説明

タービン及びターボ機械用のシール

【課題】タービン又はターボ機械における高圧及び低圧領域間のシールを提供する。
【解決手段】本シールは、互いに隣接しかつ互いに接触した状態で配置された複数のビーム(18、24)がその一側面又は両側面に位置したブラシ(22)シールを有するアーチ形セグメントを含む。シム(32、30)が、ブラシシールのブリストル(22)をビームの列から分離する。ビームの断面寸法は、ブリストルの直径の20〜60倍である。ビームは、回転構成部品(19)の手前で終端するが、ブリストル先端(34)は、回転構成部品と係合する。ビームは、圧力差の大部分に対処し、一方、ブリストルは、シールにおける圧力差の残部に対処する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン及びターボ機械における固定及び回転構成部品間をシールするためのシールに関し、具体的には、シール性能を高めるためのブラシシールと可撓性ビームとの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
タービン及びターボ機械用の現在最先端のシールは、ブラシシールとリーフシールとを含む。両シールの構造は、極めて複雑でありかつ人手が掛かり、そのためコストを高くしている。例えば、ブラシシールの個々のブリストルは、モジュール式ではない。もっと正確に言えば、個々のブリストルは、特定の直径のブリストルパックを形成するために手で配置される。また、異なる直径のブラシシールには、専用工具が必要である。このことは、異なる直径及びさらに付加的かつシールの位置に応じて変化する直径の多数の段、例えば40〜50段を有する蒸気タービンにおいてブラシシールを使用する場合に特に問題となる。従って、非常に多数の寸法の異なるシールが、高いコストで求められることになる。ブラシシールにおけるこれらの問題の一部は、例えば工具の問題を回避するために可撓性ストリップのブラシシールを提供することによって対処されてきた。しかしながら、そのようなシールは、多くの場合その圧力降下能力が制限される。
【特許文献1】米国特許第6,827,350号公報
【特許文献2】米国特許第6,790,001号公報
【特許文献3】米国特許第6,669,443号公報
【特許文献4】米国特許第6,669,203号公報
【特許文献5】米国特許第6,619,669号公報
【特許文献6】米国特許第6,589,012号公報
【特許文献7】米国特許第6,550,777号公報
【特許文献8】米国特許第6,527,274号公報
【特許文献9】米国特許第6,464,230号公報
【特許文献10】米国特許第6,435,513号公報
【特許文献11】米国特許第6,431,827号公報
【特許文献12】米国特許第6,390,476号公報
【特許文献13】米国特許第6,331,006号公報
【特許文献14】米国特許第6,290,232号公報
【特許文献15】米国特許第6,257,586号公報
【特許文献16】米国特許第6,250,640号公報
【特許文献17】米国特許第6,173,958号公報
【特許文献18】米国特許第6,168,162号公報
【特許文献19】米国特許第6,139,018号公報
【特許文献20】米国特許第6,131,911号公報
【特許文献21】米国特許第6,131,910号公報
【特許文献22】米国特許第6,105,967号公報
【特許文献23】米国特許第6,045,134号公報
【特許文献24】米国特許第6,042,119号公報
【特許文献25】米国特許第6,027,121号公報
【特許文献26】米国特許第6,010,132号公報
【特許文献27】米国特許第5,749,584号公報
【特許文献28】米国特許第5,474,306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、直径専用工具への依存性が殆どないか又は全くないモジュール式シール構造を提供し、従来型のブラシシールを凌ぐほどに圧力性能及び剛性を高め、また殆どの場合に直径専用工具を排除する、タービン及びターボ機械における固定構成部品と回転構成部品との間のシールに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の好ましい実施形態では、流路用の圧力シールを提供し、本圧力シールは、互いに間隔を置いて配置されかつ互いにほぼ平行に延び、間隔を置いたほぼ平行な平面内で延びる一対のプレートと、プレートを含む平面間のかつ該平面とほぼ平行な平面内で延び、プレートの端縁部を越えて延びる先端を有する複数のブリストルを含む、該プレート間のブラシシールと、プレートの1つとブラシシールとの間で互いに重ね合わされた第1の組の複数のビームとを含み、ビームは、プレートの端縁部を越えてかつ該プレート及びブラシシールを含むそれぞれの平面とほぼ平行な平面内で延び、ブリストル先端の手前で終端する。
【0005】
本発明の別の好ましい実施形態では、流路における圧力シールを提供し、本圧力シールは、固定構成部品によって支持された状態で互いに間隔を置いて配置され、回転構成部品に向かって延びる一対のプレートと、固定構成部品によって支持され、ほぼ回転構成部品に向かってかつ該回転構成部品と係合するように延びる複数のブリストルを含む、プレート間のブラシシールと、該圧力シールの円周方向に互いに重ね合わされ、プレートの1つとブリストルとの間で固定構成部品によって支持された第1の組の複数のビームとを含み、ビームは、ほぼ回転構成部品に向かって延びかつ該回転構成部品の手前で終端する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
具体的には図1の図面を参照すると、本発明の態様によって構成したその全体を符号10で表したシールを示しており、本シールは、例えばタービン又はターボ機械において固定構成部品12と回転構成部品14との間で延びる。従って、固定構成部品は、ロータ14に当接してシールするためのシール10を取り付けたダイアフラムの部分を含むことができる。シール10は、環状セグメントの形態、例えばロータ14の軸線の周りで約60°延びるセグメントの形態で形成されて、ロータの周りに全体的な環形体を形成することができる。それに代えて、シール10は、半円形セグメント又はあらゆる他の数のセグメントの形態で形成することができ、さらに必要に応じて完全円形の形態としてさえ形成することができる。
【0007】
シール10は、例えば該シールの高圧側面に配置されたフェンス又は前方プレート16と、下記に説明する第1の組の複数のビーム18と、ブリストルパック22を形成する複数のブリストル20と、該シールの下流側面に配置された第2の組のビーム24と、後方プレート26とを含む。シム30及びシム32が、それぞれ第1の組のビーム18とブリストル22との間及び該ブリストル22と第2の組のビーム24との間に挿置される。ブリストルパック22を形成する個々のブリストル20は、従来通りの方法で該ブリストルの基端部をプレート又は溶接物26に固定した状態で形成することができる。個々のブリストルは一般的に、その直径が5ミル又はそれ以下であり、ロータ14の回転方向にある角度をなして溶接物又はプレート26から突出している。つまり、ブリストルは、該ブリストルの基端部を通って延びるロータの半径に対して鋭角で延び、この角度は、ロータ15の回転方向に開いている。ブリストルの末端部における先端34は、回転構成部品14の表面に対して係合する。
【0008】
第1及び第2の組のビーム18及び24はそれぞれ、互いにほぼ同一に形成されており、一方の組の説明は他方の組の説明となる。ビームは、直線断面又は方形断面を有するように形成するのが好ましい。図2に示すように、各組の複数のビームは、矢印で示すように互いに円周方向に重ね合わされる。その結果として、ビームの外側面は、特に該ビームの末端部に向かって互いに実質的に接触した状態になる。ビームは、基端部から末端部までテーパを付けて円周方向の面対面接触を保証することができる。しかしながら、セグメントの湾曲及びビームのその長さ全体にわたる好ましい一定直線断面の結果としてのビーム間の空隙は、ビームの圧力支持性能に実質的に悪影響を及ぼさないので、テーパ付きビームは必ずしも必要でない。さらに、その長さ全体にわたって一定直線断面又は方形断面のビームを形成することによって、シールを低コストで異なる直径に製作することができることは、損なわれない。
【0009】
ビーム18及び24は、各円周方向位置においてブリストルの角度に対応する角度でその基端部からその末端部まで延びることができ、或いはこれらビームは、ブリストルに対してより大きい又はより小さい角度でかつ互いに異なる角度で延びることができる。ビームの末端部はまた、図1及び図3に示すように回転構成部品の表面の手前で終端し、それによってタービンの始動又は停止時におけるすなわち回転移行時における回転構成部品との接触を排除する。ビームの断面における最大寸法すなわち幅又は深さ寸法は、ブリストルの直径の15〜60倍の範囲にあるように、好ましくは約20倍になるようにすべきである。ビームは、例えばHaynes25合金のような金属合金で形成するのが好ましい。ビームはまた、シム30及びシム32によってブリストルから間隔を置いて配置される。しかしながら、ビームは、ブリストルパック22のブリストル20の可撓性よりもかなり小さい可撓度を有する。つまり、ビームは、流れ方向においてブリストル20よりも一層構造的に剛性があるが、かなり小さい可撓度を有する。シム30及びシム32は、ブリストルパックのブリストルに対して部分的な支持を与えることが分かるであろう。ブリストルパック、シム及び各組のビームは、図1における溶接部40によって示すように、互いにかつ前方及び後方プレートに溶接することができる。
【0010】
また、前方フェンス16及び後方プレート26は、ストリップすなわち機械加工されていないプレートの形態で形成することができることが分かるであろう。従って、前方フェンス16及び後方プレート26は、必要及び所望に応じて、容易かつ安価に様々な直径に形成することができる。前方フェンス、後方プレート、ビーム、シム及びブリストルパックの組立体は、各直径のための専用工具なしに曲げ加工によって容易に様々な直径に形成することができる。さらに、ビームは、可撓性があるが、該ビームがシールの両側における圧力差の大部分に対処するのを可能にする一定の剛性を備える。ブリストルパックのブリストルは、ロータの安定性並びに良好なシール性能に必要な可撓性を備える。隣接するビーム間の空隙並びにビームの末端部とロータの表面との間の空隙は、ビームの周りにバイパス流をもたらし、それによって圧力降下の大部分はビームによって対処されまた残りの圧力降下はブリストルによって対処される。
【0011】
図3を参照すると、複数のブラシブリストル90とその各々が複数のビーム92を含む2つの組のビームとを備えたシールのさらに別の形態を示している。前の実施形態におけるのと同様に、シールは、前方フェンス94と後方プレート96とを含む。ブラシシール90は、フェンス94と後方プレート96との間に配置される。各対の隣接するブラシシール90間には、前の実施形態におけるのと同様に複数のビーム92が互いに円周方向に接触した状態で配置される。各組のビームは、シム98によって隣接するブラシシール90から分離される。ビーム92、ブラシシール90及びシム98は、前に説明しかつ図1及び図2に示した対応する要素と同様であり、圧力シールの基端側面に沿った溶接部100によって互いにかつフェンス94及び後方プレート96に固定される。
【0012】
本発明を現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して説明してきたが、本発明は開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内に含まれる様々な変更及び均等な構成を保護しようとするものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい態様によって構成したモジュール式シールの一部を破断しかつ断面で示した部分斜視図。
【図2】図1に示すシールの分解斜視図。
【図3】シールの断面図。
【符号の説明】
【0014】
10 シール
12 固定構成部品
14 回転構成部品
16 前方フェンス又はプレート
18 第1の組のビーム
20 ブリストル
22 ブリストルパック
24 第2の組のビーム
26 プレート又は溶接物
30、32 シム
34 先端
90 ブラシブリストル
92 ビーム
94 前方フェンス
96 後方プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路用の圧力シールであって、
互いに間隔を置いて配置されかつ互いにほぼ平行に延び、間隔を置いたほぼ平行な平面内で延びる一対のプレート(16、26)と、
前記プレートを含む平面間のかつ該平面とほぼ平行な平面内で延び、前記プレートの端縁部を越えて延びる先端(34)を有する複数のブリストル(20)を含む、該プレート間のブラシ(22)シールと、
前記プレート(16)の1つと前記ブラシシールとの間で互いに重ね合わされた第1の組の複数のビーム(18)と、を含み、
前記ビームが、前記プレートの端縁部を越えてかつ該プレート及びブラシシールを含むそれぞれの平面とほぼ平行な平面内で延び、前記ブリストル先端の手前で終端する、
圧力シール。
【請求項2】
前記ブリストル(20)が、前記ビームの可撓性よりも大きい可撓性を有する、請求項1記載の圧力シール。
【請求項3】
各ビーム(18)が、各ブリストル(20)の断面寸法の20倍を超える断面寸法を有する、請求項1記載の圧力シール。
【請求項4】
前記ビーム(18)が、互いに並んでかつその平坦側面が隣接するビームの平坦側面に接触した状態で該ビームを重ね合わせるのを可能にするほぼ直線断面を有する、請求項1記載の圧力シール。
【請求項5】
前記ブリストルと前記ビームとの間にシム(30)を含む、請求項1記載の圧力シール。
【請求項6】
前記プレート(26)の別の1つと前記ブラシシールとの間で互いに重ね合わされた第2の組の複数のビーム(24)を含み、前記第2の組の複数のビームのビームが、前記プレートの端縁部を越えてかつ該プレート、ブラシシール及び第1の組のビームを含むそれぞれの平面とほぼ平行な平面内で延び、回転構成部品の手前で終端する、請求項1記載の圧力シール。
【請求項7】
前記ブリストルと前記第2の組のビームとの間にシム(32)を含む、請求項6記載の圧力シール。
【請求項8】
前記ブリストル(20)、ビーム(18、24)及びプレート(16、26)が、前記最初に述べた端縁部と反対側の該プレートの第2の端縁部に隣接して互いに溶接される、請求項1記載の圧力シール。
【請求項9】
固定構成部品(12)及び回転構成部品(14)と組合せにおいて、前記プレート(16、26)、ブラシシール(22)及びビーム(18、24)が、前記回転構成部品の軸線の周りにアーチ形セグメントの一部を形成し、前記ブリストル(20)及びビームが、前記軸線の周りの半径に対して鋭角でありかつ前記回転構成部品の回転方向に開いた角度で前記固定構成部品から延びる、請求項1記載の圧力シール。
【請求項10】
前記ビームにおける流路に沿った圧力降下が、前記ブリストルにおける圧力降下よりも大きい、請求項1記載の圧力シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−92997(P2007−92997A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−254230(P2006−254230)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】