ダイヤフラムポンプ
【課題】液体に混入した成分や塵埃を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐダイヤフラムポンプを提供する。
【解決手段】ポンプ室2に流体を吸入する吸入通路3と、吸入通路3に通ずるポンプ本体25外部にフィルター部24とを備えたダイヤフラムポンプであって、フィルター部24が、ポンプ本体25から着脱自在な構造であり、フィルター部24を設けたことで塵埃や液体に溶出した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。また、フィルター部24を着脱構造にすることで交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用でき、新たに液体用ポンプを設計する必要がない。
【解決手段】ポンプ室2に流体を吸入する吸入通路3と、吸入通路3に通ずるポンプ本体25外部にフィルター部24とを備えたダイヤフラムポンプであって、フィルター部24が、ポンプ本体25から着脱自在な構造であり、フィルター部24を設けたことで塵埃や液体に溶出した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。また、フィルター部24を着脱構造にすることで交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用でき、新たに液体用ポンプを設計する必要がない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体をダイヤフラムによって移送するダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気体や液体をダイヤフラムの伸縮によって移送するダイヤフラムポンプにおいて、流体に混入してポンプ内に吸入される塵埃等や液体に混入した成分によりポンプ内部で詰まりが起こり、ポンプの性能低下を招く恐れがあった。従来では、塵埃に起因するポンプの性能の低下を阻止するため、吸入通路を多数の小径の通路によって構成したダイヤフラムポンプが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また従来より、流体をダイヤフラムポンプの伸縮によって移送し、対象ケース内部圧を調整するダイヤフラムポンプにおいて、小型のダイヤフラムポンプでは要求圧力を保つよう自動でポンプを動作させることは難しかったため、圧力センサ等を設けて対象ケース内部圧の調整を行う中型〜大型のダイヤフラムポンプが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−9715号公報
【特許文献2】特開平7−127576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のダイヤフラムポンプでは、液体に溶出した物質は容易に吸入通路を通過してしまい、ポンプ室や弁、排気口などで析出して詰まりを起こし、ポンプの性能低下を招く恐れがある、という問題点があった。
【0006】
また、特許文献2記載の中型〜大型のポンプでは、大きなスペースを要する、という問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、液体に混入した成分や塵埃を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐダイヤフラムポンプを提供することを第1の目的とする。
【0008】
また本発明は、省スペースで小型のポンプであって、要求圧力を保つダイヤフラムポンプを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明のダイヤフラムポンプでは、ポンプ室に流体を吸入する吸入通路と、前記吸入通路に通ずる外部にフィルターとを備えたダイヤフラムポンプであって、前記フィルターが、ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明のダイヤフラムポンプでは、前記フィルターに活性炭を使用したことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明のダイヤフラムポンプでは、前記フィルターに中空糸膜を使用したことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明のダイヤフラムポンプでは、前記フィルターを活性炭と中空糸膜の二重または多重構造としたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明のダイヤフラムポンプでは、前記吸入通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明のダイヤフラムポンプでは、前記ポンプ室の流体を排出する排出通路を備え、前記排出通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明のダイヤフラムポンプでは、前記圧力スイッチが、前記ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、フィルターを設けたことで塵埃や液体に溶出した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。また、フィルターを着脱構造にすることで交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用することができ、新たに液体用ポンプとしを設計する必要がない。
【0017】
請求項2の発明によれば、フィルターに活性炭を用いることで、水のような分子量の小さい物質のみ通過させ、分子量の大きい有機物等を吸着することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、フィルターに中空糸膜を用いることで、細菌や塵埃等を除去することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、活性炭で有機物等を除去し、且つ中空糸膜で細菌や塵埃等を除去することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、対象ケース内部圧を下げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、対象ケース内部圧を上げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、圧力スイッチを着脱構造にすることで、圧力スイッチの交換が容易になる。また、新たにポンプを設計する必要がなく、取付部のサイズが同じであれば既存のポンプに取付け可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例におけるダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】同上、フィルター部周辺を示す断面図である。
【図3】同上、フィルター部の断面図である。
【図4】同上、図3とは別なフィルター部の断面図である。
【図5】同上、チューブ周辺を示す断面図である。
【図6】同上、図5とは別なチューブ周辺を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施例におけるダイヤフラムポンプの断面図である。
【図8】同上、圧力スイッチ部周辺を示す断面図である。
【図9】同上、圧力スイッチ部の断面図である。
【図10】同上、図9とは別な圧力スイッチ部の断面図である。
【図11】同上、チューブ周辺を示す断面図である。
【図12】同上、図11とは別なチューブ周辺を示す断面図である。
【図13】本発明の第2実施例におけるダイヤフラムポンプの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るダイヤフラムポンプの好ましい各実施例を、添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0025】
図1〜図6は、本発明のダイヤフラムポンプの実施例1を示すものである。
【0026】
本実施例のダイヤフラムポンプは、ダイヤフラム1によって形成され膨張・収縮するポンプ室2と、このポンプ室2に空気または液体等の流体を吸入するための吸入通路3と、ポンプ室2内の空気または液体を排出するための排出通路4と、吸入通路3に設けられポンプ室2から吸入通路3への空気または液体の逆流を規制する吸入弁5と、排出通路4に設けられたポンプ室2への空気または液体の逆流を規制する吐出弁6とを備えたものである。
【0027】
このダイヤフラムポンプは、略有底筒状に形成されたケース7を備え、このケース7の底部8にはモータ9が取り付けられており、このモータ9の出力軸10が底部8に設けた孔11からケース7内に臨んでいる。12は、クランク台であり、モータ9の出力軸10に回転自在に軸着されており、出力軸10が挿入された中心部から偏心した位置には、駆動軸13が鉛直方向に対して傾斜した状態で保持されている。14は駆動体であり、互いに反対方向に一体に突設された一対の駆動子15を備えて構成されており、駆動体14の中央部の軸穴14Aには駆動軸13が軸装されている。
【0028】
一対の駆動子15のそれぞれの先端部には、前記ダイヤフラム1が取り付けられている。
【0029】
前記ダイヤフラム1は、柔軟性を有する弾性材料から形成され薄板状に形成されたダイヤフラム本体1Aと、ダイヤフラム本体1Aの下面から下方に延設させて一体に形成された釣鐘形状を有する一対のダイヤフラム部1Bとを有している。ダイヤフラム1は、ダイヤフラム本体1Aの上面及び下面をそれぞれダイヤフラムホルダー16及びバルブホルダー17によって挟持された状態で固定されるとともに、各ダイヤフラム部1Bの先細形状に形成された下端1Cを駆動子15にそれぞれ固定されている。
【0030】
ここで、前記ポンプ室2は、ダイヤフラム部1Bとダイヤフラムホルダー16の底部17B下面によって画設されて形成したものである。
【0031】
また、吐出弁6は、ダイヤフラム本体1Aとダイヤフラム部1Bとの境界部分であるダイヤフラム部1Bの上部開口部分周縁を上方へ薄板状に延設して設けたものである。
【0032】
前記ダイヤフラムホルダー16は、ダイヤフラム本体1Aを当接支持可能に形成された平坦な上面部16Aを備えるとともに、この上面部16Aには各ダイヤフラム部1Bを下端1Cを保持する保持用貫通部16Bを備えている。またダイヤフラムホルダー16の中央下側には出力軸10と同軸上に配置され、駆動体14の上部中央に半円弧状に設けた凹部14Bを上方から回転自在に軸支可能とする軸部16Cを備えている。
【0033】
前記バルブホルダー17は、上部を開口した有底筒状の保持枠17Aを一体に備えている。
【0034】
また、吐出弁6と保持枠17A外側面は、互いに面接触可能に設けられており、吐出弁6と保持枠17A外側面とが面接触した状態を吐出弁6が閉じた状態とし、さらに前記排出通路4は吐出弁6と保持枠17Aとの間に設けられるものとする。
【0035】
18はケース7の上方を覆う蓋体であり、この蓋体18は下方に開口部分を有しており、蓋体18内部に上下方向に立設され、蓋体18内部を内側と外側に区画する仕切壁18Aを一体に備えている。
【0036】
また、蓋体18の上部中央には、蓋体18内部の仕切壁18Aの内側と蓋体18外部とを連通して設けた筒状の排出口19を備えるとともに、蓋体18の上部における排出口19周辺には、蓋体18内部における仕切壁18Aの外側と蓋体18外部とを連通して設けた筒状の吸入口20を備えている。21は、蓋体18とバルブホルダー17を気密または液密にシールするパッキンである。
【0037】
ここで、バルブホルダー17、蓋体18及びパッキン21の間の内部空間には、保持枠17A、仕切壁18A及びパッキン19を境界として、内側に排出通路4と連通する排出空間22と備え、外側に吸入通路3と連通する吸入空間23を備えている。
【0038】
ここで、本実施例の特徴的部分であるフィルター部24について説明する。フィルター部24はダイヤフラムポンプのポンプ本体25外部に位置し、蓋体18に一体に形成された吸入口20にフィルター部24の外郭であるフィルターケース26がチューブ27を介して着脱自在に取り付けられており、空気又は液体等の流体はフィルター側吸入口28からフィルターケース26内部を通過し、フィルター側排出口29からダイヤフラムポンプの吸入通路3へと吸入されるものである。ここで、ポンプ本体25とは、ケース7、ダイヤフラムホルダー16、バルブホルダー17、蓋体18等からなるダイヤフラムポンプの外郭を形成するものである。
【0039】
また、フィルターケース26は中空な容器として形成されており、前述のフィルター側吸入口28とフィルター側排出口29は、フィルターケース26の一側面とこの一側面と対向する他側面にそれぞれフィルターケース26内部と外部とを連通して筒状に設けたものである。
【0040】
図2に示すように、フィルターケース26内部には活性炭または中空糸膜、あるいは活性炭と中空糸膜から成るフィルター本体30が内蔵されている。フィルターケース26にはフィルター側吸入口28とフィルター側排出口29がフィルターケース26の異なる面に配設されており、フィルター側吸入口28から吸入された空気又は液体等の流体は、フィルター内部を通ってろ過され、フィルター側排出口29からポンプ室2へと吸入される。ここで、活性炭とは有機質原料を炭化・賦活して得られる内部表面積及び吸着能が大きい炭素質物質のことであり、中空糸膜とは中空の糸状に成形した膜のことである。
【0041】
また、活性炭と中空糸膜から成るフィルター本体30は、活性炭の層と中空糸膜の層を二層または多重に積層した積層構造としてもよい。
【0042】
さらに、フィルターケース26の形状は四角形、球形等、設計意図により変形させてもよい。また、フィルターケース26のフィルター側吸入口28や、フィルター側排出口29も同様に、その位置を変えてもよく、図3に示すようなフィルター側吸入口28の中心軸線Xとフィルター側排出口29の中心軸線Yを同一線上に配設したものに限定されず、図4に示すように中心軸線Xと中心軸線Yを互いに交差させたり、図示しないが中心軸線Xと中心軸線Yを略平行としたものでもよいものとする。
【0043】
また、フィルター部24のフィルター側排出口29はゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在なチューブ27によって空気または液体の漏れなくポンプ本体25の吸入口20に取り付けられている。
【0044】
ここで、チューブ27は伸縮自在であるため、容易にフィルター部24やポンプ本体25から取り外すことができる。図5、図6は本実施例の変形例であり、ポンプの設置場所によってはチューブ27の長さを変えたり、チューブ27を略S字型等に屈曲させることも可能であり、チューブ27の屈曲についてもS字型に限らず、略L字型や略U字型等としてもよい。
【0045】
続いて、上記構成のダイヤフラムポンプの動作について説明する。モータ9の駆動による出力軸10の回転に伴い、このクランプ台12が出力軸10と一体的に回転すると、駆動軸13は出力軸10を中心としてその傾斜方向を変えるようにして偏心回転する。駆動軸13の偏心回転に伴って、駆動体14の一対の駆動子15は出力軸10の軸方向と平行となるように交互に上下方向に揺動し、各駆動子15に固定されたダイヤフラム1のダイヤフラム部1Bも各駆動子15の揺動動作に追従して交互に上下方向に揺動する。これにより、一方のダイヤフラム部1Bの下端が下方に移動してダイヤフラム部1Bの容積が増加すると、ポンプ室2は拡張して大気圧より低い減圧状態となって、吐出弁6は閉じ、反対に吸入弁5の弁体25がポンプ室2内部へと吸引されて下方に移動すると、この弁体25によって閉鎖されていた吸入通路3が開放されて、流体が吸入口20から吸入通路3を通ってポンプ室2内に吸入される。
【0046】
その後、モータ9の出力軸10がさらに回転すると、拡張したポンプ室2のダイヤフラム部1Bの下端1Cが上方に移動して、ダイヤフラム部1Bの容積が減少するとポンプ室2は収縮するので、ポンプ室2内の流体の圧力が上昇し、流体により吸入弁5の弁体25が押し上げられて弁体25が上方に移動すると吸入弁5は閉じ、反対に吐出弁6が開いてポンプ室2の流体は排出通路4を通って排出口19から吐出される。このようにポンプ室2の膨張・収縮動作は、各ポンプ室2においてダイヤフラム部1Bの伸縮に応じて交互に連続して行われ、各排出通路4から排出された流体は、排出空間22で合流して排出口19から連続して吐出される。
【0047】
また、ダイヤフラムポンプの吸入口側にフィルター部24を設けたことで、フィルター部24に内蔵されたフィルター本体30によって塵埃や液体に混入した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。
【0048】
さらに、フィルター部24をチューブ27を介してダイヤフラムポンプに着脱自在な構造にすることでフィルター部24の交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用することができ、新たに液体用ポンプを設計する必要がない。
【0049】
また、チューブ27の長さを変えたり、屈曲させることで、ダイヤフラムポンプの設置スペース38の制約等を受けず、設計の自由度も増す。
【0050】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、ポンプ室2に流体を吸入する吸入通路3と、吸入通路3に通ずる外部にフィルター部24とを備えたダイヤフラムポンプであって、フィルター部24が、ポンプ本体25から着脱自在な構造である。
【0051】
この場合、フィルター部24を設けたことで塵埃や液体に溶出した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。また、フィルター部24を着脱構造にすることで交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用でき、新たに液体用ポンプを設計する必要がない。
【0052】
さらに本実施例は請求項2に対応しており、フィルター本体30の材料に活性炭を使用した。
【0053】
この場合、フィルター本体30に活性炭を用いることで、水のような分子量の小さい物質のみ通過させ、分子量の大きい有機物等を吸着することができる。
【0054】
また本実施例は請求項3に対応しており、フィルター本体30の材料に中空糸膜を使用した。
【0055】
この場合、フィルター本体30に中空糸膜を用いることで、細菌や塵埃等を除去することができる。
【0056】
さらに本実施例は請求項4に対応しており、フィルター本体30を活性炭と中空糸膜との二重または多重構造としたことを特徴とする。
【0057】
この場合、活性炭で有機物等を除去し、且つ中空糸膜で細菌や塵埃等を除去することができる。
【実施例2】
【0058】
次に、本発明の第2実施例を図7〜図12に基づき説明する。なお、ここで使用するダイヤフラムは、第1実施例と全く同じものである。したがって、第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は極力省略する。
【0059】
圧力スイッチ部31は、ダイヤフラムポンプのポンプ本体25外部に位置し、蓋体18に一体に形成された吸入口20に圧力スイッチ部31の外郭であるスイッチケース32のスイッチ側排出口33がチューブ34を介して着脱自在に取り付けられている。流体はスイッチケース32のスイッチ側吸入口35からスイッチケース32内部を通過し、スイッチケース32のスイッチ側排出口33からダイヤフラムポンプの吸入口20へと吸入される構成となっている。
【0060】
ここで、スイッチケース32は中空な容器として形成されており、前述のスイッチ側吸入口35とスイッチ側排出口33は、スイッチケース32の一側面とこの一側面と対向する他側面にそれぞれスイッチケース32内部と外部とを連通して筒状に設けたものである。
【0061】
また、スイッチケース32内部は、スイッチ側吸入口35からスイッチ側排出口33へと流体が通過する側の通路36と、スイッチ本体37が配置され、流体の通らない側の閉塞されたスペース38とに分けられ、流体が通過する側の通路36と流体の通らないスペース38とは、ゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在な壁面部材39により区分されている。対象となる容器の内部圧P1が所定の要求圧P0よりも高い場合(P1>P0)には、壁面部材39は通路36側からスイッチ本体37側に向かって弾性変形し、スイッチ本体37は壁面部材39に押されて通電状態となると、制御手段(図示せず)によりポンプが作動して、ポンプの排出口19からの流体の供給先としての水槽や浄化槽等の対象となる容器(図示せず)内の圧力が下げられる。
【0062】
一方、対象となる容器の内部圧P1が所定の要求圧P0に達すると(P1=P0)、逆に壁面部材39はスイッチ本体37側から通路36側へと弾性変形し、壁面部材39はスイッチ本体37から離れることで通電が切れると制御手段により、ポンプが停止する。この一連の動作が繰り返されることにより、対象となる容器の内部圧P1が要求圧P0より上がった場合にも自動でポンプが作動し、内部圧P1を一定に保持することができる。
【0063】
さらに、スイッチケース32の形状は四角形、球形等、設計意図により変形させてもよい。また、スイッチケース32のスイッチ側吸入口35、スイッチ側排出口33も同様に、その位置を変えてもよく、図9に示すようなスイッチ側吸入口35の中心軸線Lとスイッチ側排出口33の中心軸線Mを同一線上に配設したものに限定されず、図10に示すように中心軸線Lと中心軸線Mを互いに交差させたり、図示しないが中心軸線Lと中心軸線Mを略平行としたものでもよいものとする。
【0064】
また、圧力スイッチ部31のスイッチ側排出口33はゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在なチューブ34によって空気または液体の漏れなくポンプ本体25の吸入口に取り付けられている。
【0065】
ここで、チューブ34は実施例1記載のチューブ27と同様に伸縮自在であるため、容易に圧力スイッチ部31やポンプ本体25から取り外すことができる。図11、図12は本実施例の変形例であり、ポンプの設置場所によってはチューブ34の長さを変えたり、チューブ34を略S字型等に屈曲させることも可能であり、チューブ34の屈曲についてもS字型に限らず、略L字型や略U字型等としてもよい。
【0066】
以上のように本実施例は請求項5に対応しており、吸入通路3に通ずるポンプ本体25の外部に圧力スイッチ部31を備えたことにより、対象となる容器の内部圧を下げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0067】
また、本実施例は請求項7に対応しており、圧力スイッチ部31が、ポンプ本体25から着脱自在な構造である。
【0068】
この場合、圧力スイッチ部31をポンプ本体25から着脱自在な構造にすることで、圧力スイッチ部31の交換が容易になる。また、新たにポンプを設計する必要がなく、取付部(吸入口20、排出口19)のサイズが同じであれば既存のポンプに取付け可能となる。
【実施例3】
【0069】
次に、本発明の第3実施例を図13に基づき説明する。なお、ここで使用するダイヤフラムは、第1実施例と全く同じものであり、チューブ27は第2実施例と全く同じものである。したがって、第1実施例及び第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は極力省略する。
【0070】
圧力スイッチ部40は、ダイヤフラムポンプのポンプ本体25外部に位置し、蓋体18に一体に形成された排出口19に圧力スイッチ部40の外郭であるスイッチケース41のスイッチ側排出口42がチューブ34を介して着脱自在に取り付けられている。ダイヤフラムの伸縮により流体が吸入口20から吸入され、排出口19から吐出された流体がスイッチ側吸入口43からスイッチケース41内部を通過し、スイッチ側排出口42から対象となる容器内へと流入する構成となっている。
【0071】
ここで、スイッチケース41は中空な容器として形成されており、前述のスイッチ側吸入口43とスイッチ側排出口42は、スイッチケース41の一側面とこの一側面と対向する他側面にそれぞれスイッチケース41内部と外部とを連通して筒状に設けたものである。
【0072】
また、スイッチケース41内部は、スイッチ本体44が配置され、スイッチ側吸入口43からスイッチ側排出口42へと流体が通過する側の通路45と、流体の通らない側の閉塞されたスペース46とに分けられ、流体が通過する側の通路45と流体の通らないスペース46とは、ゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在な壁面部材47により区分されている。対象となる容器の内部圧P1が所定の要求圧P0よりも低い場合(P1<P0)には、壁面部材47はスペース46側からスイッチ本体44が設置された通路45側に向かって弾性変形し、スイッチ本体44は壁面部材47に押されて通電状態となると、制御手段によりポンプが作動して、対象となる容器内の圧力が上げられる。
【0073】
一方、対象となる容器の内部圧P1が要求圧P0に達すると(P1=P0)、逆に壁面部材47は通路45側からスペース46側へと弾性変形し、壁面部材47はスイッチ本体44から離れることで通電が切れると制御手段により、ポンプが停止する。この一連の動作が繰り返されることにより、対象となる容器の内部圧P1が要求圧P0より下がった場合にも自動でポンプが作動し、内部圧P1を一定に保持することができる。
【0074】
さらに、スイッチケース41の形状はスイッチケース32同様に四角形、球形等、設計意図により変形させてもよい。また、スイッチケース32のスイッチ側吸入口35及びスイッチ側排出口33と同様にスイッチケース41のスイッチ側吸入口43、スイッチ側排出口42も同様に、その位置を変えてもよい。
【0075】
以上のように本実施例は請求項6に対応しており、ポンプ室2の流体を排出する排出通路4を備え、排出通路4に通ずるポンプ本体25外部に圧力スイッチ部41を備えた。
【0076】
この場合、対象となる容器の内部圧を上げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0077】
また、本実施例は請求項7に対応しており、圧力スイッチ部40が、ポンプ本体25から着脱自在な構造である。
【0078】
この場合、圧力スイッチ部40をポンプ本体25から着脱自在な構造にすることで、圧力スイッチ部40の交換が容易になる。また、新たにポンプを設計する必要がなく、取付部(吸入口20、排出口19)のサイズが同じであれば既存のポンプに取付け可能となる。
【0079】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例1記載のフィルター部24と実施例2記載の圧力スイッチ部31をダイヤフラムポンプの吸入通路36側に直列して接続してもよく、この直列接続の際のフィルター部24と圧力スイッチ部31の取付順序については適宜変更可能である。さらに、ダイヤフラムポンプの吸入通路36側と排出通路36側の両方に圧力スイッチ部31,40を備えたとしてもよい。また、本発明のフィルター部24及び圧力スイッチ部31,40は各実施例に記載のダイヤフラム式のポンプに限らず、様々な種類のポンプや流体機械等に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
2 ポンプ室
3 吸入通路
4 排出通路
24 フィルター部(フィルター)
25 ポンプ本体
31 圧力スイッチ部(圧力スイッチ)
40 圧力スイッチ部(圧力スイッチ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体をダイヤフラムによって移送するダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気体や液体をダイヤフラムの伸縮によって移送するダイヤフラムポンプにおいて、流体に混入してポンプ内に吸入される塵埃等や液体に混入した成分によりポンプ内部で詰まりが起こり、ポンプの性能低下を招く恐れがあった。従来では、塵埃に起因するポンプの性能の低下を阻止するため、吸入通路を多数の小径の通路によって構成したダイヤフラムポンプが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また従来より、流体をダイヤフラムポンプの伸縮によって移送し、対象ケース内部圧を調整するダイヤフラムポンプにおいて、小型のダイヤフラムポンプでは要求圧力を保つよう自動でポンプを動作させることは難しかったため、圧力センサ等を設けて対象ケース内部圧の調整を行う中型〜大型のダイヤフラムポンプが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−9715号公報
【特許文献2】特開平7−127576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のダイヤフラムポンプでは、液体に溶出した物質は容易に吸入通路を通過してしまい、ポンプ室や弁、排気口などで析出して詰まりを起こし、ポンプの性能低下を招く恐れがある、という問題点があった。
【0006】
また、特許文献2記載の中型〜大型のポンプでは、大きなスペースを要する、という問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、液体に混入した成分や塵埃を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐダイヤフラムポンプを提供することを第1の目的とする。
【0008】
また本発明は、省スペースで小型のポンプであって、要求圧力を保つダイヤフラムポンプを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明のダイヤフラムポンプでは、ポンプ室に流体を吸入する吸入通路と、前記吸入通路に通ずる外部にフィルターとを備えたダイヤフラムポンプであって、前記フィルターが、ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明のダイヤフラムポンプでは、前記フィルターに活性炭を使用したことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明のダイヤフラムポンプでは、前記フィルターに中空糸膜を使用したことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明のダイヤフラムポンプでは、前記フィルターを活性炭と中空糸膜の二重または多重構造としたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明のダイヤフラムポンプでは、前記吸入通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明のダイヤフラムポンプでは、前記ポンプ室の流体を排出する排出通路を備え、前記排出通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明のダイヤフラムポンプでは、前記圧力スイッチが、前記ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、フィルターを設けたことで塵埃や液体に溶出した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。また、フィルターを着脱構造にすることで交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用することができ、新たに液体用ポンプとしを設計する必要がない。
【0017】
請求項2の発明によれば、フィルターに活性炭を用いることで、水のような分子量の小さい物質のみ通過させ、分子量の大きい有機物等を吸着することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、フィルターに中空糸膜を用いることで、細菌や塵埃等を除去することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、活性炭で有機物等を除去し、且つ中空糸膜で細菌や塵埃等を除去することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、対象ケース内部圧を下げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、対象ケース内部圧を上げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、圧力スイッチを着脱構造にすることで、圧力スイッチの交換が容易になる。また、新たにポンプを設計する必要がなく、取付部のサイズが同じであれば既存のポンプに取付け可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例におけるダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】同上、フィルター部周辺を示す断面図である。
【図3】同上、フィルター部の断面図である。
【図4】同上、図3とは別なフィルター部の断面図である。
【図5】同上、チューブ周辺を示す断面図である。
【図6】同上、図5とは別なチューブ周辺を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施例におけるダイヤフラムポンプの断面図である。
【図8】同上、圧力スイッチ部周辺を示す断面図である。
【図9】同上、圧力スイッチ部の断面図である。
【図10】同上、図9とは別な圧力スイッチ部の断面図である。
【図11】同上、チューブ周辺を示す断面図である。
【図12】同上、図11とは別なチューブ周辺を示す断面図である。
【図13】本発明の第2実施例におけるダイヤフラムポンプの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るダイヤフラムポンプの好ましい各実施例を、添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0025】
図1〜図6は、本発明のダイヤフラムポンプの実施例1を示すものである。
【0026】
本実施例のダイヤフラムポンプは、ダイヤフラム1によって形成され膨張・収縮するポンプ室2と、このポンプ室2に空気または液体等の流体を吸入するための吸入通路3と、ポンプ室2内の空気または液体を排出するための排出通路4と、吸入通路3に設けられポンプ室2から吸入通路3への空気または液体の逆流を規制する吸入弁5と、排出通路4に設けられたポンプ室2への空気または液体の逆流を規制する吐出弁6とを備えたものである。
【0027】
このダイヤフラムポンプは、略有底筒状に形成されたケース7を備え、このケース7の底部8にはモータ9が取り付けられており、このモータ9の出力軸10が底部8に設けた孔11からケース7内に臨んでいる。12は、クランク台であり、モータ9の出力軸10に回転自在に軸着されており、出力軸10が挿入された中心部から偏心した位置には、駆動軸13が鉛直方向に対して傾斜した状態で保持されている。14は駆動体であり、互いに反対方向に一体に突設された一対の駆動子15を備えて構成されており、駆動体14の中央部の軸穴14Aには駆動軸13が軸装されている。
【0028】
一対の駆動子15のそれぞれの先端部には、前記ダイヤフラム1が取り付けられている。
【0029】
前記ダイヤフラム1は、柔軟性を有する弾性材料から形成され薄板状に形成されたダイヤフラム本体1Aと、ダイヤフラム本体1Aの下面から下方に延設させて一体に形成された釣鐘形状を有する一対のダイヤフラム部1Bとを有している。ダイヤフラム1は、ダイヤフラム本体1Aの上面及び下面をそれぞれダイヤフラムホルダー16及びバルブホルダー17によって挟持された状態で固定されるとともに、各ダイヤフラム部1Bの先細形状に形成された下端1Cを駆動子15にそれぞれ固定されている。
【0030】
ここで、前記ポンプ室2は、ダイヤフラム部1Bとダイヤフラムホルダー16の底部17B下面によって画設されて形成したものである。
【0031】
また、吐出弁6は、ダイヤフラム本体1Aとダイヤフラム部1Bとの境界部分であるダイヤフラム部1Bの上部開口部分周縁を上方へ薄板状に延設して設けたものである。
【0032】
前記ダイヤフラムホルダー16は、ダイヤフラム本体1Aを当接支持可能に形成された平坦な上面部16Aを備えるとともに、この上面部16Aには各ダイヤフラム部1Bを下端1Cを保持する保持用貫通部16Bを備えている。またダイヤフラムホルダー16の中央下側には出力軸10と同軸上に配置され、駆動体14の上部中央に半円弧状に設けた凹部14Bを上方から回転自在に軸支可能とする軸部16Cを備えている。
【0033】
前記バルブホルダー17は、上部を開口した有底筒状の保持枠17Aを一体に備えている。
【0034】
また、吐出弁6と保持枠17A外側面は、互いに面接触可能に設けられており、吐出弁6と保持枠17A外側面とが面接触した状態を吐出弁6が閉じた状態とし、さらに前記排出通路4は吐出弁6と保持枠17Aとの間に設けられるものとする。
【0035】
18はケース7の上方を覆う蓋体であり、この蓋体18は下方に開口部分を有しており、蓋体18内部に上下方向に立設され、蓋体18内部を内側と外側に区画する仕切壁18Aを一体に備えている。
【0036】
また、蓋体18の上部中央には、蓋体18内部の仕切壁18Aの内側と蓋体18外部とを連通して設けた筒状の排出口19を備えるとともに、蓋体18の上部における排出口19周辺には、蓋体18内部における仕切壁18Aの外側と蓋体18外部とを連通して設けた筒状の吸入口20を備えている。21は、蓋体18とバルブホルダー17を気密または液密にシールするパッキンである。
【0037】
ここで、バルブホルダー17、蓋体18及びパッキン21の間の内部空間には、保持枠17A、仕切壁18A及びパッキン19を境界として、内側に排出通路4と連通する排出空間22と備え、外側に吸入通路3と連通する吸入空間23を備えている。
【0038】
ここで、本実施例の特徴的部分であるフィルター部24について説明する。フィルター部24はダイヤフラムポンプのポンプ本体25外部に位置し、蓋体18に一体に形成された吸入口20にフィルター部24の外郭であるフィルターケース26がチューブ27を介して着脱自在に取り付けられており、空気又は液体等の流体はフィルター側吸入口28からフィルターケース26内部を通過し、フィルター側排出口29からダイヤフラムポンプの吸入通路3へと吸入されるものである。ここで、ポンプ本体25とは、ケース7、ダイヤフラムホルダー16、バルブホルダー17、蓋体18等からなるダイヤフラムポンプの外郭を形成するものである。
【0039】
また、フィルターケース26は中空な容器として形成されており、前述のフィルター側吸入口28とフィルター側排出口29は、フィルターケース26の一側面とこの一側面と対向する他側面にそれぞれフィルターケース26内部と外部とを連通して筒状に設けたものである。
【0040】
図2に示すように、フィルターケース26内部には活性炭または中空糸膜、あるいは活性炭と中空糸膜から成るフィルター本体30が内蔵されている。フィルターケース26にはフィルター側吸入口28とフィルター側排出口29がフィルターケース26の異なる面に配設されており、フィルター側吸入口28から吸入された空気又は液体等の流体は、フィルター内部を通ってろ過され、フィルター側排出口29からポンプ室2へと吸入される。ここで、活性炭とは有機質原料を炭化・賦活して得られる内部表面積及び吸着能が大きい炭素質物質のことであり、中空糸膜とは中空の糸状に成形した膜のことである。
【0041】
また、活性炭と中空糸膜から成るフィルター本体30は、活性炭の層と中空糸膜の層を二層または多重に積層した積層構造としてもよい。
【0042】
さらに、フィルターケース26の形状は四角形、球形等、設計意図により変形させてもよい。また、フィルターケース26のフィルター側吸入口28や、フィルター側排出口29も同様に、その位置を変えてもよく、図3に示すようなフィルター側吸入口28の中心軸線Xとフィルター側排出口29の中心軸線Yを同一線上に配設したものに限定されず、図4に示すように中心軸線Xと中心軸線Yを互いに交差させたり、図示しないが中心軸線Xと中心軸線Yを略平行としたものでもよいものとする。
【0043】
また、フィルター部24のフィルター側排出口29はゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在なチューブ27によって空気または液体の漏れなくポンプ本体25の吸入口20に取り付けられている。
【0044】
ここで、チューブ27は伸縮自在であるため、容易にフィルター部24やポンプ本体25から取り外すことができる。図5、図6は本実施例の変形例であり、ポンプの設置場所によってはチューブ27の長さを変えたり、チューブ27を略S字型等に屈曲させることも可能であり、チューブ27の屈曲についてもS字型に限らず、略L字型や略U字型等としてもよい。
【0045】
続いて、上記構成のダイヤフラムポンプの動作について説明する。モータ9の駆動による出力軸10の回転に伴い、このクランプ台12が出力軸10と一体的に回転すると、駆動軸13は出力軸10を中心としてその傾斜方向を変えるようにして偏心回転する。駆動軸13の偏心回転に伴って、駆動体14の一対の駆動子15は出力軸10の軸方向と平行となるように交互に上下方向に揺動し、各駆動子15に固定されたダイヤフラム1のダイヤフラム部1Bも各駆動子15の揺動動作に追従して交互に上下方向に揺動する。これにより、一方のダイヤフラム部1Bの下端が下方に移動してダイヤフラム部1Bの容積が増加すると、ポンプ室2は拡張して大気圧より低い減圧状態となって、吐出弁6は閉じ、反対に吸入弁5の弁体25がポンプ室2内部へと吸引されて下方に移動すると、この弁体25によって閉鎖されていた吸入通路3が開放されて、流体が吸入口20から吸入通路3を通ってポンプ室2内に吸入される。
【0046】
その後、モータ9の出力軸10がさらに回転すると、拡張したポンプ室2のダイヤフラム部1Bの下端1Cが上方に移動して、ダイヤフラム部1Bの容積が減少するとポンプ室2は収縮するので、ポンプ室2内の流体の圧力が上昇し、流体により吸入弁5の弁体25が押し上げられて弁体25が上方に移動すると吸入弁5は閉じ、反対に吐出弁6が開いてポンプ室2の流体は排出通路4を通って排出口19から吐出される。このようにポンプ室2の膨張・収縮動作は、各ポンプ室2においてダイヤフラム部1Bの伸縮に応じて交互に連続して行われ、各排出通路4から排出された流体は、排出空間22で合流して排出口19から連続して吐出される。
【0047】
また、ダイヤフラムポンプの吸入口側にフィルター部24を設けたことで、フィルター部24に内蔵されたフィルター本体30によって塵埃や液体に混入した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。
【0048】
さらに、フィルター部24をチューブ27を介してダイヤフラムポンプに着脱自在な構造にすることでフィルター部24の交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用することができ、新たに液体用ポンプを設計する必要がない。
【0049】
また、チューブ27の長さを変えたり、屈曲させることで、ダイヤフラムポンプの設置スペース38の制約等を受けず、設計の自由度も増す。
【0050】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、ポンプ室2に流体を吸入する吸入通路3と、吸入通路3に通ずる外部にフィルター部24とを備えたダイヤフラムポンプであって、フィルター部24が、ポンプ本体25から着脱自在な構造である。
【0051】
この場合、フィルター部24を設けたことで塵埃や液体に溶出した成分を除去し、ポンプ内部での詰まりを防ぐことができる。また、フィルター部24を着脱構造にすることで交換が容易になり、また既存の気体用ポンプに取り付けることで液体用ポンプとして使用でき、新たに液体用ポンプを設計する必要がない。
【0052】
さらに本実施例は請求項2に対応しており、フィルター本体30の材料に活性炭を使用した。
【0053】
この場合、フィルター本体30に活性炭を用いることで、水のような分子量の小さい物質のみ通過させ、分子量の大きい有機物等を吸着することができる。
【0054】
また本実施例は請求項3に対応しており、フィルター本体30の材料に中空糸膜を使用した。
【0055】
この場合、フィルター本体30に中空糸膜を用いることで、細菌や塵埃等を除去することができる。
【0056】
さらに本実施例は請求項4に対応しており、フィルター本体30を活性炭と中空糸膜との二重または多重構造としたことを特徴とする。
【0057】
この場合、活性炭で有機物等を除去し、且つ中空糸膜で細菌や塵埃等を除去することができる。
【実施例2】
【0058】
次に、本発明の第2実施例を図7〜図12に基づき説明する。なお、ここで使用するダイヤフラムは、第1実施例と全く同じものである。したがって、第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は極力省略する。
【0059】
圧力スイッチ部31は、ダイヤフラムポンプのポンプ本体25外部に位置し、蓋体18に一体に形成された吸入口20に圧力スイッチ部31の外郭であるスイッチケース32のスイッチ側排出口33がチューブ34を介して着脱自在に取り付けられている。流体はスイッチケース32のスイッチ側吸入口35からスイッチケース32内部を通過し、スイッチケース32のスイッチ側排出口33からダイヤフラムポンプの吸入口20へと吸入される構成となっている。
【0060】
ここで、スイッチケース32は中空な容器として形成されており、前述のスイッチ側吸入口35とスイッチ側排出口33は、スイッチケース32の一側面とこの一側面と対向する他側面にそれぞれスイッチケース32内部と外部とを連通して筒状に設けたものである。
【0061】
また、スイッチケース32内部は、スイッチ側吸入口35からスイッチ側排出口33へと流体が通過する側の通路36と、スイッチ本体37が配置され、流体の通らない側の閉塞されたスペース38とに分けられ、流体が通過する側の通路36と流体の通らないスペース38とは、ゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在な壁面部材39により区分されている。対象となる容器の内部圧P1が所定の要求圧P0よりも高い場合(P1>P0)には、壁面部材39は通路36側からスイッチ本体37側に向かって弾性変形し、スイッチ本体37は壁面部材39に押されて通電状態となると、制御手段(図示せず)によりポンプが作動して、ポンプの排出口19からの流体の供給先としての水槽や浄化槽等の対象となる容器(図示せず)内の圧力が下げられる。
【0062】
一方、対象となる容器の内部圧P1が所定の要求圧P0に達すると(P1=P0)、逆に壁面部材39はスイッチ本体37側から通路36側へと弾性変形し、壁面部材39はスイッチ本体37から離れることで通電が切れると制御手段により、ポンプが停止する。この一連の動作が繰り返されることにより、対象となる容器の内部圧P1が要求圧P0より上がった場合にも自動でポンプが作動し、内部圧P1を一定に保持することができる。
【0063】
さらに、スイッチケース32の形状は四角形、球形等、設計意図により変形させてもよい。また、スイッチケース32のスイッチ側吸入口35、スイッチ側排出口33も同様に、その位置を変えてもよく、図9に示すようなスイッチ側吸入口35の中心軸線Lとスイッチ側排出口33の中心軸線Mを同一線上に配設したものに限定されず、図10に示すように中心軸線Lと中心軸線Mを互いに交差させたり、図示しないが中心軸線Lと中心軸線Mを略平行としたものでもよいものとする。
【0064】
また、圧力スイッチ部31のスイッチ側排出口33はゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在なチューブ34によって空気または液体の漏れなくポンプ本体25の吸入口に取り付けられている。
【0065】
ここで、チューブ34は実施例1記載のチューブ27と同様に伸縮自在であるため、容易に圧力スイッチ部31やポンプ本体25から取り外すことができる。図11、図12は本実施例の変形例であり、ポンプの設置場所によってはチューブ34の長さを変えたり、チューブ34を略S字型等に屈曲させることも可能であり、チューブ34の屈曲についてもS字型に限らず、略L字型や略U字型等としてもよい。
【0066】
以上のように本実施例は請求項5に対応しており、吸入通路3に通ずるポンプ本体25の外部に圧力スイッチ部31を備えたことにより、対象となる容器の内部圧を下げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0067】
また、本実施例は請求項7に対応しており、圧力スイッチ部31が、ポンプ本体25から着脱自在な構造である。
【0068】
この場合、圧力スイッチ部31をポンプ本体25から着脱自在な構造にすることで、圧力スイッチ部31の交換が容易になる。また、新たにポンプを設計する必要がなく、取付部(吸入口20、排出口19)のサイズが同じであれば既存のポンプに取付け可能となる。
【実施例3】
【0069】
次に、本発明の第3実施例を図13に基づき説明する。なお、ここで使用するダイヤフラムは、第1実施例と全く同じものであり、チューブ27は第2実施例と全く同じものである。したがって、第1実施例及び第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は極力省略する。
【0070】
圧力スイッチ部40は、ダイヤフラムポンプのポンプ本体25外部に位置し、蓋体18に一体に形成された排出口19に圧力スイッチ部40の外郭であるスイッチケース41のスイッチ側排出口42がチューブ34を介して着脱自在に取り付けられている。ダイヤフラムの伸縮により流体が吸入口20から吸入され、排出口19から吐出された流体がスイッチ側吸入口43からスイッチケース41内部を通過し、スイッチ側排出口42から対象となる容器内へと流入する構成となっている。
【0071】
ここで、スイッチケース41は中空な容器として形成されており、前述のスイッチ側吸入口43とスイッチ側排出口42は、スイッチケース41の一側面とこの一側面と対向する他側面にそれぞれスイッチケース41内部と外部とを連通して筒状に設けたものである。
【0072】
また、スイッチケース41内部は、スイッチ本体44が配置され、スイッチ側吸入口43からスイッチ側排出口42へと流体が通過する側の通路45と、流体の通らない側の閉塞されたスペース46とに分けられ、流体が通過する側の通路45と流体の通らないスペース46とは、ゴムなどの弾性部材からなる伸縮自在な壁面部材47により区分されている。対象となる容器の内部圧P1が所定の要求圧P0よりも低い場合(P1<P0)には、壁面部材47はスペース46側からスイッチ本体44が設置された通路45側に向かって弾性変形し、スイッチ本体44は壁面部材47に押されて通電状態となると、制御手段によりポンプが作動して、対象となる容器内の圧力が上げられる。
【0073】
一方、対象となる容器の内部圧P1が要求圧P0に達すると(P1=P0)、逆に壁面部材47は通路45側からスペース46側へと弾性変形し、壁面部材47はスイッチ本体44から離れることで通電が切れると制御手段により、ポンプが停止する。この一連の動作が繰り返されることにより、対象となる容器の内部圧P1が要求圧P0より下がった場合にも自動でポンプが作動し、内部圧P1を一定に保持することができる。
【0074】
さらに、スイッチケース41の形状はスイッチケース32同様に四角形、球形等、設計意図により変形させてもよい。また、スイッチケース32のスイッチ側吸入口35及びスイッチ側排出口33と同様にスイッチケース41のスイッチ側吸入口43、スイッチ側排出口42も同様に、その位置を変えてもよい。
【0075】
以上のように本実施例は請求項6に対応しており、ポンプ室2の流体を排出する排出通路4を備え、排出通路4に通ずるポンプ本体25外部に圧力スイッチ部41を備えた。
【0076】
この場合、対象となる容器の内部圧を上げる場合に、自動で要求圧力に調整することができる。
【0077】
また、本実施例は請求項7に対応しており、圧力スイッチ部40が、ポンプ本体25から着脱自在な構造である。
【0078】
この場合、圧力スイッチ部40をポンプ本体25から着脱自在な構造にすることで、圧力スイッチ部40の交換が容易になる。また、新たにポンプを設計する必要がなく、取付部(吸入口20、排出口19)のサイズが同じであれば既存のポンプに取付け可能となる。
【0079】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例1記載のフィルター部24と実施例2記載の圧力スイッチ部31をダイヤフラムポンプの吸入通路36側に直列して接続してもよく、この直列接続の際のフィルター部24と圧力スイッチ部31の取付順序については適宜変更可能である。さらに、ダイヤフラムポンプの吸入通路36側と排出通路36側の両方に圧力スイッチ部31,40を備えたとしてもよい。また、本発明のフィルター部24及び圧力スイッチ部31,40は各実施例に記載のダイヤフラム式のポンプに限らず、様々な種類のポンプや流体機械等に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
2 ポンプ室
3 吸入通路
4 排出通路
24 フィルター部(フィルター)
25 ポンプ本体
31 圧力スイッチ部(圧力スイッチ)
40 圧力スイッチ部(圧力スイッチ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ室に流体を吸入する吸入通路と、
前記吸入通路に通ずる外部にフィルターとを備えたダイヤフラムポンプであって、
前記フィルターが、ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記フィルターに活性炭を使用したことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記フィルターに中空糸膜を使用したことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項4】
前記フィルターを活性炭と中空糸膜の二重または多重構造としたことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項5】
前記吸入通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項6】
前記ポンプ室の流体を排出する排出通路を備え、
前記排出通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項7】
前記圧力スイッチが、前記ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とする請求項5又は6に記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項1】
ポンプ室に流体を吸入する吸入通路と、
前記吸入通路に通ずる外部にフィルターとを備えたダイヤフラムポンプであって、
前記フィルターが、ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記フィルターに活性炭を使用したことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記フィルターに中空糸膜を使用したことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項4】
前記フィルターを活性炭と中空糸膜の二重または多重構造としたことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項5】
前記吸入通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項6】
前記ポンプ室の流体を排出する排出通路を備え、
前記排出通路に通ずる外部に圧力スイッチを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項7】
前記圧力スイッチが、前記ポンプ本体から着脱自在な構造であることを特徴とする請求項5又は6に記載のダイヤフラムポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−107569(P2012−107569A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257060(P2010−257060)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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