説明

ダイヤフラムポンプ

【課題】 ダイヤフラムポンプにおいて、小型化、高出力化および省電力化を図る。
【解決手段】 ダイヤフラムポンプ1は、二つのポンプヘッド2,3とこれを駆動する一つのモータ4とからなる。モータ4の上下には、モータ4を駆動することにより同時に回転する二本の出力軸5a,5bが互いに反対方向に突出している。各ポンプヘッド2,3のクランク台12,12のそれぞれは、各出力軸5a,5bの回転と一体的に回転し、吸入口27aからエアーがポンプ室22に吸入され、吐出口26aからエアーが吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用シート等に流体を供給するダイヤフラムポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のダイヤフラムポンプとしては、ダイヤフラムによって形成され拡縮するポンプ室と、このポンプ室に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記ポンプ室から吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−056465号公報(段落〔0003〕〜〔0006〕、図5および図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のダイヤフラムポンプにおいて、近年、特に求められているものは小型化と高出力化である。ダイヤフラムポンプの性能は、ダイヤフラムの容積とモータの回転数とに依存される。高出力化を達成するためにモータの回転数を上げるとモータの耐久性が低下し、騒音も大きくなるため自ずと限界がある。このため、高出力化するには、ダイヤフラムの容積を大きくする必要があるが、この場合ポンプの外形が大きくなり、ポンプを収納するためのスペースが大きくなるというだけでなく消費電力が増大するという問題があった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、小型化、高出力化および省電力化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、モータの出力軸と一体的に回転するクランク台と、ダイヤフラムによって形成され前記クランク台の回転にともなって拡縮するポンプ室と、このポンプ室に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記ポンプ室から吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出弁体とを備えたポンプヘッドを二つ設け、前記モータの出力軸が互いに反対方向へ突出され、各出力軸と前記二つのポンプヘッドのそれぞれのクランク台とが一体的に回転するものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記クランク台が軸受によって前記モータが取り付けられる取付台に回転自在に支持されているものである。
【0008】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記クランク台に前記モータの出力軸が嵌合する軸孔が設けられ、出力軸は軸孔に対して軸線方向に摺動自在で回転方向に空回りが規制されているものである。
【0009】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記二つのポンプヘッドの各吐出通路を一つの加圧対象物に接続したものである。
【0010】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記二つのポンプヘッドの各吸入通路を一つの減圧対象物に接続したものである。
【0011】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、一方のポンプヘッドの吐出通路を加圧対象物に接続し、他方のポンプヘッドの吸入通路を減圧対象物に接続したものである。
【0012】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、一方のポンプヘッドの吐出通路を他方のポンプヘッドの吸入通路に接続し、この他方のポンプヘッドの吐出通路を加圧対象物に接続したものである。
【0013】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、減圧対象物を一方のポンプヘッドの吸入通路に接続し、この一方のポンプヘッドの吐出通路を他方のポンプヘッドの吸入通路に接続したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一つのモータによって二つのポンプヘッドを稼動することができるため、小型化、高出力化、省電力化および耐久性を向上させることが可能になる。
【0015】
前記発明のうちの一つの発明によれば、一つのモータによって、加圧対象物に対する加圧と減圧対象物に対する減圧とを同時に行うことができる。
【0016】
前記発明のうちの一つの発明によれば、同じ出力のモータと比較して供給する流体の流量を増加させることができる。
【0017】
前記発明のうちの一つの発明によれば、同じ出力のモータと比較して供給する流体の圧力を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】本発明に係るダイヤフラムポンプにおいて、要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明に係るダイヤフラムポンプにおいて、要部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明に係るダイヤフラムポンプにおいて、モータの出力軸とクランク台の軸孔との嵌合構造を説明するために拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明に係るダイヤフラムポンプの第1の使用例を説明するための模式図である。
【図6】本発明に係るダイヤフラムポンプの第2の使用例を説明するための模式図である。
【図7】本発明に係るダイヤフラムポンプの第3の使用例を説明するための模式図である。
【図8】本発明に係るダイヤフラムポンプの第4の使用例を説明するための模式図である。
【図9】本発明に係るダイヤフラムポンプの第5の使用例を説明するための模式図である。
【図10】本発明に係るダイヤフラムポンプの第6の使用例を説明するための模式図である。
【図11】本発明に係るダイヤフラムポンプの第7の使用例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。なお、明細書中において方向を説明するために使用した「上、下」は、説明の便宜上図中における方向をいうものであって、本発明に係るダイヤフラムポンプを実際に使用する際の上、下の方向とは必ずしも一致するものではない。
【0020】
図1に全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、二つのポンプヘッド2,3と、これらポンプヘッド2,3を駆動する一つのモータ4とからなる。二つのポンプヘッド2,3は、互いに反対方向を指向するように、モータ4の筺体の上部および下部のそれぞれに各ケース11,11の底部が取り付けられている。モータ4は、一本の回転軸5がモータ4内の上下に設けられた二つの軸受6,6によって回転自在に支持され、この回転軸5がモータ4を貫通するように筺体の両端から互いに反対方向に突出して二本の出力軸5a,5bを形成する両軸タイプであって、駆動されることにより出力軸5a,5bが同時に回転する。出力軸5a,5bは、図4に示すように断面がD字状に形成され、いわゆるDカット処理が施されている(出力軸5bは図示を省略)。
【0021】
二つのポンプヘッド2,3は共に同一部材によって同一の構成を有しているので、二つのポンプヘッド2,3を構成する同一部材については同じ符号を付し、ここでは、一方のポンプヘッド2のみを詳細に説明し、他方のポンプヘッド3については詳細な説明は省略し、必要に応じて適宜説明する。
【0022】
ポンプヘッド2は平面視四角形の底部を有する略有底筒状に形成された取付台としてのケース11を備えており、モータ4の出力軸5aがケース11の底部に設けた穴からケース11内に臨んでいる。12は略角柱状に形成されたクランク台であって、図2に示すように中央部にモータ4の出力軸5aが嵌合される断面D字状に形成された非貫通穴の軸穴12aが設けられている。このクランク台12は、軸穴12aの周りに突設した円柱部12bが玉軸受13を介してケース11の底部に立設した軸受座11aに回転自在に支持されている。また、クランク台12の出力軸5aが軸着された中心部から偏心した位置には、駆動軸14の下部が出力軸5aに対して傾斜した状態で固定されている。
【0023】
駆動軸14の上部は、駆動体15の中央部に設けられた非貫通孔内に嵌挿されており、駆動体15はこの駆動軸14に回転自在に枢支されている。この駆動体15には、非貫通孔と略直交するように平面視において円周方向に等角度おいて中心から放射状に延設された四個の駆動子16が一体に形成され、これら駆動子16は中心から先端に向かっていずれも同じ角度だけ下方に傾斜している。
【0024】
18は下方が開口され平面視四角形の上板を有する有底筒状に形成されたダイヤフラムホルダーであって、ケース11の上部開口端に載置される。19は平面視において円周方向に互いに90°の間隔をおいて四つのダイヤフラム部19aが形成されたダイヤフラムであって、各ダイヤフラム部19aにはピストン部19bが一体に形成されている。このダイヤフラム19は、各ダイヤフラム部19aがダイヤフラムホルダー18の上板に形成された四つのダイヤフラム部保持孔に挿入され、ピストン部19bの下部が駆動体15の各駆動子16の先端部に取り付けられる。
【0025】
20は略平板状に形成されたバルブホルダーであって、略中央部には後述する各ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路20aが設けられており、この吐出通路20aの周りに各ポンプ室内に流体を吸入する吸入通路20bが設けられている。また、バルブホルダー20の表面側の中央部には凸部20cが立設されている。
【0026】
このバルブホルダー20は、ダイヤフラムホルダー18とともにダイヤフラム19を挟持しており、このバルブホルダー20と各ダイヤフラム部19aとによって四つのポンプ室22が形成される。23はバルブホルダー20の凸部20cに取り付けられ吐出通路20aを開閉し、閉じることにより吐出通路20aからポンプ室22への流体の逆流を規制する吐出用弁体である。24は吸入通路20bを開閉し、閉じることによりポンプ室22から吸入通路20bへの流体の逆流を規制する吸入用弁体である。
【0027】
25は平面視四角形の蓋体であって、バルブホルダー20を覆うようにバルブホルダー20に載置され、載置されることによりこの蓋体25に設けられた平面視四角形の隔壁25aによって、吐出通路20aと連通される吐出空間25bおよび吸入通路20bと連通される吸入空間25cが形成される。このとき、蓋体25に設けられた係合部25dが吐出用弁体23に係合し、吐出用弁体23の凸部20cからの脱落を規制する。
【0028】
また、蓋体25の表面の中央部には、吐出通路20aから吐出空間25aに吐出された流体を外部に吐出する吐出口26aを有する吐出筒部26が立設されている。また、蓋体25の表面の吐出円筒部26に隣接した部位には、外部から吸入空間25c内に流体を吸入する吸入口27aを有する吸入筒部27が立設されている。これらケース11、ダイヤフラムホルダー18、バルブホルダー20および蓋体25は、積載状態でばね28によって一体化されている。29はモータ4の電源端子であって、他方のポンプヘッド3のケース11内に収容されており、図示を省略したケーブルがダイヤフラムポンプ1の外部に導出されている。
【0029】
このような構成において、モータ4を駆動し出力軸5a,5bを回転させ、二つのポンプヘッド2,3の各クランク台12を出力軸5a,5bと一体的に回転させると、駆動軸14が出力軸5a,5bの周りを傾斜方向を変えるようにして偏心回転する。したがって、駆動体15の四つの駆動子16が順次上下に揺動し、ダイヤフラム19の四つのダイヤフラム部19aも順次上下動する。このダイヤフラム部19aの上下動は、モータ4を挟んで二つのポンプヘッド2,3内で行われるので、軸受6,6に対する軸方向の荷重の加わり方が安定しない状態となり、ダイヤフラムポンプのサイズや求められる性能によっては、軸受6,6に余計な負荷がかかり、軸受6,6の摩耗が促進されるおそれがある。
【0030】
本実施例においては、上述したように、玉軸受13によってクランク台12を支持することにより、軸受6,6に対する軸方向への荷重が直接かからないようにしたので、軸受6の耐久性を向上させることができる。また、出力軸5a,5bをDカット処理を施したことにより、クランク台12の軸孔12aに対して、出力軸5a,5bが軸方向に移動可能になる。このため、クランク台に出力軸を固定した場合と比較して、軸受6に対する軸方向へかかる荷重が軽減されるため、軸受6の耐久性を向上させることができる。
【0031】
この四つのダイヤフラム部19aが順次上下動することにより、四つのポンプ室22も順次拡張するので、拡張したポンプ室22が負圧状態になり、吸入口27aから吸入空間25cを経て吸入通路20bを通った流体がポンプ室22内に吸入される。モータ4の出力軸5a,5bがさらに回転すると、拡張したポンプ室22のダイヤフラム部19aが上方に移動しポンプ室22が収縮するので、ポンプ室22内の流体の圧力が上昇し、ポンプ室22内の流体は吐出通路20aを通って吐出空間25bに吐出される。ポンプ室22の拡張・収縮動作は各ポンプ室22において順次連続して行われるので、各吐出通路20aから吐出された流体は、吐出空間25bによって集められて一つの吐出口26aから連続して吐出される。
【0032】
次に、図5〜図11を用いて、このように構成されたダイヤフラムポンプ1の使用方法について説明する。先ず、図5を用いて、第1の使用例について説明する。この第1の使用例では、第1の加圧対象物31Aにエアーチューブ32を介して、ダイヤフラムポンプ1の一方のポンプヘッド2の吐出口26aを接続するとともに、吸入口27aを大気に開放する。同時に、第2の加圧対象物31Bにエアーチューブ33を介して、ダイヤフラムポンプ1の他方のポンプヘッド3の吐出口26aを接続するとともに、吸入口27aを大気に開放する。
【0033】
この状態で、モータ4を駆動すると、一方のポンプヘッド2から第1の加圧対象物31Aにエアーが供給されるとともに、他方のポンプヘッド3から第2の加圧対象物31Bにエアーが供給される。この場合、ポンプヘッド2,3は共に加圧用ポンプとして機能し、一台のダイヤフラムポンプ1によって二つの加圧対象物31A,31Bに同時に加圧することが可能になる。
【0034】
次に、図6を用いて、第2の使用例について説明する。この第2の使用例では、加圧対象物31にエアーチューブ32を介して、ダイヤフラムポンプ1の一方のポンプヘッド2の吐出口26aを接続するとともに、吸入口27aを大気に開放する。同時に、同じ加圧対象物31にエアーチューブ33を介して、ダイヤフラムポンプ1の他方のポンプヘッド3の吐出口26aを接続するとともに、吸入口27aを大気に開放する。
【0035】
この状態で、モータ4を駆動すると、一方のポンプヘッド2から加圧対象物31にエアーが供給されるとともに、他方のポンプヘッド3から同じ加圧対象物31にエアーが供給される。この場合、ポンプヘッド2,3は共に加圧用ポンプとして機能し、一台のダイヤフラムポンプ1によって一つの加圧対象物31に二台分の流量のエアーを供給することが可能になる。
【0036】
次に、図7を用いて、第3の使用例について説明する。この第3の使用例では、第1の減圧対象物35Aにエアーチューブ32を介して、ダイヤフラムポンプ1の一方のポンプヘッド2の吸入口27aを接続するとともに、吐出口26aを大気に開放する。同時に、第2の加圧対象物35Bにエアーチューブ33を介して、ダイヤフラムポンプ1の他方のポンプヘッド3の吸入口27aを接続するとともに、吐出口26aを大気に開放する。
【0037】
この状態で、モータ4を駆動すると、第1の加圧対象物31Aから一方のポンプヘッド2にエアーが吸引されるとともに、第2の加圧対象物31Bから他方のポンプヘッド3にエアーが吸引される。この場合、ポンプヘッド2,3は共に減圧用ポンプとして機能し、一台のダイヤフラムポンプ1によって二つの減圧対象物31A,31Bに同時に吸引することが可能になる。
【0038】
次に、図8を用いて、第4の使用例について説明する。この第4の使用例では、減圧対象物35にエアーチューブ32を介して、ダイヤフラムポンプ1の一方のポンプヘッド2の吸入口27aを接続するとともに、吐出口26aを大気に開放する。同時に、同じ減圧対象物35にエアーチューブ33を介して、ダイヤフラムポンプ1の他方のポンプヘッド3の吸入口27aを接続するとともに、吐出口26aを大気に開放する。
【0039】
この状態で、モータ4を駆動すると、減圧対象物35から一方のポンプヘッド2にエアーが吸引されるとともに、同じ減圧対象物35から他方のポンプヘッド3にエアーが吸引される。この場合、ポンプヘッド2,3は共に減圧用ポンプとして機能し、一台のダイヤフラムポンプ1によって一つの減圧対象物35に二台分の流量のエアーを吸引することが可能になる。
【0040】
次に、図9を用いて、第5の使用例について説明する。この第5の使用例では、加圧対象物31にエアーチューブ32を介して、ダイヤフラムポンプ1の一方のポンプヘッド2の吐出口26aを接続するとともに、吸入口27aを大気に開放する。同時に、減圧対象物35にエアーチューブ33を介して、ダイヤフラムポンプ1の他方のポンプヘッド3の吸入口27aを接続するとともに、吐出口26aを大気に開放する。
【0041】
この状態で、モータ4を駆動すると、一方のポンプヘッド2から加圧対象物31にエアーが供給されるとともに、減圧対象物35から他方のポンプヘッド3にエアーが吸引される。この場合、一方のポンプヘッド2は加圧用ポンプとして機能し、他方のポンプヘッド3は減圧用ポンプとして機能し、一台のダイヤフラムポンプ1によって加圧対象物31へ加圧できるとともに、減圧対象物35を減圧できるというように、一台のダイヤフラムポンプ1によって加圧と減圧との別々の用途に使用することが可能になる。
【0042】
次に、図10を用いて、第6の使用例を説明する。この第6の使用例では、ダイヤフラムポンプ1の一方のポンプヘッド2の吸入口27aを大気に開放し、吐出口26aと他方のポンプヘッド3の吸入口27aとをエアーチューブ32で接続する。同時に、他方のポンプヘッド3の吐出口26aと加圧対象物31とをエアーチューブ33を介して接続する。
【0043】
この状態で、モータ4を駆動すると、一方のポンプヘッド2から他方のポンプヘッド3にエアーが供給され、供給された高圧のエアーが他方のポンプヘッド3から加圧対象物31に供給される。この場合、一方のポンプヘッド2は一段目加圧用として機能し、他方のポンプヘッド3は二段目加圧用として機能することにより、一段目で圧縮されたエアーを二段目でさらに圧縮することで約1.5倍の圧力まで加圧対象物31内のエアーを加圧することが可能になる。
【0044】
次に、図11を用いて、第7の使用例を説明する。この第7の使用例では、ダイヤフラムポンプ1の一方のポンプヘッド2の吐出口26aを大気に開放し、吸入口27aと他方のポンプヘッド3の吐出口26aとをエアーチューブ32で接続する。同時に、他方のポンプヘッド3の吸入口27aと減圧対象物35とをエアーチューブ33を介して接続する。
【0045】
この状態で、モータ4を駆動すると、他方のポンプヘッド3から一方のポンプヘッド2にエアーが吸引され、さらに減圧対象物35から他方のポンプヘッド3へエアーが吸引される。この場合、一方のポンプヘッド2は一段目減圧用として機能し、他方のポンプヘッド3は二段目減圧用として機能することにより、一段目で圧縮されたエアーを二段目でさらに圧縮することで約1.5倍の圧力まで減圧対象物31内のエアーを減圧することが可能になる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、ポンプ室22が四つある、いわゆる4気筒のダイヤフラムについて説明したが、3気筒以下、あるいは5気筒以上のものでもよい。また、ポンプヘッド2,3においては、吐出用弁体23や吸入用弁体24がダイヤフラム19と別体に形成されたものを説明したが、ダイヤフラムと一体に形成したものでもよく、要はモータの出力軸と一体的に回転するクランク台と、このクランク台の回転にともなって拡縮するポンプ室と、このポンプ室から吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、吐出通路からポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体とを備えたものであればよい。また、クランク台12の軸穴12aとモータ4の出力軸5a,5bとの間の空回り規制構造としてDカット処理を施したものを説明したが、Hカット処理を施したものでもよく、要は出力軸5a,5bが軸孔12aに対して軸線方向に摺動自在で回転方向に空回りの規制がされた構造であればよい。
【符号の説明】
【0047】
1…ダイヤフラムポンプ、2,3…ポンプヘッド、4…モータ、5…回転軸、5a,5b…出力軸、6…軸受、12…クランク台、12a…軸孔、13…玉軸受、19…ダイヤフラム、19a…ダイヤフラム部、20a…吐出通路、20b…吸入通路、22…ポンプ室、23…吐出用弁体、24…吸入用弁体、26a…吐出口、27a…吸入口、31,31A,31B…加圧対象物、35,35A,35B…減圧対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの出力軸と一体的に回転するクランク台と、ダイヤフラムによって形成され前記クランク台の回転にともなって拡縮するポンプ室と、このポンプ室に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記ポンプ室から吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出弁体とを備えたポンプヘッドを二つ設け、前記モータの出力軸が互いに反対方向へ突出され、各出力軸と前記二つのポンプヘッドのそれぞれのクランク台とが一体的に回転することを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記クランク台が軸受によって前記モータが取り付けられる取付台に回転自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記クランク台に前記モータの出力軸が嵌合する軸孔が設けられ、出力軸は軸孔に対して軸線方向に摺動自在で回転方向に空回りが規制されていることを特徴とする請求項1または2記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項4】
前記二つのポンプヘッドの各吐出通路を一つの加圧対象物に接続したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項5】
前記二つのポンプヘッドの各吸入通路を一つの減圧対象物に接続したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項6】
一方のポンプヘッドの吐出通路を加圧対象物に接続し、他方のポンプヘッドの吸入通路を減圧対象物に接続したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項7】
一方のポンプヘッドの吐出通路を他方のポンプヘッドの吸入通路に接続し、この他方のポンプヘッドの吐出通路を加圧対象物に接続したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項8】
減圧対象物を一方のポンプヘッドの吸入通路に接続し、この一方のポンプヘッドの吐出通路を他方のポンプヘッドの吸入通路に接続したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のダイヤフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−188983(P2012−188983A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52542(P2011−52542)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000121833)応研精工株式会社 (31)
【Fターム(参考)】