説明

ダイボンダ及び半導体製造方法

【課題】
本発明は、ダイを正確にボンディングできる信頼性の高いダイボンダ及び半導体製造方法を提供することである。
【解決手段】
本発明は、ダイをウェハから吸着して基板にボンディングするボンディングヘッドと、前記ダイの位置を所定精度で前記位置決めする第1の調整機構を有し、前記ボンディングヘッドを位置決めする位置決めを機構と、前記位置決め機構を制御する位置決め制御部と、前記ボンディングヘッドに設け、前記第1の調整機構よりも高い精度で前記ダイの位置を調整する第2の調整機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイボンダ及び半導体製造方法に係わり、信頼度の高いダイボンダ及び半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイ(半導体チップ)を配線基板やリードフレームなどの基板に搭載してパッケージを組み立てる工程の一部に、ウェハからダイを吸着し基板にボンディングするダイボンディング工程がある。
ダイボンディング工程では、基板のボンディング面に正確にダイをボンディングする必要がある。しかしながら、基板面はボンディングし易くするために80℃〜250℃前後の高温に加熱されている。高温または輻射熱によって、構成部材の位置ずれ等が発生しダイを正確な位置にボンディングできない。
【0003】
この種の問題を解決する従来技術としては特許文献1がある。特許文献1の課題は、高温のボンディングステージから輻射熱により、ボンディング位置を検出するカメラとボンディングツールの位置の差(オフセット量)が刻々変化することである。この課題を解決するために、特許文献1では、ボンディングステージ近傍に設けたリファレンス部材を基準点としてそのオフセット量を検出し、ボンディング位置を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-203224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昨今のダイボンディングの位置決め精度はダイの微小化により10μmと高精度の要求があり、さらにTSV(Thought Silicon Via)等の3次元実装技術の発達においては数μmと高い。それ故、高精度位置決めできる技術を開発する必要がでてきた。また、特許文献1の課題に加えて、基板や基板支持するボンディングステージ等の熱膨張により基板側のボンディング位置ずれが問題になってきた。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたもので、本発明の目的は、ダイを正確にボンディングできる信頼性の高いダイボンダ及び半導体製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも以下の特徴を有する。
本発明は、ダイをウェハから吸着して基板にボンディングするボンディングヘッドと、前記ダイの位置を所定精度で前記位置決めする第1の調整機構を有し、前記ボンディングヘッドを位置決めする位置決めを機構と、前記位置決め機構を制御する位置決め制御部と、前記ボンディングヘッドに設け、前記第1の調整機構よりも高い精度で前記ダイの位置を調整する第2の調整機構とを有することを第1の特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記第2の調整機構は、前記ボンディングヘッドの先端部軸を複数の方向から作用し、所定の変位で移動させるアクチュエータを有することを第2の特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記アクチュエータを前記ダイをボンディングする面と平行な面又はボンディングする面と角度を有する面のいずれかにに前記アクチュエータを設けたことを第3の特徴とする。
さらに、本発明は、前記アクチュエータはピエゾ素子又は超磁歪素子であることを第4の特徴とする。
また、本発明は、前記複数の方向の相対する方向から前記変位を元に戻す復元力を発生する復元力手段を設けたことを第5の特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、ダイをボンディングヘッドでウェハから吸着するステップと、第1の調整機構により所定の精度で前記ダイの位置を調整し、第2の調整機構により前記第1の調整機構よりも高い精度で前記ダイの位置を調整して、前記ボンディングヘッドの位置決めを行うステップと、前記ボンディングヘッドが前記ダイを基板にボンディングするステップとを有することを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ダイを正確にボンディングできる信頼性の高いダイボンダ及び半導体製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態であるダイボンダを上から見た概念図である。
【図2】本発明の特徴を有するボンディング位置補正装置を有するボンディングヘッド部の実施形態の概略構成図である。
【図3】本実施形態における微調整機構の実施例1を示す図である。
【図4】本実施形態における2台の位置補正カメラの配置を示す図である。
【図5】ボンディングヘッドがダイを吸着し、ボンディング位置の上側に来たときからの処理フローを示す図である。
【図6】図5における処理フローでの撮像画面を示す図である。
【図7】本実施形態における微調整機構の実施例2を示す図である。
【図8】本実施形態における微調整機構の実施例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるダイボンダ10を上から見た概念図である。ダイボンダ10は大別してウェハ供給部1と、基板供給・搬送部5と、ダイボンディング部3と、これ等を制御する制御部4とを有する。
【0014】
ウェハ供給部1は、ウェハカセットリフタ11とピックアップ装置12とを有する。ウェハカセットリフタ11は、ウェハリングが充填されたウェハカセット(図示せず)を有し,順次ウェハリングをピックアップ装置12に供給する。ピックアップ装置12は、所望するダイをウェハリングからピックアップできるように、ウェハリングを移動する。
基板供給・搬送部5はスタックローダ51と、フレームフィーダ52と、アンローダ53とを有する。スタックローダ51は、ダイを接着する基板(例えば、リードフレーム)をフレームフィーダ52に供給する。フレームフィーダ52は、基板をフレームフィーダ52上の2箇所の処理位置を介してアンローダ53に搬送する。アンローダ53は、搬送された基板を保管する。
【0015】
ダイボンディング部3はプリフォーム部31と、ボンディングヘッド部32とを有する。プリフォーム部31は、フレームフィーダ52により搬送されてきた基板にダイ接着剤を塗布する。ボンディングヘッド部32は、ピックアップ装置12からダイをピックアップして上昇し、ダイをフレームフィーダ52上のボンディングポイントまで移動させる。そして、ボンディングヘッド部32は、ボンディングポイントでダイを下降させ、ダイ接着剤が塗布された基板上にダイをボンディングする。
【0016】
図2は、本発明の特徴を有するボンディング位置補正装置50を有するボンディングヘッド部32の実施形態の概略構成図である。ボンディング位置補正装置50は、大別して、ボンディング位置ずれ量を検出する位置ずれ検出部20と、ボンディングヘッド41の位置決め機構60と、位置ずれ検出部20からデータ等に基づき位置決め機構60を制御する制御部4に内在する位置決め制御部4pとを有する。
【0017】
ボンディングヘッド部32は、後述するボンディング位置補正装置50の他、先端のコレット41cでダイDを吸着保持しボンディングするボンディングヘッド41と、基板であるリードフレーム45の位置合わせをするためにリードフレームの位置を検出する基板位置検出撮像カメラ42(以下、単に位置検出カメラという)と、ボンディングヘッド41と位置検出カメラ42とを支持または固定する固定テーブル43と、固定テーブル43をXY方向に移動させる移動機構47と、リードフレーム45を保持するボンディングステージ(以下、単にステージという)44と、を有する。なお、52はリードフレーム45を搬送する基板供給・搬送部5を形成するフレームフィーダである。
【0018】
位置決め機構60は、ボンディングヘッド41を構成し、コレット41cを昇降(Z方向に移動)させ、コレット41cを固定テーブル43に対してY方向に移動させる2次元粗調整移動機構41mと前述した移動機構47からなる3次元の粗調整機構61と後述する図3に示す微調整機構62とを有する。そして、後述する位置ずれ検出部20で得られた位置ずれ量に基づいて、ボンディングヘッド41(コレット41c)の位置の祖調整または微調整を行う。3次元粗調整機構61は、例えば、モータやボールネジ(図示せず)などで構成すると、その精度はボンディング速度との関係で10μmである。従って、祖調整、微調整の分担は、10μmまでを3次元粗調整機構61で行い、一桁のμmを微調整機構62で数μmまで調整する。
【0019】
また、上記の実施形態では、3次元粗調整機構の自由度を固定テーブル43とボンディングヘッド41に分散させたが、全て固定テーブル43またはボンディングヘッド41に持たせてもよい。
【0020】
図3は、本実施形態における微調整機構62の実施例1を示す図である。図2において、図3(a)は微調整機構62を矢印H(図2参照)で示すY軸から約45度の方向から見たときの立体図を示し、図3(b)は上面図を示す。微調整機構62は、ボンディングヘッド41の先端部軸41jをX軸に平行に押しコレット41c(ボンディングヘッド41)のX方向の位置を微調整するX軸微調整機構62Xと、先端部軸41jをY軸に平行に押しコレット41cのY方向の位置を微調整するY軸微調整機構62Yとを有する。なお、41hは、先端部軸41jの先に設けられたコレット保持部である。
【0021】
X軸微調整機構62XとY軸微調整機構62Yは、それぞれアクチュエータを有するアクチュエータ部62Xa、62Yaとアクチュエータ部を支持する支持棒62Xs、62Ysとを有する。また、X軸微調整機構62XとY軸微調整機構62Yは、3次元祖調整移動機構61に微調整機構62を調整可能に固定する微調整機構固定部62kに調整可能に取り付けられている。本実施例では、アクチュエータとしてピエゾ素子を用いて、必要移動量に対応する電圧を印加して目的の位置への微調整を行う。アクチュエータとしては、ピエゾ素子の他、超磁歪素子等が考えられる。
【0022】
微調整機構62の実施例1では、調整方向がボンディング面に平行であり、それぞれがX軸、Y軸に分担しているために、取り付けが容易であり、また調整もし易い利点がある。
【0023】
次に、図2に戻り、位置ずれ検出部20について説明する。位置ずれ検出部20は基準位置を示す基準マークKMをリードフレーム45上に形成する基準マーク形成光源(以下、単に光源という)21と、コレット41cを降下させる前に、基準マークKMとボンディング位置(以下、処理位置という)45bとを撮像する処理位置カメラ22と、コレット41cが降下した時に、処理位置45bの真上にいるボンディングヘッド41の先端部と基準マークKMを撮像する2台の位置補正撮像カメラ(以下、単に位置補正カメラという)23、24とを有する。本実施例では、処理位置カメラ22を基板位置検出カメラ42で兼用する。また、光源21は、レーザ光源のようにスポット状に照射できるものであればよい。さらに、位置ズレ検出部20を構成する処理位置カメラ22等はそれらの支持部28を介して、ダイボンダ10の構造部材27に固定されている。図2では、図を見易くするために、位置補正カメラ23の支持部28は省略している。なお、破線で示す45sは、処理位置45bと基準マークKMとを含む処理位置周辺領域を示す。処理位置45bには、ダイDの対角線上に2箇所のL字状の認識パターン45p1、45p2が形成されている。
【0024】
図4は、2台の位置補正カメラ23、24の配置を示す図である。図4(a)は、2台の位置補正カメラ23,24を上部から見た図である。図4(b)は、位置補正カメラ23または24を側面から見た図である。図4(a)に示すように、2台の位置補正カメラ23、24は互いに90度の位置に配置されている。また、図4(b)に示すように、2台の位置補正カメラ23、24はリードフレーム45に対して角度θで斜めから、少なくとも基準マークKMと処理位置45bとを含む処理位置周辺領域45sを撮像する。
【0025】
以上の構成によって、図2の実施形態おける本発明の特徴であるボンディングの処理フローを図5、図6を用いて説明する。図5は、ボンディングヘッド41がダイを吸着し、処理位置の上側にきたときからの処理フローを示す。図6は、図5におけるフローでの撮像画面を示す図である。
【0026】
まず、ボンディングヘッド41が、処理位置45bにダイDを降下させる前に、処理位置カメラ22で基準マークKMと処理位置45bを含む処理位置周辺領域45sを撮像する(ステップ1)。図6(a)は、この状態を示す撮像画面である。図6(a)の状態では、リードフレームは加熱により熱膨張している。従って、図6(a)から得られる処理位置45bの位置座標は、熱膨張の影響を含んだ位置座標である。
【0027】
処理位置45bには、ダイDの対角線上に2箇所のL字状の認識パターン45p1、45p2が形成されている。基準マークKMの中心点を原点として、この2箇所の認識パターン45p1、45p2の位置座標を画像処理にて求める(ステップ2)。次に、2箇所の認識パターン45p1、45p2の位置座標から処理位置45bの中心位置45cの位置座標を求める(ステップ3)。この中心位置45cの座標位置を第1中心座標とする。この第1中心座標45c1と2箇所の認識パターン45p1、45p2の位置座標をそれぞれ(X1,Y1)、(Xp11,Yp11)、(Xp21,Yp21)とすると、第1中心座標は式(1)、式(2)により求まる。
X1=(Xp11+Xp21)/2 (1)
Y1=(Yp11+Yp21)/2 (2)
次に、ボンディングヘッド41の移動量を求める(ステップ4)。式(1)、式(2)の位置座標は、処理位置カメラ22から見た位置座標である。ボンディングヘッド41と処理位置カメラ22との間にはオフセットがあるから、ボンディングヘッド41から見た位置座標に変える必要がある。そこで、そのオフセット量を(Xh,Yh)とすると、ボンディングヘッド41から見た中心位置45cの位置座標((Xhi,Yhi)は、式(3)、式(4)となる。
Xhi=X1+Xh (3)
Yhi=Y1+Yh (4)
次に、式(3)、式(4)で示す位置にボディングヘッド41を移動させ、処理位置45bに向ってダイDを保持したコレット41cを降下させる(ステップ5)。ボディングヘッド41の移動時間とダイDの降下時間は非常に短い。それ故に、その間にリードフレーム45の熱膨張による形状変化や、オフセット量の変化は殆どない。従って、オフセット量の初期値からの変動または時系列変動がなければ、前記ダイDの降下によって、目標値とする処理位置45bにダイDをボンディングできる。
【0028】
しかしながら、実際には、リードフレーム45の加熱機構による輻射熱等によってオフセット量は変化する。そこで、そのオフセット量の変化を補正する。そのために、ボンディングされる直前で停止し、ダイの降下位置と処理位置45bとのずれ量を検出する。まず、停止した状態で、基準マークKMと処理位置45bを含む処理位置周辺領域45sを2台の位置補正カメラ23、24で撮像をする(ステップ6)。
【0029】
図6(b)、図6(c)はそれぞれ位置補正カメラ23、24で撮像した状態を示す。この撮像を処理位置カメラ22で真上から撮像しない理由は、第1にコレット41cが処理位置45bを覆い被さり、認識パターン45p1、45p2を認識できない点である。また、第2に、図2ではコレット41cは撮像できそうであるが、実際はコレット41cもボンディングヘッド41の機構に邪魔されて、真上から見えない点である。そこで、ダイD又はコレット41cが撮像できるように、図3(b)に示す角度θを持って撮像する。実際にはダイDをボンディングするので、ダイD自体を撮像できる角度が望ましい。ダイ自体を撮像すると、角度が小さくなりがちであるが、余り角度θを小さくすると、画像の変形が大きくなり位置検出精度が落ちるので、その間で角度を調節する。
【0030】
次に、停止した状態で、2箇所の認識マークに対応するダイDのコーナの位置座標を画像処理によって求める(ステップ7)。本実施例1では、ダイDのコーナの位置座標を求めるために、位置補正カメラ23、24を2台用いている。その理由は以下の通りである。斜めから撮像すると位置補正カメラ23、24から見たそれぞれX軸方向、Y軸方向は位置によって一画素の当り長さが異なるが、Y軸方向、X軸方向は変わらない。そこで、図6(b)に示すように、位置補正カメラ23で撮像したデータに基づき、基準マークKMの中心を基準とした座標系でダイDのX方向の位置座標を、図6(c)に示すように、位置補正カメラ24で撮像したデータに基づき、基準マークKMの中心を基準とした座標系でダイDのY方向の位置座標を検出する。従って、図2における実施形態では、認識パターン45p1、45p2に対応するダイDを撮像側のコーナで代用して検出できる。
【0031】
このダイDのコーナの位置座標からダイDの中心位置、即ち処理位置45bの中心位置45cの中心座標を求める(ステップ8)。この中心座標を第2中心座標45c2とする。この第2中心座標45c2の(X2,Y2)は、図6(b)及び図6(c)から式(5)及び式(6)となる。
X2=(Xd1+Xd2)/2 (5)
Y2=(Yd1+Yd2)/2 (6)
次に、式(1)及び式(2)で求めた第1中心座標と、式(5)及び式(6)で求めた第2中心座標から式(7)及び式(8)で示すボンディング位置のずれ量(補正量)(ΔX,ΔY)を求める(ステップ9)。
ΔX=X2−X1 (7)
ΔY=Y2−Y1 (8)
次に、このずれ量を、例えば、まず3次元の粗調整機構61で10μm程度まで追い込み(Step10)、残った一桁のμmの調整を微調整機構62で数μmまで追い込み、リードフレーム(基板)45にボンディングする(ステップ11)。
最後に、コレット41cを上昇させ、次のダイのボンディング処理へと移行する(ステップ12)。
【0032】
なお、式(7)、式(8)で求めたこのずれ量は、ボンディングヘッド41から見た場合のずれ量であるから、原因としては次の2点が挙げられる。第1は、前述したように輻射熱によるボンディングヘッド41と処理位置カメラ22間のオフセット量のずれ量である。第2は、ボンディングヘッド41と位置補正カメラ23、24間の輻射熱によるオフセット量のずれ量である。しかしながら、第2の原因においては、同一画像で基準マークを原点として位置座標を求めているので、例えオフセット量のずれが発生したとしても、自ずと補正されている。従って、原因は第1の点である。
【0033】
以上の説明では、認識パターンとして処理位置45bの対角線上に設けられたに2箇所のL字状の認識パターン45p1、45p2を用いた。以上説明では、最終的には処理位置、即ちボンディング位置の中心位置45cで補正量を求めているので、L字状の認識パターン45p1、45p2は仮想的に考え、処理位置の中心位置45cの×(ばつ印)状等の認識マーク一つでもよい。
【0034】
以上説明した実施形態によれば、リードフレーム45の高温によるリードフレーム45自体の熱膨張、および処理位置カメラ22、位置補正カメラ23,24とボンディングヘッド41とのオフセット量に変動を共に補正でき、ダイを正確にボンディングできる信頼性の高いダイボンダを提供できる。
【0035】
また、以上説明した実施形態によれば、アクチュエータとしてピエゾ素子や超磁歪素子等を有する微調整機構を用いることによって、数μmのボンディング精度を得ることができる。
その結果、本ダイボンダを用いることにより、信頼性の高い半導体製造方法を提供できる。
【0036】
次に、微調整機構62の他の実施例を図6、図7を用いて説明する。他の実施例において機能的に同じ役目を果たすものには同じ符号を付す。
図7は、図3に示す実施例1においてアクチュエータ部62Xa、62Yaが押す先端部軸41jの反対側にバネ62Xb、62Ybを配置している実施例2を示す図である。通常ピエゾ素子は伸張する際は力を発生するが元に戻る際の引張(復元)力はない。従って、実施例2の微調整機構62Aでは、先端部軸41jにバネ性を持たせ、ピエゾ素子が縮むときには先端部軸41j自身で復元するようにした。バネ性をバネ62Xb、62Ybの代わりに弾性体を用いてもよい。バネ性の代わりに、アクチュエータ部62Xa、62Yaの反対側にアクチュエータ部62Xa、62Yaと同じ機構を設けて、それぞれ対でX、Y方向に双方向に移動させてよい。
なお、アクチュエータとして超磁歪素子を用いた場合は、超磁歪素子は双方向に変位をもたらすことが可能であるので、変位方向を変えることによって元の位置に戻す、または新たな方向に変位を与えることができる。
【0037】
実施例2によれば、更に確実にボンディング位置の微調整を行うことでき、数μmのボンディング精度を得ることができる。その結果、本ダイボンダを用いることにより、信頼性の高い半導体製造方法を提供できる。
【0038】
図8は、実施例1においてはアクチュエータ部62Xa、62Yaをボンディング面に水平に配置したが、本実施例3では62Xa、62Yaを斜めに配置している。実施例3の微調整機構62Bでは、アクチュエータ部62Xa、62Yaの水平方向の張り出しが押さえられるのでボンディングヘッド41の小型化を図ることができる。
【0039】
実施例3においても、確実にボンディング位置の微調整を行うことでき、数μmのボンディング精度を得ることができる。その結果、本ダイボンダを用いることにより、信頼性の高い半導体製造方法を提供できる。
【0040】
以上に微調整機構62、62A、62Bでは、アクチュエータを2台設け、X、Y方向に変位を与えたが、3台以上、例えば互いに120度或いは90度の位置に配置して先端部軸41jに作用させてもよい。
【0041】
また、以上の実施形態では、高精度のボンディングを妨げる要因として、高温または輻射熱によって構成部材の位置ずれを例に説明したが、その要因はなんであれ、本発明の微調整機構はその位置ずれを微調整するボンディングの高精度位置決めに適用できる。
【0042】
以上のように本発明の実施形態について説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0043】
1:ウェハ供給部 3:ダイボンディング部
4:制御部 5:基板供給・搬送部
10:ダイボンダ 20:位置ズレ検出部
21:基準マーク形成光源(光源) 22:処理位置カメラ
23、24、25:位置補正撮像カメラ(位置補正カメラ)
31:プリフォーム部 32:ボンディングヘッド部
41:ボンディングヘッド 41c:コレット
41j:ボンディングヘッドの先端部軸
42:位置検出カメラ 43:固定テーブル
44:ボンディングステージ(ステージ) 45:リードフレーム
45b:ボンディング位置(処理位置) 45c:処理位置の中心位置
45p1、45p2:認識パターン
45s:処理位置と基準マークとを含む処理位置周辺領域
47:移動機構 50:ボンディング位置補正装置
60:位置決め機構 61:3次元の粗調整機構
62:微調整機構 62k:微調整機構固定部
62X:X軸微調整機構 62Y:Y軸微調整機構
62Xs、62Ys:支持棒 62Xa、62Ya:アクチュエータ部
D:ダイ KM:基準マーク
θ:位置補正撮像カメラのリードフレーム面からの成す角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイをウェハから吸着して基板にボンディングするボンディングヘッドと、
前記ダイの位置を所定精度で前記位置決めする第1の調整機構を有し、前記ボンディングヘッドを位置決めする位置決めを機構と、
前記位置決め機構を制御する位置決め制御部と、
前記ボンディングヘッドに設け、前記第1の調整機構よりも高い精度で前記ダイの位置を調整する第2の調整機構と、
を有することを特徴とするダイボンダ。
【請求項2】
前記第2の調整機構は、前記ボンディングヘッドの先端部軸を複数の方向から作用し、所定の変位で移動させるアクチュエータを有することを特徴とする請求項1に記載のダイボンダ。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記ダイをボンディングする面と平行な面、又はボンディングする面と角度を有する面のいずれかに設けたことを特徴とする請求項2に記載のダイボンダ。
【請求項4】
前記アクチュエータは、ピエゾ素子又は超磁歪素子のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載のダイボンダ。
【請求項5】
前記アクチュエータは、ピエゾ素子又は超磁歪素子のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のダイボンダ。
【請求項6】
前記複数の方向の相対する方向から前記所定の変位を元に戻す復元力を発生する復元力手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載のダイボンダ。
【請求項7】
基板または前記基板の近傍に設けられた基準マークと、
前記基準マークと前記基板のボンディング位置に設けられた認識パターンとを撮像する第1の撮像手段と、
前記基準マークと前記ボンディング位置に近接したダイとを撮像する第2の撮像手段と、
前記第1及び前記第2の撮像手段によって得られた撮像データに基づいて前記ボンディング位置に近接した前記ダイの位置を補正する補正手段とを具備する位置ずれ検出部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のダイボンダ。
【請求項8】
ダイをボンディングヘッドでウェハから吸着するステップと、
第1の調整機構により所定の精度で前記ダイの位置を調整し、第2の調整機構により前記第1の調整機構よりも高い精度で前記ダイの位置を調整して、前記ボンディングヘッドの位置決めを行うステップと、
前記ボンディングヘッドが前記ダイを基板にボンディングするステップと、
を有することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項9】
前記第1の調整機構の調整は、前記ボンディングヘッドの先端部軸を複数の方向から作用し、所定の変位で移動させることを特徴とする請求項8に記載の半導体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−174755(P2012−174755A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32881(P2011−32881)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】