説明

ダウンシフトの見込み実行および自動変速機の制御の方法

本発明は、自動変速機を備え、且つ所定のダウンシフト曲線に従って下位のギアへの変更を強制する変速規則を含む車両において、上り坂を走行中にダウンシフトを見込み実行する方法に関し、この方法は、現在のギア(R)での最大トルクで達成可能な加速度aest(Cm_max)が車両速度を維持するのに必要な加速度閾値より低いときには、変速規則によるギア設定とは独立に、変速機が下位のギア(R−1)への変更を強制されることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の制御に関し、特に、所定のダウンシフト曲線に従って既に下位のギアへの変更を強制する変速規則をもつ自動変速機を備えた車両における、上り坂を走行しているときのダウンシフトの制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動変速機を備えた車両が上り坂を走行しているときに、変速機は、トルクをより多く確保して運転者に提供するように、その動作を適応させる。従来、変速機は、傾斜度を推測し、その傾斜に応じて変速規則を適用する。このようにして、上り坂の走行中には、より高回転でギアチェンジが実行される。
【0003】
しかしながら、様々な道路プロファイルに適応させて変速規則を微調整することは、複雑な操作である。
【0004】
このため、特許文献1は、上り坂を走行するときに自動変速機の動作を適応させる別の方法を提案している。この方法は、アップシフトの後に車両が達成可能であると考えられる加速度を予測することに基づいている。このような予測によって、変速機において適用される変速規則によりアップシフトが要求された場合にそれを実行するか否かについて、機会を判断することが可能となる。
【0005】
この文献によると、ギアチェンジの後に達成可能な加速度は、現在の加速度、現在のエンジントルク、および変速の前後でのトルク差に基づいて、算出される。そして、ギアチェンジの後に達成可能であると考えられる加速度が、快適閾値と呼ばれる閾値より大きい場合にのみ、アップシフトが許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2842579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この方法の2つの主な欠点は、1つは、アップシフトの後に達成可能な加速度の予測が不十分であること、もう1つは、アップシフトのギアチェンジのみが傾斜に適応させられることである。実際には、ダウンシフトは、変速規則に基づくか、あるいは、適用が難しい、足を持ち上げることによる速度損失の基準に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、変速を見込み実行する方法において加速度の予測を向上させることを目的とする。
【0009】
本発明は、特に、ダウンシフトを傾斜に自動的に適応させる方法を提案し、これによって、上り坂の走行に適応させて規則を微調整する必要性を排除する。
【0010】
この目的のため、本発明では、現在のギアでの最大トルクで達成可能な加速度が車両の速度を維持するのに必要な加速度閾値より低いときには、変速規則によるギア設定とは独立に、変速機は下位のギアへの変更を強制される。
【0011】
好ましくは、上記達成可能な加速度は、ペダルを踏み込むことによるブースト要求の際に現在のギアで達成可能な最大エンジントルクに対応する車輪トルクと、現在のエンジントルクに対応する車輪トルクとの差異を計算することにより、推定される。
【0012】
さらに、本発明は、所定の変速規則に従ってギア設定を強制するという変速規則をもつ自動変速機において、ギアチェンジを制御する方法を提案し、この方法では、ダウンシフトは、変速規則の適用により引き起こされると共に、見込み実行により引き起こされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、添付の図面を参照して、限定するものではない実施形態についての以下の説明を読むことで、よりよく理解されるであろう。
【図1】図1は、変速規則のダウンシフト曲線の例を示している。
【図2】図2は、過給機付きエンジンの応答時間の概略図である。
【図3】図3は、自動変速機のギアチェンジを制御するアルゴリズムである。
【図4】図4は、上り坂を走行しているときのブースト要求時の、過給機付きエンジンのトルク応答の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1の例により再現された、平面N,α(Nは1分間当たりのエンジン回転数であり、αはペダル踏み込み角の割合である)におけるダウンシフト曲線は、2つの部分に分解することができる。「規則の脚部」と呼ばれる垂直な下部と、「規則の核心部」と呼ばれる曲線の上部である。この曲線を横切ることによりダウンシフトが生じる。ダウンシフトは、2つの方法で実行され得る。運転者の足が上げられたときの減速は、曲線の下部に相当する。アクセルペダルが踏み込まれるとき、すなわち運転者の側からのブースト要求があるときは、曲線の上部に相当する。
【0015】
「規則の核心部」は、一般的に、最大トルクが届かないところに位置付けられる。実際に、運転者がペダルを踏むことにより加速を要求すると、ダウンシフトが生じるよりも前に、エンジンはその最大トルクに達して、使用可能な動力を増加させる。
【0016】
例えば、足が上げられることで車両が減速してエンジン回転数がダウンシフト回転数に近づいているときに運転者が加速すると、普通は、規則の核心部と交差する前に、その回転数で得られる最大エンジントルクに達する。ペダルが引き続き踏み込まれると、これによってダウンシフトが引き起こされる。
【0017】
しかしながら、運転者が単に最大トルクに達するレベルまでペダルを踏み込んだ場合、少なくとも車両の速度を維持するためにそのトルクで十分であることが保証される必要がある。
【0018】
このため、ダウンシフトの「規則の脚部」は、理論上は十分高い回転数に位置付けられ、これによって、その回転数で達成可能な最大エンジントルクでの加速度が、車両が登っている傾斜において正加速度を得るのに十分であることが保証される。
【0019】
特許文献1により知られている方法においては、アップシフトのギアチェンジのみが傾斜に適応させられ、一方、ダウンシフトは、変速規則に基づくか、あるいは、足を持ち上げることによる速度損失の基準に基づいている。しかしながら、この基準は、微調整することが変速規則に比して簡単ではなく、傾斜に対して信頼性高く適応するものではない。
【0020】
提案されるダウンシフトを見込み実行するための方法は、遭遇した傾斜において現在の回転数での最大トルクで達成可能な加速度を計算することにより、この基準の順守を自動化することを可能にしている。
【0021】
この方法によると、現在のギア(R)での最大トルクで達成可能な加速度aest(Cm_max)が車両の速度を維持するのに必要な加速度閾値より低いときには、変速規則によるギア設定とは独立に、変速機は下位のギア(R−1)への変更を強制される。
【0022】
このことは、現在の傾斜および回転数での最大トルクで達成可能な加速度(ブースト要求の際に達成可能な加速度)の計算を伴い、また、この加速度が低すぎるときにダウンシフトを強制するためのアルゴリズムが必要となる。
【0023】
このように提案されるダウンシフトを見込み実行するための方法は、自動変速機を包括的に制御するプロセスに組み込むことができ、これによって、ダウンシフトは変速規則の適用により引き起こされるか、あるいは見込み実行により引き起こされる。
【0024】
ブースト要求の際に現在の傾斜およびエンジン回転数で達成可能な加速度の計算は、ペダルを踏み込むことによるブースト要求の際に現在のギアで達成可能な最大エンジントルクに対応する車輪トルクC(Cm_max)と、現在のエンジントルクに対応する車輪トルクC(C)との差異の計算に基づく推定により可能である。
【0025】
この場合、つぎの関係式を用いて計算することができる。


ただし、
−aest(Cm_max)は、最大エンジントルクで達成可能な加速度である。
−amesは、測定された加速度であって、これは、次に多重化ネットワークを介して例えばABSコンピュータにより変速制御コンピュータに供給される車両速度の微分により得られるものである。
−Mは、車両の質量であって、これは、例えば、仏国特許出願公開第2737761号に記載の質量推定法により推定される。
−C(Cm_max)は、最大エンジントルクに対応する車輪トルクである。
−C(C)は、現在のエンジントルクに対応する車輪トルクである。
−rは、タイヤの半径であって、調整可能な定数である。
【0026】
現在のエンジントルクに対応する車輪トルクは、つぎの関係式により得ることができる。
(C)=C×K(R)
ただし、
−Cは、エンジントルクであって、これは、エンジン制御コンピュータにより推定されて、多重化ネットワークを介して変速制御コンピュータに伝送される。
−K(R)は、ギアRでの伝達ギア比であって、これは、自動変速制御コンピュータに含まれているマッピングにより与えられる。
【0027】
しかしながら、車輪の最大トルクC(Cm_max)は、最大エンジントルクCm_max(N)と一致していない。これらは、補正係数によって、つぎの関係式により関連付けられる。
(Cm_max)=Fcorr×Cm_max(N)×K(R)
ただし、Nはエンジン回転数であり、Cm_max(N)は、自動変速制御コンピュータに含まれるマッピングによりエンジン回転数に基づいて計算される理論的最大エンジントルクであり、Fcorrは補正のために必要な係数であり、K(R)はギア比である。
【0028】
補正係数Fcorrは、理論的最大エンジントルクに適用される補正係数であり、実際のエンジントルクを理論的エンジントルクで除算したものに等しい。この理論的エンジントルクは、変速制御コンピュータによって、エンジン回転数とペダル角度に基づくマッピングにより推定される。
【0029】
エンジン制御コンピュータにより推定され多重化ネットワークを介して変速制御コンピュータに伝送されるエンジントルクCと、エンジンにより適用されるトルク設定値Cm_set pointとに基づいて、Fcorrを推定することができる。
【0030】
トルク設定値Cm_set pointは、エンジン制御コンピュータ内部のアルゴリズムにより、ペダル角度とエンジン回転数とを考慮して設定され、これを、車両の多重化ネットワークを介して変速制御コンピュータに伝送することができる。
【0031】
しかしながら、エンジンコンピュータ側で、トルク設定値を計算するためのアルゴリズムは、単純なマッピングより複雑である。さらには、特にエンジンが調整段階にあるときには、変速制御コンピュータにおけるトルクのマッピングの微調整は、エンジン制御コンピュータにおけるアルゴリズムの微調整とは異なる場合がある。結果的に、変速機で計算される理論的エンジントルクは、エンジンにより実際に適用されるトルク設定値とは大きく異なることがよくある。
【0032】
このため、何らかの特別な規定無しでは、補正係数Fcorr(その役割は、実際のエンジントルクが理論トルクより小さくなる原因となるすべての性能損失因子、すなわち、高度、フィルタの目詰まりなどを計上することである)は、不正確となる。
【0033】
過給機を備えたエンジンという特定の場合において、低速時の主要なトルク損失因子は、過給の応答時間が長いことである。この現象はつぎのようである。図2は、運転者がアクセルペダル(踏み込み角α)を完全に踏み込んだ場合に、エンジンのトルクCは、最初は大気領域PAにある間に急速に増加し、その後、過給領域PSに達すると、それよりずっとゆっくりと増加することを示している。
【0034】
運転者からのブースト要求に応じる場合のターボチャージャの遅延時間を克服するため、本発明は、比率C/Cm_set pointの値の時間平均を保持することを提案している。
【0035】
この場合、補正係数Fcorrは、つぎのようになる。
corr=time_average[C/Cm_set point
この時間平均は、調整可能な長時定数をもつ通常の一次フィルタリングにより得ることが好ましい。
【0036】
y(T)が時点Tでのローパスフィルタの出力であるとすると、y(T−1)は、時点T−1での、すなわち前の計算ステップでの、ローパスフィルタの出力であり、x(T)は時点Tでのローパスフィルタの入力であって、これらの変数は関係式:y(T)=K*x(T)+(1−K)*y(T−1)により関連付けられ、ここで、Kはフィルタのゲインを表している。
【0037】
このゲインは、時点TとT−1とを隔てる時間フィルタの計算周期「SampleTime」とローパスフィルタの時定数Tauに対して、関係式:K=1−exp(−SampleTime/Tau)により関連付けられる。
【0038】
ところが、このC/Cm_set pointの時間平均の計算は、エンジンにより適用されるトルク設定値が、エンジンの大気領域の限界を表す固定閾値より大きい場合にのみ、アクティブにされる。
【0039】
このような提案のダウンシフトの見込み実行は、図3の原理に従って実施することができる。まず、最大トルクで達成可能な加速度が、速度を維持するために必要な加速度閾値(0m/s前後の調整可能な定数)と比較される。加速度がこの閾値より低い場合には、ダウンシフトが要求される。具体的には、時点tにおける変速機の設定ギアが、前の時点の設定ギアから1を引いたものに等しくされる。
【0040】
並行して、変速規則による出力のギア設定が評価される。規則の出力による設定がダウンシフト要求である場合は、このダウンシフトが実行される。
【0041】
規則によっても、最大トルクで達成可能な加速度の評価によっても、ダウンシフトが要求されていない場合は、変速規則の出力によるギア設定が再度評価されて、これによりアップシフトが要求されているかどうか確認される。要求されている場合、この変速要求は、最終的なギア設定をインクリメントすることにより伝達される。
【0042】
最後に、アップシフトが要求されていない場合は、最終的なギア設定は変更されないまま維持される。
【0043】
また、傾斜に応じて、ダウンシフトだけではなく、アップシフトも制御することが可能である。先と同様に、(質量Mを計算する際に考慮に入れた)傾斜を、今度は、上位のギアでの予測加速度aest(R+1)の計算に用いる。本発明では、直ぐ上のギアでの加速度を、下位のギアで達成可能な加速度の場合と同様にして、つぎの関係式により計算する。


ただし、amsは、測定された加速度であって、これは、例えばABSコンピュータにより供給される車両速度の微分により得られるものである。Mは、車両の質量であり、C(R+1)は、上位ギアでの車輪トルクであり、C(R)は、現在のギアでの車輪トルクであり、rは、タイヤの半径である。
【0044】
先と同様に、現在のギアでの車輪トルクは、関係式:C(R)=C×K(R)により得られる。ただし、Cは、エンジン制御コンピュータにより推定されるエンジントルクであり、K(R)は、ギアRでの伝達ギア比であって、これは、自動変速制御コンピュータに含まれているマッピングにより与えられる。
【0045】
そして、上位ギアでの車輪トルクは、つぎの関係式により推定することができる。


この式において、Cm_calculatedは理論的エンジントルクであって、これは、エンジン回転数とアクセルペダル角度に基づきマッピングにより算出される。Nはエンジン回転数であり、APはアクセルペダル角度である。最後に、N(R+1)は、上位ギアへの変更の後にエンジンが到達するであろう回転数であって、これは、関係式


により推定することができる。
【0046】
これらの計算によって、つぎのような戦略を実施することが可能となる。上位ギアで達成可能な加速度が第1の調整可能閾値より低く、かつ、傾斜が第2の調整可能閾値より大きいときには、アップシフトは抑止される。上位ギアで達成可能な加速度が、第1の加速度閾値より大きい閾値よりも大きくなるか、あるいは、傾斜が第1の傾斜閾値より小さい閾値よりも小さくなった場合に、アップシフトが再び可能となる。
【0047】
このようにして、図3のアルゴリズムは、所定の変速規則に従ってギア設定(R)を強制するという変速規則をもつ自動変速機によるギアチェンジを制御するための完璧な戦略として適用することができる。この方法によると、ダウンシフトは、一方では変速規則の適用により引き起こされ、他方では見込み実行により引き起こされる。
【0048】
このように、本発明よると、ダウンシフトおよび直ぐ上位のギアへのアップシフトを、提案の規定に従った予見により引き起こすことが可能である。
【0049】
本発明は、多くの効果を示すものである。中でも、注目すべきことは、予見により変速を引き起こすか引き起こさないかの判断に考慮される加速度は、現在のエンジントルクと達成可能トルクとの間のトルク差を計算することで、常に決定されるということである。しかし、この達成可能なエンジントルクは、本発明では、変速の見込み実行の後に達成されるものではなく、ブースト要求に従って現在のギアで達成されるであろうトルクである。
【0050】
さらに、この達成可能な加速度は、アップシフトの見込み実行の場合とダウンシフトの見込み実行の場合の両方について、道路の傾斜を考慮に入れている。このように、本発明が提案する見込み実行の方法によって、ダウンシフトおよびアップシフトの見込み実行を、道路の傾斜に自動的に適応させることができる。
【0051】
補正係数Fcorrの計算において、計算によるエンジントルクCm_calculatedをコンピュータによる設定のトルクCm_set pointで置き換えていることも、非常に興味深い。実際に、この補正係数が、エンジン制御コンピュータにより適用される設定値の正確な値に基づいていることは間違いない。
【0052】
最後に、注目すべきは、補正係数Fcorrの計算において本発明により導入される特別な取り決めである。これにより、補正係数は、瞬時トルク損失率の時間平均に基づいて設定される。これは、最終的な補正係数を得るために、このような平均の計算が、エンジンにより適用されるトルク設定値がその大気領域の限界より大きいときにのみアクティブにすることができることによる。このような改良の目的は、ブースト要求の際に観測されるであろう実際トルク/理論トルク比率のより正確な予測を得ることである。
【0053】
上記のように、ペダルが解放されたときに観測される実際トルク/理論トルク瞬時比率は、運転者が車両のブーストのためにペダルを踏み込んだときに観測されるであろう比率を表してはいない。このことは、ブースト要求の際に達成可能な加速度を大幅に過大予測することにつながる場合がある。
【0054】
従って、ブースト要求の後のトルク損失率を予測するより良い方法は、前回のブースト要求の際に観測された比率の時間平均を計算することである。一次フィルタリングは、この時間平均を計算する最も効果的な方法である。
【0055】
最後に、この平均の計算は、エンジンにより適用されるトルク設定値が、大気領域の限界を表す固定閾値より大きい場合にのみ、アクティブにされる。このように、平均による補正係数は、運転者がブースト要求を行ったときにのみ計算され、ターボの応答時間が関わる状況のみを考慮に入れている。
【0056】
図4は、この3つ目の改良を示している。これは、足を持ち上げたときの瞬時補正係数よりも、前回のブースト要求の際の平均による補正係数が、ブースト要求のときに観測されるトルク損失率の優良な予測であることを示している。最終的に、ブースト要求のときに達成可能な加速度の過大予測が減少する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機を備え、且つ所定のダウンシフト曲線に従って下位のギアへの変更を強制する変速規則を有する車両において、上り坂の走行中にダウンシフトを見込み実行する方法であって、現在のギア(R)での最大トルクで達成可能な加速度aest(Cm_max)が前記車両の速度を維持するのに必要な加速度閾値より低いときに、前記変速規則によるギア設定とは独立に、前記変速機が下位のギア(R−1)への変更を強制されることを特徴とする、見込み実行方法。
【請求項2】
前記達成可能な加速度aest(Cm_max)が、ペダルを踏み込むことによるブースト要求の際に前記現在のギアで達成可能な最大エンジントルクに対応する車輪トルクC(Cm_max)と、現在のエンジントルクに対応する車輪トルクC(C)との差異を計算することにより、推定されることを特徴とする、請求項1に記載の見込み実行の方法。
【請求項3】
前記最大トルクで達成可能な加速度が、関係式:


により推定されることを特徴とし、ここで、amesは車両の測定された加速度であり、Mは車両の質量であり、rは車両のタイヤの半径である、請求項2に記載の見込み実行の方法。
【請求項4】
前記最大エンジントルクに対応する車輪トルクC(Cm_max)が、補正係数(Fcorr)によって、現在の回転数でのエンジンの理論的最大トルクと関連付けられていることを特徴とする、請求項2または3に記載の見込み実行の方法。
【請求項5】
前記補正係数(Fcorr)が、自身のコンピュータによるエンジントルクの推定値とエンジンのコンピュータにより適用されたトルク設定値との比率の関数であることを特徴とする、請求項3に記載の見込み実行の方法。
【請求項6】
前記補正係数(Fcorr)が、運転者による前回の車両ブースト要求時に計算された前記比率の値の平均であることを特徴とする、請求項4に記載の見込み実行の方法。
【請求項7】
前記平均の計算が、エンジンにより適用されるトルク設定値が、エンジンの大気領域の限界を表す固定閾値より大きい場合にのみアクティブにされることを特徴とする、請求項6に記載の見込み実行の方法。
【請求項8】
所定の変速規則に従ってギア設定(R)を強制するという変速規則を有する自動変速機においてギアチェンジを制御する方法であって、ダウンシフトが、一方では前記変速規則の適用により引き起こされ、他方では請求項1ないし7のいずれか1つに記載の見込み実行により引き起こされることを特徴とする、制御方法。
【請求項9】
直ぐ上位のギアへのアップシフトが、同上位ギアで達成可能な加速度が第1の加速度閾値より低く、かつ傾斜が閾値より大きいときに抑止されることを特徴とする、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
直ぐ上位のギアで達成可能な加速度が前記第1の閾値より大きい第2の加速度閾値よりも大きくなったとき、あるいは傾斜が前記第1の傾斜閾値より小さい第2の傾斜閾値よりも小さくなった場合に、同上位ギアへのアップシフトが再び可能となることを特徴とする、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
直ぐ上位のギアへのアップシフトが、請求項9または10に記載の見込み実行により引き起こされることを特徴とする、請求項8に記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−515300(P2012−515300A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544897(P2011−544897)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052471
【国際公開番号】WO2010/079275
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】