説明

チップ・オン・フィルム回路基板及びこのチップ・オン・フィルム回路基板を用いた画像表示装置

【課題】 ドライバICを小型化してコストを削減し、かつノイズを抑え電磁妨害(EMI)対策に有利な配線パターンを有するCOF回路基板及びこのCOF回路基板を用いた液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 薄膜絶縁フィルム上に設けた配線パターン14にドライバIC16を実装するチップ・オン・フィルム回路基板10において、ドライバIC16の入力端子側からプリント配線板1に接続される該回路基板10の入力端子側に伸びる信号・電源・GNDラインの配線パターン14aが、その各パターン間にダミーパターンを設けることなく、かつプリント配線板1に伸びる配線パターン14aは拡幅して形成されている。前記配線パターン14aは、プリント配線板1に接続される前記回路基板10の入力端子側YからドライバIC16の入力端子側Zに向けて配線パターンに屈曲点を設けて配線され、配線パターンはその屈曲点において段階的に線幅を縮幅して、最終的にドライバIC16の入力端子幅に合致させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバICを実装するフレキシブルプリント基板及びこのフレキシブルプリント基板を用いた画像表示装置に係り、特にチップ・オン・フィルム(Chip On Film、以下「COF」という。)タイプのドライバICからの入出力配線パターンを有する画像表示装置用のCOF回路基板及びこのCOF回路基板を用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、プラズマ表示装置等の画像表示装置においては、画像を表示するために解像度に応じた行の電極と列の電極に映像データ信号や走査信号を与える必要があるため、画像表示パネルの電極と駆動回路のドライバICの出力を接続しなければならない。このような画像表示装置においては、通常の半導体パッケージからなるドライバICでは、ピン数、ピッチ、厚さなどが大きすぎて不適当であるため、絶縁フィルム上に電極、配線パターンを形成したフレキシブルプリント基板を用いて半導体チップを実装した特殊なパッケージが用いられている。この種のパッケージとしては、TCP(Tape Carrier Package)とCOFがある。
【0003】
TCPは、フレキシブルプリント基板の基材である絶縁フィルムが半導体チップ搭載領域に開口を有し、この開口内に片持ち梁状に突き出した配線パターンの先端部に半導体チップがフェースダウンボンディングで一括接続され、樹脂封止されている。これに対して、COFは絶縁フィルムを基材とするCOF回路基板が開口を持たず、半導体チップがCOF回路基板の表面に形成された配線パターンに接合され、樹脂封止されている。
【0004】
液晶表示装置、プラズマ表示装置等の画像表示装置においては、画像表示パネルの周辺部にこのようなTCPあるいはCOFで実装されている駆動用の半導体チップが接続され、画像表示パネルと外付けの制御回路が設けられたプリント基板の間を接続している。近年、画像表示パネルは表示領域の大型化が進んでおり、画像表示パネルの高細精度化、配線のファインピッチ化の必要性が生じており、LSIの接合部分に開口が不要なため配線の微細化、ファインピッチ化に優れていること等の理由からCOFが多く採用されるようになってきている。
【0005】
図8は、下記特許文献1に記載されたCOFタイプの回路基板を示している。このCOF回路基板20は、多数の半導体チップ16を搭載する領域21とそれに対応する数の配線パターンを備えているフレキシブル配線基板を用いて構成される。このCOF回路基板20は、自由に折り曲げることが可能な柔軟性の高い薄膜のポリイミド系絶縁テープ(フィルム)11を基材とし、この絶縁フィルムの表面に所定の厚さの銅箔パターンが形成されている。銅箔パターンの表面には錫めっき又は金めっきが施されている。銅箔パターンは、インナーリード12及びアウターリード13及びダミーリード18からなる配線パターン14となっている。
【0006】
配線パターン14上には、搭載される半導体チップ16の対応する電極に電気的に接続される部分、つまりインナーリード12の先端部12aと外部の端子に接続されるアウターリード13とを除いて、ソルダーレジスト15が塗布され、これにより絶縁状態が確保されている。このソルダーレジスト15は、絶縁テープ11の半導体チップ搭載領域21に対応する箇所に開口16aを有し、この開口16aからインナーリード12の先端部12aを含む絶縁フィルム11部分が露出している。
【0007】
ダミーリード18は、半導体チップ16に接続されないリードで、ソルダーレジスト15の開口16aの縁付近において、その箇所でのインナーリード12を間接的に補強するために、比較的広い間隔で隣り合う2つのインナーリード12の間に1〜2本あるいはそれ以上設けられている。ダミーリード18が存在することにより、その箇所に加わる応力をインナーリード12とダミーリード18で分担して受けることによりインナーリード1本当たりが受ける応力を小さくして、実質的に機械的強度を高めるものである。
【0008】
このように構成された回路基板20は、その上に半導体チップ16が搭載された後に、図8の枠線22に沿って、個々のフレキシブル配線基板が打ち抜かれる。
【特許文献1】特許第3536023号公報(図1、段落〔0008〕〜〔0012〕、〔0026〕〜〔0032〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このようにして打ち抜かれたフレキシブル配線基板10Aは、前述のように、インナーリード12を覆うソルダーレジスト15の開口の縁付近に半導体チップ16とは電気的に接続されないダミーリード18を備えている。
【0010】
しかし、一般に行われているように、各インナーリードにつきそれぞれ対応するダミーリード(以下、「ダミーパターン」という。)を設けるのでは、ダミーパターン自体の幅及びダミーパターンとインナーリードとの間の幅により、ドライバICの配線パターンのためにドライバICのサイズを大きくすることとなる。このため、ドライバICのチップサイズ拡大に伴うコストの増加が問題となっていた。
【0011】
また、ドライバICのサイズを拡大させずに維持しようとすると、ダミーパターンの分だけリード線の間隔と幅が狭くなり、リード線の電気抵抗(インピーダンス)が大きくなる。このためリード線にノイズが発生しやすくなることから、電磁妨害(EMI)対策が問題となっており、特に、高密度実装で配線の高精細化及び多数化傾向にある今日では、これらの問題が顕著になっている。
【0012】
さらに、COF回路基板に搭載されたドライバICと外部に接続されるプリント配線板の間の距離が近すぎると、ドライバICの出力パターンがレイアウトを妨害することによりドライバICの入力配線パターンを太くすることができず、そうするとまたドライバICの入力配線パターンのリード一本当たりが受ける外部応力が大きくなり、接続の機械的強度が弱くなり断線の恐れも生ずる。
【0013】
しかし一方、ドライバICとCOF回路基板の外部に接続されるプリント配線板の間はノイズ輻射が多いことから、その距離をできるだけ短くするように配慮する必要がある。また、ドライバICとプリント配線板の間の配線パターンにおけるリード線の線幅が狭いと電気信号が弱いものとなってしまう。
【0014】
本発明は、上述のような従来技術が抱える課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、ドライバICを小型化してコストを削減し、かつノイズを抑え電磁妨害(EMI)対策に有利な配線パターンを有するCOF回路基板及びこのCOF回路基板を用いた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像表示装置用のCOF回路基板は、絶縁フィルム上に設けた配線パターンにドライバICを実装する画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板において、前記配線パターンは、前記配線パターン間にダミーパターンを有せず、かつ、外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に向かうに従って縮幅されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像表示装置用のCOF回路基板において、前記配線パターンは、前記外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に至るまでの間に屈曲点が設けられており、前記屈曲点間においては均一の幅を有しており、前記屈曲点において段階的に縮幅されてドライバICの入力端子幅に合致し、前記屈曲点は、前記外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に至るまでの間に複数箇所設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の画像表示装置用のCOF回路基板において、前記配線パターンは、前記外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に至るまでの間に滑らかかつ連続的に縮幅されており、最終的にドライバICの入力端子幅に合致していることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置用のCOF回路基板において、前記配線パターンは、前記配線パターンの太い部分が細い部分よりも長くなるように設けられていることを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置用のCOF回路基板において、前記配線パターンは、前記外部接続端子側と前記ドライバICの入力端子側との間の距離が、前記ドライバICの出力配線パターンが該ドライバICの入力配線パターンと干渉を起こさず、かつ、ノイズレベルが悪化しない範囲で選択された距離であることを特徴とする。
【0020】
さらに、請求6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置用のCOF回路基板を用い、前記COF回路基板の出力端子部を画像表示パネルに、前記外部接続端子側を制御用プリント配線基板にそれぞれ接続して枠体に収容したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、画像表示装置用のCOF回路基板の配線パターンは、配線パターン間にダミーパターンを設けないため、ドライバICはダミーパターンの分だけ小さく形成することができ、以てドライバICのダウンサイジング化が図れ、コストを削減することができる。
【0022】
また、配線パターンが外部接続端子側からドライバICの入力端子側に向かうに従って縮幅されているため、配線パターンの電気抵抗(インピーダンス)を全体にわたりドライバICの入力端子と同幅にした場合と比すると小さくすることができ、EMIを軽減できる。同様に、外部接続端子側からドライバICの入力端子側に向かうに従って縮幅してダミーパターンを削除したことに伴う配線パターン一本当たりが受ける外部応力の負担は、配線パターンが細い場合に比べて小さいものとなる。したがって、ダミーパターンを備えていなくても、機械的強度の維持は図られ、入力端子部への外部応力の集中による断線のおそれはなくなる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、COF回路基板の配線パターンは、外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に至るまでの間に屈曲点を設けて配線され、配線パターンは、屈曲点間においては均一の幅を有しており、その屈曲点において段階的に縮幅して最終的にドライバICの入力端子幅に合致させていることから、COF回路基板の配線パターンが外部接続端子側の幅が太くても、また配線数が多数であっても、ドライバICのダウンサイジング化が図れ、ドライバICのコストを削減することができる。
【0024】
また、配線パターンは、外部接続端子側からドライバICの入力端子側に向けて、その配線パターンの屈曲点において段階的に縮幅されていることから、急激な配線パターンの縮幅によって電気抵抗(インピーダンス)が急増することによる電磁妨害(EMI)の発生を低下させることができる。
【0025】
また、前記屈曲点を複数箇所設けることにより、配線パターンの縮幅はより緩やかに行われインピーダンスの変化が急激でないので電磁妨害(EMI)の発生を低下させることができる。
【0026】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記配線パターンは、前記外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に至るまでの間に滑らかかつ連続的に線幅を縮幅していることから、その配線パターンの屈曲点の角部において電磁波が滞留し電磁妨害(EMI)が引き起こされるのを防止することができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、前記配線パターンは、幅の太い部分を幅の狭い部分よりも長くなるように設定して、幅の太い部分が可能な限り長くなるようにしているため、配線パターンの電気抵抗(インピーダンス)を小さくすることができEMIを軽減できる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、COF回路基板において、前記配線パターンは、ドライバICの入力端子部とプリント配線板に接続される入力端子部との間が、ドライバICの出力配線パターンがドライバICの入力配線パターンと干渉を起こさずかつノイズレベルが悪化しない配置が可能な距離であるような所定距離離されているので、ドライバICの出力配線パターンがドライバICの入力配線パターンの配置を妨げることがなく、ノイズレベルの悪化を防ぐことができるため電磁妨害(EMI)軽減も図ることができる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、液晶表示装置において、請求項1ないし請求項6に記載のCOF回路基板を使用することによって、安価で小型な電磁妨害(EMI)を軽減したドライバIC回路を提供することができるので、安価で低電圧、低消費電力の上、ノイズの少ない高表示品質の液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのCOF回路基板及びこの基板を用いた液晶表示装置を例示するものであって、本発明をこのCOF回路基板及びこの基板を用いた液晶表示装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0031】
図1は、本発明の1実施例に係るCOF回路基板の配線パターンを示す平面図である。
【0032】
COF回路基板10は、従来技術のものとほぼ同じ構成を有している。そこで、共通する部分は図8と同じ符合を付し、重複説明を避けて異なる構成を中心にして詳述する。
【0033】
このCOF回路基板10は、前述した従来例のように、幅約35mmのポリイミド系の絶縁フィルムを用いたフレキシブル回路基板上にドライバIC16を直接搭載して実装したものであり、実装方法は前述のフレキシブル配線基板10Aの方法と同じである。図1に示すように、制御回路等が実装されていて、このCOF回路基板10に外付けされるプリント配線板1からの信号・電源・GNDラインなどの配線パターン14(以下、総括して「入力配線パターン14a」という)の配線パターン間にダミーリード18が設けられていない構成が従来と異なる。また、入力配線パターン14aの線幅が従来のものよりも拡幅して形成されている構成を特徴とする。ちなみに、拡幅は、電源ラインの配線パターン幅が0.23mmから0.25mmに、RSDS端子の配線幅が0.025又は0.075mmから0.15mmに拡大できた。なお、14bはドライバIC16からの出力配線パターンである。
【0034】
このCOF回路基板10は、ダミーリード18を設けないでかつ入力配線パターン14aの線幅を拡幅することができることから電磁妨害(EMI)を改善できる。また入力配線パターン14aをダミーリード18のない分狭ピッチ化させることにより、ドライバIC16の入力端子幅dを縮幅させICを小さくすることができる。したがって、ドライバIC16をダウンサイジング化でき、コストを削減することができる。また、入力配線パターン14aの幅を拡幅できることから、外部応力による負担を軽減し、ダミーリード18を設けないことによる機械的強度減少に対する懸念も生じない。
【0035】
図2、図3は、プリント配線板1に接続されるCOF回路基板10の入力端子側YからドライバIC16の入力端子側Zに向けて配線される入力配線パターン14aを示す拡大平面図である。
【0036】
図2において、入力配線パターン14aは、COF回路基板10の入力端子側YからドライバIC16の入力端子側Zに向けてクランク状に配線されている。配線パターンの線幅が変わる各屈曲点において、直角ではなくその角が落されて屈曲点e〜eにより構成される2つの鈍角になっているのは、直角とするとその角部に電気エネルギーが集中しやすく、線幅の変化から電圧変動によるEMIが発生しやすいためである。なお、本実施例において、屈曲点e〜eの角部は鈍角に形成されているが、アール加工等を施してその角を丸めることで、より特定箇所への電気エネルギーの集中を避けることができる。
【0037】
また、図2の入力配線パターン14aは、屈曲点e1からeにおいて段階的にその線幅が縮幅されている。これは、太い配線パターンから急激に配線を細くすると、急激に電気抵抗(インピーダンス)が変化することから、電磁妨害(EMI)が発生しやすくなるからである。
【0038】
図3においては、入力配線パターン14aは、COF回路基板10の入力端子側YからドライバIC16の入力端子側Zに向けて、段部を設けることなく連続的に縮幅して配線されている。かかる入力配線パターン14aは段部や角部を設けておらず、滑らかに連続的に線幅を変化し徐々に細くしているため、特定箇所への電界の集中による電磁妨害(EMI)の発生を軽減することができる。
【0039】
図2、図3の入力配線パターン14aは、最終的にドライバIC16の入力端子幅に合致させて縮幅しているから、ドライバIC16の入力端子幅dの縮幅が図れ、ドライバIC16のダウンサイジング化を実現することができる。
【0040】
上記の通り、入力配線パターン14aは、COF回路基板10の入力端子側Yにおける線幅を太くし、ドライバIC16の入力端子側Zにおける線幅を細くしているが、かかる入力配線パターンにおいては線幅の太い部分を可能な限り長くし、細い部分をできるだけ短くすることが好ましい。
【0041】
図4は、図2に示した入力配線パターン14aにおける線幅の太い部分を、細い部分に比較して長くした拡大平面図である。また、図5は、図3に示した入力配線パターン14aにおける線幅の太い部分を、細い部分に比較して長くした拡大平面図である。この構成によれば、信号・電源・GNDラインなどを構成する入力配線パターン14aの幅の太い部分が長いので、EMIを軽減することができる。
【0042】
図6は、ドライバIC16の入力端子部とプリント配線板1に接続されるCOF回路基板10の入力端子部との間が所定距離d離されている状態を示す平面図である。この間の距離は、ノイズ輻射が多く発生するので、できるだけ短いことが好ましい。入力配線パターン14aはその線幅を拡幅し可能な限り太くすることが望ましい。
【0043】
ところで、ドライバIC16の入力端子部側からは入力配線パターン14aだけでなく、ダウンサイジングのため出力パターン14bが配線されており、両者の配線パターンに干渉を起こさぬような配置が必要である。
【0044】
距離dは入力配線パターン14aの最も外側の配線パターンの縦軸方向の距離を示す。距離dはドライバIC16の入力端子側Zから引き出した出力配線パターン14bがCOF回路基板10の入力端子側Yに向かって縦軸方向に伸び、所定高さで折り返して逆側の縦軸方向に伸びる配線パターンの折り返し点までの距離を示す。そして、距離dは、距離dと距離dの和よりも大きく、d>d+dの不等式が成り立つ。
【0045】
この構成において、ドライバIC16の入力端子部とプリント配線板1に接続されるCOF回路基板10の入力端子部との間の所定距離dは、dの値が小さい場合(d≦d+d)、すなわち距離が狭い場合には、ドライバIC16からの出力パターン14bが入力配線パターン14aの配線に抵触して妨害してしまう。特に、上述の通り入力配線パターン14aの線幅は太くする必要があることから、距離dはなるべく距離をとる必要がある。
【0046】
もっとも、ドライバIC16とプリント配線板1の間はノイズ輻射が多いため、距離dの値が大きすぎる場合、すなわちドライバIC16をCOF回路基板10の入力端子側Yから離しすぎると、ノイズレベルが悪化する。したがって、距離dは、距離d+dの値よりも大きいことが必要であるが、距離d+dの値に近く、かつその値は入力配線パターン14aが細くならない程度に小さいものであることが望ましい。
【0047】
図7は、上述のCOF回路基板10を液晶表示装置30に装着した状態を示し、図7(a)は斜視図、図7(b)は液晶表示装置30のソース側ドライバICの一部分であるF部分の拡大図である。
【0048】
液晶表示装置30は、液晶表示パネル31と、液晶表示パネルを収容する内枠32と、この内枠32の背面に配設される外部制御回路等を実装したプリント配線基板(図示省略)と、これらを一体に被う額縁(図示省略)とを備えている。
【0049】
COF回路基板10は、一端の接続部が液晶表示パネル31に接続され、他端の接続部が外部制御回路等を実装したプリント配線基板に接続されている。組み立て時には、まず液晶表示パネル31が内枠32に収容される。次に液晶表示パネル31に接続されたCOF回路基板10は、内枠32の外面に当接して屈曲させ、他端に接続されたプリント配線基板が内枠32の背面に配設される。
【0050】
液晶表示パネルは、電磁妨害(EMI)により直接表示面にドライブ信号が走ることがあるので、電磁妨害(EMI)対策が重要である。特に、液晶表示装置のソース側は、ゲート側に比べ、出力される信号の動作スピードが早いのでノイズも出やすいが、本発明はその電磁妨害(EMI)を軽減することができる。このCOF回路基板10は、ダミーパターンを設けていないことから、ドライバIC16のダウンサイジング化を実現でき、安価に提供することができ、また、ダミーパターンを設けていないことと線幅を拡大して電磁妨害(EMI)の軽減もされているため、液晶表示装置の低価格化をはかり、低電圧化、低消費電力化、ノイズの少ない高表示品質化にも役立つことができる。
【0051】
以上の説明では、本実施例でCOF回路基板はポリイミド系樹脂の絶縁フィルムにより形成されるとしたが、可撓性と絶縁性を有する他の素材、例えば、エポキシ系樹脂なども用いることができ、材料、パターン形状等は種々変更できる。
【0052】
なおまた、以上に述べた本発明は、COFタイプの回路基板に限らず、例えばTCPタイプのプリント基板等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例に係るCOF回路基板の平面図である。
【図2】COF回路基板の入力端子側からドライバICの入力端子側に向けて配線される入力配線パターンを示す拡大平面図である。
【図3】COF回路基板の入力端子側からドライバICの入力端子側に向けて配線される入力配線パターンの他の例を示す拡大平面図である。
【図4】図2に示した入力配線パターンにおける線幅の太い部分を、比較的長くした拡大平面図である。
【図5】図3に示した入力配線パターンにおける線幅の太い部分を、比較的長くした拡大平面図である。
【図6】ドライバICの入力端子部とプリント配線板に接続されるCOF回路基板の入力端子部との間が所定距離離されている状態を示す説明図である。
【図7】図7(a)は本発明のCOF回路基板を実装した液晶表示装置の斜視図、図7(b)はその部分的拡大図である。
【図8】図8は従来のCOFタイプの回路基板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 プリント配線板
10 COF回路基板
14 配線パターン
14a 入力配線パターン
14b 出力配線パターン
16 ドライバIC
20 従来のCOFタイプ回路基板
Y COF回路基板の入力端子側
Z ドライバICの入力端子側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム上に設けた配線パターンにドライバICを実装する画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板において、前記配線パターンは、前記配線パターン間にダミーパターンを有せず、かつ、外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に向かうに従って縮幅されていることを特徴とする、画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板。
【請求項2】
前記配線パターンは、前記外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子に至るまでの間に屈曲点が設けられており、前記屈曲点間においては均一の幅を有しており、前記屈曲点において段階的に縮幅されてドライバICの入力端子幅に合致し、前記外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に至るまでの間に複数箇所設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板。
【請求項3】
前記配線パターンは、前記外部接続端子側から前記ドライバICの入力端子側に至るまでの間に滑らかかつ連続的に縮幅されており、最終的にドライバICの入力端子幅に合致していることを特徴とする、請求項1に記載の画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板。
【請求項4】
前記配線パターンは、前記配線パターンの太い部分が細い部分よりも長くなるように設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板。
【請求項5】
前記配線パターンは、前記外部接続端子側と前記ドライバICの入力端子側との間の距離が、前記ドライバICの出力配線パターンが該ドライバICの入力配線パターンと干渉を起こさず、かつ、ノイズレベルが悪化しない範囲で選択された距離であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置用のチップ・オン・フィルム回路基板を用い、前記チップ・オン・フィルム回路基板の出力端子部を画像表示パネルに、前記外部接続端子側を制御用プリント配線基板にそれぞれ接続して枠体に収容したことを特徴とする、画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−100664(P2006−100664A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286352(P2004−286352)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】