説明

ダイボンダ及びボンディング方法

【課題】本発明は、品質の安定したダイボンダ及びダイボンディング方法、小型化及び低製造コストのダイボンダ、及び、ダイボンディングの工数が低減可能なダイボンダ及びダイボンディング方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ヘッドを2つ設け、一方のヘッドは、ダイをピックアップしてステージ上の基板に仮付けし、他方のヘッドが仮付けされたダイを本圧着するものである。さらに、他方のヘッドが本圧着中に一方のヘッドが次のダイをピックアップしてステージ上の基板に仮付けするようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイボンダ及びボンディング方法に係わり、工数を低減できるダイボンダ及びボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイ(半導体チップ)を配線基板やリードフレームなどの被実装部材(以降、本明細書では、プリント基板と称する)に搭載してパッケージを組み立てる工程の一部に、ウェハからダイをピックアップ(吸着)し基板にボンディングするダイボンディング工程がある。近年、ダイをピックアップして基板に圧着するヘッドを2つ設け、工数の低減を企図したダイボンダが製作されるようになってきている。
その場合のダイボンディングとしては、次の(1)〜(3)の方法があった。
(1)それぞれのヘッドが、順番にウェハからダイをピックアップし、そのままダイレクトに、基板等のワークへダイボンディング(本圧着)する。
(2)一方のヘッドがウェハからダイをピックアップして、一度プリアライメントステージに載置する。他方のヘッドがプリアライメントステージに載置されたダイを吸着してワークにダイボンディング(本圧着)する(特許文献1参照。)。
(3)ウェハからダイをピックアップし、第1ステージのワークにダイレクトに仮付けする。ダイが仮付けされたワークを移動し第2ステージに移動してダイボンディング(本圧着)する(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−252303号公報
【特許文献2】特開2005−093838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の(1)の方法では、ピックアップと本圧着(ダイボンド)それぞれのプロセス時間に影響し、生産性が低下する。また、2つのヘッドを使用するため、両ヘッドで生産した製品同士では、実装品質が変化し、安定しない。
また、(2)及び(3)の方法では、一度別のステージにダイを載置し、再度搬送するため、ハンドリングによる歩留まりが低下する恐れがある。さらに、別のステージへの搬送時の影響により、歩留まりが低下する恐れもある。またさらに、2つのステージが必要となり、装置が大きくなる。さらに、工数が増える。
【0005】
本発明の第1の目的は、上記の問題に鑑み、ダイボンディングの品質の安定したダイボンダ及びダイボンディング方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、ダイボンダの小型化及び製造コストの低減である。また、本発明の第3の目的は、ダイボンディングの工数が低減可能なダイボンダ及びダイボンディング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、ヘッドを2つ設け、一方のヘッドは、ダイをピックアップしてステージ上の基板に仮付けし、他方のヘッドが仮付けされたダイを本圧着するものである。
さらに、他方のヘッドが本圧着中に一方のヘッドが次のダイをピックアップしてステージ上の基板に仮付けするようにしたものである。
【0007】
本発明のダイボンダは、ウェハを保持するダイ供給ステージと、前記ウェハからダイをピックアップしアタッチステージ上の被実装対象物に前記ダイを仮付けする第1のコレットを有する第1のヘッドと、前記アタッチステージに仮付けされた前記ダイを前記被実装対象物に本圧着する第2のコレットを有する第2のヘッドと、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第2のヘッドが前記ダイを前記被実装対象物に本圧着する間に、前記第1のヘッドが前記ダイ供給ステージから次のダイをピックアップさせることを第1の特徴とする。
【0008】
上記本発明の第1の特徴のダイボンダにおいて、前記制御装置は、前記第1のヘッドが前記被実装対象物に前記ダイを仮付けする前に、前記第2のヘッドが退避させることを本発明の第2の特徴とする。
【0009】
上記本発明の第1の特徴または第2の特徴のダイボンダにおいて、前記制御装置は、前記第1のヘッドが仮付けする荷重を、前記第2のヘッドが本圧着する荷重より小さくすることを本発明の第3の特徴とする。
【0010】
上記本発明の第1の特徴乃至第3の特徴のいずれかのダイボンダにおいて、前記制御装置は、前記第1のヘッドが仮付けする荷重負荷時間を、前記第2のヘッドが本圧着する荷重負荷時間より短くすることを本発明の第4の特徴とする。
【0011】
上記本発明の第1の特徴乃至第4の特徴のいずれかのダイボンダにおいて、前記第1のコレットは第1の加熱装置を有し、前記第2のコレットは第2の加熱装置を有し、前記制御装置は、前記第1の加熱装置の設定温度を前記第2の加熱装置の設定温度より低くすることを本発明の第5の特徴とする。
【0012】
上記本発明の第1の特徴乃至第5の特徴のいずれかのダイボンダにおいて、前記アタッチステージは、前記アタッチステージ上の前記被実装対象物を加熱する第3の加熱装置を有し、前記制御装置は、前記第3の加熱装置の設定温度を前記第1のヘッドが前記ダイを仮付けする時の温度と前記第2のヘッドが前記ダイを本圧着する時の温度とを同一に設定することを本発明の第6の特徴とする。
【0013】
また、本発明のダイボンディング方法は、第1のコレットを有する第1のヘッドと、第2のコレットを有する第2のヘッドと、制御装置とを備えたダイボンダのダイボンディング方法において、前記第1のヘッドがダイ供給ステージからダイをピックアップする第1のステップと、前記第2のヘッドがアタッチステージ上の被実装対象物のダイ圧着ポイントの上方から退避し、前記第1のヘッドが前記ピックアップした前記ダイを前記ダイ圧着ポイントに仮付けする第2のステップと、前記仮付けされたダイを前記第2のヘッドが本圧着して前記被実装対象物の前記ダイ圧着ポイントに本圧着する第3のステップと、前記第3のステップを実行中に、前記第1のヘッドが別のダイを前記ダイ供給ステージからピックアップする第4のステップとを備えたことを第7の特徴とする。
【0014】
上記本発明の第7の特徴のダイボンディング方法において、前記第1のステップは、上流から前記アタッチステージに前記被実装対象物を搬送するステップを含むことを本発明の第8の特徴とする。
【0015】
上記本発明の第8の特徴のダイボンディング方法において、前記第3のステップは、さらに、前記本圧着した後に、当該本圧着された被実装対象物を下流に搬送し、前記上流から次の被実装対象物を搬送することを本発明の第9の特徴とする。
【0016】
上記本発明の第7の特徴乃至第9の特徴のいずれかのダイボンディング方法において、前記第2のステップから前記第4のステップを繰り返すことを本発明の第10の特徴とする。
【0017】
上記本発明の第7の特徴乃至第10の特徴のいずれかのダイボンディング方法において、前記第2のステップと前記第3のステップの前記アタッチステージの加熱温度が同一であることを本発明の第11の特徴とする。
【0018】
上記本発明の第7の特徴乃至第11の特徴のいずれかのダイボンディング方法において、前記第1のコレットの加熱温度が前記第2のコレットの加熱温度より低いことを本発明の第12の特徴とする。
【0019】
上記本発明の第7の特徴乃至第12の特徴のいずれかのダイボンディング方法において、前記第2のステップにおける前記第1のヘッドが前記仮付けする時の荷重が、前記第3のステップにおける前記第2のヘッドが前記本圧着する時の荷重より小さいことを本発明の第13の特徴とする。
【0020】
上記本発明の第7の特徴乃至第13の特徴のいずれかのダイボンディング方法において、前記第2のステップにおける前記第1のヘッドが前記仮付けする時の荷重負荷時間が、前記第3のステップにおける前記第2のヘッドが前記本圧着する時の荷重負荷時間より短いことを本発明の第14の特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、品質の安定したダイボンダ及びダイボンディング方法を実現することができる。
また、本発明によれば、小型化及び製造コストが低減可能なダイボンダを実現することができる。
さらに、本発明によれば、工数の低減が可能なダイボンダ及びダイボンディング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のダイボンダの一実施例の主要部の概略側面図である。
【図2】本発明のダイボンダの一実施例のヘッドの概略側面図である。
【図3】本発明のダイボンダの一実施例の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法の一実施例を説明するためにダイボンダの主要部の概略側面を示した図である。
【図5】本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法の一実施例を説明するためにダイボンダの主要部の概略側面を示した図である。
【図6】本発明のダイボンダの一実施例の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明のダイボンダの一実施例の制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の一実施形態を図面等を用いて説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
なお、本書では、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、説明の重複をできるだけ避ける。
【0024】
図1は、本発明のダイボンダの一実施例の主要部の概略側面図である。このダイボンダは、各種ダイ(半導体チップ)をプリント基板に実装する装置である。1はダイボンダ本体、2はダイ供給ステージ、3はプリアライメントステージ、4はダイボンディング作業をするためのアタッチステージ、6はダイ、5はダイ6を吸着しプリント基板に仮付けするコレット、55は仮付けされたダイ6を本圧着するコレット、7は半導体ウェハ、8は半導体ウェハ7を載置支持するウェハテーブル、10はプリアライメントステージ3のプリアライメントテーブル、11はプリアライメントテーブル10を加熱する加熱装置、12はダイ6を実装する被実装部材であるプリント基板、13はアタッチステージ4のアタッチテーブル、61はプリアライメントテーブル10の上面、62はアタッチテーブル13の上面、130はアタッチテーブル13の上面の開口部、14はアタッチテーブル13を加熱する加熱装置である。なお、コレット5は、後述するヘッド20に設けられ、コレット55は後述するヘッド20’に設けられる。
【0025】
図1において、ダイ供給ステージ2には、例えば、多数のダイ6が集合した半導体ウェハ(以下、ウェハという)7が載置されている。ウェハ7は、ダイ6毎に分離してピックアップできるようにダイシングされている。
プリアライメントステージ3は、プリアライメントテーブル10と、このプリアライメントテーブル10の下方に設けられた加熱装置11とを備えている。また、アタッチステージ4は、プリント基板12を載置しプリント基板12の周囲を覆うと共に上面に開口130が形成されたアタッチテーブル13と、このアタッチテーブル13に設けられた加熱装置14とを備えている。プリント基板12は、アタッチテーブル13上を図示しない搬送機構によって上流から搬送され、ダイ6の実装作業(ダイボンディング)の終了後、下流へ搬送される。
【0026】
以下、ダイ6を移載し仮付けするヘッド20及び本圧着するヘッド20’について、図2を用いて説明する。図2は、本発明のダイボンダの一実施例のヘッドの概略側面図である。なお、ダイ6をダイ供給ステージ2からプリアライメントステージ3へ移載し仮付けするヘッド20と、仮付けされたダイ6を本圧着するヘッド20’とは、同一の機構であり、以下、ダイ6をダイ供給ステージ2からプリアライメントステージ3を介してアタッチステージ4に移載してプリント基板12に仮付けするヘッド20について説明し、ダイ6をアタッチステージ4において本圧着するヘッド20’については、説明を省略する。ただし、かっこ内に示した符号は、ヘッド20’に係る構成要素であることを示す。
16はヘッド20(20’)のヘッド支持部、17はヘッド支持部16にその上部から外方向に延びたセンサ支持部、18はガイド、21はレール、22はスライド部材、23(23’)は昇降駆動部(固定子及び可動子)、24はボールブッシュ、25は接触片、26は圧縮バネ、27(27’)はタッチセンサ、28は接触端である。
【0027】
ヘッド支持部16は、上下方向に配置されたガイド18に沿い昇降する。ガイド18は、レール21とこのレール21にスライド自在に支持されたスライド部材22とを備えている。また、ガイド18には、ヘッド20の例えばリニアモータなどの昇降駆動部23が設けられている。
また、ヘッド支持部16の下部にはほぼ垂直にボールブッシュ24が設けられ、このボールブッシュ24にコレット5(55)がほぼ垂直に昇降自在に支持されている。また、コレット5のほぼ中間位置には、接触片25が水平に取り付けられている。この接触片25の上面とセンサ支持部17の下面との間には、圧縮バネ26が設けられ、この圧縮バネ26によって接触片25を介してコレット5が下降へ付勢されている。
タッチセンサ27(27’)は、センサ支持部17を貫通して取り付けられた検出器である。タッチセンサ27の下端には、接触端28が設けられている。そして、コレット5の下端が他の部材に接触して上昇していない状態では、接触端28の下端と接触片25の上面との間には、僅かな隙間が形成されている。
【0028】
次に、ヘッド20(20’)の昇降などの動作を制御する制御装置について、図3に基づいて説明する。図3は、本発明のダイボンダの一実施例の制御装置の構成を示すブロック図である。
30は昇降駆動部23の昇降などの動作を制御する制御装置、31はモニタ、32はCPU(Central Processing Unit)、33はRAM(Random Access Memory)、34はROM(Read Only Memory)である。
【0029】
この制御装置30には、インターフェース(図示せず)を介して昇降駆動部23と23’、タッチセンサ27と27’、及び表示装置であるタッチパネルを備えたモニタ31などが接続されている。
制御装置30には、CPU32、RAM33及びROM34が設けられ、CPU32はタッチセンサ27及び27’からの信号を入力すると共に、予めRAM33に格納されている昇降ストロークのデータ及びROM34に格納されている制御プログラムに基づいて昇降駆動部23を制御すると共に、図示しない温度センサ等の検出値に基づいてプリアライメントテーブル10の加熱装置11及びアタッチテーブル13の加熱装置14を制御してプリアライメントテーブル10及びアタッチテーブル13の温度を制御する。
また、RAM33には、例えばモニタ31のタッチパネル操作等の、作業者による操作によって予め設定された、コレット5または55の下降ストロークの補正(キャリブレーション)の間隔及び回数、即ち、下降ストロークを補正する間隔及び補正する回数が格納されている。
【0030】
図4によって、本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法の一実施例を説明する。図4は、本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法の一実施例を説明するためにダイボンダの主要部の概略側面を示した図である。図4は、本発明のダイボンダの一実施例における説明に不要な構成要素を除いて記載している。さらに、図4の実施例では、図1の実施例と異なり、ヘッド20のコレット5は、ダイ供給領域2からピックアップしたダイ6を直接アタッチステージ4のプリント基板12上に仮付けする。このため、プリアライメントステージ3が無い。また、図4におけるダイ6が同じダイか異なるダイかを区別するために、サフィックス(suffix)を付けた。例えば、ダイ6−0、ダイ6−1である。
【0031】
図4において、図4(a)は、1機種の基板についてダイボンディングが始まった状態である。即ち、プリント基板12が上流から図示しない搬送機構によってアタッチステージ4に搬送され、この時、ヘッド20’のコレット55はプリント基板12の上方に位置している。アタッチステージ4にプリント基板12が搬送されている間に、ヘッド20のコレット5は、ダイ供給ステージ2に移動して、ダイ6−0をピックアップする。
【0032】
次に、図4(b)に示すように、コレット55がプリント基板12上のダイ圧着ポイントの上方から退避する。そして、ダイ圧着ポイントの上方には、ダイ6−1をピックアップしているコレット5が移動し、ダイ6−0をプリント基板12上のダイ圧着ポイントに仮付けする。退避する距離は、コレット55のヘッド20’がコレット5のヘッド20と接触しない距離である。
【0033】
次に、図4(c)に示すように、ダイ6−0の仮付けを完了したコレット5は、ダイ供給ステージ2に移動して、別のダイ6−1をピックアップする。ヘッド20のコレット5が別のダイ6−1をピックアップしている間に、ヘッド20’のコレット55は、先ほど仮付けされたダイ6−0を同一のステージ上で押さえ付け、本圧着する。本圧着終了後、ヘッド20’のコレット55はアタッチステージ4の上方に移動し、ダイ6−0が実装されたプリント基板12は、図示しない搬送機構によって、下流に搬送されると共に、次のプリント基板が上流からアタッチステージ4に搬送される。
【0034】
以下、図4(b)と図4(c)を交互に繰り返し、プリント基板12にダイ6を実装する。
【0035】
図5によって、本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法の他の実施例を説明する。図5は、本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法の一実施例を説明するためにダイボンダの主要部の概略側面を示した図である。図5は、本発明のダイボンダの一実施例における説明に不要な構成物を除いて記載している。また、図5の実施例では、図4の実施例と異なり、実装ラインを2レーン備え、2つのヘッド20及び20’は、2レーンにそれぞれ搬送されるプリント基板にダイを交互に実装するものである。ここで12は第1のレーン上に搬送されたプリント基板、42は第2のレーン上に搬送されたプリント基板である。また、4は第1のレーンのアタッチステージ、44は第2のレーンのアタッチステージである。
【0036】
図5において、図4で説明した工程手順によってプリント基板12にダイ6−0が実装される。ただし、図4(c)において、本圧着終了後のコレット55は、アタッチステージ44上に移動する。次に、図5(a)に示すように、プリント基板42が上流から図示しない搬送機構によってアタッチステージ44に既に搬送されている(または、予め搬送されて待機中である)。
【0037】
次に、図5(b)に示すように、コレット55がプリント基板42上のダイ圧着ポイントの上方から退避する。そして、ダイ圧着ポイントの上方には、ダイ6−1をピックアップしているコレット5が移動し、ダイ6−1をプリント基板42上のダイ圧着ポイントに仮付けする。
【0038】
次に、図5(c)に示すように、ダイ6−1の仮付けを完了したコレット5は、ダイ供給ステージ2に移動して、別のダイ6−2をピックアップする。ヘッド20のコレット5が別のダイ6−2をピックアップしている間に、ヘッド20’のコレット55は、先ほどプリント基板42に仮付けされたダイ6−1を上から押さえ付け、本圧着する。本圧着終了後、ヘッド20’のコレット55はアタッチステージ4の上方に移動し、ダイ6−1が実装されたプリント基板12は、図示しない搬送機構によって、下流に搬送されると共に、次のプリント基板が上流からアタッチステージ44に搬送される。
【0039】
以下、図4(b)と図4(c)の工程手順と図5(b)と図5(c)の工程手順をを交互に繰り返し、プリント基板12およびプリント基板42にダイ6を実装する。
【0040】
なお、例えば、仮付けするヘッドの荷重(Light Place Load)は0.5〜2[N](荷重負荷時間(Short Place Time):0.1〜0.5[s])であり、本圧着するヘッドの荷重(Heavy Place Load)は1〜70[N](荷重負荷時間(Heavy Place Time):0.5[s]以上)である。
【0041】
上記実施例によれば、ピックアップと本圧着とをそれぞれ別のヘッドで行う。即ち、同一のヘッドで同一の作業を実行する。このため、並列処理が可能であり、プロセス時間が影響せず、実装品質が安定し、生産性が低下しない。
また、仮付け用のステージが不要となるため、加熱ステージも1つで良く、装置コスト、装置の小型化、及び製造工数を低減できる。
さらに、ハンドリング回数を低減できるため、ハンドリングによる歩留り低下を防止できる。
例えば、生産機種がNAND等の薄型積層製品である場合に、ピックアップ(剥離)及び熱圧着によるダイボンディングで、それぞれ1[s]程度のプロセス時間が必要である。本発明では、それぞれの工程(ピックアップ及び熱圧着)を並列処理可能とすることができる。
【0042】
本発明では、2つのコレット5及び55に異なる役目を負わせている。しかし、上述の図1〜図5の実施例においては、ピックアップ及び仮付けに使用するコレット5と本圧着に使用するコレット55とは、同一形状、同一寸法のコレットを使用した。また、プリアライメントステージ3、アタッチステージ4、コレット5、及びコレット55の温度等の設定条件を同一に設定した。
しかし、本発明の別の実施例として、例えば、図6に示すように、仮付け用のコレット5と本圧着用のコレット55とで、作業条件を異なるようにしても良い。
【0043】
図6は、本発明のダイボンダの一実施例の設定条件を示す表である。図6は、設定対象について、仮付け用のコレット5と本圧着用のコレット55の設定条件を異なるように設定している。
図6において、アタッチテーブル13の加熱温度は、コレット5による仮付け時と本圧着時で同一の設定としている。しかし、コレットの加熱温度、コレットの荷重、コレットの荷重負荷時間を、いずれも仮付け用のコレット5より本圧着用のコレット55の方が大となるように設定している。
この結果、仮付け時には、本圧着時に必要な温度より低温度でダイボンディングできるため、熱の影響によるボンディング位置の精度の確保が容易となる。また、同じ理由により、プリント基板の熱変形を防止することができる。さらに、コレット側からの加熱は、プリント基板を介さないために、熱効率(熱伝導)が良く、ダイ圧着の品質向上が可能となる。
【0044】
図6のように、コレット5及び55に加熱装置75及び76を設けることについては、周知の技術であるので、説明を省略する。なお、コレット5及び55の加熱装置75及び76の制御は、図3の制御装置において、さらに図7に示すように加熱装置75及び76を、制御装置30に接続することで可能である。
なお、さらに。ピックアップ及び仮付け用のコレット5と本圧着用のコレット55を、それらの用途に合わせて異なる形状寸法のコレットとしても良い。この結果、さらに、ダイボンディングの品質向上が可能となる。
【0045】
上述の実施例では、中間ステージ(プリアライメントテーブル)付きダイボンダ、及びダイレクトボンド方式ダイボンダによって本発明を説明した。しかし、本発明のダイボンダ及びダイボンディング方法は、上記のダイボンダの他、フリップチップボンダ等、熱圧着ダイボンダ、超音波熱併用ダイボンダに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:ダイボンダ本体、 2:ダイ供給ステージ、 3:プリアライメントステージ、 4、44:アタッチステージ、 5、55:コレット、 6:ダイ、 7:半導体ウェハ(ウェハ)、 8:ウェハテーブル、 10:プリアライメントテーブル、 11:加熱装置、 12、42:プリント基板、 13:アタッチテーブル、 14:加熱装置、 16:ヘッド支持部、 17:センサ支持部、 18:ガイド、 20、20’:ヘッド、 21:レール、 22:スライド部材、 23、23’:昇降駆動部、 24:ボールブッシュ、 25:接触片、 26:圧縮バネ、 27、27’:タッチセンサ、 28:接触端、 30:制御装置、 31:モニタ、 32:CPU、 33:RAM、 34:ROM、 61、62:上面、 130:開口部、 75、76:コレット加熱装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを保持するダイ供給ステージと、
前記ウェハからダイをピックアップしアタッチステージ上の被実装対象物に前記ダイを仮付けする第1のコレットを有する第1のヘッドと、
前記アタッチステージに仮付けされた前記ダイを前記被実装対象物に本圧着する第2のコレットを有する第2のヘッドと、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第2のヘッドが前記ダイを前記被実装対象物に本圧着する間に、前記第1のヘッドが前記ダイ供給ステージから次のダイをピックアップさせることを特徴とするダイボンダ。
【請求項2】
請求項1記載のダイボンダにおいて、前記制御装置は、前記第1のヘッドが前記被実装対象物に前記ダイを仮付けする前に、前記第2のヘッドが退避させることを特徴とするダイボンダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のダイボンダにおいて、前記制御装置は、前記第1のヘッドが仮付けする荷重を、前記第2のヘッドが本圧着する荷重より小さくすることを特徴とするダイボンダ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のダイボンダにおいて、前記制御装置は、前記第1のヘッドが仮付けする荷重負荷時間を、前記第2のヘッドが本圧着する荷重負荷時間より短くすることを特徴とするダイボンダ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダイボンダにおいて、前記第1のコレットは第1の加熱装置を有し、前記第2のコレットは第2の加熱装置を有し、前記制御装置は、前記第1の加熱装置の設定温度を前記第2の加熱装置の設定温度より低くすることを特徴とするダイボンダ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダイボンダにおいて、前記アタッチステージは、前記アタッチステージ上の前記被実装対象物を加熱する第3の加熱装置を有し、前記制御装置は、前記第3の加熱装置の設定温度を前記第1のヘッドが前記ダイを仮付けする時の温度と前記第2のヘッドが前記ダイを本圧着する時の温度とを同一に設定することを特徴とするダイボンダ。
【請求項7】
第1のコレットを有する第1のヘッドと、第2のコレットを有する第2のヘッドと、制御装置とを備えたダイボンダのダイボンディング方法において、
前記第1のヘッドがダイ供給ステージからダイをピックアップする第1のステップと、
前記第2のヘッドがアタッチステージ上の被実装対象物のダイ圧着ポイントの上方から退避し、前記第1のヘッドが前記ピックアップした前記ダイを前記ダイ圧着ポイントに仮付けする第2のステップと、
前記仮付けされたダイを前記第2のヘッドが本圧着して前記被実装対象物の前記ダイ圧着ポイントに本圧着する第3のステップと、
前記第3のステップを実行中に、前記第1のヘッドが別のダイを前記ダイ供給ステージからピックアップする第4のステップとを備えたことを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項8】
請求項7記載のダイボンディング方法において、前記第1のステップは、上流から前記アタッチステージに前記被実装対象物を搬送するステップを含むことを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項9】
請求項8記載のダイボンディング方法において、前記第3のステップは、さらに、前記本圧着した後に、当該本圧着された被実装対象物を下流に搬送し、前記上流から次の被実装対象物を搬送することを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のダイボンディング方法において、前記第2のステップから前記第4のステップを繰り返すことを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項11】
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載のダイボンディング方法において、前記第2のステップと前記第3のステップの前記アタッチステージの加熱温度が同一であることを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項12】
請求項7乃至請求項11のいずれかに記載のダイボンディング方法において、前記第1のコレットの加熱温度が前記第2のコレットの加熱温度より低いことを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項13】
請求項7乃至請求項12のいずれかに記載のダイボンディング方法において、前記第2のステップにおける前記第1のヘッドが前記仮付けする時の荷重が、前記第3のステップにおける前記第2のヘッドが前記本圧着する時の荷重より小さいことを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項14】
請求項7乃至請求項13のいずれかに記載のダイボンディング方法において、前記第2のステップにおける前記第1のヘッドが前記仮付けする時の荷重負荷時間が、前記第3のステップにおける前記第2のヘッドが前記本圧着する時の荷重負荷時間より短いことを特徴とするダイボンディング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−65629(P2013−65629A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202275(P2011−202275)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】