説明

ダイヤフラムバルブ

【課題】弁座となる洗浄空気供給管の開口端面の平面精度を緩和することのできるダイヤフラムバルブを提供すること。
【解決手段】ヘッダタンク6内に臨ませた洗浄空気供給管8の開口端を弁座12とし、弁座12に対設する弁本体11により、ヘッダタンク6と洗浄空気供給管8とを断続的に連通させるダイヤフラムバルブ1において、弁本体11の弁座12との当接面に軟質材30を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスジェット型バグ式集塵機用のダイヤフラムバルブに関し、特にバグ式集塵機のバグフィルタ逆洗用圧力空気供給用のダイヤフラムバルブの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、焼却炉や電気炉等から排出する排ガス中に含まれるダストを捕集するために、バク式集塵機が広く採用されている。
そして、バグフィルタにダストが多量に付着し、通気抵抗(圧損)が所定値以上に上昇したときは、ダストを払い落とすべく逆洗条件を選定して圧力空気を噴出して逆洗を行う手段が採られている。
【0003】
このように、バグフィルタを逆洗式で洗浄するバグ式集塵機Sは、図6に示すように、筐体2の内部を区画壁3により上下に区画し、下部を含塵空気導入室4、上部を浄化空気室5とし、含塵空気導入室4を塵埃発生源(図示省略)に接続し、浄化空気室5を吸引装置Fに接続するようにされている(例えば、特許文献1参照)。
そして、区画壁3には多数の有底筒状のバグフィルタ7を垂下して取り付け、各バグフィルタ7には、各列毎にそれぞれクリーニング用の洗浄空気供給管8を配備し、圧力空気噴出ノズル9をバグフィルタ開口部に臨ませて取り付けるようにしている。
この洗浄空気供給管8は、常時は、ダイヤフラムバルブ10によって閉鎖された状態で、圧力空気供給手段(図示省略)に接続されたヘッダタンク6に接続するようにしている。
【0004】
これにより、常時は、吸引装置Fの吸引力によりダスト発生源からのダストを含んだ空気は含塵空気導入室4に導かれ、ダストがバグフィルタ7で濾過され、浄化後の空気が浄化空気室5を介して排出される。
次いで、バグフィルタ7にダストが蓄積し、通気抵抗が所定値に到達したとき、又は一定時間経過後に定期的に、電磁弁ボックス18内の電磁弁を開放することによって気抜管17を介し、ダイヤフラムバルブ10を短時間に開閉作動させ、ヘッダタンク6内の圧力空気を瞬時に洗浄空気供給管8に流出し、洗浄空気供給管8の各列毎に配設した圧力空気噴出ノズル9からクリーニング用の洗浄空気をバグフィルタ7内に噴射し、バグフィルタ7の外周に付着したダストを吹き落とすようにしている。
【0005】
このダイヤフラムバルブ10は、図7〜図8に示すように、圧力空気供給手段に接続することにより、内部を圧力空気室6aとしたヘッダタンク6内に突入された洗浄空気供給管8に対応する位置に配設するもので、ダイヤフラム13で区割りして弁室16aとした蓋部材16と、圧力空気室6a内に突出する洗浄空気供給管8の開口端面に形成されている弁座22に対面して、前記ダイヤフラム13に取り付けられた弁本体21とからなっている。
そして、常時は、弁室16a内の空気圧とバネ14の蓄圧とによって付勢されている弁本体21がヘッダタンク6内の空気圧に打ち勝って弁座22に押圧されることによって、ヘッダタンク6と洗浄空気供給管8との連通を遮断し、ヘッダタンク6内の圧縮空気が洗浄空気供給管8内に流出されないようにしている。
【0006】
ところで、このダイヤフラムバルブ10は、弁本体21と弁座22とを1つのアッセンブリーとして構成する、所謂フルボディタイプのダイヤフラムバルブと異なり、弁座22をヘッダタンク6の圧力空気室6a内に突出する洗浄空気供給管8の開口端面を弁座22とするため、弁座22の平面度として一般に要求される0.02〜0.05mmの精度を確保することが困難であった。
また、バグ式集塵機Sの1列のバグフィルタ7の本数によって、必要となる洗浄用の圧力空気の容量が異なり、例えば、1列に8本以上のバグフィルタ7を垂下する大型のバグ式集塵機の場合、サイズを大型化する必要が生じ、弁座22となる洗浄空気供給管8の外径も大きくなり、係る外径が大きな洗浄空気供給管8の開口端面を前記精度で加工することは、更に困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2004−351323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来のダイヤフラムバルブの有する問題点に鑑み、弁座となる洗浄空気供給管の開口端面の平面精度を緩和することのできるダイヤフラムバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本第1発明のダイヤフラムバルブは、ヘッダタンク内に臨ませた洗浄空気供給管の開口端を弁座とし、該弁座に対設する弁本体により、ヘッダタンクと洗浄空気供給管とを断続的に連通させるダイヤフラムバルブにおいて、弁本体の弁座との当接面に軟質材を配設したことを特徴とする。
【0009】
この場合において、軟質材を、弁本体の弁座との当接面に貼着するとともに、ヘッダタンク内側の外周部分に面取りを施すことができる。
【0010】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明のダイヤフラムバルブは、ヘッダタンク内に臨ませた洗浄空気供給管の開口端を弁座とし、該弁座に対設する弁本体により、ヘッダタンクと洗浄空気供給管とを断続的に連通させるダイヤフラムバルブにおいて、弁座の表面に軟質材を配設したことを特徴とする。
【0011】
この場合において、取付部材を介して軟質材を配設することができる。
【発明の効果】
【0012】
本第1発明のダイヤフラムバルブによれば、弁本体の弁座との当接面に軟質材を貼着することにより、弁座となる洗浄空気供給管の開口端面の平面度を0.2〜0.5mmの精度まで緩和することができる。
【0013】
また、軟質材を、弁本体の弁座との当接面に貼着するとともに、ヘッダタンク内側の外周部分に面取りを施すことにより、圧縮空気による軟質材の剥がれを有効に防止することができる。
【0014】
本第2発明のダイヤフラムバルブによれば、弁座の表面に軟質材を配設することにより、弁座となる洗浄空気供給管の開口端面の平面度を緩和することができる。
【0015】
また、弁座に取り付ける軟質材を取付部材を介して配設することにより、軟質材を取付部材に対して十分な強度で取り付けることによって、圧縮空気による軟質材の剥がれを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のダイヤフラムバルブの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
なお、従来装置と同様の構造については同一の符号、一連の符号を付し説明を省略する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図3に、本発明のダイヤフラムバルブの第1実施例を示す。
【0018】
このダイヤフラムバルブ1は、図6に示す、従来と同様のバグ式集塵機Sに使用するもので、バグ式集塵機Sの洗浄空気供給管8の開口端に対設し、ヘッダタンク6と洗浄空気供給管8とを断続的に連通させるものである。
【0019】
このダイヤフラムバルブ1は、従来例と同様、内部を弁室16aとした蓋部材16と、ヘッダタンク6と蓋部材16との接合面に配設したダイヤフラム13と、圧力空気室6a内に突出する洗浄空気供給管8の開口端に形成されている弁座12とからなる。
【0020】
そして、弁本体11の弁座12との当接面に軟質材30を配設するようにしている。
軟質材30の原材料は、特に限定されず、例えば、耐熱・耐摩耗性に優れたフッ素樹脂シートや軟質ナイロンシート、軟質塩化ビニルシート等を使用することができる。
【0021】
軟質材30は、図2に示すように、弁本体11と弁座12との当接面に貼着するとともに、軟質材30のヘッダタンク6内側の外周部分に面取り部30aを形成することができる。
ダイヤフラムバルブ1内での圧縮空気の流れは、図2に示す矢符Aの方向に流れ、その流速は速く、外周部分に面取り部30aを形成せずに外周部分を形成したときは、圧縮空気が外周部分を直撃し、軟質材30が弁本体11から容易に剥がれることがあり、面取り部30aを形成することによって、軟質材30の剥がれを有効に防止することができる。
軟質材30は弁本体11に貼着されて取り付けとシール性が確保されているので遮断時にヘッダタンク内の圧力空気が貼着境界面により漏入することはない。
【0022】
また、軟質材は、図2に示すような形状及び配設方法のほかに、図3に示すような形状と配設方法がある。
【0023】
図3(a)に示す軟質材31は、弁本体11に形成した取付用の溝部11aに対応した形状の取付部31aと、弁座12との当接部31bからなる例を示し、軟質材31の取付部31aを溝部11aに貼着するようにしている。
この場合、軟質材31は、弁本体11の溝部11a内に入り込んでいるから、圧縮空気によって、容易に剥がれることはない。
また、軟質材31は、溝部11aに対して接着剤等で貼着することによって、シール性を確保することができる。
【0024】
図3(b)に示す軟質材32は、弁本体11に形成した軟質材32が抜け落ちることのない傾斜面11cからなる溝部11bに対応した形状の例を示す。
この場合、軟質材32は、溝部11bの傾斜面11cによって抜け落ちが防止され、圧縮空気によって、容易に剥がれ落ちることはない。
また、軟質材32は、溝部11bに対して、接着剤等で貼着することによって、更に弁本体11からの剥がれを防止し、かつシール性を確保することができる。
【0025】
この場合、軟質材32は、弁本体11と弁座12とが直接接触しない限りにおいて、図3(b)に示すように、弁本体11の表面と面一となるようにするほか、弁本体11の表面から突出しても、陥没するようにしても構わない。
【0026】
図3(c)に示す軟質材33は、図3(b)と同様の溝部11bに対して、内部に基布33aを内包した例を示す。内部に基布33aを内包することによって、軟質材の耐久性を向上することができる。
なお、基布を内部に内包する軟質材は、図3(c)に示す軟質材33に限ることなく、図2及び図3(a)の形状をした軟質材30、31、32にも適用することができる。
【0027】
このように、弁本体11の弁座12との当接面に軟質材を配設することによって、弁本体11が弁座12と当接したときに弁座12が軟質材を変形させることとなり、弁座12の平面度を0.2〜0.5mmまで緩和することができる。
【0028】
また、弁本体11に軟質材を貼着して弁座12に平面度を緩和するようにするほか、弁本体11の表面全体を軟質材でコーティングすることもでき、これを排除するものでない。
【実施例2】
【0029】
図4に、本発明のダイヤフラムバルブの第2実施例を示す。
【0030】
このダイヤフラムバルブ1は、弁座12の表面に軟質材34を配設するようにしたもので、軟質材34は、取付部材36を介して配設することが好ましい。
【0031】
軟質材34は、図5(a)に示すように、取付部材36に形成した取付用の溝部36aに対応した形状の取付部34bと、弁本体11に当接する当接部34cとから構成するようにしている。
そして、取付部材36に形成した溝部36aに軟質材34の取付部34bを接着剤等で貼着することによって、軟質材34の剥がれを防止し、かつシール性を確保することができる。
この場合、軟質材34の表面の外周部分に、面取り部34aを形成することができる。これによって、圧縮空気の直撃による剥がれを有効に防止することができる。
【0032】
また、図5(b)に示すように、取付部材37に形成した取付用の溝部37aの側面を傾斜面37cとして、軟質材35の脱落を防止するようにすることができる。
この場合、溝部37aに軟質材35を接着剤等で貼着することによって、軟質材35の剥がれを有効に防止し、かつシール性を確保することができる。
また、取付部材36、37の弁座12(洗浄空気供給管8の開口端)に対する嵌着面である内側面36b、37bにも接着剤を施すことによって、取付部材36、37の剥がれを有効に防止し、かつシール性を確保することができる。
【0033】
第2実施例のダイヤフラムバルブ1では、弁座12となる洗浄空気供給管8の端部に取付部材36、37を介して、軟質材34、35を配設するようにしたから、弁座12の側面と当接する取付部材36、37の内側面36b、37bと溝部36a、37aとの直角度を確保することによって、弁座12の平面度を0.2〜0.5mmよりも、更に緩和することができる。
【0034】
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例と同様である。
【0035】
以上、本発明のダイヤフラムバルブについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のダイヤフラムバルブは、弁座となる洗浄空気供給管の開口端面の平面精度を緩和することができることから、大型のバグ式集塵機で、洗浄空気供給管の外径が大径となるダイヤフラムバルブに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のダイヤフラムバルブの第1実施例を示す一部断面の正面拡大図である。
【図2】同弁本体と弁座を示す一部断面の正面拡大図である。
【図3】第1実施例の変形例を示す一部断面の正面図である。
【図4】本発明のダイヤフラムバルブの第2実施例を示す一部断面の正面拡大図である。
【図5】同要部を示す一部断面の正面図である。
【図6】ダイヤフラムバルブを使用するバグ式集塵機の一部断面の正面図である。
【図7】従来のダイヤフラムバルブの閉弁状態を示す一部断面の正面図である。
【図8】従来のダイヤフラムバルブの開弁状態を示す一部断面の正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ダイヤフラムバルブ
11 弁本体
12 弁座
30 軟質材
30a 面取り部
34 軟質材
36 取付部材
6 ヘッダタンク
8 洗浄空気供給管
S バグ式集塵機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダタンク内に臨ませた洗浄空気供給管の開口端を弁座とし、該弁座に対設する弁本体により、ヘッダタンクと洗浄空気供給管とを断続的に連通させるダイヤフラムバルブにおいて、弁本体の弁座との当接面に軟質材を配設したことを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項2】
軟質材を、弁本体の弁座との当接面に貼着するとともに、ヘッダタンク内側の外周部分に面取りを施したことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項3】
ヘッダタンク内に臨ませた洗浄空気供給管の開口端を弁座とし、該弁座に対設する弁本体により、ヘッダタンクと洗浄空気供給管とを断続的に連通させるダイヤフラムバルブにおいて、弁座の表面に軟質材を配設したことを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項4】
取付部材を介して軟質材を配設したことを特徴とする請求項3記載のダイヤフラムバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−151274(P2008−151274A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340734(P2006−340734)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)
【Fターム(参考)】