説明

ダイヤフラムポンプ

【課題】 組立を容易とし、かつダイヤフラムポンプが組み込まれる加圧対象物の小型化と製造コストの低減を図る。
【解決手段】 蓋体35には、吐出空間37を介して吐出通路23と連通された吸入口40が設けられ、吸入口40と吸入口側空気室57とは、吸入口弁座41を介して連通している。吐出口容器45に互いに隣接して設けた排出口48aと吐出口49aとは、排出口弁座48bおよび吐出口側空気室58を介して連通されている。弁体55には、吸入口40と吐出口49aとを連通する連通路55cが設けられている。吸入口40に空気が供給されているときは、吸入口弁座41aを介して吸入口40と吸入口側空気室57とが連通している。一方、吸入口7aに空気が供給されていないときは、弁体55の弁本体55aが吸入口弁座41aに圧接し、吸入口40と吐出口49aおよび排出口48aとの間を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等の加圧対象物に流体を供給するダイヤフラムポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、吸入口および排気口を有する給湯器等の加圧対象物にダイヤフラムポンプ等から圧力を加圧した場合、ダイヤフラムポンプを停止させた後も加圧対象物内に圧力が残っており、加圧対象物と大気圧が平衡状態になるまで排気口から流体が流出するため、ダイヤフラムポンプと加圧対象物との間に、ダイヤフラムポンプを停止させた後に瞬時に圧力を減少させるための特許文献1に示すような加圧調整器を必要としていた。すなわち、従来の電動式エアーポット101は、図4に示すように、給湯器102にエアーを供給するダイヤフラムポンプ103、このダイヤフラムポンプ103の電源104、この電源104をON/OFFするスイッチ105からなる構成の他に、給湯器102とダイヤフラムポンプ103との間に特許文献1に記載されたような加圧調整器106を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−232930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来のダイヤフラムポンプにおいては、ダイヤフラムポンプとは別体に加圧調整器を必要とするため、加圧対象物にダイヤフラムポンプだけではなく加圧調整器を組み込もうとすると組立作業が煩雑となるばかりでなく、加圧対象物も大型化し、部品点数も増加するため高価になるといった問題があった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、組立を容易とし、かつダイヤフラムポンプが組み込まれる加圧対象物の小型化と製造コストの低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、ダイヤフラムによって形成され膨張・収縮するポンプ室と、このポンプ室に流体を吸入させるための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から当該吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ当該吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体とを備えたダイヤフラムポンプにおいて、前記吐出通路から吐出された流体を吸入する吸入口と、出口およびこの吐出口に隣接した排出口を有する容器と、前記吸入口と吸入口弁座を介して連通する空間と、この空間と前記吐出口とを連通させる連通路が設けられ、前記吐出通路から前記吸入口に流体が供給されているときは、排出口弁座を閉じ前記吐出口から流体を加圧対象物に供給する弁体とを備え、前記弁体は、前記吐出通路から前記吸入口に流体が供給されていないときは、前記吐出口と前記排出口とを連通させ前記吐出口を大気圧に戻すものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記弁体は、前記吐出通路から前記吸入口に流体が供給されていないときは、前記吸入口弁座を閉じ前記吸入口と前記吐出口および前記排出口との間を遮断するものである。
【0008】
本発明は、前記発明のうちのいずれかの発明において、前記弁体を、前記吸入口弁座に圧接する弁本体と、この弁本体を前記容器に支持する支持部とによって一体に形成し、前記弁本体の厚みを前記支持部の厚みよりも厚く形成したものである。
【0009】
本発明は、前記発明のうちのいずれかの発明において、前記ダイヤフラムを支持するダ イヤフラムホルダーと、前記ダイヤフラムと共にポンプ室を形成する隔壁体と、この隔壁体を覆い前記吸入口が設けられた蓋体とを備え、前記蓋体と前記容器とで前記弁体を挟持し、前記ダイヤフラムホルダー、隔壁体、蓋体および容器が積層状態で一体化されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸入口に流体が供給されていないとき、即時に加圧対象物を大気圧に戻す急排機能をダイヤフラムポンプ自体に備えたことにより、加圧対象物へのダイヤフラムポンプの組込み作業が容易になるとともに、ダイヤフラムポンプが組み込まれる加圧対象物を小型化することができる。
【0011】
本発明によれば、吸入口に流体が供給されていないとき、吸入口への流体の逆流を防止する機構をダイヤフラムポンプ自体に備えたことにより、加圧対象物へのダイヤフラムポンプの組込み作業が容易になるとともに、ダイヤフラムポンプが組み込まれる加圧対象物を小型化することができる。
【0012】
前記発明のうちの一つの発明によれば、弁本体の剛性を高くすることにより、弁本体が吸入口弁座に圧接したときのひずみを小さくすることができるので弁体による吸入口の密閉性が向上する。このため、吸入口への逆流をより一層確実に防止することができる。
【0013】
前記発明のうちの一つの発明によれば、蓋体に吸入口を形成し、この蓋体が吸入口と吸入口弁座を介して連通する空間を形成するための吸入口容器をも兼用するため、部品点数が削減され製造コストの低減を図ることができるとともに装置の小型化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】本発明に係るダイヤフラムポンプにおいて、吐出通路から吸入口に流体が供給されている状態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るダイヤフラムポンプを用いた自動給湯器の構成図である。
【図4】従来のダイヤフラムポンプを用いた自動給湯器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
図1に、全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、上方が開口され平面視四角形の底部を有する有底筒状に形成されたケース2と、このケース2の底部の外側に固定されたモータ3とを備えており、このモータ3の出力軸3aはケース2の底部の孔からケース2内に突出され、突出端部にはクランク台4が軸着されている。
【0017】
5は下部がクランク台4の出力軸3aから偏心した部位に、出力軸3aの軸線方向に対して傾斜した状態で軸着された駆動軸であって、他端部(上部)が駆動体6の中央部に設けた非貫通穴7内に嵌挿されており、駆動体6はこの駆動軸5に回転自在に枢支されている。この駆動体6には、非貫通孔7と略直交するように一対の駆動子8,8が先端に向かって共に下方に同じ角度だけわずかに傾斜するように形成されており、各駆動子8,8の先端部にはダイヤフラム部取付孔9,9が設けられている。
【0018】
10は下方が開口され平面視四角形の上板を有する有底筒状に形成されたダイヤフラムホルダーであって、上板には平面視において円周方向に互いに180°間隔をおいた二つの保持孔11,11が設けられており、ケース2の上部開口端に載置されている。15はダイヤフラムであって、ダイヤフラムホルダー10の保持孔11,11に挿入される平面視において円周方向に互いに180°間隔をおいた二つのダイヤフラム部16,16が設けられている。
【0019】
これらダイヤフラム部16,16の下部には、ピストン17,17が設けられており、各ピストン17の下部には、細径の首部18を介して係止用の凸部19が一体に形成されている。このダイヤフラム15は、ダイヤフラム部16の凸部19を弾性変形させながら、駆動体6の駆動子8のダイヤフラム部取付孔9に圧入することにより、首部18がダイヤフラム部取付孔9に取り付けられて、ダイヤフラムホルダー10上に載置される。
【0020】
20は平面視四角形の底部21と筒部22とによって上方が開口され有底筒状に形成された隔壁体としてのバルブホルダーである。底部21の略中央部には、後述する各ポンプ室30A,30Bに連通され、このポンプ室30A,30B内の空気を吐出するための吐出通路23,23(一方の吐出通路23は図示を省略)が設けられており、両端部には各ポンプ室30A,30Bに連通され、このポンプ室30A,30B内に空気を吸入させるための吸入通路24,24(一方の吸入通路24は図示を省略)が設けられている。また、底部21の中央部には凸部25が立設されており、この凸部25の周りには、吐出通路23と吸入通路24とを隔てるように平面視リング状の隔壁26が立設されている。
【0021】
28はバルブホルダー20の底部21に取り付けられた吸入用弁体であって、前記吸入通路24に設けられポンプ室30A,30Bから当該吸入通路24への空気の逆流を規制する。29はバルブホルダー20の凸部25に取り付けられた吐出用弁体であって、前記吐出通路23に設けられ当該吐出通路23からポンプ室30A,30Bへの空気の逆流を規制する。このバルブホルダー20は、ダイヤフラムホルダー10と共にダイヤフラム15を挟持するようにダイヤフラムホルダー10の上板に載置され、載置されることにより、ダイヤフラム15の各ダイヤフラム部16とともにポンプ室30A,30Bを形成する。
【0022】
35は下方が開口され平面視四角形の上板42と円筒部43とによって有底筒状に形成された蓋体であって、バルブホルダー20を覆うようにバルブホルダー20の開口端に載置され、載置されることにより、上板42に設けられたリング状の隔壁36がバルブホルダー20の隔壁26と協働して、吐出通路23と連通される吐出空間37および吸入通路24と連通される吸入空間38を形成する。このとき、隔壁36の一部が吐出用弁体29に係合し、吐出用弁体29の凸部25からの脱落を規制する。蓋体35の円筒部43には、ダイヤフラムポンプ1の外部から吸入空間38に空気を流入させる流入口39が設けられている。また、蓋体35の上板42の中央部には、前記吐出通路23から吐出空間37に吐出された空気を後述する吸入口側空気室57へ吸入する吸入口40が設けられている。また、この吸入口40に対応して、蓋体35の上板42には、後述する吐出口容器45側に向かって円筒部41が突設されており、この円筒部41の上面は、吸入口40と吸入口側空気室57とを連通させる吸入口弁座41aを形成している。
【0023】
45は下方が開口され平面視四角形の上板46と筒部47とによって有底筒状に形成された吐出口容器であって、上板46の中央部には、上記吸入口40に対応して、大気に開放された排出口48aを有する排出円筒部48が吐出口容器3の内側および外側に向かって突設されている。この排出円筒部48の吐出口容器45の内側に突設された下端面は、排出口48aと後述する吐出口49aとを連通する排出口弁座48bを形成している。吐出口容器45の上板46には、上記排出筒部48に隣接して、吐出口49aを有する吐出円筒部49が吐出口容器45の外側に向かって突設されている。また、吐出口容器45の上板46の内側には、排出円筒部48と同心円上に形成された凹部50が設けられている。
【0024】
55は全体がゴム等の弾性材によって円板状に形成された弁体であって、中央部に位置し上記吸入口弁座41aおよび排出口弁座48bに選択的に圧接される円板状に形成された弁本体55aと、この弁本体55aの周囲に設けられた支持部55bとによって一体に形成されている。このうち、弁本体55aには、後述する吸入口側空気室57および吐出口側空気室58を介して、吸入口40と吐出口49aとを連通する小孔である連通路55cが設けられている。また、この弁本体55aは、吸入口弁座41aおよび排出口弁座48bを圧接する際、ひずみが発生しない程度の剛性を有しており、支持部55bよりも厚みが厚く形成されている。支持部55bは、撓みやすいように断面が湾曲状に形成されている。
【0025】
この弁体55は、支持部55bの外周部を蓋体35および吐出口容器45の各筒部43,47の互いの接合面43a,47a間に挟持される。このように、弁体55が蓋体35と吐出口容器45とに挟持されることにより、蓋体35と弁体55との間に、吸入口弁座41aを介して吸入口40と連通路55cとを連通させる円筒状の吸入口側空気室57が形成される。同時に、吐出口容器45と弁体55との間に、排出口弁座48bを介して排出口48aと吐出口49aとを連通させる円筒状の吐出口側空気室58が形成される。59は凹部50と弁体55の弁本体55a間に弾装された圧縮コイルばねであって、弁本体55aを吸入口弁座41a側(矢印A方向)に押圧する。これらケース2、ダイヤフラムホルダー10、バルブホルダー20、蓋体35および吐出口容器45が、ばね60によって積層状態で結合され一体化されている。
【0026】
次に、図1〜図3を用いて、このように構成されたダイヤフラムポンプによって給湯器に空気を供給する動作について説明する。図3において、61はダイヤフラムポンプ1の電源であって、スイッチ62をONすることによりダイヤフラムポンプ1のモータ3が駆動される。ダイヤフラムポンプ1の吐出口49aがエアーチューブ64を介して給湯器65に接続されている。
【0027】
このような構成において、ダイヤフラムポンプ1の流入口39および排出口48aを大気に開放した状態として、スイッチ62をONとすることにより、モータ3を駆動させ出力軸3aを回転させると、クランク台4も一体的に回転し、駆動軸5が傾斜した状態で回転するため、駆動体6は、一対の駆動子8,8の先端部が図中上下方向へ往復動しながら回転する。
【0028】
したがって、二つのダイヤフラム部16,16が交互に上下方向に往復動するため、二つのポンプ室30A,30Bも交互に拡縮する。ポンプ室30A,30Bが拡張することにより、ポンプ室30A,30B内が負圧状態となって流入口39を介して大気中の空気が吸入空間38および吸入通路24を通ってポンプ室30A,30B内に吸入される。
【0029】
一方、ポンプ室30A,30Bが収縮すると、ポンプ室30A,30B内の空気は圧力が上昇するので吐出通路23および吐出空間37を通って吸入口40にエアーが供給され、吸入口40側が加圧される。
【0030】
このように、吸入口40側が加圧されると、吸入口40に供給された空気は、吸入口側空気室57から小孔である流通路55cを通り、吐出口側空気室58へ入る。この小孔である流通路55cを通ることにより圧力損失が発生し、吐出口側空気室58内の空気の圧力よりも吸入口側空気室57内の空気の圧力の方が高くなる。したがって、吸入口側空気室57内の空気の圧力が圧縮コイルばね50の弾発力よりも大きくなると、図2に示すように空気の圧力によって弁体55が圧縮コイルばね20の弾発力に抗して矢印B方向へ押し上げられ、弁本体55aが排出口弁座48bを圧接して排出口弁座48bを閉じ、排出口48aと吐出口49aとの間が遮断される。同時に、吸入口弁座41aを介して吸入口40と吸入口側空気室57とが連通される。したがって、吐出通路23から吸入口40に供給された空気は、矢印に示すように、吸入口弁座41aを介して、吸入口側空気室57、流通路55c、吐出側空気室58を通って、吐出口49aから吐出され、加圧対象物である給湯器65に供給される。
【0031】
一方、吐出通路23から吸入口40への空気の供給が停止すると、吸入口側空気室57内の圧力が流通路55cを通り、吸入口側空気室57内の圧力と吐出口側空気室58内の圧力が同じになることにより、図1に示すように圧縮コイルばね50の弾発力によって弁体55が矢印A方向へ押し下げられて、排出口弁座48bを介して排出口48aと吐出口49aとが連通され、吐出口49a内が大気圧となる。このように、このダイヤフラムポンプ1は吐出口49a内の圧力を即時に大気圧に戻す急排機能を有している。同時に、弁本体55aが吸入口弁座41aに圧接して吸入口弁座41aを閉じ、吸入口40と吸入口側空気室57との間、すなわち吸入口40と排出口48aおよび吐出口49aとの間が遮断される。
【0032】
このように、吸入口40への空気の供給を停止すると、即時に吐出口49a内の圧力を大気圧に戻すため吐出口49aから加圧対象物である給湯器65への空気の流出を即時に停止し、同時に弁体55の弁本体55aが吸入口弁座41aに圧接し、吸入口40と排出口48aおよび吐出口49aとの間を遮断するため、吐出口49a側から吸入口40への空気の逆流を防止することができる。
【0033】
また、弁本体55aが吸入口弁座41aに圧接したとき、弁本体55aの厚みが支持部55bの厚みよりも厚く形成され、充分な剛性を有しているため、弁本体55aにひずみが発生しない。このため、弁本体55aと吸引口弁座41aとの密着状態が維持されるから、吸入口40と排出口48aおよび吐出口49aとの間をより一層確実に遮断でき、吐出口49a側から吸入口40への空気の逆流をより一層確実に防止することができる。
【0034】
このように、吸入口40側の加圧を停止すると、即時に吐出口49a内の圧力を大気圧に戻すため吐出口49aから加圧対象物である給湯器65への空気の流出を即時に停止する。同時に、弁体55の弁本体55aが吸入口弁座41aに圧接し、吸入口40と排出口48aおよび吐出口49aとの間を遮断するため、図3において、吸入口40側の加圧が停止したとき、給湯器65内が加熱状態のときに発生する水蒸気で加圧されたとしても、吐出口49a、吐出口側空気室58、弁体55の流通路55c、吸入口側空気室57を介して、ダイヤフラムポンプ1の吸入口40へ水蒸気が侵入するようなことがない。
【0035】
以上説明したように、本発明のダイヤフラムポンプ1によれば、吸入口40に空気が供給されていないとき、即時に加圧対象物を大気圧に戻す急排機能と給湯器65から吸入口40への水蒸気の逆流を防止する機構をダイヤフラムポンプ1自体に備えたことにより、給湯器65へのダイヤフラムポンプ1の組込みが容易になるとともに、ダイヤフラムポンプ1が組み込まれる給湯器65を小型化することができる。
【0036】
また、弁本体55aの剛性を高くすることにより、弁本体55aが吸入口弁座41aに圧接したときのひずみを小さくすることができるので弁体55による吸入口40の密閉性が向上する。このため、給湯器65からの吸入口40への逆流をより一層確実に防止することができる。
【0037】
また、蓋体35に吸入口40を形成し、この蓋体35が吸入口側空気室57を形成するための吸入口容器をも兼用するため、部品点数が削減され製造コストの低減を図ることができるとともに装置の小型化も図ることができる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、吸入用弁体28および吐出用弁体29を個別に設けた例を説明したが、これら弁体28,29の少なくともいずれか一方をダイヤフラム15に一体に設けたものでもよい。また、本実施の形態においては、流体を空気とした例を説明したが、液体としてもよく、その場合、空気室57,58を液体室とすればよい。また、ポンプ室30A,30Bが二つである、いわゆる2気筒のダイヤフラムポンプを例に挙げたが、1気筒でも3気筒以上でもよい。また、平面視四角形としたダイヤフラムポンプについて説明したが、必要に応じて、平面視円形や多角形としたものでもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…ダイヤフラムポンプ、15…ダイヤフラム、20…バルブホルダー(隔壁体)、23…吐出通路、24…吸入通路、28…吸入用弁体、29…吐出用弁体、30A,30B…ポンプ室、35…蓋体、40…吸入口、41a…吸入口弁座、45…吐出口容器、48a…排出口、48b…排出口弁座、49a…吐出口、55…弁体、55a…弁本体、55b…支持部、57…吸入口側空気室、58…吐出口側空気室、59…圧縮コイルばね、60…ばね、65…給湯器(加圧対象物)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムによって形成され膨張・収縮するポンプ室と、このポンプ室に流体を吸入させるための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から当該吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ当該吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体とを備えたダイヤフラムポンプにおいて、
前記吐出通路から吐出された流体を吸入する吸入口と、
吐出口およびこの吐出口に隣接した排出口を有する容器と、
前記吸入口と吸入口弁座を介して連通する空間と、
この空間と前記吐出口とを連通させる連通路が設けられ、前記吐出通路から前記吸入口に流体が供給されているときは、排出口弁座を閉じ前記吐出口から流体を加圧対象物に供給する弁体とを備え、
前記弁体は、前記吐出通路から前記吸入口に流体が供給されていないときは、前記吐出口と前記排出口とを連通させ前記吐出口を大気圧に戻すことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記弁体は、前記吐出通路から前記吸入口に流体が供給されていないときは、前記吸入口弁座を閉じ前記吸入口と前記吐出口および前記排出口との間を遮断することを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記弁体を、前記吸入口弁座に圧接する弁本体と、この弁本体を前記容器に支持する支持部とによって一体に形成し、前記弁本体の厚みを前記支持部の厚みよりも厚く形成したことを特徴とする請求項1または2記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項4】
前記ダイヤフラムを支持するダイヤフラムホルダーと、前記ダイヤフラムと共にポンプ室を形成する隔壁体と、この隔壁体を覆い前記吸入口が設けられた蓋体とを備え、
前記蓋体と前記容器とで前記弁体を挟持し、
前記ダイヤフラムホルダー、隔壁体、蓋体および容器が積層状態で一体化されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のダイヤフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−172577(P2012−172577A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34540(P2011−34540)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000121833)応研精工株式会社 (31)
【Fターム(参考)】