説明

テストソケット

【課題】フレキシブル配線基板の搭載ずれに柔軟に対応可能であり、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置全体としての位置決めを正確に行うことができるテストソケットを提供する。
【解決手段】テストソケット10は、設置台11、基板台12、設置台用蓋13、および基板台用蓋14を備え、設置台用蓋13には、設置台用蓋13を閉じることで、設置台11に収容される固体撮像装置2の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および、Z軸を回転軸とした回転方向における位置決めを行う内機構部が設けられ、基板台12は、連動手段を介して、設置台11に移動可能に接続され、上記連動手段は、設置台用蓋13の閉動作に連動して、固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との位置関係に応じて基板台12を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置のテストに使用されるテストソケットに関するものであり、特に、固体撮像装置をテストソケットに収容するときの位置決め精度を向上する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付携帯電話やデジタルスチルカメラなどに代表される、固体撮像装置を用いた撮像機器の高性能化が進んでいる。そしてこれに伴い、固体撮像装置においても、高画素化や広画角化などの高性能化が進んでいる。高性能な固体撮像装置としては、カメラ駆動用回路などの周辺回路を実装した基板(例えば、フレキシブル配線基板やリジッド配線基板)を搭載することにより高密度化したものがある。
【0003】
ところで、固体撮像装置の製造工程では、従来、不良品をスクリーニングするために、電気的な試験や特性評価などを行うためのテスタを用いて、種々のテストが実施されている。この固体撮像装置のテストは、通常、検査対象の固体撮像装置を、テスタに設けられたテストソケット内に設置して実施する。そのため、精度良く、かつ良好にテストを実施するためには、特に高性能な固体撮像装置の場合、固体撮像装置の焦点や画角を、光学の中心にできるだけ正確に合わせる必要がある。すなわち、できるだけ正確に位置決めして、固体撮像装置をテストソケット内に設置する必要がある。
【0004】
テストソケットにおける固体撮像装置の位置決めに関する技術は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のテストソケットは、固体撮像装置を、収容状態における固体撮像装置の天面に平行な方向に位置決めおよび固定する位置決め手段として、固体撮像装置の4つの角部のうち、一方の対角線上の2つの角部を固定する固定チャック部、および、他方の対角線上の2つの角部をそれぞれ中心に向けて付勢する可動チャックを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−109534号公報(2007年4月26日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置に対し、従来のテストソケットを用いてテストを行うと、全体としての正確な位置決めが困難であるという問題がある。
【0007】
つまりは、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置をテストソケットに設置しても、テストソケットの位置決め手段がフレキシブル配線基板に接触するなどして、固体撮像装置を正確に位置決めすることができない。
【0008】
また、フレキシブル配線基板に設けられた各接続端子が、テストソケットに設けられた各コンタクト端子と電気的に接続されるように、正確に位置決めしながらフレキシブル配線基板をテストソケット内に設置する必要があるが、固体撮像装置に搭載されたフレキシブル配線基板は、固体撮像装置へ固定させた際に許容範囲は満たしていてもずれが生じている場合がある。この場合、固体撮像装置を正確に位置決めして設置したとしても、フレキシブル配線基板の搭載ずれにより、フレキシブル配線基板の各接続端子とテストソケットの各コンタクト端子との位置合わせが困難となる。
【0009】
しかも、フレキシブル配線基板の各接続端子とテストソケットの各コンタクト端子とを圧着させることで、固体撮像装置とフレキシブル配線基板との搭載関係によっては固体撮像装置の浮きが生じることもある。
【0010】
よって、固体撮像装置およびフレキシブル配線基板の両方の位置決めに対応させるためには、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置毎に、専用のテストソケットを作成する必要があった。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、フレキシブル配線基板の搭載ずれに柔軟に対応可能であり、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置全体としての位置決めを正確に行うことができるテストソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のテストソケットは、上記課題を解決するために、接続端子を有するフレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置を収容するテストソケットであって、上記固体撮像装置が収容される第1収容部と、上記フレキシブル配線基板が収容される第2収容部と、上記第1収容部を開閉する第1開閉部とを備え、上記第2収容部には、上記接続端子と電気的に接続させるためのコンタクト端子が設けられ、上記第1開閉部には、当該第1開閉部を閉じることで、上記第1収容部に収容される固体撮像装置の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および、Z軸を回転軸とした回転方向における位置決めを行う位置決め部が設けられ、上記第2収容部は、連動手段を介して、上記第1収容部に移動可能に接続され、上記連動手段は、上記第1開閉部の閉動作に連動して、上記固体撮像装置と上記フレキシブル配線基板との位置関係に応じて上記第2収容部を移動させることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、第1開閉部を閉じることで、位置決め部により、固体撮像装置の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および、Z軸を回転軸とした回転方向における位置決めを精度良く行うことが可能となる。よって、固体撮像装置の焦点や画角を、光学の中心により正確に合わせることが可能となる。
【0014】
ここで、個々の被テスト装置毎に、固体撮像装置とフレキシブル配線基板との位置関係(搭載関係)にはずれが生じていることがある。この場合であっても、上記の構成によれば、連動手段により、第1開閉部の閉動作に連動して、上記位置関係に応じて第2収容部が移動する。よって、上記位置関係のずれに柔軟に対応しながら、フレキシブル配線基板の接続端子と第2収容部のコンタクト端子との位置合わせを精度良く行うことが可能となる。
【0015】
したがって、フレキシブル配線基板の搭載ズレに柔軟に対応可能であり、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置全体としての位置決めを正確に行うことが可能となる。それゆえ、精度良く、かつ良好にテストを実施することが可能となる。
【0016】
また、本発明のテストソケットは、上記第2収容部を開閉する第2開閉部をさらに備え、上記第1開閉部は、上記第1収容部に着脱可能に取り付けられ、上記第2開閉部は、上記第2収容部に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、固体撮像装置およびフレキシブル配線基板のうち一方にサイズや形状の変更があっても、片方のみを取り替えることが可能となり、サイズや形状変更に柔軟に対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のテストソケットは、固体撮像装置が収容される第1収容部と、フレキシブル配線基板が収容される第2収容部と、上記第1収容部を開閉する第1開閉部とを備え、上記第2収容部には、上記接続端子と電気的に接続させるためのコンタクト端子が設けられ、上記第1開閉部には、当該第1開閉部を閉じることで、上記第1収容部に収容される固体撮像装置の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および、Z軸を回転軸とした回転方向における位置決めを行う位置決め部が設けられ、上記第2収容部は、連動手段を介して、上記第1収容部に移動可能に接続され、上記連動手段は、上記第1開閉部の閉動作に連動して、上記固体撮像装置と上記フレキシブル配線基板との位置関係に応じて上記第2収容部を移動させる構成である。
【0019】
それゆえ、フレキシブル配線基板の搭載ズレに柔軟に対応可能であり、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置全体としての位置決めを正確に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明におけるテストソケットの実施の一形態を示す上面図である。
【図2】図1のテストソケットのA−A’線断面図である。
【図3】図1のテストソケットのa−a’線断面図である。
【図4】上記テストソケットにおける支柱の構成を示す上面図である。
【図5】上記テストソケットにおける基板台が移動する様子を示す上面図である。
【図6】上記テストソケットに収容される被テスト装置の一構成例を示す、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0022】
本実施の形態では、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置の電気特性テストおよび品質テストなどで使用するテストソケットについて説明する。以下では、まず、被テスト装置である、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置の構成について説明する。その後、テストソケットの構成などについて順番に説明する。
【0023】
(被テスト装置)
図6は、被テスト装置1の一構成例を示す、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。なお、ここでは、固体撮像装置2の撮像面3が設けられている側を、被テスト装置1の上側としている。
【0024】
図6に示すように、被テスト装置1は、フレキシブル配線基板4が搭載された固体撮像装置2である。
【0025】
固体撮像装置2は、上面視矩形のチップ形状を有している。固体撮像装置2の天面には、撮像面3が設けられている。固体撮像装置2の裏面(撮像面3の設置面とは反対側の面)に、フレキシブル配線基板4が固定されている。
【0026】
フレキシブル配線基板4は、短冊状の形状を有している。フレキシブル配線基板4は、固体撮像装置2の4側面のうち1側面側に延伸するように、長尺方向の一方の端が固体撮像装置2に固定されている。フレキシブル配線基板4の長尺方向の他方の端には、接続部5が設けられている。接続部5には、被テスト装置1の外部と接続可能な接続端子6が複数設けられている。各接続端子6は下側に突出している。フレキシブル配線基板4には複数の配線(図示せず)が設けられており、各接続端子6(全てでなくともよい)は、各配線を介して、固体撮像装置2に電気的に接続されている。
【0027】
また、フレキシブル配線基板4には、配線のみならず、カメラ駆動用回路などの周辺回路が適宜実装されていてもよい(図示せず)。周辺回路は、フレキシブル配線基板4における、固体撮像装置2への固定部と接続部5との間の領域に実装することができる。
【0028】
(テストソケット)
次に、上記被テスト装置1のためのテストソケットについて説明する。
【0029】
図1は、本実施の形態のテストソケット10の一構成例を示す上面図であり、設置台用蓋13および基板台用蓋14が開いているときの様子を示している。図2は、図1のテストソケット10のA−A’線断面図である。図1および図2において、1点鎖線は被テスト装置1を示す。
【0030】
なお、以下では、図1の紙面視における左右方向をX軸、上下方向をY軸とするとともに、図2の紙面視における上下方向をZ軸とする。また、設置台用蓋13および基板台用蓋14が設けられている側、すなわち図2の上側を、テストソケット10の上側としている。
【0031】
テストソケット10は、被テスト装置1を所定の位置で収容するためのものである。テストソケット10は、図1に示すように、設置台11(第1収容部)、基板台12(第2収容部)、設置台用蓋13(第1開閉部)、および基板台用蓋14(第2開閉部)を備えている。
【0032】
設置台11は、被テスト装置1が設置される台である。設置台11は、図1および図2に示すように、固体撮像装置2を設置させるための凹状の凹部15と、基板台12が設置される組立面16とを有する。凹部15の深さは、固体撮像装置2の厚さ(高さ)よりも小さい。凹部15の上面視外形形状は、固体撮像装置2の上面視外形形状に合わせて、適宜ある程度のあそびを持たせて決められる。ここでは、凹部15の上面視外形形状は矩形となっている。組立面16は、凹部15の底面よりも、基板台12の厚み分低い位置にある。
【0033】
設置台11の組立面16には、支柱17が設けられている。支柱17は、上側に突出する円柱体である。支柱17は、上面視において、その中心軸が、凹部15の中心点を通るX軸に平行な直線上に位置するように配置されている。支柱17は、基板台12の貫通孔18に挿入されたときに、基板台12の表面から突出しないような高さを有している。
【0034】
設置台用蓋13は、設置台11を開閉するための蓋である。設置台11および設置台用蓋13により、固体撮像装置2は収容される。設置台用蓋13は、X軸を回転軸として回転可能に、設置台11に取り付けられている。設置台用蓋13には、開口部31が設けられている。設置台用蓋13は、設置台11の凹部15が形成されている面側を覆う(閉じる)ことによって、凹部15内に設置された固体撮像装置2を、位置決めしながら所定の位置で静止させる。これについては詳細に後述する。
【0035】
基板台12は、フレキシブル配線基板4が設置される台である。基板台12には、貫通孔18およびコンタクト部19が形成されている。貫通孔18は、上面視円形の貫通孔であり、支柱17の径よりも大きな径を有する。基板台12は、設置台11の支柱17が貫通孔18に挿入された状態で、設置台11の組立面16に配置されている。コンタクト部19は、凹状形状を有している。コンタクト部19の凹んだ面には、被テスト装置1における接続部5の各接続端子6と電気的な接続を行うためのコンタクト端子20が複数設けられている。各コンタクト端子20は、基板台12の内部に配された配線(図示せず)を介して、テストソケット10の外部(例えばテスタ)と接続することができる。
【0036】
基板台用蓋14は、基板台12を開閉するための蓋である。基板台12および基板台用蓋14により、フレキシブル配線基板4は収容される。基板台用蓋14は、X軸を回転軸として回転可能に、基板台12に取り付けられている。基板台用蓋14には、凸状の圧着部21が設けられている。基板台用蓋14は、基板台12のコンタクト部19が形成されている面側を覆う(閉じる)ことによって、基板台12に設置されたフレキシブル配線基板4の接続部5を、コンタクト部19に圧着させる。これにより、接続部5の各接続端子6とコンタクト部19の各コンタクト端子20とが電気的に接続される。
【0037】
また、設置台用蓋13は、設置台11に着脱可能に取り付けられ、基板台用蓋14は、基板台12に着脱可能に取り付けられていることが望ましい。これにより、固体撮像装置2およびフレキシブル配線基板4のうち一方にサイズや形状の変更があっても、片方のみを取り替えることが可能となる。
【0038】
(設置台用蓋13の構成)
次に、設置台用蓋13の構成について説明する。
【0039】
図3は、固体撮像装置2が設置台11の凹部15に設置された状態で設置台用蓋13が閉じられたときの、図1のテストソケット10のa−a’線断面図である。図3において、1点鎖線は、開いた状態の設置台用蓋13を示す。
【0040】
図3に示すように、設置台用蓋13には、開口部31が形成されている。開口部31は、固体撮像装置2の撮像面3に光を照射するときに光を遮らないように配置されている。つまりは、開口部31を介して、固体撮像装置2の撮像面3への光の照射が行われる。開口部31は、上面視矩形の形状を有している。
【0041】
開口部31により形成された内側の側面に、内機構部が設けられている。内機構部は、固体撮像装置2を、位置決めしながら所定の位置で静止させる部分である。内機構部は、開口部31により形成された内側の4側面のうち、基板台12の配置側を除いた3側面に設けられた斜面32により構成されている。各斜面32は、設置台用蓋13が完全に閉じた時に、固体撮像装置2の上面の縁(端)と当たる(接触する)ように形成されている(図3中のP部、Q部)。なおかつ、このとき、固体撮像装置2が所定の位置に静止して配置されるように、各斜面32は配置されている。各斜面32は、設置台用蓋13が完全に閉じた時に、凹部15の底面の法線と、上側で鋭角をなすように傾斜している。
【0042】
(基板台12の可動構成)
次に、基板台12の可動構成について説明する。
【0043】
固体撮像装置2の位置決めにより固体撮像装置2の固定が行われる。そして、その際に生まれる固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との搭載ずれを許容範囲としながら、基板台12が支柱17(連動手段)を基準とし連動して可動を行い、フレキシブル配線基板4の先端に設けられた接続端子6を、凹状形状のコンタクト部19に誘い込みながらコンタクトとする。
【0044】
通常、固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との搭載精度には寸法公差が存在するが、これを吸収するように、基板台12は、支柱17を基準として、xy平面において四方八方に移動可能に構成されている。
【0045】
また、図1では、貫通孔18は上面視円形の形状を有していたが、これに限らず、図4に示すように楕円形であってもよい。固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との搭載ずれを吸収できるように予め定められた基板台12の可動範囲に応じて、貫通孔18の形状およびサイズは決められる。さらに、支柱17は、円柱体に限らず、丸い筒状のようなものでもよい。
【0046】
(テストソケット10の収容動作)
次に、被テスト装置1を収容するまでの、テストソケット10の動作について説明する。
【0047】
図5は、被テスト装置1をテストソケット10へ収容するときの様子を示す上面図である。なお、図5では、搭載ずれを有する被テスト装置1を設置したときの様子が、2点鎖線で示されている。
【0048】
まず、テストソケット10の設置台用蓋13および基板台用蓋14を開けた状態で、設置台11および基板台12に、被テスト装置1を設置する。このとき、設置台11の凹部15内に固体撮像装置2を置くとともに、基板台12上にフレキシブル配線基板4を置くだけでよく、正確な位置合わせは必要ない。
【0049】
続いて、設置台用蓋13を閉める。設置台用蓋13を閉め始めると、途中、内機構部の各斜面32が固体撮像装置2の上面の縁に当たることによって、固体撮像装置2が中心に誘い込まれる。そして、完全に設置台用蓋13を閉めたとき、固体撮像装置2は所定の位置に配置されるとともに、各斜面32によって静止固定された状態となる。
【0050】
つまりは、設置台用蓋13を閉めることで、内機構部の各斜面32によって固体撮像装置2の上面の縁を押さえながら固体撮像装置2を中心に誘い込むことにより、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸を回転軸とした回転方向への位置決め、さらには、Z軸方向への位置決めについて、同時に行うことが可能となる。
【0051】
一方、設置台用蓋13を閉じる動作の間、設置台用蓋13の閉動作に連動して、固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との搭載関係(位置関係)のずれに応じて基板台12が移動する。これにより、固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との搭載関係のずれを吸収するように、自動的にフレキシブル配線基板4の位置決めが行われる。よって、上記搭載関係のずれに柔軟に対応しながら、フレキシブル配線基板4の各接続端子6と基板台12の各コンタクト端子20との位置合わせを精度良く行うことが可能となる。
【0052】
したがって、設置台用蓋13を完全に閉じたとき、固体撮像装置2の位置決めと同時に、フレキシブル配線基板4の位置決めを行うことが可能となる。
【0053】
続いて、基板台用蓋14を閉める。これにより、圧着部21によって接続部5がコンタクト部19に圧着されることで、各接続端子6と各コンタクト端子20とがずれることなく、高精度で電気的に接続される。
【0054】
このようにして、被テスト装置1は、精度良く、テストソケット10に収容される。なお、基板台用蓋14を完全に閉めたとき、固体撮像装置2を上側(Z軸方向)に浮かせるように力が固体撮像装置2に働いたとしても、固体撮像装置2は設置台用蓋13の各斜面32によって静止固定されているので、浮きを固定することが可能となる。
【0055】
以上のように、テストソケット10は、設置台11、基板台12、設置台用蓋13、および基板台用蓋14を備え、設置台用蓋13には、設置台用蓋13を閉じることで、設置台11に収容される固体撮像装置2の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および、Z軸を回転軸とした回転方向における位置決めを行う内機構部が設けられ、基板台12は、連動手段を介して、設置台11に移動可能に接続され、上記連動手段は、設置台用蓋13の閉動作に連動して、固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との位置関係に応じて基板台12を移動させる構成を有する。
【0056】
それゆえ、テストソケット10では、設置台用蓋13を閉じることで、内機構部により、固体撮像装置2の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および、Z軸を回転軸とした回転方向の位置決めを精度良く行うことが可能となる。よって、固体撮像装置2の焦点や画角を、光学の中心により正確に合わせることが可能となる。
【0057】
ここで、個々の被テスト装置1毎に、固体撮像装置2とフレキシブル配線基板4との位置関係(搭載関係)にはずれが生じていることがある。この場合であっても、連動手段により、設置台用蓋13の閉動作に連動して、上記位置関係に応じて基板台12が移動する。よって、上記位置関係のずれに柔軟に対応しながら、フレキシブル配線基板4の各接続端子6と基板台12の各コンタクト端子20との位置合わせを精度良く行うことが可能となる。
【0058】
したがって、フレキシブル配線基板4の搭載ズレに柔軟に対応可能であり、被テスト装置1全体としての位置決め、すなわちフレキシブル配線基板4が搭載された固体撮像装置2全体としての位置決めを正確に行うことが可能となる。それゆえ、精度良く、かつ良好にテストを実施することが可能となる。
【0059】
また、テストソケット10は、固体撮像装置2の収容側と、フレキシブル配線基板4の収容側とのそれぞれに対し開閉を行う手段として、着脱可能な設置台用蓋13および基板台用蓋14を備えている。それゆえ、固体撮像装置2およびフレキシブル配線基板4のうち一方にサイズや形状の変更があっても、片方のみを取り替えることが可能となり、サイズや形状変更に柔軟に対応することが可能となる。
【0060】
さらに、テストソケット10は、設置台11と基板台12とがそれぞれ独立した状態にある。それゆえ、例えば、フレキシブル配線基板4の改訂に伴う変更であれば、基板台12の交換のみで、同じテストソケット10を利用することが可能となる。このように、テストソケット10は、サイズが異なった被テスト装置1にも対応可能なソケットである。よって、テストに係るコストの削減、および、テストソケット開発期間の短縮を図ることが可能となる。
【0061】
なお、テストソケット10は、上述した構成を主要部として備えるものであり、主要部に悪影響を及ぼさない他の構成を備えていてもよい。例えば、設置台用蓋13および基板台用蓋14には、設置台11および基板台12に対し、係止および解除可能な係合部が設けられていることが望ましい。これにより、テストソケット10に収容された被テスト装置1を、軽微な振動などに対しても静止固定させることが可能となる。
【0062】
また、主要部は、上述した機能を有していれば、図示した形状に限るものではない。例えば、基板台用蓋14は、フレキシブル配線基板4に周辺回路が実装されている場合を考慮して、それと干渉しないような形状とすればよい。さらに、作業性を考慮すると、設置台用蓋13および基板台用蓋14は、同じ開閉方向となるように配置されていることが望ましいが、これに限るわけではない。
【0063】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置のテストに使用されるテストソケットに関する分野に好適に用いることができるだけでなく、テストソケットの製造方法に関する分野、さらには、テストソケットを用いた検査装置および検査方法に関する分野にも広く用いることができる。上記フレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置は、カメラ付携帯電話やデジタルスチルカメラなどの撮像機器に用いられる。
【符号の説明】
【0065】
1 被テスト装置
2 固体撮像装置
3 撮像面
4 フレキシブル配線基板
5 接続部
6 接続端子
10 テストソケット
11 設置台(第1収容部)
12 基板台(第2収容部)
13 設置台用蓋(第1開閉部)
14 基板台用蓋(第2開閉部)
15 凹部
16 組立面
17 支柱(連動手段)
18 貫通孔
19 コンタクト部
20 コンタクト端子
21 圧着部
31 開口部
32 斜面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を有するフレキシブル配線基板が搭載された固体撮像装置を収容するテストソケットであって、
上記固体撮像装置が収容される第1収容部と、
上記フレキシブル配線基板が収容される第2収容部と、
上記第1収容部を開閉する第1開閉部とを備え、
上記第2収容部には、上記接続端子と電気的に接続させるためのコンタクト端子が設けられ、
上記第1開閉部には、当該第1開閉部を閉じることで、上記第1収容部に収容される固体撮像装置の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および、Z軸を回転軸とした回転方向における位置決めを行う位置決め部が設けられ、
上記第2収容部は、連動手段を介して、上記第1収容部に移動可能に接続され、
上記連動手段は、上記第1開閉部の閉動作に連動して、上記固体撮像装置と上記フレキシブル配線基板との位置関係に応じて上記第2収容部を移動させることを特徴とするテストソケット。
【請求項2】
上記第2収容部を開閉する第2開閉部をさらに備え、
上記第1開閉部は、上記第1収容部に着脱可能に取り付けられ、
上記第2開閉部は、上記第2収容部に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のテストソケット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−171011(P2011−171011A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31632(P2010−31632)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】