説明

チューブ状第1コンポーネントを第2コンポーネントに接続するための配置構造及びこの種の配置構造を製造するための方法

【課題】 単純な構成を有し、それゆえ費用効果的に製造されることが可能であり、第1コンポーネントを高張力に耐える第2コンポーネントに接続することを保証し、第1コンポーネントの第2コンポーネントへの接続における公差を補償する。
【解決手段】 チューブ状第1コンポーネント(12)を第2コンポーネント(14)に接続するための、とくにテンションチューブを車体の前柱に接続するための配置構造が、ネジエレメント(24)のためのレセプタクルを形成するとともに第2コンポーネント(12)を向いた第1コンポーネント(12)の端部(20)に配置された第1構造エレメント(22)と、第1構造エレメント(22)が第1コンポーネント(12)と第2構造エレメント(26)の間で保持されるとともにネジエレメント(24)が第2構造エレメント(26)により第1構造エレメント(22)内で損失に耐える方式で保持されるように第2コンポーネント(14)を向いた第1コンポーネント(12)の端部(20)において固定された第2構造エレメント(26)を有し、ネジエレメント(24)が、少なくとも第1コンポーネント(12)の長手軸(28)に関して横断する方向で、第1コンポーネント(12)の第2コンポーネント(14)への接続における公差を補償するため、第1構造エレメント(22)内で移動可能である。更に、この種の配置構造(10)を製造するための方法が説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ状第1コンポーネントを第2コンポーネントに接続するための、とくにテンションチューブを車体の前柱に接続するための配置構造に関する。
【0002】
本発明は、更に、この種の配置構造を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の文脈において、「チューブ状第1コンポーネント」と「第2コンポーネント」の用語は、一般的な意味に理解される。第1コンポーネントは、周方向に完全に連続した又は部分的に開放した横方向表面を有する側面部分、とくに中空の側面部分として構成されて良い。後者の場合、第1コンポーネントは、例えばU又はC形の側面部分又は、一般的な用語で矩形の側面部分として構成されて良い。第1コンポーネントは、通常は円形の連続した周面を備えたチューブとして構成されて良い。第2コンポーネントは、例えば、側面部分又はプレートとして構成されて良い。
【0004】
最初に述べられた配置構造のための特定の応用は、テンションチューブを自動車の前柱に接続することに関する。自動車において、とりわけインストルメントパネルが固定される水平クロスメンバーは、通常は本質的に垂直な複数の前柱の間を通っている。インストルメントパネルを支持するクロスメンバーに加えて、クロスメンバーの下方にテンションチューブが2つの前柱の間で補強されて良い。追加のテンションチューブは、例えば、衝突が起こったときに前柱が外側に曲がることを防止するために使用され得る。
【0005】
テンションチューブを自動車の前柱に接続するとき、種々の問題が生じる。
【0006】
ここでの基本的な問題は、製造の不正確さゆえに広がる公差に見出され、これは車体の構造エレメントのため自動車に常に要求される費用効果性のある構成において、テンションチューブと衝突が起こったときの高張力に耐える前柱の間の接続に要求される。
【0007】
製造公差は、同じ種類の自動車でも自動車によって一定ではない前柱の間の距離に現れるかもしれない。それに応じて、これらの公差はテンションチューブの長手方向に作用する。もっとも、例えばもし前柱に設けられる固定部分が、テンションチューブのため、前柱から前柱に互いに正確に配列されず、むしろ軸心方向又は角度のずれを有するなら、製造公差は、テンションチューブの長手方向に関して横断する方向でのテンションチューブと前柱の間の接続を困難にするかもしれない。
【0008】
テンションチューブの長手方向の公差を補償する目的で、テンションチューブを自動車の前柱に接続する接続エレメントが提案されている。例えば、DE 197 41 551 A1において、もしテンションチューブの長さが複数の前柱の間の距離よりも短い場合に、接続エレメントが長さの種々の補償を可能にしている。これらの公知の接続エレメントは、放射方向に拡張可能な構造エレメントを有し、これはテンションチューブ内に導入されて締結されているネジ接続によりテンションチューブの内壁に対して放射方向に拡張される。クランピングが起こる前に、接続エレメントの軸方向に移動可能なスペーサピースが、長さ補償をもたらす目的で、前柱に向けて移動される。これらの公知の接続エレメントの問題は、放射方向に拡張可能なクランピングピースとテンションチューブの間のクランピング力が、テンションチューブがクランピングピースから剥ぎ取られるのを迅速に防止する目的でテンションチューブの長手方向に作用する高張力において不十分なことである。加えて、これらの公知の接続エレメントは、その製造が複雑であり、比較的高い費用を伴う。
【特許文献1】DE 197 41 551 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、それゆえ、最初に述べられた種類の配置構造を提供する目的に基づいており、これは単純な構成を有し、それゆえ費用効果的に製造されることが可能であり、第1コンポーネントを高張力に耐える第2コンポーネントに接続することを保証し、第1コンポーネントの第2コンポーネントへの接続の公差を補償し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、チューブ状第1コンポーネントを第2コンポーネントに接続するための、とくにテンションチューブを車体の前柱に接続するための配置構造により達成され、これがネジエレメントのためのレセプタクルを形成するとともに第2コンポーネントに向いた第1コンポーネントの端部に配置された第1構造エレメントと、第1構造エレメントが第1コンポーネントと第2構造エレメントの間で保持されるとともにネジエレメントが第2構造エレメントにより第1構造エレメント内で損失に耐える方式で保持されるように第2コンポーネントに向いた第1コンポーネントの端部において固定された第2構造エレメントを含み、ネジエレメントが、第1構造エレメント内で少なくとも第1コンポーネントの長手方向に関して横断する方向で、第1コンポーネントの第2コンポーネントへの接続における公差の補償のため、第1構造エレメント内で移動可能である。
【0011】
本発明は、更に、この種の配置構造を製造するための費用効果的な方法を明示する目的に基づいている。
【0012】
この目的は、チューブ状第1コンポーネントを第2コンポーネントに接続するための、とくにテンションチューブを車体の前柱に接続するための配置構造を製造する方法により達成され、これが以下の工程からなる:
第1コンポーネントを準備し、
ネジエレメントのためのレセプタクルを形成する第1構造エレメントを準備し;
ネジエレメントを第1構造エレメント内に挿入し;
第2構造エレメントを準備し;
第2コンポーネントを向いた第1コンポーネントの端部に第1構造エレメントと第2構造エレメントを配置し;
第1構造エレメントが第1コンポーネントと第2構造エレメントの間で保持されるとともにネジエレメントが第2構造エレメントにより第1構造エレメント内で損失に耐える方式で保持されるように第2コンポーネントに向いた第1コンポーネントの端部において第2構造エレメントを固定し、ネジエレメントが、第1構造エレメント内で少なくとも第1コンポーネントの長手方向に関して横断する方向で、第1コンポーネントの第2コンポーネントへの接続における公差の補償のため、第1構造エレメント内で移動可能である。
【0013】
本発明による配置構造は、第2コンポーネントを向いた第1コンポーネントの端部に第1構造エレメントが配置され、この構造の配置が、第1構造エレメント内で少なくとも第1コンポーネントの長手軸心に関して横断する方向に移動可能なネジエレメントのためのレセプタクルとして使用されることにより、第1コンポーネントの第2コンポーネントへの接続における公差の補償を提供する。本発明による配置構造がテンションチューブを自動車の前柱に接続するために使用されている場合、対向する複数の前柱の固定部分の間の軸方向又は角度のずれがそれゆえ補償され得る。加えて、本発明による配置構造は、第1コンポーネントを、第1コンポーネントの長手方向に作用する高張力に耐える第2コンポーネントに接続することを、第1コンポーネントに固定され、例えば第1コンポーネントに溶接され、それと第1構造エレメントの間に損失に耐える方式でネジエレメントを保持する第2構造エレメントにより保証する。公知の接続エレメントに比較して、本発明による配置構造の場合は、第1コンポーネントから滑ることが可能な放射方向に拡張可能なクランピングピースで使用がなされることがない。加えて、本発明による配置構造とその製造のための方法は、とくに費用効果的である。なぜなら、第1構造エレメントそれ自身が第1コンポーネントに、例えば溶接又は接着により固定される必要が無く、むしろ第2構造エレメントだけでよく、これは、それが第1構造エレメントを第1コンポーネントにしっかりと保持するような方式で、第1コンポーネントに固定され、その結果として、配置構造の製造の間、作業工程が省かれ、すなわちネジエレメントレセプタクルを第1コンポーネントに固定する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
言うまでもなく、配置構造の製造の後、第1構造エレメントは、同様に第1コンポーネントに固定されることが可能であり、これは例えば、もし例えば溶接材料のいくらかが通り、そのプロセスで第1構造エレメントを第1コンポーネント及び/又は第2構造エレメントにしっかりと接続するなら、第2構造エレメントを第1コンポーネントの端部に固定例えば溶接する間多かれ少なかれ自動的に行われる。もっとも、このように第1構造エレメントを第1コンポーネントに固定することは、絶対に必要ではない。なぜなら、第2構造エレメントが既に第1構造エレメントを第1コンポーネントに保持しているためである。第1構造エレメントは、密着した材料接続無しで、第1コンポーネントに全体的に固定されて良く、溶接又は接着等により、すなわち第2構造エレメントによる保持力により専ら固定され得る。
【0015】
第1コンポーネントが第2コンポーネントに接続される前に、第1コンポーネント、第1構造エレメント、ネジエレメント及び第2構造エレメントを含む建設ユニットが、建設ユニットとして有利に予備製造される。こうして、本発明による配置構造が使用されてテンションチューブを車の前柱に接続するときに、各場合において収容されたネジエレメントとテンションチューブに固定された第2構造エレメントを備えた第1構造エレメントが、まずテンションチューブの両端でネジエレメント、例えばナット又はネジで建設ユニットとして予備製造され、次に第1構造エレメントに係留するが移動可能に保持され、これは第1コンポーネントを第2コンポーネントに続いて設置する間、更なる利点を構成する。
【0016】
配置構造の好ましい改良において、ネジエレメントは、第1構造エレメント内を第1コンポーネントの長手方向に関して横断する平面を所望の方向に移動可能である。
【0017】
この場合、本発明による配置構造は、第1コンポーネントの長手方向に関して横断する平面のすべての方向の公差を補償し得る。
【0018】
配置構造の更なる好ましい改良において、第1構造エレメントは第2構造エレメントにより第1コンポーネントに本質的に回転に対して固定する方式で保持される。
【0019】
第1構造エレメントが第1コンポーネントに例えば溶接又は接着により接続される必要がないため、この手段は相補ネジエレメントを備えた第1構造エレメントに収容されるネジエレメントを捩じ込む間、第1構造エレメントが不意に回転して2つのネジエレメントの捩じ込みをより難しくしたり追加の工具の使用を要求したりすることがない。回転に対して固定するこの手段は、第2構造エレメントに接続されている第1構造エレメントにより、接着材料ジョイントで、又は以下に説明されるような好ましい改良のように、第1構造エレメントと第2構造エレメントの間の形状嵌め合い接続により、もたらされることが可能である。
【0020】
更に、もし第1構造エレメントが第1コンポーネントと第2コンポーネントの間にクランプされ又は設定されるなら好ましい。
【0021】
この場合、第1構造エレメントを第1コンポーネントに固定する目的で高価で時間を消費する溶接又は接着のような更なる作業工程を要求すること無く、第1構造エレメントが、第2構造エレメントと第1コンポーネントの間で、形状嵌め合い方式で単純かつ信頼性をもってしっかりと保持されるという利点がある。
【0022】
更なる好ましい改良において、第1構造エレメントが少なくとも1つのフランジを有しこれが第1コンポーネントの長手方向に関して横断する方向に延在し、第1コンポーネントのエッジの端部側に休止し、第2構造エレメントによりエッジに対して保持される。
【0023】
この場合、第1構造エレメントの第1コンポーネントへの粘着材料接続を要求すること無く、及び第1構造エレメントの第2構造エレメントへの粘着材料接続を要求すること無く、ネジエレメントを収容する第1構造エレメントが、第1コンポーネントの長手方向に、構造的に単純な方式で固定される。換言すれば、第1構造エレメントは、この目的のために高い張力負荷に耐える放射方向に作用するクランピング力を用いることなく、コンポーネントへの移動に対して及び第1コンポーネントからの抜けに対しても、固定される。
【0024】
更なる望ましい改良において、凹所があり、そこに第1構造エレメントのフランジが、第1構造エレメントに向いた第2構造エレメントの側又は第1コンポーネントのエッジに収容されている。
【0025】
もし凹所が第2構造エレメントに設けられるなら、これは、第1コンポーネントのエッジの間でカバーの方式で第2構造エレメントが第1構造エレメントのフランジを包囲し、これは第1構造エレメントを第1コンポーネントにしっかりと固定することを保証するという利点を有する。この手段の更なる利点は、収容されるネジエレメントを備えた第1構造エレメントと第2構造エレメントは、第1コンポーネントの端部における配置の前に、正確に言うと、溶接又は接着のような固定手段無しで、例えば少なくとも第1構造エレメントが第2構造エレメントから容易に落下できないような方式で第1構造エレメントの少なくとも1つのフランジに形成されフランジが凹所にラッチされた横方向の突起により、ともに連結されることが可能である。
【0026】
これは先に説明された改良の一つの文脈内で可能であるが、これによれば、第1コンポーネントの長手方向に関して横断する方向に延在するフランジが、第1構造エレメントに設けられていて、このフランジが全周に渡って第1構造エレメントに延在し、更なる好ましい改良においては、このフランジが周囲の一部のみに渡って第1構造エレメントに延在する。
【0027】
この場合、第1構造エレメントが材料への低い出費で製造され得ることが利点である。
【0028】
更なる好ましい改良と協同して、これによれば第2構造エレメントの上記された凹所は、周囲の一部に渡ってのみ延在し、第1構造エレメントが、第2構造エレメントでの回転に対して、凹所に係合するフランジを介して周囲の一部に渡って、及び第1コンポーネント内の第2構造エレメントの固定を介して、同時に固定されるという更なる利点が達成され、第1構造エレメントを第1コンポーネントに対する回転に対して固定する構造的に単純な手段もまたそれゆえ提供される。
【0029】
この文脈において、配置構造の構造的に好ましい改良において、第1構造エレメントが少なくとも2つのフランジを有し、これらが周囲を部分的に延在し、互いに周方向に好ましくはほぼ180°離れていることが提供される。
【0030】
更なる好ましい改良において、第1構造エレメントが、少なくとも1つのベース部分を有し、これが第1コンポーネントの長手方向に関して横断する方向に延在し、かつ、第1コンポーネント内に沈んでおり、第1コンポーネントの長手方向に第1コンポーネントの端部に向けて延在するとともにベース部分と反対にあるその端部にフランジが配置される長手部分が、ベース部分から離れて延在している。
【0031】
この手段は、ネジエレメントが移動可能に収容され得るとともに非常に費用効果性のあるコンポーネントとして材料への少ない出費で製造され得るケージの方式で、第1構造エレメントが構成されるという利点を有する。もし、先に説明された改良で提供されたように、少なくとも1つのフランジが第1構造エレメントの周囲の一部に渡ってのみ延在するなら、第1構造エレメントの少なくとも1つの長手部分もまた、周囲の一部に渡ってのみ、正確に言うと好ましくは少なくとも1つのフランジと同じ周囲の一部に渡って延在する。
【0032】
更なる好ましい改良において、ネジエレメントは第1構造エレメントに回転に対して固定される方式で収容される。
【0033】
この場合、相補的なネジエレメントを第1構造エレメントに収容されたネジエレメントに捩じ込むことにより、第1コンポーネントを第2コンポーネントに対して接続するとき、後者のネジエレメントは工具により回転固定された方式で保持される必要が無く、これは第1コンポーネントの第2コンポーネントへの接続をかなり単純化するという利点がある。第1構造エレメントにおいてネジエレメントを回転に対して固定することは、例えば、先に説明された第1構造エレメントの少なくとも1つの長手部分がネジエレメントのための回転ストップとして使用されることにより、実現されてよい。
【0034】
本発明による方法の更なる好ましい改良において、第2構造エレメントが第1コンポーネントの端部に固定される前に、第1構造エレメントが少なくとも1つのフランジを用いて第2構造エレメントの少なくとも1つの凹所に挿入される。
【0035】
この方式において、収容されるネジエレメントを備えた第1構造エレメントを第2構造エレメントに予備組み立てすることは、有利に行われ、その後この全配置は第1コンポーネントの端部において固定され、その結果として製造方法がほとんど時間消費無く行われ得る。なぜなら第1及び第2構造エレメントを第1コンポーネントに、及び第1構造エレメント第2構造エレメントに個々に固定することは、主として要求されないからである。とくに、既に上で説明されたように、もし第1構造エレメントと第2構造エレメントが、正確に言うと互いに接着材料ジョイントで接続されることなく、第1構造エレメントと第2構造エレメントがプラグイン接続の方式で互いに固定されるような方式で、予備組み立てされ得るなら、有利である。
【0036】
更なる利点及び構成は、以下の説明と添付図面から明らかとなる。
【0037】
言うまでもなく、上記された構成及び以下に説明されるものは、それぞれ述べられた組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又はそれら自身で、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【実施例】
【0038】
本発明の典型的な態様は、図面に描かれていて、それらを参照して以下により詳細に説明される。
【0039】
図1及び2は、チューブ状第1コンポーネント12を第2コンポーネント14に接続するための配置構造を参照符号10で示す。配置構造10の更なる詳細は、図3及び4に示されている。
【0040】
第1コンポーネント12は、その一部のみが図1及び2に示されていて、この典型的な態様においては、テンションチューブ16として構成されており、第2コンポーネント14は、同様に部分的に示されていて、示された典型的な態様においては、車体の前柱18として構成される。
【0041】
言うまでもなく、テンションチューブ16は、その反対の端部(図示せず)において同じ方式で構成されることが可能であり、その端部を前柱18の反対にある前柱に接続する。
【0042】
第1コンポーネント12は、第2コンポーネント14に向いた端部20を有する。端部20の領域において、第1コンポーネント12はチューブ状の構成であり、示された典型的な態様においては、円形断面又はシリンダ状の構成を有する。
【0043】
第1構造エレメント22は、第1ネジエレメント24のためのレセプタクルとして使用され、テンションチューブ16の端部20に配置される。
【0044】
第2構造エレメント26は、第1コンポーネント12に、又はより正確に言えばその端部20のところで、第1構造エレメント22が第1コンポーネント12と第2構造エレメント26の間で堅固に保持されるような方式で、固定されている。この場合、第1構造エレメント22は、第1コンポーネント12に堅固に接続され得る。もっとも、第1構造エレメント22のこのような密着した接続は省略されても良い。なぜなら、第2構造エレメント26は、第1構造エレメント22を第1コンポーネント12にサンドイッチ配置の方式でしっかりと保持するためである。
【0045】
第1ネジエレメント24は、第1構造エレメント22と第2構造エレメント26の間に損失に耐える方式で保持されているが、図4において2重十字矢印30により示されるように、第1構造エレメント22内を所望の方向に、第1コンポーネント12の長手方向に関して横断する平面において、移動可能である。
【0046】
図3及び4に関しても、第1構造エレメント22、第1ネジエレメント24及び第2構造エレメント26が以下により詳細に説明される。
【0047】
第1構造エレメント22は、第1コンポーネント12の端部20内に沈んでいるベース部分32を有する。ベース部分32は、本質的に管状の構成であり、中央に開口34を有する。
【0048】
ベース部分32から第1コンポーネント12の端部20に向けて延在するのは、2つの第1長手部分36及び38であり、これらは第1コンポーネント12の長手方向と本質的に平行に通っているが、ベース部分32は長手方向28に関して本質的に横断方向に配置されている。長手部分36及び38は、第1コンポーネント12の長手方向28に関して傾斜して通っても良く、これは“本質的に平行”によって同様に理解される。
【0049】
長手部分36及び38は、互いにほぼ180°ずれた方式でベース部分32に配置され、このベース部分に一体的に接続される。この場合、長手部分36及び38は、周囲の方向に見られるように、周囲の一部に渡ってのみ延在している。
【0050】
ベース部分32から離れた方に向いたその端部において、長手部分36は放射方向外側に延在するフランジ40を有し、長手部分38はフランジ40と反対方向に方向付けられたフランジ42を有する。
【0051】
2つの更なる長手部分44及び46が、長手部分36及び38に関して後者に関して90°ずれた方式で配置され、同様にベース部分32から離れて第1コンポーネント12の端部20に向けて延在している。もっとも、長手部分44及び46は、ベース部分32から離れた方に向いた端部において、放射方向に延在するフランジを全く有していない。
【0052】
先に説明されたすべての部分及びフランジを備えた全第1構造エレメント22は、一体構成である。
【0053】
第1構造エレメント22のフランジ40及び42は、第1コンポーネント12の端部20のところにあるエッジ48に休止する。
【0054】
第1ネジエレメント24は、ナット50の形に構成されていて、その外周は正方形となっており、その結果第1ネジエレメント24は長手部分36、38、44及び46により第1構造エレメント22内で回転に対して固定される。これは、ナット50の対角線は対向する長手部分36及び38及び44及び46の間の距離よりも長いからである。「回転に対して固定される」とは、ナット50がその長手軸心の周りに少なくとも360°に渡って構造エレメント22内で回転され得ないことを意味する。他方で、第1ネジエレメント24は、二重十字矢印30に合わせて、第1コンポーネント12の長手方向28に関して横断する平面の第1構造エレメント22内で移動可能であり、その結果として第1コンポーネント12の長手方向28に関して横断する所望の方向での公差の補償が、第1コンポーネント12の第2コンポーネント14に対する接続において提供される。
【0055】
第2構造エレメント26がカバープレート52の形で構成されていて、これは中心に連続穴54を有し、その直径は第1ネジエレメント24の最大直径よりも小さく、その結果ネジエレメント24は、第1コンポーネント12の長手方向28と平行な両方向に、第2構造エレメント26と第1構造エレメント22の間に係留されて保持される。
【0056】
第1構造エレメント22に向いた側56に、第2構造エレメント26は第1凹所58と第2凹所60を有し、これらは放射方向に延在する平坦な溝の形に構成されていて、そこに第1構造エレメント22のフランジ40及び42が形状嵌め合い方式で収容されていて、その結果として第1構造エレメント22は第2構造エレメント26に回転に対して固定されている。凹所58及び60は、フランジ40及び42と同様に、周囲の一部にのみ延在している。
【0057】
第2構造エレメント26を形成しているカバープレート52は、第1コンポーネント12の端部20より僅かに大きな外側直径を有し、第2構造エレメント26が第1コンポーネント12のエッジ48を越えて僅かに突出するようになっている。
【0058】
図1による配置構造10が既に嵌め合いされた状態において、第2構造エレメント26は、例えば包囲する溶接シーム62を用いて、第1コンポーネント12の端部20で離脱不能に固定されている。この状態において、第1構造エレメント22は、第2構造エレメント26及び第1コンポーネント12の間で、フランジ40及び42を用いて設定又はクランプされていて、図示された態様においては、第1コンポーネント12にも第2コンポーネント26にも固定的に接続されておらず、むしろ専ら第2構造エレメント26の第1構造エレメント12に対する形状嵌め合い接続により保持されている。この場合、第1構造エレメント22は、第1コンポーネント12に対して、回転に対して固定されている。もっとも、もし溶接材料がジョイント内にいくらか流れる場合は、溶接シーム62は、少なくとも部分的に、粘着性の材料ジョイントで、第1構造エレメント22を第1コンポーネント22に及び/又は第2構造エレメント26に固定しても良い。
【0059】
配置構造10を製造する方法が以下に説明される。
【0060】
まず第1に、第1コンポーネント12及び第1構造エレメント22が準備される。第1ネジエレメント24が次に第1構造エレメント22内に置かれる。
【0061】
この後、第1構造エレメント22が、フランジ40及び42で、第2構造エレメント26の凹所58、60内に置かれる。第1構造エレメント22の第2構造エレメント26へのある程度の固定が、例えば図3に示されるように、フランジ40及び42の凹所70、72及び74、76の突起の存在により、達成されることが可能であり、この突起はラッチラグの方式で作用し、第2構造エレメント26と第1構造エレメント22の配置構造が、第1コンポーネント12の端部20上に嵌め合いされる場合、フランジ40及び42が凹所58及び60内に押圧されるとき、フランジ40及び42が、そこに収容されるネジエレメント24を備えた第2構造エレメント22が第2構造エレメント26を落とし得ない方式で、凹所58及び60にクランプされることをもたらす。
【0062】
第1構造エレメント22を備えた第2構造エレメント26は、図2に示されるように、第1コンポーネント12の端部20に配置される。第2構造エレメント26は、続いて第1構造エレメント22が第1コンポーネント12に対して第2構造エレメント26により第1コンポーネント12の長手方向18に保持される方式で、第1コンポーネント12に固定され、第1ネジエレメント24は第1構造エレメント22に係留して保持される。
【0063】
こうして予備組み立てされた配置構造10の第1コンポーネント12を第2コンポーネント14に接続するため、対応してネジ66として構成された第2ネジエレメント64は、対応する開口68を通って第2コンポーネント14に案内され、第1ネジエレメント24に捩じ込まれ、その結果として第1ネジエレメント24は第2構造エレメント26を引っ張り、第1コンポーネント12はそれゆえ第2コンポーネント14を引っ張る。第1ネジエレメント24は第1構造エレメント22において長手方向28に関して横断する面内で移動可能であるため、第1コンポーネント12の反対の端部(図示せず)又は対応する、反対の、第2コンポーネントに対して不意の軸心方向のずれによる公差が、第1コンポーネント12の第2コンポーネント14への接続において補償され得る。
【0064】
示された典型的な態様の修正において、第1構造エレメント22の第1ネジエレメント24はネジであっても良く、そのヘッドはナット50と同じく例えば正方形として構成されることが可能であり、その結果として、このネジは第1構造エレメント22に回転に対して固定される方式で収容される。このネジのシャンクは、第1コンポーネント12が第2コンポーネント14に接続される前に、第2構造エレメント26の開口54から突出し、その結果、第1コンポーネント12が第2コンポーネント14に接続されるとき、ナットがこのネジのシャンク上に捩じ込まれ得る。この代替的な改良の利点は、第1コンポーネント12の第2コンポーネント14への設置又は接続が、第2構造エレメント26から突出するネジシャンクにより容易にされることである。もっとも、突出するネジシャンクが前柱の穴内に挿入され得ることが、例えばそこに対応する溝があることにより、要求されて良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】チューブ状第1コンポーネントを同様に描かれた第2コンポーネントに接続するための配置構造を長手断面で示し、第1コンポーネントと第2コンポーネントの一部のみが描かれている。
【図2】図1の配置構造を分離した位置で示す。
【図3】図2の配置構造を矢印IIIの方向で示す。
【図4】図2の配置構造を図2の矢印IVの方向で示す。
【符号の説明】
【0066】
10 配置構造
12 第1コンポーネント
14 第2コンポーネント
16 テンションチューブ
18 前柱
20 端部
22 第1構造エレメント
24 第1ネジエレメント
26 第2構造エレメント
28 長手方向
32 ベース部分
34 開口
36、38、44、46 長手部分
40、42 フランジ
48 エッジ
50 ナット
52 カバープレート
54 開口
58、60 凹所
62 溶接シーム
64 第2ネジエレメント
66 ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状第1コンポーネント(12)を第2コンポーネント(14)に接続するための、とくにテンションチューブ(16)を車体の前柱(18)に接続するための配置構造が、ネジエレメント(24)のためのレセプタクルを形成するとともに第2コンポーネント(14)に向いた第1コンポーネント(12)の端部(20)に配置された第1構造エレメント(22)と、第1構造エレメント(22)が第1コンポーネント(12)と第2構造エレメント(26)の間で保持されるとともにネジエレメント(24)が第2構造エレメント(26)により第1構造エレメント(22)内で損失に耐える方式で保持されるように第2コンポーネント(14)に向いた第1コンポーネント(12)の端部(20)において固定された第2構造エレメント(26)を含み、ネジエレメント(24)が、第1構造エレメント(22)内で少なくとも第1コンポーネント(12)の長手方向(28)に関して横断する方向で、第1コンポーネント(12)の第2コンポーネント(14)への接続における公差の補償のため、第1構造エレメント(22)内で移動可能である配置構造。
【請求項2】
ネジエレメント(24)が、第1構造エレメント(22)内で第1コンポーネント(12)の長手方向(28)に関して横断する平面を所望の方向に移動可能である請求項1に記載の配置構造。
【請求項3】
第1構造エレメント(22)が、第2構造エレメント(26)により回転に対して本質的に固定される方式で、第1コンポーネント(12)に保持される請求項1又は2に記載の配置構造。
【請求項4】
第1構造エレメント(22)が、第1コンポーネント(12)と第2構造エレメント(26)の間で、クランプされ又は設定される請求項1から3のいずれかに記載の配置構造。
【請求項5】
第1構造エレメント(22)が、少なくとも1つのフランジ(40、42)を有し、これが、第1コンポーネント(12)の長手方向(28)に関して横断する方向に延在し、第1コンポーネント(12)のエッジ(48)の端部側に休止し及び第2構造エレメント(26)によりエッジ(48)に対して保持される請求項1から4のいずれかに記載の配置構造。
【請求項6】
第1構造エレメント(22)に向いた第2構造エレメント(26)の側(56)に又は第1コンポーネント(12)のエッジ(48)に凹所(58、60)が存在し、そこに第1構造エレメント(22)のフランジ(40、42)が収容されている請求項5に記載の配置構造。
【請求項7】
フランジ(40、42)が、第1構造エレメント(22)の周囲に部分的にのみ延在している請求項5又は6に記載の配置構造。
【請求項8】
凹所(58、60)が、第2構造エレメント(26)の周囲に部分的にのみ延在している請求項6又は7に記載の配置構造。
【請求項9】
第1構造エレメント(22)が、少なくとも2つのフランジ(40、42)を有し、これらが、周囲に部分的にのみ延在しており、かつ、周方向に、好ましくはほぼ180°、互いに間隔を空けられている請求項5から8のいずれかに記載の配置構造。
【請求項10】
第1構造エレメント(22)が、ベース部分(32)を有し、これが第1コンポーネント(12)の長手方向(28)に関して横断する方向に延在し、かつ、第1コンポーネント(12)内に沈んでおり、第1コンポーネント(12)の長手方向(28)に第1コンポーネント(12)の端部(20)に向けて延在するとともにベース部分(32)と反対にあるその端部に少なくとも1つのフランジ(40、42)が配置される少なくとも1つの長手部分(36、38)が、ベース部分(32)から離れて延在している請求項5から9のいずれかに記載の配置構造。
【請求項11】
ネジエレメント(24)が、回転に対して固定される方式で第1構造エレメント(22)に収容される請求項1から10のいずれかに記載の配置構造。
【請求項12】
チューブ状第1コンポーネント(12)を第2コンポーネント(14)に接続するための、とくにテンションチューブ(16)を車体の前柱(18)に接続するための配置構造を製造する方法が、以下の工程からなる:
第1コンポーネント(12)を準備し、;
ネジエレメント(24)のためのレセプタクルを形成する第1構造エレメント(22)を準備し;
ネジエレメント(24)を第1構造エレメント(22)内に挿入し;
第2構造エレメント(26)を準備し;
第2コンポーネント(14)を向いた第1コンポーネント(12)の端部(20)に第1構造エレメント(22)と第2構造エレメント(26)を配置し;
第1構造エレメント(22)が第1コンポーネント(12)と第2構造エレメント(26)の間で保持されるとともにネジエレメント(24)が第2構造エレメント(26)により第1構造エレメント(22)内で損失に耐える方式で保持されるように第2コンポーネント(14)に向いた第1コンポーネント(12)の端部(20)において第2構造エレメント(26)を固定し、ネジエレメント(24)が、第1構造エレメント(22)内で少なくとも第1コンポーネント(12)の長手方向(28)に関して横断する方向で、第1コンポーネント(12)の第2コンポーネント(14)への接続における公差の補償のため、第1構造エレメント(22)内で移動可能である。
【請求項13】
第2構造エレメント(26)が、第1コンポーネント(12)の端部(20)において固定される前に、第1構造エレメント(22)が少なくとも1つのフランジ(40、42)を用いて第2構造エレメント(26)の少なくとも1つの凹所(58、60)内に挿入される請求項12に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−513081(P2006−513081A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565979(P2004−565979)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014276
【国際公開番号】WO2004/062987
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(504344738)プログレス・ヴェルク オベルキルヒ アーゲー (1)
【Fターム(参考)】