説明

チューブポンプ

【課題】本発明は、供給バックの空検知のための、輸液終了用専用センサを無用とする簡易構成の実現である。
【解決手段】本発明に成るチューブポンプは、ローラ転動押圧の下流側にチューブ外形変化検知センサを備え、該チューブ外形変化検知センサの信号、または該信号と共に、駆動電動機の電流波形が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段として利用できるように構成され、好ましくは、前記チューブ外形変化検知センサの信号と駆動電動機の電流波形との同期した変化が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段となるように構成され、又は、前記チューブ外形変化検知センサの信号による供給バッグ内の液体の供給終了とする判定の閾値を、当該チューブポンプの動作速度に応じて任意に設定できるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工透析装置等に搭載されるローラ式チューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2006−304918号公報
【0003】
汎用されているチューブポンプでも、上述特許文献にも見られる通り、送液状況の把握手段には種々の改善が提案され、それぞれ所定の効果を実現しているが、構成の簡易化課題と共に、改善の余地の大きいことは疑いがない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、周知の従来構成として、ローラ転動押圧部位の上流側・下流側双方に、チューブ外形変化検知センサを備えるものも知られている。
【0005】
供給バッグに入った液体をチューブポンプにより送り出すシステムで、供給バッグ内の液体の供給が終了したことを検知するために、吸引側(上流側)に例えば外形変化検知センサを配置して、供給バッグ内の液体の供給が終了したとき上流側に生じるチューブ内の負圧でチューブが変形するので、センサがこれを検知することにより、供給バッグが終了したことを検出する構成も実用に供されている。
【0006】
また、チューブポンプ下流側にチューブの閉塞を監視するため、例えば外形変化検知センサを設置して、チューブポンプ下流側に閉塞が発生したとき、チューブポンプ下流側のチューブ内に生じる正圧でチューブが変形するので、センサがこれを検知することにより、閉塞を検出するようにするものもある。
なお、この外形変化検知センサは、チューブのセット検出を目的として設けられることもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に成るチューブポンプは、弾性チューブ内の液体を、ローラの転動押圧によって移送するように構成されるチューブポンプで、ローラ転動押圧の下流側にチューブ外形変化検知センサを備え、該チューブ外形変化検知センサの信号が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段となるように構成され、又は、
【0008】
前記チューブ外形変化検知センサの信号と共に、駆動電動機の電流波形が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段として利用できるように構成され、好ましくは、
【0009】
前記チューブ外形変化検知センサの信号と駆動電動機の電流波形との同期した変化が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段となるように構成され、又は、
【0010】
前記チューブ外形変化検知センサの信号による供給バッグ内の液体の供給終了とする判定の閾値を、当該チューブポンプの動作速度に応じて任意に設定できるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上流側に外形変化検知センサを設置しなくても、供給バッグ内の液体の供給終了を検知することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明に成るチューブポンプを含む医療システムの例の構成の概要を示すもので、図2は、これに対応する従来技術構成の例を示すものである。
【0014】
両図を対比して明らかなように、本発明の骨子は、従来技術で併設されている上流側外形変化検知センサを無用とし、簡易化したものである。
【0015】
図1から理解される通り、供給バッグ内の液体の供給が終了した後も、チューブポンプが動作し続けると、チューブポンプのローラ7がチューブをしごいた後、チューブから離れるタイミングに同期して、下流側のチューブ内に負圧が発生し、下流側外形変化検知センサの出力信号は、任意のレベルの振幅に変化する。
【0016】
そして、チューブポンプ駆動電動機の電流波形も、ローラ7がチューブをしごき始めるタイミングに同期して任意のレベルの振幅に変化する。
これらより、チューブポンプ駆動電動機の電流波形の振幅周期と、下流側外形変化検知センサ出力信号の振幅周期は、図3に示す通り一致(同期)する。
【0017】
図4は、チューブポンプ動作速度が低速の場合の、チューブポンプ駆動電動機の電流波形と下流側外形変化検知センサ出力信号の関係を示すもので、駆動電動機の電流波形に同期した下流側外形変化検知センサの信号変化量、及び、駆動電動機の電流波形の変化量が、所定の閾値を超えた場合、医療用装置は供給バッグ内の液体の供給が終了したと判断し、チューブポンプの動作を停止し、ユーザに供給バッグ内が空となったことを警報等で知らせるようにしている。
【0018】
また、詳細は省くが、チューブポンプが低速で動作した場合には、ローラ7の動きに同期して現れる下流側外形変化検知センサの出力信号変化量は、図4に示すように図3の例より小さくなり、モータの電流波形だけでは、変化量が小さ過ぎて、供給バッグ内の液体の供給終了判定が困難となる他、外形変化検知センサの出力信号の変化がモータの電流波形と同期していない場合は、その変化が外乱による可能性が高まるので、供給バッグが空となったと判断する閾値を、チューブポンプの速度が遅い場合には小さく、速い場合には大きく変化させることにより、チューブポンプの広い速度範囲に対応できるようにすることも有効である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に成るチューブポンプは、人工透析装置等での供給バッグ内の液体の供給終了検知を、簡便な構成でしかも信頼性を損なうこと無く実現するので、より多くの利用を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に成るチューブポンプ装置の例を示す図である。
【図2】従来型のチューブポンプ装置の例を示す図である。
【図3】チューブポンプ駆動電動機の電流波形と下流側外形変化検知センサ出力信号の関係を示す図である。
【図4】チューブポンプ駆動速度が低速の場合のチューブポンプ駆動電動機の電流波形と下流側外形変位検知センサ出力信号の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 供給バッグ
2 人体
3 弾性チューブ
4 上流側外形変化検知センサ
5 下流側外形変化検知センサ
6 チューブポンプ駆動電動機
7 ローラ
8 装置本体
9 ローラ移動方向
10 制御パネル
11 電動機
12 判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状内周面を有するハウジングと、該ハウジングに一体保持される駆動電動機と、該駆動電動機の駆動軸に連係し、転回自在で前記ハウジングの円弧状内周面に沿って転動可能な複数のローラを有するロータ部とを備え、ハウジングの円弧状内周面に沿うように案内・挿通される弾性チューブ内の液体を、ローラの転動押圧によって移送するように構成されるチューブポンプにおいて、
ローラ転動押圧の下流側にチューブ外形変化検知センサを備え、該チューブ外形変化検知センサの信号が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段となるように構成されていること、を特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
前記チューブ外形変化検知センサの信号と、駆動電動機の電流波形が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段として利用できるように構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記チューブ外形変化検知センサの信号と駆動電動機の電流波形との同期した変化が、供給バッグ内の液体の供給終了検知手段となるように構成されていること、を特徴とする請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記チューブ外形変化検知センサの信号による供給バッグ内の液体の供給終了とする判定の閾値を、当該チューブポンプの動作速度に応じて任意に設定できるように構成されていること、を特徴とする請求項1乃至3それぞれに記載のチューブポンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−208808(P2008−208808A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48235(P2007−48235)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000228730)日本サーボ株式会社 (276)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】