説明

ターボチャージャ

【課題】容量可変バルブとウエストゲートバルブを1つの電動アクチュエータで駆動するとともに、熱によるカムプレートの歪みの発生を防いで、カム溝の係合箇所のガタの発生を防ぐ。
【解決手段】容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3は、1つの電動アクチュエータ4とリンク装置30とによって駆動される。リンク装置30は、電動アクチュエータ4により駆動されるカムプレート5と、このカムプレート5のカム溝33の変位を容量可変バルブ2に伝達する第1リンク31と、カムプレート5のカム溝33の変位をウエストゲートバルブ3に伝達する第2リンク32とを備える。電動アクチュエータ4とカムプレート5を、タービンハウジング6とは異なるコンプレッサハウジング等に取り付けて、電動アクチュエータ4とカムプレート5を低温環境に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した2つのバルブを備えるターボチャージャに関し、特に2つのバルブの駆動技術に関する。
【背景技術】
【0002】
独立した2つのバルブを備えるターボチャージャの一例として、特許文献1および特許文献2に開示される技術が知られている。
特許文献1、2に開示されるターボチャージャは、容量可変バルブ(タービン羽根車に流入する排気の流路面積を可変するバルブ)とウエストゲートバルブとを搭載する。
【0003】
容量可変バルブは、エンジンの運転状態に応じた目標トルクが得られるように、エンジン回転数やエンジン負荷(アクセル開度)などに応じて開度制御される。
一方、ウエストゲートバルブは、過過給(吸気圧の過剰上昇)を防ぐものであり、過給圧やタービン羽根車の入口の排気圧などに応じて開度制御される。
【0004】
このように、容量可変バルブとウエストゲートバルブは、それぞれが別の運転要因に基づいて作動制御される。
このため、特許文献1、2の技術では、容量可変バルブを駆動するための「専用のアクチュエータ」と、ウエストゲートバルブを駆動するための「専用のアクチュエータ」とを用いて、容量可変バルブおよびウエストゲートバルブを独立制御するように設けられており、コストアップ、体格アップ、重量アップの要因になっていた。
【0005】
そこで、小型化、軽量化、コスト削減などの目的で、容量可変バルブとウエストゲートバルブとを、1つのアクチュエータ(例えば、電動モータ+減速装置で構成される電動アクチュエータ)で駆動する要求がある。
【0006】
この要求に答えるため、図6に示すように(符号は、後述する[発明を実施するための形態]および[実施例]と関連機能物に対して同一符号を付したものである)、
・1つの電動アクチュエータ4で容量可変バルブ2を駆動するとともに、
・電動アクチュエータ4の出力を、カムプレート5に設けたカム溝33で変換させ、カム溝33に係合するリンク32(トルク伝達ロッド)を用いてウエストゲートバルブ3に伝えることで、
1つの電動アクチュエータ4で容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3の両方を操作する技術が提案されている(この技術は提案技術であり、周知技術ではない)。
【0007】
この提案技術のカムプレート5は、容量可変バルブ2と一体に回転するように設けられる。このため、カムプレート5は、容量可変バルブ2を装着するタービンハウジング6に設置される。
タービンハウジング6は、エンジンから排出された高温の排気ガスを内部に流すため高温になる。このため、カムプレート5は、タービンハウジング6から高熱を受けて歪みが発生し、カムプレート5とリンク32との係合部にガタ(規定以上の隙間)が発生する懸念がある。
【0008】
このガタが発生することにより、ウエストゲートバルブ3の開度精度が低下したり、ウエストゲートバルブ3が作動不良を起こす懸念が生じる。また、ガタが原因でカムプレート5とリンク32がロックすると、カムプレート5が回転できなくなり、容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3の両方が作動不良を起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭62−162349号公報
【特許文献2】特開2008−196332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、独立した2つのバルブ(例えば、容量可変バルブとウエストゲートバルブ)を1つのアクチュエータで駆動するターボチャージャにおいて、熱によるカムプレートの歪みの発生を防ぎ、カムプレートとリンクのガタの発生を防ぐことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔請求項1の手段〕
請求項1のターボチャージャは、1つのアクチュエータとカムプレートを用いて独立した2つのバルブを駆動するものであり、アクチュエータとカムプレートを、タービンハウジングとは異なる部材(コンプレッサハウジング、センターハウジング等)に取り付け、アクチュエータとカムプレートを低温環境に配置するものである。
このように、アクチュエータを低温環境に配置できるため、アクチュエータの耐熱性を確保する必要が無くなり、アクチュエータのコストを抑えることができる。
【0012】
また、カムプレートを低温環境に配置できるため、カムプレートがタービンハウジングの高熱によって歪む不具合を回避でき、カムプレートとリンクとの係合部にガタが発生する不具合を回避できる。
このように、ガタの発生が防がれるため、独立した2つのバルブの作動不良や開度精度の劣化を防ぐことができる。このため、1つのアクチュエータによって2つのバルブを駆動するターボチャージャの信頼性を高めることができる。
【0013】
〔請求項2の手段〕
請求項2のターボチャージャにおいて独立した2つのバルブのそれぞれは、常にバルブ開度を初期位置へ戻すためのリターンスプリングを備える。
これにより、独立した2つのバルブに、それぞれのリターンスプリングの付勢力が常時加わる。このため、排気脈動やエンジン振動によって、それぞれのバルブがばたつく不具合を抑えることができる。
【0014】
〔請求項3の手段〕
「2つの独立したカムプレートのそれぞれにカム溝を設ける場合」や、「1つのカムプレートに2つの独立したカム溝を用いる場合」は、カムプレートが大型化してしまう。
これに対し、請求項3のターボチャージャは、1つのカム溝によって2つのバルブを駆動するものであるため、カムプレートを小型化でき、搭載性を向上できるとともに、コストを抑えることができる。
【0015】
〔請求項4の手段〕
請求項4のターボチャージャのカム溝は、
・カムプレートの回転中心と同一中心の同心円弧溝を備え、
・この同心円弧溝の一端に、2つのバルブのうちの一方のバルブを駆動するカム溝が接続され、
・同心円弧溝の他端に、2つのバルブのうちの他方のバルブを駆動するカム溝が接続される。
このように、カム溝の中央部分に同心円弧溝を配置することで、電動アクチュエータが、2つのバルブを同時に駆動する区間を無くすことができる。
これにより、アクチュエータに要求される駆動力を抑えることができ、アクチュエータを小型化できる。
【0016】
〔請求項5の手段〕
請求項5のターボチャージャのカム溝において、
・一方のバルブを駆動するカム溝は、同心円弧溝より曲率半径の大きい大円弧溝であり、・他方のバルブを駆動するカム溝は、同心円弧溝より曲率半径の小さい小円弧溝である。
このように、カム溝の全てを円弧の溝で構成することにより、滑らかなカム溝を形成することができる。
【0017】
〔請求項6の手段〕
請求項6のターボチャージャにおける2つのバルブは、容量可変バルブとウエストゲートバルブである。
このため、カムプレートとリンクとの係合部のガタが防がれることで、容量可変バルブとウエストゲートバルブの作動不良を防ぐことはもちろん、容量可変バルブとウエストゲートバルブの開度精度の劣化を防ぐことができる。
その結果、1つのアクチュエータによって容量可変バルブとウエストゲートバルブを駆動するターボチャージャの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】バルブ駆動部の作動説明図である(実施例)。
【図2】ターボチャージャの軸方向に沿う断面図、およびA−A線に沿うタービンハウジングにおける排気入口の断面図である(実施例)。
【図3】カムプレートにおけるカム溝の説明図である(実施例)。
【図4】カムプレートの回転角度に対する容量可変バルブとウエストゲートバルブのバルブ開度の関係を示すグラフである(実施例)。
【図5】エンジン回転数に対する容量可変バルブとウエストゲートバルブのバルブ開度の関係を示すグラフである(実施例)
【図6】バルブ駆動部の説明図である(提案技術)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して[発明を実施するための形態]を説明する。
ターボチャージャは、
タービン羽根車1に流入する排気の流路面積を可変する容量可変バルブ2と、
タービン羽根車1を迂回する排気の流路面積を可変するウエストゲートバルブ3とを備える。
このターボチャージャは、1つ電動アクチュエータ4と、この電動アクチュエータ4によって駆動されるカムプレート5とを用いて、容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3を駆動する。
電動アクチュエータ4およびカムプレート5は、タービン羽根車1を収容するタービンハウジング6とは異なる部材(コンプレッサハウジング7、センターハウジング8等)に取り付けられ、電動アクチュエータ4およびカムプレート5を低温環境に配置する。
【実施例】
【0020】
以下において本発明が適用された具体的な一例(実施例)を、図面を参照して説明する。実施例は具体的な一例を開示するものであって、本発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。なお、以下の実施例において上記[発明を実施するための形態]と同一符号は、同一機能物を示すものである。
【0021】
(ターボチャージャの説明)
ターボチャージャは、エンジン(燃料の燃焼により回転動力を発生する内燃機関:ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等を問わない、レシプロエンジン、ロータリーエンジン等を問わない)に搭載されるものであり、この実施例のターボチャージャは、車両走行用エンジンに搭載されるものとして説明する。
【0022】
ターボチャージャは、エンジンから排出される排気ガスのエネルギーによって、エンジンに吸い込まれる吸気を加圧する過給装置であり、図2(a)に示すように、
・排気によって回転駆動されるタービン羽根車1と、
・このタービン羽根車1を収容する渦巻形状を呈するタービンハウジング6と、
・タービン羽根車1の回転力により駆動されて吸気を加圧するコンプレッサ羽根車9と、・このコンプレッサ羽根車9を収容する渦巻形状を呈するコンプレッサハウジング7と、・タービン羽根車1の回転をコンプレッサ羽根車9に伝達するシャフト10と、
・このシャフト10を高速回転自在に支持するセンターハウジング8と、
を備える。
そして、ターボチャージャは、タービンハウジング6とコンプレッサハウジング7の間にセンターハウジング8を配置した状態で、スタットボルト等により結合した構成を採用する。
【0023】
(容量可変バルブ2の説明)
このターボチャージャは、容量可変タイプであり、タービンハウジング6の内部は、図2(a)に示すように、仕切壁11によって区画されており、タービンハウジング6の内部に、第1スクロール流路12と第2スクロール流路13(図2中のスクロール1とスクロール2)が形成されている。
この第1、第2スクロール流路12、13は、それぞれタービン羽根車1の周囲に形成されて、排気ガスの流れをタービン羽根車1に与えるものである。
【0024】
仕切壁11は、図2(b)に示すように、タービンハウジング6における排気流入口(エキマニの接続付近)6aまで形成されており、第1スクロール流路12の排気上流が、排気流入口6aと常時連通するように設けられている。
【0025】
第1スクロール流路12の排気上流は、図2(b)に示すように、仕切壁11によって排気通路が排気下流方向に向かって絞られている。
この絞り部を形成する仕切壁11には、第1スクロール流路12と第2スクロール流路13とを連通する容量可変用連通穴14が形成されている。
この容量可変用連通穴14は、容量可変バルブ2によって開閉される。この容量可変バルブ2が容量可変用連通穴14の開度調整を行なうことで、第2スクロール流路13からタービン羽根車1に向かう排気ガスの量をコントロールすることができる。即ち、容量可変バルブ2の開度に応じてタービン羽根車1に流入する排気の流路面積を可変することができる。
【0026】
容量可変バルブ2は、タービンハウジング6に対して回転自在に支持される第1バルブ回転軸15の回動操作により回動して容量可変用連通穴14の開閉を行なうものであり、容量可変用連通穴14を直接開閉する第1弁体16と、タービンハウジング6の内部に配置されて第1弁体16と第1バルブ回転軸15を結合する第1内部アーム17と、タービンハウジング6の外部に配置されて第1バルブ回転軸15と一体に回転する第1外部アーム18とを備える。
これにより、第1外部アーム18を回動操作することで、第1弁体16によって容量可変用連通穴14の開度を調整でき、結果的に第2スクロール流路13からタービン羽根車1に向かう排気ガスの量をコントロールすることができる。
なお、この実施例は、第1バルブ回転軸15と第1内部アーム17が1つの部品で形成されたものである。
【0027】
(ウエストゲートバルブ3の説明)
一方、第2スクロール流路13の外壁には、図2(b)に示すように、排気ガスの一部を、タービン羽根車1を迂回(バイパス)させて排気下流側(マフラー側)に導くウエストゲート用連通穴21が形成されている。
このウエストゲート用連通穴21は、ウエストゲートバルブ3によって開閉される。このウエストゲートバルブ3がウエストゲート用連通穴21の開度調整を行なうことで、タービン羽根車1を迂回する排気ガスの量をコントロールすることができる。
【0028】
ウエストゲートバルブ3は、上述した容量可変バルブ2と同様の構造を備える。
具体的に、ウエストゲートバルブ3は、タービンハウジング6に対して回転自在に支持される第2バルブ回転軸22の回動操作により回動してウエストゲート用連通穴21の開閉を行なうものであり、ウエストゲート用連通穴21を直接開閉する第2弁体23と、タービンハウジング6の内部に配置されて第2弁体23と第2バルブ回転軸22を結合する第2内部アーム24と、タービンハウジング6の外部に配置されて第2バルブ回転軸22と一体に回転する第2外部アーム25とを備える。
これにより、第2外部アーム25を回動操作することで、第2弁体23によってウエストゲート用連通穴21の開度を調整でき、結果的にタービン羽根車1を迂回する排気ガスの量をコントロールすることができる。
なお、この実施例は、第2バルブ回転軸22と第2内部アーム24が1つの部品で形成されたものである{図2(a)参照}。
【0029】
ここで、第1バルブ回転軸15と第2バルブ回転軸22は、平行に配置されるものである。
また、第1バルブ回転軸15と第2バルブ回転軸22は、タービンハウジング6に装着された軸受部(筒状の軸受ブッシュ等)26によって回転自在に支持されるものであり、内部を流れる排気がタービンハウジング6の外部へ漏れないように設けられている。
【0030】
(容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3の駆動装置の説明)
この実施例では、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3のそれぞれに、常にバルブ開度を初期位置へ戻すためのリターンスプリング(図示しない)が独立して設けられている。
具体的に、容量可変バルブ2には、バルブ開度を初期位置(容量可変用連通穴14を閉塞する閉弁位置)へ戻すための専用リターンスプリングが設けられている。
同様に、ウエストゲートバルブ3には、バルブ開度を初期位置(ウエストゲート用連通穴21を閉塞する閉弁位置)へ戻すための専用リターンスプリングが設けられている。
【0031】
上述した容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3の両方は、1つの電動アクチュエータ4によって駆動される。
具体的に、容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3の両方は、
・1つの電動アクチュエータ4と、
・この電動アクチュエータ4の出力トルクを変換して容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3に伝達するリンク装置30と、
によって駆動されるように設けられている。
【0032】
(電動アクチュエータ4の説明)
電動アクチュエータ4は、通電により回転出力を発生する電動モータ(例えば、DCモータ)と、この電動モータの回転出力を減速して出力トルクを増大させる減速装置(例えば歯車減速装置)とを組み合わせたものであり、電動モータに印加される通電量に応じた回転出力を発生するものである。
この実施例の電動アクチュエータ4は、一例として、リターンスプリングを内蔵しないものである。
【0033】
このように、電動アクチュエータ4は、リターンスプリングを内蔵しないものであるが、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3のそれぞれに設けたリターンスプリングの復元力が、リンク装置30を介して電動アクチュエータ4に伝達されるため、電動アクチュエータ4の出力軸を初期位置に戻すことができる。
なお、この実施例とは異なるが、電動アクチュエータ4に付勢力の小さい補助リターンスプリングを設けて、電動アクチュエータ4の出力軸の開度を初期位置に戻す力を発生させても良い。
【0034】
電動アクチュエータ4の作動を説明すると、
(i)電動モータの通電量を大きくして電動アクチュエータ4の出力トルクを大きくするに従い、リターンスプリングの付勢力に抗して電動アクチュエータ4の出力軸の回転角度が大きくなり、
(ii)電動モータの通電量を小さくして電動アクチュエータ4の出力トルクを小さくするに従い、リターンスプリングの付勢力によって電動アクチュエータ4の出力軸の回転角度が小さくなり、
(iii)電動モータの通電を停止することにより、リターンスプリングの付勢力によって電動アクチュエータ4の出力軸の回転角度が初期位置(回転角度0°の位置)に戻される。
【0035】
なお、電動アクチュエータ4は、出力軸の回転角度を検出する回転角センサ(図示しない)を備える。この回転角センサは、磁気センサ等を用いた非接触型であっても良いし、ポテンショメータなどを用いた接触型であっても良い。
回転角センサのセンサ出力は、電動アクチュエータ4を通電制御することで容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3の開度制御を行なうECU(エンジン・コントロール・ユニットの略:図示しない)に出力される。
【0036】
(リンク装置30の説明)
この実施例は、上述した電動アクチュエータ4と、この電動アクチュエータ4の出力軸に結合されるカムプレート5とが、タービンハウジング6から離れた位置に取り付けられるものである。
具体的には、電動アクチュエータ4およびカムプレート5を、タービンハウジング6から離して低温環境に配置するものであり、電動アクチュエータ4は、コンプレッサハウジング7(またはセンターハウジング8)に、ステー等を介して取り付けられるものである。
なお、電動アクチュエータ4およびカムプレート5をステー等を介して支持する部材は、コンプレッサハウジング7またはセンターハウジング8に限定されるものではなく、電動アクチュエータ4およびカムプレート5を低温環境に配置可能であれば良い。
【0037】
このように、電動アクチュエータ4およびカムプレート5が、タービンハウジング6から離れた位置に配置されるため、
リンク装置30は、
・低温環境のカムプレート5と高温環境の第1外部アーム18(上述したように、容量可変バルブ2を回動操作するアーム)を連結する第1リンク31と、
・低温環境のカムプレート5と高温環境の第2外部アーム25(上述したように、ウエストゲートバルブ3を回動操作するアーム)を連結する第2リンク32と、
を用いる。
【0038】
(カムプレート5の説明)
カムプレート5は、板状を呈し、耐熱・耐摩耗性に優れた材料(例えば、金属材料あるいは樹脂材料)により形成されたものであり、具体的な一例を開示すると電動アクチュエータ4の出力軸に対して直角に固定配置されるものである。なお、図3の符号5aは、カムプレート5に形成された二面幅のシャフト挿通穴であり、電動アクチュエータ4の出力軸と嵌まり合うことで、カムプレート5が電動アクチュエータ4の出力軸と一体に回転する。
【0039】
カムプレート5は、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3の両方を駆動する1つのカム溝33を備える。
このカム溝33は、図3に示すように、
(i)第1リンク31(容量可変バルブ2)のみを駆動する第1カム溝領域33aと、
(ii)第1、第2リンク31、32(容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3)を非駆動にする第2カム溝領域33bと、
(iii)第2リンク32(ウエストゲートバルブ3)のみを駆動する第3カム溝領域33cと、
で構成される。
【0040】
ここで、第1〜第3カム溝領域33a〜33cの各形成範囲(カムプレート5の回転角に対応したカム溝33の範囲)を説明する。
第1、第2リンク31、32は、後述するように棒状を呈するロッド部品であり、この実施例では、図1に示すように、第1、第2リンク31、32の各延長線上にカムプレート5の回転中心が位置するように、第1、第2リンク31、32がV字配置されるものである。
【0041】
そして、この実施例では、電動アクチュエータ4が、容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3(2つのバルブ)を同時に駆動する回動区間を無くすために、
・カム溝33の中央部分に第2カム溝領域33bを配置する構成に加え、
・第1、第2リンク31、32の角度をXとした場合、
(i)第1カム溝領域33aの回動範囲θaが「X以下」に設けられ、
(ii)第2カム溝領域33bの回動範囲θbが「X以上」に設けられ、
(iii)第3カム溝領域33cの回動範囲θcが「X以下」に設けられるものである。
【0042】
具体的な一例(後述する作動説明に関連する数値例)として、
この実施例では、
・第1、第2リンク31、32の角度Xが「38°」に設けられ、
・第1カム溝領域33aの回動範囲θaが「38°」に設けられ、
・第2カム溝領域33bの回動範囲θbが「40°」に設けられ、
・第3カム溝領域33cの回動範囲θcが「35°」に設けられる。
そして、カムプレート5の回動範囲は、後述する第2ローラ36(第2リンク32とカム溝33の係合部)が、第1カム溝領域33aと第2カム溝領域33bの境界部から、第3カム溝領域33cの終端部までの範囲(40°+35°)で、回動可能に設けられている。
【0043】
以下において、カム溝33の具体例を説明する。
この実施例のカム溝33は、大円弧溝、同心円弧溝、小円弧溝を繋いで形成されるものである。
大円弧溝は、第1カム溝領域33aに相当するものであり、同心円弧溝の一端に連続し、同心円弧溝より曲率半径が大きく設けられている。具体的な大円弧溝の円弧の中心点を図3のR1に示す。
同心円弧溝は、第2カム溝領域33bに相当するものであり、カムプレート5の回転中心と同一中心の円弧溝である。同心円弧溝の円弧の中心点を図3のR2に示す。
小円弧溝は、第3カム溝領域33cに相当するものであり、同心円弧溝の他端に連続し、同心円弧溝より曲率半径が小さく設けられている。具体的な小円弧溝の円弧の中心点を図3のR3に示す。
【0044】
(第1リンク31の説明)
第1リンク31は、カムプレート5のカム溝33と第1外部アーム18を駆動連結するものであり、棒状を呈し、耐熱性に優れた材料(例えば、金属材料)により形成されたロッド部品である。
第1リンク31は、例えば、図示しないガイド手段によって、主に長手方向のみに変位可能に支持される。
具体的に第1リンク31は、カムプレート5の回転中心と、第1リンク31と第1外部アーム18との結合部(後述する第1アーム結合部35)とを結ぶ軸線上に沿って変位するように設けられている。
【0045】
第1リンク31の一端(カムプレート5側)には、カム溝33に嵌まり合う第1ローラ34が設けられている。
第1リンク31の他端(第1外部アーム18側)には、第1外部アーム18の外側(第1バルブ回転軸15の回動中心から離れた部位)と回転自在に係合する第1アーム結合部35が設けられている。
【0046】
このため、カムプレート5の回転に伴うカム溝33の変位によって第1ローラ34がカムプレート5の回転中心側へ変位すると、第1リンク31もカムプレート5の回転中心側へ変位し、結果的に容量可変バルブ2が開く側へ回動する。
逆に、カムプレート5の回転に伴うカム溝33の変位によって第1ローラ34がカムプレート5の回転中心側とは異なる側へ変位すると、第1リンク31もカムプレート5の外側へ変位し、結果的に容量可変バルブ2が閉じる側へ回動する。
【0047】
(第2リンク32の説明)
第2リンク32は、カムプレート5のカム溝33と第2外部アーム25を駆動連結するものであり、第1リンク31と同様、棒状を呈し、耐熱性に優れた材料(例えば、金属材料)により形成されたロッド部品である。
第2リンク32は、例えば、図示しないガイド手段によって、主に長手方向のみに変位可能に支持される。
具体的に第2リンク32は、カムプレート5の回転中心と、第2リンク32と第2外部アーム25との結合部(後述する第2アーム結合部37)とを結ぶ軸線上に沿って変位するように設けられている。
【0048】
第2リンク32の一端(カムプレート5側)には、カム溝33に嵌まり合う第2ローラ36が設けられている。
第2リンク32の他端(第2外部アーム25側)には、第2外部アーム25の外側(第2バルブ回転軸22の回動中心から離れた部位)と回転自在に係合する第2アーム結合部37が設けられている。
【0049】
このため、カムプレート5の回転に伴うカム溝33の変位によって第2ローラ36がカムプレート5の回転中心側へ変位すると、第2リンク32もカムプレート5の回転中心側へ変位し、結果的にウエストゲートバルブ3が開く側へ回動する。
逆に、カムプレート5の回転に伴うカム溝33の変位によって第2ローラ36がカムプレート5の回転中心側とは異なる側へ変位すると、第2リンク32もカムプレート5の外側へ変位し、結果的にウエストゲートバルブ3が閉じる側へ回動する。
【0050】
(作動説明)
次に、電動アクチュエータ4の出力軸の回転角度(カムプレート5の回転角度と同じ)に対する容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3の開度との関係を、図4を参照して説明する。
この実施例は、電動アクチュエータ4およびカムプレート5が0°〜75°(第2カム溝領域33bの40°+第3カム溝領域33cの35°)の回転範囲で回転するものである。なお、図4では、容量可変バルブ2の開度を実線Aに示し、ウエストゲートバルブ3の開度を実線Bに示す。
【0051】
(カムプレート5の回転角度が0°の時)
電動アクチュエータ4の通電停止時は、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3のそれぞれのリターンスプリングの作用によって、図1(a)、(a’)に示すように、第1外部アーム18(第1内部アーム17)と第2外部アーム25(第2内部アーム24)が、ともに閉弁側へ付勢され、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3が、容量可変用連通穴14およびウエストゲート用連通穴21を閉じる。
これにより、エキマニからタービンハウジング6に流入した排気ガスの全てが第1スクロール流路12を流れる。これにより、タービン羽根車1は、第1スクロール流路12を流れる排気ガスのみによって回転駆動される。
【0052】
(カムプレート5の回転角度が0°より大きく38°以下の時)
電動アクチュエータ4の通電が行なわれてカムプレート5が回動する場合で、且つカムプレート5の回転角度が38°以下の場合は、
・容量可変バルブ2を駆動する第1ローラ34が大円弧溝(第1カム溝領域33a)の範囲内で変位し、
・ウエストゲートバルブ3を駆動する第2ローラ36が同心円弧溝(第2カム溝領域33b)の範囲内で変位する。
【0053】
これにより、図4に示すように、カムプレート5の回転角度が38°以下の範囲では、カムプレート5の回転角度が大きくなるに従い、容量可変バルブ2の開度が大きくなるが、ウエストゲートバルブ3は閉弁状態に維持される。
即ち、カムプレート5の回転角度が38°以下の範囲では、ウエストゲートバルブ3がウエストゲート用連通穴21を閉じた状態のままで、カムプレート5の回動に伴って容量可変バルブ2の開度制御を実施できる。
【0054】
このため、エキマニからタービンハウジング6に流入した排気ガスが第1スクロール流路12を流れるとともに、第2スクロール流路13を流れる排気ガスの流量が容量可変バルブ2の開度に応じて制御される。
このようにして、カムプレート5の回動制御によりタービン羽根車1を駆動する排気ガスの圧力をコントロールすることができる。
【0055】
(カムプレート5の回転角度が38°より大きく40°以下の時)
電動アクチュエータ4の通電によりカムプレート5の回転角度が38°より大きく40°以下の場合は、
容量可変バルブ2を駆動する第1ローラ34と、ウエストゲートバルブ3を駆動する第2ローラ36とが、ともに同心円弧溝(第2カム溝領域33b)の範囲内で変位する。
これにより、カムプレート5の回転角度が38°より大きく40°以下の範囲では、容量可変バルブ2が全開開度(バルブ開度30°)に維持されるとともに、ウエストゲートバルブ3が閉弁状態に維持される。
【0056】
(カムプレート5の回転角度が40°より大きく75°以下の時)
電動アクチュエータ4の通電によりカムプレート5の回転角度が40°より大きい場合は、
・容量可変バルブ2を駆動する第1ローラ34が同心円弧溝(第2カム溝領域33b)の範囲内で変位し、
・ウエストゲートバルブ3を駆動する第2ローラ36が小円弧溝(第3カム溝領域33c)の範囲内で変位する。
【0057】
これにより、図4に示すように、カムプレート5の回転角度が40°より大きい範囲では、カムプレート5の回転角度が大きくなるに従い、ウエストゲートバルブ3の開度が大きくなるが、容量可変バルブ2は全開開度(バルブ開度30°)に維持される。
即ち、カムプレート5の回転角度が40°以上の範囲では、容量可変バルブ2が全開開度のままで、カムプレート5の回動に伴ってウエストゲートバルブ3の開度制御を実施できる。
【0058】
このため、エキマニからタービンハウジング6に流入した排気ガスが第1スクロール流路12および第2スクロール流路13に流れる状態のままで、タービン羽根車1をバイパスする排気ガス量をコントロールできる。
【0059】
(制御例の説明)
次に、ECUによる電動アクチュエータ4の制御例を、図5を参照して説明する。なお、図5では、容量可変バルブ2の開度を実線Aに示し、ウエストゲートバルブ3の開度を実線Bに示す。
ECUは、車両の運転状態に応じて、
・容量可変バルブ2が容量可変用連通穴14を閉じるとともに、ウエストゲートバルブ3がウエストゲート用連通穴21を閉じるモード1と{図1(a)、(a’)参照}、
・ウエストゲートバルブ3がウエストゲート用連通穴21を閉じた状態で、容量可変バルブ2の開度制御を行なうモード2{図1(b)、(b’)参照}と、
・容量可変バルブ2を全開にした状態で、ウエストゲートバルブ3の開度制御を行なうモード3{図1(c)、(c’)参照}とを実行する。
【0060】
具体的に、ECUは、エンジン回転数とエンジン負荷(アクセル開度)から目標トルクを算出し、その目標トルクとエンジン回転数から目標吸気量を算出し、この目標吸気量から目標過給圧を算出する。そして、算出された目標過給圧とエンジン回転数との関係から容量可変バルブ2の開度を算出する。
そして、算出された容量可変バルブ2の開度が得られるように、電動アクチュエータ4の通電量を回転角センサの検出値に基づいてフィードバック制御する。
【0061】
一方、ECUは、コンプレッサにより加圧された吸気圧力を検出する過給圧センサ、あるいはタービン羽根車1の排気入口の排気圧力を検出するタービン排気圧センサの少なくとも一方の信号を入力する。
そして、過給圧センサによって検出される過給圧が所定過給圧を超えないように、電動アクチュエータ4の通電量を過給圧センサの検出値に基づいてフィードバック制御する。あるいは、排気圧センサによって検出される排気圧力が所定排気圧力を超えないように、電動アクチュエータ4の通電量を排気圧センサの検出値に基づいてフィードバック制御する。
なお、ECUは、容量可変バルブ2の開度制御より、ウエストゲートバルブ3の開度制御を優先するように設けられている。
【0062】
(実施例の効果1)
本実施例のターボチャージャは、上述したように、それぞれが異なる運転要因に基づいて作動制御される容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3の両方を、1つの電動アクチュエータ4で駆動制御する。このため、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3を、独立した2つの専用アクチュエータを用いて制御する場合に比較して、コストを抑えることができる。
【0063】
(実施例の効果2)
本実施例のターボチャージャは、上述したように、電動アクチュエータ4とカムプレート5を、タービンハウジング6とは異なるコンプレッサハウジング7(またはセンターハウジング8等)に取り付け、電動アクチュエータ4とカムプレート5を低温環境に配置するものである。
このように、電動アクチュエータ4を低温環境に配置するため、電動アクチュエータ4の耐熱性を確保する必要が無くなり、電動アクチュエータ4のコストを抑えることができる。
【0064】
(実施例の効果3)
カムプレート5を低温環境に配置するため、カムプレート5がタービンハウジング6の高熱に晒されて歪む不具合を回避でき、カムプレート5と第1リンク31の係合部、およびカムプレート5と第2リンク32の係合部のそれぞれにガタが発生する不具合を回避することができる。
このように、ガタの発生が防がれるため、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3の作動不良および開度精度の劣化を防ぐことができる。
その結果、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3を1つの電動アクチュエータ4で駆動するターボチャージャの信頼性を高めることができる。
【0065】
(実施例の効果4)
本実施例のターボチャージャは、上述したように、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3のそれぞれに、常にバルブ開度を初期位置へ戻すためのリターンスプリングを独立して設けている。
これにより、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3には、それぞれの専用リターンスプリングによって閉弁位置へ戻すための付勢力が常に作用する。
このため、排気脈動やエンジン振動等によって、容量可変バルブ2およびウエストゲートバルブ3のそれぞれがばたつく不具合を回避できる。
【0066】
(実施例の効果5)
本実施例のターボチャージャは、上述したように、1つのカム溝33に第1リンク31と第2リンク32の2つを係合させて、容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3を駆動する。
このため、カムプレート5を小型化でき、車両への搭載性を向上できるとともに、コストを抑えることができる。
【0067】
(実施例の効果6)
本実施例のターボチャージャは、上述したように、カム溝33の中央部分に同心円弧溝(第2カム溝領域33b)を配置したことにより、電動アクチュエータ4が、容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3(2つのバルブ)を同時に駆動する回動区間を無くすことができる。
具体的には、第1、第2リンク31、32の角度Xに対し、
(i)第1カム溝領域33aの回動範囲θaを「X以下」に設け、
(ii)第2カム溝領域33bの回動範囲θbを「X以上」に設け、
(iii)第3カム溝領域33cの回動範囲θcを「X以下」に設けることで、
電動アクチュエータ4が、容量可変バルブ2とウエストゲートバルブ3を同時に駆動する回動区間を無くすことができる。
これにより、電動アクチュエータ4に要求される駆動力を抑えることができ、電動アクチュエータ4を小型化できる。
【0068】
(実施例の効果7)
本実施例のターボチャージャのカム溝33は、上述したように、大円弧溝、同心円弧溝、小円弧溝を接続して設けたものである。
このように、カム溝33の全てを円弧の溝で構成することにより、滑らかなカム溝33を形成することができる。
そして、滑らかなカム溝33を用いることにより、カム溝33によるひっかかりを防いで信頼性を高めることができるとともに、電動アクチュエータ4の駆動負荷を軽減することができ、電動アクチュエータ4の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上記の実施例では、容量可変バルブ2を駆動する第1カム溝領域33aのカムプロフィールを大円弧溝(円弧溝の一例)に設ける例を示したが、第1カム溝領域33aのカムプロフィールは円弧溝に限定されるものではなく、直線状やサインカーブなど、他の形状に設けても良い。
【0070】
同様に、上記の実施例では、ウエストゲートバルブ3を駆動する第3カム溝領域33cのカムプロフィールを小円弧溝(円弧溝の一例)に設ける例を示したが、第3カム溝領域33cのカムプロフィールは円弧溝に限定されるものではなく、直線状やサインカーブなど、他の形状に設けても良い。
【0071】
上記の実施例では、アクチュエータ(実施例では電動アクチュエータ4)の負荷を軽減する目的で、2つのバルブを同時に駆動しないように設ける例を示したが、2つのバルブを同時に駆動するように設けても良い。具体的な一例を開示すると、ウエストゲートバルブ3の開度上昇に連動して、さらに容量可変バルブ2の開度が大きくなるようにカム溝33のカムプロフィールを設けても良い。
【0072】
上記の実施例では、アクチュエータの一例として電動アクチュエータ4を用いる例を示したが、ECUによって制御可能は油圧アクチュエータや負圧アクチュエータなど、他のアクチュエータを用いても良い。
【0073】
上記の実施例では、アクチュエータの出力軸(実施例では電動アクチュエータ4の出力軸)にカムプレート5を直接固定する例を示したが、アクチュエータ(例えば、電動アクチュエータ4)とカムプレート5を離して配置しても良い。
【0074】
上記の実施例では、カムプレート5を回動変位させる例を示したが、カムプレート5をスライド変位するように設けても良い。
具体的に、アクチュエータとして油圧アクチュエータや負圧アクチュエータを用いる場合や、離れた位置のカムプレート5を電動アクチュエータ4で駆動する場合などでは、カムプレート5が回動変位するものであっても、スライド変位するものであっても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 タービン羽根車
2 容量可変バルブ(2つのバルブの一方)
3 ウエストゲートバルブ(2つのバルブの他方)
4 電動アクチュエータ
5 カムプレート
6 タービンハウジング
7 コンプレッサハウジング(タービンハウジングとは異なる部材)
8 センターハウジング(タービンハウジングとは異なる部材)
33 カム溝
33a 第1カム溝領域(大円弧溝、一方のバルブを駆動するカム溝)
33b 第2カム溝領域(同心円弧溝)
33c 第3カム溝領域(小円弧溝、他方のバルブを駆動するカム溝)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立した2つのバルブ(2、3)を備えるターボチャージャにおいて、
このターボチャージャは、
通電制御可能な1つアクチュエータ(4)と、このアクチュエータ(4)によって駆動されるカムプレート(5)とを用いて、独立した前記2つのバルブ(2、3)を駆動するものであり、
前記アクチュエータ(4)および前記カムプレート(5)は、タービン羽根車(1)を収容するタービンハウジング(6)とは異なる部材に取り付けられることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項2】
請求項1に記載のターボチャージャにおいて、
独立した前記2つのバルブ(2、3)のそれぞれは、常にバルブ開度を初期位置へ戻すためのリターンスプリングを備えることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のターボチャージャにおいて、
独立した前記2つのバルブ(2、3)は、前記カムプレート(5)に形成された1つのカム溝(33)によって駆動されることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項4】
請求項3に記載のターボチャージャにおいて、
前記カム溝(33)は、
前記カムプレート(5)の回転中心と同一中心の同心円弧溝(33b)を備え、
この同心円弧溝(33b)の一端に一方のバルブ(2)を駆動するカム溝(33a)が接続され、
前記同心円弧溝(33b)の他端に他方のバルブ(3)を駆動するカム溝(33c)が接続されることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項5】
請求項4に記載のターボチャージャにおいて、
前記一方のバルブ(2)を駆動するカム溝(33a)は、前記同心円弧溝(33b)より曲率半径の大きい大円弧溝(33a)であり、
前記他方のバルブ(3)を駆動するカム溝(33c)は、前記同心円弧溝(33b)より曲率半径の小さい小円弧溝(33c)であることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のターボチャージャにおいて、
前記2つのバルブ(2、3)のうちの一方のバルブは、前記タービン羽根車(1)に流入する排気ガスを制御する容量可変バルブ(2)であり、
前記2つのバルブ(2、3)のうちの他方のバルブは、前記タービン羽根車(1)を迂回する排気ガスを制御するウエストゲートバルブ(3)であることを特徴とするターボチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−62803(P2012−62803A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206861(P2010−206861)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】