説明

ダビガトランエテキシラートの製造方法

【化1】


本発明は、ダビガトランエテキシラートおよび式7の類似化合物の改善された製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
置換(4−ベンゾイミダゾール−2−イルメチルアミノ)−ベンズアミジン、特に、ダビガトランエテキシラート(CAS 593282−20−3)は、トロンビン阻害およびトロンビン時間延長活性を有する活性物質として、国際特許出願WO 98/37075によりすでに知られている。化学式Iの化合物の主な適応分野は、術後の深部静脈血栓症の予防および脳卒中の予防(心房細動に起因する脳卒中の予防、略して、SPAF)である。
WO 98/37075において、対応する置換(4−ベンゾイミダゾール−2−イルメチルアミノ)−ベンゾニトリルをアンモニアと反応させることによって、置換(4−ベンゾイミダゾール−2−イルメチルアミノ)−ベンズアミジンを製造することが提案されている。この方法は、製造上の観点から極度に煩雑であり、処理しなければならない大量の酸を生じる(WO 2007/071743、WO 2007/071742も参照)。
【発明の概要】
【0002】
ダビガトランエテキシラートおよびその類似化合物を調製するための改善された方法を以下に記載する。新しい出発物質への切り替え、相間移動触媒作用の使用、およびカップリング試薬を用いないベンゾイミダゾールの生成によって、ダビガトランエテキシラートの著しくより効率的な合成が実現される。中間体のカップリングにおける高い選択性(ステップ2)が、新しい合成経路の経済性に大きく寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明は、式7の化合物の調製方法を記載する。
【0004】
【化1】

式中、R1、R2およびR3は、ここで、また以下で、それぞれ互いに独立に、C1-6−アルキルを表し、Hal=塩素または臭素であり、好ましくは塩素であり、本発明によれば、5として、ハロ酢酸無水物(5b−1)、ハロ酢酸(5b−2)、オルト−ハロアセテート(5b−3)、またはハロアセチルクロリド(5b−4)を使用でき、好ましくは、5として、ハロ酢酸無水物(5b−1)またはオルトハロアセテート(5b−3)を用いる。
好ましくは、R1、R2およびR3は、ここで、また以下で、それぞれ互いに独立に、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはヘキシルを表し、特に好ましくは、メチル、エチルまたはヘキシル、特に、R1=ヘキシル、R2=メチル、およびR3=エチルを表す。
【0005】
ステップ1aでは、p−アミノベンズアミジン(1)およびC1-6−アルキルクロロホルメート(2)を反応させて、中間体(3)(4−アミノベンズアミジン−C1-6−アルキル−カルバメート)を生成する。
【0006】
【化2】

【0007】
これを行うために、好ましくは塩酸塩としての、特に好ましくは二塩酸塩としての、アミノベンズアミジン(1)を、アセトン、酢酸エチルおよび酢酸ブチルの中から選択される極性溶媒、好ましくはアセトン中で、40℃未満、好ましくは10から35℃、特に好ましくは15から25℃、特に18から22℃に冷却する。次いで、NaOHまたは類似の塩基、およびクロロホルメート(2)(R1=C1-6−アルキル)を添加する。約5から30分、好ましくは10から20分の反応時間の後、相が分離する。
混合物を蒸発減量し、酢酸ブチルおよび酢酸エチルの中から選択される極性溶媒、好ましくは酢酸ブチルで希釈し、水で抽出することによって精製する。
次いで、生成物を、塩酸、シュウ酸およびメタンスルホン酸の中から選択される酸S、好ましくは塩酸により析出させ、任意選択で、アセトン、酢酸ブチルおよび酢酸エチルまたはこれらの混合物の中から選択される有機溶媒、好ましくはアセトンと酢酸ブチルの混合物で洗浄する。アセトンと酢酸ブチルの好ましい混合比は1:1である。化合物3が、前記酸Sの対応する塩として得られる。
【0008】
平行するステップ1bでは、化合物4を化合物5と反応させて、中間体6を得る。
【0009】
【化3】

【0010】
カップリング剤によって活性化させたカルボン酸または酸クロリドによるベンゾイミダゾールの合成は知られているが、α−モノクロロ酢酸無水物によるものは、これまで記載されていない。本発明によれば、次の化合物を、5として使用し得る。
・変形形態1b−1:ハロ酢酸無水物(5b−1);
・変形形態1b−2:ハロ酢酸(5b−2);
・変形形態1b−3:オルト−ハロアセテート(5b−3)、好ましくは、式、Hal−CH3−C(OR43、(R4は、互いに独立に、C1-6−アルキルを表し、好ましくは、互いに独立に、メチルまたはエチルを表す)のもの;例として、2,2,2−トリエトキシ−クロロエタンを挙げることができる;
・変形形態1b−4:ハロアセチルクロリド(5b−4)。
ここで、ハロゲン(Hal)=臭素または塩素であり、好ましくは塩素を表す。変形形態1b−1、1b−2、1b−3および1b−4のいずれにおいても、ジアミン(4)(R2/3=C1-6−アルキル)を予め分離する必要はない。先行技術において記載されている、ニトロ化合物の還元反応による生成物溶液を反応させてもよい(WO 98/37075、WO 2007/071743、WO 2007/ 071742を参照)。
【0011】
変形形態1b−1では、化合物4を、冷却した溶媒に懸濁する。この溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびテトラヒドロフランの中から選択され、好ましくは、酢酸エチルであり、温度は、50℃未満、好ましくは0から30℃、特に好ましくは5から25℃、特に18から22℃である。懸濁液に、例えば、クロロ酢酸無水物(5b−1’)を加え、次いで、50から80℃、好ましくは55から75℃、特に好ましくは60から70℃、特に65℃に加熱する。1から6時間、好ましくは1から4時間、特に好ましくは1から3時間、特に2時間後に、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムの中から選択される弱い塩基、好ましくは炭酸カリウムを、20から60℃、好ましくは30から50℃、特に好ましくは35から45℃、特に40℃の温度で添加し、混合物は、さらに、30から60分間、好ましくは40から50分間、特に好ましくは45分間撹拌する。濾過後、濾液を、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびテトラヒドロフランの中から選択される溶媒、好ましくは酢酸エチルで洗浄し、次いで、蒸発減量し、25から65℃、好ましくは35から55℃、特に好ましくは40から50℃、特に45℃の温度で、MTBEおよびテトラヒドロフランの中から選択される別の溶媒、好ましくはMTBEを添加することによって、析出させる。析出は、混合物を冷却することによって改善できる。こうして得られた生成物を、酢酸エチル、酢酸ブチル、MTBEおよびテトラヒドロフランまたはこれらの混合物の中から選択される有機溶媒、好ましくは酢酸エチルとMTBEの混合物で洗浄する。フィルターケーキを乾燥した後、生成物6が得られる。
変形形態1b−2:モレキュラーシーブ(4オングストローム)、および、例えば、クロロ酢酸を、トルエン中の化合物4に加える。混合物を、max.60℃に、好ましくは30から55℃、特に好ましくは35から55℃、特に50℃に加熱し、撹拌する。1から8時間、好ましくは1から6時間、特に好ましくは1から4時間、特に3時間後に、混合物を、max.20℃に冷却し、生成物を析出させる。こうして得られた生成物を、トルエンで洗浄する。フィルターケーキを乾燥させた後、生成物6が得られる。
【0012】
変形形態1b−3では、化合物4を、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびテトラヒドロフランの中から選択される極性溶媒、好ましくは酢酸エチルに懸濁し、例えば、オルトクロロアセテート(5b−3’)、および任意選択でp−トルエンスルホン酸を添加し、次いで、混合物を、40から80℃、好ましくは50から70℃、特に好ましくは55から65℃、特に60℃に加熱する。1から6時間、好ましくは2から5時間、特に好ましくは2.5から3.5時間、特に3時間後に、反応混合物を、真空中で蒸発減量し、残留物を、MTBEおよびテトラヒドロフランの中から選択される溶媒、好ましくはMTBEにより析出させる。析出は、混合物を冷却することによって改善できる。こうして得られた生成物を、酢酸エチル、MTBEおよびテトラヒドロフランまたはこれらの混合物の中から選択される有機溶媒、好ましくは酢酸エチルとMTBEの混合物で洗浄する。フィルターケーキを乾燥させた後、生成物6が得られる。
変形形態1b−4では、化合物4を、酢酸エチル、THFおよびジオキサンの中から選択される溶媒に懸濁し、例えば、クロロアセチルクロリド(5b−4’)に、50℃で3時間以内に添加し、次いで、NaOHまたは類似の塩基によりアルカリ性とする。次に、水性相を分離除去し、有機相を蒸発減量し、酢酸ブチルおよび酢酸エチルの中から選択される極性溶媒に溶解させ、相を分離させ、有機相を再び蒸発減量する。残留物を、MTBEおよびテトラヒドロフランの中から選択される溶媒により析出させる。析出は、混合物を冷却することによって改善できる。こうして得られた生成物を、酢酸ブチル、酢酸エチル、MTBEおよびテトラヒドロフランまたはこれらの混合物の中から選択される有機溶媒で洗浄する。フィルターケーキを乾燥させた後、生成物6が得られる。
【0013】
ステップ2において、中間体3および6を相間移動触媒作用により反応させ、ヨウ化物により活性化して、化合物7を生成する。
【0014】
【化4】

【0015】
ヨウ化物イオンを触媒として用いる、塩化アルキルとアミジンのカップリングは知られているが、これまで、このカップリング反応が、高い選択性をもつとは報告されておらず、これが、当技術分野において知られている合成が、2重に保護されたアミジンに変わった理由である。驚くべきことに、1つだけが保護されたp−アミノベンズアミジン(3)とのカップリング反応は、下に記載される方法を用いて、高い位置選択性(>99.7%)で実施できる。
この目的で、化合物3を、NaOH、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムの中から選択される塩基、好ましくはNaOHと一緒に、トルエン、テトラヒドロフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、酢酸ブチルおよび酢酸エチルの中から選択される有機溶媒、好ましくは酢酸ブチルと、水との混合物に入れ、30から65℃、好ましくは40から60℃、特に好ましくは45から55℃、特に50℃に加熱する。次いで、相を分離し、任意選択で、有機相を、再度水で抽出する。
有機相を、シクロヘキサンおよび水の中の化合物6、さらには、ヨウ化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、テトラブチルアンモニウムヨージドと合わせ、次いで、30から60℃、好ましくは35から50℃、特に好ましくは35から45℃、特に40℃に加熱する。1から6時間、好ましくは1から4時間、特に好ましくは1から3時間、特に2時間後に、シクロヘキサンを留去し、酢酸ブチルを添加し、その混合物を、再び、50から90℃、好ましくは60から80℃、特に好ましくは65から75℃、特に70℃に、1から6時間、好ましくは1から4時間、特に好ましくは1から3時間、特に2時間に渡って加熱する。次いで、相を分離し、任意選択で、有機相を水で抽出する。有機相を蒸発減量し、冷却し、濾過する。こうして得られた生成物を、酢酸ブチルおよびMTBEの中から選択される有機溶媒、好ましくは酢酸ブチルまたはこれらの混合物で洗浄する。フィルターケーキを乾燥させた後、生成物7が得られる(R1/2/3=C1-6−アルキル)。
選択性および反応速度は、前記溶媒系によってかなり影響を受ける。特に、水と、酢酸ブチル/シクロヘキサンのような2種の異なる極性有機溶媒との2相系を用いる場合、前記反応は、卓越した反応時間内に、対応した高い生成物純度で完了できる。
【0016】
第3ステップにおいて、先行技術と同様に、任意選択で、式7の化合物を7をメタンスルホン酸(9)と反応させることによって、メシレート(8)に変換してもよい。
【0017】
【化5】

【0018】
別の態様において、本発明は、上記方法の新しい中間体生成物に関する。これは、式3の化合物を含む。
【0019】
【化6】

式中、基R1は、C1-6−アルキル、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはヘキシル、特に好ましくは、メチル、エチルまたはヘキシル、特にn−へキシルを表す。
本発明は、さらに、式6の化合物に関する。
【0020】
【化7】

式中、基R2およびR3は、それぞれ互いに独立に、C1-6−アルキルを表し、好ましくは、互いに独立に、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはヘキシル、特に好ましくは、メチル、エチルまたはヘキシルを表し、特に、R2=メチル、R3=エチルであり、また、Halは、塩素または臭素、好ましくは塩素を表す。
【0021】
定義
用語「C1-6−アルキル」(他の基の一部分であるものを含めて)とは、1から6個の炭素原子を有する分岐状および非分岐状アルキル基を意味し、用語「C1-4−アルキル」とは、1から4個の炭素原子を有する分岐状および非分岐状アルキル基を意味する。1から4個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはn−ヘキシルが挙げられる。省略形である、Me、Et、n−Pr、i−Pr、n−Bu、i−Bu、t−Buなどもまた、前記の基に任意選択により用いてもよい。特に断らなければ、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルの定義は、当該の基の全ての可能な異性体を含む。したがって、例えば、プロピルは、n−プロピルおよびイソプロピルを含み、ブチルは、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどを含む。
本発明の範囲内では、「有機溶媒」とは、物理的な方法によって他の有機物質を溶解し得る有機低分子物質を意味する。溶媒としての溶解性に対する前提条件は、溶解過程の間に、溶けている物質も、溶かされる物質も、化学的に変化してはならない、すなわち、溶液の成分が、蒸留、晶析、昇華、蒸発および吸着のような物理的分離方法によって、それらの元の形で回収できることである。様々な理由で、純粋な溶媒だけでなく、溶解特性を組み合わせる混合物もまた使用され得る。例として、
・アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、シクロヘキサノール;
・グリコール、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール;
・エーテル/グリコールエーテル、好ましくは、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−、ジ−、トリ−、ポリエチレングリコールエーテル;
・ケトン、好ましくは、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン;
・エステル、好ましくは、酢酸エステル、グリコールエステル;
・アミド、特に、窒素化合物、好ましくは、ジメチルホルムアミド、ピリジン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル;
・硫黄化合物、好ましくは、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、スルホラン;
・窒素化合物、好ましくは、ニトロベンゼン;
・ハロ炭化水素、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、トリ−、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロフルオロカーボン;
・脂肪族または脂環式炭化水素、好ましくは、ガソリン(petrol)、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、テルペン−L;または
・芳香族炭化水素、好ましくは、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン;
あるいは、これらの対応する混合物が挙げられる。
[実施例]
【0022】
ステップ1A:4−アミノベンズアミジン−n−へキシルカルバメートの合成
【0023】
【化8】

アミノベンズアミジン*2HCl(21.2g)を、アセトン(150ml)に溶かし、20℃の温度に調節し、水酸化ナトリウム溶液(80ml、4M)を滴下して加える。20℃で、n−ヘキシルクロロホルメート(16.5g)を計量供給する。アセトン(20mL)ですすぎ洗いした後、混合物を、5〜10℃でさらに15分間撹拌する。次いで、相を分離する。有機相を真空で蒸発減量し、酢酸ブチル(150mL)で希釈し、再び相を分離する。混合物を水(40mL)でもう一度抽出し、塩酸(9.84mL、32%)と一緒にする。水分離装置を用い、残留水を留去し、次に、蒸発減量する。懸濁液を、45℃で、アセトン(150mL)と混合し、20℃に冷却し、吸引濾過する。それを、酢酸ブチルとアセトンの混合物(100mL)で洗う。フィルターケーキを真空乾燥し、29.2gの生成物3を得る(理論値の97.2%)。
【0024】
ステップ1B:6(β−アラニン−N−[[1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−クロロメチル]−5−カルボニル]−N−2−ピリジニル−エチルエステル)の合成
【0025】
【化9】

合成の変形形態に応じて、5は、クロロ酢酸無水物(5b−1’)、クロロ酢酸(5b−2’)、またはオルトクロロアセテート(5b−3’)、またはクロロアセチルクロリド(5b−4’)であり得る。
【0026】
変形形態1b−1:化合物4(28.0g)を、20℃で酢酸エチル(120mL)に懸濁させる。次いで、酢酸エチル(50mL)とクロロ酢酸無水物(5b−1’)(14.5g)の混合物を、20℃でゆっくりと加え、次に、65℃に加熱する。2時間の撹拌後に、炭酸カリウム(15.0g)を、40℃で加え、45分後に濾過する。フィルター残留物を酢酸エチル(8.0mL)で洗う。濾液を、真空で蒸発減量し、MTBE(150mL)により45℃で析出させる。−2℃に冷却し、濾過する。生成物を、酢酸エチルとtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)の混合物(50mL)で洗う。フィルターケーキを真空乾燥し、29.6gの生成物6(理論値の90.3%)を得る。
変形形態1b−2:トルエン(20mL)中の化合物4(2g)を、モレキュラーシーブ(4A、2g)およびクロロ酢酸(2.08g)と一緒にする。混合物を、50℃に加熱し、撹拌する。約3時間後に、混合物を20℃未満に冷却し、生成物を析出させる。こうして得た生成物をトルエンで洗う。フィルターケーキを乾燥後、生成物6を得る(理論値の30%)。
変形形態1b−3:化合物4(4.28g)を、周囲温度で酢酸エチル(26mL)に懸濁させ、オルトクロロアセテート(5b−3’)(2.79g)およびp−トルエンスルホン酸(0.02g)と一緒にし、次いで、60℃に加熱する。3時間の撹拌後、反応混合物を、真空で蒸発減量し、残留物を、MTBE(25mL)で晶析させ、濾過する。生成物をMTBE(25mL)で洗う。フィルターケーキを真空乾燥し、4.77gの生成物6を得る(理論値の95.2%)。
変形形態1b−4:化合物4(28.0g)を、THF(80ml)に懸濁させる。次いで、2.5時間以内に、THF(200mL)とクロロアセチルクロリド(5b−4’)(10.0g)の混合物を50℃で加え、次に、NaOH(2mol/l、50ml)によりアルカリ性にする。次いで、水性相を分離して除き、有機相を蒸発減量し、酢酸ブチルに溶解させる。再び、相を分離し、有機相を真空で蒸発減量し、MTBE(240mL)により45℃で析出させる。−2℃に冷却し、濾過する。生成物を、酢酸ブチルとtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)の混合物(50mL)で洗う。フィルターケーキを真空乾燥し、23.3gの生成物6を得る(理論値の71%)。
【0027】
ステップ2:β−アラニン−N−[[2[[[4[[[(へキシルオキシ)カルボニル]4アミノ]−イミノメチル]フェニル]アミノ]メチル]−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5イル]カルボニル]−N−2−ピリジニル−エチルエステルの合成
【0028】
【化10】

化合物3(7.7g)を、酢酸ブチル(65mL)、水酸化ナトリウム溶液(25mL,45%)および水(25mL)に入れ、50℃に加熱する。次いで、相を分離し、有機相を再び水(30mL)で抽出する。有機相を、ヨウ化ナトリウム(1.54g)、炭酸水素ナトリウム(4.00g)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.75g)、化合物6(10.0g)、シクロヘキサン(65mL)および水(30mL)と一緒にし、40℃で2時間撹拌する。次いで、シクロヘキサンを真空で留去し、酢酸ブチル(95mL)を加え、混合物を70℃で2時間撹拌する。次に、相を分離し、有機相を水(10mL)で2回抽出する。有機相を真空で蒸発減量し、溶液を0℃に冷却し、濾過する。生成物を酢酸ブチル(30mL)で洗う。フィルターケーキを真空乾燥し、13.8gの生成物7を得る(理論値の87.8%)。
【0029】
ステップ3:β−アラニン−N−[[2−[[[4−[[[(へキシルオキシ)−カルボニル]4−アミノ]イミノメチル]フェニル]アミノ]メチル]−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5イル]カルボニル]−N−2−ピリジニル−エチルエステル−メタンスルホネート
【0030】
【化11】

化合物7(20g)を、周囲温度でアセトン(238mL)に懸濁させ、還流する。溶液を全て濾過し、アセトン(20mL)ですすぎ洗いする。濾液を33℃に冷却し、0℃に冷却した、メタンスルホン酸(3.0g)のアセトン(34mL)溶液を計量供給し、混合物をアセトン(5.0mL)ですすぎ洗いする。次いで、それを20℃に冷却し、濾過する。生成物をアセトン(54mL)で洗う。フィルターケーキを真空乾燥し、22.2gの生成物8を得る(理論値の96.3%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式6の化合物
【化1】

を、式3の化合物
【化2】

と反応させることを特徴とする、
式7の化合物
【化3】

[上記化合物7、6および3において、基R1、R2およびR3は、それぞれ互いに独立に、C1-6−アルキルを表し、Halは塩素または臭素である]
の調製方法。
【請求項2】
式6の化合物
【化4】

が、式4の化合物
【化5】

を、ハロ酢酸無水物(5b−1)、ハロ酢酸(5b−2)、オルト−ハロアセテート(5b−3)、またはハロアセチルクロリド(5b−4)の中から選択される式5の化合物[ここで、ハロゲン(Hal)は塩素または臭素を表し、上記化合物4および6において、基R1、R2およびR3は、それぞれ互いに独立に、C1-6−アルキルを表す]
と反応させることによって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式3の化合物が、式1の化合物
【化6】

を、式2の化合物
【化7】

[上記化合物3および2において、基R1、R2およびR3は、それぞれ互いに独立に、C1-6−アルキルを表す]
と反応させることによって調製される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基R1、R2およびR3が、それぞれ互いに独立に、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはヘキシルを表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
基R1がヘキシル、基R2がメチル、および基R3がエチルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式5の化合物が、クロロ酢酸無水物5b−1’、クロロ酢酸5b−2’、オルトクロロアセテート5b−3’、またはクロロアセチルクロリド5b−4’の中から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式5の化合物が、クロロ酢酸無水物5b−1’またはオルトクロロアセテート5b−3’の中から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
中間体6の反応が、水と、水と非混和性である有機溶媒とからなる2相溶媒系において、式3の化合物を用いて行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
中間体6の反応が、水と、トルエン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、酢酸ブチル、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの中から選択される1種または複数の溶媒とからなる2相溶媒系において、式3の化合物を用いて行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
化合物7を、メタンスルホン酸9と反応させて、式8の化合物
【化8】

を生成させる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法によって調製される化合物7。
【請求項12】
請求項10に記載の方法によって調製される化合物8。
【請求項13】
式3の化合物
【化9】

[式中、基R1は、C1-6−アルキルを表す]。
【請求項14】
1=n−へキシルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式6の化合物
【化10】

[式中、基R2およびR3は、それぞれ互いに独立に、C1-6−アルキルを表し、Halは塩素または臭素である]。
【請求項16】
2がメチル、R3がエチルであり、またHalが塩素である、請求項15に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−511482(P2013−511482A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539262(P2012−539262)
【出願日】平成22年11月6日(2010.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066959
【国際公開番号】WO2011/061080
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】