説明

ダイヤフラムバルブ

【課題】超高温環境化対応を可能とし、外部リーク性能並びに信頼性を向上することができ、エミッションフリーの実現に貢献することができるダイヤフラムバルブを提供する。
【解決手段】圧力ガスの流入通路11aと流出通路11bとが形成されたバルブボディ11と、流入通路11aの出口に形成された弁座11cに対向配置された第1ダイヤフラム12と、第1ダイヤフラム12を挟んで一端が弁座11cに対向配置されたステム13と、ステム13を摺動可能に保持したボンネット14と、ステム13の他端と対向配置された第2ダイヤフラム15と、第2ダイヤフラム15の裏面側に形成されて内圧を可変することによってステム13を摺動させて第1ダイヤフラム12による弁座11cの開閉を操作する作動気体室16と、第1,第2ダイヤフラム12,15とによって各流路11a,11b及び作動気体室16と隔絶されたベント室17と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を遮断若しくは流量調整するバルブであり、特に、弁外部リークを極限まで低減させると共に、接ガス(液)部に樹脂を一切使用しない超高洗浄・耐高温用のダイヤフラムバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2007−64333号公報
【0003】
近年、半導体メモリ装置等の各種半導体装置やFPD(フラットパネル ディスプレイ)装置を製造するための装置として、例えば、MOCVD用切替バルブといったように、流体を遮断若しくは流量調整するバルブ、特に、弁外部リークを極限まで低減させると共に、接ガス部に樹脂を一切使用しない超高洗浄・耐高温用のダイヤフラムバルブの要望がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このようなダイヤフラムバルブは、特に、La(ランタン)やPr(プラセオジム)といったレアメタルを使用したHigh−K膜や、Pb(鉛)を使用した強誘電体膜(例えば、PZT)等の反応性が高く、高温且つ温度管理が難しい成膜材料の遮断若しくは流量制御に利用されている。
【0005】
この際、バルブ全体が250℃以上(特に、300℃以上)の高温環境下や真空環境下での利用を考慮した構造を採用した超高洗浄・耐高温用のダイヤフラムバルブが近年の成膜技術等で用いられている。
【0006】
図4は、このような高洗浄・高温用のダイヤフラムバルブの一例を示し、圧力ガスの流入通路1aと流出通路1bとが形成されたバルブボディ1と、流入通路1aの出口に形成された弁座1cに対向配置されたダイヤフラム2と、ダイヤフラム2を挟んで弁座1cに対向配置されたダイヤフラム変形部材3と、ダイヤフラム変形部材3を摺動可能に保持すると共にダイヤフラム2の裏面側周囲をダイヤフラム変形部材3とは独立して押し付けるダイヤフラム押し付け固定部材4と、ダイヤフラム押し付け固定部材4を保持したボンネット5と、弁駆動部6と、を備え、バルブボディ1とダイヤフラム2とは、ダイヤフラム押し付け固定部材4を介してボンネット5に具備したネジ(図示せず)の出力で押し付けられることによって外部リークを低減するように接続固定されている。
【0007】
弁駆動部6は、ボンネット5を介してバルブボディ1と接続固定されている。ダイヤフラム2による弁座1cの開閉動作は、ダイヤフラム2にダイヤフラム変形部材3を介して弁駆動部6の動作を伝達することで行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記の如く構成されたダイヤフラムバルブにあっては、例えば、弁駆動部6で樹脂性部材(例えば、Oリング、ゴム製ダイヤフラム、フッ素樹脂を含んだ軸受等)を使用していると、ダイヤフラムバルブとしての耐用温度、即ち、最高使用温度が使用している樹脂性部材の耐熱温度以下となるように低く設定する必要がある。
【0009】
また、バルブボディ1とダイヤフラム2との間の外部シール部は、外部リークを低減するように接続固定されているが、例えば、300℃を超える超高温環境化においては部品材料の機械的性質(例えば、線膨張係数、硬度、強度等)の差や変化が大きくなるために、外部リーク性能を維持することが困難であるであるという問題も生じていた。
【0010】
さらに、ボンネット5の内部及び弁駆動部6の一部は、外部と連通する構造となっており、真空中等のエミッションフリーが必要な環境下での使用が困難であるという問題も生じていた。
【0011】
また、ダイヤフラム変形部材3とダイヤフラム押し付け固定部材4との摺動部分のパーティクル(発塵)が外部に放出され易いという問題も生じていた。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、超高温環境化対応を可能とし、外部リーク性能並びに信頼性を向上することができ、しかも、エミッションフリーの実現に貢献することができるダイヤフラムバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のダイヤフラムバルブは、圧力ガスの流入通路と流出通路とが形成されたバルブボディと、前記流入通路の出口又は前記流出通路の入口に形成された弁座に対向配置された第1ダイヤフラムと、該第1ダイヤフラムを挟んで一端が前記弁座に対向配置されたステムと、該ステムを摺動可能に保持したボンネットと、前記ステムの他端と対向配置された第2ダイヤフラムと、該第2ダイヤフラムの裏面側に形成されて内圧を可変することによって前記ステムを摺動させて前記第1ダイヤフラムによる前記弁座の開閉を操作する作動気体室と、前記第1ダイヤフラムと前記第2ダイヤフラムとによって前記各流路及び前記作動気体室と隔絶されたベント室と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の構成によれば、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムとによって流入通路と流出通路及び作動気体室と隔絶されたベント室が形成されることにより、経年劣化等によって第1ダイヤフラム又は第2ダイヤフラムが破損した場合であっても、流入出通路に流れる圧力ガスや作動気体室に流れる作動気体はベント室を経由して放出するエミッションフリー構造を採用することができるばかりでなく、第1ダイヤフラム及び第2ダイヤフラムをメタル使用とすることにより超高温環境化対応を可能とすることができる。
【0015】
また、請求項2に記載のダイヤフラムバルブは、前記第2ダイヤフラムを密着状態で保持し且つ該第2ダイヤフラムとで前記作動気体室と連通する第2作動気体室を形成するダイヤフラムホルダと、前記ボンネットに形成された作動気体流路と連通する前記作動気体室を前記ボンネットと前記ダイヤフラムホルダとで形成するカバーと、を備え、前記ボンネットと前記ダイヤフラムホルダとの間を密閉することで前記作動気体室と前記ベント室とが隔絶されていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の構成によれば、作動気体室を2室に分割して作動気体室周辺の密閉構造(隔絶化)を容易に確保することができ、しかも、組み付け作業を容易に行うことができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載のダイヤフラムバルブは、前記第1ダイヤフラムと前記第2ダイヤフラムとがメタル製の略ドーム形状とされると共にその凹凸向きが同じとされていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の構成によれば、メタル製の各ダイヤフラムの変形を一つのステムによって容易に行うことができる。
【0019】
また、請求項4に記載のダイヤフラムバルブは、前記第1ダイヤフラムの直径は前記第2ダイヤフラムの直径よりも小径であることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の構成によれば、ステムに対する作動側の圧力を大きく確保することができると共に、第1ダイヤフラムによる弁座の開閉圧力を大きく与えることができる。
【0021】
請求項5に記載のダイヤフラムバルブは、前記第1ダイヤフラムと前記第2ダイヤフラムとは、前記弁座に対して前記第1ダイヤフラムが開弁する方向に凸向きに配置されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の構成によれば、ダイヤフラムの凸方向によって不測に閉弁されることを抑制すると共に、開弁状態から閉弁状態へとダイヤフラムを容易に復帰させることができる。
【0023】
しかも、請求項6に記載のダイヤフラムバルブは、前記ボンネットと前記ステムとの間を前記ベント室の一部として利用していることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の構成によれば、第1ダイヤフラム側と第2ダイヤフラム側とに位置するベント室をボンネットに別途連通孔を形成すること無くボンネットとステムとの間を利用して連通することができるばかりでなく、ステムの摺動変位等に伴って発生した発塵パーティクルをベント室から排出することができる。
【0025】
請求項7に記載のダイヤフラムバルブは、前記第2ダイヤフラムの表面側周囲には、環状の第2ダイヤフラムホルダが設けられていることを特徴とする。
【0026】
請求項7に記載のダイヤフラムバルブによれば、第2ダイヤフラムの表裏周囲に各ダイヤフラムホルダが存在することから、各ダイヤフラムホルダの放熱・吸熱効果によって第2ダイヤフラムへの蓄熱を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のダイヤフラムバルブは、超高温環境化対応を可能とし、外部リーク性能並びに信頼性を向上することができ、しかも、エミッションフリーの実現に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブについて、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブの要部の断面図、図2は本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブの正面図、図3は本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブの一部を省略した底面図である。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブ10は、その構成部材の全てがメタル製(オールメタル)であり、圧力ガスの流入通路11aと流出通路11bとが形成されたバルブボディ11と、流入通路11aの出口に形成された弁座11cに対向配置された第1ダイヤフラム12と、第1ダイヤフラム12を挟んで一端が弁座11cに対向配置されたステム13と、ステム13を摺動可能に保持したボンネット14と、ステム13の他端と対向配置された第2ダイヤフラム15と、第2ダイヤフラム15の裏面側に形成されて内圧を可変することによってステム13を摺動させて第1ダイヤフラム12による弁座11cの開閉を操作する作動気体室16と、第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15とによって各流路11a,11b及び作動気体室16と隔絶されたベント室17と、を備えている。
【0031】
このように、第1,第2ダイヤフラム12,15によって、流入通路11aと流出通路11b及び作動気体室16と隔絶されたベント室17が形成されることにより、経年劣化等によって第1ダイヤフラム12又は第2ダイヤフラム15が破損した場合であっても、流入出通路11a,11bに流れる圧力ガス(例えば、プロセスガスや反応ガス)や作動気体室16に流れる作動気体(例えば、空気)はベント室17を経由して放出するエミッションフリー構造を採用することができるばかりでなく、第1ダイヤフラム12及び第2ダイヤフラム15をメタル使用とすることにより超高温環境化対応を可能とすることができる。
【0032】
また、第2ダイヤフラム15を密着状態で保持し且つ第2ダイヤフラム15とで作動気体室16と連通する第2作動気体室18を形成するダイヤフラムホルダ19と、ボンネット14に形成された作動気体流路20と連通する作動気体室16をボンネット14とダイヤフラムホルダ19とで形成するカバー21と、を備え、ボンネット14とダイヤフラムホルダ19との間を密閉することで作動気体室16とベント室17とが隔絶されている。
【0033】
従って、作動気体室16を第2作動気体室18とで分割して作動気体室16の周辺の密閉構造(隔絶化)を容易に確保することができ、しかも、組み付け作業を容易に行うことができる。
【0034】
この際、第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15とがメタル製の略ドーム形状とされると共にその凹凸向きが同じとすることにより、メタル製の各ダイヤフラム12,15の変形を一つのステム13によって容易に行うことができる。
【0035】
また、第1ダイヤフラム12の直径は第2ダイヤフラム15の直径よりも小径とすることにより、ステム13に対する作動側の圧力を大きく確保することができると共に、第1ダイヤフラム12による弁座11cの開閉圧力を大きく与えることができる。
【0036】
この際、第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15とは、弁座11cに対して第1ダイヤフラム12が開弁する方向に凸向きに配置することにより、第1ダイヤフラム12の凸方向によって不測に閉弁されることを抑制すると共に、開弁状態から閉弁状態へと第1,第2ダイヤフラム12,15を容易に復帰させることができる。
【0037】
さらに、ボンネット14とステム13との間をベント室17の一部として利用することにより、第1ダイヤフラム12側と第2ダイヤフラム15側とに位置するベント室17をボンネット14に別途連通孔を形成すること無くボンネット14とステム13との間を利用して連通することができるばかりでなく、ステム13の摺動変位等に伴って発生した発塵パーティクルをベント室17から排出することができる。
【0038】
しかも、第2ダイヤフラム15の表面側周囲には、環状の第2ダイヤフラムホルダ22を設けることにより、第2ダイヤフラム15の表裏周囲に各ダイヤフラムホルダ19,22が存在することから、各ダイヤフラムホルダ19,22の放熱・吸熱効果によって第2ダイヤフラム15への蓄熱を抑制することができる。
【0039】
尚、バルブボディ11とボンネット14との間は、メタルOリング23を配置することによって気密性が確保されると共に、複数のボルト24によって連結されている。また、流入出通路11a,11b、ベント室17、作動気体流路20は、ポート25,26,27,28を経由して気体供給・排出される。
【0040】
以下、本発明のダイヤフラムバルブ10を詳細に説明する。
【0041】
バルブボディ11は、メタル製の一体成形品であり、その底面(図1において)からポート24が突出され、そのポート24を含む中心線上に流入通路11aが形成されている。また、その側面にはポート25が突出接続されている。尚、弁座11cは、バルブボディ11と完全一体でも良いし、他の材質(例えば、PCTFE,PFA,PI等の耐熱性非金属部材で構成しても良い。この際、弁座11cは第1ダイヤフラム12よりも硬度の低い材質(例えば、SUS316L等)が好ましい。
【0042】
第1ダイヤフラム12は、例えば、コバルトニッケルやニッケルクロムを主成分として成形されている。尚、第1ダイヤフラム12の直径や肉厚等は、使用される材質や弁機能等に応じて適宜のものが用いられる。また、第1ダイヤフラム12の裏面側周囲は、ボンネット14に溶接により密閉状態で接続されている。これにより、第1ダイヤフラム12は、その裏面側のベント室17と流入出通路11a,11bとを隔絶することができる。
【0043】
ボンネット14は、ステム13を中心に配置すると共に、その左右対称位置からポート26,27を突出接続している。また、作動空気室16(第2作動気体室18)とベント室17とは、第2ダイヤフラム15の表裏側にそれそれ連通するため、少なくとも、第2ダイヤフラム15の裏面側周囲とダイヤフラムホルダ19及びダイヤフラムホルダ19とボンネット14とは、密着状態で接続されるのが好ましい。
【0044】
第2ダイヤフラム15は、第1ダイヤフラム12と同様に、例えば、コバルトニッケルやニッケルクロムを主成分として成形されている。尚、第2ダイヤフラム15の直径や肉厚等は、使用される材質や弁機能等に応じて適宜のものが用いられる。また、第2ダイヤフラム15の表面側周囲及び裏面側周囲は、ダイヤフラムホルダ19及び第2ダイヤフラムホルダ22に溶接により密閉状態で接続されている。これにより、第2ダイヤフラム15は、その表面側のベント室17と裏面側の第2作動気体室18とを隔絶することができる。尚、第2ダイヤフラム15の裏面側周囲に第2ダイヤフラムホルダ22を配置したことにより、第2ダイヤフラム15の表面側周囲及び裏面側周囲を各ダイヤフラムホルダ19,22に溶接する際、その熱を第2ダイヤフラム15に蓄熱させ難くすることができる。
【0045】
作動気体室16は、カバー21の開放周縁部をボンネット14に溶接することによって外部との気密性が確保されている。また、作動気体室16は、ダイヤフラムホルダ19によって第2作動気体室18と連通状態で分割されているが、上述した第2ダイヤフラム15と各ダイヤフラムホルダ19,22との密着(溶接)によってベント室17との間の気密性が確保されている。
【0046】
ベント室17は、第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15との間の密閉空間を利用しており、その第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15との間の密閉空間をボンネット14に専用の連通孔を形成すること無く、ステム13とボンネット14との間を利用して連通している。この際、ステム13の外周又はボンネット14の内周の何れかをスプライン状に凹凸形成しても良い。
【0047】
第2作動気体室18は、ダイヤフラムホルダ19の略中心に形成された連通孔19aを介して作動気体室16と連通されており、ボンネット14に溶接固定されていることにより、作動気体流路20を介して供給された作動空気によって第2ダイヤフラム15を変形させ、ステム13を図示下方へと変位させる。
【0048】
この際、第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15とは、弁座11cに対して開弁方向に凸となるように同じ向きで配置されている。従って、ステム13を図示下方へと変位させて閉弁状態とする際には、作動気体流路20を介して供給された作動空気、即ち、各作動気体室16,18の内圧を高くすることによって第1ダイヤフラム12が図示下向きに凸となるように変形してステム13を図示下方へと変位させると同時に、第2ダイヤフラム15が図示下向きに凸となるように変形して弁座11cを閉弁する。また、これとは逆に、作動気体室16,18への作動気体の供給を停止するだけで、各ダイヤフラム12,15の復帰力によってステム13を図示上方へと変位させると同時に開弁状態とすることができる。
【0049】
第2ダイヤフラムホルダ22は、主として第2ダイヤフラム15をダイヤフラムホルダ19に溶接固定する際に、その熱を吸熱して第2ダイヤフラム15への蓄熱を抑制するために用いられている。そのため、その大きさ(径方向幅)や厚さ並びに断面形状等は、使用する材料に応じて任意である。
【0050】
メタルOリング23は、バルブボディ11とボンネット14との間に介装され、流入出通路11a,11bと外部との間を密閉する機能を果たしている。尚、メタルOリング22の材質は、ダイヤフラムバルブ10の耐用温度に応じて決定することができる。
【0051】
ポート25は圧力ガスの供給源に接続され、ポート26は圧力ガスの放出先(例えば、MOCVD装置の成膜室)に接続され、ポート27は作動気体供給源(例えば、エアポンプ等の作動弁やソレノイド等)に接続され、ポート28は任意の放出器等に接続されている。
【0052】
これにより、第1ダイヤフラム12又は第2ダイヤフラム15が破損した場合であっても、その圧力ガスや作動気体は、ベント室17からポート28を経由して任意の放出器等に回収することができ、エミッションフリーに貢献することができる。また、ステム13の摺動や発熱(例えば、350℃以上)に伴って発生する発塵パーティクルを回収することができる。
【0053】
尚、ダイヤフラムバルブ10を組み立てる場合、例えば、ボンネット14に第1ダイヤフラム12を溶接固定した後、ステム13をボンネット14に挿入し、予め第2ダイヤフラム15を各ダイヤフラムホルダ19,22に溶接したユニット状態で、ダイヤフラムホルダ19とボンネット14とを溶接固定したうえで、カバー21とボンネット14とを溶接固定する。
【0054】
この際、バルブボディ11とボンネット14とは、複数のボルト24の締結によって結合されているが、これらを溶接によって密閉状態で固定しても良い。
【0055】
従って、各構成部材をオールメタル構成とすると共にこれらを溶接固定したことと相俟って、本発明のダイヤフラム10は、例えば、450℃の超高温環境下での使用を可能とし得て、エミッションフリーに貢献することができるばかりでなく、その際の外部リークを抑制(例えば、5.0×10−12Pa−m3/sec)することができ、次々世代の半導体材料(La,Y等)のプロセス開発用や、有機EL材料(Alq3等)の高温昇華型材料の供給系プロセス開発用、航空・宇宙・原子力等の真空環境での高純度流体供給系等の各種分野での使用を可能とすることができる。
【0056】
このように、本発明のダイヤフラムバルブ10によれば、第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15とによってステム13を挟むように流路11a,11bと作動気体室16とを隔絶状態で形成すると共に、そのステム13を含む第1ダイヤフラム12と第2ダイヤフラム15との間にベント室17を形成したことにより、オールメタル構成のダイヤフラムを実現すると共に、密閉性が高く且つエミッションフリーに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブの要部の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブの一部を省略した底面図である。
【図4】従来のダイヤフラムバルブの一部を省略した要部の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
11…バルブボディ
11a…流入通路
11b…流出通路
11c…弁座
12…第1ダイヤフラム
13…ステム
14…ボンネット
15…第2ダイヤフラム
16…作動気体室
17…ベント室
18…第2作動気体室
19…ダイヤフラムホルダ
20…作動気体流路
21…カバー
22…第2ダイヤフラムホルダ
23…メタルOリング
24…ボルト
25…ポート
26…ポート
27…ポート
28…ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力ガスの流入通路と流出通路とが形成されたバルブボディと、前記流入通路の出口又は前記流出通路の入口に形成された弁座に対向配置された第1ダイヤフラムと、該第1ダイヤフラムを挟んで一端が前記弁座に対向配置されたステムと、該ステムを摺動可能に保持したボンネットと、前記ステムの他端と対向配置された第2ダイヤフラムと、該第2ダイヤフラムの裏面側に形成されて内圧を可変することによって前記ステムを摺動させて前記第1ダイヤフラムによる前記弁座の開閉を操作する作動気体室と、前記第1ダイヤフラムと前記第2ダイヤフラムとによって前記各流路及び前記作動気体室と隔絶されたベント室と、を備えることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項2】
前記第2ダイヤフラムを密着状態で保持し且つ該第2ダイヤフラムとで前記作動気体室と連通する第2作動気体室を形成するダイヤフラムホルダと、前記ボンネットに形成された作動気体流路と連通する前記作動気体室を前記ボンネットと前記ダイヤフラムホルダとで形成するカバーと、を備え、前記ボンネットと前記ダイヤフラムホルダとの間を密閉することで前記作動気体室と前記ベント室とが隔絶されていることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項3】
前記第1ダイヤフラムと前記第2ダイヤフラムとがメタル製の略ドーム形状とされると共にその凹凸向きが同じとされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項4】
前記第1ダイヤフラムの直径は前記第2ダイヤフラムの直径よりも小径であることを特徴とする請求項3に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項5】
前記第1ダイヤフラムと前記第2ダイヤフラムとは、前記弁座に対して前記第1ダイヤフラムが開弁する方向に凸向きに配置されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項6】
前記ボンネットと前記ステムとの間を前記ベント室の一部として利用していることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のダイヤフラムバルブ。
【請求項7】
前記第2ダイヤフラムの表面側周囲には、環状の第2ダイヤフラムホルダが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のダイヤフラムバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−121703(P2010−121703A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295626(P2008−295626)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(504429987)株式会社ハムレット・モトヤマ・ジャパン (7)
【Fターム(参考)】