チロシナーゼ活性促進剤及び白髪改善剤
【課題】毛髪におけるメラニン生成の根本的な役割を担っているチロシナーゼの活性を強力に促進する成分を有効成分とする安全かつ安価なチロシナーゼ活性促進剤、及びこのチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善及び白髪防止に顕著な効果を有する白髪改善剤を提供することを目的とする。
【解決手段】シラカバ含水低級アルコール抽出物、キナ抽出物、ボダイジュ含水低級アルコール抽出物、アセンヤク抽出物及び酵母抽出物から選ばれる１種又は２種以上を有効成分とすることを特徴とするチロシナーゼ活性促進剤。
【解決手段】シラカバ含水低級アルコール抽出物、キナ抽出物、ボダイジュ含水低級アルコール抽出物、アセンヤク抽出物及び酵母抽出物から選ばれる１種又は２種以上を有効成分とすることを特徴とするチロシナーゼ活性促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、チロシナーゼ活性促進剤及び白髪改善剤に関し、更に詳述すると、白髪の発生と深い関係を有する酵素であるチロシナーゼの高い活性促進作用を有するチロシナーゼ活性促進剤、及びこのチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善及び白髪防止に有効な白髪改善剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
白髪の発生メカニズムについては、メラニン色素顆粒が角化細胞（毛髪）に転送されなくなることにより起ることが判明しているが、その発生原因については、メラノサイト（色素形成細胞）の数が減少するという説、メラニン形成酵素が減少するという説、メラノサイトから角化細胞へのメラニン色素顆粒移動障害という説などがあるものの、未だ、根本的な原因は解明されていないのが現状である。
【０００３】
このため、白髪予防及び白髪改善を図る目的を達成すべく、白髪の発生機序又はメラニン色素形成機序（例えばチロシナーゼ活性促進成分、メラニン産生促進成分等）に有効な成分を検討するか、或いは無作為に各種物質の白髪防止作用を検討することにより得られる多種多様な物質、化合物を有効成分として用いることなどが検討されている。
【０００４】
中でも、チロシナーゼは、人間の体表に広く分布しており、特に毛髪には最も多く存在して頭皮を過剰な紫外線から守る役割を果たしている黒色色素であるメラニンをアミノ酸の一種であるチロシンから生合成するために欠くことのできない酵素である。
【０００５】
このチロシナーゼは、毛根部位の毛母細胞付近に存在するメラノサイト（色素形成細胞）においてチロシンを酸化して、ドーパ及びドーパクロムを経てメラニンを生成する役割を果たしている。従ってチロシナーゼはメラニン産生に深く関与しており、チロシナーゼの活性化を図ることにより毛髪の白髪予防及び白髪改善に寄与し得ると考られる。
【０００６】
このようなチロシナーゼ活性を促進する物質に関して種々の提案がなされている。例えば、特開平９−２４９５７８号公報には、５６種の生薬抽出物の１種又は２種以上を使用するチロシナーゼ賦活剤を配合した抗白髪治療剤が提案されている。
【０００７】
また最近、キョウチクトウ科パラメリア属に属する植物、特にパラメリア・ラエビガータの抽出物を有効成分とするチロシナーゼ活性促進用組成物及び白髪防止用組成物が提案されている（特開平１１−１３９９５３号公報）。更に、サフラン抽出物及びサンショウ抽出物がチロシナーゼ活性促進効果を有することが提案されている（特開平１１−７９９５０号公報、特開平１１−７９９５１号公報）。
【０００８】
しかしながら、白髪の発生予防、生じた白髪を少しでも改善したいという要望は老若男女を問わず極めて高く、より効果的で、安全かつ大量生産可能であり、安価なチロシナーゼ活性促進効果を有する成分の登場が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平９−２４９５７８号公報
【特許文献２】特開平１１−１３９９５３号公報
【特許文献３】特開平１１−７９９５０号公報
【特許文献４】特開平１１−７９９５１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、毛髪におけるメラニン生成の根本的な役割を担っているチロシナーゼの活性を強力に促進する成分を有効成分とする安全かつ安価なチロシナーゼ活性促進剤、及びこのチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善及び白髪防止に顕著な効果を有する白髪改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明者は、上記目的を達成するため、チロシナーゼ活性促進作用を有する成分を求めるべく鋭意検討を重ねた結果、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ及びオウギから選ばれる植物抽出物及び微生物抽出物の１種又は２種以上が、優れたチロシナーゼ活性促進効果を備えていること、これらは古来から親しまれてきた植物及び微生物の抽出物であり、安全性が高く、しかも自然界に大量に存在しているため、安定供給可能で安価に製造できると共に、これら抽出物を有効成分とするチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善剤が、白髪の発生防止、生じた白髪を少しでも改善したいという消費者の強い要望に充分に応えることができ、従来の課題を効果的に解決できることを知見し、本発明をなすに至った。
【００１２】
従って、本発明は、第１に、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ及びオウギから選ばれる植物抽出物及び微生物抽出物の１種又は２種以上を有効成分とすることを特徴とするチロシナーゼ活性促進剤を提供する。
また、本発明は、第２に、上記チロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善剤を提供する。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、安全性、生産性に優れ、高いチロシナーゼ活性促進効果を有するチロシナーゼ活性促進剤、及びこのチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪防止、白髪改善に極めて有効な白髪改善剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ及びオウギから選ばれる植物抽出物及び微生物抽出物の１種又は２種以上を有効成分とする。
【００１５】
ここで、本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、下記に示した植物及び微生物を抽出原材料とする。
【００１６】
上記シラカバは、カバノキ科に属するシラカバ（Ｂｅｔｕｌａ ａｌｂａ Ｌ．又はＢｅｔｕｌａ ｐｅｎｄｕｌａ Ｒｏｔｈ．）の樹皮などを原材料として用いる。
上記キナは、アカネ科に属するキナノキ（Ｃｉｎｃｈｏｎａ ｓｕｃｃｉｒｕｂｒａ Ｐａｖｏｎ ｅｔ Ｋｌｏｔｚｃｈ）の樹皮などを原材料として用いる。
上記ボダイジュは、シナノキ科に属するボダイジュ（Ｔｉｌｉａ ｃｏｒｄａｔａ Ｍｉｌｌ．，Ｔ． ｐｌａｔｙｏｈｙｌｌｏｓ Ｓｃｏｐ．，Ｔ．ｅｕｒｏｐａｅａ Ｌ．）の花及び葉などを原材料として用いる。
上記アセンヤクは、アセンヤク（Ｕｎｃａｒｉａ ｇａｍｂｉｒ Ｒｏｘｂｕｒｇｈ）の葉及び若い枝などを原材料として用いる。
上記ラベンダーは、シソ科に属するラベンダー（Ｌａｖａｎｄｕｌａ ｖｅｒａ Ｄ．Ｃ．）の花などを原材料として用いる。
上記イラクサは、イラクサ科に属するイラクサ（Ｕｒｔｉｃａ ｔｈｕｂｅｒｇｉａｎａ Ｓｉｅｂｏｌｄ ｅｔ Ｚｕｃｃａｒｉｎｉ）の葉及び枝などを原材料として用いる。
上記オトギリソウは、オトギリソウ科に属するオトギリソウ（Ｈｙｐｅｒｉｃｕｍ ｅｒｅｃｔｕｍ Ｔｈｕｍｂ）又はセイヨウオトギリソウ（Ｈｙｐｅｒｉｃｕｍ ｐｅｒｆｏｒａｔｕｍ Ｌ．）の全草などを原材料として用いる。
上記オウレンは、キンポウゲ科に属するオウレン（Ｃｏｐｔｉｓ ｊａｐｏｎｉｃａ Ｍａｋｉｎｏ）の根茎などを原材料として用いる。
上記酵母は、サッカロミセス（Ｓａｃｃｈａｒｏｍｙｃｅｓ）属に属する酵母を原材料として用いる。
上記トウキンセンカは、キク科に属するトウキンセンカ（Ｃａｌｅｎｄｕｌａ ｏｆｆｉｃｉｎａｌｉｓ Ｌ．）の花などを原材料として用いる。
上記オウギは、マメ科に属するオウギ（Ａｓｔｒａｇａｌｕｓ ｍｅｍｂｒａｎａｃｅｕｓ Ｂｕｎｇｅ又はＡｓｔｒａｇａｌｕｓ ｍｏｎｇｈｏｌｉｃｕｓ Ｂｕｎｇｅ）の根などを原材料として用いる。
【００１７】
上記原材料を用いて抽出した抽出物は、いずれも高いチロシナーゼ活性促進効果を有するものであるが、中でもシラカバ、キナ、ボダイジュは極めて高いチロシナーゼ活性亢進効果を有するものである。また、ボダイジュ、アセンヤク、オウレン、シラカバ、オトギリソウ、酵母は抽出物収率（固形分濃度）が高い点で好ましい。
【００１８】
本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、上記植物及び微生物由来の原料を用いて、通常、植物及び微生物の抽出に一般に用いられている抽出方法により得ることができる。
【００１９】
例えば、植物及び微生物の原料を生のまま又は乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。抽出に用いる溶媒としては、植物及び微生物から有効成分を抽出する際に用いられる一般的な溶媒を室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが可能である。例えば、水、メタノール、水−エタノール、エタノール等の低級アルコール又は含水低級アルコール、アセトン、１，３−ブチレングリコール又はその水溶液、プロピレングリコール等の極性溶媒、クロロホルム、酢酸エチルエステル、エチルエーテル等の中極性溶媒などを挙げることができる。なお、水と低級アルコール類との混合系溶媒を使用する場合には、通常、重量比で水：低級アルコール類＝５：９５〜７０：３０であることが好ましい。また、水と１，３−ブチレングリコールとの混合系溶媒を使用する場合には、通常、重量比で水：１，３−ブチレングリコール＝５：９５〜７０：３０であることが好ましい。
【００２０】
この場合、抽出条件は、抽出原材料、原材料の粗砕の程度、抽出溶媒等により異なり一概には規定できないが、抽出溶媒として水、エタノール−水、エタノールを用いた場合には、通常５０〜８０℃で２〜８時間程度である。また、抽出溶媒として１，３−ブチレングリコール又はその水溶液、プロピレングリコールを用いた場合には、通常５０〜９０℃で２〜５時間程度である。
【００２１】
これらの溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであればそのまま配合して本発明のチロシナーゼ活性促進剤の有効成分として用いることができるが、抽出液から抽出溶媒を溜去した抽出物、又は必要に応じて乾燥した後の抽出乾燥物を配合することもできる。
【００２２】
本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、経皮的に吸収されて毛根部位に達し、メラノサイト（色素形成細胞）に働いて優れたチロシナーゼ活性促進作用を示すものである。この作用を利用する最も簡単かつ有効な方法は、チロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善剤を頭髪料、その他任意の皮膚外用剤に配合して用いることである。
【００２３】
この場合、配合対象となる頭髪料及び皮膚外用剤としては、特に制限されないが、例えばヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアジェル、ヘアクリーム、スカルプトリートメント、ヘアスプレー、乳液、化粧水、エモリエントローション、エアゾルムース、シャンプー、リンス等の形態を取ることができる。なお、頭髪料及び皮膚外用剤には、チロシナーゼ活性促進剤の効力を高めるのに有効な任意の助剤を適宜配合することができる。
【００２４】
本発明のチロシナーゼ活性促進剤の配合量は、チロシナーゼ活性促進剤の使用態様に応じて適宜調整されるが、白髪改善剤として用いる場合には製剤全体の０．０１〜１０重量％の範囲で配合することが好ましい。
【００２５】
なお、本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、白髪改善剤以外にも、皮膚の抗白斑治療剤、皮膚黒色化を図る皮膚化粧料などとしても好適に用いることができるものである。
【実施例】
【００２６】
以下、製造例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【００２７】
〔製造例１〕
シラカバの樹皮、キナの樹皮、ボダイジュの花、アセンヤクの葉、ラベンダーの花、イラクサの葉、オトギリソウの全草、オウレンの根茎、トウキンセンカの花、及びオウギの根をそれぞれ粗砕機を用いて砕いた各粗砕物１００ｇ及び酵母粉末１００ｇに、抽出溶媒として水、５０重量％エタノール、又はエタノールを２０００ｍＬ加えて７０℃に保温しながら３時間ゆるく攪拌した後、濾紙で濾過して各抽出液を得た。これら抽出液を４０℃で減圧濾過した後、減圧乾燥機にかけてそれぞれの抽出乾燥物を得た。得られた各抽出乾燥物の収率を表１に示した。
【００２８】
【表１】
【００２９】
〔製造例２〕
シラカバの樹皮、キナの樹皮、ボダイジュの花、アセンヤクの葉、ラベンダーの花、イラクサの葉、オトギリソウの全草、オウレンの根茎、トウキンセンカの花、及びオウギの根をそれぞれ粗砕機を用いて砕いた各粗砕物１００ｇ及び酵母粉末１００ｇに、抽出溶媒として５０重量％１，３−ブチレングリコール又はプロピレングリコールを１０００ｍＬ加えて５０℃に保温しながら３時間ゆるく攪拌した後、濾紙で濾過してそれぞれの抽出液を得た。得られた各抽出液の固形分濃度を表２に示した。
【００３０】
【表２】
【００３１】
〔実施例１〕 チロシナーゼ活性亢進作用
試験管に、マックルバイン緩衝液（ｐＨ６．８）１ｍＬ、チロシナーゼ溶液（シグマ製 ５０，０００ｕｎｉｔ マッシュルーム由来 ４．５ｍｇ／１５ｍＬ）０．３ｍＬ、表１に示した製造例１で得られた５０重量％エタノール抽出物５ｍｇを５０％ＤＭＳＯ溶液５ｍｌに溶解して、３７℃で１０分間プレインキュベーションした（２００μｇ／ｍＬ試料溶液）。
また、試験管に、マックルバイン緩衝液（ｐＨ６．８）１ｍＬ、チロシナーゼ溶液（シグマ製 ５０，０００ｕｎｉｔ マッシュルーム由来 ４．５ｍｇ／１５ｍＬ）０．３ｍＬ、表１に示した製造例１で得られた５０重量％エタノール抽出物１０ｍｇを５０％ＤＭＳＯ溶液５ｍｌに溶解して、３７℃で１０分間プレインキュベーションした（４００μｇ／ｍＬ試料溶液）。
【００３２】
得られた２００μｇ／ｍＬ及び４００μｇ／ｍＬの各試料溶液０．９ｍＬに、チロシナーゼ溶液（シグマ製 ５０，０００ｕｎｉｔ マッシュルーム由来 ２ｍｇ／２ｍＬ）０．１ｍＬを加えて、３７℃で１５分間インキュベーションした。反応終了後、分光光度計で４７５ｎｍにおける吸光度を測定した。なお、ブランクとしてチロシナーゼ溶液の代わりにマックルバイン緩衝液（ｐＨ６．８）を用いた。また、コントロールとして表１に示した製造例１で得られた抽出物（チロシナーゼ活性促進剤）の代わりに５０％ＤＭＳＯ溶液を用いた。
得られた吸光度から下記式によりチロシナーゼ活性の亢進率を算出した。結果を表３に示す。
【数１】
Ｓｔ：サンプルのテスト（チロシナーゼ添加）吸光度
Ｓｂ：サンプルのブランク（チロシナーゼ無添加）吸光度
Ｃｔ：コントロールのテスト（サンプルの代わりに５０％ＤＭＳＯ溶液添加） 吸光度
Ｃｂ：コントロールのブランク（チロシナーゼ無添加）吸光度
【００３３】
【表３】
表３の結果から、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ、及びオウギはチロシナーゼ活性亢進作用を有することが認められる。特にシラカバ、キナ、ボダイジュ、及びアセンヤクは高いチロシナーゼ活性亢進作用を有することが認められる。
【００３４】
〔実施例２、比較例１〕 白髪に対する改善効果
白髪が充分に認められる男性被験者４８名を４名ずつ１２群に分け、洗髪後に表１に示した製造例１の５０重量％エタノール抽出物（チロシナーゼ活性促進剤）を溶解した表４，５の組成のヘアトニックを３ヶ月間塗布し、白髪改善に対する効果を下記基準により評価した。結果を表４，５に示す。なお、表５記載の組成の比較品についても同様の評価を行った。
評価基準
Ａ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が７５％以上
Ｂ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が５０％以上 ７５％未満
Ｃ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が２５％以上 ５０％未満
Ｄ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が２５％未満
この場合、「著効」とは白髪の消失したもの、「有効」とは白髪がはっきりと少なくなったと確認できたもの、「やや有効」とは白髪が少なくなったと感じられたもの、「無効」とは白髪に変化を認めないものをそれぞれ意味する。
【００３５】
【表４】
【００３６】
【表５】
表４，５の結果から、本発明品は、いずれも比較品と対比して高い白髪改善効果が認められる。特に表４に示したシラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサは優れた白髪改善効果を有することが認められる。
【００３７】
以下、製造例１，２で得られたチロシナーゼ活性促進剤を配合した他の処方例を実施例として以下に示した。
【００３８】
〔実施例３〕 ヘアトニック
シラカバ５０重量％エタノール抽出物 １．０重量％
硬化ヒマシ油ＥＯ（４０） ２．０重量％
９５％エタノール ７０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにシラカバ５０重量％エタノール抽出物、硬化ヒマシ油ＥＯ（４０）及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアトニックを得た。
【００３９】
〔実施例４〕 ヘアトニック
キナ５０重量％エタノール抽出物 １．０重量％
硬化ヒマシ油ＥＯ（４０） ２．０重量％
９５％エタノール ７０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにキナ５０重量％エタノール抽出物、硬化ヒマシ油ＥＯ（４０）及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアトニックを得た。
【００４０】
〔実施例５〕 ヘアトニック
ポリエチレングリコール２０００ ２．０重量％
Ｌ−メントール ０．２重量％
ボダイジュ５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液 ２．０重量％
９５％エタノール ５０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
ボダイジュ５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液にポリエチレングリコール２０００とＬ−メントール、９５％エタノール及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアトニックを得た。
【００４１】
〔実施例６〕 ヘアリキッド
ポリオキシプロピルブチルエーテル（４０ＰＯ） １５．０重量％
ポリオキシプロピルブチルエーテルリン酸（４０ＰＯ） １５．０重量％
アセンヤク５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液 ５．０重量％
９５％エタノール ５０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにアセンヤク５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液、ポリオキシプロピルブチルエーテル（４０ＰＯ）、ポリオキシプロピルブチルエーテルリン酸（４０ＰＯ）及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアリキッドを得た。
【００４２】
〔実施例７〕 ヘアジェル
カルボキシビニルポリマー ０．５重量％
ポリビニルピロリドン ２．０重量％
グリセリン ４．０重量％
ラベンダーエタノール抽出物 ３．０重量％
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 適量
水酸化ナトリウム ０．１５重量％
エチルアルコール ２０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
一部の精製水にカルボキシビニルポリマーとグリセリンを均一に分散させた。次に、他の成分を残余の精製水に溶解し、これを前記の分散物に攪拌しながら添加し、ヘアジェルを得た。
【００４３】
〔実施例８〕 ヘアジェル
カルボキシビニルポリマー ０．５重量％
ポリビニルピロリドン ２．０重量％
グリセリン ４．０重量％
イラクサエタノール抽出物 ３．０重量％
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 適量
水酸化ナトリウム ０．１５重量％
エチルアルコール ２０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
実施例７と同様にして、ヘアジェルを得た。
【００４４】
〔実施例９〕 スカルプトリートメント
１，３−プロピレングリコール ０．５重量％
ペンタエリスリトールテトラ−２−エチルヘキサネート １．２重量％
９５％エタノール ６０．０重量％
オトギリソウ５０重量％エタノール抽出物 ２．０重量％
香料 適量
ＤＭＥ／ＬＰＧ（９５／５） 適量
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにオトギリソウ５０重量％エタノール抽出物、１，３−プロピレングリコール、ペンタエリスリトールテトラ−２−エチルヘキサネート、香料及びＤＭＥ／ＬＰＧ（９５／５）を加え、攪拌溶解して、スカルプトリートメントを得た。
【００４５】
〔実施例１０〕 スカルプトリートメント
１，３−プロピレングリコール ０．５重量％
ペンタエリスリトールテトラ−２−エチルヘキサネート １．２重量％
９５％エタノール ６０．０重量％
オウレン５０重量％エタノール抽出物 １．０重量％
香料 適量
ＤＭＥ／ＬＰＧ（９５／５） 適量
計 １００．０重量％
（製法）
実施例９と同様にして、スカルプトリートメントを得た。
【００４６】
〔実施例１１〕 ヘアクリーム
（油相）
流動パラフィン ５．０重量％
セトステアリルアルコール ５．０重量％
ワセリン ６．０重量％
グリセリンモノステアレート ３．０重量％
２−オクチルドデシルエーテル ３．０重量％
ブチルパラベン ０．２重量％
香料 適量
（水相）
ジプロピレングリコール ２０．０重量％
ポリエチレングリコール４０００ ５．０重量％
トウキンセンカ５０重量％エタノール抽出物 ２．０重量％
グリセリン ７．０重量％
ヘキサメタリン酸ソーダ ０．００５重量％
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
油相を加熱溶解して混合した後、これに水相の加熱溶解混合物を添加して、ホモジナイザーで乳化して、ヘアクリームを得た。
【００４７】
〔実施例１２〕 ヘアクリーム
（油相）
流動パラフィン ５．０重量％
セトステアリルアルコール ５．０重量％
ワセリン ６．０重量％
グリセリンモノステアレート ３．０重量％
２−オクチルドデシルエーテル ３．０重量％
ブチルパラベン ０．２重量％
香料 適量
（水相）
ジプロピレングリコール ２０．０重量％
ポリエチレングリコール４０００ ５．０重量％
酵母水抽出物 ３．０重量％
グリセリン ７．０重量％
ヘキサメタリン酸ソーダ ０．００５重量％
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
実施例１１と同様にして、ヘアクリームを得た。
【００４８】
〔実施例１３〕 ヘアスプレー
（原液）
アクリル樹脂アルカノールアミン塩（５０％） ７．０重量％
セチルアルコール ０．１重量％
シリコーン油 ０．３重量％
エチルアルコール ９２．４重量％
オウギ５０重量％エタノール抽出物 ０．２重量％
香料 適量
（充填）
原液 ５０．０重量％
ジメチルエーテル ４５．０重量％
ＬＰＧ ５．０重量％
計 １００．０重量％
（製法）
アクリル樹脂アルカノールアミン塩（５０％）、セチルアルコール及びシリコーン油をホモジナイザーで乳化し、これを他の成分に添加して原液を調製した。充填は缶に原液を充填し、バルブ装着後、ジメチルエーテル及びＬＰＧガスを充填して、ヘアスプレーを得た。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、チロシナーゼ活性促進剤及び白髪改善剤に関し、更に詳述すると、白髪の発生と深い関係を有する酵素であるチロシナーゼの高い活性促進作用を有するチロシナーゼ活性促進剤、及びこのチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善及び白髪防止に有効な白髪改善剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
白髪の発生メカニズムについては、メラニン色素顆粒が角化細胞（毛髪）に転送されなくなることにより起ることが判明しているが、その発生原因については、メラノサイト（色素形成細胞）の数が減少するという説、メラニン形成酵素が減少するという説、メラノサイトから角化細胞へのメラニン色素顆粒移動障害という説などがあるものの、未だ、根本的な原因は解明されていないのが現状である。
【０００３】
このため、白髪予防及び白髪改善を図る目的を達成すべく、白髪の発生機序又はメラニン色素形成機序（例えばチロシナーゼ活性促進成分、メラニン産生促進成分等）に有効な成分を検討するか、或いは無作為に各種物質の白髪防止作用を検討することにより得られる多種多様な物質、化合物を有効成分として用いることなどが検討されている。
【０００４】
中でも、チロシナーゼは、人間の体表に広く分布しており、特に毛髪には最も多く存在して頭皮を過剰な紫外線から守る役割を果たしている黒色色素であるメラニンをアミノ酸の一種であるチロシンから生合成するために欠くことのできない酵素である。
【０００５】
このチロシナーゼは、毛根部位の毛母細胞付近に存在するメラノサイト（色素形成細胞）においてチロシンを酸化して、ドーパ及びドーパクロムを経てメラニンを生成する役割を果たしている。従ってチロシナーゼはメラニン産生に深く関与しており、チロシナーゼの活性化を図ることにより毛髪の白髪予防及び白髪改善に寄与し得ると考られる。
【０００６】
このようなチロシナーゼ活性を促進する物質に関して種々の提案がなされている。例えば、特開平９−２４９５７８号公報には、５６種の生薬抽出物の１種又は２種以上を使用するチロシナーゼ賦活剤を配合した抗白髪治療剤が提案されている。
【０００７】
また最近、キョウチクトウ科パラメリア属に属する植物、特にパラメリア・ラエビガータの抽出物を有効成分とするチロシナーゼ活性促進用組成物及び白髪防止用組成物が提案されている（特開平１１−１３９９５３号公報）。更に、サフラン抽出物及びサンショウ抽出物がチロシナーゼ活性促進効果を有することが提案されている（特開平１１−７９９５０号公報、特開平１１−７９９５１号公報）。
【０００８】
しかしながら、白髪の発生予防、生じた白髪を少しでも改善したいという要望は老若男女を問わず極めて高く、より効果的で、安全かつ大量生産可能であり、安価なチロシナーゼ活性促進効果を有する成分の登場が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平９−２４９５７８号公報
【特許文献２】特開平１１−１３９９５３号公報
【特許文献３】特開平１１−７９９５０号公報
【特許文献４】特開平１１−７９９５１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、毛髪におけるメラニン生成の根本的な役割を担っているチロシナーゼの活性を強力に促進する成分を有効成分とする安全かつ安価なチロシナーゼ活性促進剤、及びこのチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善及び白髪防止に顕著な効果を有する白髪改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明者は、上記目的を達成するため、チロシナーゼ活性促進作用を有する成分を求めるべく鋭意検討を重ねた結果、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ及びオウギから選ばれる植物抽出物及び微生物抽出物の１種又は２種以上が、優れたチロシナーゼ活性促進効果を備えていること、これらは古来から親しまれてきた植物及び微生物の抽出物であり、安全性が高く、しかも自然界に大量に存在しているため、安定供給可能で安価に製造できると共に、これら抽出物を有効成分とするチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善剤が、白髪の発生防止、生じた白髪を少しでも改善したいという消費者の強い要望に充分に応えることができ、従来の課題を効果的に解決できることを知見し、本発明をなすに至った。
【００１２】
従って、本発明は、第１に、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ及びオウギから選ばれる植物抽出物及び微生物抽出物の１種又は２種以上を有効成分とすることを特徴とするチロシナーゼ活性促進剤を提供する。
また、本発明は、第２に、上記チロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善剤を提供する。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、安全性、生産性に優れ、高いチロシナーゼ活性促進効果を有するチロシナーゼ活性促進剤、及びこのチロシナーゼ活性促進剤からなる白髪防止、白髪改善に極めて有効な白髪改善剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ及びオウギから選ばれる植物抽出物及び微生物抽出物の１種又は２種以上を有効成分とする。
【００１５】
ここで、本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、下記に示した植物及び微生物を抽出原材料とする。
【００１６】
上記シラカバは、カバノキ科に属するシラカバ（Ｂｅｔｕｌａ ａｌｂａ Ｌ．又はＢｅｔｕｌａ ｐｅｎｄｕｌａ Ｒｏｔｈ．）の樹皮などを原材料として用いる。
上記キナは、アカネ科に属するキナノキ（Ｃｉｎｃｈｏｎａ ｓｕｃｃｉｒｕｂｒａ Ｐａｖｏｎ ｅｔ Ｋｌｏｔｚｃｈ）の樹皮などを原材料として用いる。
上記ボダイジュは、シナノキ科に属するボダイジュ（Ｔｉｌｉａ ｃｏｒｄａｔａ Ｍｉｌｌ．，Ｔ． ｐｌａｔｙｏｈｙｌｌｏｓ Ｓｃｏｐ．，Ｔ．ｅｕｒｏｐａｅａ Ｌ．）の花及び葉などを原材料として用いる。
上記アセンヤクは、アセンヤク（Ｕｎｃａｒｉａ ｇａｍｂｉｒ Ｒｏｘｂｕｒｇｈ）の葉及び若い枝などを原材料として用いる。
上記ラベンダーは、シソ科に属するラベンダー（Ｌａｖａｎｄｕｌａ ｖｅｒａ Ｄ．Ｃ．）の花などを原材料として用いる。
上記イラクサは、イラクサ科に属するイラクサ（Ｕｒｔｉｃａ ｔｈｕｂｅｒｇｉａｎａ Ｓｉｅｂｏｌｄ ｅｔ Ｚｕｃｃａｒｉｎｉ）の葉及び枝などを原材料として用いる。
上記オトギリソウは、オトギリソウ科に属するオトギリソウ（Ｈｙｐｅｒｉｃｕｍ ｅｒｅｃｔｕｍ Ｔｈｕｍｂ）又はセイヨウオトギリソウ（Ｈｙｐｅｒｉｃｕｍ ｐｅｒｆｏｒａｔｕｍ Ｌ．）の全草などを原材料として用いる。
上記オウレンは、キンポウゲ科に属するオウレン（Ｃｏｐｔｉｓ ｊａｐｏｎｉｃａ Ｍａｋｉｎｏ）の根茎などを原材料として用いる。
上記酵母は、サッカロミセス（Ｓａｃｃｈａｒｏｍｙｃｅｓ）属に属する酵母を原材料として用いる。
上記トウキンセンカは、キク科に属するトウキンセンカ（Ｃａｌｅｎｄｕｌａ ｏｆｆｉｃｉｎａｌｉｓ Ｌ．）の花などを原材料として用いる。
上記オウギは、マメ科に属するオウギ（Ａｓｔｒａｇａｌｕｓ ｍｅｍｂｒａｎａｃｅｕｓ Ｂｕｎｇｅ又はＡｓｔｒａｇａｌｕｓ ｍｏｎｇｈｏｌｉｃｕｓ Ｂｕｎｇｅ）の根などを原材料として用いる。
【００１７】
上記原材料を用いて抽出した抽出物は、いずれも高いチロシナーゼ活性促進効果を有するものであるが、中でもシラカバ、キナ、ボダイジュは極めて高いチロシナーゼ活性亢進効果を有するものである。また、ボダイジュ、アセンヤク、オウレン、シラカバ、オトギリソウ、酵母は抽出物収率（固形分濃度）が高い点で好ましい。
【００１８】
本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、上記植物及び微生物由来の原料を用いて、通常、植物及び微生物の抽出に一般に用いられている抽出方法により得ることができる。
【００１９】
例えば、植物及び微生物の原料を生のまま又は乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。抽出に用いる溶媒としては、植物及び微生物から有効成分を抽出する際に用いられる一般的な溶媒を室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが可能である。例えば、水、メタノール、水−エタノール、エタノール等の低級アルコール又は含水低級アルコール、アセトン、１，３−ブチレングリコール又はその水溶液、プロピレングリコール等の極性溶媒、クロロホルム、酢酸エチルエステル、エチルエーテル等の中極性溶媒などを挙げることができる。なお、水と低級アルコール類との混合系溶媒を使用する場合には、通常、重量比で水：低級アルコール類＝５：９５〜７０：３０であることが好ましい。また、水と１，３−ブチレングリコールとの混合系溶媒を使用する場合には、通常、重量比で水：１，３−ブチレングリコール＝５：９５〜７０：３０であることが好ましい。
【００２０】
この場合、抽出条件は、抽出原材料、原材料の粗砕の程度、抽出溶媒等により異なり一概には規定できないが、抽出溶媒として水、エタノール−水、エタノールを用いた場合には、通常５０〜８０℃で２〜８時間程度である。また、抽出溶媒として１，３−ブチレングリコール又はその水溶液、プロピレングリコールを用いた場合には、通常５０〜９０℃で２〜５時間程度である。
【００２１】
これらの溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであればそのまま配合して本発明のチロシナーゼ活性促進剤の有効成分として用いることができるが、抽出液から抽出溶媒を溜去した抽出物、又は必要に応じて乾燥した後の抽出乾燥物を配合することもできる。
【００２２】
本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、経皮的に吸収されて毛根部位に達し、メラノサイト（色素形成細胞）に働いて優れたチロシナーゼ活性促進作用を示すものである。この作用を利用する最も簡単かつ有効な方法は、チロシナーゼ活性促進剤からなる白髪改善剤を頭髪料、その他任意の皮膚外用剤に配合して用いることである。
【００２３】
この場合、配合対象となる頭髪料及び皮膚外用剤としては、特に制限されないが、例えばヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアジェル、ヘアクリーム、スカルプトリートメント、ヘアスプレー、乳液、化粧水、エモリエントローション、エアゾルムース、シャンプー、リンス等の形態を取ることができる。なお、頭髪料及び皮膚外用剤には、チロシナーゼ活性促進剤の効力を高めるのに有効な任意の助剤を適宜配合することができる。
【００２４】
本発明のチロシナーゼ活性促進剤の配合量は、チロシナーゼ活性促進剤の使用態様に応じて適宜調整されるが、白髪改善剤として用いる場合には製剤全体の０．０１〜１０重量％の範囲で配合することが好ましい。
【００２５】
なお、本発明のチロシナーゼ活性促進剤は、白髪改善剤以外にも、皮膚の抗白斑治療剤、皮膚黒色化を図る皮膚化粧料などとしても好適に用いることができるものである。
【実施例】
【００２６】
以下、製造例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【００２７】
〔製造例１〕
シラカバの樹皮、キナの樹皮、ボダイジュの花、アセンヤクの葉、ラベンダーの花、イラクサの葉、オトギリソウの全草、オウレンの根茎、トウキンセンカの花、及びオウギの根をそれぞれ粗砕機を用いて砕いた各粗砕物１００ｇ及び酵母粉末１００ｇに、抽出溶媒として水、５０重量％エタノール、又はエタノールを２０００ｍＬ加えて７０℃に保温しながら３時間ゆるく攪拌した後、濾紙で濾過して各抽出液を得た。これら抽出液を４０℃で減圧濾過した後、減圧乾燥機にかけてそれぞれの抽出乾燥物を得た。得られた各抽出乾燥物の収率を表１に示した。
【００２８】
【表１】
【００２９】
〔製造例２〕
シラカバの樹皮、キナの樹皮、ボダイジュの花、アセンヤクの葉、ラベンダーの花、イラクサの葉、オトギリソウの全草、オウレンの根茎、トウキンセンカの花、及びオウギの根をそれぞれ粗砕機を用いて砕いた各粗砕物１００ｇ及び酵母粉末１００ｇに、抽出溶媒として５０重量％１，３−ブチレングリコール又はプロピレングリコールを１０００ｍＬ加えて５０℃に保温しながら３時間ゆるく攪拌した後、濾紙で濾過してそれぞれの抽出液を得た。得られた各抽出液の固形分濃度を表２に示した。
【００３０】
【表２】
【００３１】
〔実施例１〕 チロシナーゼ活性亢進作用
試験管に、マックルバイン緩衝液（ｐＨ６．８）１ｍＬ、チロシナーゼ溶液（シグマ製 ５０，０００ｕｎｉｔ マッシュルーム由来 ４．５ｍｇ／１５ｍＬ）０．３ｍＬ、表１に示した製造例１で得られた５０重量％エタノール抽出物５ｍｇを５０％ＤＭＳＯ溶液５ｍｌに溶解して、３７℃で１０分間プレインキュベーションした（２００μｇ／ｍＬ試料溶液）。
また、試験管に、マックルバイン緩衝液（ｐＨ６．８）１ｍＬ、チロシナーゼ溶液（シグマ製 ５０，０００ｕｎｉｔ マッシュルーム由来 ４．５ｍｇ／１５ｍＬ）０．３ｍＬ、表１に示した製造例１で得られた５０重量％エタノール抽出物１０ｍｇを５０％ＤＭＳＯ溶液５ｍｌに溶解して、３７℃で１０分間プレインキュベーションした（４００μｇ／ｍＬ試料溶液）。
【００３２】
得られた２００μｇ／ｍＬ及び４００μｇ／ｍＬの各試料溶液０．９ｍＬに、チロシナーゼ溶液（シグマ製 ５０，０００ｕｎｉｔ マッシュルーム由来 ２ｍｇ／２ｍＬ）０．１ｍＬを加えて、３７℃で１５分間インキュベーションした。反応終了後、分光光度計で４７５ｎｍにおける吸光度を測定した。なお、ブランクとしてチロシナーゼ溶液の代わりにマックルバイン緩衝液（ｐＨ６．８）を用いた。また、コントロールとして表１に示した製造例１で得られた抽出物（チロシナーゼ活性促進剤）の代わりに５０％ＤＭＳＯ溶液を用いた。
得られた吸光度から下記式によりチロシナーゼ活性の亢進率を算出した。結果を表３に示す。
【数１】
Ｓｔ：サンプルのテスト（チロシナーゼ添加）吸光度
Ｓｂ：サンプルのブランク（チロシナーゼ無添加）吸光度
Ｃｔ：コントロールのテスト（サンプルの代わりに５０％ＤＭＳＯ溶液添加） 吸光度
Ｃｂ：コントロールのブランク（チロシナーゼ無添加）吸光度
【００３３】
【表３】
表３の結果から、シラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサ、オトギリソウ、オウレン、酵母、トウキンセンカ、及びオウギはチロシナーゼ活性亢進作用を有することが認められる。特にシラカバ、キナ、ボダイジュ、及びアセンヤクは高いチロシナーゼ活性亢進作用を有することが認められる。
【００３４】
〔実施例２、比較例１〕 白髪に対する改善効果
白髪が充分に認められる男性被験者４８名を４名ずつ１２群に分け、洗髪後に表１に示した製造例１の５０重量％エタノール抽出物（チロシナーゼ活性促進剤）を溶解した表４，５の組成のヘアトニックを３ヶ月間塗布し、白髪改善に対する効果を下記基準により評価した。結果を表４，５に示す。なお、表５記載の組成の比較品についても同様の評価を行った。
評価基準
Ａ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が７５％以上
Ｂ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が５０％以上 ７５％未満
Ｃ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が２５％以上 ５０％未満
Ｄ：被験者が「著効」、「有効」及び「やや有効」を示した割合が２５％未満
この場合、「著効」とは白髪の消失したもの、「有効」とは白髪がはっきりと少なくなったと確認できたもの、「やや有効」とは白髪が少なくなったと感じられたもの、「無効」とは白髪に変化を認めないものをそれぞれ意味する。
【００３５】
【表４】
【００３６】
【表５】
表４，５の結果から、本発明品は、いずれも比較品と対比して高い白髪改善効果が認められる。特に表４に示したシラカバ、キナ、ボダイジュ、アセンヤク、ラベンダー、イラクサは優れた白髪改善効果を有することが認められる。
【００３７】
以下、製造例１，２で得られたチロシナーゼ活性促進剤を配合した他の処方例を実施例として以下に示した。
【００３８】
〔実施例３〕 ヘアトニック
シラカバ５０重量％エタノール抽出物 １．０重量％
硬化ヒマシ油ＥＯ（４０） ２．０重量％
９５％エタノール ７０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにシラカバ５０重量％エタノール抽出物、硬化ヒマシ油ＥＯ（４０）及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアトニックを得た。
【００３９】
〔実施例４〕 ヘアトニック
キナ５０重量％エタノール抽出物 １．０重量％
硬化ヒマシ油ＥＯ（４０） ２．０重量％
９５％エタノール ７０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにキナ５０重量％エタノール抽出物、硬化ヒマシ油ＥＯ（４０）及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアトニックを得た。
【００４０】
〔実施例５〕 ヘアトニック
ポリエチレングリコール２０００ ２．０重量％
Ｌ−メントール ０．２重量％
ボダイジュ５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液 ２．０重量％
９５％エタノール ５０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
ボダイジュ５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液にポリエチレングリコール２０００とＬ−メントール、９５％エタノール及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアトニックを得た。
【００４１】
〔実施例６〕 ヘアリキッド
ポリオキシプロピルブチルエーテル（４０ＰＯ） １５．０重量％
ポリオキシプロピルブチルエーテルリン酸（４０ＰＯ） １５．０重量％
アセンヤク５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液 ５．０重量％
９５％エタノール ５０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにアセンヤク５０重量％１，３−ブチレングリコール抽出液、ポリオキシプロピルブチルエーテル（４０ＰＯ）、ポリオキシプロピルブチルエーテルリン酸（４０ＰＯ）及び香料を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアリキッドを得た。
【００４２】
〔実施例７〕 ヘアジェル
カルボキシビニルポリマー ０．５重量％
ポリビニルピロリドン ２．０重量％
グリセリン ４．０重量％
ラベンダーエタノール抽出物 ３．０重量％
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 適量
水酸化ナトリウム ０．１５重量％
エチルアルコール ２０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
一部の精製水にカルボキシビニルポリマーとグリセリンを均一に分散させた。次に、他の成分を残余の精製水に溶解し、これを前記の分散物に攪拌しながら添加し、ヘアジェルを得た。
【００４３】
〔実施例８〕 ヘアジェル
カルボキシビニルポリマー ０．５重量％
ポリビニルピロリドン ２．０重量％
グリセリン ４．０重量％
イラクサエタノール抽出物 ３．０重量％
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 適量
水酸化ナトリウム ０．１５重量％
エチルアルコール ２０．０重量％
香料 適量
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
実施例７と同様にして、ヘアジェルを得た。
【００４４】
〔実施例９〕 スカルプトリートメント
１，３−プロピレングリコール ０．５重量％
ペンタエリスリトールテトラ−２−エチルヘキサネート １．２重量％
９５％エタノール ６０．０重量％
オトギリソウ５０重量％エタノール抽出物 ２．０重量％
香料 適量
ＤＭＥ／ＬＰＧ（９５／５） 適量
計 １００．０重量％
（製法）
９５％エタノールにオトギリソウ５０重量％エタノール抽出物、１，３−プロピレングリコール、ペンタエリスリトールテトラ−２−エチルヘキサネート、香料及びＤＭＥ／ＬＰＧ（９５／５）を加え、攪拌溶解して、スカルプトリートメントを得た。
【００４５】
〔実施例１０〕 スカルプトリートメント
１，３−プロピレングリコール ０．５重量％
ペンタエリスリトールテトラ−２−エチルヘキサネート １．２重量％
９５％エタノール ６０．０重量％
オウレン５０重量％エタノール抽出物 １．０重量％
香料 適量
ＤＭＥ／ＬＰＧ（９５／５） 適量
計 １００．０重量％
（製法）
実施例９と同様にして、スカルプトリートメントを得た。
【００４６】
〔実施例１１〕 ヘアクリーム
（油相）
流動パラフィン ５．０重量％
セトステアリルアルコール ５．０重量％
ワセリン ６．０重量％
グリセリンモノステアレート ３．０重量％
２−オクチルドデシルエーテル ３．０重量％
ブチルパラベン ０．２重量％
香料 適量
（水相）
ジプロピレングリコール ２０．０重量％
ポリエチレングリコール４０００ ５．０重量％
トウキンセンカ５０重量％エタノール抽出物 ２．０重量％
グリセリン ７．０重量％
ヘキサメタリン酸ソーダ ０．００５重量％
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
油相を加熱溶解して混合した後、これに水相の加熱溶解混合物を添加して、ホモジナイザーで乳化して、ヘアクリームを得た。
【００４７】
〔実施例１２〕 ヘアクリーム
（油相）
流動パラフィン ５．０重量％
セトステアリルアルコール ５．０重量％
ワセリン ６．０重量％
グリセリンモノステアレート ３．０重量％
２−オクチルドデシルエーテル ３．０重量％
ブチルパラベン ０．２重量％
香料 適量
（水相）
ジプロピレングリコール ２０．０重量％
ポリエチレングリコール４０００ ５．０重量％
酵母水抽出物 ３．０重量％
グリセリン ７．０重量％
ヘキサメタリン酸ソーダ ０．００５重量％
精製水 残余
計 １００．０重量％
（製法）
実施例１１と同様にして、ヘアクリームを得た。
【００４８】
〔実施例１３〕 ヘアスプレー
（原液）
アクリル樹脂アルカノールアミン塩（５０％） ７．０重量％
セチルアルコール ０．１重量％
シリコーン油 ０．３重量％
エチルアルコール ９２．４重量％
オウギ５０重量％エタノール抽出物 ０．２重量％
香料 適量
（充填）
原液 ５０．０重量％
ジメチルエーテル ４５．０重量％
ＬＰＧ ５．０重量％
計 １００．０重量％
（製法）
アクリル樹脂アルカノールアミン塩（５０％）、セチルアルコール及びシリコーン油をホモジナイザーで乳化し、これを他の成分に添加して原液を調製した。充填は缶に原液を充填し、バルブ装着後、ジメチルエーテル及びＬＰＧガスを充填して、ヘアスプレーを得た。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
シラカバ含水低級アルコール抽出物、キナ抽出物、ボダイジュ含水低級アルコール抽出物、アセンヤク抽出物及び酵母抽出物から選ばれる１種又は２種以上を有効成分とすることを特徴とするチロシナーゼ活性促進剤。
【請求項２】
シラカバ含水低級アルコール抽出物、キナ抽出物、ボダイジュ含水低級アルコール抽出物、アセンヤク抽出物及び酵母抽出物から選ばれる１種又は２種以上を有効成分とし、これを２００〜４００μｇ／ｍＬを含有することを特徴とする請求項１記載のチロシナーゼ活性促進剤。
【請求項１】
シラカバ含水低級アルコール抽出物、キナ抽出物、ボダイジュ含水低級アルコール抽出物、アセンヤク抽出物及び酵母抽出物から選ばれる１種又は２種以上を有効成分とすることを特徴とするチロシナーゼ活性促進剤。
【請求項２】
シラカバ含水低級アルコール抽出物、キナ抽出物、ボダイジュ含水低級アルコール抽出物、アセンヤク抽出物及び酵母抽出物から選ばれる１種又は２種以上を有効成分とし、これを２００〜４００μｇ／ｍＬを含有することを特徴とする請求項１記載のチロシナーゼ活性促進剤。
【公開番号】特開２０１０−３１０５６（Ｐ２０１０−３１０５６Ａ）
【公開日】平成２２年２月１２日（２０１０．２．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２５９７５６（Ｐ２００９−２５９７５６）
【出願日】平成２１年１１月１３日（２００９．１１．１３）
【分割の表示】特願２０００−１０８２３６（Ｐ２０００−１０８２３６）の分割
【原出願日】平成１２年４月１０日（２０００．４．１０）
【出願人】（５９１０８２４２１）丸善製薬株式会社 (239)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年２月１２日（２０１０．２．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１１月１３日（２００９．１１．１３）
【分割の表示】特願２０００−１０８２３６（Ｐ２０００−１０８２３６）の分割
【原出願日】平成１２年４月１０日（２０００．４．１０）
【出願人】（５９１０８２４２１）丸善製薬株式会社 (239)
【Ｆターム（参考）】
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