説明

タービンハウジング

【課題】二重構造部の内側管状部材に発生する応力集中を回避することにより、バイパス通路の設計自由度を拡大できるタービンハウジングを提供する。
【解決手段】タービンハウジング3Aは、入口部4に通じかつホイール収容部5まで延びる渦巻き状のスクロール部6と、ホイール収容部5を通過したガスを排出するための出口部7と、ホイール収容部5を迂回できるように入口部4と出口部7とを結ぶバイパス通路部8とを備えており、入口部4からスクロール部6までが、内側管状部材11と外側管状部材12との間に隙間Sが形成された状態でこれらが組み合わされた二重構造部10として構成され、二重構造部10は隙間Sが入口部4に通じることによりガスを導入可能に構成され、かつバイパス通路部8は二重構造部10の隙間Sに通じるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャー等に組み込まれるタービンのタービンハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンハウジングとして、タービンの入口から導入されたガスの放熱を防止するため、入口部からスクロール部に亘って二重構造部とし、その二重構造部の内側管状部材と外側管状部材との間に隙間を形成するようにし、かつその隙間を入口部において閉鎖したものが知られている(特許文献1)。その他、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献2〜5が存在する。
【0003】
【特許文献1】特開2001−303962号公報
【特許文献2】特開2001−303963号公報
【特許文献3】特開2002−349275号公報
【特許文献4】特開2002−349276号公報
【特許文献5】実開昭61−49032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のタービンハウジングは、タービンホイールへの過剰なガスの導入を回避するため、タービンホイールを収容するホイール収容部を迂回するようにして入口部と出口部とを結ぶバイパス通路が設けられている。そのバイパス通路は二重構造部の内側管状部材に溶接等で接合されている。このため、内側管状部材との接合部で応力集中が起こり易い。そのような応力集中の弊害を緩和するためには、バイパス通路の通路面積を抑えて接合部を小さくせざるを得ない。その結果、バイパス通路の通路面積を十分に大きくできないという制約が発生している。
【0005】
そこで、本発明は、二重構造部の内側管状部材に発生する応力集中を回避することにより、バイパス通路の設計自由度を拡大できるタービンハウジングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタービンハウジングは、ガスを導入するための入口部と、タービンホイールを収容するホイール収容部と、前記入口部に通じかつ前記ホイール収容部まで延びる渦巻き状のスクロール部と、前記ホイール収容部を通過したガスを排出するための出口部と、前記ホイール収容部を迂回できるように前記入口部と前記出口部とを結ぶバイパス通路部と、を備え、前記入口部から前記スクロール部までが、内側管状部材と外側管状部材との間に隙間が形成された状態でこれらが組み合わされた二重構造部として構成されたタービンハウジングにおいて、前記二重構造部は前記隙間が前記入口部に通じることによりガスを導入可能に構成され、かつ前記バイパス通路部は前記二重構造部の前記隙間に通じるように構成されていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
このタービンハウジングは、内側管状部材と外側管状部材との間に形成される隙間が入口部に通じているため、入口部に導入されたガスがその隙間に導かれる。そして、その隙間にバイパス通路部が通じているので、バイパス通路が開通すると隙間に導かれたガスはバイパス通路部を経由して出口部へ排出される。バイパス通路が閉鎖した場合には、二重構造部の内外圧力差が生じないので入口部に導かれたガスは内側管状部材を通りタービンホイールを経由して出口部へ排出される。このタービンハウジングはバイパス通路部を内側管状部材に接合しなくてもこのような機能を実現できるので、バイパス通路部と内側管状部材との接合箇所における応力集中を考慮せずにバイパス通路部を設計できるようになる。つまり、バイパス通路部の通路面積を決める際の制約が緩和されるので、バイパス通路部の設計自由度を拡大することができる。
【0008】
本発明のタービンハウジングの一態様においては、前記入口部の先端にはフランジ部が形成されており、前記二重構造部の前記外側管状部材が前記フランジ部に全周接合され、かつ前記内側管状部材が前記フランジ部から離間することにより前記隙間が前記入口部に通じていてもよい(請求項2)。この態様によれば、二重構造部の外側管状部材がフランジ部に全周接合され、かつ内側管状部材がフランジ部から離間しているので、フランジ部において環状に開口する隙間が形成される。内側管状部材がフランジ部に全周接合されていないので、内側管状部材とフランジ部との接合部における応力集中の発生を防止できる。
【0009】
本発明のタービンハウジングの一態様において、前記二重構造部の前記内側管状部材は、前記スクロール部が前記タービンホイールの回転軸線方向に並ぶ二つの領域に区分されるように二つの管状部材にて構成されており、前記バイパス通路部は、前記二つの管状部材のうちの前記出口部に近い側の管状部材と前記出口部とを結ぶ第1通路と、前記隙間と通じるように構成された第2通路とを有してもよい(請求項3)。この態様はいわゆるツインスクロール型のタービンハウジングとして構成され、内側管状部材としての二つの管状部材が外側管状部材の内側に並べられている。仮に、二つの管状部材のそれぞれに接続するバイパス通路部を形成する場合には、出口部から遠い側の管状部材と出口部とを結ぶ際に出口部に近い側の管状部材が邪魔になるのでバイパス通路部の取り回しが困難になる。その結果、バイパス通路部の経路が長くなる問題が生じる。この態様によれば、出口部に近い側の管状部材と出口部とを結ぶ第1通路と、内側管状部材と外側管状部材との間に形成される隙間に通じるように構成された第2通路とを有しているので、出口部から遠い側の管状部材と出口部との間の通路の取り回しを考慮せずに第2通路を構成することができる。これにより、バイパス通路部の経路が長くなることを容易に防止できる。また、第2通路の構成が二つの管状部材の配置や形状に影響を及ぼさないので、管状部材の配置や形状を自由に設計することが可能になる。
【0010】
この態様においては、前記入口部の先端にはフランジ部が形成されており、前記二重構造部の前記外側管状部材が前記フランジ部に全周接合され、前記二つの管状部材のうちの前記出口部に近い側の管状部材が前記フランジ部又は前記外側管状部材の少なくとも一方に接合され、かつ前記二つの管状部材のうちの前記出口部に遠い側の管状部材が前記フランジ部から離間することにより前記隙間が前記入口部に通じていてもよい(請求項4)。この場合、出口部に近い側の管状部材と外側管状部材との間に形成される隙間が塞がれるためその隙間へのガス漏れを抑制できる。これにより、ツインスクロール型のタービンハウジングの利点が減じることを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、バイパス通路部を内側管状部材に接合する必要がないので、バイパス通路部と内側管状部材との接合箇所における応力集中を考慮せずにバイパス通路部を設計できるようになる。即ち、バイパス通路部の通路面積を決める際の制約が緩和されるので、バイパス通路部の設計自由度を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係るタービンハウジングが組み込まれたタービンの要部を示した図、図2は図1の矢印IIの方向から見た状態を示した図、図3は図1のIII−III線に関する断面図である。タービン1Aは内燃機関のターボチャージャーに組み込まれ、排気のエネルギを利用して不図示の遠心コンプレッサを回転駆動するために用いられる。タービン1Aはタービンホイール2と、そのタービンホイール2を収容しかつ回転自在に支持するタービンハウジング(以下、ハウジングという。)3Aとを備えている。タービンホイール2には図示しない複数のタービンブレードが周方向に設けられている。
【0013】
ハウジング3Aは排気等のガスを導入するための入口部4と、タービンホイール2を収容するホイール収容部5と、入口部4に通じかつホイール収容部5まで延びる渦巻き状のスクロール部6と、ホイール収容部5を通過したガスを排出するための出口部7と、ホイール収容部5を迂回できるように入口部4と出口部7とを結ぶバイパス通路部8と、バイパス通路部8を開閉する開閉弁9とを備えている。
【0014】
ハウジング3Aの入口部4からスクロール部6まではいわゆる二重構造部10として構成されている。二重構造部10は所定形状を持つ内側管状部材11と外側管状部材12とを有しており、これらの部材11、12は隙間Sが形成された状態で組み合わされている。内側管状部材11及び外側管状部材12はそれぞれステンレス鋼にて構成されている。
【0015】
図2にも示すように、入口部4の先端には鋳鉄製のフランジ部15が形成されており、そのフランジ部15には外側管状部材12が溶接等の接合手段にて全周接合されている。一方、内側管状部材11はフランジ部15(外側管状部材12)から離間していて、隙間Sは入口部4に通じている。これにより、隙間Sはフランジ部15において環状に開口する。そのため、ハウジング3Aは内側管状部材11の内部のみならずその隙間Sにもガスを導入できる。図3に示すように、バイパス通路部8は隙間Sに通じるように構成されている。即ち、バイパス通路部8は外側管状部材12を貫いて隙間Sの側に開口している。なお、本形態では、外側管状部材12は出口部7まで延びていて、出口部7の先端に形成されたフランジ部16に溶接等の接合手段にて全周接合されている。
【0016】
以上の構成により、開閉弁9が図3の実線の位置に保持されてバイパス通路部8が開通すると、隙間Sとバイパス通路部8とが通じるので、隙間Sに導かれたガスはバイパス通路部8を経由して出口部7へ排出される。一方、開閉弁9が図3の想像線の位置に保持されてバイパス通路部8が閉鎖されると、二重構造部10の内外圧力差が生じないため、入口部4に導かれたガスは内側管状部材11を通りタービンホイール2を経由して出口部7へ排出される。ハウジング3Aはバイパス通路部8を内側管状部材11に接合しなくてもこのような機能を実現できるので、バイパス通路部8と内側管状部材11との接合箇所における応力集中を考慮せずにバイパス通路部8を設計できるようになる。つまり、バイパス通路部8の通路面積を決める際の制約が緩和されるので、バイパス通路部8の設計自由度を拡大することができる。また、内側管状部材11がフランジ部15に全周接合されていないので、内側管状部材11とフランジ部15との接合部における応力集中の発生を防止できる。
【0017】
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態を図4〜図7を参照して説明する。図4は本発明の第2の形態に係るタービンハウジングが組み込まれたタービンの要部を示した図、図5は図4のV−V線に関する断面を拡大した図、図6は図4の矢印VIの方向から見た状態を示した図、図7は図4のVII−VII線に関する断面図である。なお、第1の形態と共通する構成については、これらの図に同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
【0018】
第2の形態に係るタービン1Bは第1の形態と同様にターボチャージャーに組み込まれて使用され、タービンハウジング(以下、ハウジングという。)3Bを備えている。図5から明らかなように、ハウジング3Bはいわゆるツインスクロール型のハウジングとして構成されている。ハウジング3Bは、ガスを導入するための入口部21と、タービンホイール2を収容するホイール収容部22と、入口部21に通じかつホイール収容部22まで延びる渦巻き状のスクロール部23と、ホイール収容部22を通過したガスを排出するための出口部24と、ホイール収容部22を迂回できるように入口部21と出口部24とを結ぶバイパス通路部25と、バイパス通路部25を開閉する開閉弁26とを備えている。
【0019】
第1の形態と同様に、ハウジング3Bは入口部21からスクロール部23までが二重構造部27として構成されている。その二重構造部27は所定形状を持ち、かつステンレス鋼にて構成された内側管状部材28と外側管状部材29とを有しており、これらの部材28、29は隙間Sが形成された状態で組み合わされている。内側管状部材28は二つの管状部材28A、28Bにて構成されている。図5に示すように、管状部材28A、28Bはスクロール部23をタービンホイール2の回転軸線方向に並ぶ二つの領域AR1、AR2に区分する。
【0020】
図7に示すように、バイパス通路部25は、出口部24に近い側の管状部材28Aと出口部24とを結ぶ第1通路25Aと、隙間Sと通じるように構成された第2通路25Bとを有している。第1通路25Aは、外側管状部材29と管状部材28Aとをそれぞれを貫いて管状部材28Aに開口している。図6及び図7に示すように、入口部21の先端には鋳鉄製のフランジ部30が形成されている。二重構造部27の外側管状部材29は溶接等の接合手段にてそのフランジ部30に全周接合されている。出口部24に近い側の管状部材28Aは外側管状部材29に溶接等の接合手段にて接合されている。他方の管状部材28Bはそのフランジ部30(外側管状部材29)からその一部が離間し、かつ残りの一部が外側管状部材29に溶接等の接合手段にて接合されている。これにより隙間Sは入口部21に通じることになる。図6に示すように、各管状部材28A、28Bは、それらの開口がタービンホイール2の回転軸線方向(図6の上下方向)に並ぶように構成されている。なお、図7に示すように、本形態の外側管状部材29は出口部24まで延びていて、出口部24の先端に形成された鋳鉄製のフランジ部31に溶接等の接合手段にて全周接合されている。
【0021】
以上の構成により、開閉弁26が図7の実線の位置に保持されてバイパス通路部25の第1通路25A及び第2通路25Bがそれぞれ開通すると、出口部24に近い側の管状部材28Aと第1通路25Aとが通じ、第1管状部材28Aに導かれたガスは第1通路25Aを経由して出口部24に排出され、かつ隙間Sに導かれたガスは第2通路25Bを経由して出口部24に排出される。一方、開閉弁26が図7の想像線の位置に保持されてバイパス通路部25の各通路25A、25Bが閉鎖されると、二重構造部27の内外圧力差が生じないため、入口部21に導かれたガスは各管状部材28A、28Bを通りタービンホイール2を経由して出口部24へ排出される。
【0022】
第2の形態によれば、第1の形態と同様に、バイパス通路部25の第2通路25Bと出口部24から遠い側の管状部材28Bとが接合されていないためバイパス通路部25の設計自由度を拡大することができる。また、バイパス通路部25が二つ通路25A、25Bを有し、これらのうちの第2通路25Bが隙間Sに通じているので、出口部24から遠い側の管状部材28Bと出口部24との間の通路の取り回しを考慮せずに第2通路25Bを構成することができる。更に、出口部24に近い側の管状部材28Aと外側管状部材29との間に形成される隙間Sがフランジ部30において塞がれるためその隙間Sへのガス漏れを抑制できる。これにより、ツインスクロール型のタービンハウジングの利点が減じることを防止できる。
【0023】
(第3の形態)
次に、本発明の第3の形態を図8〜図11を参照して説明する。図8は本発明の第3の形態に係るタービンハウジングが組み込まれたタービンの要部を示した図、図9は図8のIX−IX線に関する断面を拡大した図、図10は図8の矢印Xの方向から見た状態を示した図、図11は図8のXI−XI線に関する断面図である。なお、第1の形態と共通する構成については、これらの図に同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
【0024】
第3の形態に係るタービン1Cは第1の形態と同様にターボチャージャーに組み込まれて使用され、タービンハウジング(以下、ハウジングという。)3Cを備えている。図9から明らかなように、ハウジング3Cは第2の形態と同様にいわゆるツインスクロール型のハウジングとして構成されている。ハウジング3Cは、ガスを導入するための入口部32と、タービンホイール2を収容するホイール収容部33と、入口部32に通じかつホイール収容部33まで延びる渦巻き状のスクロール部34と、ホイール収容部33を通過したガスを排出するための出口部35と、ホイール収容部33を迂回できるように入口部32と出口部35とを結ぶバイパス通路部36と、バイパス通路部36を開閉する開閉弁37とを備えている。
【0025】
第1及び第2の形態と同様に、ハウジング3Cは入口部32からスクロール部34までが二重構造部38として構成されている。その二重構造部38は所定形状を持ち、かつステンレス鋼にて構成された内側管状部材39と外側管状部材40とを有しており、これらの部材39、40は隙間Sが形成された状態で組み合わされている。内側管状部材39は二つの管状部材39A、39Bにて構成されている。図9に示すように、管状部材39A、39Bはスクロール部34をタービンホイール2の回転軸線方向に並ぶ二つの領域AR1、AR2に区分する。
【0026】
図11に示すように、バイパス通路部36は、出口部35に近い側の管状部材39Aと出口部35とを結ぶ第1通路36Aと、隙間Sと通じるように構成された第2通路36Bとを有している。第1通路36Aは外側管状部材40と出口部35に近い側の管状部材39Aとをそれぞれを貫いて管状部材39Aに開口している。入口部32の先端には鋳鉄製のフランジ部41が形成されている。図10及び図11示すように、二重構造部38の外側管状部材40は溶接等の接合手段にてそのフランジ部41に全周接合されている。出口部35に近い側の管状部材39Aは外側管状部材40に溶接等の接合手段にて接合されている。他方の管状部材39Bはそのフランジ部41(外側管状部材40)からその一部が離間し、かつ残りの一部が外側管状部材40に溶接等の接合手段にて接合されている。これにより隙間Sは入口部32に通じることになる。図10に示すように、各管状部材39A、39Bは、それらの開口がタービンホイール2の回転軸線方向に対して直交する方向(図10の左右方向)に並ぶように構成されている。つまり、図11に示すように、各管状部材39A、39Bは入口部32からスクロール部34に至るまでに略90°捻られた状態で外側管状部材40の内部に配置されている。なお、本形態の外側管状部材40は出口部35まで延びていて、出口部35の先端に形成された鋳鉄製のフランジ部42に溶接等の接合手段にて全周接合されている。
【0027】
以上の構成により、開閉弁37が図11の実線の位置に保持されてバイパス通路部36の第1通路36A及び第2通路36Bがそれぞれ開通すると、出口部35に近い側の管状部材39Aと第1通路36Aとが通じ、第1管状部材39Aに導かれたガスは第1通路36Aを経由して出口部35に排出され、かつ隙間Sに導かれたガスは第2通路36Bを経由して出口部35に排出される。一方、開閉弁37が図11の想像線の位置に保持されてバイパス通路部36の各通路36A、36Bが閉鎖されると、二重構造部38の内外圧力差が生じないため、入口部32に導かれたガスは各管状部材39A、39Bを通りタービンホイール2を経由して出口部35へ排出される。
【0028】
第3の形態によれば、第2の形態と同等の効果を発揮できる。即ち、バイパス通路部36の第2通路36Bと出口部35から遠い側の管状部材39Bとが接合されていないためバイパス通路部36の設計自由度を拡大することができる。また、バイパス通路部36が二つ通路36A、36Bを有し、これらのうちの第2通路36Bが隙間Sに通じているので、出口部35から遠い側の管状部材39Bと出口部35との間の通路の取り回しを考慮せずに第2通路36Bを構成することができる。更に、出口部35に近い側の管状部材39Aと外側管状部材40との間に形成される隙間Sがフランジ部41において塞がれるためその隙間Sへのガス漏れを抑制できる。これにより、ツインスクロール型のタービンハウジングの利点が減じることを防止できる。
【0029】
本発明は以上の各形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の形態にて実施できる。本発明に係るタービンハウジングは必ずしもターボチャージャーに組み込まれるタービンに適用されることを前提とするものではない。従って、本発明のタービンハウジングを何らかの用途に利用されるタービンに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の形態に係るタービンハウジングが組み込まれたタービンの要部を示した図。
【図2】図1の矢印IIの方向から見た状態を示した図。
【図3】図1のIII−III線に関する断面図。
【図4】本発明の第2の形態に係るタービンハウジングが組み込まれたタービンの要部を示した図。
【図5】図4のV−V線に関する断面を拡大した図。
【図6】図4の矢印VIの方向から見た状態を示した図。
【図7】図4のVII−VII線に関する断面図。
【図8】本発明の第3の形態に係るタービンハウジングが組み込まれたタービンの要部を示した図。
【図9】図8のIX−IX線に関する断面を拡大した図。
【図10】図8の矢印Xの方向から見た状態を示した図。
【図11】図8のXI−XI線に関する断面図。
【符号の説明】
【0031】
2 タービンホイール
3A〜3C タービンハウジング
4 入口部
5 ホイール収容部
6 スクロール部
7 出口部
8 バイパス通路部
10 二重構造部
11 内側管状部材
12 外側管状部材
15 フランジ部
21 入口部
22 ホイール収容部
23 スクロール部
24 出口部
25 バイパス通路部
25A 第1通路
25B 第2通路
27 二重構造部
28 内側管状部材
28A、28B 管状部材
29 外側管状部材
30 フランジ部
32 入口部
33 ホイール収容部
34 スクロール部
35 出口部
36 バイパス通路部
36A 第1通路
36B 第2通路
38 二重構造部
39 内側管状部材
39A、39B 管状部材
40 外側管状部材
41 フランジ部
S 隙間
AR1、AR2 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを導入するための入口部と、タービンホイールを収容するホイール収容部と、前記入口部に通じかつ前記ホイール収容部まで延びる渦巻き状のスクロール部と、前記ホイール収容部を通過したガスを排出するための出口部と、前記ホイール収容部を迂回できるように前記入口部と前記出口部とを結ぶバイパス通路部と、を備え、前記入口部から前記スクロール部までが、内側管状部材と外側管状部材との間に隙間が形成された状態でこれらが組み合わされた二重構造部として構成されたタービンハウジングにおいて、
前記二重構造部は前記隙間が前記入口部に通じることによりガスを導入可能に構成され、かつ前記バイパス通路部は前記二重構造部の前記隙間に通じるように構成されていることを特徴とするタービンハウジング。
【請求項2】
前記入口部の先端にはフランジ部が形成されており、前記二重構造部の前記外側管状部材が前記フランジ部に全周接合され、かつ前記内側管状部材が前記フランジ部から離間することにより前記隙間が前記入口部に通じている請求項1に記載のタービンハウジング。
【請求項3】
前記二重構造部の前記内側管状部材は、前記スクロール部が前記タービンホイールの回転軸線方向に並ぶ二つの領域に区分されるように二つの管状部材にて構成されており、前記バイパス通路部は、前記二つの管状部材のうちの前記出口部に近い側の管状部材と前記出口部とを結ぶ第1通路と、前記隙間と通じるように構成された第2通路とを有している請求項1に記載のタービンハウジング。
【請求項4】
前記入口部の先端にはフランジ部が形成されており、前記二重構造部の前記外側管状部材が前記フランジ部に全周接合され、前記二つの管状部材のうちの前記出口部に近い側の管状部材が前記フランジ部又は前記外側管状部材の少なくとも一方に接合され、かつ前記二つの管状部材のうちの前記出口部に遠い側の管状部材が前記フランジ部から離間することにより前記隙間が前記入口部に通じている請求項3に記載のタービンハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−203803(P2009−203803A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43932(P2008−43932)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】