説明

ダイナミックな血管の評価を用いた血管状態間の識別のための及び頭蓋内圧の調査ためのシステム及び方法

本発明は、単一又は複数の血管及びセグメントの血流を評価し、血管の健康を評価し、臨床実験を行い、効果を得るために治療的介入をスクリーニングし、危険因子を評価し、頭蓋内圧を評価し、そして定義された方法による結果を分析するためのシステム及び方法に関する。本発明は、血管、特に、大脳血管への治療、物質及びデバイスを直接モニタリングできる。関連性のある血流パラメータは、平均流速度、収縮期加速度、及び拍動性インデックスを含む。これらのパラメータ及びその他の測定及び分析は、個々の及び複数の血管の健康に関する詳細を提供し、広範囲の分析は個人の全体的な血管の健康を提供する。本発明は、頭蓋内圧の上昇を経験する個人の発病、進行及び処置の効果を追跡でき、すなわち、水痘症又は認知症と関係があり症状を呈する脈管系下の脆弱性を特定して、正常圧力にするのを助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連する出願への相互参照>
この出願は、2005年3月23日に出願した米国仮出願第60/664295号の優先権を主張し、またこの出願は2003年5月21日に出願された同一出願人による同時係争中の米国特許出願第10/442194号の一部継続出願である。この米国特許出願第10/442194号は、2000年9月29日にすべて出願された米国仮特許出願第60/236661号、第60/236662号、第60/236663号、第60/236875号及び第60/236876号、並びに両者とも2001年1月23日に出願された米国仮出願第60/263165号及び第60/263221号の優先権を主張した2001年10月1日に出願された米国特許出願第09/966367号(現在の米国特許第6656122号)の一部継続出願である。上記の出願は、これらのすべてを引用して明示的に本明細書に組み込む。
この出願は2003年5月21日に出願された同一出願人による同時継続中の米国特許出願第10/442194号の優先権を主張する一部継続出願であり、この米国特許出願第10/442194号は、2001年10月1日に出願された米国特許出願第09/966367号の一部継続出願である。また、この出願は、2005年3月23日に出願された米国仮出願第60/664295号の優先権を主張する。上記の出願は、これらのすべてを引用して明示的に本明細書に組み込む。
【0002】
<発明の背景>
技術分野
本発明は、血管の健康を評価するためのシステム及び方法、並びに、処置、危険要因、及び治療薬を含む物質の、血管、特に大脳の血管への影響を評価するためのシステム及び方法一般に関し、それらはすべて、1つ以上の血管中の血流の様々なパラメータを測定し、それを確定された問題における結果を分析することによって達成される。さらに、本発明は、1つ以上の血管中の血流の様々なパラメータの測定を集積し、分析し、使用して、臨床試験のプロトコルを確立すること及び臨床試験をモニターすることに関する。さらに、本発明は、個々の血管の健康の評価において、1つ以上の血管中の血流の様々なパラメータの値を解釈するための自動の意思決定支援システムに関する。
【背景技術】
【0003】
脈管系の適切な機能は、生体の健康及びフィットネスにとって不可欠である。脈管系は、すべての生体組織に必須栄養素及び血液ガスを運び、排出のための老廃物を除去する。血管は、供給された器官系に応じて種々の部位に分けられる。もし特定の器官又は器官群に供給する血管が損傷すると、それらの血管によって供給された器官と組織は有害な影響を受け、さらには完全に機能しなくなるだろう。
【0004】
血管の、特に様々なタイプの動脈は、様々な場所へ液体を伝搬するだけでなく、心周期の間の圧力変化に応答することに活性がある。収縮期中の心臓の左心室の各収縮で、血液は大動脈に送り出され、そして体中に行きわたる。多くの動脈が、それらの壁の中に、心収縮中に血管の拡大を助ける弾性膜を含んでいる。これらの弾性膜は、脈管系の全体にわたって、脈打つ血流をスムーズにすることにも機能する。そのような動脈の血管壁は、しばしば収縮期の圧力波形の次の通過をはね返らせる。
【0005】
自動調節では、脳への一定の酸素運搬が維持されるように、大脳の血管はある平均動脈圧の範囲を越えて収縮するか拡大することにより一定の脳血流を維持している。圧力があまりにも低く落ちて、速度が下落し始めると、血管の機能不全が発生する。血圧があまりにも高くなり、血管が流れを制限するためにこれ以上収縮することができないならば、破綻(breakthrough)、充血破綻(hyperemia breakthrough)そして自動調整の喪失が発生する。これらの条件は両方とも病的状態で、平均動脈圧及び脳血流速度の観点から文献に記述されてきた。しかし、そのモデルに基づいて説明することのできなかった異常値がある。モデルの失敗は、それが全身血圧に依存するということである。脳自体の中の血液の圧力は直接測定されていない。合成の圧力曲線(the resultant pressure curve)はS字の曲線を有している。
【0006】
各心拍から血液に加えられた力はそれを推進することである。物理学において、力は質量と加速度の積に等しくなく。しかし、血液が心拍間隔の変化を検査されるとき、大量失血や非常に不規則な心臓のリズムがなければ、各心拍はほぼ同量の血液を提供する。従って、第1の近似として、特にそのモーメントにおける血液上の流れの力は、その加速に正比例する。
【0007】
病変した血管は、伸縮性を失う。血管の弾性又は伸縮は、拍動流を維持するのに極めて重要である。筋肉が伸ばされるときに、それは受動的な緩和ではない。血液のボーラスが各心拍によって通過するとき、それが血管壁を伸ばすものの血管がその後に収縮して前方へのキックを与え、それにより心臓という比較的小さな器官によってそのような大きな表面領域をおおう流れが維持できるように、微小拘縮(a micro-contracture)を発生して収縮を増加する、筋肉自体の内部に起こる化学反応がある。これは、大動脈の大血管の中で始まって他の血管を通って入り込む波のリップルを生成する。血管が病変すると、それらはこの種の拍動流を維持する能力をなくす。
【0008】
さらに、もし血管が、血管腔の狭窄又は狭窄症のような様々な要因により危険にさらされるならば、血流は異常になる。血管の狭窄が広範囲なならば、乱流が狭窄症の位置で発生して、結果として血管にダメージを与えるかもしれない。さらに、血液は、狭窄症の箇所を過ぎて十分に流れないので、それによって狭窄症より末梢側にある組織を損傷する。そのような血管の損傷は体中のいたるところで発生しうるが、生体の生存及び健康のために、冠状動脈及び大脳の血管床は、極めて重要である心臓に供給する冠状動脈の血管の狭窄は循環器機能を低下させて心筋への血流を減少させ、心臓発作を引き起こすだろう。
そのような症状の発現は、心臓機能の著しい低下と死をもたらすだろう。
【0009】
大脳の血管の異常は、神経組織への十分な血流を妨げて、一過性脳虚血発作(TIAs)、片頭痛及び脳卒中をもたらすだろう。脳に供給する血管は、内頚動脈と椎骨動脈から導かれる。これらの血管とそれらの枝は、ウィリス動脈輪としても知られている大きな動脈輪を介して吻合している。この動脈輪から、前大脳動脈、中大脳動脈及び後大脳動脈が生じる。前交通動脈と後交通動脈のような他の動脈は、大きな動脈輪を介して付随的な流れのルートを提供する。椎骨動脈は連結して脳底動脈を形成しており、それ自体は小脳、脳幹及び他の脳部位に動脈の枝を供給する。前大脳動脈、後大脳動脈、中大脳動脈又は大きな動脈輪より末梢側の他の動脈のいずれかの内部の血流の閉塞は、その動脈によって供給されている神経組織への危険にさらされた(悪化した)血流をもたらす。血液内にあり、グリア細胞によってニューロンに提供されるグルコース及び酸素が正常な一定のレベルになければ、神経組織は生存することができないので、これらのいずれの血管における血流の閉塞であっても、その血管によって供給されている神経組織の死を引き起こす。
【0010】
脳卒中は、塞栓又は狭窄症に起因する血管の収縮(狭窄:constriction)による大脳の血管内での血流の閉塞に起因する。また、脳卒中は、多くの状況によって、血管壁が裂けることで発生するだろう。従って、閉塞は、閉塞より末梢側にある神経組織から酸素とグルコースを奪う虚血性脳卒中をもたらすだろう。血管の裂け又は血管の破裂は、出血性脳卒中としても知られている脳内への出血をもたらすだろう。脳内出血は、頭蓋内圧の上昇(頭蓋内圧亢進)とニューロンの血液への直接の露出とにより、周囲の組織に有害な影響を及ぼす
【0011】
原因にかかわらず、脳卒中は病気と死亡の主な原因である。脳卒中は女性にとって主な死亡原因で、乳癌より多くの女性を殺している。現在では、毎年、米国の100万人の3/4以上が脳卒中を経験し、それらの人の25パーセント以上は死亡する。初回の脳卒中を起こした人のほぼ1/3が翌年のうちに死亡する。更に、初回の脳卒中の全生存者の約1/3は、次の3年以内にさらなる脳卒中を経験する。
【0012】
その最終的な形勢に加えて、脳卒中は成人人口における障害の主な原因である。そのような障害は、体のいずれか一部において、永久的な機能障害及び機能低下を引き起こす可能性がある。脳卒中により影響を受けたニューロンによって神経支配された様々な筋肉群の麻痺は、車椅子への閉じ込めと、筋肉のけいれん及び硬直を引き起こす可能性がある。脳卒中は、口述又は筆記手段のいずれかでコミュニケーションをとる能力を持たない多くの患者を残す。多くの場合、脳卒中患者ははっきりと明瞭に考えることができない可能性や、物の正しい名前を言うこと、他の人と交流すること、及び社会で一般的に機能することが困難な可能性がある。
【0013】
また、脳卒中は、また社会中で膨大な出費をもたらし、影響を受けた人及び彼らの家族に多大な経済的負担を与える。米国の経済だけで毎年の総費用が、1年当たり300億ドル以上と見積もられ、平均的な救急処置での脳卒中の処置には、およそ35000ドルこのような。人工の年齢増加により、脳卒中の発症率は劇的に上昇するだろう。実際に、脳卒中のリスクは常に次の10年間で2倍になる。人口の平均寿命が過去100年間で劇的に延びたので、50歳以上の人の数は急激に上昇した。今まで予期されていなかった年齢まで生きる人の人口の中で、脳卒中のポテンシャルは確かに非常に高い。従って、大脳の血管のダメージによる経済的及び情緒的なインパクトが、次の数十年の間に劇的に増加すると予想される。
【0014】
脳卒中の多大なリスクにもかかわらず、血管の健康にアクセスする便利で正確な方法は、現在のところない。多くの方法が、血管の狭窄症が発生しているかどうか決定するために、動脈造影のような侵襲的手技に依存する。患者に症状が現れるまで、これらの侵襲性の技術は大抵オーダーされない。例えば、頚動脈の動脈造影は、臨床症状の出現に従って、身体検査に続いてオーダーされるだろう。アレルギー反応をもたらすかもしてない脈管系に造影剤を導入するので、動脈造影はリスクなしでは行うことができない。また、動脈造影は、血管壁にダメージを与え、そして下流側のサイトに塞栓性の脳卒中をもたらすことのある腔内プラークを除去する可能性のあるカテーテルを用いる。
【0015】
大脳の血管の画像化に利用可能な多くの方法及びデバイスでは、血管の健康のダイナミックな評価を提供できない。その代りに、これらの画像化手法及び装置は、単に、特定の時の血管のスナップショット又は静止画像を提供する。脳血管造影は、脳への血流を分析する「最も基準になる検査」であるため、従来通りに維持されている。しかし、この侵襲性の分析法は、画像診断法において単に血管の形状を提供するだけである。本発明から得られるのと同一のタイプの流れ基準を血管造影から得ることは、多大な労力及び複数の危険な措置を必要とするだろう。
【0016】
ドップラー原理を用いて前部の動脈及び静脈の血流速度の非侵襲測定を得るために、器具は発達してきた。既知のドップラー現象に従って、これらの器具は、波源に対して相対的に運動しているオブザーバーに、波源での波の周波数と異なった周波数を有する波源からの波を提供する。波源がオブザーバーに近づいている場合、より高い周波数の波がオブザーバーに受け取られる。反対に、波源がオブザーバーから遠のいている場合、より低い周波数の波が受け取られる。発せられた周波数と受け取られた周波数との間の違いはドップラーシフトとして知られている。このドップラー技術は超音波エネルギーの使用によって達成されるだろう。
【0017】
ドップラー原理に従うそのような器具の操作は、図1〜図4に対して図示されるだろう。図1では、超音波探プローブ40は、静止した波源としての役割をはたし、例えば2MHzの周波数でパルス超音波を発している。この超音波は、頭蓋骨41及び脳実質を通って血管42に伝達される。説明のために、血球43はプローブに近づき、動くオブザーバーとしての役割をはたす。図2に図示されるように、血球は超音波のパルスを反射し、動いている波源と見なすことができる。プローブはこの反射された超音波を受信し、静止したオブザーバーのとしての役割をはたす。プローブによって受信した超音波の周波数fは、初めに発せられた周波数fより高い。その後、受信波のドップラーシフトを計算することができる。図3及び4は、血液がプローブから遠ざかる方向に流れるときの超音波のパルスへの影響を示す。この場合、血球で反射された受信周波数(f)は、発せられた周波数fより低い。再び、ドップラーシフトを計算することができる。
【0018】
ドップラー効果は大脳動脈の血流速度を決定するために用いることができる。そのために用いられるドップラーの式は次のとおりである。
【数1】

ここで、
=周波数のドップラーシフト
=送信器の周波数
V=血流速度
θ=プローブと動脈との間の入射角
=生体組織内での超音波の速度
である。
【0019】
典型的には、Fは、例えば2、4又は8MHzの定数であり、また、Vは生体軟組織内では、およそ1540メーター秒(m/s)である。プローブと動脈の間の入射角の角度が0であると仮定すると、cosθの値は1に等しい。角度θの影響は、30°を越える入射角の場合にのみ、重要な意義を持つ。
【0020】
典型的な器具において、超音波エネルギーはパルスの繰返し率又は周波数においてバーストして提供される。プローブは各バーストからのエコーを受信して、音響エネルギーを電気信号に変換する。頭部内の特定の深さ(範囲)で発生する反射に対応する信号データを得るために、電子ゲートが開いて励起パルスの後に選択された時間における反射の信号を受信し、それは選択された深さの位置からのエコーが到着する予想時間に対応する。レンジ分解能は、一般に、器具の様々な部品の帯域幅及びバーストの長さによって制限されている。帯域幅は、受信信号のフィルタリングにより、試料体積の増加した長さを犠牲にして縮小することができる。
【0021】
例えば血管壁の収縮などの他の体の運動も、超音波を散乱することができ、それはドップラー信号において「ノイズ」として検出されるだろう。このノイズ妨害を低減するために、高域フィルタを使用して低周波・高振幅の信号を低減する。高域フィルタは、典型的には、例えば約0〜約488Hzの間で選択可能な遮断周波数より高い通過帯域を持つように調節することができる。
【0022】
多くの医療従事者は、彼らが自由に使えるそのような血流診断の機能(such flow diagnostic capabilities)を有することはめったにない。例えば、医療従事者は、農村地帯、海洋上、又は戦場の状況等の遠隔地に位置しているかもしれない。これらの医療従事者は、遠隔地で生成された血流データの分析するために、分析的な機能(analytical capabilities)へのアクセスを必要とする。
【0023】
これらの地理的な障害に直面する医療従事者は、特に緊急時に、彼らの患者に必要とされる高品質の医療サービスを提供する彼らの能力を制限される。さらに、彼ら自身の健康を心配する医者と個人の両方は、しばしば、特定の医学の専門分野における専門家と相談する彼らの能力を制限される。従って、血管の健康に関する高性能の医学的診断と予後の能力への、様々な場所にいる医者のアクセスを容易にするシステムは必要である。そのようなアクセスは、国の至る所、特に主要な医療センターから離れた遠隔地にいる人に、より高品質のヘルスケアの配達を促進するだろう。
【0024】
データを受信し、それを分析し、血管の健康を示す値を生成し、そして発信データ転送ステーションのような別の場所又は直接医療従事者のオフィスへこの情報を送信する中央の受信設備に、患者の血管データを送信することが可能なシステムの必要性もある。このシステムは、血管の健康に関する医療従事者の診断と予後の能力の精度を向上させる高性能な演算能力へのアクセスを提供するべきである。このシステムは、疾患の診断及び予後を得るために、大量の患者データを受け取り、データを迅速に処理できなくてはならない。このようなシステムは、血管の健康と関係する疾患又は状態の診断及び予後に用いることができるかもしれない。
【0025】
患者から得られた血管の流れのデータパラメータを、一貫して再現可能な分析が行なえる場所へ、便利かつ迅速に送信する医療従事者の能力を容易にするシステムのさらなる必要性がある。そして、その分析結果を医療従事者に送信して、患者の正確な診断又は予後を容易にし、治療オプションを推奨し、患者とそれらの治療オプションの影響を説明することができる。
【0026】
医療従事者が血管疾患の発症率及び発症タイプを測定し、そして、病気を予防する、最小化する、安定させる又は回復に向かわせる介入を勧めることを可能にするシステムの必要性もある。
【0027】
医療従事者が、提案された治療的介入に対する血管の反応を予測し、そして有害又は不利な血管の応答が予想されるならば、提案された治療的介入を修正することを可能にするシステムの必要性もある。医者は、血管の健康に影響を与える循環系に関係のある状態の患者に、治療薬をしばしば処方する。例えば、高血圧の患者は、血圧を低下させて、それにより心臓発作の可能性を減少させる目的で、ベータ受容体遮断薬を処方されるかもしれない。患者は、彼らの状態のための1つ以上の治療薬をしばしば受け入れる。血管のような様々な生物学的標的への治療薬の潜在的な相互作用は、しばしば理解が不十分である。従って、治療薬のような物質による又は治療薬の組み合わせによる血管への効果を評価するために用いることができる非侵襲性の方法が必要である。血管で1つ以上の物質による血管への効果の明確な理解は、脳卒中、血管けいれん及び心臓発作のような望ましくなく且つ潜在的に致死性の効果を伴う物質の処方を妨げるだろう。従って、必要なものは、臨床試験中の患者人口の中で、物質又は物質の組み合わせによる潜在的な血管への効果の有害な効果なしに、繰り返された評価に用いることができるシステム及び方法である。また、このような臨床研究は、血管で望ましく且つ予期しない効果を与える特定の投薬において、個々の物質及び物質の組み合わせの投薬を明らかにするだろう。
【0028】
更に、個人の血管の健康の評価を提供することができるシステム及び方法が必要である。また、定期的な身体検査の間などに、血管の健康を評価するために慣例的に用いられるシステム及び方法も必要である。このシステムと方法は、好ましくは非侵襲性であり、血管のコンプライアンス及び弾性に関する情報を提供する。また、個人の血管の健康を迅速に評価するのに用いられるシステム及び方法も必要である。このようなシステム及び方法は、定期健康診断で、特に緊急処置室、集中治療室で、又は神経科クリニックで使用可能にすべきである。また、個人の血管の健康を長期にわたって評価できるように、各人の長期的な方法の中で適用することができるシステム及び方法も必要である。このように、問題点又は疾患過程は、重篤な脳血管発作又は脳卒中の出現より前に検出されるだろう。
【0029】
さらに、血管の応答をもたらすそれら潜在的可能性が決定できるように、処置、危険要因、血管、特に大脳の血管への物質の影響かどうか評価するシステム及び方法の必要性がある。処置、危険要因及び物質の血管への効果を決定することによって、医者は、患者が処置、危険要因及び/又は物質を回避するように勧めることができるだろう。あるいは、処置、治療的介入及び/又は物質による血管への望ましい影響は、所望の効果を得るための処置、治療的介入及び/又は物質の投与をもたらすだろう。
【0030】
さらに、血管障害の処置における最も効果的なそれらの処置の特定(identification)が決定及び使用されて血管の健康を回復できるように、血管障害の処置において、措置を行い、治療を実行し、及び医薬物質を投与することを含む処置の効能を評価するシステム及び方法もまた必要である。
【0031】
連邦規定の要求により、個人の治療を対象とした薬及びその他の治療を含む処置は、人々でテストされなくてはならない。臨床試験と呼ばれるこれらのテストは、それが安全で有効かどうか、どのくらいの量でそれが最適に働くか、及びそれがどんな副作用をもたらすか等の治療の効能に関する各種情報を提供する。この情報は、医療従事者や、処方箋なしで買える薬であれば薬を適切に使用する消費者をガイドする。比較臨床試験において、治療されている患者の中で観察された結果は、偽薬又は全く治療しないなど、異なった治療を受ける同様の患者の結果と比較される。比較臨床試験は、新しい治療が「治療される疾患に対するリスク対効果比に関して相対的な安全性の確認と同様に、有効性の実質的証拠」を提供することを決定する、米国食品医薬品局(FDA)のただ一つの法的根拠である。
【0032】
処置が助けることを目的としたそれらの人への試験薬物、治療及び措置をテストすることは重要である。また、治験中の治療について、正確な質問をしてそれに答える臨床研究を計画することは重要である。臨床実験が始められる前に、研究者は実験室で治療の主な物理的及び化学的性質を分析し、実験動物におけるその薬理効果及び毒性効果を研究する。実験室での研究及び動物研究からの結果が有望であるならば、処置のスポンサーは、FDAに申し込んで人々の中でテストを開始することができる。一旦FDAがスポンサーの計画を精査したならば、地方の施設内治験審査委員会――典型的には、医療センターで臨床調査を監視する、科学者、倫理学者及び科学者でない人の委員会――が、臨床試験用のプロトコルを承認すれば、治験担当医師は少数の健康なボランティア又は患者に治療を行う。これらのフェーズ1の研究は、最も一般的で深刻な悪影響を評価し、患者が副作用の多発なしで安全にとることができる薬量を試験する。また、最初の臨床研究は、人体内で薬に何が起こるか、例えば、薬が変化するか、どれだけの薬の量が血流及び様々な器官へ吸収されるか、どれくらい長く薬が体内に残存するか、体がどのようにして薬を除去するか、及び体に対する薬の影響についても明確にし始める。
【0033】
フェーズ1の研究によって、受け入れがたい毒性等の重大な問題が明らかにならなかった場合、次に、治療がその人の治療目的になる病状の患者に対して治療がなされる臨床研究が行なわれる。その後、研究者は、処置が病状に好ましい効果を有するかどうか評価する。臨床研究のプロセスでは、臨床試験に参加する1つ以上の患者のグループを募集し、参加することに合意する人々に治療を投与し、治療が彼らに役立つかどうか決定することを、単に必要とする。
【0034】
通常は、処置によって致命的な病気が奇跡的に回復することはない。大抵は、それらは死のリスクを減らすが、完全には除去しない。これは、典型的には、鼻詰まり、痛み又は不安神経症のような1つ以上の病気の徴候を和らげることにより達成される。また、治療は、例えば血圧を下げる又はコレステロールを下げる等、医者が価値のあると考える方法で臨床の測定を変更してもよい。そのような治療の効果は、検知して評価するのが難しくなりえる。これは主として疾患が予測可能な経路に従わないからである。例えば、インフルエンザのようなウイルス性疾患、軽傷及び不眠症のような多くの急性の病気又は病状は、処置なしで自然に治癒する。関節炎、多発性硬化症又は喘息のようないくつかの慢性症状は、例えば、一時は良くなり、その後に悪くなり、そして、再び良くなる、というように、通常は明白な理由なしに、しばしば変更する治療単位に従う。
心臓発作と脳卒中は、治療、年齢、及び予測困難な個々の患者のために「予想された」死亡を作る他の危険要因に依存する幅広い変動死亡率を持っている。
【0035】
治験中の治療の有効性を計る際のさらなる困難さは、いくつかの場合に、疾患の測定が主観的であり、医者又は患者による解釈に依存していることである。それらの状況において、処置は好ましい効果があるか、効果がないか、さらには悪い効果があるかを伝えるのは難しい。治験中の治療に関する重要な質問に答える方法は、それに比較臨床試験を受けさせることである。
【0036】
比較臨床試験において、1つのグループの患者は治験中の治療を受ける。比較されるグループ、対照グループの患者は、全く処置しない、偽薬(治験薬のように見える不活性材料成分)、又は有効であると知られていた処置のいずれかを受け入れる。テストグループと対照グループとは、典型的に同時に研究される。通常、同じグループの患者は2つのサブグループに分割され、各サブグループは異なった治療を受ける。
【0037】
いくつかの特別な場合には、研究は「ヒストリカルコントロール」を用い、その中は、治験中の治療を行われた患者は、異なる時間及び場所において対照治療で治療された同様の患者と比較される。しばしば、患者は治験の治療後の一時期に検査され、治験担当医師は治療前又は治療後の両方で患者のステータスを比較する。ここでもまた、比較はヒストリカルであり、処置がなければ起こっていたであろう物事の推定に基づいている。治療される疾患が高くて且つ予測可能な死亡率又は罹病率を持っているときに、ヒストリカルコントロールの計画は特に有用である。治療グループと対照グループが、治療結果に影響を与えうる特徴において、可能な限り類似していることが重要である。例えば、特定のグループにおいて、全ての患者が、治療が治療を意図している病気を持っており、又は同じステージの病気を持っていなければならない。治療グループと対照グループは、また、同様の年齢、体重及び一般的な健康状態で、また、同時に受け入れられている他の処置のように研究結果に影響するかもしれないその他の特徴が類似していなくてはならない。
【0038】
対照臨床試験で用いられる主要な技術は「ランダム化」と呼ばれる。患者は、一方又は他方のグループに故意に選択するよりはむしろ、治療グループ又は対照グループのいずれかに無作為に割り当てられる。ひどく欠陥はあるものの重要な仮定は、研究人口が十分に多く、参加の基準が注意深く定義された場合、ランダム化は、重要な特徴において類似した治療グループと対照グループを生み出すということである。1つのグループ又は別のグループへの割り当てが治験担当医師の制御下にないので、ランダム化は「選択バイアス」の可能性、すなわちより健康な患者を新しい治療を受ける又は偽薬に選ぶ傾向も排除する。二重盲検試験では、患者、治験担当医師、及びデータ分析者の誰も、どの患者が治験薬を服用したか知らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
不運にも、臨床試験への参加に適合する選択基準の注意深い定義は、従来は利用可能ではなかった。血管の健康、特に大脳の血管の健康は、臨床試験に参加可能な人を評価するには、不可能でないにしても扱いにくい基準だった。このように、適合した血管及び大脳の血管の特徴を有する臨床試験の参加者を選択することによって真に無作為な臨床試験をする能力のための、技術的な必要性が残っている。
【0040】
さらに、臨床試験の重要な態様は行った治療の悪い効果のリスクを評価することである。これは、臨床試験の短い実行がその治療単位で実行されてからずっと後に、彼ら自身にのみ現れる悪い効果として扱いにくくする。不運にも、血管への効果、特に大脳血管への悪い効果は、臨床試験の間に評価するには、不可能でないにしても、扱いにくい。このように、血管及び大脳血管の健康の特徴上の処置によってもたらされた悪い効果を正確に評価する能力のための、技術的な必要性が残っている。
【0041】
血管障害の処置において、措置を行い、治療を実行し、及び医薬物質又はその組み合わせを投与することを含む処置の効能を評価して、有害な処置の特定(identification)が決定可能で、もう処方されないようにするシステム及び方法もまた必要である。
【0042】
さらに、措置を行ない、治療を実行し、医薬の物質又は医療物質の組み合わせを投与することを含む処置のインパクトを評価して、血管の健康において、血管の健康に効果のある処置のインパクトを解明できるようにするシステム及び方法もまた必要である。
【課題を解決するための手段】
【0043】
<発明の概要>
本発明は、個人の血管の健康を評価するシステム及び方法を提供することにより、上述の欠点を解決する手段を提供するものである。このシステムと方法は、安価で、迅速で、非侵襲性で、そして血管の動態関数に関する優れたデータを提供する。従って、このシステム及び方法は、これに限定されないが、定期的な身体検査、集中治療室、緊急処置室、戦場又はハイウェイ上若しくは郊外での緊急時の場面などの野外、そして神経科クリニックを含む多様なシチュエーションにおいて用いることができる。このシステムと方法の使用によって、医者は、彼らの現在の血管の健康の状況だけでなく、血管の関数の特定のパラメータの評価により血管の健康からのずれを検出して、個人を評価することができる。
【0044】
定期健康診断での使用に加えて、本発明のシステム及び方法は、大脳の血管の機能不全に対する危険要因を持った人を評価するのに用いられてもよい。そのような危険要因は、これに限定されないが、脳卒中の既往歴、脳卒中の遺伝子的疾病素質、喫煙、アルコール消費量、カフェイン消費量、肥満症、高血圧、動脈瘤、一過性脳虚血発作(TIAs)閉鎖性頭部外傷、片頭痛の既往歴、以前の頭蓋内の外傷、頭蓋内圧の上昇、及び薬物乱用歴を含んでいる。
【0045】
本発明のシステム及び方法は、高い危険要因を持った人を評価するシステム及び方法の提供に加えて、臨床試験のための患者のグループ選択し、特定の臨床グループにおいて患者の人口をモニタリングするメカニズムを提供する。例えば、脳卒中のリスクの高い人の患者人口は、進行中の血管の変化が脳卒中のような初期の大脳の血管の事象を示すかどうか決定するために、長い期間をかけて系統的に評価されてもよい。このように、最初の脳卒中の発生を予測し、それによって脳卒中を防ぐことは可能かもしれない。別の実施形態では、本発明は脳卒中を経験した人をモニターするためのメカニズムを提供する。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態では、これに限定されないが、薬、栄養素、アルコール、ニコチン、カフェイン、ホルモン、サイトカイニン及び他の物質を含む様々な物質に対する個人の血管の反応性が評価される。このシステムと方法の使用を通じて、動物又は人を用いて調査研究を行って、脈管系に対する様々な物質の効果を評価してもよい。本発明の低価格で効率的な非侵襲性のテストを行なうことによって、物質が医学的に処方される前に、物質の潜在的な血管への効果に関する価値のある情報を集めて評価することができる。更に、個々の物質の投薬量の血管への効果、及び投薬量の異なる物質の組み合わせの血管への効果は、本発明のシステム及び方法を用いて選択された臨床の人口中で評価されてもよい。従って、本発明は、選択された投薬量及び選択された患者人口中で、非侵襲性の臨床の調査研究を行って物質又は物質の組み合わせの潜在的な血管への効果を評価するシステム及び方法を提供する。
【0047】
別の実施形態では、本発明を特定の病気を持っている人の特定の人口に適用して、物質の用途がその人口において望ましくない影響を生成されるかどうかを決定してもよい。例えば、糖尿病の人の人口は、薬のような特定の物質に対して、糖尿病でない人の人口とは異なる反応をしてもよい。さらに、高血圧の人の人口は、カテコールアミン作動薬又はエフェドリン含有の天然抽出物のような特定の物質に対して、高血圧ではない人の人口とは異なる反応してもよい。本発明の使用は、いずれかの個人又はいずれかの人口において、それが、特定の疾患、病状又は様々な治療に対する事前の発現(prior exposures)を有する個人の人口であるかどうかの血管の反応性の評価を可能にする。
【0048】
本発明によって、人又は動物の血管の健康を評価する方法が提供される。1つの実施形態において、この評価方法は、血管内の流れの速度に関する情報を得る工程と、血管に対する平均の血流速度の値を計算する工程と、血管に対する収縮期の加速度を計算する工程と、そして、計算値のさらなる分析用のスキーマに、平均の血流速度の値及び収縮期の加速度を挿入する工程とを含む。そのようなスキーマは、これに限定されないが、ダイアグラム、グラフ、ノモグラム、スプレッドシート及びデータベースを含んだ、それらの値の複数の配置から成ることができ、それによって、数学的な計算、比較、及び実行すべき順序のような計算値を含む操作を可能にする。る
【0049】
ある実施形態では、評価方法はさらに拍動性のインデックスを計算する工程を含んでもよい。計算された拍動性インデックスを伴って、評価方法は、拍動性インデックス、収縮期の加速度、及び3次元空間における血管に対する平均の血流速度の値をプロットすることができ、そこでは拍動性インデックスのプロット、収縮期の加速度、及び3次元空間の平均の血流速度の値は血管に対する第1の特性値を生成する。そして、血管に対する第1の特性値を、他の人又は動物からの同様の血管から集められた血流速度の測定から得られた他の第1の特性値と比較して、血管が自動調整モードにおいてあるかどうか決定してもよい。
【0050】
評価方法はさらに、追加の変化量に関係する情報を収集する工程と、情報を値に転換する工程と、その値を、拍動性インデックス、収縮期の加速度及び平均の血流速度の値と一緒にn次元空間にプロットして、血管に対する第2の特性値を生成する工程を含んでもよい。そして、血管に対する第2の特性値を、他の人又は動物からの同様の血管から集められた血流速度の測定から得られた他の第2の特性値と比較して、血管が自動調整モードにおいてあるかどうか決定してもよい。
【0051】
上述の評価方法の血管は頭蓋内血管であってもよい。さらに、血管は動脈であってもよい。その動脈は中枢神経系に供給する血管でもよい。さらに、動脈は、総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈、中大脳動脈、前大脳動脈、後大脳動脈、前交通動脈、後交通動脈、脊椎動脈、頭蓋底、眼動脈、及びそれらの枝から成る群から選択することができる。
【0052】
上述の評価方法で収集された血流速度に関する情報は、超音波エネルギーを用いて集めることができる。このように血流速度の情報の収集は、さらにドップラープローブを使用して集めることができる。
【0053】
血管に対する物質の影響は、物質を投与する前及び後に、上述の評価方法を適用することにより決定することができる。この物質は薬であってもよい。この薬は血管に作用する薬かもしれない。この物質は、血管のアクティビティを持っていると疑ってもよい。
【0054】
上述の評価方法は、人又は動物が、血管の関数に影響する脈管疾患又は病状を持っている疑いがある又は持っている場合に利用されてもよい。人又は動物は、健康に異常のない時間、及び健康に異常のある時間に分析されることができる。
【0055】
本発明は、人又は動物において処置の血管への影響を評価する方法をさらに提供する。この方法は、血管内の血流速度に関する情報の第1のセットを収集する工程と、薬を投与する工程と、血管内の血流速度に関する情報の第2のセットを集める工程と、血管に対する平均の血流速度の値を計算する工程と、血管に対する収縮期の加速度を計算する工程と、そして、計算値の分析用のスキーマに、平均の血流速度の値及び収縮期の加速度を挿入する工程とを含んでいる;
【0056】
血管への効果の評価方法における処置を投与する工程は、薬を投与すること、措置を行うこと、及び治療を実行することとから成る群から選択することができる。投与が薬の投与を含むとき、薬はスタチンを含んでいてもよい。投与されたスタチンは、アトルバスタチンカルシウムを含むことができる。
【0057】
上述の血管の評価方法における情報の第1のセットを集める工程、及び情報の第2のセットを集める工程は、超音波エネルギーを用いて行うことができる。より具体的には、収集工程はドップラープローブを用いて行うことができる。
【0058】
本発明は、人又は動物において処置の血管への影響を評価する方法をさらに提供する。その処置は、措置を行うこと、治療を実行すること、及び薬を投与することを含むことができる。この方法は、血管内の血流速度に関する情報の第1のセットを集める工程と、処置の投与の前に第1の平均の血流速度の値を得る工程と、処置の投与の前に第1の収縮期の加速度を得る工程と、処置を投与する工程と、血管内の血流速度に関する情報の第2のセットを集める工程と、処置の投与に続いて第2の平均の血流速度の値を得る工程と、処置の投与の後に第2の収縮期の加速度を得る工程と、第1の平均の血流速度の値と第2の平均の血流速度の値を比較する工程と、そして第1の収縮期の加速度と第2の収縮期の加速度を比較して、処置が血管への効果を有するか決定する工程と、を含んでいる。
【0059】
上述の処置の血管への効果を評価する方法は、情報の第1のセットから第1の拍動性インデックスを計算する工程と、情報の第2のセットからの第2の拍動性インデックスを計算する工程と、第1の拍動性インデックス、第1の平均の血流速度の値、及び第1の収縮期の加速度をプロットして、血管に対する第1の特性値を生成する工程と、第2の拍動性インデックス、第2の平均の血流速度の値、及び第2の収縮期の加速度をプロットして、血管に対する第2の特性値を生成する工程と、そして第1の特性値と第2の特性値を比較して、薬が血管への効果を有したか決定する工程と、をさらに含んでいてもよい。
【0060】
上述の血管への効果の評価方法における処置を投与する工程は、薬を投与すること、措置を行うこと、及び治療を実行することとから成る群から選択することができる。
投与が薬の投与を含むとき、薬はスタチンを含んでいてもよい。投与されたスタチンは、アトルバスタチンカルシウムを含むことができる。
【0061】
上述の血管の評価方法における情報の第1のセットを集める工程、及び情報の第2のセットを集める工程は、超音波エネルギーを用いて行うことができる。より具体的には、収集工程はドップラープローブを用いて行うことができる。
【0062】
人又は動物が脳卒中の危険要因を持っているとき、上述の処置の血管への影響を評価する方法が用いられてもよい。人又は動物は、情報の第1のセットを集める前に、少なくとも1つの薬剤を受けてもよい。
【0063】
上述の処置の血管への影響を評価する方法を用いて、薬剤を受けた人又は動物に望ましくない血管への影響をもたらすか決定してもよい。
【0064】
人又は動物が血管の関数に影響する脈管疾患又は病状を持っているときに、上述の薬の血管への影響を評価する方法を用いることができる。
【0065】
本発明の別の実施形態では、人又は動物において処置の血管への影響を評価する方法を提供する。血管への効果にアクセスする方法は、血管内の血流速度に関する情報の第1のセットを得る工程を行うことにより、各々の人又は動物のために個々の人又は動物を種々のグループに割り当てる工程と、薬の投与の前に第1の平均の血流速度の値を得る工程と、処置の投与の前に第1の収縮期の加速度を得る工程と、処置を投与する工程と、血管内の血流速度に関する情報の第2のセットを得る工程と、処置の投与に続いて第2の平均の血流速度値を得る工程と、処置の投与の後に第2の収縮期の加速度を得る工程と、第1の平均の血流速度の値と第2の平均の血流速度の値を比較する工程と、第1の収縮期の加速度と第2の収縮期の加速度を比較して、処置が血管への効果を有するか決定する工程と、そして、処置の投与前及び後に、各人のデータを統計的に分析する工程と、を含んでいる。
【0066】
上述のように個々の人又は動物を種々のグループに割り当てることにより血管への効果を評価する方法において、処置の投与は、薬を投与すること、措置を行うこと、及び治療を実行することとから成る群から選択することができる。薬の投与が選択されているとき、薬はスタチンを含んでいてもよい。スタチンはアトルバスタチンカルシウムにすることができる。
【0067】
上述の種々のグループに個々の人又は動物を割り当てることにより処置の血管への影響を評価する方法において、データ収集の工程は、超音波エネルギーを用いて行うことができる。さらに、データ収集工程はドップラープローブを用いて行うことができる。
【0068】
上述の種々のグループに個々の人又は動物を割り当てることにより処置の血管への影響を評価する方法は、処置の投与前又は後に、各グループ内でデータを統計的に分析することをさらに含むことができる。
【0069】
1つの実施形態において、本発明は、処置による悪い効果のスクリーニング方法をさらに備えている。スクリーニング法は、多くの人に処置を適用する工程と、処置を適用した後にそれらの人の大脳血管の血流をモニターする工程と、そして、処置を適用した後にそれらの人に発生する大脳血管の血流への悪い効果を特定する工程と、を含んでいる;
【0070】
本発明のスクリーニング法によって得られた大脳血管の健康状態に関するデータは、個人の頭蓋内血管に対する平均の血流速度値と個人の頭蓋内血管に対する収縮期の加速度の両方を含むことができる。頭蓋内血管は動脈であってもよい。動脈は、総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈、中大脳動脈、前大脳動脈、後大脳動脈、前交通動脈、後交通動脈、脊椎動脈、頭蓋底、及びそれらの枝から成る群から選択することができる。また、得られたデータは拍動性インデックスを含んでいてもよい。
【0071】
スクリーニング法は、多くの人の大脳血管の血流に関する定量的なデータを得ることを可能にする。得られた定量的なデータは、超音波エネルギーを用いて集められてもよい。さらに、ドップラープローブを用いて、大脳血管の健康状態に関するデータを集めることができる。
【0072】
適用されるスクリーニング法の処置は、治療を実行すること、措置を行うこと、及び薬を投与することから成る群から選択された少なくとも1つの処置を含むことができる。
【0073】
選択された処置が薬の投与であるとき、その薬又は物質は、血管作用薬又は血管のアクティビティを有すると考えられる薬にすることができる。
【0074】
上述の血管に対する処置の悪い効果のスクリーニング法は、処置の投与の前及び後に適用されてもよい。
【0075】
上述の血管に対する処置の悪い効果のスクリーニング法は、血管の関数に影響する脈管疾患又は病状を持っている疑いがある又は実際に持っている人に適用されてもよい。
【0076】
本発明は、血管の関数のパラメータの測定を含む。具体的には、本発明は、これに制限されないが、音響エネルギー、及び電磁エネルギーのいずれかの形態を含むエネルギーを用いて、血管を通って細胞の移動速度を決定する。以下のステートメントに囚われることは望まないが、赤血球は、この技術で検出された細胞の大多数を占めると考えられている。好ましい実施形態では、超音波エネルギーが利用される。
【0077】
本発明によれば、赤血球のサンプル体積は音響エネルギーを利用して測定される。そのサンプル体積における全ての血球が同じ速度で移動しているわけではないので、ドップラーシフト周波数の範囲又はスペクトルがプローブに反射される。このように、プローブからの信号は、アナログ−デジタル変換器によってデジタルに変換され、そして、サンプリングされたドップラー信号のスペクトルの内容はコンピュータ又は高速フーリエ変換法を用いたデジタルシグナルプロセッサーによって計算されてもよい。この処理方法は、血流の速度のプロフィールを生成し、それは心拍の間にわたって変化する。その処理は、ビデオディスプレイ上に心拍間隔の流れのパターン、すなわちソノグラフを繰り返させる。器具は、ドップラー信号のスペクトル内の複数の分離された周波数範囲を分析するように構成することができる。カラーコーディング(color coding)はスペクトル線上の異なった点で信号の強度を示すために用いられてもよい。信号の強度は、特にその速度範囲内で流れる血球の割合を表わすだろう。ビデオ画面に表示された情報は、訓練されたオブザーバによって用いられて、検査されている人の脳内の特定の位置における血流の特徴を決定することができ、また、それを用いて、閉塞又は制限の存在又は動脈を通る塞栓の通過のように、表示された情報に一過性の歪みを導入するその血流における異常を検出することができる。器具は、最大周波数フォロワ(a maximum frequency follower)、又は血流のスペクトルの白いアウトラインとしてビデオ画面に表示された包絡線(envelope curve)を提供する処理オプションを含むこともできる。
【0078】
別の好ましい実施形態では、レーザーの形態のコヒーレント光を使用してもよい。さらに別の実施形態では、赤外線又は紫外線を使用してもよい。
【0079】
1つの好ましい実施形態では、本発明のシステム及び方法は、平均の血流速度及び収縮期の加速度の2つの血流パラメータの分析に基づいて、血管の健康の決定を可能にする。
【0080】
初期の研究では、血流速度が脳への血流とどのように関連するかを分析した。流れは速度と異なった概念である。流れは、脳のある部位に運搬された単位時間当たりの量である。これは、速度に部分的に依存する。従って、初期の研究は、流れと速度の間の1対1の関係を実証する。よって、平均の血流速度は、脳血流の非常に良好な指標である。
このように、従来では、この理論は脳への血流を決定するための頼りであった。拍動性インデックスと呼ばれる第2の計算された数があり、それは血流の下流の抵抗で、他者はそれも測定した。依然として、流れパラメータのいかなる組み合わせも検討して、血管の健康又は自動調節を評価する必要がある。
【0081】
本発明のさらに好ましい実施形態では、経頭蓋ドップラーを用いて上述の速度の測定結果を得る。血管内の細胞への選択されたエネルギーの形態の適用は、血管内の細胞の流速の計算を可能にする。血管を通る細胞の流れに含まれる特定のパラメータの測定によって、データ解析は行われてもよい。
【0082】
本発明に関連する1つのパラメータは、平均の血流速度(V)である。このパラメータの値は次式によって与えられる。
【数2】

ここで、
=最大収縮期の速度
=拡張末期の速度
である。
【0083】
本発明に関連する第2のパラメータは拍動性インデックス(P)である。このパラメータの値は次式によって与えられる。
【数3】

ここで、
=平均の血流速度
=最大収縮期の速度
=拡張末期の速度
である。
【0084】
本発明に関連するもう1つのパラメータは収縮期の加速度である。この変量は、拡張期の終わりに血流速度を測定し、収縮期のピークに血流速度を測定し、そして、それらの測定値の差分を拡張期の終了の時と最大収縮期の速度の時の間の時間の長さで除すことにより決定される。これは収縮期の加速度のインデックスである。このパラメータの値は次式によって与えられる。
【数4】

ここで
=Vのときの時間
=Vのときの時間
=最大収縮期の速度
=拡張末期の速度
【0085】
本発明の1つの好ましい実施形態では、各血管の特有のサインは、平均の血流速度に対する収縮期の加速度のプロットにより定義される。Y軸上にプロットされた平均の血流速度とX軸上でプロットされた収縮期の加速度とにより、血管はこのグラフ上の点として表わすことができる。
【0086】
本発明は、それらの血管の状態の値が上述のグラフの自動調節の領域の範囲内にあるとき、血管が正常な自動調節の状態にあることを明らかにする。グラフ上の点は、血管の状態を表わす。また、個々の血管に対応する値が、自動調節のゾーンの外側にあるグラフの他の領域の範囲内にあるとき、重大な問題が発生した又は進行中であろうことも決定される。従って、本発明は、そのようなグラフ上での個々の血管の位置を決定するだけでなく、そのような血管の正常範囲内にあると考えられるものからの距離及び/又は方向のずれを考慮して血管の健康に対する洞察を提供することを可能にする。
【0087】
本発明の別の好ましい実施形態では、各血管の別の特有のサインは、平均の血流速度及び拍動性インデックスに対して収縮期の加速度をプロットすることにより定義される。Y軸上にプロットされた平均の血流速度と、Z軸上にプロットされた拍動性インデックスと、X軸上でプロットされた収縮期の加速度とにより、血管はこの3次元空間で点として表わすことができる。
【0088】
本発明は、それらの値が、この3次元空間のある領域の範囲内にあるとき、血管が正常な自動調節の状態にあることをさらに明らかにする。3次元のプロットは、点の集団を表わす特有の形状を提供し、各々の点は個々の特定の血管からの質量中心を表わす。個々の血管に対応する値が自動調節のゾーンの外側にある3次元空間の他の領域の範囲内にあるとき、重大な問題が発生した又は進行中であろうことが決定される。従って、本発明は、そのようなグラフ上での個々の血管の位置を決定するだけでなく、そのような血管の正常範囲内にあると考えられるものからの距離及び/又は方向のずれを考慮して血管の健康に対する洞察を提供することを可能にする。
【0089】
本発明によって、各大脳血管が特有の状態及び3次元グラフの中で表わされたサインを有していることが定義された。個人の1つの血管に対応する特有の状態及びサインは、血管の状況のダイアグラムの中で点として表すことができ、人口の同じ血管タイプに対応する特有の状態及びサインは、数学的な質量中心として表現された点のセットで表わすことができる。質量中心に対応するこの値は、上述の分析を通じて得られる。本発明は、個人の血管、特に個人の大脳血管が、形状を定義する3次元空間内の点のクラスタリング(clustering)を表示することを明らかにする。
【0090】
当然のことながら、収縮期の加速度、平均の血流速度及び拍動性インデックスに加えて、他の変数が使用されて特定の血管に関する追加情報を提供してもよい。追加の変数が使用されるときに、データは4次元以上の次元空間でプロットされてもよい。個人の血管の特定の重心値の分析は、他の人から得られた同じ名前の血管の質量中心の平均値からの距離によって、正常な血管と異常な血管との間の違いの意味を評価する根拠を提供し、異常性の予測を可能にする。従って、本発明は3次元空間に制限されていない。さらに、個人の血管はn次元空間で表わされてもよく、そこでは各次元が適切な臨床のパラメータであってもよい。例えば、追加の次元又は変数は、これに限定されないが、年齢、病歴又は先の脳卒中の既往歴、肥満症のような危険要因、喫煙、アルコール消費量、カフェイン消費量、高血圧、閉鎖性頭部外傷、片頭痛の既往歴、脈管炎、TIAs、以前の頭蓋内の外傷、頭蓋内圧の上昇、薬物乱用歴、エストロゲン及び/又はプロゲステロンを含むステロイドの投薬、脂質沈着、高脂血症、副甲状腺疾患、電解質レベルの異常、副腎皮質疾患、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、石灰化、糖尿病、腎臓病、血管に効果のある治療薬の先の投薬、交感神経節後線維終末でのノルエピネフリンの放出又は再取り込みに効果のある治療薬の先の投薬、副交感神経節後線維終末でのアセチルコリンの放出又は再取り込みに効果のある治療薬の先の投薬、血管の除神経、ショック状態、電解質レベル、pH、pO、pCO、又はそれらのいずれかの組み合わせ、を含んでいてもよい。
【0091】
本発明は、個人のすべての血管の分析を可能にする。これらの分析手法は、個人、特に個人の血管のコンプライアンスの血管の健康のインデックスを提供する。好ましい実施形態において、本発明は、自動調節する血管の能力の分析を可能にする。もし血流を分析するために用いられるデバイスで位置を特定できるのならば、そのような血管を分析してもよい。動脈と静脈のいずれも、本発明のシステム及び方法で分析できる。動脈に関しては、大脳血管と大脳以外の血管のいずれも分析できる。例えば総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈及び他の頭蓋外動脈を評価することができる。されてであってもよい。さらに、大動脈輪及びそれらの第1の枝に寄与する血管を含む個人の大脳血管の分析は、本発明のシステム及び方法で行なうことができる。本発明は、さらに、例えば、特定の年齢層又は特定の年齢にあるグループ、健康と考えられるグループ、糖尿病患者のように臨床的に確定されたグループに分類されるグループ、肥満症のように共通の危険要因を共有する人のグループ、ニコチンのような同様の物質、又はベータブロッカーのような調合薬にさらされた人のグループのように、異なったグループの人からの個々の大脳血管の分析を可能にする。
【0092】
本発明は、血管疾患、血管疾患診断、血管疾患の重症度の決定及び/又は血管疾患の予後の、将来の発生の正確な予測を提供する、インターネットへのアクセスのような様々な接続メカニズムの能力を有するシステムを含んでいる。本発明は、診断し、予知し、血管疾患の厳しさを決定して将来の発生を予言し、そして精度の増した診断と予後を提供するように訓練された1つ以上の非常に高度なコンピュータを使ったデータベースを提供する。
【0093】
本発明のシステムは、他の場所から受信機又はデータ受信手段を介して患者の血管データを受信し、そのデータを1つのコンピュータに、又は正常状態及び/又は病気状態の特定の血管又は多数の血管についての血管のデータを含んでいる複数のコンピュータを通して送信し、患者の血管データをデータベースと比較して1つ以上の結果を生成し、別の場所に1つ以上の結果を送信することにより操作することができる。別の場所は、遠隔地のコンピュータ、又は他のデータ受信手段でもよい。
【0094】
本発明による個人の血管の健康の評価において、1つ以上の血管における血流の様々なパラメータの値を解釈するための自動の意思決定支援システムの1つの実施形態では、少なくとも3つの異なったモジュールが提供され、それぞれは他とインタラクティブ(interactive)である。これらのモジュールは、データにアクセスするためのモジュール、ユーザーとインターフェース接続するためのモジュール、及び患者データを処理するためのモジュール、すなわち推論モジュールを含んでいる。
【0095】
データアクセスのモジュールは、ユーザーによって入力された経頭蓋のドップラーデータ及び臨床データ、並びに推論エンジンからの推論にアクセスする方法及び蓄積する方法を提供する。このデータは、これに限定されないが、ネットワークサーバ上への保存、又はパソコン上のファイルへの保存を含む、当業者に知られたいずれの方法によって蓄積されてもよい。データアクセスのモジュールは、これに限定されないが、モジュールを初期化するコマンド、患者データを検索するもの、患者データ及び/又はグラフを保存するコマンド、患者データ及び/又はグラフを削除するコマンド、患者のリストを検索するコマンド、及びデータベースに問い合わせるコマンドなど、様々なコマンドに応答することができる。
【0096】
ユーザーインターフェースのモジュールは、これに限定されないが、ユーザーの入力を処理してデータアクセスモジュールに送ること、推論モジュールのためにコマンドを走らせること、データアクセスモジュールのために患者データに関して問い合わせすること、及び推論モジュールからの推論結果に関して問い合わせすることなど、様々な機能を実行することができる。ユーザーインターフェースモジュールは、さらに、データアクセスモジュールから受信した少なくとも1人の患者の患者データと、推論モジュールから受信した概念インスタンス(concept instances)を表示するように設計されてもよい。ユーザーインターフェースモジュールは、患者の臨床及び人口統計のデータと、生の経頭蓋のドップラー速度測定データと、患者の血行力学の状態の分析とを表示するように設計されてもよい。患者の血行力学の状態の分析は、これに限定されないが、各動脈の状態、検出された広範囲の状態(global conditions)、及び患者の脳卒中のリスクの評価を含んでいる。ユーザーインターフェースは、どのようにして結論に到達するか決定するために、患者の脳卒中のリスクの評価から掘り下げる能力をユーザーに提供するのが好ましい。
【0097】
推論インターフェースのモジュールは、これに限定されないが、コマンドを受諾して、コンセプトを推論するための患者のデータを処理すること、特定の概念インスタンス又は概念グラフ(concept graph)中の与えられた概念インスタンスの実例(instances)をサーチすること、及び、概念グラフを保存すること又は古い概念グラフをロードすることを含む様々な機能を実行する。推論インターフェースは、さらに少なくとも2つの別のモジュール――これに限定されないが、ユーザーの入力、保存されたコンセプト及び/又はデータ、臨床データ、及び経頭蓋のドップラーデータ含む入力されたデータの分析を行うための分析モジュールと、他のモジュールを備えた分析モジュールの相互作用の詳細を隠すためのインターフェースモジュール――に分割することができる。インターフェースモジュールは、他のモジュールが、分析インターフェースに露出せずに分析モジュール内に存在するデータ及び概念グラフにアクセスするのを可能にする。好ましくは、推論モジュールによって作成されたファイルは、データアクセスモジュールによって蓄えられる。
【0098】
本発明によれば、患者データは、経頭蓋のドップラーの解釈及びすべての臨床データから導き出されたすべてのデータを含んでいる。好ましくは、患者データは、唯一の患者ID(a unique patient ID)によって参照された各患者に対して、単一ブロックのデータとしてアクセスされ、そして蓄えられる。
【0099】
本発明の1つの実施形態では、経頭蓋のドップラーデータ及び臨床データはユーザーインターフェースでユーザーによって入力される。一旦インプットが終われば、ユーザーは後のアクセスのためにデータをファイルに保存することができ、又はそれを保存する前に直ちにデータを分析することができる。一方の事例では、患者データは、推論モジュールによってデータアクセスモジュールから検索される。両方のモジュールは、患者IDに基づいて患者データを検索する。好ましくは、ユーザーは、分析する特定の患者データを選択して、それを観察する、編集する又は分析することができるように、ファイルに保存されたすべての患者のリストを検索することができる。好ましくは、しかしながら必須ではないが、データアクセスモジュールに送られたパラメータのセットはユーザーIDを含んでいる。
【0100】
分析モジュールは1つ以上のサービスの分類(classes of service)を提供することができる。例えば、モジュールは、モジュールの初期化、開始、実行、停止のコマンドを含む分析モジュールに命令する方法を含む。モジュールによって提供される別のサービスの分類は、概念属性の値をセットする及び/又は検索する方法を含んでいてもよい。
【0101】
上述のモジュールによって定義されるように、本発明は、個人の血管の健康の評価において1つ以上の血管における血流の様々なパラメータの値を解釈するために、自動の意思決定支援システムのためのシーケンスを提供することができる。これらのシーケンスは、これに限定されないが、患者データを保存すること、患者データを分析すること、分析ページに分析をロードすること、そして概念グラフから証拠を検索することを含んでいる。
【0102】
上述のモジュールによって、本発明は、個人の血管の健康の評価において1つ以上の血管における血流の様々なパラメータの値を解釈するために、自動の意思決定支援システム用のソフトウェア設計を提供することができる。
【0103】
上述のモジュールの使用と共に、本発明は、個人の血管の健康の評価において1つ以上の血管における血流の様々なパラメータの値を解釈するための自動の意思決定支援システムの使用可能なプロトタイプ用に、使用例を提供することができる。これらの使用例、すなわちユーザーインターフェース・コマンドは、これに制限されないが、新しい患者データを入れること、既存の患者データをロードすること、臨床データを観察すること、経頭蓋のドップラー速度測定を観察すること、患者データを分析すること、分析を観察すること、及び分析に隠れた証拠を集めること含む。
【0104】
本発明の好ましい実施形態において、様々な血流パラメータから大脳血管の健康状態の超音波測定によって得られた患者のデータ情報の処理がある場所で行われている間に、別の場所で患者の血管の健康についての質問を可能にする処理が提供され、その処理によって血管の健康状態の評価が遠隔で行われる。このプロセスは、その時間に患者の特定の状況を与えられた適切なデータセットを得るために開発された決定マトリクスを用いて、段階的に管理されるのが好ましい。従って、そのプロセスは遠隔で管理することができ、また、データは遠隔で処理することができる。
【0105】
例えば、技術者又は医者は、必要な経頭蓋ドップラーデータを得るための適切なデバイスを患者の頭部に適用することにより、患者を支援するだろう、あるいは、プローブを頭蓋骨上の適切な窓に置いてドップラーデータを得るだろう。そして、血管の健康データは集められ、血管の健康状態の評価を行うもう1つのデバイスに送信されるだろう。そして、データは処理され、追加の測定のための潜在的な提案だけでなく解釈も生成される。評価処理自体は、バッチモードで1度に1つずつテストを行うことができだろうし、又はオンライン・システム上でそれを連続的に行うことができるだろう。そして、解釈及び潜在的な提案は、もう1つの場所へ中継することができ、この場所は、患者のいる場所、医療従事者のいる場所、又は診断が伝えられる場所を含む、いくつかの選択ができる。
【0106】
分析の実施において、アナリスト、例えばコンピュータ又は査定者は分析を行い、好ましくは、参照人口との比較を行うだろう。参照人口はその日に評価された患者のグループにすることができ、又は、それは他のいくつかの点で適切な人口にすることができる。いずれの場合にも、予測値が特にその参照グループにおいて人の基本的な有病率によって影響されるので、参照人口を考慮し、参照人口に新しいデータをセットすることは重要である。
【0107】
当然のことながら、測定装置から血管の健康の査定人への血管の健康情報の伝達、及び接続場所への血管の健康の解釈の伝達は、モデム、ケーブルモデム、DSL、Tl、また無線送信を含む様々な通信リンクによって達成できる。その伝達はバッチで又は連続的にすることができる。
【0108】
当然のことながら、クライアントサーバ情報の実施形態において、いくつかの評価機能がクライアント側で存在するかもしれないし、その一方で他のものがサーバ側で存在しているかもしれず、その比率は、最適な帯域幅、コンピュータ速度及びメモリのそれぞれに依存して配置される。他の考察は、超音波プローブに取り付けられた計算手段(computational device)を通して、段階的に又はバッチモードのいずれかによるデータの遠隔通信を含む。
【0109】
本発明は、さらに、インターネット及び他の接続機構へのアクセスと結合したシステムを含んでおり、それは、血管疾患、血管疾患診断、血管疾患の重症度の決定、及び/又は血管疾患の予後の将来の発生のかなり正確な予測を提供する、本発明は、診断し、予知し、血管疾患の厳しさを決定して将来の発生を予言し、そして精度の増した診断と予後を提供するように訓練された1つ以上の非常に高度なコンピュータを使ったデータベースをさらに提供する。本発明は、また臨床の環境において、薬のような物質への露出に続く血流の特徴の微妙な差を評価する感知可能なツールを提供する。
【0110】
本発明は、個々の患者の血管のデータファイル、血管の血流の特徴の分析からの結果、患者ファイルに蓄えられるように電子ファイルシステムのようなファイルシステムと結合してもよい。このように、医療従事者又は患者は患者ファイル内の情報に高速でアクセスすることができる。医療従事者への前回の訪問以来の血管の健康の変化がすぐに決定でき、それにより血管疾患の進行が変わったかどうかが示され、もし勧められれば、介入の戦略又は治療学は有効である。また、本発明は、コンピュータを使ったデータベースからの血管疾患、疾患診断、血管疾患の重症度の決定及び/又は血管疾患の予後の将来の発生の予測に関する情報の受信後に、推奨される追加の診断テスト及び利用可能な治療オプションに関して、医者が患者に迅速に助言する能力を提供する。
【0111】
従って、本発明の目的は、血管の健康を評価する新しい方法を提供することである。
【0112】
発明のさらなる目的は、大脳血管の健康の繰り返し評価のための方法を提供することである。
【0113】
本発明のさらに別の目的は、疾患リスクのある個人の血管の健康を評価することである。
【0114】
本発明のまた別の目的は、脳卒中のような血管の問題を経験した患者をモニターする方法を提供することである。
【0115】
本発明のもう一つの目的は、措置を行うこと、治療を実行すること、及び物質を投与することを含む処置に対する血管の反応を評価する方法を提供することである。
【0116】
本発明の特定の目的は、大脳血管の病理のリスクの個人に対する物質に対する血管の反応を評価することである。
【0117】
さらに本発明の別の目的は、措置を行うこと、治療を実行すること、及び治療の方法で使用されてもよい物質を投与することを含む処置に対する血管の反応を評価することである。
【0118】
本発明のもう1つの目的は、次の脳卒中、閉鎖性頭部外傷、contra coup損傷、鈍器外傷、一過性脳虚血発作、片頭痛、頭蓋内出血、動脈炎、水頭症、意識喪失、交感神経切除、起立性低血圧、頚動脈洞刺激性(carotid sinus irritability)、血液量減少、心拍出量減少、不整脈、不安発作、ヒステリー性失神、低酸素症、睡眠時無呼吸、頭蓋内圧の上昇、貧血、血液ガスレベルの変化、低血糖症、部分的又は完全な頚動脈閉塞、アテローム性動脈硬化の血栓症、塞栓性梗塞、頚動脈血管内膜切除術、経口避妊薬、ホルモン補充療法、薬物治療、クマディン(Coumadin)、ワルファリン、及び抗血小板薬を含む血液の抗凝固薬を用いた処置、興奮性アミノ酸拮抗薬を用いた処置、脳浮腫、動脈アミロイドーシス、動脈瘤、破裂性大動脈瘤、動静脈奇形、又は大脳血管に影響を与える他の状態にある患者の血管の健康の進行中の評価を提供することである。さらに、動脈瘤破裂に続く血管の血流れの変化もモニターすることができる。
【0119】
本発明の別の目的は、血管のアクティビティを持つと疑われた薬又は他の物質を評価することである。
【0120】
本発明のさらに別の目的は、血管疾患のリスクがあることを知られていた個人において疑わしい血管のアクティビティへの薬を評価することである。
【0121】
本発明の別の目的は、人の次の脳卒中において、血管のアクティビティを持っていると疑いのある薬のような物質を評価することである。
【0122】
本発明のさらに他の目的は、明らかな血管の問題を持っていない個人において、血管のアクティビティを持っていると疑いのある薬のような物質を評価する、非侵襲性の方法を提供することである、
【0123】
本発明の別の目的は、個人おいて、血管のアクティビティを持っていると疑いのある薬のような物質の種々の投薬量を評価する、非侵襲性の方法を提供することである。
【0124】
本発明のさらに別の目的は、個人において、血管のアクティビティを持っていると疑いのある薬のような物質の種々の組み合わせを評価する、非侵襲性の方法を提供することである、
【0125】
本発明のさらに別の目的は、個人において、血管のアクティビティを持っていると疑いのある薬のような物質の選択された投薬量の種々の組み合わせを評価する、非侵襲性の方法を提供することである。
【0126】
本発明のまた別の目的は、大脳血管の別の部位の血管の障害の後に、特定の血管又は血管床の血管の健康を評価することである。このように、適切に自動で調節し副側血流を分配する他の血管の能力を評価することができる。
【0127】
本発明の利点は、侵襲性ではないということである。
【0128】
本発明のさらなる利点は、迅速で安く行えるということである。
【0129】
本発明の別の利点は、血管の障害又は損傷、又は薬への露出の後に、長期にわたって、特に定期健康診断の間に個人の血管の健康をモニターするために、各々の大脳血管の特徴が、ベースラインとして確立されてもよいことである。
【0130】
本発明のさらに別の利点は、個人の血管の分析と、他の人の対応する血管の正常値に対するそれらのずれが、特定の病状を示してもよいということである。そして、それらの病状の治療を本発明で評価して、治療が、評価されている特定の血管に対して有効だったかどうか決定してもよい。
【0131】
従って、本発明の目的は、個人の血管の健康に関する情報の効率的な配信のためのシステムを提供することである。
【0132】
本発明のさらに別の目的は、医療従事者が利用することができるシステムを提供して、血管疾患の将来の発生、血管疾患診断、血管疾患の重症度の決定、及び/又は血管疾患の予後の、より的確でより正確な予測を提供することである。
【0133】
本発明の目的は、医療従事者が利用することができるシステムを提供して、血管疾患の診断及び予後のより的確でより正確な予測を提供し、また、これに限定されないが脳血管疾患を含むそのような疾患の関連する治療オプションを提供する。
【0134】
本発明のさらなる目的は、入力装置からの血管の血流データを受け取り、同じ血管又は正常若しくは病気の状態の血管の既存データを考慮して血管の血流データを解釈し、血管の健康に関する有益な情報を提供する値を生成し、そして、任意で別の場所に情報を伝達できるコンピュータを使ったデータベースを提供する。
【0135】
本発明のさらに別の目的は、短い時間間隔で、医療従事者に完全な患者のレポートを配信するシステムを提供することである。
【0136】
本発明の別の目的は、入力装置からの血管の血流データを受け取り、同じ血管又は正常若しくは病気の状態の血管の既存データを考慮して血管の血流データを解釈し、血管の健康に関する有益な情報を提供する値を生成し、そして、任意で別の場所に情報を伝達できるコンピュータを使ったデータベースを含んでいるローカル又はリモートコンピュータに、接続手段を介して連結された、治療ポイントの分析的な能力を提供する。そのような出力値は、治療ポイントの血流測定装置からの結果を配信した医療従事者のオフィス内の治療ポイントを含む、様々な場所へ配信してもよい。本発明は、手頃な費用で質のよい患者の健康管理の配信を向上させるために、医療従事者が使用する、正確で、有効で、且つ完全な情報を提供する。
【0137】
本発明のこれら及び他の目的、特徴、並びに利点は、開示された実施形態の以下の詳述な説明を検討した後に明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0138】
<発明の詳細な説明>
この出願は、2001年10月1日に出願された同時係属中の同一出願人による米国特許出願第09/966366号、第09/966368号、第09/966360号及び第09/966359号の全体を引用して、明示的に本明細書に組み込む。
【0139】
本発明は斬新なシステム及び血管の健康を評価する方法を提供する。この発明は個人の大脳血管の疾患のリスクを評価するのに用いることができる。また、本発明は、血管の障害又は脳卒中の後に、個人の血管の健康の評価に用いることもできる。また、本発明は、大脳血管への個々の物質又は物質の組み合わせの効果を評価するために用いることもできる。
【0140】
上で述べたように、本発明は血管の関数のパラメータの測定を含んでいる。具体的には、本発明は、これに限定されないが、音響エネルギー又はいずれかの形態の電磁エネルギーを含むエネルギーを用いて、血管を通る細胞の移動速度を決定する。好ましい実施形態において、超音波エネルギーが利用される。
【0141】
<血流データの収集及び分析の説明>
本発明のシステム及び方法によれば、非侵襲性の器具は、ドップラー原理を用いて頭蓋内動脈及び静脈の血流速度の測定結果を得るのに利用される。血管壁の収縮のような体の動きがドップラー信号の散乱超音波において「ノイズ」として検出されるので、高域フィルタを使用してこれらの低周波・高振幅の信号を低減する。典型的には、この高域フィルタは、0から例えば488Hzの間で選択可能な遮断周波数より高い通過帯域を持つように調節することができる。
【0142】
サンプル体積における全ての血球が同じ速度で移動しているわけではないので、ドップラーシフト周波数の範囲又はスペクトルがプローブに反射される。
このように、プローブからの信号は、アナログ−デジタル変換器によってデジタルに変換され、そして、サンプリングされたドップラー信号のスペクトルの内容はコンピュータ又は高速フーリエ変換法を用いたデジタルシグナルプロセッサーによって計算されてもよい。この処理方法は、血流の速度のプロフィールを生成し、それは心拍の間にわたって変化する。その処理は、ビデオディスプレイ上に心拍間隔の流れのパターン、すなわちソノグラフを繰り返させる。器具は、ドップラー信号のスペクトル内の複数の分離された周波数範囲を分析するように構成することができる。カラーコーディングはスペクトル線上の異なった点で信号の強度を示すために用いられてもよい。信号の強度は、特にその速度範囲内で流れる血球の割合を表わすだろう。ビデオ画面に表示された情報は、訓練されたオブザーバによって用いられて、検査されている人の脳内の特定の位置における血流の特徴を決定することができ、また、それを用いて、閉塞又は制限の存在の可能性又は動脈を通る塞栓の通過のように、表示された情報に一過性の歪みを導入するその血流における異常を検出することができる。器具は、最大周波数フォロワ、又は血流のスペクトルの白いアウトラインとしてビデオ画面に表示された包絡線を提供する処理オプションを含むこともできる。
【0143】
図5A〜5Dは、本発明によるシステムによって提供されるドップラー波形の定義を示している。図5Aは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の結果を提供するグラフである。最大収縮期の速度が図中に示されている。
【0144】
図5Bは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の結果を提供するグラフである。拡張末期の速度が図中に示される。
【0145】
図5Cは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の結果を提供するグラフである。平均の血流速度が図中に示される。
【0146】
図5Dは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の結果を提供するグラフである。収縮期の立ち上がり時間又は加速度が図中に示される。
【0147】
本発明は、収縮期の加速度及び平均の血流速度の2次元グラフ上へのプロットを提供する。自動調節モデルを参照すると、自動調節カーブがシステムの血管の健康についてより正確に記述しているという新たな1つのことがわかる。3次元の追加、つまり拍動性インデックスの追加は、血管の特定のサブセクションにおいて血液がどのように流れているかをより正確に見せる3次元のプロットを提供する。このように、本発明は、異なった血流パラメータを組み合わせて、血液が脳内自体でどのように流れているかを示すノモグラム又はグラフを与える。
【0148】
本発明は、大脳血管の取り調べに対して、血管の血流パラメータを検査しそして正常値と比較することにより、血管の健康又は疾患の状態を決定することを可能にする。また、この比較的迅速で非侵襲性の技術によって全人口を取り調べて、それにより個々の患者のみならず人口に対しての判断を得ることができるので、臨床試験を実行することも可能である。さらに、それはグループの流動力学を長時間の全体にわたってモニターし、そして、臨床的な測定により、治療していないグループがより病気にかかるか、又は治療したグループが安定し、改善し又は病気の発生率が低下するか、のいずれかを決定することができる。このように、本発明は、非常に感度の高い脳用の血流の取り調べ器具を提供して、患者に薬を使用することが安全又は有効かどうかを決定する。
【0149】
超音波探プローブを用いることにより、血液の速度を決定することができる。ポイント内にある離れた2箇所での血液速度の関係は、本発明の血流パラメータを提供するだろう。正規母集団と関係付けながら個々のセグメントでの3つのパラメータの関係を分析することにより、血管の特定のセグメントの疾患の状態を決定できる。さらに、脳内全体の血管のセグメント全てを評価することにより、相互の接続及び脳の全部位における異常な血流の状態を決定することができる。脳の多くの部位にリスクがあれば、患者の脳卒中のリスクが高くなる。このように、本発明は、患者の脳卒中のリスクの量を計ることを可能にする。
【0150】
本発明により、多くの患者の様々な経頭蓋のドップラー超音波検査の測定結果の値が、本発明のデータベースに集められる。さらに、データベースは、様々な大脳動脈に対する経頭蓋のドップラー超音波検査の測定結果の範囲を提供してもよい。図6は、多くの個人の眼動脈の経頭蓋ドップラー超音波分析のために、平均血流速度の値がY軸上に、収縮期の加速度の値がX軸上にあるノモグラムを提供する。当然のことながら、大多数のデータ点がノモグラムの左下側に集まっている。これらは血管の健康に対応する値を表わす。ノモグラムの左上部分で見つかった異常な点は、血管障害、特に血管拡張の状態に対応する。ノモグラムの右下で見つかった異常な点もまた、血管障害の状態に対応し、しかしながら、ここでこれらの点は狭窄に対応する。これらの観察は図7で提供される。
【0151】
別の好ましい実施形態では、本発明のシステム及び方法は、平均の血流速度、収縮期の加速度、及び拍動性インデックスの3つの血流パラメータに基づいて、分析に基づいた血管の健康の決定を可能にする。例えば、図8は、多くの個人の大脳動脈の経頭蓋ドップラー超音波分析のために、平均の血流速度の値がY軸上に、収縮期の加速度の値がX軸上に、及び拍動性インデックスの値がZ軸上にあるノモグラムを提供する。当然のことながら、ノモグラムの原点に近い第1の八分円(x>0、y>0及びz>0)に位置する質量中心の中に、大多数のデータ点が集まっている。もし値の対数としてプロットされれば、これらは正規分布を示す。これらの値の対数の通常の範囲は、参照人口の血管の健康に対応する値を表わす。このように、本発明は、参照人口から集められたデータに基づいて、いずれの又は全ての参照人口の解釈を可能にする。いずれかの方法、例えば、徴候又は所望の特徴の特定のセットを示しているこれらの患者により、参照人口を確定できるので、データセットは理想的な参照用のセットである。
【0152】
ノモグラムにおいて原点から遠位で見いだされ且つ大きな平均血流速度(y値)を有する異常な点は、血管障害、特に血管拡張の状態に対応する。さらに、ノモグラムにおいて原点から遠位で見いだされ且つ大きな収縮期の加速度(x値)を有する異常な点は、血管障害の状態に対応し、しかしながら、ここでこれらの点は狭窄に対応する。
【0153】
現在まで相当な数の人から集められたこれらの測定値は、平均の血流速度、収縮期の加速度、及び拍動性インデックスの3つの血流パラメータについて、正規母集団のための観測値が統計的に正規分布の値を示すことを実証する。有意性検定、多変数の距離、及びクラスター分析のような標準の多変量統計法によって吟味した結果、3つ全てのパラメータのための観測値は、完全に統計的に正規分布を示す。
【0154】
本発明の好ましい実施形態の態様は、経頭蓋ドップラー超音波検査によるデータの収集である。前に説明したように、経頭蓋ドップラー超音波検査を行うための器具は、一般に2MHzのパルスドップラー及びスペクトルアナライザーであり、そこでは、検査士は画像の補助なしに、頭蓋内の血管を取り調べる。そのような技術は、フリーハンドの、ブラインドの、又は非画像の経頭蓋ドップラー超音波検査と呼ばれる。近年、Bモードのイメージング及びカラー並びにパワードップラーを組み込んだ二重の超音波システムは、経頭蓋ドップラーの研究を行うために使用されてきた。しかしながら、二重超音波と比較されたときに、その技術は、同等に正確で、それほど高価ではなく且つよりポータブルな器具にできるので、二重超音波の技術の進歩にもかかわらず、フリーハンドの経頭蓋ドップラー超音波検査が一般に行われている。
【0155】
フリーハンドの経頭蓋ドップラー超音波検査は、オペレーターに依存すると特徴付けられるが、技術は客観的で再生可能である。オペレーターは、経頭蓋ドップラー超音波検査を行うときに、関連のある解剖学的構造、自然な頭蓋窓、及び認められた検査技術を考慮する。具体的には、頭蓋内の血流に寄与する頭蓋外の動脈循環、頭蓋内の動脈循環、頚動脈、椎骨動脈、脳底動脈及びそれらの共通の解剖学的構造の変化についての理解は、必須条件である。
【0156】
さらに、検査を行なうときに、検査士はまた、血管を同定しなければならない。そのような同定は、しばしば、利用されている音響窓、サンプル体積の深さ、トランスデューサー(transducer)に対する血流の方向、相対速度、及び空間的関係を前提としている。
【0157】
検査士は、骨が十分に薄いか又は骨を通る自然な開口があるかのいずれかで、十分な超音波エネルギーを頭蓋骨の中に及び外に通過させることができ、経頭蓋ドップラー検査を行うことが可能な場合、すなわち信号対雑音比が「窓」において適切である場合に、頭蓋上に3つの音響窓又は部位があることを認識しなければならない。しかしながら、向上されたフェイズアレイ検出器は、「窓」を必要としない十分に改善された信号対雑音比を提供できる。3つの音響窓は、側頭骨上の頬骨弓の上側に位置している経側頭(transtemporal)の窓と、トランスデューサーを閉じたまぶたの上に直接位置づけ、真っすぐ前後方向でわずかに中線の方に傾けた場合の経眼窩(transorbital)の窓と、頭蓋骨の触診可能な底部のおよそ1インチ下の首の後部の上側の中線に位置する経突孔(transforamenal)の窓である。その他の窓は、血管内の細胞の運動の検出のために音又は他の起電力を用いた他のアプローチのために用いることができると理解されるだろう。当然のことながら、多くの教科書は、検査士が最適な経頭蓋ドップラー超音波検査を行うことができるように、彼らに十分な指導を提供する。そのような教科書の1つは、L. Nonoshita-Karr及びK. A. Fujioka著、「経頭蓋ドップラーの超音波検査のフリーハンドの検査技術(Transcranial Doppler Sonography Freehand Examination Techniques)」、J. Vase. Tech. 24, 9 (2000)であり、これを参照して本明細書に組み込む。
【0158】
本発明の別の好ましい実施形態では、超音波ビームのアライメントは、2次元内で、迅速に且つ自動的に制御される。仰角を少し増加させる変更をする間にアジマス角を迅速にスキャンする機器が3次元イメージ構造(3-dimensional image construction)に用いられたが、仰角の制御において速度を欠く。レーザースキャンの類似の領域において、ガルバノメーターの動作によって駆動された1対の直角に回転する鏡を用いて2次元内の光線を操縦するのが一般的である。しかしながら、ダブルミラーアプローチは、超音波では同様には動作しない。1対のガルバノメーターで駆動されるミラーのサイズ及び取り扱いにくさは、特に、経食道用及び経直腸用のプローブのような制限された空間での医療用途において不利である。もう1つの設計制約は、超音波の減衰が波長の減少とともに急激に上昇するので、必要に迫られて、超音波診断用の波長は光の波長よりずっと大きい。経験則として、減衰量の多い組織を通して撮像するのに必要とされる大きな波長を用いても、超音波の波長は、撮像される最大深さの1%よりずっと小さくすることはできない。比較的大きな波長では、回折効果が、レーザーでのように小さなミラーによって操縦することができる非常に薄い平行ビームを生成することを、不可能にする。
【0159】
超音波の鋭い集束については、回折による角分散を回避するために、比較的大きな開口が必要である。良好に集光された近視野の超音波ビームは収束するコーンの形状を持っており、ターゲット領域におけるほぼ最適な焦点の小さな深さを表わしている短い焦点のネックを介して、発散するコーンと接続している。焦点よりもわずか2波長分だけ下側にある実際の最小スポット径に迫る解像度は、60°オーダーの包含されたコーン角度を要求される。もし、固定された焦点深さを維持したまま円柱状のビームの発信端(the originating end)を小さくし、そして回折によって焦点のネックが厚くすれば、最適深さでの解像度を犠牲にして比較的良好な焦点になる深さの範囲が増加する。ダブルミラー装置を備えたファインフォーカスを達成するために、ミラーは比較的大きくしなくてはならず、速い角度応答を実現する難しさが増す。
【0160】
典型的な電気機械の超音波イメージスキャナーは、回転ヘッド上の複数のトランスデューサー、又は、非スキャンモードにおいて正確な角度のサーボ制御の可能性を犠牲にすることにより所望のアジマス角のスキャンを達成する角度の共振アプローチによって回転振動する超音波ミラーを使用する。
【0161】
レーダーにおいて、フェイズドアレイは、固定された送信/受信表面からの2次元の迅速なスキャンと急なアラインメントの変更を可能にする。同等のアプローチが医療の超音波に適用可能である。1次元の超音波フェイズドアレイの用途の拡大が見いだされ、2次元内でのアラインメントの制限された制御が現われ始めている。1つの好ましい実施形態では、3次元のデジタルイメージを構築するために、ステッピングモーターが用いられて、小さな増加ステップを通じて1次元のフェイズドアレイのスキャン平面を回転する。このアプローチは、ゆっくりしたスキャンのフレームが正確なレジストレーション(registration)であるように、目標と超音波スキャナーとが機械的に安定であることを必要とする。2つの選択されたスキャン平面のどちらかによってビームを操縦することが可能な電極の二重セットを備えたフェイズドアレイを使用することができる。例えば、1次元の超音波アレイを使用したシステムは、平面内で制御可能なアラインメント及び焦点深さを達成でき、レンジゲートのパルスドップラーで用いて動脈の断面上での血流速度のプロフィールを特徴づける。また、ドップラー周波数シフトと血流速度との間の関係を正確に決定できるように、装置は、動脈に沿った異なる軸の位置でのドップラー速度を比較することによって角関係の量を計るのに有用である。
【0162】
多くの新たな超音波の用途において、視覚的な画像スキャンは、動脈の寸法を越えた長時間にわたる血流速度のプロフィールの測定に関係する小さい領域での分析に備えて、構造の特定及びそれらの位置の決定の補助的な役割をはたして、体積流量を特徴づけ、そして狭窄の病変によって起こる血流のかく乱を検出する。固定されたアラインメントの焦点のぼけたビーム又は2つの軸に関して電気機械的に整列したビームを用いることにより、血圧、眼圧及び機構的な組織の特性を決定するシステムにおいて、振動トラッキング及び直径脈動トラッキングの目的で、超音波を用いて正反射を生成する臓器表面の時間で変化する位置を追跡することができる。好ましい1つの実施形態は、焦点を合わせない2軸の超音波の照準デバイスを含み、そのデバイスは短いマグネットシリンダの上に積み重ねた超音波振動子ディスク(an ultrasound transducer disk)と2軸ジンバルベアリング内に載置された一対の振動子マグネット(transducer-magnet pair)とを含み、そのジンバルベアリングは、リング及びマグネットの上のピン及びはめ込まれたベアリングカップを含み、フレキシブルワイヤが固定ハウジングにジンバルされた(gimbaled)部分を接続している。4分割されたトロイダル(torroidal)の強磁性体の芯で、その90°に4分円状(quadrants)した4つの芯の上の4本の巻線と共にジンバルを囲む。対向する巻線が相互に連結されており、ジンバルされた一対の振動子マグネットと交差する2つの直角な磁場を生成する2つの電気回路を与える。ジンバルされた部分は、2つの適用された磁場に応えて傾き、超音波ビームを向ける。
【0163】
この照準デバイスでは、軸方向に分極した中心マグネットは、その中心アラインメントにおいて本質的に不安定であり、トロイド(torroid)と交差する点に引きつけられる。アラインメントを安定させるためには、連結ワイヤのねじれの回復は、磁気的な不安定性を克服しなければならない。アラインメントの方向は、サーボ制御のための直接の検出なしに、機械的及び磁気的な力のバランスによりオープンループで決定される。非補償型のオープンループ制御の状況では、正味のアラインメントの回復が弱いならば、鎮静は遅く、もし回復を強くすれば、中心から外れたアラインメントに維持するのに必要な安定した力が過大になる。特定のデザイン、すなわち慣性、角度のバネ係数、減衰、及び電磁結合の強度の既知の動的性質を考慮した動作の補正済みのオープンループコントローラーは、応答を促進できる。ラプラスの極零分析(LaPlace pole-zero analysis)が一般に用いられて、コントローラーの伝達関数を設計するので、「極零補償(pole-zero compensation)」の用語は、この種のコントローラーにしばしば適用される。応答を促進するために、コントローラーの伝達関数は、電気機械の低周波のゼロを極に、そして低周波の極をゼロに相殺し、原点の左側に関する限り、実用的には、帯域幅の制約内において一般に移動した極を新しい極に交換する。
【0164】
既存のデザインに非常に必要で且つ利用できない何かは、アラインメント検出と、アラインメントにおける迅速で速い鎮静への変化のためのエラーフィードバックと共に、速い機械的なアラインメント能力である。アラインメントトラッキングの領域並びにエコーの特徴及びそれらの動作又は速度の分析において、特に麻酔がかかっていない対象の拡張モニタリングにおいて、イメージ提示のための迅速にスキャンする能力と、連続したソフトウェアのコントロール下での良好な調整の2次元ビームアラインメントをする能力との結合の必要性があり、拡張されたモニタリングを条件として、組織構造上にアラインメントをダイナミックに維持できる。
【0165】
結合されたスキャン及び固定されたビームアラインメントのモニタリングのエリアでは、画像面内の特定のアラインメントにおいてBモードのイメージスキャンとドップラートラッキングとの間で容易に切り替えるフェイズドアレイデバイスを使用することができる。フェイズドアレイの速度を有するこのようなデバイスは、スキャンの掃引と、時分割モードにおける固定アラインメントで収集する短時間のドップラーデータと、を繰り返して、イメージとドップラーデータのいずれも比較的連続して達成できる。マニュアルコントロールが2軸を必要するが、電子アラインメント制御は1軸に制限される。また、二重ビーム超音波デバイスを使用することもでき、固定目標からのデータの追跡のために1本の光線を用い、スキャンを継続して、オペレーターが所望の目標上にアラインメントを維持するのを助けるために別の光線を用いる。再び、アラインメントの別の軸は手動で制御される。
【0166】
多くの用途では、臨床の設定における測定を得るのではなく、対象の体に直接貼り付けて体の運動に乗せるように、十分に小さなデバイスを達成することが有利である。充実したこれらと他のニーズにおける本発明の利点は、以下の明細書及び特許請求の範囲で理解されるだろう。
【0167】
<データ遠隔測定の説明>
本発明は、いくつかのユニークな技術を組み合わせて、患者のための、改善され、効率的で且つタイムリーな医療の制御、管理及び配達において、医者を支援する総合システムを提供する。この総合システムの鍵となる構成は、これに限定されないが(1)これに限定されないがデスクトップパソコン、ラップトップコンピュータ又はマルチユーザーサーバシステムを含む、プロセッサーと、(2)モニター、プリンター、液晶ディスプレー、及びその他の当業者に既知の他の出力デバイスなど、プロセッサーからの情報を表示する出力装置を含み、さらに任意で、(3)患者の臨床プロファイルを評価するための分析アナライザーを含む。そのようなアナライザーは、1つの血管又は複数の血管の血流の特徴を分析するのに用いることができる。
【0168】
すべての患者データは、デジタル形式や、コンピュータによる判読が可能で且つ通信可能な他の形式などの形式で置かれ、そして別の場所に送信されてもよい。1つの実施形態では、コンピュータを使ったデータベースは、医療従事者のオフィス、おそらくは医者のオフィスのコンピュータの中に位置してもよい。別の実施形態では、コンピュータを使ったデータベースは、集中型の病院施設の中、緊急処置室/サービスの中、臨床化学実験室の中、又はもっぱらコンピュータを使ったデータベースの収容及び維持専用の施設中に位置してもよい。さらに別の実施形態では、コンピュータを使ったデータベースは、家庭用コンピュータの中に位置してもよい。さらなる実施形態では、コンピュータを使ったデータベースは、戦場で、農村地帯で、及び事件の場合で用いるために、ポータブルにしてもよい。
【0169】
本発明のシステムにおけるもう1つの構成は、モデム、又は当業者に既知の他の通信装置などの送信デバイスを含んでいる。そのようなデバイスは、これに限定されないが、人工衛星、ラジオ、電話、ケーブル、赤外線デバイス、及び情報送信についての当業者に既知の他の機構を含んでいる。送信デバイスのモデムは情報を中央コンピュータを使ったデータベースに送信する。好ましい実施形態では、モデムはインターネットへのコンピュータクセスに用いられる。そのような通報手段は、血管の血流パラメータの評価による患者の情報を、医療従事者のオフィスのような治療地点から、コンピュータを使ったデータベースの別の収容施設に送信するのに不可欠である。コンピュータを使ったデータベースを収納する設備は、地方に、同じオフィス内に、同じ建物内に、又は町を横切って、又は別の都市、別の州、別の国のような遠隔地に、又は船、飛行機若しくは人工衛星の上に位置してもよいことが理解されるだろう。
【0170】
コンピュータを使ったシステムは、データ通信技術及び分散ネットワークを利用して構成されてもよく、それは、事実上世界中のどこにでも、効率的にタイムリーな方法で
データの配達を可能にする。本発明に係るこのシステムは、1つ以上のネットワークを経由して、遠隔の発信元(source)からから中央サーバまで臨床の血管の血流データを転送することができる。中央サーバは、コンピュータを使ったデータベース及び関連する構成のホストをつとめる。従って、中央のサーバは、診断、予後、決定サポート、臨床データの分析及び解釈に関係する情報を生成するのにエキスパートシステム(expert system)を用いて、受信した実験室での及び臨床での血管のデータを分析することができる。そして、得られた情報は、中央のサーバから、1基以上の遠隔のクライアントステーションに、1つ以上のネットワークを介して配達されてもよい。遠隔の発信源から中央サーバにデータを転送し、中央サーバでデータを分析して情報を生成し、そして遠隔のクライアントサイトへ情報を移すという全プロセスは、オンラインで又はリアルタイムで、このように行なわれてもよい。
【0171】
個人の血管の健康の評価において1つ以上の血管における血流の様々なパラメータの値を解釈するための自動意思決定支援システムでは、個々の血管に集められるデータは、各患者のために個々に分析され、そしてその患者を覆う全体としても分析される。言いかえれば、血管及びそれら各々のパラメータの全て、つまりそれら各々の健康状態は互いに比較され、全体にわたるシステム分析がなされる。血管の健康について記述されているn次元状態でのデータ点は、出発点と速度を決定するように、長時間にわたって追跡される。この場合の速度は、n次元空間内での変化の割合と同様に、変化の方向になるだろう。より伝統的な用語では、n次元空間での1つの次元として血管にノンコンプライアンス(noncompliance)が検出されたなら、処置の後に、ノンコンプライアンスを表す数値、すなわちノンコンプライアンスの程度は、ある方向――例えば、コンプライアンス(compliance)の方向――に移動するように見えるが、これは血管がよりコンプライアンスにすることを目的とした処置に従うためである。その変化の有意性は、個人の大脳の血管の全体にわたって、次元空間での健康状態の動きの速度を見ることにより評価されるだろう。
【0172】
いずれか1つの血管ポイントのベースラインからの動きは、統計的有意性により評価するのが難しいかもしれない。しかしながら、血管ポイントのすべての健康状態の移動を同時に分析するのに適切な統計ツールがある。その一例は、非パラメトリック値(non-parametric values)のグループの比較を可能にして変数が、統計的に互いに異なるかどうか確認するウィルコックステスト(Wilcox Test)になるだろう。他のテストは、適切なデータセットを与えられるかもしれない。しかしながら、基本的には、プロセスは、n次元空間での個人の各血管の健康状態の量を計ること、及び変化の有意性及び変化の方向を決定することであり、もし方向及び変化の度合いが共に考慮されたときに有意であるならば、処置が有効であると結論付けられるかもしれない。個人の場合であれば、処置を止めて、効果が逆戻りすることの観察により、観察された効果が実際に薬に起因することを確認することも可能である。
【0173】
臨床試験の治療グループと対照グループと比較すると、プロセスは個人で行ったものに類似するかもしれない。そして、次元空間における個々の次元に関して、血管の健康状態についての特定の特徴の量を計る数が、有意であると解釈できるかどうかの評価の問題がある。ここで使用された統計分析の討論は、Jerrold H. Zar著「生物統計学の分析(Biostatistical Analysis)」Prentice Hall Inc.出版、 ニュージャージー州、153-161ページに見いだすことができ、参照して本明細書に組み込む。
【0174】
本発明のシステムを訓練する1つの方法は、ソフトウェアが、熟練者によって用いられる論理的基礎の量を計ることである。そのようなシステムでは、このプロセスの間に、熟練者とシステムとはお互いを反映するようになる。このプロセスでは、熟練者は、データ分析に関して非常に明確で、具体的で、量的である。自分の番では、ソフトウェアは、分析プロセスの詳細な簿記を保持する。このように、ソフトウェアシステムと熟練者の各々は、この知識の発展におけるそれぞれの役割を多様化し始める。ソフトウェアの目的は、熟練者の分析を捕らえることである。
【0175】
本発明のエキスパートシステムにより、個人の血管の健康の評価において1つ以上の血管での血流の様々なパラメータ値を解釈するための自動意思決定支援システムの様々な関数の特徴が提供される。これらの特徴は様々な関数に導き出すことができ、例えば、左前側の頚動脈又は底動脈の検査点における経頭蓋ドップラーの読取り、様々な動脈用の血流パラメータ、患者データの概要、患者に行われた臨床実験の概要、患者における血管拡張剤及び/又は血管収縮剤の存在、狭窄のパターン又は特定の検査点における動脈狭窄を示すパターン、血管拡張パターン又は血管の拡張を示すパターン、ノンコンプライアンスのパターン又は動脈の硬化の例のような動脈のコンプライアンスの喪失を示すパターン、正常パターン又は正常な半径の血管を示すパターン、広域の血管収縮又は可逆的な脳内の血管の狭窄、広域の血管拡張又は頭蓋の血管すべての拡張、動脈の検査点における狭窄又は拡張の擬標準化されたパターン(pseudo-normalized pattern)、動脈におけるコンプライアンスの喪失の擬標準化されたパターン、閉塞に起因する血管の狭窄、他の場所での血流の喪失を補償するための動脈の拡張、動脈の永久的な拡張、ノンコンプライアンス又は血管壁が柔軟性を失った状態、血流の反転により動脈を通る副側血流、及び/又は、いずれかのタイプの脳卒中に対する患者のリスク評価などである。
【0176】
様々な関数を決定するためのパラメータは、これに限定されないが、ドップラーの読取りを受け取った人の特定、読取り日付、患者の特定、患者の性別、患者の人種、患者の生年月日、特定の薬物を含む患者の薬物使用、ドップラーの値、ドップラーの時間、加速度、血流方向、読取り深さ、血管での血流速度の平均及び/又は標準偏差、血管での収縮期の加速度の平均及び/又は標準偏差、血管の拍動性インデックスを含むことができる。これらのパラメータは、データベース内に入力若しくは保持された、又は計算された静的な値にすることができる。他の計算されたパラメータは、患者の中に血管拡張剤又は血管収縮剤があるかどうかの確信(belief)の計算を含んでいてもよく、それはカフェイン及び/又はメチルキサンチンのような血管に作用する物質の存在に基づいてもよい。他の計算されたパラメータの例は、特定の検査点における動脈の狭窄の厳しさの確信を含んでいてもよく、それは、なし、最小、穏やか、又は厳しいと特徴づけられてもよい。本発明の別の計算されたパラメータの例は、血管の拡張の確信を含んでいてもよく、それは、なし、充血、正常、又は異常と特徴づけられてもよい。本発明の別の計算されたパラメータの例は、動脈のコンプライアンスの喪失の確信を含んでいてもよく、それは、なし、正常、又は異常と特徴づけられてもよい。本発明の別の計算されたパラメータの例は、正常な半径の血管の確信を含んでいてもよく、それは、なし、充血、正常か、又は異常と特徴づけられてもよい。本発明の別の計算されたパラメータの例は、高い拍動性インデックスの血管の確信、すなわち1つの血管の拍動性インデックスが他より高いことの確信を含んでいてもよく、それは、正しい又は誤りとして特徴づけられてもよい。上記の例示からわかるように、研究した関数に基づく本発明のエキスパートシステムによって様々な確信が計算されるだろう。
【0177】
本発明による自動の意思決定支援システムは、個人の血管の健康の評価において1つ以上の血管における血流の様々なパラメータの値を解釈するために、ドメイン存在論を提供する。これらのパラメータは、経頭蓋ドップラー速度測定技術によって決定されてもよく、それは、脳中の血流を測定するための非侵襲性の技術である。この技術により、トランスデューサーからの超音波ビームは、頭蓋骨における3つの自然な音響窓のうちの1つを通って導かれ、ドップラー超音波検査(Doppler sonography)を用いて動脈の血流の波形を生成する。血流を決定するために集められたデータは、パルス周期、血流速度、拡張末期の速度、最大収縮期の速度、平均血流速度、大脳の血流の全体積、血流の加速度、動脈の平均血圧、及び拍動性インデックス、又は血管を通る血流のインピーダンスなどの値を含んでいてもよい。このデータから動脈の状態が導き出すことができ、それらの状態は、狭窄、血管収縮、不可逆的な狭窄、血管拡張、補償の血管拡張、充血の血管拡張、血管不全、コンプライアンス、ブレイクスルー及び擬標準化を含んでいる。
【0178】
患者の脳卒中のリスクを最もよく分析するために、追加の患者データが、本発明による自動の意思決定支援システムによって利用される。このデータは、生年月日、人種、性別、身体活動レベル、及び住所のような個人データを含んでいてもよい。データは、さらに、訪問の特定、身長、体重、訪問日、年齢、血圧、脈拍数、呼吸数などの臨床データを含んでいてもよい。データは、さらに、抗核抗体パネル、ビタミンB欠乏、C反応性タンパク値、カルシウム値、コレステロール値、entidal CO 2、fibromogin、葉酸の量、血糖値、ヘマトクリット値、H−幽門抗体、hemocysteine値、炭酸ガス過剰、マグネシウム値、methyl maloric acid値、血小板数、カリウム値、赤血球沈降速度(sedrate)(いわゆるESR)、血清浸透圧重量モル濃度、ナトリウム濃度、亜鉛濃度など、血液検査から集められたデータを含んでもよい。データは、さらに、アルコール消費量、自己免疫疾患、カフェイン消費量、炭水化物摂取量、頚動脈疾患、冠動脈疾患、糖尿病、薬物乱用、失神、緑内障、頭部外傷、高血圧、ループス(lupus)、薬剤、喫煙、脳卒中、家族の脳卒中の既往歴、手術歴などを含む患者の既往症のデータを含んでいてもよい。
【0179】
本発明による自動の意思決定支援システムは、これに限定されないが、胃炎、頭蓋内圧の上昇、睡眠障害、小さな血管疾患、及び血管炎を含めた、患者の脳卒中のリスクを分析することに関連する病状をさらに考慮する。好ましい実施形態において、発明は意思決定支援システム、及び薬品試験に参加可能な人をスクリーニングする方法を含んでいる。意思決定支援システムの技術における当業者に知られている原理及び用語を詳細に説明した一般的な参考書は、(1)Schank, R. C.及びAbelson, R. Scripts著「プラン、ゴール及び理解(Plans Goals and Understanding)」、ヒルズデール、ニュージャージー州、Lawrence Erlbaum Associates(1977)、(2)Schank, R. C.及びRiesbeck, C. K.著「コンピュータ内部の理解(Inside Computer Understanding)」ヒルズデール、ニュージャージー州、Lawrence Erlbaum Associates(1981)、(3)Sacerdoti, E. D.著「プラン及び振る舞いの構造(A Structure for Plans and Behaviors)」ニューヨーク州、Elsevier (1978)(4)Rinnooy Kan, A. H. G.著「機械スケジューリングの問題(Machine Scheduling Problems)」ハーグ、Martinus Nijhoff(1976)、(5)Charaiak, E.、 Riesbeck, CK.、及びMcDermott, D.著「人工知能のプログラミング(Artificial Intelligence Programming)」ヒルズデール、ニュージャージー州、Lawrence Erlbaum Associates(1980)を含んでいる。
【0180】
本発明の開示で用いられるいくつかの用語は、当業者によって容認された次の定義によって一般に記述される。
【0181】
概念グラフ(Concept Graph)とは、観察可能なデータ値と、データに関してなされた高レベルの計算及びアサーション(assertions)との間の依存関係の知識表現である。概念グラフは、特定のタイプの拡張遷移ネットワーク(ATN)である概念ノード(concept nodes)の、方向をもった非周期グラフとして実装することができる。
【0182】
意思決定支援システム(Decision Support System)とは、知識ベースを用いて問題を解決するのを支援するコンピュータプログラムである。ほとんどのエキスパートシステムは、推論エンジンを用いて、知識ベースを用いる新しい事実及び思想(belief)を導き出す。
【0183】
推論エンジン(Inference Engine)とは、知識ベース及び論理演算のセットを用いて、既知の事実又は思想から新しい事実及び思想を推論するコンピュータプログラムである。
【0184】
知識ベース(Knowledge Base)とは、推論エンジンによってそれを用いることができるように表現された知識(例えば目的、概念、関係、事実、規則など)の収集である。例えば、知識ベースは、従来のエキスパートシステムにおけるような規則及び事実又はアサーションを含んでいてもよい。
【0185】
本発明の意思決定支援システムの好ましい1つの実施形態は、経頭蓋ドップラー測定の使用を通じて対象の大脳血管系(cerebrovasculature)の血行力学の状態を評価する能力を含んでいる。図10を参照すると、実施形態は、データアクセス1010モジュールと、推論1020モジュールと、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)モジュール1030と、の3つのソフトウェアモジュールから成っている。推論1020のモジュールは、ドメイン知識ベース2362を含み、Applied System Intelligence社が提供しているプレアクト(PreAct)DSA1022サブモジュールを含む状況評価モジュールと、推論インターフェース1024サブモジュールと、の2つのサブモジュールから成る。DSA以外の認識エンジン(cognitive engines)を用いてもよい。推論インターフェース1024のサブモジュールは、他のオブジェクトからDSA1022サブモジュールとの相互作用の詳細を隠す役目をする。この実施形態では、これらのモジュールは、各モジュールの1つのインスタンスと共に、同じプロセスの一部として連続して実行される。
【0186】
データアクセス1010モジュールは、TCD測定値/データ、臨床データ、及び推論1020モジュールからの推論へのアクセス方法及び蓄積方法を提供する。好ましいラップトップパソコン構造では、データのこの収集はファイルに蓄えられる。
【0187】
GUI1030モジュールは、ユーザー入力を処理してデータアクセス1010モジュールに送り、推論1020モジュール用のコマンドを実行し、データアクセス1010モジュールに患者データについて問い合わせし、推論1020モジュールに推論結果について問い合わせする。また、GUI1030モジュールは、データアクセス1010モジュールと、推論1020モジュールから受け取った概念グラフインスタンスに関連するコンセプトインスタンスと、から受け取った患者データを表示する。
【0188】
プレアクトDSA1022サブモジュールは、患者データを表わすリーフレベルのコンセプトを受理し、疾患のような推論されたコンセプトのためにそれらを処理する。処理中の概念グラフは、特定の概念パターンのすべてのインスタンス又は特定のインスタンスをサポートする証拠を問い合わせしてもよい。処理中のグラフは、将来の問い合わせのために保存されてもよく、また、保存された概念グラフは、問い合のために再びロードされてもよい。また、DSA1022サブモジュールは、基礎的な知識ベース2362にアクセスを有する。推論インターフェース1024サブモジュールは、コマンドを受理して、推論されたコンセプト用の患者データを処理し、アクティブな概念グラフにおいて、特定のコンセプトインスタンス又は与えられたコンセプトインスタンスを立証する証拠を探索し、そして、進行中の概念グラフを保存する又は保存された概念グラフをロードする。推論インターフェース1024サブモジュールは、これらのコマンドをDSA1022サブモジュールによって理解されるコマンド言語に変換する。
【0189】
この好ましい実施形態は、表1に見いだされるデータ構造を使用する。
【0190】
【表1】

【0191】
患者データは、TCD測定結果から導き出されたデータと、臨床データとから成る。このデータを用いて、概念グラフにおけるリーフレベルのコンセプトに書き入れる。患者データは、一意的な患者IDによって照会されて、アクセスされて患者ごとにデータの単一ブロックとして蓄えられる。
【0192】
TCD測定結果及びデータは、ネットワーク又は直接接続を介して又はファイルとして、ストリーミングの方法で入力されてもよい。臨床データは、ファイルとして又は手動でGUI1030モジュールを介して入力されてもよい。データ入力が完了した後に、ユーザーは、後のアクセスのためにデータ又はファイルを保存するか、又はデータを分析するかを選択してもよい。いずれの場合も、推論1020モジュールは、データアクセス1010モジュールを介して患者データを検索する。この目的のために、GUI1030モジュールはファイル内にデータを蓄える。両方のモジュールは患者IDによって患者データを検索する。さらに、ユーザーが、観察、編集、又は分析のために患者データを選択できるように、インターフェースは、GUI1030モジュールがファイルに保存されたすべての患者リストを検索すること許している。好ましい実施形態では、データアクセス1010モジュールの関数(functions)を通過したパラメータのセットは、ユーザーIDを含んでいる。
【0193】
推論データは、特定の患者の概念グラフ内にコンセプトインスタンスを含んでいる。DSA1022サブモジュールは、テキストファイルから概念グラフをロードし、テキストファイルに概念グラフを保存するために、それ自身のアクセス機構を備えている。データアクセス1010サブモジュールは、推論1020モジュールによって作成されたファイルを蓄える責任を負う。表2は、データアクセス1010モジュールで用いられるコマンドを特定する。
【0194】
【表2】

【0195】
GUI1030モジュールは、ユーザーから入力を受理し、ユーザー入力を他のモジュールのためにデータ及びコマンドに変換し、戻された値(data returned)をスクリーン又はプリントアウトに表示する。GUI1030モジュールは、患者の臨床データ及び人口統計学的データ、生のTCDデータ並びに測定結果の表示と、患者の血行力学的状態の分析とを提供する。患者の血行力学的状態の分析は、TCD測定が利用可能な各動脈の状態、見つけられた広範囲の状態、及び患者の脳卒中のリスクの評価を含んでいる。また、GUI1030は、患者の脳卒中のリスクから、どのようにその結論に到達したか決定まで、ユーザーが掘り下げることを可能にする。
【0196】
推論インターフェース1024サブモジュールは、他のモジュールが、DSA1022のインターフェースに一部始終さらされることなく、DSA1022サブモジュールに蓄積されたコンセプトにアクセスすることを可能にする。推論インターフェース1024サブモジュールコマンドは、表3のコマンドを含んでいる。
【0197】
【表3】

【0198】
DSA1022サブモジュールは、初期化、開始、実行、及び停止のコマンドを含んでいる、サブモジュールに命令する方法を含む。また、DSA1022サブモジュールは、コンセプト属性値の設定及び検索のためのサービスを含んでいる。
【0199】
DSA1022サブモジュールデータの要求は3つの値のうちの1つで応答され、それらの値は、「1」がデータは正しく見つかった、「0」がデータは見つからないが、クリティカルエラーは発生しなかった、そして「−1」がクリティカルエラー、例外ログファイルを見よ、を意味している。既知のコンセプトインスタンスにおける特定の属性値の要求に加えて、本発明は、コンセプトのインデックスと、特定のコンセプトインスタンスのディープコピーの両方を要求することができる。また、システムは、特定のコンセプトインスタンスの全ての子コンセプトインスタンス(child concept instances)のリストへのユーザーリクエスト、概念グラフ(パターンはロードされたままだろう)から全ての概念インスタンスを消去するユーザーリクエスト、特定のファイル名(好ましい実施形態では、このファイルはXMLファイルとして保存されるだろう)に、概念グラフを保存するユーザーリクエスト、及び、特定のファイル名から、保存された概念グラフをロードするユーザーリクエストにも応答する。
【0200】
広い意味では、この好ましい実施形態は、ユーザーが、GUI1030を通して新しい患者データを入力してデータを保存すること、データベースからの既存の患者データをロードすること、生データ(例えば臨床データやTCDデータ)を見ること、患者の血行力学的状態について推論のために患者データを分析すること、分析の結果を見ること、そして特定の推論に達するのに用いられた証拠を見ることを可能にする。
【0201】
初期化に際して、メインプログラムは、データアクセス1010、推論インターフェース1024(これがDSA1022を初期化するだろう)、及びGUI1030の順序でモジュール及びサブモジュールのインスタンスを作成し、そして初期化を行う。初期化が完了した後、コントロールはGUI1030に渡される。ユーザーがサインアウトするまで、コントロールはGUI1030に維持され、そしてサインアウトした時点で、メインプログラムが、初期化と逆の順序でモジュールをシャットダウンする。推論インターフェース1024モジュールは、DSA1022をシャットダウンする。
【0202】
GUI1030モジュールの特定のオペレーションは、1つ以上の外部コマンドによって初期化されることを含むことができる。さらに、GUI1030の操作は、ユーザーコマンドを受理してシステムにサインインすること、現在処理されている患者のグループを変更すること(新しいグループのデータにアクセスできるそのユーザーの権限に左右される)、新しいグループを作ること、システムからサインアウトすること、新しい患者の記録を作成すること、推論のために患者データを処理すること、新しい又は既存の患者のデータを編集すること、患者データを保存すること、特定のグループにおける対象のリストを表示すること(患者のデータ上で血行力学の分析が行われたか否かの表示を含む)、既存の患者の患者データを表示すること、患者の総合的な脳卒中のリスクを表示すること、証拠として用いられたコンセプトと、より詳細な表示のために証拠を掘り下げる能力と、を含む患者の脳卒中のリスクの説明を表示すること、そして、各検査点における血流の特徴、血流の広範囲における特徴付け、及び血流の方向を含む、データの利用が可能な患者/対象の全ての動脈における動脈の血流れのステータスを表示すること、を含むことができる。
【0203】
データアクセス1010モジュールの特定のオペレーションは、既存のリレーショナルデータベース管理システムのインターフェースとしての機能をはたすこと、初期化、シャットダウン、新しい患者の記録の生成、特定の患者のデータブロックの検索、患者のデータの更新、記録の削除、概念グラフの検索、概念グラフの更新、及び概念グラフの削除のためのコマンドを受理すること、そして、データベース内の全患者リストの問い合わせを受理すること、を含むことができる。
【0204】
推論インターフェース1024サブモジュールの特定のオペレーションは1つ以上の外部コマンドによる初期化と、患者データの処理、処理中の患者データの分析結果の保存、保存された分析結果のロード、及び処理の停止のためのコマンドを受理することと、
そして、概念グラフ中の特定のコンセプトパターンのインスタンス、特定のコンセプトインスタンス、及びコンセプトインスタンスのさらなる説明のための問い合わせを受理すること、を含むことができる。
【0205】
DSA1022サブモジュールの特定のオペレーションは1つ以上の外部コマンドによる初期化と、コンセプトパターンを蓄積するための及び提供されたリーフレベルのデータからコンセプトを推論するために用いられた知識ベースアルゴリズムを蓄積するための知識ベースの使用と、を含むことができ、推論の根拠はTCDデータと臨床データである。アルゴリズムは、いくつかの中間の工程においてコンセプトを推論し、問題領域における当業者が一連の推論を十分にたどれるように、各々の工程は概念グラフに表わされている。概念グラフに表わされた状態は、これに限定されないが、血管拡張、充血性の血管拡張、病理学的な血管拡張、ノンコンプライアンス、及び不可逆的な狭窄を含んでいる。概念グラフは、結論からの一連の後ろ向き推論をたどる経路を提供する。アルゴリズムは、複数の推論技術、例えばベイズの推論(Bayesian reasoning)を用いて、関連するコンセプトにおけるサポートデータを捜す。DSA1022サブモジュールのさらなるオペレーションは、知識ベースをロードすること、トランザクションを通じて処理された患者データを受理すること、ユーザーが推論から得られたコンセプトを保存し、且つ保存したコンセプトをロードすることを可能にすること、及び、処理中の概念グラフ中の特定のコンセプトパターンのインスタンス、特定のコンセプトインスタンス、及びコンセプトインスタンスのさらなる説明のために問い合わせること、を含むことができる。この問い合わせは、消去するコマンドを受理し、そしてそれに応じて処理中のグラフからすべてのコンセプトインスタンスを消去すること、コンセプトパターンをロードされたままにすること、割り当てられた全てのメモリを解除して終端するキルコマンドを受理すること、そして、ログファイルへの致命的ではないエラーを書き込むこと、を含むことができる。
【0206】
別の好ましい実施形態では、本発明は、TCD測定結果に基づいて、対象の血行力学的状態を分析するための、ネットワーク化された基礎的なシステム(networked based system)及び方法である。この実施形態を用いるとき、ユーザーは、前の実施形態において記述された分析に類似した分析のために、集中型のシステムにデータを提出する。
【0207】
図23を参照すると、好ましいアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)の具体例のためのモジュール間のコンテキスト及び関係を図示するブロックダイアグラムが示されている。モジュールは分かれた処理空間で実行する。コンピュータ関係の技術における当業者に知られている接続プロトコルを用いるインターネットの場合、ユーザーインターフェース(ウェブブラウザ2310の1つ以上のインスタンス)及びシステムインターフェース2320は、ネットワークを介して接続される。システムインターフェース2320マネージャーは、webサーバとシステムの残り(the remainder of the system)との間に適応性のある層(adaptive layer)を提供する。アカウントマネージャー2340は、各ユーザーカウントの認証及び会計資料を維持する。推論マネージャー2350は、データの分析依頼と、既存の分析の問い合わせとを管理する。また、それは、推論モジュール2360の1つ以上のインスタンスへの接続を維持する。推論モジュール2360は、以前に記述された実施形態と同様に、DSAコンポーネントを含んでいる。DSAコンポーネントは、本発明の知識ベースを用いて、TCDデータを分析し、結果へのアクセスを提供する。推論モジュール2360は、DSAコンポーネントで使用されるインターフェース言語への、又はインターフェース言語からの翻訳を提供する。監視2370は、許容されるパラメータ内で機能する発明の性能をモニターする。
【0208】
本発明は、標準的なブラウザ2310を用いて、ウェブサイトを通じてインターネット経由でアクセスされる。図24〜27は、適切なユーザークションに応じてブラウザに表示された典型的なページを通じて利用可能なデータを図示している。システムにはログインページを通って入り、そのページの例を図24に図示する。この実施形態では、同じログインページがユーザーと管理者の両方によって用いられる。アカウントの識別に基づいて、本発明は管理者用の開始ページ又はユーザー用の開始ページのいずれかを表示するだろう。管理者用開始ページは、管理者に、以下に述べる管理者用機能へのアクセスを提供する。図25に図示されたユーザー用開始ページは、ユーザーに関係のある彼らの患者をリストする。この時点から、ユーザーは、新しい患者データを加え、あるいは既存の患者データを編集し、又は患者データを削除してもよい。
【0209】
図26に図示された患者データのページは、患者の臨床データを表示し、ユーザーがこのデータを編集することを可能にする。また、患者データのページは、その患者のTCDデータタブへのアクセスを提供する。患者のTCDデータタブは、TCD測定結果へのアクセスを提供する。ユーザーは、新しいTCD測定結果を加え、既存の測定結果を見て、編集し、又は測定結果を削除してもよい。このページは、さらに、図27に図示された患者の血行力学的分析のタブへのアクセスを提供する。血行力学的分析タブは、患者のTCDデータの分析結果を表示する。分析が1セットのTCD読取りついて行われていないならば、ユーザーは、このページからそのような分析を行うことを要求してもよい。
【0210】
知識ベース2362は、TCD分析のための知識を維持している。本発明の分析技術は、これらの知識ベース2362のファイルを変更することにより、修正されてもよい。患者データベース2382は、彼のTCDデータの分析に関係のある患者についてのデータを蓄える。各患者は、システムのユーザーによって一意的なIDを割り当てられる。患者データベース2382に含まれた情報は、表4に示されたものを含んでいる。
【0211】
【表4】

【0212】
患者分析データベース2384は、1セットのTCDデータについての推論1020モジュールの分析を蓄える。その分析は、推論1020モジュールに読み込むことができるフォーマットのファイル、例えば拡張マークアップ言語(XML)ファイルとして蓄えられる。患者分析データベース2384の登録に含まれている情報は、表5の情報を含んでいる。
【0213】
【表5】

【0214】
認証データベース2342は、認証されたユーザーと管理者のID及びパスワードを蓄える。認証データベース2342の登録に含まれた情報は、表6の情報を含んでいる。
【0215】
【表6】

【0216】
トランザクションログ2344は、システムにおけるユーザー及び管理者のアクティビティを記録し、トランザクションログ2344に含まれる情報は、表7に見いだされるタイプを含んでいる。
【0217】
【表7】

【0218】
システムデータベース2390は、アプリケーションの処理をセットアップするのに用いるデータを蓄える。実施例は、IPC接続のための、及び上述の説明に明示されたデータファイルの場所のためのパラメータを含んでいる。
【0219】
この実施形態及び他の好ましい実施形態において、知識構造は、発明のライフサイクルにわたって定義され、発達する。知識構造は、広い機能性を特定して、本発明の振る舞いを構想する。本発明の好ましい実施形態は、概念グラフ(CNG)を知識表現に用いる。図11〜22に示すCNGは、システムへの入力データと入力データから推論された状態とを含む。概念グラフにおける矢印は、推論の方向を表わす。推論は、ついにはトップレベルの脳卒中のリスクコンセプトとなる。
【0220】
システムは、認証されたユーザーに、既存のアカウントを用いたログインすること、新たな患者記録を作ること、既存の患者記録を編集すること、前に入力された患者のTCD読取りのセットの分析を要求して得ること、そのユーザーが、示された分析の存在と共にデータを入力したすべての患者のリストを要求して得ること、前に入力したデータの表示と、可能ならばそのデータの分析を要求して得ること、そのユーザーによって入力された患者データを削除すること、TCD読取りのセットを削除すること、及びログオフすることを含む、様々な機能性を提供する。
【0221】
システムは、認可されたシステム管理者に、ログインすること、新たなアカウントを作成すること、既存の全アカウントをリストにすること、既存のアカウントを削除すること、トランザクションデータをダウンロードすること、監視2370による通知の送り先の電子メールアドレスを変更すること、及びログオフすることを含む、様々な機能性を提供する。
【0222】
初期化に際して、メインプログラムは、監視2370、システムインターフェース2320、アカウントマネージャー2340、データマネージャー2380、推論マネージャー2350の順序でモジュールのインスタンスを作成し、初期化する。これらのモジュールは、メインプログラムから分かれた処理空間で実行される。シャットダウンに際して、メインプログラムは、理論1020モジュール、データマネージャー2380、アカウントマネージャー2340、システムインターフェース2320、監視2370の順序でモジュールをシャットダウンする。
【0223】
システムインターフェース2320は外部コマンドによって初期化される。それは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)にサブミットされたデータを他のシステムモジュールのためのコマンドに変換し、そして反対に、他のシステムモジュールからユーザーに提示するためのHTMLページにデータを再フォーマットする。システムインターフェース2320モジュールは、現在システムにログインしているユーザーのリストを維持し、アクティビティのないままいくらかの時間の経過後に、ユーザーを自動的にログオフする。システムインターフェース2320は、シャットダウンコマンドを受理し、他のモジュールからシステムデータの要求を受理する。
【0224】
データマネージャー2380は外部コマンドによって初期化することができ、固定記憶装置の中にデータを維持する。データマネージャー2380は、例えば、特定のユーザーによって入力された患者のIDを検索する、新たな患者記録を作る、患者データを検索する、患者データを修正する、特定のTCDV読取りの分析を蓄える、特定のTCDV読取りの分析を検索する、患者記録を削除する、及びシャットダウンするなど、様々なコマンドを受理し、そして応答することができる。
【0225】
アカウントマネージャー2340は外部コマンドによって初期化することができ、トランザクションログ2344に記録されたトランザクションを受理することができる。アカウントマネージャー2340は、新たなアカウントを作成する、既存のアカウントを削除する、アカウントID及びパスワードを認証する(アカウントID及びパスワードが有効ならば、このアカウントが正規ユーザー又は管理者のいずれでも、アカウントマネージャー2340は返答を示すことができる)、トランザクションログ2344をダウンロードする、認証データベース2342をダウンロードする、及びシャットダウンするなど、コマンドを受理し、そして応答することができる。
【0226】
推論マネージャー2350は、外部コマンドによって初期化することができる。初期化に際して、推論マネージャー2350は、推論1020モジュールの1つのインスタンスを初期化する。推論マネージャー2350は、推論1020モジュールの既存の全インスタンスへの接続を維持する。推論1020モジュールは、推論マネージャー2350から分かれた処理空間で実行される。推論マネージャー2350は、推論1020モジュールの追加のインスタンスを初期化する、又は必要に応じて推論1020モジュールのインスタンスを削除してシステム負荷を最適化する。
【0227】
推論マネージャー2350は、例えば患者のデータを分析するなど、様々なコマンドを受理し、そして応答することができる。患者データはデータマネージャーを通ってアクセス可能であると考えられる。推論マネージャー2350は、データマネージャーからデータを検索し、特定の推論1020モジュールにそれをロードし、そして推論1020のモジュールにコマンドを出してデータを分析する。推論マネージャー2350は、例えば、特定のコンセプトインスタンスのために患者の分析に問い合わせする等、他の様々なコマンドをさらに受理し、そして応答することができる。このインスタンスでは、推論マネージャー2350は推論1020モジュールに分析をロードし、必要ならば推論1020モジュールに問い合わせを送る。推論マネージャー2350は、例えば、特定のコンセプトパターンの全インスタンスのために患者の分析に問い合わせする等、他の様々なコマンドをさらに受理し、そして応答することができる。このインスタンスでは、推論マネージャー2350は推論1020モジュールに分析をロードし、必要ならば、推論1020モジュールに問い合わせを送る。推論マネージャー2350は、例えば、コンセプトインスタンスのさらなる説明のために患者の分析に問い合わせする等、他の様々なコマンドをさらに受理し、そして応答することができる。必要ならば、推論マネージャー2350は推論1020モジュールに分析をロードし、推論1020モジュールに問い合わせを送る。推論マネージャー2350は、例えばシャットダウンする等、他の様々なコマンドにさらに受理し、そして応答することができる。シャットダウンするときには、推論マネージャー2350は、好ましくは推論1020モジュールのインスタンスを全てシャットダウンする。
【0228】
推論1020モジュールは外部コマンドによって初期化される。モジュールが初期化されるまで、他のコマンドは処理されない。推論1020モジュールであるApplied System Intelligence社のプレアクト(PreAct)DSA1022モジュールは、データを蓄え、そして概念グラフを用いて分析する。推論1020モジュールはプレアクトライブラリーと無関係の知識ベースを用いて、概念パターン及び必要なアルゴリズムを蓄える。モジュールが初期化された後、これらの知識ベース2362sがロードされる。アルゴリズムは、様々な推論技術、例えばベイズの推論を用いて、グラフを通じて確信値(belief values)を増殖させる。サンプルのコンセプトグラフは図11〜22に見出すことができる。推論モジュール2360は、アクセス機構を備えて、概念グラフに患者データを入力する。
【0229】
推論モジュール2360は、処理中の概念グラフをクリアし、患者のデータを分析し(好ましくは、分析が完了したときにモジュールは通知を送る)、処理中の患者のデータの分析を保存し(好ましくは、保存が完了したときにモジュールは通知を送る)、保存された患者の分析をロードし、そして停止する等、様々なコマンドに受理し、そして応答することができる。
【0230】
推論1020モジュールは、概念グラフにおける特定のコンセプトパターンの全インスタンスのための、特定のコンセプトインスタンスのための、そしてコンセプトインスタンスのさらなる説明のための1つ以上の問い合わせを受理し、そして応答することができる。推論1020モジュールは、さらに、致命的ではないエラーをログファイルに書くことができる。
【0231】
監視2370は、必要なパラメータをすべてセットする外部コマンドによって初期化するため、利用可能なディスクスペースが事前設定レベル以下に落ちたときに電子メールアドレスの指定されたセットに通知を送るため、システム負荷が事前設定レベルを越えたときに電子メールアドレスの指定されたセットに通知を送るため、そして、コマンドを受理し応答して、通知が送られた電子メールアドレスのセットを変更するために選ばれた既製のモジュールを含んでいる。
【0232】
本発明による典型的なシステムの典型的なネットワークアーキテクチャは下記に述べられる。典型的なシステムは、1基以上のクライアントステーション、中央サーバ、及び通信リンクを含む。1基以上のクライアントステーションは、中央サーバへのリモートアクセスポイントとして機能する。クライアントステーションは、実験室、医者のオフィス、及び/又は他の適切なサイトに位置してもよい。クライアントステーションは、相互作用モード又はバッチモードのいずれかのモードの中央サーバに又はそのサーバから、情報を送信及び/又は受信するために、構成されてもよい。
【0233】
クライアントステーションは、データの送信及び/又は受信が可能な、いかなるタイプのコンピュータのようなデバイスを含んでもよい。例えば、クライアントステーションは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯端末などを含んでもよい。また、クライアントステーションは、生データ(患者の血管データなど)を集め、そして通信リンクを経由して中央サーバに生データを転送するための機能性を持っている実験用機器を含んでもよい。また、クライアントステーションは、血流分析用デバイス、又は血流分析用デバイスから送信されたデータを保持し次に通信リンクを経由してそのデータを中央サーバへ渡すデバイスのような、実験用機器から生データを受信するためのデバイスを含んでもよい。クライアントステーション構成のこれらと他の実施例は、当業者にとって明らかであろう。
【0234】
第1のクライアントステーションは、通信リンクを経由して中央サーバに生データを送信するように構成されてもよく、第2のクライアントステーションは、通信リンクを経由して中央サーバから処理データ(結果)を受信するように構成されてもよい。クライアントステーションは様々なユーザーインターフェース、印刷及び/又は他のデータマネージメントタスクを実装し、データを少なくとも一時的に蓄える能力を有してもよい。
【0235】
通信リンクは、専用回線又はモデムダイヤルアップ接続のような専用の通信リンクを含んでもよい。代わりに、通信リンクは、例えば、コンピュータネットワーク、電気通信ネットワーク、ケーブルネットワーク、衛星ネットワーク等、又はそれらの組み合わせなどのネットワークを含んでもよい。このように、通信リンクは、分散ネットワーク及び/又は1つ以上の相互に連結したネットワークを含んでもよい。典型的な実施形態において、通信リンクはインターネットを含んでもよい。当業者にとって明らかであるはずだが、通信リンクは、固定回戦及び/又は無線であってもよい。クライアントステーションと中央サーバとの間の通信リンクによる通信は、例えば、電子メール、ファクシミリ、FTP、HTTP及び他のデータ送信プロトコルなどのデータ送信用の既知の方法も用いて実行されてもよい。
【0236】
中央サーバは、血管の情報に関するコンピュータを使ったデータベースを含む。中央サーバは分析的及び解釈的なアルゴリズムを実装する。しかしながら、通信ステーション及びコンピューティングステーションは、単一のコンピュータに実装されてもよいことは、当業者にとって明らかだろう。典型的な中央サーバの構成は、以下にさらに詳しく記述されるだろう。
【0237】
本発明の典型的な実施形態によるシステムは、相互作用モード又はバッチモードで走査してもよい。対話式のオペレーティングモードでは、データサンプルは1つずつ対話式で処理される。例えば、対話式の処理モードでは、ユーザーはクライアントステーションを通して中央サーバに接続する。その後、処理されるデータサンプルは、クライアントステーションから中央サーバへ送られる。処理データ(結果ファイル)は、中央サーバからクライアントステーションに戻され、そこで印刷され及び/又はアーカイブに保管されてもよい。結果ファイルがクライアントステーションで受信された後、続きのデータサンプルをクライアントステーションから中央サーバに送信してもよい。
【0238】
対話式の処理モードのために構成された典型的なシステムをこれから記述する。クライアントステーションは、通信ブラウザプログラムモジュールを実行するために、及び1つ以上の印刷及び/又はアーカイブプログラムモジュールを実行するために構成されてもよい。この技術分野で知られているように、対話式オペレーションを容易にする便利で有効な通信リンクはインターネットである。また、通信ブラウザは、ワールドワイドウェブブラウザ又はインターネットブラウザとしても知られている。
【0239】
中央サーバの構成要素は、2つのステーション、通信ステーション、及びコンピューティングステーションの中に分配されてもよい。対話式の処理モードのために構成されているので、通信ステーションは、クライアントステーションで実行される通信ブラウザと相互に作用するために、標準のhttpサーバのような通信サーバを含んでもよい。通信サーバと連絡ブラウザとの間の通信はhtmlページを用いて、又はTCP/IPを手段として転送されたコンピュータグラフィックスインターフェース(CGI)プログラムを用いて発生してもよい。
【0240】
<物質>
本発明の1つの好ましい実施形態では、物質に対する血管の反応性を評価する。物質は、これに制限されないが、アルコール、ニコチン、食料、植物のエキス、栄養補助食品、及び薬を含んでいる。多くの薬が脈管系に効果があると知られている。これに限定しない薬の分類及び脈管系に影響があると知られた薬のリストは、ベータアドレナリン受容体拮抗薬、カルシウムチャンネル拮抗薬、酵素抑制物質を変換するアンギオテンシンI、アルファアドレナリン受容体拮抗薬、コレステロール拮抗薬、アンギオテンシンII 1拮抗薬、HMGCoA還元酵素阻害剤、トロンビン抑制物質、アドレナリン受容体拮抗薬、エンドセリンA受容体拮抗薬、NMDA拮抗薬、血小板凝集拮抗薬、NMDA拮抗薬、血小板凝集拮抗薬、ナトリウムチャンネル拮抗薬、5-hydroxytrypltamine Ia作用薬、AMPA受容体拮抗薬、GPIIb IIIa受容体拮抗薬、リパーゼ透明化因子刺激剤、カリウムチャンネル作用薬、カリウムチャンネル拮抗薬、5−アルファ還元酵素阻害剤、アセチルコリン作用薬、ドーパミン作動性の作用薬、エンドペプチターゼ阻害剤、エストロゲン拮抗薬、GABA受容体作用薬、グルタミン酸塩拮抗薬、ペルオキシゾーム増殖剤−活性化受容体の作用薬、プラスミノゲンアクチベータ刺激剤、血小板由来の成長因子受容体キナーゼ阻害剤、プロスタシクリン作用薬、ナトリウム/水素交換阻害剤、バソプレッシン1拮抗薬、15−リポキシゲナーゼ阻害剤、アセチルCoAトランスフェラーゼ阻害剤、アデノシンAl受容体作用薬、アルドース還元酵素阻害薬、アルドステロン拮抗薬、血管形成刺激剤、アポトーシス拮抗薬、心房性ペプチド拮抗薬、ベータチューブリン拮抗薬、骨形成刺激剤カスパーゼ阻害剤、CC ケモカイン受容体2拮抗薬、CD18拮抗薬、コレステロールエステル移転タンパク質拮抗薬、補体因子阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、利尿薬、DNAトポイソメラーゼATP加水分解阻害剤、エラスターゼ阻害剤、内皮グロースファクター作用薬、エンケファリナーゼ阻害剤、刺激性アミノ酸拮抗薬、要因Xa阻害剤、フィブリノーゲン拮抗薬、フリーラジカルスカベンジャー、糖鎖形成拮抗薬、成長因子作用薬、グアニル酸シクラーゼ刺激剤、イミダゾリンI1受容体作用薬、免疫賦活剤、免疫抑制剤、インターロイキン1ベータ変換する酵素抑制物質、インターロイキン8拮抗薬、LDL受容体機能刺激剤、MCP−I拮抗薬、メラノコルチンMC−4拮抗薬、無機質コルチコイド拮抗薬、神経成長因子作用薬、ニューロペプチドY拮抗薬、脱酸素剤、ホスホジエステラーゼ阻害薬、カリウム保持性利尿薬、プロリン水酸化酵素阻害剤、プロスタグランジンEl作用薬、プリン受容体P2T拮抗薬、還元剤、トロンボキサンA2拮抗薬、甲状腺ホルモン機能作用薬、転写因子阻害剤、バソプレッシン2拮抗薬、そして、特にビトロネクチン拮抗薬を含んでいる。
【0241】
さらに、他の薬剤は、血管のアクティビティを持っていると疑いをかけられる。これらの薬剤は、これに制限されないが、ダナパロイドナトリウム、硝酸スカベンジャー、clomethiazole、remacemide、TP10、cerivastatin、ニモジピン、ニトレンジピン、BMS−204352、BIII−890、ジピリダモール+ASA、fradafiban、irampanel塩酸塩、lefradafiban、aptiganel、sipatrigine、NRT、cromfiban、eptifibatide、線虫抗凝固性タンパク質NAPc2、UK−279276、Flocor、DMP−647、ASA、GPI−6150、デルマタン硫酸、NOS阻害剤、ancrod、PARP阻害剤、tinzaparinナトリウム、NOX−100、LDP−01、argatroban、fosphenytoin、tirilazad メシラート、dexanabinol、CPC−211、CPC−111、bosentan、クロピドグレル水素硫酸塩、nadroparin、チクロピジン、NS−1209、ADNF III、vinconate、ONO−2506、シロスタゾール、SUN−N4057、SR−67029i、ニカルジピン、YM−337及びYM−872を含む。
【0242】
本発明は、血管に対する影響を評価するための許容された投薬方法によって、以下の投薬に利用されてもよい。本発明が、これに限定されないが、四肢の血管、冠循環の血管、並びに頭蓋外及び頭蓋内の大脳血管を含む種々の血管に関して実施されてもよいことは、理解されるだろう。好ましい実施形態では、頭蓋外及び頭蓋内の大脳血管が、本発明で検査される。
【0243】
薬の投与前と、薬の投与からの特定の時間後に測定を行って、血管の反応性に対する薬の影響を決定してもよい。このように、個々の対象及び個々の血管のそれぞれが、それ自身の制御として機能して、特定の血管に対するその薬の影響を評価する。
【0244】
全ての大脳血管を分析して、薬が異なる大脳血管に異なる効果を有するかどうか決定してもよい。多数の人にわたる分析を行うことにより、特定の薬の血管への効果に関して価値のあるデータが得られるだろう。さらに、(a)既知の病状を持たない人、(b)特定の年齢グループ内で既知の病状を持たない人、(c)特定の病気グループ内で既知の病状を持った人、(d)特定の年齢層の特定の病気グループ内で、又は特定の病気の進行の特定のステージで、既知の病状を持った人、及び(e)現在特定の治療の仲介を受けている、特定の病気グループの人、などの異なったグループから人を選ぶこともできる。
【0245】
所望のグループから個人への本発明の応用を通じて、種々の疾患過程への効果、又は他の薬の先の投与若しくは同時投与の効果、及び、異なる年齢、異なる状態の別人へのテスト薬の血管への効果に関して価値のある情報が得られる
【0246】
当然のことながら本発明の好ましい実施形態は、臨床試験で患者を務める多くの人の大脳血管の健康状態に関するデータを集めること、同様の大脳血管の健康状態を持った患者が集まるように患者を少なくとも2つのグループにグループ化すること、患者の少なくとも2つのグループに処置を適用すること、治療の結果について患者の少なくとも2つのグループの各々をモニタリングすること、及び患者の少なくとも2つのグループの各々への治療の結果に基づいて治療の効能を決定することを含む、治療の効能の分析を可能にする。本発明の好ましい実施形態では、大脳血管の健康状態に関するデータは、個人の少なくとも3つの大脳血管の平均の血流速度値、及び個人の少なくとも3つの大脳血管の収縮期の加速度値を含む。発明の別の好ましい実施形態では、大脳血管の健康状態に関するデータはさらに拍動性インデックスの計算を含む。
【0247】
本発明の別の好ましい実施形態は、処置の悪影響のスクリーニング方法を提供し、その方法は、多くの人に処置を適用すること、処置の適用後にその人の大脳血管の血流をモニターすること、及び処置の適用後にその人に発生する大脳血管の血流への悪影響を特定すること、を含む。好ましい実施形態では、多くの人の大脳血管の血流に関する量的なデータが得られる。本発明のさらに別の好ましい実施形態では、大脳血管の健康状態に関するデータは、個人の少なくとも3つの大脳血管の平均の血流速度値、及び個人の少なくとも3つの大脳血管の収縮期の加速度値を含む。さらに別の好ましい実施形態では、大脳血管の健康状態に関するデータはさらに拍動性インデックスの計算を含む。
【0248】
当然のことながら、本発明は、例えば、特にプラーク及び一般的な脈管炎などの血管の問題を一通り備えた対応グループの形成を考慮している。また、本発明は、例えば、特に、特定の血管における狭窄、脳の後部における不適当におびただしい数の微小血管、片頭痛、及び無呼吸など、特定の血液循環の問題を有する対応グループの形成を提供する。
【0249】
臨床試験に対する従来のアプローチでは、両方のグループが本質的に同じ重症度及び検査される病状についての同じ発症率を有しているかどうかについて、その問題を持った参加者、それほど適合していない参加者を特定することができない。このように、臨床試験に対する従来のアプローチは、(1)例えば、病状の正確な重症度及び検査される発症率よりはむしろ、全体的な脳卒中のリスクのように、それほど特殊ではない状態を扱う、(2)病気/衰えを示していない人を含む、及び(3)急な突発的障害を患いそうな人を含む。主な脳卒中予防に関する臨床試験を行う多数の試みにもかかわらず、脳卒中又は急性心イベントの既往歴がない場合、この問題は今まで未解決のままだった。
【実施例1】
【0250】
<実施例1:血管の反応におけるプロプラノロールの効果>
インデラル(Inderal)としても知られているプロプラノロールは、脳卒中の主な危険要因の1つである高血圧を有する人に、ごく普通に処方される。血管の反応におけるプロプラノロールの影響を評価するために、46歳の高血圧の男性の大脳血管について経頭蓋ドップラー分析が行なわれた。その後、プロプラノロール約40mgを経口投薬で投与した。もう1つの経頭蓋ドップラー分析は、プロプラノロールの投与からおよそ2時間後に行われた。特定の血管の変化は、投与前の読取りと比較された。投与前と投与後の血管ダイナミックの分析によって、ベータアドレナリン阻害薬のプロプラノロールの影響の兆候は、特定の大脳血管の血流ダイナミックの中で得られる。
【実施例2】
【0251】
<実施例2:血管の反応におけるプラビックスの効果>
プラビックス(Plavix)は、血液の抗凝固薬又は抗血小板剤として知られた種類の薬の1つである。プラビックスは、次に来る脳卒中にしばしば処方されて、血小板凝集と血栓形成を最小限に抑える。しかしながら、プラビックスの主なリスクの1つは頭蓋内出血である。従って、プラビックスを用いて梗塞による脳卒中の可能性を防ぐ又は最小限に抑えると、脳出血の可能性が増加するだろう。従って、プラビックスに適した患者を適切に選択することは、血管の健康の維持にとって重要である。
【0252】
高血圧の既往歴がある63才男性は、左中大脳動脈に、初回の脳卒中を経験して、右手、右脚の欠陥及びいくつかの運動性言語の欠陥という結果となった。これらは神経学的な臨床にいて呈示される症状である。総頚動脈と内頚動脈の分析に加えて、すべての大脳血管の経頭蓋ドップラー分析が行われる。分析は、総頚動脈の分岐点からちょうど遠位側にある内頚動脈の血管の流れの変更を明らかにする。狭窄の領域が観察される。さらに、追加の流れの異常性が左中大脳動脈において検出され、これは患者の右側の運動麻痺の呈示と一致する。経頭蓋ドップラー分析は、対側の半球への優れた副側血流と、左前大脳動脈及び左後大脳動脈に欠陥がないことを明らかにした。
【0253】
医者は、カルシウムチャネル阻害薬と同時のプラビックスの投薬を考慮する。経頭蓋ドップラー分析は1ヶ月ごとに行われた。プラビックス+/−カルシウムチャネル阻害薬の投与に応じた人の大脳血管の変化を分析することによって、医者は、大脳血管に対して影響がないことを観察する。医者は、続いてより高い投薬量で投与する。再び、経頭蓋ドップラー分析がすべての大脳血管について行われる。医者は、拍動性インデックスの減少と、正常より左にシフトした自動調節カーブとにより、研究している血管の血管ダイナミックの著しい変化を観察する。医者は、これらの結果に基づいて、患者のための血管作動性薬剤の適切な投薬量を決定した。
【0254】
その後、治療の変更を必要とする血管の変化が発生しているかどうか決定するために、患者はプラビックスの最初の投薬後から1ヶ月単位でモニターされる。
【実施例3】
【0255】
<実施例3:戦場の状況下での大脳血管ステータスの評価>
21才の落下傘降下兵が、飛行機からジャンプして、下の戦場に到着する。地表面に向かってパラシュートで降りている間に、彼のパラシュートが大木の枝に絡まってしまう。軍人は彼のいる場所の近くで発砲を聞き、そして、自分を解放する試みにおいて、彼のハーネスにパラシュートを接続しているラインのうちの1本を切断する。彼は地面に落下するが、落下する間に彼の頭部が木の大きな枝にぶつかる。軍人が意識をなくしているのを軍医者に発見される。頚部の骨折が存在しないことが確定した後に、医者は野戦病院に軍人を移動させる。経頭蓋ドップラーはその技術について訓練された医者によって行なわれる。データが取得され、アップリンク衛星通信によって戦場司令センター病院に送信される。その軍人の事前のデータは、軍隊への入隊時の定期健康診断の間に収集される。新しい経頭蓋ドップラーデータは事前のデータと比較される。その結果は、左前大脳動脈の自動調節に劇的な変化を示している。これは、前頭−頭頂縫合への鈍力(Blunt Force)の外傷によるクモ膜下出血に起因する血管けいれんによってもたらされる。また、硬膜下血腫もある。軍医は、この縫合の領域における明らかな挫傷を考慮してこの可能性を疑う。大脳血管の比較分析の結果は、その後、左側の前頭-頭頂骨縫合の領域の緊急開頭手術を行なう軍医に伝達される。患者の脳にかかった圧力を放出して固定化した後、手術直後、12時間後、及び24時間後に経頭蓋ドップラー分析が行なわれる。その結果は、左前大脳動脈の流れのダイナミックが変わって、この血管の指標が、収縮期加速度に対する血流速度のプロットにおける右下の4分領域から、正常な自動調節の領域の方向に移動することを示している。
【0256】
別のシナリオは、24℃で臨床的に悪化したけいれん又は外傷後の充血の発展である。経頭蓋ドップラー分析は野戦病院で行なわれた。血管けいれんの悪化が発見され、それに応じて処置が変更された。
【実施例4】
【0257】
<実施例4:緊急処置室での経頭蓋ドップラー分析の適用>
23才の患者は、極端な興奮及び狂気の状態で緊急処置室に搬入される。医療スタッフが血液の精密検査を得ようと試み、そして分析結果を待つ間に患者は急に意識を失う。血圧が急激に落ちるのが観察される。患者の大脳血管に対して経頭蓋ドップラー分析が行われる。その結果は、左中大脳動脈の正常な調節カーブが左下にシフトしていることを示す。Electrocardiagraphicの分析は、心房細動を明らかにする。血液化学は、患者がアンフェタミンと一緒に大量のコカインを摂取したことを明らかにする。経頭蓋ドップラー分析の結果は、冠状動脈の血管系の極端な血管圧縮による心臓発作の次にくる大脳血管の機能不全の誘発と一致している。
【実施例5】
【0258】
<実施例5:歩行不安定を示した女性のケーススタディ>
神経科クリニックにおいて、歩行中にわずかに不安定さを感じると訴える62才の女性が現れた。経頭蓋ドップラー分析が行われ、種々の大脳血管が分析された。経頭蓋ドップラー超音波検査データの2次元ノモグラムのうちで第1のノモグラムの概略図が図9aに提供されており、その中で、平均血流速度がY軸上に、収縮期の加速度がX軸上に示される。その直後に患者の徴候は悪化したが、決定的な分析はまだ確立されなかった。2回目の経頭蓋ドップラー分析が行われ、及び経頭蓋ドップラー超音波検査データは、図9bに提供されている第2のノモグラムに示された。その結果は1回目のテストと比較され、収縮期加速度に対する血流速度のプロットにおいて、明らかな右方向のシフトが示された。
【0259】
次に、患者は危篤で入院したが、分析はまだ確立されていなかった。技術者は、別の経頭蓋ドップラーテストを行ない、経頭蓋ドップラー超音波検査データは、図9cに提供されている第3ノモグラムに示された。血管ポイントの多くが、右方向に劇的なシフトしているのが観察された。cisternogramは水頭症を明らかにし、従ってシャント(shunt)が挿入された。神経科医は、頭蓋内圧の上昇が大脳血管に対して有害な影響を及ぼして、
それらを正常な自動調節ゾーンから移動させた、と結論を下した。手術に続いて4回目の経頭蓋ドップラー分析が行われ、経頭蓋ドップラー超音波検査データは、図9dに提供されている第4のノモグラムに示された。その結果は、ベースラインへの明瞭な戻りを示し、つまり、分析された血管特有のデータポイントが左にシフトして、第2のテスト時におけるそれらの以前の位置に向かった。
【0260】
この実施例は、経頭蓋ドップラー分析による非侵襲性で非常に正確なテストの結果が、神経科医にとって価値のある情報を提供して、適切な手続を選択し、それにより、閉塞性の脳卒中及びたぶん死亡に帰着する頭蓋内圧の過大な増加を防げることを実証した。また、これらの結果は、テスト2とテスト3との間に発生した、命にかかわる変化の発現の兆候も提供した。
【実施例6】
【0261】
<実施例6:スポーツ選手について鈍力の外傷を分析する経頭蓋ドップラーの使用>
17才の高校生は、サッカーの試合中に、彼と対戦相手が共にジャンプしてボールにヘディングしたしたときに額への激しい一撃を受ける。生徒は意識を失うが、気付け薬で復活する。試合後、彼は視覚の変化を訴える。彼は緊急処置室へ連れて行かれ、そして経頭蓋ドップラー分析が行われる。分析の結果は、サッカーシーズンの初めに行われた経頭蓋ドップラー分析と比較される。経頭蓋ドップラー分析は、充血又は脳挫傷を持った患者の中でしばしば観察される増加した血流を示す左後大脳動脈の血流ダイナミックスに、小さな変化を示す。24時間後、患者の精神状態が悪化し、CTスキャンはクモ膜下の出血だけを明らかにする。繰り返し経頭蓋ドップラー分析は、同じ動脈の血管けいれんを示す。このケースに、インターベンショナル神経放射線科医が呼ばれ、血管形成を行う。手順に従って、経頭蓋ドップラー分析は、6週間にわたって定期的に行われる。その結果は、緊急処置室に搬入された時の、そしてサッカーシーズンの初めに得られた正常な読取りの経頭蓋ドップラープロファイルと比較される。その結果は、左後大脳動の正常な流れパターンへと徐々に戻っていることを示す。
【実施例7】
【0262】
<実施例7:薬の血管に対する効果について鈍力の外傷を分析する経頭蓋ドップラーの使用>
製薬会社は、部分的な血管拡張を誘発することにより高血圧に効くアクティビティを持っていると疑われる新しい物質を開発している。その会社は、正常血圧の人の患者人口、軽度の高血圧の人口、及び重度の高血圧の人口を選択する。下位の人口(Sub-population)は、年齢(40代、50代、及び60代)及び性別に基づいて構成される。
【0263】
全ての患者の大脳血管が、25mgのテスト物質の経口投与の2時間前及び2時間後に、本発明に記載された経頭蓋ドップラー分析を用いて分析される。血圧は、新しい物質の経口投与の前と後に、30分間隔で2時間モニターされた。その結果は、正常な血圧の、及び軽度の高血圧のグループにおいて、識別可能な効果は実証されず、テストされた全ての年齢グループにおいて、重度の高血圧の患者に対する顕著な抗高血圧の効果は実証された。経頭蓋ドップラーで得られたデータの分析は、大動脈輪の血管において血流速度が減少したことを明らかにした。
【0264】
顕著な変化は、50代及び60代の女性のテストグループからのデータセットに見つけられる。それらの人へのさらなる質問から、エストロゲンとプロゲステロンを併用した投与による抗閉経期のホルモン補充療法の使用が明らかになった。これらの人が寄与したデータの除去により、これらのテストグループでの分散が劇的に減少した。製薬会社は、新しい研究を始めて、閉経前及び閉経後のグループ内での正常血圧、軽度の高血圧、及び重度の高血圧の女性の中で、さらに、ホルモン補充療法、又は経口避妊薬に露出された経歴に細分された中で、エストロゲン、プロゲステロン、又はエストロゲンとプロゲステロンとの組み合わせたテスト物質の潜在的な相互作用を検査する。
【0265】
また、上述のような発明は、水頭症を評価し治療するためのシステム及び方法の両方に適用可能である。具体的には、その発明は、頭蓋内圧の上昇(頭蓋内圧亢進、ICP)を含む頭蓋内腔に影響する臨界の変数を特定するシステム及び方法を提供し、そして正規母集団からの水頭症のいくつかの形態のうちの1つを患っている患者を識別するのに使用されることができる。
【0266】
水頭症は、頭蓋内の血流の減少をもたらす頭蓋内圧の上昇によって特徴づけられる症状である。頭蓋内圧の上昇は、血管にさらなる外力がかかり、末端の毛細管、及び/又は動脈壁に血液を供給する血管の血管(vaso-vasorum)の毛細管のような小血管を圧縮する。血管の血管への流れの減少は、動脈壁の平滑筋の弛緩する能力を低下させて、それによって、コンダクタンス血管のコンプライアンスを縮小する。小さくなったコンプライアンスと増加したインピーダンスの組み合わせは、血管の動作を制限する。具体的には、この流れの制限は、脳室周囲(periventricular)のスペースのような深く侵入した動脈によって供給されたている、より深部の脳構造に影響する。このような流れの減少は、特徴的に、分岐点の虚血性イベントであると考えられる脳室ホーン(ventricular horns)での浮腫形成をもたらす
【0267】
水頭症の原因についてほとんどほとんどの場合知られていない。例えば、髄膜炎や頭蓋内出血(例えばクモ膜下出血)を含む様々な状態にある患者に影響することが観察され、また、ある種の代謝異常又は一般的な炎症状態によって促進されうると推測される。また、それは特に、以前から存在する症状を示さない高齢者の人々に影響を与えるだろう。高齢者でしばしば見られた水頭症の症状は、正常圧水頭症(NPH)として知られている。
【0268】
NPHは神経学上の障害である。その正確な原因が未知なので、その原因に関していくつかの競合する理論がある。主な仮定理論では、NPHは、蓄積された脳脊髄液について不適当又は非能率的な再吸収又はクリアランスによって、脳組織への頭蓋内圧の上昇に起因する。脊髄分泌液は、1日当たり0.5リットルの速度で生成されており、そして再吸収されなくてはならない。頭蓋が有限のスペースであるならば、そのスペースへの液体の流入と流出との間に、平衡が存在しなくてはならず、そうでなければ内側の圧力が増加するだろう。現代の研究は、脊髄分泌液の生成及び再吸収が、受動的なものとは対照的な、活発なプロセスであることを示している。そのため、過剰液体の蓄積とその結果としての頭蓋内圧の上昇とを引き起こしうる様々な原因により、悪化及び衰弱が生じやすくなる。第2の理論では、NPHに関連する頭蓋内圧の上昇は、皮質の萎縮を引き起こす脳の小血管の疾患によって引き起こされる(つまり、小血管への縮小された流れが、脳室の相対的な拡大を引き起こす)と主張する。また、NPHがこれらの理論を組み合わせたものに起因することもありえる――夜に患者が仰向けになったときに、一時的な脊髄液の蓄積によって同時に起こる血管の変化は、頭蓋の外側での縮小された静脈の流れに関係付けられ、頭蓋の血管のスペース内において血液量の増加をもたらし、圧力の相対的な増加を引き起こす。発明から導き出されたデータは、NPHが、血管障害を順々に生じる結果的な液体蓄積であるという事実を決定的に伝えている。さらに、発明は、NPHの発病、処置、及び追加のケアを通じた血管障害の特定の特徴付け(つまりモニタリングと診断)の可能性を与えた。
【0269】
疑わしい2つのNPHの根本的原因を識別することについて、相当な混乱が近代医療において存在する。従来のイメージング研究は、脳脊髄液によって占められた空間の増加を示すものでしかない。しかしながら、これらの研究は、液体の振る舞いに関して直接コメントすることはできない。すなわち、MRI又はCATスキャンは、脳萎縮に関連した同時の液体膨張だけを示すことができる。しかしながら、これらの「原因」だけであれば、別の状態(つまりNPH)による治療可能な原因というよりは、単なる年齢による変化であると一般に解釈される。
【0270】
さらにNPHの正確な診断を複雑にしているのは、他の徴候がしばしば存在する又はより有力であるにもかかわらず、失禁、認知症、及び歩行不安定の「古典的な3つの徴候」によって特徴づけられるということである。これらの徴候は、しばしば誤って他の原因に帰することがある。その結果、処置する医者側の疑いの高いインデックスが、歴史的に必要とされるので、NPHは頻繁に誤診される。いったん疑われると、NPHは、決定的に評価して正確に診断するのが難しい。慣例通りに、NPHという診断の確認は、cisternogramとして知られている侵襲法で行われることを必要とし、硬膜下腔(つまり脳脊髄液スペース)の中への放射性トレーサー物質の射出を含み、その放射性核種トレーサーのクリアランスの半分の量を測定するために、核検出器を用いて、頭蓋内の特定のポイントでのトレーサーの取り込みを、最初の射出後から24、48及び72時間の間隔でモニターする。水頭症及びNPHを診断する他の方法は、反復的な腰椎せん刺試験を含んでおり、20〜40ccの脊髄液を抜き取って、患者が臨床的な改善を得るかどうか確かめる。最も著しい改善は、足取りと精神状態である。また、脊髄液圧の連続的なモニタリングも、留置カテーテルを介して行うことができる。しかしながら、この方法論は、この作業に特化した専用の臨床ケアユニットを有する施設でのみ行われる。さらに、この方法は感染(つまり脳膜炎)の非常に高いリスクを伴う。
【0271】
cisternogram又は他の臨床研究がNPHの病状を示すことが可能であるが、それらは観察された徴候の他の原因を十分に除外しないので、単独で、典型的にはNPHを持った患者を決定的に診断することはできない。唯一の決定的な診断手順は、大きな侵襲性の神経外科的の手順を必要とする。しかしながら、通常は、徴候の存在だけではそのような手順を行う正当な理由とはならない。従って、正確で且つ迅速にNPHを評価し診断することは困難であると有名だった。
【0272】
最後に、治療する医者の疑いを呼び起こすのに十分なほど、古典的な3つの徴候が患者に現われる時までに、既に中枢神経系への相当な損傷が発生している。中枢神経系が損傷の修復に対する能力をほとんど持たないとすれば、特に高齢者においては、徴候が明らかになる前に患者を予防的にモニターすることと、そしてに、いったん徴候が現れたなら患者を迅速且つ正確に診断することの両方にシステムを使用できることは非常に望ましい。
【0273】
上述のダイナミックな血管の分析(DVA)(DCA又はダイナミックな大脳血管の分析とも呼ばれる)の方法論の使用は、NPHを含む水頭症の診断及び評価のために、外科的な整復の前及び後に一意的に適用されてきた。それはNPHの発病の自然な経過及び進行を追跡するために用いられてきた。また、それは、自然な経過のNPHデータ、仰向けのデータ、Trendelenberg(およそ15度で頭を下にした傾斜)などの様々な頭蓋内圧データを含み、将来の診断に有用な参照データベースを生成するために用いられてきた。最後に、その発明は、水頭症と特にNPHを診断し、モニタリングするための、信頼性があり、非侵襲性で、ポータブルで、且つ安い方法を提供する。
【0274】
本発明の実施形態によれば、図1〜図4に図示されるように、DVA/水頭症のプロトコルは、検査されている動脈が連続的にモニターできるように、固定されたTCDプローブ/デバイスによる取り調べを含んでいる。代わりとして、レーザー技術のような、放射して反射する波の技術(emissive and reflective wave technology)の他の形態を利用することができる。様々な角度(最適には15〜20度の間)のTrendelenberg位置におかれた患者に対してモニタリングし、続いて30、60、90及び120秒の間隔でデータ収集を行う。Trendelenberg位置での分析に続いて、患者は仰向けの姿勢にされる。再び、データは、30、60、90及び120秒の間隔で収集される。標準の患者状態では、取り調べられている血管の流れダイナミックスに、統計的に有意な変化はないだろう。広範囲の頭蓋内の変化を経験した(つまり、頭蓋内圧の上昇を経験した)患者は、血管の硬化、加速度の増加、及びわずかなインピーダンス増加によって、しかし速度変化は殆ど変化なしで、部分的に特徴づけられた、上昇した状態の間での劇的な変化及び流れダイナミックスのシフトを明らかにするだろう。
【0275】
Trendelenberg位置にいる間に、中大脳動脈及び眼動脈との間の関係が患者から観察される。水頭症に関連した頭蓋内圧の上昇を経験した患者では、正常なベースライン状態に対してインピーダンスインデックスの反転があるだろう。また、Trendelenberg位置にある対象を評価する前に、同様に頭蓋内圧の上昇を診断することも有用である。
【0276】
患者が頭蓋内のシャント手術を受けた後に、プロトコルを適用することも可能である。
【0277】
ほとんどの診断システムの共通の1つの欠点は、多くの生理的現象によって説明される様々な症状(つまり頭蓋内圧の上昇及び/又は流れの変化)を区別する診断に関連した感度及び選択制の欠如に関連している。この発明は、水頭症を患っている患者について、特にチルト台(Trendelenberg)テストで特に明白な、異常な流れ特徴の観察を可能にした。テストの重要な特徴は、拍動性インデックス及び流れ加速度の両方についての同質の広範囲な増加の検出及び観察の能力であり、これにより広範囲の頭蓋内イベントからの同質の効果と異質の効果との間での区別を可能にする。例えば、TCDデータに相関性がある(つまり異質イベント)場合には広範囲のイベントが典型的にはまらだに分布した広範囲の炎症かもしれず、又は特定の領域を必ずしも除外しない全ての血管に均質的に影響する代謝異常かもしれない。これらの代謝異常は、例えば、ファブリー病又は糖尿病を含んでもよい。
【0278】
本発明の適用の1つの実施例は、頭蓋内圧の増加の進行について最初に文書化された自然な経過の研究を表わす高齢の患者を含んでいた。言いかえれば、それは、NPHの発病に関する第1の進歩的な研究を表わした。図28A〜図28Dは、この進歩的な研究を図示している。拍動性インデックスの増加だけでなく、大脳の血管における広範囲の血流加速度によっても、長期にわたるNPHの発病が特徴づけられたことが観察された。中大脳動脈から眼動脈への関係のインピーダンスインデックスの中にも、観察された反転があった。典型的には、標準状態において、眼動脈は終動脈と考えられ、コンダクタンス動脈と考えられる中大脳動脈よりも、高いインピーダンス値(あるいは拍動性インデックス)を有している。インピーダンスの反転が発生すれば、インピーダンスは、終動脈よりコンダクタンス血管で大きくなる。更に、インピーダンスの反転が発生するとき、それは頭蓋の双方に存在している。そのため、その反転は頭蓋内圧の上昇の結果である可能性が高い。図29は、従来の血流テストが、経頭蓋に基づくダイナミックな血管の評価を用いて観察できる対象で発生した頭蓋内圧の変化を、検出していなかったであろうことを実証している。
【0279】
上記の研究の拡張として、表8は、対象を仰向けから頭を下にしたチルト位置に移動したときに、TCDによって得られた頭蓋内圧の上昇を患っている2シリーズの平均血流速度、収縮期加速度及び拍動性インデックスデータを含んでいる。図30〜図32はDVA分析にさらされた後のこれと同じデータを示す。
【0280】
【表8】

【0281】
上述のように、計算された時点で、TCDデータはダイナミックな血管の分析(DVA)によって分析された。各対象のDVAは、a)大脳血管内に確立された19の血管セグメントの各々についてのTCD値(ピーク収縮期の速度(PSV)及び拡張末期の速度(EDV)及びピーク収縮期の時間(PST)、拡張末期の時間(EDT)、平均流速度(MFV)、収縮期の加速度(SA)、拍動性インデックス(PI)SAの自然対数(LnSA))の同時の考察、b)平均値からの分散の度合いを定量化するための参照データベースに対するTCD値の比較、及びc)19の血管セグメントの各々の血管ステータス/動作/健康を表現するTCD値から導き出した一連のインデックス(血流速度の割り当て(rations))、を含んでいる。導き出されたインデックスは、
1.加速度/平均流速度インデックス(VAI)(平均の流速度値で除された収縮期の加速度値及び/又はそれの逆数)
2.速度/インピーダンスインデックス(VPI)(拍動性インデックス値で除された平均流速度値及び/又はそれの逆数)、及び
3.加速度インピーダンスインデックス(API)(拍動性インデックス値で除された収縮期加速度値及び/又はそれの逆数)を含んでいる。
【0282】
考慮された頭蓋内の19の血管セグメントは、図33及び図34に図示される。図33及び図34に図示された血管セグメントは、左及び右の椎骨動脈(VA)、脳底動脈(BA)、後大脳動脈/PCAt(向かう)(P1)、後大脳動脈/PCAa(離れる)(P2)、内頚動脈/ICAt(向かう)、中大脳動脈(M1)、前大脳動脈(Al)、前交通動脈(ACOM)(C1)、頚動脈サイフォン(向かう)(C4)、頚動脈サイフォン(離れる)(C2)、及び眼動脈(OA)を表わす。
【0283】
データは、水頭水を患う患者は、M1とC1のセグメントにおける正常なPSV値より高い値を有することを明らかにした。これらの患者は、またM1、A1及びC4セグメントにおけるSAが増加を示したのと同様に、M1、A1、C1及びC2セグメントにおけるPIが増加を示した。LnSAも、M1、A1及びC4セグメントで増加した。反対に、加速度インピーダンス比は、M1、A1及びC1セグメントで縮小した。速度−インピーダンス比もA1セグメント中で減少した。本発明は、増加したPIがA1及びC1セグメントにおける水頭症の予測になることさらに明らかにした。C4セグメントにおける増加したSAもまた、水頭症のインジケータである。最後に、M1セグメントにおけるSA、PI及びLnSAの集合的な増加もまた予測となった。それは、C1セグメントの血流変化の観察が、水頭症の最も有効なインジケータ及び予測の判断材料を提供することは、このデータに基づいて結論付けられた。M1とC1のセグメントから導き出された血流データもまた、水頭症の予測及びモニタリングによく適している。
【0284】
本発明は、特に、水頭症とNPHの評価及び査定での使用に適している。それを行うための方法は、水頭症とNPHに関連した頭蓋内圧の上昇を経験するリスクがあると疑いをかけられた患者に対して、仰向け又はトレンデレンブルグの体位のいずれか又は両方で、大脳血管中の1点以上でTCDによる測定を行い、DCA分析を行うことを含んでいる。
【0285】
本発明は、水頭症の患者の直接の検出及びモニタリングよりも、さらなる適用を持っている。例えば、プログラム可能なシャントシステム(shunt system)が現在存在する。シャントは、脳の液腔に配置されたチューブであり、腹腔に排出し、通常は、圧力コントロールバルブを通過して通っている。事前に設定した頭蓋内圧レベルに到達した後、バルブがシャントを作動させて排出する。過剰な排出のリスク及び硬膜下血腫の原因の形成を作り出すので、連続的な排出は望ましくない。プログラム可能なシャントシステムが開発され、それによってシャントが初めは高い開口圧力でセットされ、次第に臨床の効果によって調節される。そのようなプロセスの困難性は、シャントシステムの圧力設定を変更するために適切な臨床の効果を観察するのに通常2〜3週間はかかるということである。本発明は、患者に臨床の変化があるかなり前に、血管の性能のいずれかのダイナミックな変化についての観察を可能にする。実際に、本発明は、血管の性能のほぼ即座の変化を可能にする。このように、これらのタイプのシャントシステムの調整を非常に速く正確に行うことが可能である。例えば、モニタリングする医者は、硬膜下血腫についての患者のリスクの進展を低くする試みなしに、バルブの開口圧力レベルをいつ下げるべきかのインジケータとして、本発明を利用することができる。また、臨床の効果を観察するのを待って、数週間経過した後に圧力レベルを調節する従来のプロセスに従う必要を除去するので、医者は、数ヶ月ではなく2日〜3日の期間で、大脳のかん流の正常化を最適化することができる。
【0286】
デバイスは、シャント及び関連するデバイスのメーカー及び販売業者への実用的価値もある。本発明は、よりよい製品開発及び販売活動を可能にし、今度は製品市場の拡大を容易にするので、そのようなデバイスのメーカー及び売り手に可能性を与える。例えば、特定のメーカー又は販売業者からのシャントを排他的に購入する契約の一部として看護施設にその発明を与えることができるかもしれない。
【0287】
また、本発明は、病院、老人ホーム、及び他の看護施設においてスクリーニングデバイスとして用いられるだろうと想定される。具体的には、頭蓋内にシャントを移植するのに必要とされたスタッフのみならず、特に頭蓋内のシャントに対する予測を要求することを管理者及び処置を行う医師に可能にすることにより、資源管理を容易にするのを役立つだろう。本発明は、さらに頭蓋内圧の上昇を患いやすくなる既知の頭蓋内の状態を持った患者の、より有効なモニタリング及びトラッキングを容易にする。これらの患者は、例えば、脳出血を経験したこと又は経験する傾向にあること、又は頭蓋内圧の上昇に関すると疑われた異常な精神状態にある患者を含むだろう。さらに、本発明が、モニター及び/又は遠隔の両方で操作されるという傾向を持っているので、看護施設(例えばナースステーション)の中央の場所から操作することができ、よって、1人で同時に多くの患者をモニターすることを可能にする。
【0288】
本発明は、NPHの薬、処置及び治療の発展及び最適化に好適である。すなわち、発明は患者の処置前及び処置後の両方をモニターすることにより、様々な水頭症の治療法の影響を評価するのに容易に利用することができる。更に、治療データを長期的な患者データとさらに結合して、特に、患者の処置計画を調整することができる。
【0289】
最後に、当業者にとって当然のことながら、水頭症の診断及び処置の方法に関する本発明は、さらに、自動化された方法で、電気通信ライン経由で又は単純な局所的な病床でのテストで、局所的に又は遠隔に適用することができる。いずれかの診断テストのように、本発明は、少なくとも1つの実施形態において、頭蓋内圧の上昇の検出及びモニタリング用の、全自動で遠隔制御の診断システムを意図される。
【0290】
また、比較試験において、本発明が、認知症を評価し処理するためのシステム及び方法の両方に適用可能であることが発見された。特に、患者アルツハイマー病タイプの認知症と診断された56人の患者と、39才の適合した対照とによる研究では、本発明が、徐々に認知症をもたらす頭蓋内の血流に影響する臨界の変数を特定できることが観察された。
【0291】
参加者は、いくつかの要因に基づいて、患者グループ又は対照グループのいずれかへ分類された。患者グループのメンバーは、認知症の既存の診断を受けており、ミニメンタルステータス試験(MMSE)で平均以下の性能を有していた。対照グループは、認知症と診断されておらず、認知に関する損傷の既往歴の報告がなく、そしてMMSEで平均以上であることに基づいて、認知症患者の友人及び家族から選択された。
【0292】
レーザーテクノロジーのような放射して反射する波の技術の他の形態を、代わりに利用することもできるが、研究対象はTCDを用いて評価された。TCD測定は小さな10’×10’のかすかに明かりのついた部屋で行なわれ、また従来のTCD方法で用いるリクライニングスタイルの椅子に座るように頼んだ。TCD測定は、非侵襲性で得られ、脳に血液を供給する主な動脈の血流速度データを提供した。波形は、いくつかの頭蓋窓から得られた。経側頭窓(transtemporal window)は、両側とも、中大脳動脈、前大脳動脈、内頚動脈及び後大脳動脈のセグメントを見るのに利用された。経眼窓(transophthalmic window)は、両方とも、内頚動脈だけでなく眼動脈のセグメントを見るのに利用された。経後頭部窓(transoccipital window)は脳底動脈のいくつかの深さだけでなく左右の椎骨動脈も観察するのに利用された。1スクリーン当たり4秒の掃引速度は、参加者の心拍数に基づいたページ当たり3〜7の質波形の生成に用いられた。技師が、いくつかの連続的な波の間に1つの波形上で明瞭な拡張期のトラフ及び収縮期のピークを測定することができた少なくとも1つの波形を特定したときに、表示画面が保存された。血管は、19の確立している血管セグメントに対応する十分に確立された深さでinsonatedされた。
【0293】
TCDデータの分析は、ソフトウェアに支援された時間と速度の決定を含んだ。具体的には、TCD技師は、コンピュータカーソルを上り傾斜の直前の拡張末期のトラフに置き、第2のカーソルを次のピーク心収縮に置いた。各カーソル位置のx軸値及びy軸値のそれぞれが、時間及び速度を生み出した。このデータから、ピーク収縮期の速度、ピーク収縮期の時間、拡張末期の速度、そして拡張末期の時間の値が決定された。従来のTCD方式を利用して、このデータを用いて各対象の平均の流速度、収縮期の加速度及び拍動性インデックスの値を計算した。
【0294】
いったん計算されたら、上述のように、TCDデータはダイナミックな血管の分析(DVA)によって分析された。各対象のDVAは、a)単一の波形から、大脳血管内に確立された19の血管セグメントのためのTCD値(MFV、SA及びPI)の同時の考察、b)平均値からの分散の度合いを定量化するため、参照データベースに対する単一の波から集められたTCD値の比較、及びc)図33及び図34に図示した19の血管セグメントの各々の血管のステータス/性能/健康を表現するTCD値から導き出した一連のインデックス(血流速度の割り当て)を含んでいる。導き出されたインデックスは
1.加速度/平均流速度インデックス(平均の流速度値で除された収縮期の加速度値及び/又はそれの逆数)
2.速度/インピーダンスインデックス(拍動性インデックス値で除された平均流速度値及び/又はそれの逆数)、及び
3.加速度インピーダンスインデックス(拍動性インデックス値で除された収縮期加速度値及び/又はそれの逆数)を含んでいる。
【0295】
データは、認知症を患う患者が、平均流速度の減少と、M1、A1、C1、C2、C4、VA、BA、P1及びP2の血管セグメント以内の拍動性インデックスの対応する増加と、を持っていたことを明らかにした。脳底動脈の減少を除いて、収縮期の立ち上がりの加速度が、対照グループと比較して患者グループで不変であったことが観察された。
【0296】
血流速度比も、認知症を患う患者の評価にとって重要であるとわかった。第1に、加速度/速度比、すなわち前進する血流への運動エネルギーの移転のインジケータは、M1、A1、C1、C2、C4、VA、BA、P1及びP2血管セグメントで増加した。反対に、血流の前方への力における下流のインピーダンス力の結果を示す加速度インピーダンス比、並びに前進する平均流速度への下流のインピーダンス力の影響及び相対的な血流用の代理マーカーを示す速度インピーダンス比は、認知症患者のM1、A1、C1、C2、C4、VA、BA、P1及びP2の血管セグメントで縮小された。
【0297】
認知症の対象における、多くの血管セグメントでの平均の大脳血流速度の全頭部(holocephalic)での(対照グループに対しての)減少は、認知症における大脳のかん流の減少を実証する従来の脳血流の研究と一致している(つまり、平均の脳血流速度の変化は脳血流の減少に関係している)。他の点ではこの状態に関連した広範囲の血流速度の縮小に関連づけられたときに、収縮期の立ち上がり加速度が、認知症を患う患者において変わらないという発見は重要である。大脳への血流の減少が、広範囲の低い血流の副次的効果であるならば、大脳の血管は、自動調節不全の点までの流れの力の縮小を補うために拡大するべきである。この「従来の」シナリオでは、収縮期の加速度は連続的な低下を示すに違いない。しかしながら、本発明は、認知症を患う患者において逆の効果を実証した(つまり、平均流速度の低下は、収縮期の立ち上がり加速度の変化に相当しなかった)。言いかえれば、その発明は特に認知症によって影響を受けた患者において、血液にかかる静的な前方への力が、時間とともに、血液の前進移動へのより小さな直接的な効果を有するようになったことを具体的に定量し、実証するのに用いられた。本発明は、血流に対するこの影響を、前進する血液移動に必要な運動エネルギーの量を反映する加速度−速度比として示す。本発明は、加速度−速度比が、認知症を患う患者において、眼動脈以外のすべての血管中で増加されることを実証した。この発見は、M1、A1、C1、C2、C4、VA、BA、P1及びP2血管セグメントにおいて、拍動性インデックスの増加が観察されたことによって支えられる。
【0298】
要するに、認知症が有害物質の堆積に続くアポトーシスなプロセスであるという仮定は、本発明によって発展させたデータと一致しない。認知症が衰退又は頭脳組織の損失の結果である場合、血液を前進させるために必要とされる仕事量(つまり運動エネルギー)は減少するべきである。従って、本発明は、認知症は、脳の劣化の問題の結果とは対照的に、少なくとも大部分が血流ダイナミックスの直接的な機能であることを決定的に実証した。従って、本発明は、モニタリング並びに病状の発病及び進行と闘うことを目指した処置及び摂生の最適化だけでなく、認知症を患っている患者の診断及び評価のための信頼できて、効率的な手段を提供する。
【0299】
また、上述の発明は、例えば、血管けいれん(又は、他の同様でより迅速な発病による構造的なの血管の変化)、血管の狭窄の状態(それらは、正常な生理学的性能を維持しようと努めるために、そのような変化に適合することが血管にとって可能な時間より、遅い発病期間によって特徴づけられる)による血管の狭まりで、それらのいずれかが充血(又は他の生理学的変化)をもたらすものを含む、様々な血管の状態の処置において、識別及び評価するためのシステム及び方法の両方に適用可能である。特に、本発明は、様々な血管の状況及び状態の間で区別するする方法であって、とりわけTCDテクノロジーに使用して、特に、血管けいれん(つまり構造的な状態)と充血状態(つまり生理学的な状態)との間の遷移を特徴づけることを容易にする方法を提供する。そのよう血管の状態を区別する能力(そうでなければ、血管イベントの後まで判別不能かもしれない)は、特に、例えば破裂性大動脈瘤からのクモ膜下出血に適用可能である。
【0300】
血管疾患プロセスは、血管のトーンに影響するか、又は血管に沿った閉塞状態の点(例えば出血と関係する血液の周囲の炎症、血管内又はアテローム性動脈硬化症での炎症)を形成する可能性がある。今日では、様々な方法が、静的な血管の機能(より一般には内皮の機能と呼ばれる)の評価のために存在する。これらのテストは、一般に息を止める又は過呼吸のような生理学の刺激に対する応答を測定する。しかしながら、動脈の閉塞状態は、通常は、平均の流速度(例えば経頭蓋ドップラー(「TCD」)超音波による)に誘発された変化から機能的に評価されるか、又は動脈セグメントの血管造影によって(血管の狭くなっている断面シルエットだけを示して)構造的に評価される。
【0301】
狭窄とは、動脈のセグメント内での炎症、外部圧縮、又は動脈硬化症によってもたらされる血管が狭くなることであると定義される。この点では、構造の血管変化(例えば、血管けいれん、炎症、石灰化、又は出血により狭くなること)は、関連する血管セグメントの充血又は圧力/流れの変化のような生理学の(あるいは機能の)変化に帰着する。構造変化によるこれらの生理学的変化は、臨床症状、特徴又は徴候(例えば認知症、不安定な足取りなど)において順々に明らかになる。このように、特定の血管セグメント内の解剖学的な変化とそれらの結果からの血流の特徴の機能との間に、構造的な機能の関係があるこの点では、いかなる狭窄(つまり、狭くなること)も、調整理学的(極端な)充血として、機能的に明白な、相対的充血及び血管けいれんをもたらす場合がある。例えば、血管けいれんは、超生理学的な狭窄充血(つまりそのセグメントを越えたプロセスにより生理学的補償から期待されたものを越える変化として定義される、超生理学的な変化)によって表わされて、狭窄をもたらす。そのようなものは、セグメントの周囲においてセグメントを越えるというより、測定されているセグメントから始まる疾患に特有である。特定の点又は血管セグメントにおける炎症性の変化に続くアテローム性動脈硬化の狭窄があるとき、通常は脈管系の他の場所に(つまり、その点の近傍又は遠位の両方に)、他の狭窄セグメントを生成する同様の変化が存在することを常に考慮すべきである。狭窄の最も一般的な形態はアテローム性動脈硬化による狭窄である。さらに、脈管系の隣接した又は遠位のセグメントで発生する補償的な変化が、恐らくあるだろう。
【0302】
狭窄の最も一般的な形態はアテローム性動脈硬化による狭窄である。冠状動脈及び他の場所において、狭窄は様々な方法によって評価される。冠状動脈では、例えば、狭窄は主として血管造影法によって測定される。しかしながら、上述のように、血管造影法は狭くなった血管の断面シルエットだけを提供する。そのため、血管造影法の分析は、動脈内で非対称に狭くなることによる(時々)不正確さ(つまり、見えている突肉部が変わったときに、狭窄が存在しない又は生理学上測定されるよりずっと小さいかの、いずれかに見えるかもしれない)に非常に影響されやすい。
【0303】
治療的介入を必要とするものを含む構造変化(つまり、狭くなること)により重大な流れの変更に帰着する狭窄のイベント及び状態は、(DVAインデックスによって測定されたような)血管セグメント内の変化だけでなく、隣接セグメントの生理学的状態の補償的な変化によっても定義される。言いかえれば、狭窄の(狭くなった)セグメントは、DVAインデックス及び(同じ血管における)隣接するセグメント生理学的状態の検査により集めることのできるさらに確実な情報によって特徴づけられた生理学的状態を明示する。狭くなることの重大さを同時に証拠付けるセグメントのセットは、隣接セグメント、すなわち(1)狭窄より前のセグメント、(2)狭窄セグメント及び(3)狭窄より後のセグメントと一緒に考慮された狭窄セグメントによって定義されもよい。もし臨界の狭窄に対処するならば、これらの3つのセグメントの生理学的状態は、狭窄より後の領域における遠位のかん流インピーダンス不整合(「PIMM」)、流れの体積及び圧力を保存するための狭窄のサイトでの充血の突破口(breakthrough)、及び狭窄より後の領域における隣接したPIMMのそれぞれになるだろう。
【0304】
PIMMは、インピーダンスベクトルが、前方の力ベクトル(force vector)よりもバランスにより寄与するような、力ベクトルの不安定さとして定義される。この状態の最終結果は前方への流れの低下である。PIMMが発生する2つの理由があってもよい。第1の可能性のある理由は、重大な狭窄の結果、近傍のかん流圧力の低下によって招かれた「近位の」PIMMである。第2の原因は、不安定を引き起こすインピーダンスベクトルの増加に起因する「遠位の」PIMMである。重大な小血管の疾患が存在するときにも、遠位のPIMMは発生する。両方のタイプのPIMMの組み合わせは、血液の前進移動を著しく阻害し、そして、それが狭窄より後の領域に存在する場合には、それは、他の血管からの補償の流れを示すだろう。
【0305】
伝統的に、神経科の救命救急医療では、2つの異なるタイプの大脳血管のイベントを定義する。第1のイベントは虚血性の流れ又は低い流れである。第2のイベントは、血管破裂(最も一般には、過度に拡大した血管に起因する動脈瘤)である。患者が苦しむ又は動脈瘤から出血するときに、それは典型的にはクモ膜下腔において発生する(つまりクモ膜下出血)。クモ膜下出血への初期応答は意識消失を伴った神経系の損傷である。
【0306】
しかしながら、最初のイベントを生き残った患者は、高い頻度で、出血に対する2次応答も持っている。特に、初期フェーズの回復において、患者が充血状態に入っていることは、よく文書化されている。充血は、その血管が役立っている組織での代謝に必要な量を越える血流量の病理学的な増加として定義される。
【0307】
最初のイベントの5〜10日後にしばしば発生するもう1つの2次応答は、血管けいれんの発達である。血管けいれんは、第2の虚血性の脳卒中又は低血流性の脳卒中を導く重大な狭窄をもたらした血管への筋肉の病理学的な収縮として定義される、血管けいれんの予防及び治療(より重要なことは、血管けいれんに関連した臨床的及び病的な状態の予防)は、主として高血圧及び多血症の治療を含んでいる。このように、クモ膜下出血を経験した患者は、高い頻度で、血液希釈、高血圧、及び循環血液量過多の先制治療(「HHH治療」)の薬剤(mendicants)を含む投薬計画を受ける。これらの治療は、液体の注入により、及び薬剤で患者の血圧を人為的に上げることにより、血管の体積を増加させようと努力する。しかしながら、患者の血圧を上げ及び/又は血液量を増加させる間に、大脳の充血の状態を引き起こす可能性がある。このように、1つの状態(血管けいれん)の治療は、故意でなく他方(充血)を引き起すかもしれない。そのため、HHH治療に起因する生理学的な充血、及び/又は進歩した血管けいれんからからの出血に続く最小のけいれん(つまり生理学的な状態又は状況)及び血管の狭窄による血流の減少(つまり構造の状態)を識別できることは重要である。
【0308】
先の検討からわかるように、自然に発生する充血、治療で誘発された充血、及びその充血が実際に血管けいれんになっているかどうかを識別できることは、非常に重要になる。しかしながら、従来の方法によって、そのような区別を達成するのは、現実には難しい。例えば、血管けいれんを評価するための現在の処置様式は、血管造影法スイート(angiography suite)へ患者を輸送し、けいれんの病巣上で血管形成を行うことを含んでいる。同様に、明白な血管けいれんの状態(つまりHHH治療による)の時期尚早の治療は、実際に患者の最初の血管イベント又は脳水腫からの充血性の腫れ物のリスクを増加させるかもしれない。そのため、患者が充血状態から血管けいれんの初期段階に移行しているかどうか、及びそれがいつか、を決定することは重大である。反対に、血管けいれんの発病後からあまりにも遅れたHHH治療の開始は、臨床的な結果への違いを提供しないので、ほとんど価値がない。この点について、血管けいれんの発病後からあまりに遅れたHHH治療の不必要な開始は、積極的に高血圧及び/又は多血症の治療を受けるある年齢の(つまり、中年及び高齢の)患者の間のうっ血性心不全のよく知られた発症率を考慮すると、患者の健康に有害かもしれない。
【0309】
このように、クモ膜下出血後の高血圧及び/又は多血症の治療のタイミングと使用は、患者がいつ充血から血管けいれんに移行するかをよりよく定義できることに大きく依存する。現在、そのような決定をするには、頭蓋外の頚動脈に対する頭蓋内の血管のピーク収縮期速度比(他の方法の中で、TCD超音波から導き出した)を比較することを利用する。この比較はLindegaard比と呼ばれる。しかしながら、この分析は正確ではない。いくつかの研究は、Lindegaard比が、充血から血管けいれんへの遷移の特定を高々50%予測するに過ぎないことを示した。
【0310】
他の方法が調査されたが、血管の状態を評価して区別するための広範囲におよぶ使用に入らなかった。そのような方法では、曲がった動脈の内部の狭い点を通過して引っぱられるカテーテルによって、血圧の波を測定することを含んでいる。同様に、いくつかの労力は、血管内の超音波(「IVUS」)を用いて、血管の評価を導くことに方向付けられた。しかしながら、これらの研究は、冠状動脈の流量蓄積(flow volume reserve)又は動脈の流量蓄積と呼ばれる異常定義比(anomaly defined ratio)を計算するために、合成した超音波イメージ及び/又は血管拡張剤(例えばアデノシン)の射出に対する生理学の応答を評価することへの使用にほぼ完全に焦点を合わせている。
【0311】
以下に説明されるように、DVAは充血状態から血管けいれんへの遷移(それは神経臨界的な(neurocritical)なケアユニットにおいて、日々の又は瞬時に基づいて、ダイナミックに変更することができる)を定量的に識別するのに用いることができる。しかしながら、本願明細書に記述された生理学的な主要事項は、血管の狭窄の他の形態を区別するために拡張され及び/又は適用されてもよいと、さらに理解されるべきである。
【0312】
DVAは、経頭蓋ドップラーデータ(TCD)の分析を含んでいる。血管の状況及び状態の評価と区別に適用されたように、DVAはTCD及び/又は時間及び速度の関数として集められ(ソフトウェアによって)評価された血管内の超音波(「IVUS」)データ(集団的に「超音波データ」)を含むことができる。血管の状況及び状態を評価及び区別するときに測定され考慮することができるファクターの中には、(a)大脳血管内に確立された19の血管セグメントの各々についての超音波データ値(ピーク収縮期の速度(PSV)、拡張末期の速度(EDV)、ピーク収縮期の時間(PST)、拡張末期の時間(EDT)、平均流速度(MFV)、収縮期の加速度(SA)、拍動性インデックス(PI)SAの自然対数(LnSA))の同時の考察、(b)平均値からの分散の度合いを定量化するための参照データベースに対する超音波データ値の比較、及び(c)19の血管セグメントの各々の血管のステータス/性能/健康を表現する超音波データ値から導き出した一連のインデックス(血流速度比)である。
【0313】
上述されたように、考慮された頭蓋内の19の血管セグメントは、図33及び図34に図示される。図33及び図34に図示された血管セグメントは、左及び右の椎骨動脈(VA)、脳底動脈(BA)、後大脳動脈/PCAt(向かう)(P1)、後大脳動脈/PCAa(離れる)(P2)、内頚動脈/ICAt(向かう)、中大脳動脈(M1)、前大脳動脈(Al)、前交通動脈(ACOM)(C1)、頚動脈サイフォン(向かう)(C4)、頚動脈サイフォン(離れる)(C2)、及び眼動脈(OA)を表わす。
【0314】
導き出されたインデックスは、以下のものを含む。
1.ダイナミックなコンプライアンスインデックス(DCI)(ダイナミックな仕事指数(DWI)、又は加速度/平均流速度インデックス(VAI)とも呼ばれる)=(平均の流速度値で除された収縮期の加速度値の自然対数及び/又はそれの逆数)。このように、DCIは、平均の流速度への流れの力に関し、血液を前進させるセグメントの運動効率について記述する。
2.ダイナミックな流れインデックス(DFI、又は速度/インピーダンスインデックス(VPI))=(拍動性インデックス値で除された平均流速度値及び/又はそれの逆数)。このように、DFIはインピーダンス(拍動性インデックス)に平均の流速度を関連づけて、キャパシタンス体積がコンダクタンス血管を通ってどのように流れに影響するか説明する。
3.ダイナミックな圧力インデックス(DPI、又は加速度/インピーダンスインデックス(API))=(拍動性インデックス値で除された収縮期加速度値の自然対数及び/又はそれの逆数)。このように、DPIはインピーダンスに流れの力を関連づけて、流れの力に対するキャパシタンス血管体積の影響について記述する。
【0315】
病理学的な危険にさらされた血管(狭窄又はアテロームの疾患によって)は、狭窄の点のすぐ直前にある狭窄の前のセグメント、狭窄のセグメント、及び狭窄の点のすぐ直後にある狭窄の後のセグメントの3つの生理学的なセグメントによって定義される。
これら3つのセグメント内の生理学的の状態は、狭窄の前のセグメントにおけるかん流インピーダンス不整合(PIMM)、狭窄のサイトでの充血の突破口(流れの体積及び圧力の保存のための)、及び狭窄の後のセグメントにおける近接したPIMMを含んでいる。
【0316】
上述のように、PIMMは、前方への流れの正味の低下になるようにインピーダンスベクトルが寄与して前方への力ベクトルの圧倒するように、力ベクトルの不安定さとして定義される。狭窄の前のセグメント内では、PIMMは、狭窄の下流での影響による近位のかん流圧力の低下に起因する。狭窄の後のセグメント内では、PIMMはインピーダンスベクトル中での増加に起因し、おそらく他の血管からの補償の流れを示す。狭窄のセグメントは、相対的な充血の突破口のセグメントとして定義される。特に、狭窄のセグメントは、動脈の弾性特性が低下しているので、拡大する(又は「伸びる」)ことができない狭くなった動脈により、前方への流れの増加を示している。このように、セグメントを通過する速度の劇的な増加があり、流れを維持する。
【0317】
図35は、狭窄の血管セグメントに近接した領域の流れ効果を概説する。図35において、狭窄の前のセグメント(「PIMM(遠位)」とラベルが付けられている)及び狭窄の後のセグメント(「PIMM(近位)」とラベルが付けられている)内では、DCI(またDWIとも呼ばれている)が増加しているが、DFIとDPIの両方の低下していることが観察される。同時に、狭窄のセグメント内では、DFIとDPIでは増加するが、DCI(またDWIとも呼ばれている)では減少する。
【0318】
DVAは、DCI(またDWIとも呼ばれている)が所定の血管セグメントのコンプライアンスを決定する弾性特性のマーカーであることを決めるのに用いられてきた。特に、充血状態(HHH治療によるものだが、しかしながら初期の狭窄寄っても起こる)から血管けいれんへの遷移が、DVA(つまり、血管が充血から血管けいれんに移行する点を定義するための定量可能な点になるだろう)によって測定されるDCI(またDWIとも呼ばれている)の関数であると特徴づけることができることが、前もって観察された。図36は、時間に対するDCI(またDWIとも呼ばれている)のプロットを図示している。図36では、長時間にわたって、しきい値のDCI(またDWIとも呼ばれている)値が存在することが観察されており、それ以下では、血管イベントを経験した患者は充血状態から血管けいれんに遷移する(充血から血管けいれんまでの遷移示すDCI(またDWIとも呼ばれている)インデックスの病理学的な変化は、コンプライアンス分離又は弾性の分離として定義することができる)。この点に関して、患者が充血状態から血管けいれんに移行し始める(患者の血流ベクトルの分析に基づいた)ので、様々な適切な静脈注射及び他の治療を始めるために、タイムリーで有利な通知をマネージメントチームに提供することができる。これらの治療は、血管形成及び/又は他の薬学的治療と同時に、血管内の拡大する所定の薬剤の使用を含んでいてもよい。
【0319】
発明の1つの実施形態では、DCI(またDWIとも呼ばれている)のDVAの測定された変化は、神経臨界的なケアユニットにおいて、患者の中で種々の血管状態を評価して区分するのに用いることができる。
【0320】
本発明の別の実施形態では、DCI(またDWIとも呼ばれている)のDVAの測定された変化を臨床試験に用いて、調合薬とデバイスを備えた診療の範囲及びタイミングをよりよく定義するだけでなく、充血の状態、血管けいれん、及びそれらの状態間の転移点を定義する定量的メトリクス(quantitative metrics)及び終了点をさらに発展させることができる。例えば、クモ膜下出血が脳底の血管において発生したとき、それらは本質的にいかなる亜酸化窒素及び/又は拡張キャパシティーも使い尽くし、よってこの血管の重度の引き締め又はけいれんを導く。そのような状況の下では、ステントを用いた処置が適切だろう。図37は、血管イベント及び充血と血管けいれんとの間の遷移に続く、長時間にわたる患者のDCI(またDWIとも呼ばれている)に対するDFIのプロットを図示している。図37において、血管イベントに続く1日目に、影響を受けた血管が非常に低いDCI(またDWIとも呼ばれている)を持っていることが観察され、それは非常に「堅い又は柔軟性のない血管」を示唆している。その結果、対応する高い前方への流速度(正常から約15標準偏差)がある。この状態は血管けいれんに相当する。数日後に、血管は「緩み」始め、そして流速度が縮小される。このように、血管は充血の状態に移行し始める。数日後に、血管セグメントは縮小する流れを経験し続ける。このデータは、DCI(またDWIとも呼ばれている)の変化が特定の血管の弾性特性の量を反映し、そして充血と血管けいれんとの間の遷移をこのように示すことを示唆している。特に、DCI(またDWIとも呼ばれている)値が、ある値以下に落ちたとき、それが弾性特性の絶対的な損失及び血管のそのセグメントの重大な硬直化を示しているように見える。
【0321】
発明の別の実施形態では、DCI(またDWIとも呼ばれている)のDVAに測定された変化は、特定の治療及び/又は安全手順に容易に相関できる臨床試験参加者の連続的メトリクスをモニターするのに用いることができる。同様に、連続的な定量的メトリクスの直接モニタリングは、代理マーカーと共に用いて、二分する端点を整列させることができる。この方法により、DVAのような連続的なメトリクスは、臨床試験を迅速に且つ改善された効率を伴って実行することができる、十分な信頼性を備えた二分する結果を予測することができる。
【0322】
発明の別の実施形態によれば、DCI(またDWIとも呼ばれている)のDVAに測定された変化は、段階的な(又は段々の)ステントの膨張を可能にすることにより、ステント挿入(stenting)の手順の後に発生する引き起こされた充血の発症率を管理するのに用いることができる。病理学的な充血は、いかなる血管再生(つまり、ステント挿入)の手順に続く流れの突破口の増加を指す。下流の血管は、流れが縮小された時間(それは長年にわたってもよい)の間に最小の特性が要求されることにより、それらが弱くなり又は萎縮してもよい(例えば弾性の減少)ので、そのような効果に特に敏感である。
【0323】
発明の別の実施形態によれば、血管の状態は、サーバをアクセスすることができ及び/又は、インターネットのような通信ネットワークに通じることができるコンピュータに組み入れられたアルゴリズムによって表わすことができる。また、そのようなアルゴリズムは、例えば、TCD超音波及び/又は他のドップラー超音波デバイスを含む、流れのデータの生成及び/又は受信が可能な検出システムに連結された、コンピュータ化されたプラットフォームに実装することができる。
【0324】
発明の別の実施形態によれば、従来のフリーハンドのドップラー技術を本発明と共に用いて、動脈のセグメント(例えば、測定の深さを確認するための、及び3次元空間の位置を決めることによる反射された音のゲーティングのマニュアル調整)を評価することができる。
【0325】
発明の別の実施形態によれば、ロボットの、又は自己方向付けのTCDデバイスを用いてもよい。特に、ロボット制御で調整されたコンピュータにガイドされたプローブを使用するロボットのTCDデバイスは、測定される特定の目標位置に、連続的にロックを維持するのに利用できる。そのようなプローブの例は、患者の頭部にストラップで留めることができ、血管けいれんの発達を示すTCDデータ信号の連続モニタリングを可能にする神経臨界的なケアユニットで使用される機械的なロボットのプローブを含んでいる。
【0326】
代わりに、1本の動脈に沿って異なる深さをサンプリングするか、又は分析の間にいくつかの異なる動脈からデータを得るために領域をスキャンするのに自動調整可能な
ロボットのプローブを用いることができる。その後、集められたデータはDVAを用いて処理され、患者の発展した血管状態に関する連続的な視覚的及び聴覚的な読出しを提供することができる。
【0327】
発明の別の実施形態によれば、DCI(またDWIとも呼ばれている)のDVAに測定された変化は、細線血管内超音波(thin wire intravascular ultrasound:IVUS)手順を用いて測定することができる。例えば、細線IVUSデバイスは、ステントされた血管の領域を横切って引いて、それにより狭窄の前、狭窄の、及び狭窄の後の領域を通過することができる。図38に図示されるように、そのような手順に従ってデータが評価されるときに、流れへの正味の影響を表わす3つの別個のベクトルを観察することができる。また、特に排出手順(diversion procedures)及び研究の一部として、このタイプのデータは特に重要である。排出手順及び研究は、閉塞した血管をシャントすること(頭蓋内のスペースの圧力を取り除くための、例えば脳室造ろう術(ventriculostomy)の手順又は他の同様の手順のようなチューブの挿入)と、共通の血液供給を共有する第2の付随的な血管をモニターすることと、そして閉塞した血管内の流れの増加(例えばステント挿入による)が、塞がっていない血管における流れにインパクトを与えるかどうかを決定することとを必要とする。
【実施例8】
【0328】
<実施例8:血管けいれんのDVA分析>
DVAは血管けいれんを伴うクモ膜下出血を有していた14人の被験者からのデータを得るために用いられた。彼らの最初のTCD分析の時点では必ずしも必要ではないが、全ての対象は、異なった時間にHHH治療を受けた。対象のうちの何人かは、彼らがTCD検査をしていた時に、HHH治療を受けていなかった。他の人は3H治療を受けており、また、彼らがけいれんになった後、及びけいれんが解消された後に、対象の何人かは複数のTCD検査をしていた。このように、DVA分析は、3Hなしの最初の出血、3Hを備えた脳出血で、血管けいれんを備えた脳出血、及び次に血管けいれんの解消後(つまり、けいれん前で充血前、けいれん前で充血後、そしてけいれんとけいれん後)における、この疾患の経路(つまりケア経路)に沿った複数の臨界状態で行われる。
【0329】
これらの対象におけるDVA分析の結果は以下のとおりであった。
1.第1に、充血を発達させていた患者は、DCI(またDWIとも呼ばれている)の少しの低下を伴ったDFI及びDPIの上昇を経験していたことが観察された。このデータは、これらの患者と、3H治療を受けていなかった患者とを識別する。
2.第2に、DVAが、3H治療を受けていない及び/又はちょうど受けた人の血管けいれんにおいて、それらの対照を確実に識別でき、彼らのDFIとDPIの点数を計算した(scores)なら、特にDFIは正常よりもおよそ8標準偏差(8 standard deviations)だけ上に達し、そして、DCI(またDWIとも呼ばれている)は標準よりおよそ2標準偏差(2 standard deviations)だけ下だったことが観察された。このような、高いDFIの得点と低いDCI(またDWIとも呼ばれている)の得点のプロファイルは、実質的な血管の狭窄を示している第2の超生理学的な血行力学の変化を表わす。
【0330】
上述のように、DVAプロセスはセグメントごとに基づく3つのパラメータノモグラム中で測定を行なう。これらの測定は、体のどこのセグメントでも、体又は心臓のどの動脈及び静脈のセグメントでも、確実に行うことができる。血管けいれんでは、それが第1の血管の状態(これは、それが測定されている血管内の単一ポイントの状態であるが、上流及び/又は下流の流れ効果を有することを意味している)である。第1の状態として、血管けいれんは、単一の又はいくつかの血管セグメントの固有の疾患プロセスであるが、それはセグメントの疾患である。血管けいれんの場合には、あなたは脳内の動脈系の中に疾患を持っている。付随的な補償されない血行力学の変化(つまり、第1の血管内のセグメントレベルの多数(legion)のための、アンサンブル補償のあるなしにかかわらない周囲のセグメント)を生成する。しかしながら、もし上述されたしきい値基準が満たされれば、血管けいれんを特徴づけるために周囲のセグメントを測定する必要はない。すなわち、血管けいれんは、およそ2以下のコンプライアンスインデックスを伴ったおよそ8標準偏差以上の流れインデックスを有しているDVAによって特徴づけられる。
【0331】
血管けいれんのための状況は、第2の血管の状態と対比することができ、その第2の血管の状態には、体系的な流れ効果を有する病気で、且つ疾患を特定するためにアンサンブルパター(ensemble patter)を発展させるように、そのような情報を相関させる特定の血管とセグメントとの間の関係を観察することによって特徴づけられ、単に測定することができる病気(例えば認知症)を含む。
【0332】
発明の様々な好ましい実施形態は、発明の様々な目的の達成において記述された。これらの実施形態が、発明の原理の単に例示であることが認識されるべきである。本発明の多数の改良及び適応は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、当業者にとって容易に明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0333】
【図1】図1は、頭蓋内血管を流れる血流速度についての情報を得るために、人の頭部に超音波パルスが適用される方法を示す説明図である。
【図2】図2は、頭蓋内血管を流れる血流速度についての情報を得るために、人の頭部に超音波パルスが適用される方法を示す説明図である。
【図3】図3は、頭蓋内血管を流れる血流速度についての情報を得るために、人の頭部に超音波パルスが適用される方法を示す説明図である。
【図4】図4は、頭蓋内血管を流れる血流速度についての情報を得るために、人の頭部に超音波パルスが適用される方法を示す説明図である。
【図5A】図5Aは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の概略図を提供する。
【図5B】図5Bは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の概略図を提供する。
【図5C】図5Cは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の概略図を提供する。
【図5D】図5Dは、速度がY軸上に示され、時間がX軸上に提供されている経頭蓋のドップラー超音波分析の概略図を提供する。
【図6】は、平均血流速度がY軸上に示され、収縮期の加速度がX軸上に提供されている2次元ノモグラムの概略図である。
【図7】図7は、正常な自動調節の状態からのずれ示すノモグラムの領域に加えて図6のノモグラムも示す。
【図8】図8は、3次元ノモグラムの概略図を示す。
【図9A】図9Aは、少し不安定を感じる患者の平均血流速度がY軸上に示され、収縮期の加速度がX軸上に提供されている2次元ノモグラムの概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または動物において血管けいれん状態を評価する方法であって、
頭蓋内の血流データの第1セットを得る工程と、
頭蓋内の血流データの前記第1セットから、少なくとも2つの血流ファクター値を生成する工程と、
前記少なくとも2つの血流ファクター値を相関する工程と、
少なくとも、相関した前記血流ファクター値に基づいて、血管けいれん状態を評価する工程と、を含む評価方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの血流ファクター値は、平均流速度値、収縮期加速度値、拍動性インデックス値、収縮期加速度値の自然対数、ピーク収縮期の速度値、拡張末期の速度値、ピーク収縮期時間値、拡張末期時間値、加速度/平均流速度のインデックス値、速度/インピーダンスのインデックス値、加速度/インピーダンスのインデックス値、平均流速度値で除した収縮期加速度値の自然対数、平均流速度値で除した収縮期加速度値の自然対数の逆数、拍動性インデックス値で除した平均流速度値、拍動性インデックス値で除した平均流速度値の逆数、拍動性インデックス値で除した収縮期加速度値の自然対数、及び拍動性インデックス値で除した収縮期加速度値の自然対数の逆数のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項3】
少なくとも3つの血流ファクター値を相関する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項4】
頭蓋内の血流データを得る前記工程は、放射して反射する波の技術の使用を含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項5】
前記放射して反射する波の技術は、超音波技術を含むことを特徴とする請求項4に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項6】
前記超音波技術が、ドップラー技術を含むことを特徴とする請求項5に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項7】
前記放射して反射する波の技術は、レーザー技術を含むことを特徴とする請求項4に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項8】
相関した血流ファクター値の参照データのセットを生成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項9】
相関した血流ファクター値の参照データのセットを追加の相関した血流ファクター値及びデータで補う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項10】
前記相関した血流ファクター値を、相関した血流ファクター値の参照データのセットと比較する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項11】
少なくとも頭蓋内圧を評価する工程に基づいて、頭蓋内圧上昇によって特徴づけられる状態を患っている又は患っている疑いのある対象を診断する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項12】
前記診断する工程は、前記対象が、少なくとも1つの充血状態により患っていると診断することを含むことを特徴とする請求項11に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの充血状態は、クモ膜下出血であることを特徴とする請求項12に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項14】
前記診断する工程は、前記対象が、少なくとも1つの充血状態により患っていると診断することを含むことを特徴とする請求項11に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項15】
前記方法は、頭蓋内圧亢進によって特徴づけられる状態を患っている又は患っている疑いのある対象の処置計画の部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項16】
前記方法は、頭蓋内圧亢進によって特徴づけられる状態を患っている又は患っている疑いのある対象の処置計画の効果をモニタリングすることを含むことを特徴とする請求項15に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項17】
頭蓋内圧亢進によって特徴づけられる前記状態は、少なくとも1つの充血状態を含むことを特徴とする請求項15に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項18】
頭蓋内圧亢進によって特徴づけられる前記状態は、クモ膜下出血を含むことを特徴とする請求項15に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項19】
前記処置計画は、少なくともシャントの使用を含むことを特徴とする請求項18に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項20】
シャントは、プログラム可能なシャントであることを特徴とする請求項19に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項21】
前記方法は、シャント技術の発展及び改善の一部として用いられることを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項22】
少なくとも前記相関した血流ファクター値に基づいて少なくとも頭蓋内圧を評価する前記工程に基づいて、シャントのプログラミング又は再プログラミングの工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項23】
スキーマに血流ファクター値を挿入する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項24】
人または動物においてクモ膜下出血に起因する血管けいれん状態を評価する方法であって、
頭蓋内の血流データの第1セットを得る工程と、
頭蓋内の血流データの前記第1セットから、少なくとも2つの血流ファクター値を生成する工程と、
前記少なくとも2つの血流ファクター値を相互に相関する工程と、
少なくとも、相関した前記血流ファクター値に基づいて、クモ膜下出血に起因する血管けいれん状態を評価する工程と、を含むことを特徴とするクモ膜下出血に起因する血管けいれん状態の評価方法。
【請求項25】
前記少なくとも2つの血流ファクター値は、平均流速度値、収縮期加速度値、拍動性インデックス値、収縮期加速度値の自然対数、最大収縮期の速度値、拡張末期の速度値、最大収縮期時間値、拡張末期時間値、加速度/平均流速度のインデックス値、速度/インピーダンスのインデックス値、加速度/インピーダンスのインデックス値、平均流速度値で除した収縮期加速度値の自然対数、平均流速度値で除した収縮期加速度値の自然対数の逆数、拍動性インデックス値で除した平均流速度値、拍動性インデックス値で除した平均流速度値の逆数、拍動性インデックス値で除した収縮期加速度値の自然対数、及び拍動性インデックス値で除した収縮期加速度値の自然対数の逆数のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項24に記載のクモ膜下出血に起因する血管けいれん状態の評価方法。
【請求項26】
少なくとも前記相関した血流ファクター値に基づいて血管けいれん状態を評価する前記工程は、対象のDFI値が正常なDFI値よりおよそ8標準偏差高いかどうか、そして対象のDCI値が正常なDCI値よりおよそ2標準偏差低いかどうかを判断することを含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項27】
少なくとも前記相関した血流ファクター値に基づいてクモ膜下出血に起因する血管けいれん状態を評価する前記工程は、対象のDFI値が正常なDFI値よりおよそ8標準偏差高いかどうか、そして対象のDCI値が正常なDCI値よりおよそ2標準偏差低いかどうかを判断することを含むことを特徴とする請求項24に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項28】
少なくとも前記相関した血流ファクター値に基づいて血管けいれん状態を評価する前記工程は、対象のDFI値及びDPI値の少なくとも1つが増加し、対象のDCI値が減少するかどうかを判断することを含むことを特徴とする請求項1に記載の血管けいれん状態の評価方法。
【請求項29】
少なくとも前記相関した血流ファクター値に基づいて血管けいれん状態を評価する前記工程は、対象のDFI値及びDPI値の少なくとも1つが増加し、対象のDCI値が減少するかどうかを判断することを含むことを特徴とする請求項24に記載の血管けいれん状態の評価方法。

【図9A】図9Aは、少し不安定を感じる患者の平均血流速度がY軸上に示され、収縮期の加速度がX軸上に提供されている2次元ノモグラムの概略図を示す。
【図9B】図9Bは、少し不安定を感じる患者の平均血流速度がY軸上に示され、収縮期の加速度がX軸上に提供されている2次元ノモグラムの概略図を示す。
【図9C】図9Cは、少し不安定を感じる患者の平均血流速度がY軸上に示され、収縮期の加速度がX軸上に提供されている2次元ノモグラムの概略図を示す。
【図9D】図9Dは、少し不安定を感じる患者の平均血流速度がY軸上に示され、収縮期の加速度がX軸上に提供されている2次元ノモグラムの概略図を示す。
【図10】図10は、本発明の好ましい実施形態における例示的なシステムアーキテクチャのブロックダイアグラムである。
【図11】図11は、本発明の好ましい実施形態における左側の頭蓋外の前頭動脈のコンセプトの概念グラフである。
【図12】図12は、本発明の好ましい実施形態における左側の頭蓋内の前頭動脈のコンセプトの概念グラフである。
【図13】図13は、本発明の好ましい実施形態における右側の頭蓋内の前頭動脈のコンセプトの概念グラフである。
【図14】図14は、本発明の好ましい実施形態における右側の頭蓋外の前頭動脈のコンセプトの概念グラフである。
【図15】図15は、本発明の好ましい実施形態における後頭動脈のコンセプトの概念グラフである。
【図16】図16は、本発明の好ましい実施形態における副側血流のコンセプトの概念グラフである。
【図17】図17は、本発明の好ましい実施形態におけるパラメータコンセプトの概念グラフである。
【図18】図18は、本発明の好ましい実施形態における脳卒中候補のコンセプトの概念グラフである。
【図19】図19は、本発明の好ましい実施形態における小さな血管疾患のコンセプトの概念グラフである。
【図20】図20は、本発明の好ましい実施形態におけるデータコンセプトの概念グラフである。
【図21】図21は、本発明の好ましい実施形態における動脈の状態のコンセプトの概念グラフである。
【図22】図22は、本発明の好ましい実施形態における動脈の状態のコンセプトの概念グラフである。
【図23】図23は、本発明の好ましい実施形態におけるアプリケーション・サービス・プロバイダーのアーキテクチャーのためのブロックダイアグラムである。
【図24】図24は、本発明の好ましい実施形態におけるログオンページの例示である。
【図25】図25は、本発明の好ましい実施形態におけるユーザー起動ウィンドウの例示である。
【図26】図26は、本発明の好ましい実施形態における経頭蓋ドップラーデータのウィンドウの例示である。
【図27】図27は、本発明の好ましい実施形態における血行力学分析のウィンドウの例示である。
【図28A】図28Aは、頭蓋内圧の増加に関連した初期の発症の徴候における多くの血管からのデータに基づいて、対象の広範囲の血管のステータスを図示している。
【図28B】図28Bは、対象の徴候が次第に悪化したことによる、個人の血管における血管のステータスのシフトを図示している。
【図28C】図28Cは、対象の徴候が入院を必要とする点まで増加した後の、個人の血管における血管のステータスの劇的な広範囲シフト(globalized shift)を図示している。
【図28D】図28Dは、頭蓋内圧を減少させる処置後の、正常状態に近い血管のステータスの回復を図示している。
【図29】図29は、従来の血流テストが、経頭蓋をベースとしたダイナミックな血管の評価を用いることで観察可能な、対象の中で起こっている頭蓋内圧の変化を検出しないであろうことを実証している。
【図30】図30は、表8に示された対象の2つのシリーズからの相関性のあるMFV及びSAデータの概略図である。
【図31】図31は、表8からの対象の2つのシリーズのトレンデンブルグ(Trendelenberg)のPIデータの棒グラフである。
【図32】図32は、表8に示された対象の2つのシリーズからの相関性のあるPI及びSAデータの概略図である。
【図33】図33は、本発明による評価に利用可能な19個の頭蓋内血管のセグメントを図示している。
【図34】図34は、本発明による評価に利用可能な19個の頭蓋内血管のセグメントを図示している。
【図35】図35は、狭窄部位に隣接した血管部位における血流への影響及びこれに伴う血流のふるまいの変化を図示している。
【図36】図36は、時間に対するDCI(DWIとも呼ばれる)のプロットと、血管けいれんの発症を示すDCI(またDWIとも呼ばれる)の閾値の低下を図示している。
【図37】図37は、血管イベント及び充血と血管けいれんとの間の推移の後の、長期にわたるDFI対DCI(DWIとも呼ばれる)のプロットを図示している。
【図38】図38は、血管の狭窄部位に隣接した血管部位における血流に対しての、IVUSで測定された影響、及びこれに伴う血流のふるまいの変化を図示している。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2008−534071(P2008−534071A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503190(P2008−503190)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/010599
【国際公開番号】WO2006/102511
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507318956)ニュー・ヘルス・サイエンシーズ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】NEW HEALTH SCIENCES, INC.
【Fターム(参考)】