タービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法
【課題】タービン動翼フォークの応力部をくまなく超音波探傷するとともに、探傷検査時間を短縮する3次元超音波探傷方法を提供する。
【解決手段】円弧状に屈折角を走査するセクタ走査面を回転走査するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、ピン穴を検出するステップを設けてピン穴を検出したセクタ走査面の回転角度を回転走査の開始点とし、セクタ走査面を2.7°未満の角度ピッチで3次元回転走査し、段差を検出するステップを設けて段差を検出したセクタ走査面の回転角度を回転走査の終了点とする。
【解決手段】円弧状に屈折角を走査するセクタ走査面を回転走査するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、ピン穴を検出するステップを設けてピン穴を検出したセクタ走査面の回転角度を回転走査の開始点とし、セクタ走査面を2.7°未満の角度ピッチで3次元回転走査し、段差を検出するステップを設けて段差を検出したセクタ走査面の回転角度を回転走査の終了点とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン動翼フォークの超音波探傷方法に係り、特に探傷精度を高く保ちつつ探傷時間を短縮できる超音波探傷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図11、図12に示すように、発電プラントのタービンは製作性と整備性の向上のため回転軸4と動翼2を別々に製作し、回転軸4上のディスク3と段差8のあるタービン動翼フォーク(以下フォークという)を組み合わせ、ディスク3とフォーク5のピン穴6にピン7を挿入して両者を固定している。
【0003】
図13に示すように、タービンの回転に伴いピン穴6の100の位置に応力が発生する。このため応力部100の健全性を超音波探傷法(Ultrasonic Testing:UT)により検査している。UTは検査対象内に超音波を送信し欠陥からの反射波(エコー)を受信する検査方法であり、エコーの有無が欠陥の有無に対応する。
【0004】
従来のピン穴応力部のUTでは、図14に示すようにタービンの回転軸と垂直で回転方向と平行に設けたフォーク5の側面平面部であるセンサ設置面101に超音波センサ(UTセンサ)1を設置し、UTセンサ1を回転・平行移動させながら応力部100に超音波を入射させていた(特許文献1)。この探傷方法では、図15Aの基準サンプル探傷例に示すようにピン穴周辺の形状信号を基準信号として検出する。図15Aと対比すると、図15Bの探傷例に示すように欠陥信号が形状信号近辺に検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4474395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1では、手動あるいはアクチュエータにより機械的にUTセンサを移動させるため、センサ方向のずれによって超音波が送受信されない領域が生じる可能性がある。また、機械的にUTセンサを移動させるため、検査に時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、探傷検査時間を短縮してフォークの応力部をくまなく探傷可能な3次元超音波探傷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タービン本体にピン接合するためのピン穴と段差を有するフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により円弧状に屈折角を走査する超音波のセクタ走査面を回転走査して探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記フォークのピン穴を検出するピン穴検出ステップと、前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップと、前記フォークの段差を検出する段差検出ステップを有し、前記ピン穴検出ステップは、前記フォークの前記ピン穴エコーを検出するピン穴エコー検出確認ステップを有し、前記超音波探傷ステップは、前記フォークに対し前記セクタ走査面を回転走査する角度ピッチを2.7°未満に決定する走査回転角ピッチ決定ステップを有し、前記段差検出ステップは、前記フォークの段差エコーを検出する段差エコー検出確認ステップを有することを特徴とする。
【0009】
また、タービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで、前記ピン穴エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とする。
【0010】
またタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記段差エコー検出確認ステップで、前記段差エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【0011】
またタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで前記ピン穴を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、前記段差エコー検出確認ステップで前記段差を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【0012】
また、タービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴検出ステップは、UTセンサ設置ステップと、測定開始信号入力ステップと、ピン穴エコー検出確認ステップと、探傷開始点決定ステップを有し、前記超音波探傷ステップは、セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、遅延時間決定ステップと、超音波探傷ステップを有し、前記段差検出ステップは、超音波探傷結果処理・表示ステップと、段差エコー検出確認ステップを有することを特徴とする。
【0013】
さらに、フォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置と制御装置によりセクタ走査面を回転走査して前記フォークを探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記フォーク形状を前記制御装置に入力するフォーク形状データ入力ステップと、前記フォーク上の前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置測定ステップと、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップとを有し、前記センサ位置測定ステップはさらに、前記フォーク上において次式で記述される角度φ以下の角度ピッチでセクタ走査面を回転走査するセクタ走査回転角ピッチ決定ステップと、
φ=cos−1[(a2+b2−2r2)÷(2・a・b)]
a=√[(Δy−r)2+Δx2]
b= √[ Δy2+(Δx−r)2]
Δx:フォーク幅[m]
Δy:フォーク上端とピン穴中心との距離[m]
r:ピン穴半径[m]
角度ピッチφで前記セクタ走査面を回転走査する超音波送受信ステップと、
前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置解析ステップを有することを特徴とする。
【0014】
さらに、タービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップは、セクタ走査面の回転角範囲を決定し、セクタ走査面の回転角ピッチを2.7°未満の範囲で決定するセクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、超音波の遅延時間決定ステップと前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップを有することを特徴とする。
【0015】
さらに、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴のうち二つのピン穴と前記超音波センサとの距離を測定して前記超音波センサが存在するエリアを決定することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記フォークの前記段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記エリア内で前記超音波センサの存在する第1の曲線を決定することを特徴とする。
【0017】
さらに、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記段差と異なる位置の段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記超音波センサの存在する第2の曲線を決定し、前記第1の曲線と第2の曲線の交点を前記超音波センサ位置とすることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記ピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記段差が検出されるセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【0020】
さらに、前記超音波センサの設置位置を評価するステップで測定されたピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、段差を検出したセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ピン穴と段差を有するフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により超音波のセクタ走査面を回転走査するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、ピン穴検出ステップと、3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップと、段差検出ステップを有し、ピン穴検出ステップは、フォークのピン穴を検出するピン穴検出確認ステップを有し、超音波探傷ステップはフォークに対し超音波のセクタ走査面を2.7°未満の回転角ピッチとして決定する走査回転角ピッチ決定ステップを有し、段差検出ステップは、フォークの段差を検出する段差検出確認ステップを有することにより、
フォーク穴部の応力範囲を所定値以下の角度ピッチで探傷できるので、3次元超音波探傷の確実性が向上する。また、フォークの超音波探傷走査を電気的制御により実行するため、機械的にUTセンサを移動させる従来の超音波探傷方法よりも検査時間を低減し、正確な走査範囲の設定によりデータ処理量を削減して検査時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1の超音波探傷システムを示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1の超音波センサの構造を示す模式図。
【図3】本発明の実施例1の3次元超音波探傷方法を示す模式図。
【図4】本発明の実施例1の遅延時間の評価例を示すグラフ。
【図5A】本発明の実施例1の超音波3次元走査方法を示す説明図。
【図5B】本発明の実施例1の超音波3次元走査方法を示す説明図。
【図6】本発明の実施例1の超音波探傷方法を示すフローチャート。
【図7A】本発明の実施例1の受信強度のセクタ走査面回転角を示す模式図。
【図7B】本発明の実施例1の受信強度のセクタ走査面回転角依存性を示すグラフ。
【図8】本発明の実施例2の超音波探傷方法を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例2のセンサ位置測定ステップにおけるセクタ走査面回転走査ピッチ決定方法を示す説明図。
【図10A】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図10B】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図10C】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図10D】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図11】従来例のタービンを示す説明図。
【図12】従来例のタービン動翼フォークを示す斜視図。
【図13】従来例のタービン動翼フォークの応力部を示す斜視図。
【図14】従来例のタービン動翼フォークの超音波探傷方法を示す模式図。
【図15A】従来例のタービン動翼フォークの健全部の超音波探傷例を示す説明図。
【図15B】従来例のタービン動翼フォークの欠陥部の超音波探傷例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、実施例につき図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1における超音波探傷システムを示すブロック図である。実施例1における超音波探傷システムは、フェーズドアレイ超音波センサからなるUTセンサ1、超音波探傷装置10、データ処理装置および超音波探傷条件を決定する制御装置としてのパソコン9およびこれに用いられる各種コンピュータプログラムより構成される。
【0025】
ここで、パソコン9は、CPU21に接続されたHDD22、RAM23、ROM24を備え、CPU21とキーボード26、記録メディア27、モニタ28がI/Oポート25aを介して超音波探傷装置10と接続される。また、超音波探傷装置10は、パソコン9のI/Oポート25aと接続されたI/Oポート25bと、これに接続されたA/Dコンバータ29及びD/Aコンバータ30を有し、超音波探傷装置10はUTセンサ1と接続されている。
【0026】
このうち、UTセンサ1は、図2に示すように、直方体の超音波素子31を2方向に配列して保護ケース34に収納している。UTセンサ1を構成する個々の超音波素子31は、検査対象に対面する底面に設けられた電極32と、各超音波素子31の上面に設けられた電極32Bに電圧を印加する図示しない信号線と、電極32B上に設けられ、発振した超音波のエネルギーを吸収するダンパー33を備えている。ダンパー33は、超音波発振時の残振を減らしS/N比を向上することができる。
【0027】
超音波素子31の材料は、PZT(圧電セラミック:Pb(Zr,Ti)O3)、LiNbO3、PVDF(高分子圧電素子:Polyvinylidene Fluoride)等の圧電素子を使用できる。また、電極32と電極32Bとしては、Au、Ag、Cu等の導電性の高い金属を、信号線としては銅線を、ダンパー33としてはHf、W、Ta等の重金属を樹脂に混合したものを用いることが好ましい。また、保護ケース34は、樹脂、金属のうち1つ以上の材質からなるものを成型して用いることが好ましい。
【0028】
図3は、UTセンサ1を用いて超音波探傷を行う方法を示す模式図である。図3に示すように、超音波探傷を行う際には、UTセンサ1内に平行配置した複数の超音波素子31から焦点36に同時に超音波が届くように各超音波素子31間の遅延時間を調整する。
【0029】
ここで、超音波素子31と焦点36との最大距離をmax(L)[m]、図中のx軸方向のi番目でy軸方向のj番目の超音波素子31と焦点36との距離をLij[m]、超音波の伝搬速度(音速)をV[m/s]、超音波素子31のX座標をxij[m]、超音波素子31のY座標をyij[m]、焦点36のX座標をxf[m]、焦点36のY座標をyf[m]とする。
【0030】
このとき、x軸方向のi番目でy軸方向のj番目の超音波素子31と焦点36との距離Lij[m]、及び各超音波素子31の超音波発振開始時間差dt[s](以下、遅延時間と記す)は次式(1)、(2)で表される。
〔数1〕
Lij=((xij−xf)2+(yij−yf)2)1/2[m] ・・・(1)
〔数2〕
dt=(max(L)−Lij)/V[s] ・・・(2)
図4は、横軸にUTセンサ1の素子位置、縦軸に遅延時間dt[s]を示したグラフである。図4の例では、8個の素子から構成される素子列を3列設置しており、2列目、5番の位置の素子に最も近い位置に焦点を置くときの時間差を表しており、具体的には超音波素子31の総数が24個、V=5780[m/s]、xi=(0.5i−0.25)×10−3[mm]、yi=0[m]、xf=0[m]、yf=3×10−2[m]のときの遅延時間dt[s]を示している。
【0031】
図4の遅延時間で、焦点から遠い超音波素子を早く発振させると、各素子から焦点への超音波到達時間が揃うため信号強度を強くすることができる。
【0032】
次に図5A、5Bを用いて実施例1の3次元超音波探傷を用いたフォークのUT方法について説明する。この探傷方法では図5Aに示すようにセンサ設置面101上にUTセンサを設け、セクタ面内で超音波の屈折角と焦点距離を所定範囲で変化させて走査し、屈折角と焦点距離に対応した超音波エコー反射強度を2次元平面上に表示する(セクタ走査像の生成)。
【0033】
次いで、図5Bに示すようにセクタ走査面を回転走査することにより、フォーク5内を超音波により3次元走査する。実施例1のフォークのUTにおいては、図5Bに示すようにピン穴エコーが検出されるセクタ走査面走査方向を開始点とし、段差方向に紙面に垂直なセクタ走査面を回転走査していき、段差エコーが検出された点を走査終了点とする。段差からのエコーを検出するまでセクタ走査面を回転走査することで、図13に示したピン穴6の応力部をくまなく検査することが可能となる。
【0034】
次に、図1の超音波探傷システムを用いて、図6に示すタービン動翼フォークの超音波探傷方法のフローチャートに従い、図5A、5Bの3次元超音波探傷の実施方法について説明する。
【0035】
まず、フローチャートの概略について説明する。図6のフローチャートは、ピン穴エコー検出ステップS101、超音波探傷ステップS102、段差エコー検出ステップS103に大別される。このうち、ピン穴検出ステップS101は探傷開始点を決定するために使用される。超音波探傷ステップS102において3次元走査により超音波探傷を実施する。この時の走査角度ピッチは、応力部をくまなく探傷できるよう所定値以下に決定される。段差エコー検出ステップS103は探傷終了点を決定するために使用される。以下、順次実行される全てのステップについて説明する。
(1)ピン穴エコー検出ステップS101
最初にピン穴検出ステップS101について説明する。まず、S101aにおいて、オペレータがUTセンサ1の正面方向がほぼピン穴6と対向するよう、UTセンサ1をセンサ設置面101に設置する。ここでいうUTセンサ1の正面方向とは、センサ設置面101上における図2に示す超音波素子の短尺方向の垂線方向である。
【0036】
次に、S101bにおいて、図2のパソコン9のキーボード26からオペレータがピン穴検出開始信号を入力する。ピン穴検出開始信号は、パソコンのI/Oポート25aを介してCPU21に伝達される。検出開始信号入力後、UTセンサ1の正面方向に超音波をセクタ走査する。セクタ面の屈折角の走査範囲は超音波の反射効率が高い35〜55°を含む範囲とし、超音波の焦点距離はS101aでUTセンサ1を設置する位置からピン穴6までの概略の距離とする。
【0037】
ピン穴検出のためのセクタ走査の遅延時間は、センサ設置面101におけるUTセンサ設置の前に解析して、予めパソコン9のHDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させておき、ピン穴検出開始信号の入力に伴いCPU21で読み出して、パソコン9のI/Oポート25a、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、D/Aコンバータ30を介してUTセンサ1に電圧を印加して超音波を送信する。
【0038】
フォーク5内の凹凸からのエコーはUTセンサ1で電圧に変換してA/Dコンバータ29、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達される。CPU21はエコーの検出距離と屈折角度をHDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記録するとともに、I/Oポート25aを介してモニタ28上にエコーの発生角度、発生距離、強度を表示する。
【0039】
次に、S101bのモニタへの表示に基づき、S101cでピン穴信号の検出の有無を確認する。概略のUTセンサ設置位置がわかっており、ピン穴信号が検出される概略の屈折角と距離が決まるため、その屈折角・距離近辺に形状信号が検出されるか否かから、オペレータがピン穴信号検出の有無を判断する。ピン穴信号が検出されていない場合には、ピン穴信号が検出されるまでUTセンサ1の向きと位置を再調整する。
【0040】
S101cでピン穴信号の検出を確認後、S101dでピン穴信号検出点をセクタ走査面の回転走査の開始点とする信号をオペレータがキーボード26から入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。
(2)超音波探傷ステップS102
ステップS102においては、超音波探傷装置10を利用したUTを実行する。まずS102aで、各セクタ走査面の回転走査の1走査当り回転角(回転角ピッチ)を決定する。回転角を大きくすると走査点が減るため探傷が高速化されるが、各セクタ走査面間に超音波が到達しない箇所が生じる場合がある。このため、セクタ走査面の回転角ピッチは超音波が到達しない箇所が生じない範囲で決定しなければならない。
【0041】
図7A、7Bで信号検出強度のセクタ走査面の回転角依存性を説明する。ここでいう回転角とは、図7Aに示す様に、セクタ走査面上に検査対象位置がある場合の走査面角度を0°としたときの基準位置に対するセクタ走査面の回転角である。図7Bに示すように、セクタ走査面が検査位置から約2.7°回転するとエコー検出強度が0となるため、セクタ走査面の回転角ピッチを2.7°未満とする必要がある。すなわちS101cで決定したセクタ走査面の走査開始角から、2.7°未満の回転角ピッチでセクタ走査面の回転角を決定する。
【0042】
検出強度のセクタ走査面の回転角依存性は、超音波素子サイズ、欠陥とセンサの距離、欠陥の大きさ等により決定され、実際の探傷検査条件から決定される。
【0043】
S102bでは、101cで測定したピン穴6とUTセンサ1との距離と、102aで求めたセクタ走査面の回転角走査条件から、HDD22、RAM23、ROM24のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させた式(1)及び式(2)に従って、各超音波素子の遅延時間を求める遅延時間計算プログラムを用いて、CPU21で遅延時間を計算する。
【0044】
S102cでは、S102bで求めた遅延時間に基づき、パソコン9のI/Oポート25a、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、D/Aコンバータ30を介してUTセンサ1に電圧を印加して超音波を送信し、超音波探傷を実行する。フォーク5内からのエコーは、UTセンサ1で電圧に変換してA/Dコンバータ29、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達される。CPU21でエコーの強度、屈折角、距離をHDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記録するとともに、I/Oポート25aを介してモニタ28上に表示する。
(3)段差エコー検出ステップS103
最後に、ステップS103で、検査終了信号となる段差エコーの検出を確認する。まず、S103aにおいて、S102cの超音波探傷ステップで得られたエコー強度を屈折角と距離に対して色諧調表示する。
【0045】
次に、S103bにおいて、S103aで表示された探傷像からオペレータが段差エコーの有無を確認する。ピン穴6に対する段差8の位置は決まっているため、ピン穴信号の検出位置に対する段差エコーの相対位置も決まる。その位置に形状信号が検出されるか否かから段差エコー検出の有無を確認する。段差エコーが検出されない場合には、ステップS101から再び探傷をやり直す。
【0046】
段差エコーの検出を確認後、検査終了信号をキーボード28から入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、超音波探傷を終了する。
【0047】
実施例1は以上説明したように構成されているため、タービン動翼フォークの応力範囲をくまなくセクタ走査面の回転走査により探傷することが可能である。また、従来は超音波走査を機械的に行っていたのに対し、電子的に走査するため高速化を図ることができる。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明の実施例2を図面を用いて説明する。使用する超音波探傷システムの構成図は図1と同様であり、超音波探傷方法のフローチャートは図8のように構成する。
【0049】
実施例1ではセクタ走査面の回転走査開始点と終了点を探傷像に基づいてオペレータが決定したのに対し、実施例2はフォーク上に設置したセンサ位置を超音波の送受信により自動的に測定するステップを設け、セクタ走査面の回転走査の開始点と終了点を自動的に決定することを特徴とする。
【0050】
以下、図1および図8を用いて、実施例2におけるタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法を説明する。図8の実施例2における検査ステップのフローチャートは、フォーク形状データ入力ステップS201、センサ位置測定ステップS202、超音波探傷ステップS203、探傷範囲確認ステップS204の4ステップに大別される。
(1)フォーク形状データ入力ステップS201
ステップS201において、パソコン9の記録メディア27からフォーク形状データを入力し、パソコン9のI/Oポート25a、CPU21を介して、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。記録メディア27としてはブルーレイディスク、DVD等を用いる。また、形状データはパソコン内のHDD等に予め蓄積しておくこともできる。
(2)センサ位置測定ステップS202
S202aで、オペレータが図2のキーボード28から測定開始信号を入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、CPU21がこれを認識してフォーク5上のセンサ位置の測定を開始する。
【0051】
S202bのセンサ位置の測定は、セクタ走査面を一定の角度ピッチφで回転走査することにより実施する。
【0052】
図9にピン穴6を検出するために必要なセクタ走査面の回転走査角ピッチφの説明図を示す。センサ設置面101にUTセンサ1を設置してセクタ走査面を回転走査した場合に、いづれかのセクタ走査面をピン穴に入射させるためには、回転走査角ピッチをピン穴6の上端103、ピン穴6の上端103からピン穴の軸を中心に90°回転したピン穴上の点104及びUTセンサ1とのなす角φ以下とする必要がある。センサ設置面101の端の点102にセンサを設置した場合にφが最小となる。センサ設置面101の他の位置にUTセンサを設置した場合には、ピン穴上の2端103と104とUTセンサとのなす角度は前記角度φよりも大きなものとなるため、φでセクタ走査面を回転走査した場合、いずれかのセクタ走査面がピン穴6に入射する。この角度ピッチφは以下の式(3)〜(5)で記述される。
〔数3〕
φ=cos−1[(a2+b2−2r2)÷(2・a・b)] ・・・(3)
〔数4〕
a=√[(Δy−r)2+Δx2] ・・・(4)
〔数5〕
b= √[ Δy2+(Δx−r)2] ・・・(5)
ここで、
Δx:フォーク幅[m]
Δy:フォーク上端とピン穴中心との距離[m]
r:ピン穴半径[m]
を表す。
【0053】
ステップS201で入力したフォークの形状データと、HDD22、RAM23、ROM24に格納した式(3)〜(5)に基づいて角度ピッチφを計算するセクタ面回転走査角ピッチ計算プログラムを用い、CPU21でφを求める。UTセンサ1の正面方向を基点として、φ以下の角度ピッチでセクタ走査面を回転走査する。
【0054】
また、セクタ走査角範囲は超音波の反射効率が高い35〜55°を含む範囲とし、超音波の焦点距離はUTセンサ1からピン穴6までの距離とする。この超音波走査の遅延時間は、HDD22、RAM23、ROM24のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させた、式(1)及び式(2)に従って遅延時間を求める数値計算プログラムを用いて、CPU21で計算する。
【0055】
S202cではS202bの遅延時間の計算結果に基づき、パソコン9のI/Oポート25a、超音波探傷装置のI/Oポート25b、D/Aコンバータ30を介して、UTセンサ1に電圧を印加して超音波を送信する。この結果、フォーク5内で生じるエコーをUTセンサ1で受信して、A/Dコンバータ29、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、パソコンのI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、HDD22、RAM23のうち1つ以上の記憶装置に記憶させる。
【0056】
S202dではS202cで取得したエコーの発生方向と発生距離からフォーク5上のセンサ位置を自動的に解析する。
【0057】
図10A〜10Dは解析方法の説明図であり、ピン穴6A、ピン穴6B及び段差8とUTセンサ1との距離を用いてセンサ位置を求めている。何れの図もセンサ位置を決定する方法を示しているが、各々の精度は異なっており条件に応じて何れの方法を用いても良い。
【0058】
図10Aはピン穴6AとUTセンサ1との距離から計算されるUTセンサ1が存在しうる位置の解析方法で、例えばピン穴6A上のいずれかの点a、b、cを中心としS203cで測定されたピン穴6AとUTセンサ1との距離を半径とした円弧群上にUTセンサ1が存在する。
【0059】
図10Bはピン穴6A及びピン穴6BとUTセンサ1との距離を考慮した場合のセンサ位置の解析方法で、ピン穴6A上の点を中心としピン穴6AとUTセンサ1との距離を半径とした円弧群と、ピン穴6B上の点を中心としピン穴6BとUTセンサ1との距離を半径とした円弧群の交点で囲まれたエリアにUTセンサ1が存在する。
【0060】
図10Cはピン穴6A及び段差8上の1点とUTセンサ1との距離を考慮した場合のセンサ位置の解析方法を示す。この方法においては、ピン穴6Aとセンサ1、段差8とセンサ1の距離はそれぞれS202cで求められている。また、ピン穴6Aが検出される走査方向、段差8が検出される走査方向もS202cで求められている。従って、センサ、ピン穴6Aの反射点、段差8の反射点の3点を頂点とした3角形が1意に決まる。この三角形のピン穴6Aの反射点に対応する頂点をピン穴、段差8に対応する頂点を段差に接するように移動させたときの、残りの頂点が図10Bで求めたエリア内で描く曲線1上にセンサ1がある。
【0061】
図10Dはピン穴6Aと段差8上の他の1点を追加してUTセンサ1との距離を考慮した場合のセンサ位置の解析方法を示す。この方法においても、ピン穴6Aとセンサ1、段差8とセンサ1の距離はそれぞれS202cで求められている。また、ピン穴6Aが検出される走査方向、段差8が検出される走査方向もS202cで求められている。従って、センサ、ピン穴6Aの反射点、段差8の反射点の3点を頂点とした3角形が1意に決まる。この三角形のピン穴6Aの反射点に対応する頂点をピン穴、段差8に対応する頂点を段差に接するように移動させたときの、残りの頂点が描く曲線2と図10Cの曲線1との交点にセンサがある。この場合は、ピンポイントでセンサ位置が決定される。
【0062】
実際の計算は、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させた図10A〜10Dの評価ステップに基づいてセンサ位置を解析するセンサ位置解析プログラムを用い、CPU21で解析する。また、この解析結果は、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。
(3)超音波探傷ステップS203
ステップS203では、ステップS202で求めたUTセンサ位置に基づき、セクタ走査面の回転走査条件を決定し、超音波探傷を実施する。
【0063】
S203aではステップS202で測定したUTセンサ位置に基づき、CPU21でピン穴方向をセクタ走査面の回転走査の開始点、段差を終了点としてセクタ走査面の回転角範囲を決定する。セクタ走査面の回転角ピッチ決定のアルゴリズムは、S102aと同様である。こうしてCPU21で求めたセクタ走査面の回転走査条件は、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。
【0064】
S203bではS203aで決定したセクタ走査面の回転走査条件に基づき遅延時間を解析する。遅延時間の解析方法は、S102bと同様である。また、事前に超音波伝播距離、屈折角、セクタ走査面の回転角に応じて計算した遅延時間をデータベースとしてHDD22あるいはRAM23に保存し、データベースに基づいて遅延時間を決定してもよい。このデータベースに基づく遅延時間の事前解析は実施例1に適用しても良い。
【0065】
S203cではS203bで解析した遅延時間に基づき、超音波探傷を実施する。超音波探傷方法は、S102cと同様である。
(4)探傷結果確認ステップS204
最後に、ステップS204で超音波探傷範囲の妥当性を確認する。まず、S204aにおいて、演算処理を行い、探傷結果をモニタ28に表示する。表示方法はS103aと同様である。表示された探傷像から、オペレータがセクタ走査面の回転走査の開始点となるピン穴6の信号と、回転走査の終了点となる段差8の信号の有無を確認する。
【0066】
S204aでピン穴6と段差8の信号が検出されていることを確認後、S204bにおいて、超音波探傷終了信号をキーボード26から入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、探傷を終了する。
【0067】
また、段差の検出方向をセクタ面の回転走査の開始点、ピン穴の検出方向をセクタ面の回転走査の終了点として、セクタ面の回転走査方向を逆向きにして探傷してもよい。このセクタ面の回転走査方向の逆転は、実施例1に用いても良い。
【0068】
実施例2は上記のように構成されているので、タービン動翼フォークの応力範囲をくまなく電子的なセクタ走査面の回転走査により自動的に探傷することが可能である。また、UTセンサを移動することなくセクタ走査面の回転走査開始点、終了点を決定可能であるため、センサ位置の機械的な移動により回転走査開始点を決定していた実施例1と比べて、さらに検査が高速化される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明における超音波探傷方法は、タービン動翼フォークと同様の構成を持つ産業用機器の超音波探傷の確実度を向上し、探傷時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:UTセンサ
2:動翼
3:ディスク
4:回転軸
5:フォーク
6:ピン穴
7:ピン
9:パソコン
10:超音波探傷装置
21:CPU
22:HDD
23:RAM
24:ROM
25a、25b:I/Oポート
26:キーボード
27:記録メディア
28:モニタ
31:超音波素子
100:応力部
101:センサ設置面
102:センサ設置面の端の点
103:ピン穴6の上端
104:ピン穴6の上端103からピン穴の軸を中心に90°回転したピン穴上の点
S101:ピン穴エコー検出ステップ
S101a:UTセンサ設置ステップ
S101b:測定開始信号入力ステップ
S101c:ピン穴エコー検出確認ステップ
S101d:探傷開始点決定ステップ
S102:超音波探傷ステップ
S102a:セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップ
S102b:遅延時間決定ステップ
S102c:超音波探傷ステップ
S103:段差エコー検出ステップ
S103a:超音波探傷結果処理・表示ステップ
S103b:段差エコー検出確認ステップ
S201:フォーク形状データ入力ステップ
S202:センサ位置測定ステップ
S202a:測定開始信号入力ステップ
S202b:セクタ走査角度ピッチ決定ステップ
S202c:超音波送受信ステップ
S202d:センサ位置解析ステップ
S203:超音波探傷ステップ
S203a:セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップ
S203b:遅延時間決定ステップ
S203c:超音波探傷ステップ
S204:探傷範囲確認ステップ
S204a:超音波探傷結果処理・表示ステップ
S204b:探傷範囲妥当性確認ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン動翼フォークの超音波探傷方法に係り、特に探傷精度を高く保ちつつ探傷時間を短縮できる超音波探傷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図11、図12に示すように、発電プラントのタービンは製作性と整備性の向上のため回転軸4と動翼2を別々に製作し、回転軸4上のディスク3と段差8のあるタービン動翼フォーク(以下フォークという)を組み合わせ、ディスク3とフォーク5のピン穴6にピン7を挿入して両者を固定している。
【0003】
図13に示すように、タービンの回転に伴いピン穴6の100の位置に応力が発生する。このため応力部100の健全性を超音波探傷法(Ultrasonic Testing:UT)により検査している。UTは検査対象内に超音波を送信し欠陥からの反射波(エコー)を受信する検査方法であり、エコーの有無が欠陥の有無に対応する。
【0004】
従来のピン穴応力部のUTでは、図14に示すようにタービンの回転軸と垂直で回転方向と平行に設けたフォーク5の側面平面部であるセンサ設置面101に超音波センサ(UTセンサ)1を設置し、UTセンサ1を回転・平行移動させながら応力部100に超音波を入射させていた(特許文献1)。この探傷方法では、図15Aの基準サンプル探傷例に示すようにピン穴周辺の形状信号を基準信号として検出する。図15Aと対比すると、図15Bの探傷例に示すように欠陥信号が形状信号近辺に検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4474395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1では、手動あるいはアクチュエータにより機械的にUTセンサを移動させるため、センサ方向のずれによって超音波が送受信されない領域が生じる可能性がある。また、機械的にUTセンサを移動させるため、検査に時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、探傷検査時間を短縮してフォークの応力部をくまなく探傷可能な3次元超音波探傷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タービン本体にピン接合するためのピン穴と段差を有するフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により円弧状に屈折角を走査する超音波のセクタ走査面を回転走査して探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記フォークのピン穴を検出するピン穴検出ステップと、前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップと、前記フォークの段差を検出する段差検出ステップを有し、前記ピン穴検出ステップは、前記フォークの前記ピン穴エコーを検出するピン穴エコー検出確認ステップを有し、前記超音波探傷ステップは、前記フォークに対し前記セクタ走査面を回転走査する角度ピッチを2.7°未満に決定する走査回転角ピッチ決定ステップを有し、前記段差検出ステップは、前記フォークの段差エコーを検出する段差エコー検出確認ステップを有することを特徴とする。
【0009】
また、タービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで、前記ピン穴エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とする。
【0010】
またタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記段差エコー検出確認ステップで、前記段差エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【0011】
またタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで前記ピン穴を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、前記段差エコー検出確認ステップで前記段差を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【0012】
また、タービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴検出ステップは、UTセンサ設置ステップと、測定開始信号入力ステップと、ピン穴エコー検出確認ステップと、探傷開始点決定ステップを有し、前記超音波探傷ステップは、セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、遅延時間決定ステップと、超音波探傷ステップを有し、前記段差検出ステップは、超音波探傷結果処理・表示ステップと、段差エコー検出確認ステップを有することを特徴とする。
【0013】
さらに、フォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置と制御装置によりセクタ走査面を回転走査して前記フォークを探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記フォーク形状を前記制御装置に入力するフォーク形状データ入力ステップと、前記フォーク上の前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置測定ステップと、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップとを有し、前記センサ位置測定ステップはさらに、前記フォーク上において次式で記述される角度φ以下の角度ピッチでセクタ走査面を回転走査するセクタ走査回転角ピッチ決定ステップと、
φ=cos−1[(a2+b2−2r2)÷(2・a・b)]
a=√[(Δy−r)2+Δx2]
b= √[ Δy2+(Δx−r)2]
Δx:フォーク幅[m]
Δy:フォーク上端とピン穴中心との距離[m]
r:ピン穴半径[m]
角度ピッチφで前記セクタ走査面を回転走査する超音波送受信ステップと、
前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置解析ステップを有することを特徴とする。
【0014】
さらに、タービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップは、セクタ走査面の回転角範囲を決定し、セクタ走査面の回転角ピッチを2.7°未満の範囲で決定するセクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、超音波の遅延時間決定ステップと前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップを有することを特徴とする。
【0015】
さらに、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴のうち二つのピン穴と前記超音波センサとの距離を測定して前記超音波センサが存在するエリアを決定することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記フォークの前記段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記エリア内で前記超音波センサの存在する第1の曲線を決定することを特徴とする。
【0017】
さらに、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記段差と異なる位置の段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記超音波センサの存在する第2の曲線を決定し、前記第1の曲線と第2の曲線の交点を前記超音波センサ位置とすることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記ピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記段差が検出されるセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【0020】
さらに、前記超音波センサの設置位置を評価するステップで測定されたピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、段差を検出したセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ピン穴と段差を有するフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により超音波のセクタ走査面を回転走査するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、ピン穴検出ステップと、3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップと、段差検出ステップを有し、ピン穴検出ステップは、フォークのピン穴を検出するピン穴検出確認ステップを有し、超音波探傷ステップはフォークに対し超音波のセクタ走査面を2.7°未満の回転角ピッチとして決定する走査回転角ピッチ決定ステップを有し、段差検出ステップは、フォークの段差を検出する段差検出確認ステップを有することにより、
フォーク穴部の応力範囲を所定値以下の角度ピッチで探傷できるので、3次元超音波探傷の確実性が向上する。また、フォークの超音波探傷走査を電気的制御により実行するため、機械的にUTセンサを移動させる従来の超音波探傷方法よりも検査時間を低減し、正確な走査範囲の設定によりデータ処理量を削減して検査時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1の超音波探傷システムを示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1の超音波センサの構造を示す模式図。
【図3】本発明の実施例1の3次元超音波探傷方法を示す模式図。
【図4】本発明の実施例1の遅延時間の評価例を示すグラフ。
【図5A】本発明の実施例1の超音波3次元走査方法を示す説明図。
【図5B】本発明の実施例1の超音波3次元走査方法を示す説明図。
【図6】本発明の実施例1の超音波探傷方法を示すフローチャート。
【図7A】本発明の実施例1の受信強度のセクタ走査面回転角を示す模式図。
【図7B】本発明の実施例1の受信強度のセクタ走査面回転角依存性を示すグラフ。
【図8】本発明の実施例2の超音波探傷方法を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例2のセンサ位置測定ステップにおけるセクタ走査面回転走査ピッチ決定方法を示す説明図。
【図10A】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図10B】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図10C】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図10D】本発明の実施例2のセンサ位置評価方法を示す説明図。
【図11】従来例のタービンを示す説明図。
【図12】従来例のタービン動翼フォークを示す斜視図。
【図13】従来例のタービン動翼フォークの応力部を示す斜視図。
【図14】従来例のタービン動翼フォークの超音波探傷方法を示す模式図。
【図15A】従来例のタービン動翼フォークの健全部の超音波探傷例を示す説明図。
【図15B】従来例のタービン動翼フォークの欠陥部の超音波探傷例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、実施例につき図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1における超音波探傷システムを示すブロック図である。実施例1における超音波探傷システムは、フェーズドアレイ超音波センサからなるUTセンサ1、超音波探傷装置10、データ処理装置および超音波探傷条件を決定する制御装置としてのパソコン9およびこれに用いられる各種コンピュータプログラムより構成される。
【0025】
ここで、パソコン9は、CPU21に接続されたHDD22、RAM23、ROM24を備え、CPU21とキーボード26、記録メディア27、モニタ28がI/Oポート25aを介して超音波探傷装置10と接続される。また、超音波探傷装置10は、パソコン9のI/Oポート25aと接続されたI/Oポート25bと、これに接続されたA/Dコンバータ29及びD/Aコンバータ30を有し、超音波探傷装置10はUTセンサ1と接続されている。
【0026】
このうち、UTセンサ1は、図2に示すように、直方体の超音波素子31を2方向に配列して保護ケース34に収納している。UTセンサ1を構成する個々の超音波素子31は、検査対象に対面する底面に設けられた電極32と、各超音波素子31の上面に設けられた電極32Bに電圧を印加する図示しない信号線と、電極32B上に設けられ、発振した超音波のエネルギーを吸収するダンパー33を備えている。ダンパー33は、超音波発振時の残振を減らしS/N比を向上することができる。
【0027】
超音波素子31の材料は、PZT(圧電セラミック:Pb(Zr,Ti)O3)、LiNbO3、PVDF(高分子圧電素子:Polyvinylidene Fluoride)等の圧電素子を使用できる。また、電極32と電極32Bとしては、Au、Ag、Cu等の導電性の高い金属を、信号線としては銅線を、ダンパー33としてはHf、W、Ta等の重金属を樹脂に混合したものを用いることが好ましい。また、保護ケース34は、樹脂、金属のうち1つ以上の材質からなるものを成型して用いることが好ましい。
【0028】
図3は、UTセンサ1を用いて超音波探傷を行う方法を示す模式図である。図3に示すように、超音波探傷を行う際には、UTセンサ1内に平行配置した複数の超音波素子31から焦点36に同時に超音波が届くように各超音波素子31間の遅延時間を調整する。
【0029】
ここで、超音波素子31と焦点36との最大距離をmax(L)[m]、図中のx軸方向のi番目でy軸方向のj番目の超音波素子31と焦点36との距離をLij[m]、超音波の伝搬速度(音速)をV[m/s]、超音波素子31のX座標をxij[m]、超音波素子31のY座標をyij[m]、焦点36のX座標をxf[m]、焦点36のY座標をyf[m]とする。
【0030】
このとき、x軸方向のi番目でy軸方向のj番目の超音波素子31と焦点36との距離Lij[m]、及び各超音波素子31の超音波発振開始時間差dt[s](以下、遅延時間と記す)は次式(1)、(2)で表される。
〔数1〕
Lij=((xij−xf)2+(yij−yf)2)1/2[m] ・・・(1)
〔数2〕
dt=(max(L)−Lij)/V[s] ・・・(2)
図4は、横軸にUTセンサ1の素子位置、縦軸に遅延時間dt[s]を示したグラフである。図4の例では、8個の素子から構成される素子列を3列設置しており、2列目、5番の位置の素子に最も近い位置に焦点を置くときの時間差を表しており、具体的には超音波素子31の総数が24個、V=5780[m/s]、xi=(0.5i−0.25)×10−3[mm]、yi=0[m]、xf=0[m]、yf=3×10−2[m]のときの遅延時間dt[s]を示している。
【0031】
図4の遅延時間で、焦点から遠い超音波素子を早く発振させると、各素子から焦点への超音波到達時間が揃うため信号強度を強くすることができる。
【0032】
次に図5A、5Bを用いて実施例1の3次元超音波探傷を用いたフォークのUT方法について説明する。この探傷方法では図5Aに示すようにセンサ設置面101上にUTセンサを設け、セクタ面内で超音波の屈折角と焦点距離を所定範囲で変化させて走査し、屈折角と焦点距離に対応した超音波エコー反射強度を2次元平面上に表示する(セクタ走査像の生成)。
【0033】
次いで、図5Bに示すようにセクタ走査面を回転走査することにより、フォーク5内を超音波により3次元走査する。実施例1のフォークのUTにおいては、図5Bに示すようにピン穴エコーが検出されるセクタ走査面走査方向を開始点とし、段差方向に紙面に垂直なセクタ走査面を回転走査していき、段差エコーが検出された点を走査終了点とする。段差からのエコーを検出するまでセクタ走査面を回転走査することで、図13に示したピン穴6の応力部をくまなく検査することが可能となる。
【0034】
次に、図1の超音波探傷システムを用いて、図6に示すタービン動翼フォークの超音波探傷方法のフローチャートに従い、図5A、5Bの3次元超音波探傷の実施方法について説明する。
【0035】
まず、フローチャートの概略について説明する。図6のフローチャートは、ピン穴エコー検出ステップS101、超音波探傷ステップS102、段差エコー検出ステップS103に大別される。このうち、ピン穴検出ステップS101は探傷開始点を決定するために使用される。超音波探傷ステップS102において3次元走査により超音波探傷を実施する。この時の走査角度ピッチは、応力部をくまなく探傷できるよう所定値以下に決定される。段差エコー検出ステップS103は探傷終了点を決定するために使用される。以下、順次実行される全てのステップについて説明する。
(1)ピン穴エコー検出ステップS101
最初にピン穴検出ステップS101について説明する。まず、S101aにおいて、オペレータがUTセンサ1の正面方向がほぼピン穴6と対向するよう、UTセンサ1をセンサ設置面101に設置する。ここでいうUTセンサ1の正面方向とは、センサ設置面101上における図2に示す超音波素子の短尺方向の垂線方向である。
【0036】
次に、S101bにおいて、図2のパソコン9のキーボード26からオペレータがピン穴検出開始信号を入力する。ピン穴検出開始信号は、パソコンのI/Oポート25aを介してCPU21に伝達される。検出開始信号入力後、UTセンサ1の正面方向に超音波をセクタ走査する。セクタ面の屈折角の走査範囲は超音波の反射効率が高い35〜55°を含む範囲とし、超音波の焦点距離はS101aでUTセンサ1を設置する位置からピン穴6までの概略の距離とする。
【0037】
ピン穴検出のためのセクタ走査の遅延時間は、センサ設置面101におけるUTセンサ設置の前に解析して、予めパソコン9のHDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させておき、ピン穴検出開始信号の入力に伴いCPU21で読み出して、パソコン9のI/Oポート25a、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、D/Aコンバータ30を介してUTセンサ1に電圧を印加して超音波を送信する。
【0038】
フォーク5内の凹凸からのエコーはUTセンサ1で電圧に変換してA/Dコンバータ29、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達される。CPU21はエコーの検出距離と屈折角度をHDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記録するとともに、I/Oポート25aを介してモニタ28上にエコーの発生角度、発生距離、強度を表示する。
【0039】
次に、S101bのモニタへの表示に基づき、S101cでピン穴信号の検出の有無を確認する。概略のUTセンサ設置位置がわかっており、ピン穴信号が検出される概略の屈折角と距離が決まるため、その屈折角・距離近辺に形状信号が検出されるか否かから、オペレータがピン穴信号検出の有無を判断する。ピン穴信号が検出されていない場合には、ピン穴信号が検出されるまでUTセンサ1の向きと位置を再調整する。
【0040】
S101cでピン穴信号の検出を確認後、S101dでピン穴信号検出点をセクタ走査面の回転走査の開始点とする信号をオペレータがキーボード26から入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。
(2)超音波探傷ステップS102
ステップS102においては、超音波探傷装置10を利用したUTを実行する。まずS102aで、各セクタ走査面の回転走査の1走査当り回転角(回転角ピッチ)を決定する。回転角を大きくすると走査点が減るため探傷が高速化されるが、各セクタ走査面間に超音波が到達しない箇所が生じる場合がある。このため、セクタ走査面の回転角ピッチは超音波が到達しない箇所が生じない範囲で決定しなければならない。
【0041】
図7A、7Bで信号検出強度のセクタ走査面の回転角依存性を説明する。ここでいう回転角とは、図7Aに示す様に、セクタ走査面上に検査対象位置がある場合の走査面角度を0°としたときの基準位置に対するセクタ走査面の回転角である。図7Bに示すように、セクタ走査面が検査位置から約2.7°回転するとエコー検出強度が0となるため、セクタ走査面の回転角ピッチを2.7°未満とする必要がある。すなわちS101cで決定したセクタ走査面の走査開始角から、2.7°未満の回転角ピッチでセクタ走査面の回転角を決定する。
【0042】
検出強度のセクタ走査面の回転角依存性は、超音波素子サイズ、欠陥とセンサの距離、欠陥の大きさ等により決定され、実際の探傷検査条件から決定される。
【0043】
S102bでは、101cで測定したピン穴6とUTセンサ1との距離と、102aで求めたセクタ走査面の回転角走査条件から、HDD22、RAM23、ROM24のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させた式(1)及び式(2)に従って、各超音波素子の遅延時間を求める遅延時間計算プログラムを用いて、CPU21で遅延時間を計算する。
【0044】
S102cでは、S102bで求めた遅延時間に基づき、パソコン9のI/Oポート25a、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、D/Aコンバータ30を介してUTセンサ1に電圧を印加して超音波を送信し、超音波探傷を実行する。フォーク5内からのエコーは、UTセンサ1で電圧に変換してA/Dコンバータ29、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達される。CPU21でエコーの強度、屈折角、距離をHDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記録するとともに、I/Oポート25aを介してモニタ28上に表示する。
(3)段差エコー検出ステップS103
最後に、ステップS103で、検査終了信号となる段差エコーの検出を確認する。まず、S103aにおいて、S102cの超音波探傷ステップで得られたエコー強度を屈折角と距離に対して色諧調表示する。
【0045】
次に、S103bにおいて、S103aで表示された探傷像からオペレータが段差エコーの有無を確認する。ピン穴6に対する段差8の位置は決まっているため、ピン穴信号の検出位置に対する段差エコーの相対位置も決まる。その位置に形状信号が検出されるか否かから段差エコー検出の有無を確認する。段差エコーが検出されない場合には、ステップS101から再び探傷をやり直す。
【0046】
段差エコーの検出を確認後、検査終了信号をキーボード28から入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、超音波探傷を終了する。
【0047】
実施例1は以上説明したように構成されているため、タービン動翼フォークの応力範囲をくまなくセクタ走査面の回転走査により探傷することが可能である。また、従来は超音波走査を機械的に行っていたのに対し、電子的に走査するため高速化を図ることができる。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明の実施例2を図面を用いて説明する。使用する超音波探傷システムの構成図は図1と同様であり、超音波探傷方法のフローチャートは図8のように構成する。
【0049】
実施例1ではセクタ走査面の回転走査開始点と終了点を探傷像に基づいてオペレータが決定したのに対し、実施例2はフォーク上に設置したセンサ位置を超音波の送受信により自動的に測定するステップを設け、セクタ走査面の回転走査の開始点と終了点を自動的に決定することを特徴とする。
【0050】
以下、図1および図8を用いて、実施例2におけるタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法を説明する。図8の実施例2における検査ステップのフローチャートは、フォーク形状データ入力ステップS201、センサ位置測定ステップS202、超音波探傷ステップS203、探傷範囲確認ステップS204の4ステップに大別される。
(1)フォーク形状データ入力ステップS201
ステップS201において、パソコン9の記録メディア27からフォーク形状データを入力し、パソコン9のI/Oポート25a、CPU21を介して、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。記録メディア27としてはブルーレイディスク、DVD等を用いる。また、形状データはパソコン内のHDD等に予め蓄積しておくこともできる。
(2)センサ位置測定ステップS202
S202aで、オペレータが図2のキーボード28から測定開始信号を入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、CPU21がこれを認識してフォーク5上のセンサ位置の測定を開始する。
【0051】
S202bのセンサ位置の測定は、セクタ走査面を一定の角度ピッチφで回転走査することにより実施する。
【0052】
図9にピン穴6を検出するために必要なセクタ走査面の回転走査角ピッチφの説明図を示す。センサ設置面101にUTセンサ1を設置してセクタ走査面を回転走査した場合に、いづれかのセクタ走査面をピン穴に入射させるためには、回転走査角ピッチをピン穴6の上端103、ピン穴6の上端103からピン穴の軸を中心に90°回転したピン穴上の点104及びUTセンサ1とのなす角φ以下とする必要がある。センサ設置面101の端の点102にセンサを設置した場合にφが最小となる。センサ設置面101の他の位置にUTセンサを設置した場合には、ピン穴上の2端103と104とUTセンサとのなす角度は前記角度φよりも大きなものとなるため、φでセクタ走査面を回転走査した場合、いずれかのセクタ走査面がピン穴6に入射する。この角度ピッチφは以下の式(3)〜(5)で記述される。
〔数3〕
φ=cos−1[(a2+b2−2r2)÷(2・a・b)] ・・・(3)
〔数4〕
a=√[(Δy−r)2+Δx2] ・・・(4)
〔数5〕
b= √[ Δy2+(Δx−r)2] ・・・(5)
ここで、
Δx:フォーク幅[m]
Δy:フォーク上端とピン穴中心との距離[m]
r:ピン穴半径[m]
を表す。
【0053】
ステップS201で入力したフォークの形状データと、HDD22、RAM23、ROM24に格納した式(3)〜(5)に基づいて角度ピッチφを計算するセクタ面回転走査角ピッチ計算プログラムを用い、CPU21でφを求める。UTセンサ1の正面方向を基点として、φ以下の角度ピッチでセクタ走査面を回転走査する。
【0054】
また、セクタ走査角範囲は超音波の反射効率が高い35〜55°を含む範囲とし、超音波の焦点距離はUTセンサ1からピン穴6までの距離とする。この超音波走査の遅延時間は、HDD22、RAM23、ROM24のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させた、式(1)及び式(2)に従って遅延時間を求める数値計算プログラムを用いて、CPU21で計算する。
【0055】
S202cではS202bの遅延時間の計算結果に基づき、パソコン9のI/Oポート25a、超音波探傷装置のI/Oポート25b、D/Aコンバータ30を介して、UTセンサ1に電圧を印加して超音波を送信する。この結果、フォーク5内で生じるエコーをUTセンサ1で受信して、A/Dコンバータ29、超音波探傷装置10のI/Oポート25b、パソコンのI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、HDD22、RAM23のうち1つ以上の記憶装置に記憶させる。
【0056】
S202dではS202cで取得したエコーの発生方向と発生距離からフォーク5上のセンサ位置を自動的に解析する。
【0057】
図10A〜10Dは解析方法の説明図であり、ピン穴6A、ピン穴6B及び段差8とUTセンサ1との距離を用いてセンサ位置を求めている。何れの図もセンサ位置を決定する方法を示しているが、各々の精度は異なっており条件に応じて何れの方法を用いても良い。
【0058】
図10Aはピン穴6AとUTセンサ1との距離から計算されるUTセンサ1が存在しうる位置の解析方法で、例えばピン穴6A上のいずれかの点a、b、cを中心としS203cで測定されたピン穴6AとUTセンサ1との距離を半径とした円弧群上にUTセンサ1が存在する。
【0059】
図10Bはピン穴6A及びピン穴6BとUTセンサ1との距離を考慮した場合のセンサ位置の解析方法で、ピン穴6A上の点を中心としピン穴6AとUTセンサ1との距離を半径とした円弧群と、ピン穴6B上の点を中心としピン穴6BとUTセンサ1との距離を半径とした円弧群の交点で囲まれたエリアにUTセンサ1が存在する。
【0060】
図10Cはピン穴6A及び段差8上の1点とUTセンサ1との距離を考慮した場合のセンサ位置の解析方法を示す。この方法においては、ピン穴6Aとセンサ1、段差8とセンサ1の距離はそれぞれS202cで求められている。また、ピン穴6Aが検出される走査方向、段差8が検出される走査方向もS202cで求められている。従って、センサ、ピン穴6Aの反射点、段差8の反射点の3点を頂点とした3角形が1意に決まる。この三角形のピン穴6Aの反射点に対応する頂点をピン穴、段差8に対応する頂点を段差に接するように移動させたときの、残りの頂点が図10Bで求めたエリア内で描く曲線1上にセンサ1がある。
【0061】
図10Dはピン穴6Aと段差8上の他の1点を追加してUTセンサ1との距離を考慮した場合のセンサ位置の解析方法を示す。この方法においても、ピン穴6Aとセンサ1、段差8とセンサ1の距離はそれぞれS202cで求められている。また、ピン穴6Aが検出される走査方向、段差8が検出される走査方向もS202cで求められている。従って、センサ、ピン穴6Aの反射点、段差8の反射点の3点を頂点とした3角形が1意に決まる。この三角形のピン穴6Aの反射点に対応する頂点をピン穴、段差8に対応する頂点を段差に接するように移動させたときの、残りの頂点が描く曲線2と図10Cの曲線1との交点にセンサがある。この場合は、ピンポイントでセンサ位置が決定される。
【0062】
実際の計算は、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させた図10A〜10Dの評価ステップに基づいてセンサ位置を解析するセンサ位置解析プログラムを用い、CPU21で解析する。また、この解析結果は、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。
(3)超音波探傷ステップS203
ステップS203では、ステップS202で求めたUTセンサ位置に基づき、セクタ走査面の回転走査条件を決定し、超音波探傷を実施する。
【0063】
S203aではステップS202で測定したUTセンサ位置に基づき、CPU21でピン穴方向をセクタ走査面の回転走査の開始点、段差を終了点としてセクタ走査面の回転角範囲を決定する。セクタ走査面の回転角ピッチ決定のアルゴリズムは、S102aと同様である。こうしてCPU21で求めたセクタ走査面の回転走査条件は、HDD22、RAM23のうち少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。
【0064】
S203bではS203aで決定したセクタ走査面の回転走査条件に基づき遅延時間を解析する。遅延時間の解析方法は、S102bと同様である。また、事前に超音波伝播距離、屈折角、セクタ走査面の回転角に応じて計算した遅延時間をデータベースとしてHDD22あるいはRAM23に保存し、データベースに基づいて遅延時間を決定してもよい。このデータベースに基づく遅延時間の事前解析は実施例1に適用しても良い。
【0065】
S203cではS203bで解析した遅延時間に基づき、超音波探傷を実施する。超音波探傷方法は、S102cと同様である。
(4)探傷結果確認ステップS204
最後に、ステップS204で超音波探傷範囲の妥当性を確認する。まず、S204aにおいて、演算処理を行い、探傷結果をモニタ28に表示する。表示方法はS103aと同様である。表示された探傷像から、オペレータがセクタ走査面の回転走査の開始点となるピン穴6の信号と、回転走査の終了点となる段差8の信号の有無を確認する。
【0066】
S204aでピン穴6と段差8の信号が検出されていることを確認後、S204bにおいて、超音波探傷終了信号をキーボード26から入力し、パソコン9のI/Oポート25aを介してCPU21に伝達し、探傷を終了する。
【0067】
また、段差の検出方向をセクタ面の回転走査の開始点、ピン穴の検出方向をセクタ面の回転走査の終了点として、セクタ面の回転走査方向を逆向きにして探傷してもよい。このセクタ面の回転走査方向の逆転は、実施例1に用いても良い。
【0068】
実施例2は上記のように構成されているので、タービン動翼フォークの応力範囲をくまなく電子的なセクタ走査面の回転走査により自動的に探傷することが可能である。また、UTセンサを移動することなくセクタ走査面の回転走査開始点、終了点を決定可能であるため、センサ位置の機械的な移動により回転走査開始点を決定していた実施例1と比べて、さらに検査が高速化される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明における超音波探傷方法は、タービン動翼フォークと同様の構成を持つ産業用機器の超音波探傷の確実度を向上し、探傷時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:UTセンサ
2:動翼
3:ディスク
4:回転軸
5:フォーク
6:ピン穴
7:ピン
9:パソコン
10:超音波探傷装置
21:CPU
22:HDD
23:RAM
24:ROM
25a、25b:I/Oポート
26:キーボード
27:記録メディア
28:モニタ
31:超音波素子
100:応力部
101:センサ設置面
102:センサ設置面の端の点
103:ピン穴6の上端
104:ピン穴6の上端103からピン穴の軸を中心に90°回転したピン穴上の点
S101:ピン穴エコー検出ステップ
S101a:UTセンサ設置ステップ
S101b:測定開始信号入力ステップ
S101c:ピン穴エコー検出確認ステップ
S101d:探傷開始点決定ステップ
S102:超音波探傷ステップ
S102a:セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップ
S102b:遅延時間決定ステップ
S102c:超音波探傷ステップ
S103:段差エコー検出ステップ
S103a:超音波探傷結果処理・表示ステップ
S103b:段差エコー検出確認ステップ
S201:フォーク形状データ入力ステップ
S202:センサ位置測定ステップ
S202a:測定開始信号入力ステップ
S202b:セクタ走査角度ピッチ決定ステップ
S202c:超音波送受信ステップ
S202d:センサ位置解析ステップ
S203:超音波探傷ステップ
S203a:セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップ
S203b:遅延時間決定ステップ
S203c:超音波探傷ステップ
S204:探傷範囲確認ステップ
S204a:超音波探傷結果処理・表示ステップ
S204b:探傷範囲妥当性確認ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン本体にピン接合するためのピン穴と段差を有するタービン動翼のフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により円弧状に屈折角を走査する超音波のセクタ走査面を回転走査して探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記フォークのピン穴を検出するピン穴検出ステップと、前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップと、前記フォークの段差を検出する段差検出ステップを有し、
前記ピン穴検出ステップは、前記フォークの前記ピン穴エコーを検出するピン穴エコー検出確認ステップを有し、
前記超音波探傷ステップは、前記フォークに対し前記セクタ走査面の回転走査角ピッチを2.7°未満に決定する回転走査角ピッチ決定ステップを有し、
前記段差検出ステップは、前記フォークの段差エコーを検出する段差エコー検出確認ステップを有する
ことを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項2】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで、前記ピン穴エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項3】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記段差エコー検出確認ステップで、前記段差エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項4】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで前記ピン穴を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、前記段差エコー検出確認ステップで前記段差を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項5】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記ピン穴検出ステップは、UTセンサ設置ステップと、測定開始信号入力ステップと、ピン穴エコー検出確認ステップと、探傷開始点決定ステップを有し、
前記超音波探傷ステップは、セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、遅延時間決定ステップと、超音波探傷ステップを有し、
前記段差検出ステップは、超音波探傷結果処理・表示ステップと、段差エコー検出確認ステップを有することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項6】
タービン本体にピン接合するためのピン穴と段差を有するタービン動翼のフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により円弧状に屈折角を走査する超音波のセクタ走査面を回転走査して探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記フォーク形状を前記制御装置に入力するステップと、前記フォーク上の前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置測定ステップと、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップとを有し、
前記センサ位置測定ステップはさらに、
前記フォーク上において次式で記述される角度φ以下の角度ピッチでセクタ走査面を回転走査する回転走査角度ピッチ決定ステップと、
φ=cos−1[(a2+b2−2r2)÷(2・a・b)]
a=√[(Δy−r)2+Δx2]
b= √[ Δy2+(Δx−r)2]
Δx:フォーク幅[m]
Δy:フォーク上端とピン穴中心との距離[m]
r:ピン穴半径[m]
角度ピッチφで前記セクタ走査面を回転走査する超音波送受信ステップと、
前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置解析ステップを有することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項7】
請求項6に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップは、
セクタ走査面の回転角範囲を決定し、セクタ走査面の回転角ピッチを2.7°未満の範囲で決定するセクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、
超音波の遅延時間決定ステップと
前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップを有する
ことを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴のうち二つのピン穴と前記超音波センサとの距離を測定して前記超音波センサが存在しうるエリアを決定することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項9】
請求項8に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記フォークの前記段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記エリア内で前記超音波センサの存在しうる第1の曲線を決定することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項10】
請求項9に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記段差と異なる位置の段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記超音波センサの存在する第2の曲線を決定し、請求項9の第1の曲線と第2の曲線の交点を前記超音波センサ位置とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれかに記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記ピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項12】
請求項6ないし10のいずれかに記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記段差が検出されるセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項13】
請求項6ないし10のいずれかに記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記超音波センサの設置位置を評価するステップで測定されたピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、段差を検出したセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項1】
タービン本体にピン接合するためのピン穴と段差を有するタービン動翼のフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により円弧状に屈折角を走査する超音波のセクタ走査面を回転走査して探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記フォークのピン穴を検出するピン穴検出ステップと、前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップと、前記フォークの段差を検出する段差検出ステップを有し、
前記ピン穴検出ステップは、前記フォークの前記ピン穴エコーを検出するピン穴エコー検出確認ステップを有し、
前記超音波探傷ステップは、前記フォークに対し前記セクタ走査面の回転走査角ピッチを2.7°未満に決定する回転走査角ピッチ決定ステップを有し、
前記段差検出ステップは、前記フォークの段差エコーを検出する段差エコー検出確認ステップを有する
ことを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項2】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで、前記ピン穴エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項3】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記段差エコー検出確認ステップで、前記段差エコーを検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項4】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記ピン穴エコー検出確認ステップで前記ピン穴を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、前記段差エコー検出確認ステップで前記段差を検出したセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項5】
請求項1に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記ピン穴検出ステップは、UTセンサ設置ステップと、測定開始信号入力ステップと、ピン穴エコー検出確認ステップと、探傷開始点決定ステップを有し、
前記超音波探傷ステップは、セクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、遅延時間決定ステップと、超音波探傷ステップを有し、
前記段差検出ステップは、超音波探傷結果処理・表示ステップと、段差エコー検出確認ステップを有することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項6】
タービン本体にピン接合するためのピン穴と段差を有するタービン動翼のフォークに対し、超音波センサ、超音波探傷装置、制御装置により円弧状に屈折角を走査する超音波のセクタ走査面を回転走査して探傷するタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、
前記フォーク形状を前記制御装置に入力するステップと、前記フォーク上の前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置測定ステップと、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップとを有し、
前記センサ位置測定ステップはさらに、
前記フォーク上において次式で記述される角度φ以下の角度ピッチでセクタ走査面を回転走査する回転走査角度ピッチ決定ステップと、
φ=cos−1[(a2+b2−2r2)÷(2・a・b)]
a=√[(Δy−r)2+Δx2]
b= √[ Δy2+(Δx−r)2]
Δx:フォーク幅[m]
Δy:フォーク上端とピン穴中心との距離[m]
r:ピン穴半径[m]
角度ピッチφで前記セクタ走査面を回転走査する超音波送受信ステップと、
前記超音波センサ位置を決定するセンサ位置解析ステップを有することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項7】
請求項6に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記フォークを3次元探傷する超音波探傷ステップは、
セクタ走査面の回転角範囲を決定し、セクタ走査面の回転角ピッチを2.7°未満の範囲で決定するセクタ走査面の回転角ピッチ決定ステップと、
超音波の遅延時間決定ステップと
前記フォークの3次元超音波探傷を実行する超音波探傷ステップを有する
ことを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴のうち二つのピン穴と前記超音波センサとの距離を測定して前記超音波センサが存在しうるエリアを決定することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項9】
請求項8に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記フォークの前記段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記エリア内で前記超音波センサの存在しうる第1の曲線を決定することを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項10】
請求項9に記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップは、前記フォークの前記ピン穴及び前記段差と異なる位置の段差と前記超音波センサとの距離を測定し、前記超音波センサの存在する第2の曲線を決定し、請求項9の第1の曲線と第2の曲線の交点を前記超音波センサ位置とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれかに記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記ピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項12】
請求項6ないし10のいずれかに記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記センサ位置測定ステップで測定された、前記段差が検出されるセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【請求項13】
請求項6ないし10のいずれかに記載のタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法において、前記超音波センサの設置位置を評価するステップで測定されたピン穴が検出されるセクタ走査面の回転角度をセクタ走査面の回転走査の開始点あるいは終了点とし、段差を検出したセクタ走査面の走査方向をセクタ走査面の回転走査の終了点あるいは開始点とすることを特徴とするタービン動翼フォークの3次元超音波探傷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【公開番号】特開2013−88346(P2013−88346A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230730(P2011−230730)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000242644)北陸電力株式会社 (112)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000242644)北陸電力株式会社 (112)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
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