説明

チップ状電子部品素子の外部電極形成方法及び装置

【課題】
チップ保持のための弾性体のめくれを防止し、チップ保持姿勢を安定化させる。
【解決手段】
本発明では、スリット状貫通孔を有する弾性体を備えたベルト状の部品保持具におけるスリット状貫通孔の長辺側方から、チップ状電子部品素子を差し込むようにして挿入し、弾性体のスリット状貫通孔によりチップ状電子部品素子を挟持した部品保持具を搬送し、チップ状電子部品素子の所定の部位に外部電極用の導電ペーストを塗布する。このように弾性体のスリット状貫通孔の長辺側方から差し込むように挿入するため、弾性体の下側から押し上げる場合に比して挿入反力が働かず、めくれを防止することができる。また、めくれがないため、チップ保持姿勢を安定化させることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状電子部品素子の外部電極形成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、日本特許第3167338号公報には、以下のような技術が開示されている。具体的には、キャビティ中のチップが輸送ベルトに取り付けられた各マスクの開口部に対して並列に移動するとき、1枚もしくは2枚以上の小円盤がスロットから出てキャビティ中に規制された一定の向きに入っているチップを外縁に形成されたスロット経由でキャビティから金属製の輸送テープすなわちベルトに取り付けられているゴム製のマスクに穿設の切り込みの中へと押し込む。この金属製輸送テープすなわちベルトはマスク中のチップを受け取る供給盤の外縁隣接箇所に刻み目が付けられている。このベルトは整列手段を介してマスク中にチップを正確に正しい向きにしっかりと乗せて輸送する。
【特許文献1】日本特許第3167338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許に開示された技術では、以下のような問題が発生する。すなわち、(1)サイズの小さいチップをベルトに保持させる場合には、ゴム製のマスクにチップを単純に挿入するとゴムのめくれが発生し、外部電極用に塗布される導電ペーストがベルトに付着するなどの問題が生ずる。図1に示すように、ゴム製のマスク100a及び100bの開口部に対してチップ102を下から上に押し込むため、挿入反力によってマスク100a及び100bの端部がめくれあがってしまい、頭出し量dがチップ102の押し込み量より小さくなって、場合によってはマスク100a及び100bの端部に導電ペーストが付着してしまう。また、頭出し量dはマスクによってばらつくため、押し込み量の制御が難しいという問題もある。(2)ゴム製のマスクの寿命とベルトに保持されるチップの姿勢は、チップを保持するゴム製のマスクの加工精度に依存してしまうという問題もある。加工精度の低いマスクを使用すると、チップ挿入時にチップとマスクとが衝突して寿命が短くなると共に、チップの保持姿勢が悪くなるため、導電ペーストの塗布精度を低下させることになる。(3)ゴム製のマスクにチップを挿入させる際、チップ挿入方向の反対側からマスクを押し広げる動作を行うため、マスクは常に負荷を受けることになり、寿命が短くなるという問題もある。以上のような問題は上記特許文献には開示も示唆もなされていない。
【0004】
従って本発明の目的は、上で述べたようなチップ保持のための弾性体のめくれを防止し、チップ保持姿勢を安定化させるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に係る、チップ状電子部品素子の外部電極形成方法は、スリット状貫通孔を有する弾性体を備えたベルト状の部品保持具におけるスリット状貫通孔の長辺側方から、チップ状電子部品素子を差し込むようにして挿入する挿入ステップと、弾性体のスリット状貫通孔によりチップ状電子部品素子を挟持した部品保持具を搬送し、チップ状電子部品素子の所定の部位に外部電極用の導電ペーストを塗布するステップとを含む。
【0006】
このように弾性体のスリット状貫通孔の長辺側方から差し込むように挿入するため、弾性体の下側から押し上げる場合に比して挿入反力が働かず、めくれを防止することができる。また、めくれがないため、チップ保持姿勢を安定化させることも可能である。
【0007】
なお、上で述べた挿入ステップにおいて、チップ状電子部品素子の長辺を、スリット状貫通孔で挟持するように挿入しても良い。このようにすれば、チップ保持姿勢をより安定化させることができる。なお、このようにチップ状電子部品素子を保持する場合には、上で述べた頭出し量が元々少なくなるため、めくれ防止の効果が高まる。
【0008】
さらに、上で述べた部品保持具の弾性体は、スリット状貫通孔の長辺方向が部品保持具の搬送方向と直交するように設けられる場合もある。その場合、上記挿入ステップにおいて、搬送方向と直交する方向からチップ状電子部品素子を挿入する。スリット状貫通孔を上で述べたような方向に設けることにより、ベルト状の部品保持具により多くのチップ状電子部品素子を保持させることができるようになる。
【0009】
一方、上で述べた部品保持具の弾性体は、スリット状貫通孔の長辺方向が部品保持具の搬送方向と平行になるように設けられる場合もある。その場合、上記挿入ステップにおいて、搬送方向とは逆方向に向かってチップ状電子部品を挿入する。この場合には、部品保持具の搬送及びチップ状電子部品素子の装着を連続的に行うことも可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る、チップ状電子部品素子の外部電極形成装置は、スリット状貫通孔を有する弾性体を備えたベルト状の部品保持具と、チップ状電子部品素子を、部品保持具の弾性体におけるスリット状貫通孔の長辺側方から差し込むようにして挿入する部品挿入部と、弾性体のスリット状貫通孔によりチップ状電子部品素子を挟持した部品保持具を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される部品保持具に挟持されたチップ状電子部品素子の所定の部分に導電ペーストを塗布する塗布部とを有する。
【0011】
また、上で述べた部品挿入部は、周面にチップ状電子部品素子を収納可能なくぼみを有するドラムを有する場合もある。その場合、上で述べたくぼみが、略直方体であって、当該くぼみの長辺がドラムの周面に沿って形成される。さらに、上で述べたドラムが、部品保持具の弾性体におけるスリット状貫通孔の長辺方向と直交する回転軸を有する。従来において用いていた技術を利用して比較的簡単に実装することができる。
【0012】
さらに、上で述べた部品保持具の弾性体は、スリット状貫通孔の長辺方向が部品保持具の搬送方向と直交するように設けられる場合もある。その場合、上で述べたドラムの回転軸が、部品保持具の搬送方向と平行とする。
【0013】
また、上で述べた部品保持具の弾性体は、スリット状貫通孔の長辺方向が部品保持具の搬送方向と平行になるように設けられる場合もある。その場合、ドラムの回転軸が、部品保持具の搬送方向と直交し、チップ状電子部品素子が搬送方向とは逆方向に向かって弾性体のスリット状貫通孔に挿入される。
【0014】
以上のような構成を実現するための実施の態様は複数存在しており、以下に具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、チップ保持のための弾性体のめくれを防止し、チップ保持姿勢を安定化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.実施の形態1
本発明の第1の実施の形態に係る外部電極形成装置10の機能ブロック図を図2に示す。図2に示すように、本実施の形態における外部電極形成装置10は、コンデンサなどのチップ状電子部品素子を保持する部品保持具であるベルト1と、ベルト1を紙面右から左へ搬送するベルト搬送機構2a及び2bと、ベルト1が備えるゴム等の弾性体1aに設けられた穴にチップ状電子部品素子を装着させるドラムなどを有する部品装着部3と、部品装着部3によりチップ状電子部品素子が装着されたベルト1を操作してチップ状電子部品素子の所定の部位に導電ペーストを塗布して外部電極を形成するペースト塗布機構4とを有する。
【0017】
ベルト1は、図2ではそのように示されていないが、例えば無端ベルトである。また、ベルト搬送機構2a及び2bは、ローラーなどによりベルト1を引っ張り、部品装着部3がチップ状電子部品素子を装着できるように例えば水平など所定の角度で固定する。そして、本実施の形態では、ベルト搬送機2a及び2bは、ベルト1の弾性体1aの部分を、部品装着部3がチップ状電子部品素子を装着させるタイミングに合わせて、部品装着部3の位置へ間欠的に紙面右から左へ搬送する。なお、ベルト搬送機2a及び2bの動作及び構造は周知であるから本実施の形態ではこれ以上述べない。また、ペースト塗布機構4の動作及び構造についても、周知のものと同様であるからここでは説明を省略する。
【0018】
部品装着部3は、チップ状電子部品を保持するために周面にほぼ直方体のくぼみ3c,3d及び3e等が設けられたドラム3aと、ドラム3a内に設けられ且つチップ状電子部品素子をくぼみ3c等からベルト1に押し出す押し出し部品3bとを有する。ドラム3aの回転軸3fは、ベルト1の搬送方向(進行方向と同じ)と平行である。なお、くぼみ3c等には、押し出し部品3bが通過できるようにするため、溝が切ってある。但し、チップ状電子部品素子をドラム3a内部に落とさずに保持するため、くぼみ3c等において押し出し部品3b用の溝が切られている側面及び底面については、保持端部31等が残されている。
【0019】
図3に二点鎖線3hにおける部品装着部3の断面図を示す。なお、参考にベルト1の断面についても示しておく。本実施の形態では、ドラム3aには4箇所くぼみ3c,3d,3e及び3jが設けられている。但し、図3では、くぼみ3eについては押し出し部品3bと重なるため示されていない。くぼみ3c等の長手方向の長さは、チップ状電子部品素子の長手方向の長さ(L寸)よりやや長く、チップ状電子部品素子を横に収納できるようになっている。また、くぼみ3c等の深さは、チップ状電子部品素子の幅(W寸)とほぼ同じである。さらに、ドラム3aは時計回りに回る。本実施の形態では、回転方向に合わせて、くぼみ3cの位置において、図示しない周知のパーツフィーダによりチップ状電子部品素子がセットされる。そしてドラム3aの回転によって、くぼみ3cにセットされたチップ状電子部品素子をベルト1の方に持ち上げる。そうすると、押し出し部品3bの周面によって、くぼみ3c内における、チップ状電子部品素子の底面の高さが規制されるようになるので、結果的にチップ状電子部品素子を徐々にドラム3aの周面外に押し出し、さらにくぼみ3cの後側面によって押し出すことにより、ドラム1の弾性体1aに設けられた穴にチップ状電子部品素子を横から差し込むように挿入することになる。このような動作については、以下で段階を追って説明する。
【0020】
また、図4(a)にベルト1の上面図、図4(b)に二点鎖線1cにおけるベルト1の断面図を示す。ベルト1は、例えば金属テープに設けられた矩形の穴に、貫通孔1bを有するゴムなどの弾性体1aを設けたものであって、形状としては周知である。但し、貫通孔1bは、長手方向側方からチップ状電子部品素子が差し込まれることになるので、従前に用いられていたものより長さは長くなっている。また、貫通孔1bは、スリットの上下に丸い穴を追加した形状となっている。丸い穴の部分は、形は丸である必要はないが、チップ状電子部品素子を、側方から無理なく差し込むために必要な大きさを確保する必要がある。ゴムなどの弾性体1aの厚みは、挟持するチップ状電子部品素子の厚みの半分程度である。
【0021】
次に、図5(a)乃至(c)により、図1に示した外部電極形成装置10におけるチップ状電子部品素子のベルト1への装着動作を説明する。なお、導電ペーストを塗布して外部電極を形成する動作については、この装着動作の後に実施される。また、図5(a)乃至(c)については、左が図2に示したのと同じ向きの図であり、右が図2における二点鎖線3hにおける断面図を示す。
【0022】
まず、第1の段階として、ベルト搬送機構2a及び2bは、チップ状電子部品素子が装着されていない、ベルト1の弾性体1aの部分を、部品装着部3の位置に移動させる。ベルト1は右から左に搬送されるので、図5(a)では、ベルト1の左の弾性体1aには既にチップ状電子部品素子が装着されているが、ベルト1の中央の弾性体1aにはまだチップ状電子部品素子は装着されていない。そこで、当該中央の弾性体1aを部品装着部3の位置に移動させ、固定する。一方、図示しない周知のパーツフィーダにより、図5(a)の状態においては、くぼみ3cの位置に今回装着されるチップ状電子部品素子6を挿入する。なお、ドラム3a内に設けられている押し上げ部品3bは、時計回りに回転させても回転させなくとも良い。
【0023】
第2段階として、くぼみ3cにチップ状電子部品素子6が挿入されているドラム3aは、回転軸3fを中心に時計回りに回転する。ある程度回転すると、くぼみ3cに挿入されているチップ状電子部品素子6の底面は、図5(b)に示すように、押し出し部品3bの周面に接するようになり、徐々にドラム3aの周面方向に押し出されるようになる。さらにドラム3aが回転すると、チップ状電子部品素子6は、その角6aからベルト1の弾性体1aに設けられた貫通孔1bの長手方向いずれかの側部における丸部分へ差し込まれる。
【0024】
第3段階として、第1段階からドラム1aが90度回転すると、図5(c)に示すように、チップ状電子部品素子6を、ベルト1の弾性体1aに設けられた貫通孔1bの長手方向いずれかの側部における丸部分から、押し上げ部品3bのほぼ周面接線方向に差し込むようにして、貫通孔1bに挿入することになる。図5(c)の状態では、チップ状電子部品素子6の長手方向側面が、ベルト1の弾性体1aにより挟持されるようになっている。このような方向にベルト1をチップ状電子部品素子6に装着させる場合には頭出し量がより少なくなるため、保持姿勢が非常に重要となる。本実施の形態では、上で述べたように押し上げ部品3bのほぼ周面接線方向に差し込むようにして挿入するので、図1に示したようなめくれは生じにくく、安定的にチップ状電子部品素子6を保持させることができるようになる。
【0025】
なお、第3段階の後に、図示しない周知のチップフィーダによりくぼみ3dに新たなチップ状電子部品素子6をセットし、ベルト搬送機構2a及び2bにより、ベルト1の次の弾性体1aの部分を、部品装着部3の位置に移動させる。
【0026】
以上のような処理を繰り返すことにより、次々にベルト1にチップ状電子部品素子を装着する。その後、周知の処理にて導電ペーストをベルト1に装着されたチップ状電子部品素子の所定の部位に塗布する処理を行う。
【0027】
2.実施の形態2
次に、本発明の第2の実施の形態を図6を用いて説明する。図6は、図2と同じ方向から見た図を示している。基本的には図2に示した部品保持部3を2連にした部品保持部30を用いる。すなわち、ベルト1における2箇所の弾性体1aの貫通孔1bに同時にチップ状電子部品素子を装着することができるように、ドラム30a内部に、押し出し部品30b及び31bを設け、その周面に押し出し部品30b用にくぼみ30c,30d,30e等を設け、押し出し部品31b用にくぼみ31c,31d,30e等を設けるものである。このようにすれば、2倍の速度でチップ状電子部品素子をベルト1に装着させることができる。なお、動作については図5(a)乃至(c)に示したものと基本的には同じであり、ベルト1の1度の移動距離が2倍となるだけである。従って、詳細な説明については省略する。また、3以上のチップ状電子部品素子を同時に装着させるようにしても良い。
【0028】
3.実施の形態3
本発明の第1の実施の形態では、ベルト1の搬送方向(進行方向)とベルト1の弾性体1aに設けられた貫通孔1bの長手方向とが直交しており、さらにベルト1の搬送方向(進行方向)とドラム3aの回転軸とが平行となっている。しかし、本発明の第1の実施の形態における重要なポイントは、チップ状電子部品素子を、ベルト1の弾性体1aに設けられた貫通孔1bの長手方向のいずれかの側部から差し込むように挿入することであって、ドラムの回転面やベルトの弾性体1aにおける貫通孔1bの向きについては大きな問題ではない。
【0029】
従って、例えば図7に示すように、図4(a)に示したような貫通孔1bを90度回転させるようにしても良い。本実施の形態におけるベルト41は、所定の間隔で弾性体41aが設けられる点において第1の実施の形態と同じであるが、貫通孔41bの長手方向がベルトの搬送方向(進行方向)と平行になるように設けられている。
【0030】
このようなベルト41を用いる場合には、部品装着部3についてもドラム3aの回転軸を90度回転させる必要がある。以下、図8(a)乃至(c)を用いて、本実施の形態におけるドラム43aの構成及びその動作を説明する。図8(a)乃至(c)は、図2と同じ向きから見た図であり、本実施の形態におけるドラム43aの周面中央における断面図である。また、一点鎖線は回転を示すための参考的な線である。図8(a)に示すように、ドラム43aの基本構造は、第1の実施の形態と同一であるが、回転軸を90度回転させ、ベルトの搬送方向(進行方向)と回転軸とを直交させる。回転方向は、この状態において時計回りとする。従って、ベルト41の弾性体41aにおける、チップ状電子部品素子46の差し込み方向とベルト41の搬送方向(進行方向)とは逆方向となる。このような回転方向とベルト41の搬送方向との関係から、第1の実施の形態とは異なり、ベルト41の搬送は、間欠的に行っても良いし、ドラム43aが90度回転する間にベルト41の弾性体41a1つ分の間隔だけ連続的に行っても良い。
【0031】
まず、第1の段階として、ベルト搬送機構2a及び2b(図2と同じ)は、チップ状電子部品素子が装着されていない、ベルト41の弾性体41aの部分を、部品装着部43の位置に移動させる。ここでは説明を簡単にするため、ベルト41を間欠的に移動させるものとする。そして、図示しない周知のパーツフィーダにより、図8(a)の状態においては、くぼみ43cの位置に今回装着されるチップ状電子部品素子46を挿入する。
【0032】
第2段階として、くぼみ43cにチップ状電子部品素子46が挿入されているドラム43aは、紙面に直交するように設けられた回転軸を中心に時計回りに回転する。ある程度回転すると、くぼみ43cに挿入されているチップ状電子部品素子46の底面は、図8(b)に示すように、押し出し部品43bの周面に接するようになり、徐々にドラム43aの周面方向に押し出されるようになる。さらにドラム43aが回転すると、チップ状電子部品素子6は、その角46aからベルト41の弾性体41aにおける貫通孔41bの長手方向いずれかの側部に設けられた丸部分へ差し込まれる。
【0033】
第3段階として、第1段階からドラム41aが90度回転すると、図8(c)に示すように、チップ状電子部品素子46を、ベルト41の弾性体41aに設けられた貫通孔41bの長手方向いずれかの側部における丸部分から、押し上げ部品43bのほぼ周面接線方向に差し込むようにして、貫通孔41bに挿入することになる。図8(c)の状態では、チップ状電子部品素子46の長手方向側面が、ベルト41の弾性体41aにより挟持されるようになっている。本実施の形態でも、上で述べたように押し上げ部品43bのほぼ周面接線方向に差し込むようにして挿入するので、図1に示したようなめくれは生じにくく、安定的にチップ状電子部品素子46を保持させることができるようになる。
【0034】
なお、第3段階の後に、図示しない周知のチップフィーダによりくぼみ43dに新たなチップ状電子部品素子46をセットし、ベルト搬送機構2a及び2bにより、ベルト41の次の弾性体41aの部分を、部品装着部43の位置に移動させる。
【0035】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ドラム内に押し出し部品を設ける例を示したが、ドラムに設けられたくぼみにセットされたチップ状電子部品素子を徐々にドラム周面方向に押し出し、最もベルトに近づいた状態においてチップ状電子部品素子の押し出しを最大とするような機能を果たす他の構成を採用することも可能である。具体的には、ドラムの周面から中心方向へ又はその逆方向に上下動可能な部品保持機構を設け、当該部品保持機構においてチップ状電子部品素子の下端面を止めるためのストッパを設ける。そして、図5(a)におけるくぼみ3cの位置においてチップ状電子部品素子を部品保持機構にセットし、ドラムを回転させつつ当該部品保持機構を徐々にドラム周面方向に押し出す。図5(c)のように90度回転した時点において、部品保持機構は最大限チップ状電子部品素子を押し出す状態になり、図5(c)と同様に、チップ状電子部品素子は、ベルトの弾性体に設けられた貫通孔の長手方向側方から差し込むように弾性体に挿入される。但し、部品保持機構におけるストッパも弾性体の貫通孔に差し込まれるので、部品保持機構をドラム中心方向に下げてから、ドラムを回転させる必要がある。なお、このような部品保持機構の上下動は、ドラム中心部に設けられるドラムプッシャの形状を工夫し、部品保持機構に当該部品保持機構をドラム中心方向に復元させるバネなどの復元機構を設ければ実現できる。当然ながら、その他の構造を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来の問題点を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る外部電極形成装置の機能ブロック図である。
【図3】第1の実施の形態におけるドラムの構造を説明するための断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、第1の実施の形態におけるベルトの構造を説明するための上面図及び断面図である。
【図5】(a)乃至(c)は、第1の実施の形態におけるチップ状電子部品素子のベルトへの装着動作を説明するための図である。
【図6】第2の実施の形態に係るドラムの概要を示す図である。
【図7】第3の実施の形態に係るベルトの上面図である。
【図8】第3の実施の形態におけるチップ状電子部品素子のベルトへの装着動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0037】
1,41 ベルト 1a,41a 弾性体 1b,41b 貫通孔
2a,2b ベルト搬送機構
3 部品装着部 3a,43a ドラム
3b,43b 押し出し部品
3c,3d,3e,3j,43c,43d,43e,43j くぼみ
4 ペースト塗布機構 6,46 チップ状電子部品素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ状電子部品素子の外部電極形成方法であって、
スリット状貫通孔を有する弾性体を備えたベルト状の部品保持具における前記スリット状貫通孔の長辺側方から、前記チップ状電子部品素子を差し込むようにして挿入する挿入ステップと、
前記弾性体の前記スリット状貫通孔により前記チップ状電子部品素子を挟持した前記部品保持具を搬送し、前記チップ状電子部品素子の所定の部位に外部電極用の導電ペーストを塗布するステップと、
を含む外部電極形成方法。
【請求項2】
前記挿入ステップにおいて、前記チップ状電子部品素子の長辺を、前記スリット状貫通孔で挟持することを特徴とする請求項1記載の外部電極形成方法。
【請求項3】
前記部品保持具の前記弾性体は、前記スリット状貫通孔の長辺方向が前記部品保持具の搬送方向と直交するように設けられており、
前記挿入ステップにおいて、前記搬送方向と直交する方向から前記チップ状電子部品素子を挿入することを特徴とする請求項1記載の外部電極形成方法。
【請求項4】
前記部品保持具の前記弾性体は、前記スリット状貫通孔の長辺方向が前記部品保持具の搬送方向と平行になるように設けられており、
前記挿入ステップにおいて、前記搬送方向とは逆方向に向かってチップ状電子部品を挿入することを特徴とする請求項1記載の外部電極形成方法。
【請求項5】
チップ状電子部品素子の外部電極形成装置であって、
スリット状貫通孔を有する弾性体を備えたベルト状の部品保持具と、
前記チップ状電子部品素子を、前記部品保持具の前記弾性体におけるスリット状貫通孔の長辺側方から差し込むようにして挿入する部品挿入部と、
前記弾性体の前記スリット状貫通孔により前記チップ状電子部品素子を挟持した前記部品保持具を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記部品保持具に挟持された前記チップ状電子部品素子の所定の部分に導電ペーストを塗布する塗布部と、
を有する外部電極形成装置。
【請求項6】
前記部品挿入部は、周面に前記チップ状電子部品素子を収納可能なくぼみを有するドラムを有しており、
前記くぼみは、略直方体であって、当該くぼみの長辺は前記ドラムの周面に沿って形成されており、
前記ドラムは、前記部品保持具の前記弾性体における前記スリット状貫通孔の長辺方向と直交する回転軸を有することを特徴とする請求項5記載の外部電極形成装置。
【請求項7】
前記部品保持具の前記弾性体は、前記スリット状貫通孔の長辺方向が前記部品保持具の搬送方向と直交するように設けられており、
前記ドラムの回転軸が、前記部品保持具の前記搬送方向と平行であることを特徴とする請求項5記載の外部電極形成方法。
【請求項8】
前記部品保持具の前記弾性体は、前記スリット状貫通孔の長辺方向が前記部品保持具の搬送方向と平行になるように設けられており、
前記ドラムの回転軸が、前記部品保持具の前記搬送方向と直交し、
前記チップ状電子部品素子が前記搬送方向とは逆方向に向かって前記弾性体の前記スリット状貫通孔に挿入されることを特徴とする請求項5記載の外部電極形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−324365(P2006−324365A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144875(P2005−144875)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】