説明

チューブの形状保持具

【課題】チューブのコルゲート部を所定形状に保持して、ブラケット等で支持しなくても所定経路に沿って配設することができ、かつ、チューブと取付け部との間の寸法誤差を吸収できるチューブの形状保持具を提供する。
【解決手段】このチューブの形状保持具10は、環状の凹溝3a及び凸条3bが軸方向に交互に形成されたコルゲート部3を有するチューブ1のコルゲート部3が形成された部分を所定形状に保持するもので、チューブ1のコルゲート部3が形成された部分を挿入して所定形状に保持する凹部23を有する保持具本体20と、凹部23に挿入されたチューブ1を抜け止めする押え部材30と、凹部23にチューブ1が挿入された状態で、押え部材30を保持具本体20に係止させる係止手段とを備え、保持具本体20の凹部23の少なくとも軸方向両端部には、コルゲート部3の凹溝3aの少なくとも両側に嵌合するリブ25が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲート部を有するチューブの、コルゲート部が形成された部分を、所定形状に保持するための、チューブの形状保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料タンク内の配管や、その他の配管としては、屈曲可能なコルゲート部を有するチューブが好ましく用いられている。この種のチューブは、配設する箇所に合わせて、曲げたり真直ぐにしたり、所定形状に保持された状態で配設されるようになっている。
【0003】
チューブを所定形状に保持するものとして、下記特許文献1には、チューブの湾曲形状に対応して湾曲し、コルゲート部(蛇腹部)を沿わせるようにして、コルゲート部の外周に取り付けられるプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の端部に設けられ、非コルゲート部(非蛇腹部)に取り付けられる位置決め固定部とを備え、前記位置決め固定部は、非コルゲート部及びコルゲート部の境界部分と長さ方向に係合するように構成されている、樹脂チューブ用プロテクタが開示されている。すなわち、蛇腹状のコルゲート部と直管状の非コルゲート部との間に段差部が形成され、この段差部にC型クランプや蓋部からなる位置決め固定部が係合することで、チューブが保持されるようになっている。
【0004】
また、自動車の燃料タンク内にチューブを配管させる構造として、下記特許文献2のものが知られている。すなわち、燃料タンク内にブラケットを固着させておき、更に、このブラケットに係合する係止脚と、チューブを把持するホルダ部と、チューブをその長手方向に沿って支持するガイド片とを有するクリップを用いて、チューブを所定形状に抜け止め保持し、その後、前記ブラケットにクリップの係止脚を係合させることにより、燃料タンク内にて、チューブを所定形状に保持しつつ所定箇所に配設させるようにした構造が開示されている。
【特許文献1】特開2005−282836号公報
【特許文献2】特開2007−8254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記チューブのコルゲート部は、柔軟性を有し比較的自由に曲げることができると共に、軸方向にある程度伸び縮みできるようになっている。そのため、チューブと取付け部との間に寸法誤差があっても、コルゲート部を適宜伸縮させることにより、前記寸法誤差を吸収して所定箇所にチューブを配設することが可能となっている。
【0006】
しかし、上記特許文献1のプロテクタ本体の両端に位置決め固定部を設けたプロテクタでは、両端の位置決め固定部により、コルゲート部両端が固定されるので、コルゲート部を伸縮させることができず、上記寸法誤差を吸収することができないという不都合がある。一方、プロテクタ本体の一端にだけ位置決め固定部を設けることも考えられるが、その場合には、チューブの固定部とは反対部分が軸方向に移動しやすくなるので、チューブを所定形状に保持するのは難しいと考えられる。
【0007】
また、上記プロテクタは、位置決め固定部により固定される非コルゲート部が必要とされるので、例えば全体がコルゲート部をなすチューブに適用する場合のように、コルゲート部の途中を所定形状に保持することはできない。更に、チューブが燃料による膨潤や加熱により変形した場合、プロテクタ本体からはみ出てしまって、チューブを所定形状に保持できない可能性があった。
【0008】
一方、特許文献2では、タンク内に固着されたブラケットと、チューブを所定形状に保持するクリップとを用いて、燃料タンク内にチューブを所定形状に保持するようになっている。しかし、燃料タンク内にはバルブ類やポンプ等の他部材が多く配置されていたり、或いは、タンク外部に何らかの部材や装置が配置され、その干渉を防ぐためにタンク形状が制限されていたりするなどの理由から、燃料タンク内にブラケットやクリップを配置するスペースを確保できないことがあり、そのような場合には、適用することができなかった。その場合には、チューブ自体の保形力でタンク内に配設させることになるが、チューブが燃料による膨潤や加熱により変形して、配置位置がずれてしまう可能性があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、コルゲート部を有するチューブのコルゲート部を所定形状に保持して、ブラケット等で支持しなくても所定経路に沿って配設することができ、かつ、チューブと取付け部との間の寸法誤差を吸収できるようにしたチューブの形状保持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、環状の凹溝及び凸条が軸方向に交互に形成されたコルゲート部を有するチューブの前記コルゲート部が形成された部分を所定形状に保持するための形状保持具において、前記チューブの前記コルゲート部が形成された部分を挿入して所定形状に保持する凹部を有する保持具本体と、前記保持具本体の凹部に挿入された前記チューブを抜け止めする押え部材と、前記保持具本体の凹部に前記チューブが挿入された状態で、前記押え部材を前記保持具本体に係止させる係止手段とを備え、前記保持具本体の凹部の少なくとも軸方向両端部には、前記コルゲート部の凹溝の少なくとも両側に嵌合するリブが形成されていることを特徴とするチューブの形状保持具を提供するものである。
【0011】
上記発明によれば、チューブのコルゲート部が形成された部分を保持具本体の凹部に、該凹部に形成されたリブをコルゲート部の凹溝に嵌合させながら挿入し、その状態で押え部材を凹部の開口部に配置して係止手段によって保持具本体に係合させることにより、チューブを形状保持具に保持させることができる。その結果、チューブのコルゲート部が形成された部分が、保持具本体の凹部の形状に沿って保持されると共に、コルゲート部に嵌合したリブによってチューブの軸方向移動も阻止される。
【0012】
このように、チューブの前記コルゲート部が形成された部分を、形状保持具によって所定形状に保持することにより、例えば燃料タンク内に配設されるチューブ配管などにおいて、支持具を設けるスペースがなく、チューブ自体で支持しなければならない場合でも、所定形状に保持して配設することが可能になる。
【0013】
また、チューブに対して、燃料による膨潤や、加熱による変形が起ったとしても、保持具本体の凹部の少なくとも軸方向両端部に設けられたリブがコルゲート部の凹溝に嵌合しているので、チューブのコルゲート部の伸び等を規制して形状を保持することができる。
【0014】
更に、チューブの配管の際に、寸法等が完全に適合しない場合でも、コルゲート部を伸縮させて、任意の凹溝にリブを嵌合させることができるので、チューブと取付け部との寸法誤差を容易に調整することができる。
【0015】
また、保持具本体の少なくとも軸方向両端に設けたリブは、コルゲート部の凹溝に嵌合するようになっているので、例えば全体がコルゲート部をなすチューブに適用する場合のように、コルゲート部の途中であっても装着することができる。
【0016】
本発明の第2は、前記第1の発明において、前記押え部材は、前記保持具本体の凹部の開口全体をほぼ覆う形状をなし、かつ、前記保持具本体に対してヒンジを介して連結されていて、前記保持具本体の凹部の開口を開閉可能となるように構成されているチューブの形状保持具を提供するものである。
【0017】
上記発明によれば、保持具本体と押え部材とがヒンジを介して連結されて一体化されているので、形状保持具の取扱いが簡単で管理も容易となる。また、押え部材を閉じて係止手段により保持具本体に係止させると、凹部の開口全体が覆われるので、チューブが燃料による膨潤や加熱により変形しても、チューブの凹部からのはみ出しを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チューブのコルゲート部が形成された部分を保持具本体の凹部に、リブをコルゲート部の凹溝に嵌合させながら挿入し、押え部材を係止手段により保持具本体に係合させることにより、チューブの軸方向移動を規制した状態で、チューブを形状保持具に保持させることができる。その結果、例えば燃料タンク内等のスペースが小さい場所でも、所定形状に保持して配設できる。
【0019】
また、チューブが膨潤や加熱により変形しても、リブがコルゲート部の凹溝に嵌合しているので、チューブのコルゲート部の伸び等を規制して形状を保持することができる。更に、チューブの配管の際に、寸法等が完全に適合しない場合でも、コルゲート部を伸縮させて、任意の凹溝にリブを嵌合させることができるので、チューブと取付け部との寸法誤差を容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1〜4を参照して、本発明によるチューブの形状保持具の第1実施形態を説明する。
【0021】
図1,2に示すように、このチューブの形状保持具により保持されるチューブ1は、この実施形態の場合、環状の凹溝3a及び凸条3bが軸方向に交互に形成されたコルゲート部3を有し、更にコルゲート部3の両端から直管状部5,5が延設されている。チューブ1の材質は、適用箇所に応じて適宜選択すればよいが、例えば燃料タンク内の配管に利用されるチューブの場合は、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどの耐熱性、耐油性に優れた合成樹脂で形成されることが好ましい。
【0022】
本発明のチューブの形状保持具は、上記チューブ1のコルゲート部3が形成された部分であって所定の形状に保持したい部分(以下、「被保持部」という)に用いられる。図2に示すように、この被保持部を符号Aで示す。また、この被保持部Aは、少なくとも軸方向両端にコルゲート部3,3が配置されていればよく、例えば、軸方向両端のコルゲート部3,3の間に直管状部5が配置されていてもよい。
【0023】
そして、このチューブの形状保持具10(以下、「形状保持具10」という)は、チューブ1の被保持部Aを挿入して所定形状に保持する凹部23を有する保持具本体20と、前記凹部23に挿入されたチューブ1の被保持部Aを抜け止めする押え部材30と、前記凹部23にチューブ1の被保持部Aが挿入された状態で、押え部材30を保持具本体20に係止させる係止手段とを備えている。
【0024】
この実施形態の保持具本体20は、平面的に見て全体としてエルボ状に屈曲した形状をなしている。また、保持具本体20は、横断面で見たとき、円弧状をなす底壁21と、該底壁21の両側縁から立設された一対の側壁22,22とを有し、上方及び軸方向両端が開口して、チューブ1の被保持部Aが挿入される凹部23が形成されている。
【0025】
なお、この実施形態では、凹部23にチューブ1の被保持部Aが挿入されたとき、同被保持部A外周の上方部分以外を覆うように、前記一対の側壁22,22がチューブ1の外径にほぼ適合した高さで立設している。
【0026】
また、保持具本体20の全体形状は、この実施形態のように所定角度で屈曲したエルボ形状だけでなく、U字形状や、波形形状や、三次元的に屈曲した形状や、直線形状であってもよく、チューブ1の被保持部Aを、どのような形状に保持したいかで適宜選択することができる。
【0027】
凹部23の少なくとも軸方向両端部には、コルゲート部3の凹溝3aの少なくとも両側に嵌合するリブ25が形成されている。この実施形態の場合、リブ25は、各側壁22,22の内面に沿って、かつ、凹部23の上方の開口23aの近傍から底壁21に向かって平行に伸びており、コルゲート部3の選択された凹溝3aの両側に嵌合するようになっている。また、この実施形態では、両側一対のリブ25が、凹部23の軸方向両端部及び軸方向中間部の3箇所に設けられている。なお、リブ25の上面が、側壁22の上面よりも低く形成されていることにより(図1参照)、押え部材30で凹部23を閉じたときに、同凹部23内周に入り込む保持凸部32(後述)の干渉が防止されるようになっている。
【0028】
また、一方の側壁22(保持具本体20の屈曲形状外側)の外側面であって、その軸方向中間部の開口23a周縁からは、外方に向かってコ字枠状の係合片26が突設されている。この係合片26の内側は係合孔27をなしており、後述する係合爪36が係合する部分となっている。
【0029】
更に、他方の側壁22(保持具本体20の屈曲形状内側)の外側面であって、軸方向両端部の開口23a周縁からは、薄肉板状のヒンジ29,29が突設されており、このヒンジ29,29に押え部材30が連結されている。なお、薄肉板状のヒンジ29の下面側には、ヒンジ29を曲げやすくするためのV溝29aが形成されている(図2参照)。
【0030】
チューブ1を抜け止め保持する押え部材30は、この実施形態の場合、前記保持具本体20の凹部23に適合し、その開口23a全体をほぼ覆う屈曲した板状をなしており、更に上述したようにヒンジ29を介して保持具本体20に一体的に連結されて、凹部23の開口23aを開閉可能となっている。
【0031】
押え部材30の凹部23に被せられる内側面には、凹部23の開口部23aに適合する形状の保持凸部32が設けられている。この保持凸部32の内側面は、横断面円弧状をなしており、図3に示すように、押え部材30で凹部23の開口23aを閉じたときに、同開口23aの内周に嵌合すると共に、凹部23に挿入されたチューブ1の被保持部Aの上方外周に当接し、同被保持部Aを安定して押さえ付けて、被保持部Aを所定形状にしっかりと保持することができるようになっている。
【0032】
図1に示すように、押え部材30の、屈曲形状外側の外側面の周縁からは、凹部23の開口23aを閉じる方向に向かって、撓み可能な弾性片34が立設されており、この弾性爪34の先端外方に係合爪36が突設されている。この係合爪36の外面は、先端に向かって次第に高さが低くなるテーパ面36aをなしている。この係合爪36は、押え部材30で凹部23の開口23aを閉じるときに、保持具本体20に設けられた係合片26の係合孔27に係合して、押え部材30を保持具本体20に係止させる役割をなす。すなわち、この係合爪36と前記係合孔27とが本発明における「係止手段」をなしている。
【0033】
以上説明した各構成部材からなる形状保持具10は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)等の合成樹脂を用いて製造することができる。
【0034】
次に、上記構成からなる本発明のチューブの形状保持具の使用方法について説明する。
【0035】
まず、図1に示すように、保持具本体20から押え部材30を離して、凹部23を開いておく。その状態でチューブ1の被保持部Aを、凹部23の屈曲形状に合わせて屈曲させて、被保持部Aのコルゲート部3の任意の凹溝3aを、凹部23内側のリブ25,25に位置決めし(この実施形態では凹部23の軸方向両端及び中間の3か所)、チューブ1を凹部23に向けて押し込んで、前記リブ25,25を凹溝3aに嵌合させながら、凹部23内に挿入していく。
【0036】
その後、薄肉板状のヒンジ29を内側に曲げつつ、押え部材30を保持具本体20側に向けて押しつける。すると、係合孔27内周に係合爪36のテーパ面36aが押圧され、弾性片34が撓みつつ押し込まれる。そして、係合爪36の基部が係合孔27から抜け出ると、弾性片34が弾性復帰して、係合孔27周縁に係合爪36が係合すると共に、凹部23の開口23aの内周に保持凸部32が嵌合して、チューブ1の被保持部Aの上方外周に当接し、凹部23の開口23a全体が覆われた状態で、保持具本体20に押え部材30が係止される(図3参照)。
【0037】
その結果、チューブ1の被保持部Aが、保持具本体20の凹部23の形状に沿って所定形状に保持されると共に、コルゲート部3の凹溝3aに嵌合したリブ25によって、チューブ1の被保持部Aの軸方向移動も阻止された状態で、押え部材30によって凹部23内周にチューブ1の被保持部Aが抜け止め保持される。
【0038】
上記のように、形状保持具10により所定形状に保持されたチューブ1は、例えば、図4に示す、燃料タンクT内における配管用チューブとして用いることができる。この燃料タンクTは、シャフト回避用の凹部が設けられた鞍型の燃料タンクで、その一方の空間内にメインポンプユニットP1が配置され、他方の空間内にサブポンプユニットP2が配置されており、両ポンプユニットP1,P2間は、チューブにより連結されている。
【0039】
上記燃料タンクTは、タンク外に配置される他の部材や装置等の干渉を防ぐため、その上方中央は所定深さで凹んだ形状をなしており、チューブを配置すべき上方空間は比較的小さいスペースとなっている。そのため、チューブを支持する支持具や、それを燃料タンクの所定位置に配設するためのブラケット等を配置するスペースがなく、チューブ1自体で支持しなければならない。すなわち、タンク上方の凹部やタンク壁面に干渉しないように、チューブ1を適宜屈曲させる等してタンク内にて支持する必要がある。
【0040】
本発明の形状保持具10においては、上述したように、チューブ1の被保持部Aを所定形状に保持することができるので、図4に示すように、チューブ1を所定形状に保持させて、燃料タンクT内の所定位置に確実に配設することができる。この実施形態では、エルボ状に屈曲した形状保持具10を4つ用いて、チューブ1の被保持部Aをそれぞれ形状保持して、チューブ全体の中央部分を凹ませると共に両側を外方に曲げた、略クランク形状に保持して(図4参照)、燃料タンクTの壁面等に干渉することなく、両ポンプユニットP1,P2に連結することができる。
【0041】
また、この形状保持具10においては、チューブ1が、燃料による膨潤や、加熱による伸びなどによって変形しても、保持具本体20の凹部23の少なくとも軸方向両端部に設けられたリブ25が、コルゲート部3の凹溝3aに嵌合しているので、チューブ1の被保持部Aにおける、コルゲート部3の伸び等を確実に規制して、同被保持部Aを所定形状に保持し続けることができる。
【0042】
更に、チューブ1の製造上の問題により、チューブ1が所定長さよりも長かったり短かったり、或いは、取付け部(この実施形態では両ポンプユニットP1,P2)の配置箇所がずれていたりして、チューブと取付け部との間に寸法誤差が生じることがある。これに対して、この形状保持具10では、上記のようにチューブ1と取付け部との寸法等が完全に適合しない場合でも、コルゲート部3を適宜伸縮させることによって、任意の凹溝3aにリブ25を嵌合させることができるので、チューブ1と取付け部との寸法誤差を容易に調整することができる。
【0043】
また、この形状保持具10においては、保持具本体20のリブ25が、コルゲート部3の凹溝3aに嵌合するようになっているので、例えば全体がコルゲート部をなすチューブに適用する場合のように、コルゲート部3の途中であっても装着することができる。
【0044】
更に、この実施形態の形状保持具10は、押え部材30は、保持具本体20の凹部23の開口23a全体をほぼ覆う形状をなし、かつ、保持具本体20に対してヒンジ29を介して連結され、凹部23の開口23aを開閉可能となるように構成されている。すなわち、保持具本体20と押え部材30とがヒンジ29を介して連結されて一体化されているので、形状保持具10の取扱いが簡単で管理も容易となる。また、押え部材30を閉じて、係合孔27に係合爪36を係合させて、保持具本体20に押え部材30を係止させると、凹部23の開口23a全体が覆われて、チューブ1の被保持部A全体がカバーされるので、同被保持部Aの凹部23からの抜け外れを防止して、より確実に所定形状に保持することができる。
【0045】
なお、この実施形態における形状保持具10は、燃料タンク内へのチューブ配管用として用いたが、この態様に限定されるものではなく、例えば、自動車のラジエータ、ヒーターユニット等に用いられるチューブの形状保持に用いてもよい。
【0046】
図5には、本発明によるチューブの形状保持具の第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略することにする。
【0047】
この実施形態のチューブの形状保持具10a(以下、「形状保持具10a」という)は、前記第1実施形態に比べて、コルゲート部3の凹溝3aに嵌合するリブの形状が異なっている。
【0048】
この形状保持具10aにおけるリブ25aは、凹部23の内周に沿って伸びる形状、すなわち、底壁21及び一対の側壁22,22の内面全周に亘って連続して伸びる形状をなし、軸方向に見たときに略U字状となっている。そして、この実施形態によれば、チューブ1の被保持部Aを凹部23で形状保持するときに、コルゲート部3の凹溝3aの周方向の広い範囲に亘って、リブ25aが嵌合するので、チューブ1の被保持部Aがよりしっかりと形状保持されて、軸方向移動もより確実に規制される。
【0049】
図6には、本発明によるチューブの形状保持具の第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略することにする。
【0050】
この実施形態のチューブの形状保持具10b(以下、「形状保持具10b」という)は、前記第1,第2実施形態に比べて、保持具本体及び押え部材の形状が異なっている。
【0051】
すなわち、この形状保持具10bにおける保持具本体20bは、軸方向から見て半円筒形状をなしており、これに対応して押え部材30bも、軸方向から見て半円筒形状をなしている。また、押え部材30bにも、コルゲート部3の凹溝3aに嵌合するリブ25が形成されている。したがって、チューブ1の被保持部Aは、その下半部が保持部本体20bにより保持されると共に、上半部が押え部材30bに保持される。このように、チューブ1の被保持部Aが、保持具本体20bと押え部材30bとで均等に保持されるので、チューブ1をバランスよく安定させて形状保持することができる。
【0052】
図7には、本発明によるチューブの形状保持具の第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略することにする。
【0053】
この実施形態のチューブの形状保持具10c(以下、「形状保持具10c」という)は、前記第1〜第3実施形態に比べて、押え部材の構造が異なっている。
【0054】
すなわち、この形状保持具10cにおける押え部材30cは、円板状のフランジ部37と、該フランジ部37の片面中央から所定長さで突設した棒状の軸部38とからなり、略ピン状をなしている。これに対応して、保持具本体20cの軸方向両端の両側壁22,22には、円形状のピン挿通孔22a,22aがそれぞれ形成されている。
【0055】
したがって、保持具本体20cの凹部23に、リブ25をコルゲート部3の凹溝3aに嵌合させながら挿入した後、両側壁22,22のピン挿通孔22a,22aに、ピン状の押え部材30cの軸部38を差し込んで、フランジ部37を一方の側壁22に係止させると共に、軸部38の先端を図示しないスナップリング39(本発明の「係止手段」をなす)で係止することにより、チューブ1の被保持部Aが所定形状に保持される。この実施形態によれば、押え部材30cがピン状をなしているので、形状保持具10cのコンパクト化を図ることができる。
【0056】
図8には、本発明によるチューブの形状保持具の第5実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略することにする。
【0057】
この実施形態のチューブの形状保持具10d(以下、「形状保持具10d」という)は、押え部材30dが保持具本体20dに対して別体となっている点で、前記第1〜第3実施形態と異なっている。また、押え部材30dを別体にしたことに伴って、保持具本体20の両側壁22,22の軸方向両端の4か所にそれぞれ係合孔27を設けると共に、押え部材30dの軸方向両端であって、その両側の4か所に係合爪36を設けている。そして、各係合爪36を各係合孔27にそれぞれ係合させることにより、保持具本体20dに押え部材30dを係止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のチューブの形状保持具の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】同形状保持具の平面図である。
【図3】同形状保持具を用いて、チューブを保持した状態を示す斜視図である。
【図4】同形状保持具を用いて、チューブを燃料タンクの所定箇所に配設した状態を示す説明図である。
【図5】本発明のチューブの形状保持具の第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のチューブの形状保持具の第3実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明のチューブの形状保持具の第4実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図8】本発明のチューブの形状保持具の第5実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 チューブ
3 コルゲート部
3a 凹溝
3b 凸条
10,10a,10b,10c,10d 形状保持具
20,20b,20c,20d 保持具本体
23 凹部
23a 開口
25,25a リブ
29 ヒンジ
30,30b,30c,30d 押え部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の凹溝及び凸条が軸方向に交互に形成されたコルゲート部を有するチューブの前記コルゲート部が形成された部分を所定形状に保持するための形状保持具において、
前記チューブの前記コルゲート部が形成された部分を挿入して所定形状に保持する凹部を有する保持具本体と、
前記保持具本体の凹部に挿入された前記チューブを抜け止めする押え部材と、
前記保持具本体の凹部に前記チューブが挿入された状態で、前記押え部材を前記保持具本体に係止させる係止手段とを備え、
前記保持具本体の凹部の少なくとも軸方向両端部には、前記コルゲート部の凹溝の少なくとも両側に嵌合するリブが形成されていることを特徴とするチューブの形状保持具。
【請求項2】
前記押え部材は、前記保持具本体の凹部の開口全体をほぼ覆う形状をなし、かつ、前記保持具本体に対してヒンジを介して連結されていて、前記保持具本体の凹部の開口を開閉可能となるように構成されている請求項1記載のチューブの形状保持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−112495(P2010−112495A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286514(P2008−286514)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】