ異性体混合物の対を形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより製造できる。エナンチオマーの分割は電子対を共有した本発明の化合物のジアステレレオマー誘導体を使用して行うことができるが、解離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、異なる物理的特性(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分離できる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解性の差異に基づいた分離/分割技術により分離できる。光学的に純粋なエナンチオマーを、次いで、ラセミ化をもたらさない任意の実際的手段により、分割剤と共に回収する。化合物の立体異性体のそれらのラセミ混合物からの分離に適用可能な技術のさらなる詳細は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolution”, John Wiley and Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0063】
要約すると、式Iの化合物は下記を含む過程により製造できる:
(a)反応スキームIまたはIIのもの;および
(b)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(c)所望により塩形態の本発明の化合物の塩ではない形態への変換;
(d)所望により酸化されていない形態の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(e)所望によりN−オキシド形態の本発明の化合物のその酸化されていない形態への変換;
(f)所望により本発明の化合物の個々の異性体の異性体混合物からの分割;
(g)所望により誘導体化されていない本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(h)所望によりプロドラッグ誘導体の本発明の化合物のその誘導体化されていない形態への変換。
【0064】
出発物質の製造が具体的に記載されていない限り、該化合物は既知であるか、当分野で既知の方法に準じて、または後記実施例に記載の通りに製造できる。
【0065】
当業者は、上記の変換が本発明の化合物の製造のための単に代表的な方法であって、他の既知の方法を同様に使用できることを認識しよう。
【0066】
実施例
本発明を、本発明の式Iの化合物(実施例)および中間体(参考例)の製造を説明する下記実施例によりさらに例示するが、限定しない。
【0067】
実施例1
【化5】

5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イルアミン(1)の合成:5−ブロモ−2,4−ジクロロピリミジン(25g、110mmol)の200mL THF溶液を47mLのアンモニア(330mmol、メタノール中7.0M溶液)で処理する。15時間撹拌後、溶液を減圧下濃縮し、短濾過(SiO、ヘキサン:酢酸エチル/1:1)により精製し、21g(92%)の1を白色固体として得る。
【0068】
2−クロロ−5−(2−エトキシビニル)−ピリミジン−4−イルアミン(2)の合成:500mL丸底フラスコに5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イルアミン(1)(10g、48mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.8g、2.5mmol)、およびトルエン(200mL)を添加する。トリブチル−(2−エトキシビニル)−スタンナン(22g、60mmol)を添加し、反応物を110℃で撹拌しながら約15時間撹拌する。室温に冷却後、溶液を100mL 酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:酢酸エチル/5:1)による精製により、2(4.4g、46%)を黄色固体として得る。
【0069】
2−クロロ−7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン(3)の合成:500mL丸底フラスコに2−クロロ−5−(2−エトキシビニル)−ピリミジン−4−イルアミン2(4.4g、20mmol)を入れた。イソプロパノール(200mL)、続いて25mLの濃塩酸を添加する。溶液を90℃に温め、2時間撹拌する。室温に冷却後、溶液を減圧下濃縮し、次いで飽和水性NaHCOでpH9に塩基性化する。水性層を酢酸エチルで抽出し、そして有機抽出物を合わせ、飽和水性NaHCOおよび塩水で洗浄する。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮する。短濾過(SiO、ヘキサン:酢酸エチル/1:1)による精製により、3(3.1g、92%)を白色固体として得る。
【0070】
2−クロロ−7−ピリジン−2−イル−7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン(4)の合成:2−クロロ−7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン3(0.53g、3.5mmol)、2−ブロモピリジン(0.66mL、1.1g、6.9mmol)、ヨウ化銅(I)(0.20g、1.0mmol)、trans−1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.12mL、0.11g、1.0mmol)、およびリン酸カリウム(2.2g、10mmol)の10mL 1,4−ジオキサン中の懸濁液を100℃に温め、4時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:酢酸エチル/5:1)による精製により、4(0.69g、87%)を白色固体として得る。
【0071】
(7−ピリジン−2−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アミン(5)の合成:
方法1. 2−クロロ−7−ピリジン−2−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンの1,4−ジオキサン溶液を、3,4,5−トリメトキシアニリン(3当量)添加し、続いてカリウムtert−ブトキシド溶液(テトラヒドロフラン中1.0M、3当量)を滴下する。添加後、反応混合物を80℃で2時間加熱する。溶媒を室温に冷却後に除去する。逆相HPLCによる精製により、(7−ピリジン−2−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アミンを白色固体として得る。
【0072】
方法2. 2−クロロ−7−ピリジン−2−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、0.1当量のトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、0.2当量のビフェニル−2−イル−ジ−tert−ブチル−ホスファン、3当量のリン酸カリウムおよび1.5当量の3,4,5−トリメトキシアニリンを入れた丸底フラスコに窒素を通気し、その後1,4−ジオキサンを添加する。懸濁液を110℃で18時間加熱する。セライトを通した濾過により固体を除去する。濾液を酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。硫酸マグネシウムで乾燥後、生成物を濃縮し、クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン1:1)により精製して、7−ピリジン−2−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アミンを白色固体として得る。
【0073】
実施例2
3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−安息香酸
【化6】

3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−安息香酸メチルエステルの1N 水酸化ナトリウム(メタノール:水1:1)溶液を室温で15時間撹拌する。1N 塩酸でのpH6までの酸性化により、沈殿を得る。濾過および水での洗浄により、3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−安息香酸を白色固体として得る。
【0074】
実施例3
3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−ベンゾイルクロライド
【化7】

3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−安息香酸を入れた乾燥丸底フラスコに窒素で通気し、ジクロロメタンおよび数滴のN,N’−ジメチルホルムアミドを添加する。塩化オキサリル溶液(ジクロロメタン中2.0M)を滴下する。反応混合物を室温で30分撹拌し、溶液の3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−ベンゾイルクロライドを得る。
【0075】
実施例4
N−メチル−3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−ベンズアミド
【化8】

3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−ベンゾイルクロライドのジクロロメタン溶液に、5当量のメチルアミン溶液(テトラヒドロフラン中2.0M)を添加する。室温で1時間撹拌後、反応を水でクエンチする。溶媒の除去、続く逆相HPLCでの精製により、N−メチル−3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−ベンズアミドを白色固体として得る。
【0076】
適当な出発物質を使用して、上記実施例の方法を繰り返すことにより、表1に同定する下記式Iの化合物を得る。
【表1】

【表2】

【0077】
【表3】

【表4】

【0078】
【表5】

【表6】

【0079】
【表7】

【表8】

【0080】
【表9】

【表10】

【0081】
【表11】

【表12】

【0082】
【表13】

【表14】

【0083】
【表15】

【表16】

【0084】
【表17】

【表18】

【0085】
【表19】

【表20】

【0086】
【表21】

【表22】

【0087】
【表23】

【表24】

【0088】
【表25】

【0089】
アッセイ
本発明の化合物を、BCR−Ablを発現する32D細胞(32D−p210)の細胞増殖を、親32D細胞と比較して選択的に阻害するそれらの能力を測定するためにアッセイする。これらのBCR−Abl形質転換細胞の増殖を選択的に阻害する化合物を、Bcr−ablの野生型または変異体型の何れかを発現するBa/F3細胞に対する抗増殖性活性について試験する。加えて、化合物を、FAK、Flt−3、ALKおよびb−Rafを阻害するそれらの能力についてアッセイする。
【0090】
細胞性BCR−Abl依存性増殖の阻害(ハイ・スループット法)
使用するマウス細胞系は、BCR−Abl cDNAで形質転換された32D造血前駆細胞系(32D−p210)である。これらの細胞を、ペニシリン50μg/mL、ストレプトマイシン50μg/mLおよびL−グルタミン200mMを添加したRPMI/10%ウシ胎児血清(RPMI/FCS)で維持する。非形質転換32D細胞を、同様に、IL3の供給源として15%のWEHI馴化培地を添加して維持する。
【0091】
50μlの32Dまたは32D−p210細胞懸濁液をGreiner 384ウェルマイクロプレート(黒色)に、5000細胞/ウェルの密度で蒔く。50nlの試験化合物(DMSO貯蔵溶液中1mM)を各ウェルに添加する(STI571をポジティブコントロールとして含む)。細胞を、72時間、37℃、5%COでインキュベートする。10μlの60%Alamar Blue溶液(Tek diagnostics)を各ウェルに添加し、細胞をさらに24時間インキュベートする。蛍光強度(励起530nm、発光580nm)を、AcquestTM system(Molecular Devices)を使用して定量する。
【0092】
細胞BCR−Abl依存性増殖の阻害
32D−p210細胞を、96ウェルTCプレートに15,000細胞/ウェルの密度で蒔く。50μLの2倍連続希釈の試験化合物(Cmaxは40μM)を各ウェルに添加する(STI571をポジティブコントロールとして含む)。細胞を48時間、37℃、5%COでインキュベーション後、15μLのMTT(Promega)を各ウェルに添加し、細胞をさらに5時間インキュベートする。570nmでの光学密度を分光光度的に定量し、IC50値、50%阻害に必要な化合物の濃度を用量応答曲線から決定する。
【0093】
細胞サイクル分布に対する効果
32Dおよび32D−p210細胞を、6ウェルTCプレートに5mlの培地中2.5×10細胞/ウェルで蒔き、1または10μMの試験化合物を添加する(STI571をコントロールとして含む)。細胞を次いで24時間または48時間、37℃、5%COでインキュベートする。2mlの細胞懸濁液をPBSで洗浄し、70%EtOH中に1時間固定し、PBS/EDTA/RNase Aで30分処置する。ヨウ化プロピジウム(Cf=10μg/ml)を添加し、蛍光強度をFACScaliburTM system(BD Biosciences)のフローサイトメトリーで定量する。本発明の試験化合物は、32D−p210細胞に対するアポトーシスを示すが、32D親細胞においてアポトーシスは誘導しない。
【0094】
細胞性BCR−Abl自己リン酸化に対する効果
BCR−Abl自己リン酸化を、c−abl特異的捕捉抗体および抗ホスホチロシン抗体を使用して捕捉Elisaで定量する。32D−p210細胞を、96ウェルTCプレートに50μLの培地中2×10細胞/ウェルで蒔く。50μLの2倍連続希釈の試験化合物(Cmaxは10μM)を各ウェルに添加する(STI571をポジティブコントロールとして含む)。細胞を90分、37℃、5%COでインキュベートする。細胞を、次いで1時間、氷上で、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む、150μLの溶解緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、150mM NaCl、5mM EDTA、1mM EGTAおよび1%NP−40)で処理する。50μLの細胞溶解物を、予め抗abl特異的抗体で被覆した96ウェルoptiplateに添加し、ブロックする。プレートを4時間、4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、50μLのアルカリホスファターゼ接合抗ホスホチロシン抗体を添加し、プレートを、さらに一晩、4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、90μLの発光基質を添加し、発光をAcquestTM system(Molecular Devices)を使用して定量する。BCR−Abl発現細胞の増殖を阻害する試験本発明の化合物は、細胞BCR−Abl自己リン酸化を用量依存的方法で阻害する。
【0095】
細胞性BCR−Abl自己リン酸化に対する効果
Bcr−ablの変異体型を発現する細胞の増殖に対する効果
本発明の化合物を、BCR−Ablの野生型または、STI571に対する耐性または減少した感受性を与える変異体型(G250E、E255V、T315I、F317L、M351T)の何れかを発現するBa/F3細胞に対する抗増殖性効果について試験する。これらの化合物の変異体−BCR−Abl発現細胞および非形質転換細胞に対する抗増殖性効果を、10、3.3、1.1および0.37μMで上記の通り試験した(IL3欠損培地中)。非形質転換細胞に対する毒性がない化合物のIC50値を、上記の通りに得た用量応答曲線から決定した。
【0096】
Flt−3阻害
一般的技術は、増殖を変異体Flt3に依存する細胞系対増殖を変異体Flt3に依存しない細胞系に対する、可能性のある阻害剤の効果を比較することを含む。異なる活性(Flt3+細胞系およびFlt3細胞系の間の感受性の差が10倍または以上)を有する化合物をさらなる試験のために選択する。
【0097】
最初のスクリーニングに使用する細胞系は、適当なFlt3 cDNAを発現するレトロウイルスでの感染後に、変異体または野生型(非変異)Flt3を過剰発現するように操作したBa/F3細胞の亜系統である。親細胞系、Ba/F3は、増殖をインターロイキン−3に依存し、IL−3が乏しいとき、該細胞は急速に増殖を止め、死ぬ。レトロウイルスは、レトロウイルスLTRからのFlt3およびIRES部位からのneo遺伝子を発現する。Ba/F3細胞は、G418が選択され、Flt3発現を蛍光標示式細胞分取(FACS)により分析する。2個の異なるFlt3変異を有する細胞系を使用する。一方の変異体は、エクソン11によりコードされる膜近傍ドメインにおける14アミノ酸二量体を有するFlt−3を発現し、具体的二量体は.....VDFREYEYDLKWEF....(命名Ba/F3−Flt3−ITD)である。第二の変異体は、835位のアスパラギンをチロシンに変える点変異を有する(命名Ba/F3−Flt3−D835Y)。両方の変異とも、Flt−3キナーゼ活性化をもたらし、それをIL−3に非依存性とし、それを発現する細胞はIL−3非存在下で増殖する。野生型Flt3を発現するBa/F3細胞を同様に産生し、“コントロール”細胞系として使用する。親(非感染)細胞系、および該野生型“コントロール”細胞系は、増殖をIL−3に依存したままである。
【0098】
Ba/F3細胞(−コントロール、−Flt3−ITD、または−Flt3−D835Y)を、培養培地として10%ウシ胎児血清添加RPMI 1640を有する、30mL培養中、500,000細胞/mLまで培養する。コントロール細胞用培地(しかし変異体−Flt3細胞用ではない)は、IL−3の供給源としてWEHI−3B細胞系からの10%馴化培地を含む。各化合物の10mM“貯蔵”溶液を、ジメチルスルフォキシド(DMSO)中に作製する。次いで10%ウシ胎児血清添加RPMI 1640中に希釈し、典型的に、1nMから10μMの範囲の最終薬剤濃度を作製する。同様の希釈は、媒体コントロールとして役立つために、DMSO製である。化合物添加48時間後、細胞を増殖速度および細胞毒性についてアッセイする。
【0099】
Yo−Pro−1アイオダイド(Molecular Probes)を、細胞にNaCl/Na−クエン酸緩衝液中2.5μMの最終濃度で添加する。細胞をYo−Proと共に10分、室温でインキュベートし、細胞毒性の測定のために蛍光計で読む。次に、細胞をNP40/EDTA/EGTA緩衝液で溶解し、室温で90分インキュベートし、増殖の測定のために読む。
【0100】
Ba/F3−Flt3−ITD細胞に対して野生型コントロールBa/F3細胞よりも選択的により毒性である化合物を、さらに、Flt3−D835Y発現細胞に対して試験する。
【0101】
さらに、α−Flt3抗体を、様々な濃度の活性化合物に暴露する前および後のFlt3タンパク質を免疫沈降するために使用する。免疫沈降したタンパク質をナトリウムドデシル硫酸ポリアクリルアミドゲルにより分離し、PVDF膜に電気泳動的に移し、α−ホスホ−591Y−Flt3抗体と免疫ブロットする。このアッセイは、化合物が、該レセプターの変異体型の特徴であるFlt3の“自己リン酸化”レベルを低下させるか否か測定する。
【0102】
本発明の化合物は、典型的に、ナノモル範囲でFlt3−ITDに対する抗増殖性活性を示すが、一方コントロール−Flt3に対して10μMまで非毒性である。本発明の化合物はまた、ナノモル範囲で細胞性Flt−3の自己リン酸化活性を低下させる。
【0103】
局所接着キナーゼ(FAK)阻害
本発明の化合物を、FAKを阻害するそれらの能力について試験する。FAKキナーゼ活性を、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)ベースのアッセイ法を使用して、384ウェルプレートで測定する。全長ヒトFAKを、大腸菌中で、GST標識タンパク質として発現させ、固定化グルタチオンカラムにより精製する。ヒトFAKの自己リン酸化部位配列に対応する、ビオチニル化ペプチド、ビオチン−SETDDYAEIID(Synthesized by SynPep Corp.)を、本アッセイにおける基質として使用する。大腸菌発現FAKキナーゼ(2.4μg/ml)を、FAKペプチド(133nM)と、15μlのアッセイ緩衝液(20mM Hepes、pH7.4、5mM MgCl、2mM MnCl、0.5mM NaVO、0.1%BSA、0.1%TritonX−100)中で混合する。本発明の化合物(0.5μl−DMSO中に溶解)を次いで該酵素/ペプチド溶液に添加する。室温で10分インキュベーション後、5μlのアッセイ緩衝液中40μM ATPを添加し、反応を開始させる。反応混合物を室温で2時間インキュベートする。検出緩衝液(10mM Tris−HCl、pH7.4、6mM EDTA、0.1%BSA、0.1%TritonX−100)中に0.15nMのEu標識抗ホスホチロシン抗体(PT66−Eu、PerkinElmer)および1.5μg/mlのSA−APC(PerkinElmer)を含む50μlの検出試薬を、次いで添加する。混合物を室温で30分インキュベートし、TR−FRETシグナルを、Acquest plate reader(Molecular Device)を使用して測定する。
【0104】
ALK阻害
ALKチロシンキナーゼ活性の阻害は、既知法を使用して、例えばJ. Wood et al. Cancer Res. 60, 2178-2189(2000)に記載のVEGF−Rキナーゼアッセイに準じて、ALKの組み換えキナーゼドメインを使用して証明できる。GST−ALKタンパク質チロシンキナーゼを使用するインビトロ酵素アッセイを、96ウェルプレート中、フィルター結合アッセイとして、20mM Tris・HCl、pH=7.5、3mM MgCl、10mM MnCl、1mM DTT、0.1μCi/アッセイ(=30μl)[γ−33P]−ATP、2μM ATP、3μg/ml ポリ(Glu、Tyr 4:1)Poly-EY(Sigma P-0275)、1%DMSO、25ng ALK酵素中で行う。アッセイを、10分、環境温度でインキュベートする。反応を、50μlの125mM EDTAの添加により停止させ、反応混合物を予めメタノールで湿らせたMAIP Multiscreen plate(Millipore, Bedford, MA, USA)上に移し、および5分、HOで再水和する。洗浄(0.5%HPO)に続き、プレートを液体シンチレーションカウンター中で計数する。IC50値を、阻害パーセントの直線回帰分析により計算する。阻害剤なしのコントロールと比較して、式Iの化合物は、例えば0.001から0.5μM、とりわけ0.01から0.1μMの濃度で酵素活性を50%阻害する(IC50)。
【0105】
式Iの化合物は、ヒトNPM−ALK過剰発現マウスBaF3細胞の増殖を強力に阻害する(DSMZ Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany)。NPM−ALKの発現は、BaF3細胞系を、NPM−ALKをコードする発現ベクターpCIneoTM(Promega Corp., Madison WI, USA)でトランスフェクトし、続いてG418耐性細胞を選択することにより達成する。非トランスフェクトBaF3細胞は、細胞生存をIL−3に依存する。対照的に、NPM−ALK発現BaF3細胞(以後、命名BaF3−NPM−ALK)は、それらがNPM−ALKキナーゼを介して増殖性シグナルを得るため、IL−3非存在下で増殖できる。従って、NPM−ALKキナーゼの推定阻害剤は増殖シグナルをなくし、抗増殖性活性をもたらす。NPM−ALKキナーゼの推定阻害剤の抗増殖性活性は、しかしながら、NPM−ALK非依存性機構を介して増殖シグナルを提供するIL−3の添加により打ち消され得る。[FLT3キナーゼを使用した類似の細胞系について、E Weisberg et al. 癌 Cell;1, 433-443(2002)参照]。式Iの化合物の阻害活性は、簡単に言うと、下記の通り測定できる:BaF3−NPM−ALK細胞(15,000/マイクロタイタープレートウェル)を、96ウェルマイクロタイタープレートに移す。試験化合物[ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解]を、DMSOの最終濃度が1%(v/v)を超えないような方法での一連の濃度(希釈シリーズ)で添加する。添加後、プレートを2日間インキュベートし、その間、試験化合物なしのコントロール培養は、2回の細胞分割サイクルを経験する。BaF3−NPM−ALK細胞の増殖を、YoproTM染色の手段により測定する[T Idziorek et al. J. Immunol. Methods;185:249-258(1995)]:20mM クエン酸ナトリウム、pH4.0、26.8mM 塩化ナトリウム、0.4%NP40、20mM EDTAおよび20mMから成る25μlの溶解緩衝液を各ウェルに添加する。細胞溶解が室温で60分以内に完了し、DNAに結合したYoproの総量を、Cytofluor II 96 well reader(PerSeptive Biosystems)で下記設定を使用して測定する:励起(nm)485/20および発光(nm)530/25。
【0106】
IC50値を式:
IC50=[(ABS試験−ABS開始)/(ABSコントロール−ABS開始)]×100。
(ABS=吸収)
を使用したコンピュータを利用したシステムにより決定する。
【0107】
これらの実験におけるIC50値を、阻害剤なしのコントロールを使用したときに得られるよりも50%低い細胞数をもたらす、当該試験化合物の濃度として提供する。式Iの化合物は、約0.01から1μMの範囲のIC50で阻害活性を示す。
【0108】
式Iの化合物の抗増殖性作用はまたヒトKARPAS−299リンパ腫細胞系(DSMZ Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany)[described in WG Dirks et al. Int. J. Cancer 100, 49-56(2002)]において、BaF3−NPM−ALK細胞系について上記のものと同じ方法を使用して測定できる。式Iの化合物は、約0.01から1μMの範囲のIC50で阻害活性を示す。
【0109】
ALKの自己リン酸化に対する式Iの化合物の作用を、ヒトKARPAS−299リンパ腫細胞系において、WG Dirks et al. Int. J. Cancer 100, 49-56(2002)に記載の通りの免疫ブロットの手段により測定できる。その試験において、式Iの化合物は、約0.001から1μMのIC50を示す。
【0110】
Upstate Kinase ProfilerTM−放射酵素フィルター結合アッセイ
本発明の化合物を、一群のキナーゼ(キナーゼの部分的、非限定的リストは下記を含む:FAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2およびc−Met)の個々のメンバーを阻害するそれらの能力について評価する。化合物を、デュプリケートで10μMの最終濃度で、この一般的プロトコールに従い試験する。キナーゼ緩衝剤組成および基質は、“Upstate Kinase ProfilerTM”パネルに含まれるキナーゼの異なるキナーゼに関して変化する化合物を、デュプリケートで10μMの最終濃度で、この一般的プロトコールに従い試験する。キナーゼ緩衝剤組成および基質は、“Upstate Kinase ProfilerTM”パネルに含まれるキナーゼの異なるキナーゼに関して変化する。キナーゼ緩衝液(2.5μL、10×−必要時MnCl含有)、活性キナーゼ(0.001−0.01単位;2.5μL)、キナーゼ緩衝液中の特異的またはポリ(Glu4−Tyr)ペプチド(5−500μMまたは.01mg/ml)およびキナーゼ緩衝液(50μM;5μL)を氷上、エッペンドルフ中で混合する。Mg/ATP混合物(10μL;67.5(または33.75)mM MgCl、450(または225)μM ATPおよび1μCi/μl [γ−32P]−ATP(3000Ci/mmol))を添加し、反応物を約30℃で約10分インキュベートする。反応混合物を2cm×2cm P81(ホスホセルロース、正に荷電したペプチド基質のために)またはWhatman No. 1(ポリ(Glu4−Tyr)ペプチド基質のために)紙片上にスポット(20μL)する。アッセイ紙片を4回、各5分、0.75%リン酸で洗浄し、1回アセトンで5分洗浄する。アッセイ紙片をシンチレーションバイアルに移し、5ml シンチレーションカクテルを添加し、ペプチド基質への32P取り込み(cpm)をBeckmanシンチレーションカウンターで計数する。阻害パーセントを各反応について計算する。式Iの化合物は、10μMの濃度で、好ましくは50%を超える、好ましくは60%を超える、より好ましくは70%を超える阻害パーセントを、FAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2および/またはc−Metキナーゼに対して示す。
【0111】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、例えば、本明細書に記載のインビトロ試験により示される通り、価値ある薬理学的特性を示す。例えば、式Iの化合物は、好ましくは1×10−10から1×10−5Mの範囲、より好ましくは500nM未満のIC50を、下記キナーゼの少なくとも1個に対して示す:FAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2およびc−Metキナーゼ。例えば:
【0112】
(i)N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−ベンズアミド(実施例73)はFAKに38nMのIC50を有する。
【0113】
(ii){3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−フェニル}−アセトニトリル(実施例104)は、FLT3−ITD、FGFR3、JAK2、PDGFR−ベータ、およびTel−TRKCの各々に、29nM、282nM、342nM、33nM、および479nMのIC50を示す。
【0114】
(iii){7−[3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イルメチル)−フェニル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イル}−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アミン(実施例120)は、BaF3/PDGFR−ベータに29nMのIC50を示す。
【0115】
(iv)3−{3−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−フェニル}−プロピオニトリル(実施例85)は、FLT3−ITDに16nMのIC50を示す。
【0116】
(v)(7−ピリジン−2−イル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−アミン(実施例61)は、FGFR3に284nMのIC50を示す。
【0117】
(vi)[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イル]−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−アミン(実施例47)は、BCR−Ablに408nMのIC50を示す。
【0118】
本明細書に記載の実施例および態様は説明の目的のためのみであり、それに照らして当業者には様々な修飾または変化が示唆され、そしてそれらは、本明細書の精神および範囲内および添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが、理解されるべきである。本明細書に記載の全ての刊行物、特許および特許出願は、本明細書に、全ての目的について引用により包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia、Ib、Ic、IdおよびIe:
【化1】

〔式中:
nは0、1および2から選択され;mは0、1、2および3から選択され;
Wは−NR−、−S−、−O−、−S(O)−および−S(O)−から選択され;ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;
はC6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、−XNR、−XNRXNR、−XNRXOR、−XOR、−XSR、−XS(O)R、−XS(O)、−XC(O)NR、−XOXRおよび−XC(O)Rから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;Rは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;そしてRは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル置換基は、さらにC1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから独立して選択される1個から5個のラジカルで置換されていてよく;
はC6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、ハロ−置換−C1−6アルコキシ、C3−8ヘテロアリールC0−4アルキル、−XNR、−XOR、−XSR、−XS(O)R、−XS(O)、−XSNR、−XS(O)NR、−XS(O)NR、−XC(O)OR、−XOC(O)R、−XC(O)R、−XC(O)NRXNR、−XC(O)NR、−XC(O)NRXC(O)OR、−XC(O)NRXNRC(O)R、−XC(O)NRXNRC(O)OR、−XC(O)NRXOR、−XC(O)N(XOR)、−XNRC(O)R、−XC(O)NR、−XC(O)R、−XR、−XC(O)R、−XRおよび−XC(O)NRXRから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;Rは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてRはハロおよびシアノから選択され;
はハロ、ヒドロキシ、−XSR、−XS(O)R、−XS(O)、−XC(O)Rおよび−XC(O)ORから選択され;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択される。〕
の化合物およびその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体およびプロドラッグから選択される、化合物。
【請求項2】
Wが−NR−および−O−から選択され;ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;
がC6−10アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、C5−10ヘテロアリール、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、−XNR、−XOR、−XSR、−XNRXNR、−XNRXOR、−XC(O)NR、−XOXRおよび−XC(O)Rから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;Rは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;そしてRは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のヘテロアリール置換基は、所望によりさらに1個から5個のC1−6アルキルラジカルで置換されていてよく;
がC6−10アリール−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−C1−6アルキル、C3−8ヘテロアリールC0−4アルキル、−XNR、−XOR、−XSR、−XS(O)NR、−XC(O)OR、−XOC(O)R、−XC(O)NRXNR、−XC(O)NRXC(O)OR、−XC(O)NRXNRC(O)R、−XC(O)NRXNRC(O)OR、−XC(O)NRXOR、−XC(O)N(XOR)、−XNRC(O)R、−XC(O)NR、−XC(O)R、−XR、−XRおよび−XC(O)NRXRから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;Rは、所望によりC1−6アルキルおよび−C(O)OHから選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルおよびC5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルから選択され;そしてRはシアノであり;そして
がハロ、ヒドロキシ、−XC(O)Rおよび−XC(O)ORから選択され;ここで、Xは結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRは水素、C1−6アルキルおよびC3−12シクロアルキル−C0−4アルキルから選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Wが−NH−および−O−から選択され;そしてRがフェニル、ベンジル、5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、1H−インダゾル−7−イル、インダン−4−イルおよび1H−インドリルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルは、所望によりメトキシ、メチル、アミノ、ハロ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ、キノキサリニル、エチル、ピリジニル、メトキシ−フェニル、ピペラジニル−カルボニル、エチル−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ 2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ、ホルムアミル(formamyl)、イソプロピル、メチル−スルファニル、トリ−フルオロ−メチル、エトキシ、3−イソプロピルアミノ−プロピルアミノ、ジメチル−アミノ、モルホリノ、シクロプロピル−メトキシ、ブトキシ、シクロヘプチル−オキシおよび1,4,5,7−テトラメチル−ピロロ[3,4−d]ピリダジニルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよい、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がピリジニル、フェニル、チアゾリル、ピリジニル−メチル、ピリジニル−エチル、チオフェニル、ベンジル、キノリニル、7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレニル、ナフチルおよびピリミジニルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、メチル、プロピル−スルファモイル、メチル−スルファモイル、メトキシ、メチル−カルボキシ、2−ジメチルアミノ−エチル−ホルムアミル、カルボキシ、アミノ、シアノ−エチル、シアノ−メチル、エテニル、トリ−フルオロ−メチル、ヒドロキシ−メチル、エチル、メチル−スルファニル、ブチル、イソブチル、カルボキシ−メチル−ホルムアミジル、1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジル、カルボキシ−エチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−ブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル−メチル、2−(2−ジメチルアミノ−エチルカルバモイル)−エチル、2−(2−ジメチルアミノ−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−エチル−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−プロピル−ホルムアミジル)−エチル、2−(プロピル−ホルムアミジル)−エチル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、2−(メチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、2−(エチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、モルホリノ−エチル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−メチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、シクロブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル−メチル、ジメチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、N,N−ビス−(3−ヒドロキシ−プロピル)−ホルムアミジル、シクロペンチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル−メチル、シクロペンチル−ホルムアミジル−メチル、シアノ−エチル−ホルムアミジル、シアノ−メチル−ホルムアミジル、ピロリジニル−エチル−ホルムアミジル、2−(イソブチル−ホルムアミジル)−エチル、1H−テトラゾリル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、2−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、アセチル−アミノ、シクロプロピル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル、プロピル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、1−メチル−ピペリジン−4−イル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−エチル、メトキシ−カルボニル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル−メチル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル、1−ホルミル−ピロリジン−2−イル−カルボン酸、(1−カルボキシ−3−メチル−ブチル)−ホルムアミジル、2−(メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル)−エチル、1−カルボキシ−(2,2−ジメチル−プロピル)−ホルムアミジル、3−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、アセトキシ−メチルおよび1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよい、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが0または1であり;mが0または1であり;そしてRがハロ、ヒドロキシ、−C(O)OHおよび−C(O)OCHから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
式Ig:
【化2】

〔式中、Rはピリジニル、フェニル、チアゾリル、ピリジニル−メチル、ピリジニル−エチル、チオフェニル、ベンジル、キノリニル、7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレニル、ナフチルおよびピリミジニルから選択され;ここで、Rの任意のアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、メチル、プロピル−スルファモイル、メチル−スルファモイル、メトキシ、メチル−カルボキシ、2−ジメチルアミノ−エチル−ホルムアミル、カルボキシ、アミノ、シアノ−エチル、シアノ−メチル、エテニル、トリ−フルオロ−メチル、ヒドロキシ−メチル、エチル、メチル−スルファニル、ブチル、イソブチル、カルボキシ−メチル−ホルムアミジル、1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジル、カルボキシ−エチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、ジメチル−アミノ−ブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル、エチル−ホルムアミジル−メチル、2−(2−ジメチルアミノ−エチルカルバモイル)−エチル、2−(2−ジメチルアミノ−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−エチル−ホルムアミジル)−エチル、2−(アミノ−プロピル−ホルムアミジル)−エチル、2−(プロピル−ホルムアミジル)−エチル、アミノ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、2−(メチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、2−(エチル−アミノ−カルバモイル)−エチル、モルホリノ−エチル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−メチル、アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、シクロブチル−ホルムアミジル、メチル−ホルムアミジル−メチル、ジメチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、N,N−ビス−(3−ヒドロキシ−プロピル)−ホルムアミジル、シクロペンチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル、イソブチル−ホルムアミジル−メチル、シクロペンチル−ホルムアミジル−メチル、シアノ−エチル−ホルムアミジル、シアノ−メチル−ホルムアミジル、ピロリジニル−エチル−ホルムアミジル、2−(イソブチル−ホルムアミジル)−エチル、1H−テトラゾリル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル、2−(1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、2−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−メチル、アセチル−アミノ、シクロプロピル−ホルムアミジル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ホルムアミジル、ヒドロキシ−プロピル−ホルムアミジル、プロピル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル、1−メチル−ピペリジン−4−イル−ホルムアミジル、モルホリノ−カルボニル−エチル、メトキシ−カルボニル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル、メトキシ−カルボニル−エチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル、4−アミノ−シクロヘキシル−ホルムアミジル−メチル、アセチル−アミノ−エチル−ホルムアミジル−メチル、エトキシ−プロピル−ホルムアミジル−メチル、メトキシ−カルボニル−エチル、1−ホルミル−ピロリジン−2−イル−カルボン酸、(1−カルボキシ−3−メチル−ブチル)−ホルムアミジル、2−(メトキシ−カルボニル−メチル−ホルムアミジル)−エチル、1−カルボキシ−(2,2−ジメチル−プロピル)−ホルムアミジル、3−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−プロピル−ホルムアミジル、アセトキシ−メチルおよび1−カルボキシ−エチル−ホルムアミジルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されていてよい。〕
である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
治療的有効量の請求項1記載の化合物を薬学的に許容される賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項8】
動物におけるキナーゼ活性の阻害により、疾患の病状および/または総体的症状を予防、阻止または軽減できるものである疾患の処置法であって、該動物に治療的有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項9】
キナーゼがFAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2およびc−Metから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
動物におけるFAK、Abl、BCR−Abl、PDGF−R、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、JAK2および/またはc−Metのキナーゼ活性が疾患の病状および/または総体的症状に関与する疾患の処置用医薬の製造における、請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−522241(P2007−522241A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553321(P2006−553321)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/004630
【国際公開番号】WO2005/080393
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】