説明

テレビ電話装置及びプログラム

【課題】テレビ電話による通話を行うか音声電話による通話を行うかの通話方法をユーザ自身が意識することなく、適切な通話方法を選択できるようにする。
【解決手段】相手先別にその「名前」、「電話番号」のほか、TV電話を優先使用するか否かを示す「TV対応フラグ」がアドレス帳ADに記憶管理されている状態において、CPU11は、任意の相手先に電話通信部15から電話発信する際に、その相手先に対応するアドレス帳ADの「TV対応フラグ」を参照し、音声電話を優先使用するかTV電話を優先使用するかを判別し、TV電話優先であれば、TV電話で発信を行い、音声電話優先であれば、音声電話で発信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音声電話機能とテレビ電話機能とを有し、何れかの電話機能を選択して通話するテレビ電話装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声以外に映像(顔画像など)を送受信して通話するテレビ電話装置としては、例えば、使用者が任意の時間に通話方法をテレビ通話から音声通話に切り替えたり、音声通話からテレビ通話に切り替えることが可能な技術が知られている(特許文献1参照)。また、アドレス帳内の各相手毎に、テレビ電話で応答するか否かの属性を登録しておき、テレビ電話着信時に、その相手の属性に応じてテレビ電話で応答可否を決定するようにした技術が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−221738号公報
【特許文献2】特開2001−309086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、テレビ電話を使用して相手先に電話発信を行った際に、その相手側の電話がテレビ電話対応機種でなければ、テレビ電話が繋がらないために、一旦、テレビ電話を終了してから音声電話によって再発信する必要があり、テレビ電話による無駄な発信を余儀なくされる。したがって、ユーザにあっては相手側の電話の機種などを事前に調べておき、相手毎にテレビ電話対応機種であるかどうかをユーザ自身が覚えておく必要があった。
一方、相手からテレビ電話による通話を望まれても、それを拒否したい場合もあるが、テレビ電話による着信を受ける毎に、その相手先は誰かを確認しながらテレビ電話で対応するかどうかを判断する必要があった。
【0004】
この発明の課題は、テレビ電話による通話を行うか音声電話による通話を行うかの通話方法をユーザ自身が意識することなく、適切な通話方法を選択できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明(第1の発明)は、音声電話機能とテレビ電話機能とを有し、何れかの電話機能を選択して通話するテレビ電話装置であって、予め相手先に対応付けてテレビ電話を優先使用するか否かを示す情報を電話制御情報として記憶管理する制御情報記憶手段と、任意の相手先に電話発信する際に、その相手先に対応付けられている前記電話制御情報を参照して音声電話を優先使用するかテレビ電話を優先使用するかを判別する判別手段と、この判別手段による判別の結果、テレビ電話優先であれば、テレビ電話機能での電話発信を行い、音声電話優先であれば、音声電話機能での電話発信を行う電話制御手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項9記載の発明)。
【0006】
なお、前記電話制御手段は、今回の通話相手先に対応して前記電話制御情報が記憶されていなければ、予め決められている電話機能で発信を行うようにしてもよい(請求項2記載の発明)。
【0007】
請求項3記載の発明(第2の発明)は、音声電話機能とテレビ電話機能とを有し、何れかの電話機能を選択して通話するテレビ電話装置であって、音声電話機能、テレビ電話機能の何れを使用して電話発信を行ったかを示す発信実績を当該通話相手先との通話履歴として記憶管理する通話履歴記憶手段と、任意の相手先に電話発信する際に、その相手先に対応する前記通話履歴を参照してテレビ電話機能を使用するか音声電話機能を使用するかを決定する決定手段と、この決定手段によって決定された電話機能を使用して発信制御を行う電話制御手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項3記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項10記載の発明)。
【0008】
なお、上述した請求項3記載の発明は次のようなものであってもよい。
音声電話機能、テレビ電話機能の何れかの通話途中において他の電話機能への切り替えが指示された際に、この指示に応答して当該他の電話機能への切り替えを行う通話切り替え手段を有し、この通話切り替え手段によって電話機能の切り替えが行われた場合であってもその通話終了時に、少なくとも最後に切り替えられた電話機能を通話履歴として記憶する(請求項5記載の発明)。
【0009】
前記通話履歴は、前回使用した電話機能を示す情報であり、前記決定手段は、今回の通話時に前記通話履歴を参照して、前回と同様の電話機能を使用対象として決定する(請求項6記載の発明)。
【0010】
前記通話履歴は、過去に使用した電話機能の使用頻度を示す情報であり、前記決定手段は、今回の通話時に前記通話履歴を参照して使用頻度の多い電話機能を使用対象として決定する(請求項7記載の発明)。
【0011】
請求項4記載の発明(第3の発明)は、音声電話機能とテレビ電話機能とを有し、何れかの電話機能を選択して通話するテレビ電話装置であって、音声電話機能、テレビ電話機能の何れを使用して電話発信を行ったかを示す発信実績を当該通話相手先との通話履歴として記憶管理する通話履歴記憶手段と、何れかの相手先からテレビ電話による着信を受けた際に、その相手先に対応する前記通話履歴を参照してテレビ電話機能の使用を許可するか否かを決定する決定手段と、この決定手段によって決定されたテレビ電話機能の使用可否に応じて当該電話着信を制御する電話制御手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項4記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項11記載の発明)。
【0012】
なお、上述した請求項4記載の発明は、上述した請求項5〜7記載の発明であってもよい。また、前記電話制御手段は、テレビ電話機能の使用を許可する場合にはそれに先立って、テレビ電話の使用有無を問い合わせる確認案内を行ったのち、この確認案内の問い合わせに応答してテレビ電話の使用が指示された際には、テレビ電話機能で電話着信を行い、テレビ電話の不使用が指示された際には、当該相手側に対してテレビ電話による着信拒否応答を行うようにしてもよい(請求項8記載の発明)。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明は、任意の相手先に電話発信する際に、その相手側でテレビ電話優先であれば、テレビ電話機能での電話発信を行い、音声電話優先であれば、音声電話機能での電話発信を行うことにより、電話発信時にテレビ電話による通話か音声電話による通話かの通話方法をユーザ自身が意識することなく、適切な通話方法を選択することができ、無駄な電話発信を防ぐことが可能となる。
【0014】
第2の発明は、任意の相手先に電話発信する際に、その相手先との通話履歴を参照してテレビ電話を使用するか音声電話を使用するかを決定して発信制御を行うことにより、電話発信時にテレビ電話による通話か音声電話による通話かの通話方法をユーザ自身が意識することなく、適切な通話方法を選択することができ、無駄な電話発信を防ぐことが可能となる。
【0015】
第3の発明は、何れかの相手先からテレビ電話による着信を受けた際に、その相手先との通話履歴(発信実績)を参照してテレビ電話の使用を許可するか否かに応じて電話着信を制御することにより、テレビ電話による着信時にテレビ電話による通話か音声電話による通話かの通話方法をユーザ自身が意識することなく、適切な通話方法を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図5を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、携帯端末装置として適用した携帯電話装置の通信ネットワークシステムを示したブロック図である。
携帯電話装置1は、最寄りの基地局、交換機から携帯無線網(公衆移動体通信網)2を介して相手側の携帯電話装置1に接続されるほか、更に、インターネット3を介して相手側のIP(Internet Protocol)電話機能付きPC(パーソナルコンピュータ)4あるいは固定電話5に接続可能となっている。この携帯電話装置1には、音声データを送受信して通話する音声電話機能、音声以外にリアルタイム画像を送受信して通話するTV(テレビ)電話機能を備え、相手側との間でTV電話による通話が可能となっている。更に、携帯電話装置1には音声電話機能、TV電話機能のほか、電子メール機能、インターネット接続機能などが備えられている。
【0017】
図2は、この携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
CPU11は、記憶部12内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する中核的な中央演算処理装置である。記憶部12は、内部メモリであり、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図4及び図5に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されており、また、そのデータ領域には後述するアドレス帳ADが格納されている。記録メディア13は、着脱自在な可搬型メモリで、各種のデータ・プログラムを外部供給するもので、例えば、スマートメディア、ICカードなどによって構成されている。メモリ14は、ワーク領域を有する内部メモリであり、必要に応じてメモリ14内の各種のデータは、記憶部12にセーブされる。
【0018】
電話通信部15は、無線部を構成するアンテナに接続された送受信部(ベースバンド部)の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのちに、音響制御部16を介して音声スピーカ7から音声出力させる。また、電話通信部15は、音声マイク18から入力された音声データを音響制御部16から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのちに送受信部の送信側に与えられてアンテナから発信出力させる。一方、TV電話機能によって電話通信部15を介して受信取得したリアルタイム画像(例えば、相手側の顔画像)は、表示制御部19を介してLCD(液晶表示装置)などのメイン表示部20に与えられて表示出力される。サブ表示部21は現在日時、簡易なメッセージ、アイコンなどを表示出力する。
【0019】
インカメラ22は、自己の顔などを撮影するTV電話用のカメラ撮像部であり、また、アウトカメラ23は、外界を撮影する通常のカメラ撮像部である。例えば、この携帯電話装置を構成する2つの筐体(操作部筐体、表示部筐体)が開閉可能(折り畳み可能)に取り付けられている場合に、この2つの筐体を開いた状態において、インカメラ22は、そのレンズ系がユーザ(撮影者)に対面するように表示部筐体の内側(表示画面側)に配置されたカメラであり、アウトカメラ23は、そのレンズ系がユーザの反対側に向くように表示部筐体の外側(インカメラ22の反対側)に配置されたカメラである。そして、インカメラ22、アウトカメラ23は、撮影レンズ、ミラー等のレンズ・ミラーブロック、撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路などを備え、光学ズームを調整制御したり、オートフォーカス時の駆動制御、シャッター駆動制御、露出、ホワイトバランス等を制御する。
【0020】
キー操作部24は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、電話ボタン24Aなどが備えられており、CPU11は、キー操作部24からのキー入力信号に応じた処理を実行する。電話ボタン24Aは、TV電話あるいは音声電話での通話開始を指定する。報知部25は、着信報知などの報知用のスピーカ、LED(発光ダイオード)、振動モータを備え、電話・メール着信時に駆動されて着信報知を行うほか、アラーム報知時にも駆動される。
【0021】
図3は、アドレス帳ADを説明するための図である。
アドレス帳ADは、相手先別にそのアドレス帳データを記憶管理するもので、各レコードは、「名前」、「電話番号」、「TV対応フラグ」のほか、例えば、「住所」、「顔画像」、「メールアドレス」などの項目を有する構成となっている。ここで、「名前」、「電話番号」、「住所」、「顔画像」などのアドレス帳データは、キー操作部24から入力されたデータ、記録メディア13などから外部供給されたデータに基づいて任意に設定されたものであるが、「TV対応フラグ」は、電話発信毎に、TV電話での通話か音声電話での通話かに応じて自動設定される。
【0022】
「TV対応フラグ」は、前回の電話発信はTV電話による通話か音声電話による通話かを示す情報であり、前回の電話発信がTV電話の場合にはセット(ON)され、音声電話の場合にリセット(OFF)される。なお、初期設定時には「TV対応フラグ」が全てリセットされているが、マニュアル操作によって所望する相手の「TV対応フラグ」をセットしておいてもよい。
【0023】
すなわち、「TV対応フラグ」は、前回、TV電話による通話か音声電話による通話かの通話方法を示す発信実績であり、CPU11は、今回の発信相手に対応する「TV対応フラグ」を参照し、前回の発信がTV電話であれば、今回もTV電話を優先使用して発信を行い、音声電話であれば、今回も音声電話を優先使用して発信を行うようにしている。このように「TV対応フラグ」は、TV電話を優先使用するか否かを示す情報であり、今回の電話発信時に前回の通話方法を引き継ぐために「TV対応フラグ」がセットされていれば(TV電話優先であれば)、TV電話による発信を行い、「TV対応フラグ」がリセットされていれば(音声電話優先であれば)、音声電話による発信を行うようにしている。
【0024】
言い換えれば、「TV対応フラグ」は、TV電話を優先使用するか否かを示す情報以外にも、その相手との前回の通話履歴を示し、前回、TV電話による通話であったか音声電話による通話であったかを示す通話方法を前回の発信履歴(通話履歴)であり、CPU11は、今回の電話発信時に、その相手先との前回の通話履歴を参照し、前回、TV電話を使用していれば、今回の発信時もTV電話を使用し、前回、音声電話を使用していれば、今回の発信時も音声電話を使用するようにしている。一方、CPU11は、相手先からのTV電話による着信時にその相手に対応する「TV対応フラグ」を参照し、前回、その相手との電話発信がTV電話によるものであれば、今回のTV電話着信を許可するが、前回の発信が音声電話によるものであれば、今回のTV電話着信を拒否するようにしている。この場合、CPU11は、それに先立ってTV電話を使用して着信するか否かを問い合わせる確認メッセージを表示出力させたのち、ユーザ指示に応じてTV電話による着信を許可したり、TV電話による着信を拒否するようにしている。
【0025】
次にこの携帯電話装置1の動作概念を図4及び図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。なお、図4及び図5は、携帯電話装置の全体動作のうち、本実施例の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図4、図5のフローから抜けた際には、全体動作のフロー(図示省略)に戻る。
【0026】
図4は、電話ボタン24Aの操作に応じて実行開始される電話発信処理を示したフローチャートである。
先ず、発信相手先の電話番号がアドレス帳ADの中から選択指定されたり、キー操作部24から直接入力されたのち(ステップA1)、電話発信操作(オフフック操作)が行われると(ステップA2)、CPU11は、この相手先の電話番号と同じ番号がアドレス帳ADに含まれているか、つまり、相手の電話番号はアドレス帳ADの中から選択されたのか、キー操作部24から直接入力されたのかを調べる(ステップA3)。
【0027】
いま、発信相手先の電話番号がアドレス帳ADの中から選択指定された場合には(ステップA3でYES)、この相手の「TV対応フラグ」を参照して、そのセット有無(ON/OFF)を調べ(ステップA4)、「TV対応フラグ」がセットされていれば、この電話番号宛にTV電話による発信動作を行う(ステップA5)。その結果、相手側に接続されたか否かをチェックし(ステップA6)、相手側との接続が確立されたときには、TV電話による通話を開始する(ステップA7)。そして、TV電話から音声電話への切り替えが指示されたか(ステップA8)、回線が遮断されて通話終了となったかを調べ(ステップA9)、通話終了を検出したときには、今回、TV電話による通話であることを示すためにその相手に対応付けられている「TV対応フラグ」をセットしておく(ステップA10)。
【0028】
一方、相手先の電話番号がアドレス帳ADに登録されていない場合、つまり、キー操作部24から相手先電話番号が直接入力された場合には(ステップA3でNO)、この電話番号宛に音声電話による発信動作を行う(ステップA11)。そして、相手側との接続確立に応答して音声電話による通話を開始したのち(ステップA12)、音声電話からTV電話への切り替えが指示されたか(ステップA13)、回線が遮断されて通話終了となったかを調べ(ステップA16)、通話終了を検出したときには(ステップA16でYES)、今回、音声電話による通話であることを示すためにその相手の「TV対応フラグ」をリセットしておく(ステップA17)。
【0029】
また、TV電話中において音声電話への切り替えが指示された場合には(ステップA8でYES)、上述のステップA11に移って音声電話による発信動作を行い、音声電話による通話を開始させる(ステップA12)。また、音声電話中においてTV電話への切り替えが指示された場合には(ステップA13でYES)、TV電話による発信動作を行う(ステップA14)、相手側に接続されたか否かをチェックし(ステップA15)、相手側との接続が確立されたときには、上述のステップA7に移り、TV電話による通話を開始するが、相手側から着信応答がない場合には、つまり、接続不可を検出したときには(ステップA15でNO)、上述のステップA12に戻って音声電話による通話を続行する。
【0030】
図5は、相手からの電話着信時に実行開始される電話着信処理を示したフローチャートである。
先ず、CPU11は、電話着信時にその相手(発信者)側の電話番号を取得すると共に(ステップB1)、この電話番号に基づいてアドレス帳ADを検索し、同じ電話番号がアドレス帳ADに登録されているか否か、つまり、アドレス帳ADに登録されている相手からの着信であるか否かを調べ(ステップB2)、登録されている相手からの着信であれば、その相手に対応する「TV対応フラグ」を参照し、そのセット有無(ON/OFF)を調べる(ステップB3)。いま、「TV対応フラグ」がセットされている場合、つまり、その相手に対する前回の発信がTV電話による場合には、TV電話による着信を受け付けるか否かを問い合わせる確認メッセージを表示出力させる(ステップB4)。
【0031】
ここで、ユーザ操作によってTV電話着信が指示されたときには(ステップB5でYES)、TV電話をオフフックして起動させたのち(ステップB6)、上述した図4のステップA7に移り、TV電話による通話を開始させるが、TV電話着信が否定されたときには(ステップB5でNO)、その相手先に対してTV電話による着信を拒否する拒否応答を行う(ステップB9)。この着信拒否応答は、例えば、“TV電話には対応していまん”、“TV電話を使用できません”などの固定メッセージを相手先に送信したり、自己の顔画像に代わる代替画像を相手先に送信することによって行われる。
【0032】
一方、アドレス帳ADに未登録の相手からの着信の場合(ステップB2でNO)あるいはアドレス帳ADに登録されていてもその相手の「TV対応フラグ」がリセットされている場合、つまり、その相手に対する前回の発信が音声電話による場合には、(ステップB3でNO)、TV電話による着信を受け付けないかを問い合わせる確認メッセージを表示出力させる(ステップB7)。ここで、ユーザ操作によってTV電話着信をしないことが指示されたときには(ステップB8でYES)、その相手先に対してTV電話による着信を拒否する拒否応答を行うが(ステップB9)、TV電話着信をすることが指示されたときには(ステップB8でNO)、TV電話をオフフックしたのち(ステップB6)、TV電話による通話を開始させる(図4のステップA7)。
【0033】
以上のように、この実施例においては、相手先別にその「名前」、「電話番号」のほか、TV電話を優先使用するか否かを示す「TV対応フラグ」がアドレス帳ADに記憶管理されている状態において、CPU11は、任意の相手先に電話通信部15から電話発信する際に、その相手先に対応するアドレス帳ADの「TV対応フラグ」を参照し、音声電話を優先使用するかTV電話を優先使用するかを判別し、TV電話優先であれば、TV電話で発信を行い、音声電話優先であれば、音声電話で発信を行うようにしたから、電話発信時にTV電話による通話か、音声電話による通話かの通話方法をユーザ自身が意識することなく、適切な通話方法を選択することができ、無駄な電話発信を防ぐことが可能となる。この場合、今回の相手先がアドレス帳ADに登録されていなければ、音声電話による通話を行うようにしたから、親密ではないアドレス帳未登録者には音声電話を優先させることができる。
【0034】
相手先別にその「名前」、「電話番号」のほか、前回の発信履歴(通話履歴)としてTV電話による通話か音声電話による通話かを示す「TV対応フラグ」がアドレス帳ADに記憶管理されている状態において、CPU11は、任意の相手先に電話通信部15から電話発信する際に、その相手先に対応する「TV対応フラグ」を参照してTV電話を使用するか音声電話を使用するかを決定して、TV電話あるいは音声電話による発信を行うようにしたから、電話発信時にTV電話による通話か音声電話による通話かの通話方法をユーザ自身が意識することなく、前回の発信履歴を考慮して同様の通話方法を選択することができ、無駄な電話発信を防ぐことが可能となる。
【0035】
電話ボタン24Aの操作時に「TV対応フラグ」がリセットされていて相手側がTV非対応と登録されている場合でも、音声電話での通話中に電話切り替え指示に応答してその相手に対してTV電話発信を行った結果、相手側でTV電話を着信したときには、TV電話での通話に切り替えると共に、「TV対応フラグ」をセットしてTV対応に変更するようにしたから、TV電話対応機種への変更などの実状に応じて「TV対応フラグ」を変更することが可能となる。
【0036】
また、電話ボタン24Aの操作時に「TV対応フラグ」がセットされていて相手側がTV対応と登録されていても、TV電話での通話中に電話切り替えが指示されたときには、音声電話での通話に切り替えると共に、「TV対応フラグ」をリセットしてTV非対応に変更するようにしたから、TV電話での通話を一時的に拒否するなどの事情に応じて「TV対応フラグ」を変更することが可能となる。
このようなTV電話から音声電話への切り替えあるいは音声電話からTV電話への切り替えは、何回でも行うことが可能であるが、最後(終話時)に切り替えられた電話(TV電話/音声電話)か応じて「TV対応フラグ」を変更することができる。
【0037】
相手先別にその「名前」、「電話番号」のほか、前回の電話発信はTV電話による通話か音声電話による通話かの発信履歴を示す「TV対応フラグ」がアドレス帳ADに記憶管理されている状態において、CPU11は、何れかの相手先からTV電話による着信を受けた際に、その相手先に対応する「TV対応フラグ」を参照してTV電話による着信を許可するか否かを決定してその電話着信を制御するようにしたから、TV電話による着信時にTV電話による通話か音声電話による通話かの通話方法をユーザ自身が意識することなく、前回の発信履歴を考慮して適切な通話方法を選択することができ、TV電話による着信を受ける毎にその相手先を確認する必要がなくなる。
【0038】
この場合、TV電話による着信を許可するに先立って、TV電話による着信を受け付けるか否かを問い合わせる確認メッセージを表示出力させ、ユーザからTV電話着信が指示されたときには、TV電話による通話を開始させるが、TV電話着信が否定されたときには、その相手先に対してTV電話による着信を拒否する拒否応答を行うようにしたから、ユーザの意向を反映させることができる。
【0039】
なお、上述した実施例において通話履歴は、相手先毎にTV電話を使用して発信したか音声電話を使用して発信したかの前回の発信履歴を示したが、過去に使用した電話の使用頻度を示す情報であってもよく、通話履歴(使用頻度)に応じて「TV対応フラグ」をセット/リセットするようにしてもよい。以下、図6及び図7を参照して説明する。図6は、発信履歴テーブルSTを説明するための図である。
発信履歴テーブルSTは、アドレス帳ADに対応して記憶部12に設けられており、アドレス帳ADに登録されている相手に対応して電話発信毎にTV電話による発信か音声電話による発信かを示す発信履歴を順次記憶するもので、例えば、図中、通話相手である「A」に対応する発信履歴として「TV」、「音声」、「音声」、「TV」が記憶され、「C」に対応する発信履歴として「音声」、「TV」、「TV」が記憶されている。なお、「TV」は、TV電話による発信、「音声」は、音声電話による発信を示している。
【0040】
図7は、通話履歴(使用頻度)に応じて「TV対応フラグ」をセット/リセットする場合の動作部分を説明するためのフローチャートであり、図4のステップA9でYESあるいはステップA16でYESの場合に、次のステップA10あるいはステップA17に代わって実行開始される。
先ず、CPU11は、TV電話中に通話終了を検出したり(図4のステップA9でYES)、音声電話中に通話終了を検出すると(図4のステップA16でYES)、今回の通話はTV電話を使用したか音声電話を使用したかを示す発信履歴を当該相手に対応付けて発信履歴テーブルSTに追加登録する(ステップA20)。
【0041】
そして、発信履歴テーブルSTを参照して今回の通話相手に対応する発信履歴を検索し、「TV」、「音声」別にその発信回数を計数すると共に、それらの計数値を比較する(ステップA21)。その結果、「TV」の回数が「音声」の回数以上であれば、当該相手に対応するアドレス帳AD内の「TV対応フラグ」をセットするが(ステップA22)、「TV」の回数が「音声」の回数未満であれば(ステップA21でNO)、当該相手に対応するアドレス帳AD内の「TV対応フラグ」をリセットする(ステップA23)。これによって通話履歴(使用頻度)に応じて「TV対応フラグ」のセット/リセットが行われる。
【0042】
また、上述した実施例においては、TV電話から音声電話への切り替えあるいは音声電話からTV電話への切り替えを行った場合に、最後に切り替えられた電話に応じて「TV対応フラグ」を変更するようにしたが、今回の通話の中で、一回でもTV電話に切り替えられた場合に、「TV対応フラグ」をセットするようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施例においては、相手先毎に「TV対応フラグ」を記憶するようにしたが、TV電話に対応しているか否かに応じて各相手を2つのグループに分類するようにしてもよい。
その他、TV電話付きの携帯電話装置に限らず、例えば、TV電話付きのPDA・電子カメラ・電子腕時計・音楽再生機などの携帯端末装置であっても同様に適用可能であり、また、携帯端末装置に限らず、TV電話付きの固定電話であってもよく、更に、TV電話付きのPC(パーソナルコンピュータ)などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話装置の通信ネットワークシステムを示したブロック図。
【図2】携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】アドレス帳ADを説明するための図。
【図4】電話ボタン24Aの操作に応じて実行開始される電話発信処理を示したフローチャート。
【図5】相手からの電話着信時に実行開始される電話着信処理を示したフローチャート。
【図6】この実施例の変形応用例において、発信履歴テーブルSTを説明するための図。
【図7】この実施例の変形応用例において、通話履歴(使用頻度)に応じて「TV対応フラグ」をセット/リセットする場合の動作部分を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0045】
1 携帯電話装置
2 携帯無線網
3 インターネット
11 CPU
12 記憶部
15 電話通信部
20 メイン表示部
22 インカメラ
24 キー操作部
24A 電話ボタン
AD アドレス帳
ST 発信履歴テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声電話機能とテレビ電話機能とを有し、何れかの電話機能を選択して通話するテレビ電話装置であって、
予め相手先に対応付けてテレビ電話を優先使用するか否かを示す情報を電話制御情報として記憶管理する制御情報記憶手段と、
任意の相手先に電話発信する際に、その相手先に対応付けられている前記電話制御情報を参照して音声電話を優先使用するかテレビ電話を優先使用するかを判別する判別手段と、
この判別手段による判別の結果、テレビ電話優先であれば、テレビ電話機能での電話発信を行い、音声電話優先であれば、音声電話機能での電話発信を行う電話制御手段と、
を具備したことを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項2】
前記電話制御手段は、今回の通話相手先に対応して前記電話制御情報が記憶されていなければ、予め決められている電話機能で発信を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のテレビ電話装置。
【請求項3】
音声電話機能とテレビ電話機能とを有し、何れかの電話機能を選択して通話するテレビ電話装置であって、
音声電話機能、テレビ電話機能の何れを使用して電話発信を行ったかを示す発信実績を当該通話相手先との通話履歴として記憶管理する通話履歴記憶手段と、
任意の相手先に電話発信する際に、その相手先に対応する前記通話履歴を参照してテレビ電話機能を使用するか音声電話機能を使用するかを決定する決定手段と、
この決定手段によって決定された電話機能を使用して発信制御を行う電話制御手段と、
を具備したことを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項4】
音声電話機能とテレビ電話機能とを有し、何れかの電話機能を選択して通話するテレビ電話装置であって、
音声電話機能、テレビ電話機能の何れを使用して電話発信を行ったかを示す発信実績を当該通話相手先との通話履歴として記憶管理する通話履歴記憶手段と、
何れかの相手先からテレビ電話による着信を受けた際に、その相手先に対応する前記通話履歴を参照してテレビ電話機能の使用を許可するか否かを決定する決定手段と、
この決定手段によって決定されたテレビ電話機能の使用可否に応じて当該電話着信を制御する電話制御手段と、
を具備したことを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項5】
音声電話機能、テレビ電話機能の何れかの通話途中において他の電話機能への切り替えが指示された際に、この指示に応答して当該他の電話機能への切り替えを行う通話切り替え手段を有し、
この通話切り替え手段によって電話機能の切り替えが行われた場合であってもその通話終了時に、少なくとも最後に切り替えられた電話機能を通話履歴として記憶する、
ようにしたことを特徴とする請求項3あるいは請求項4記載のテレビ電話装置。
【請求項6】
前記通話履歴は、前回使用した電話機能を示す情報であり、
前記決定手段は、今回の通話時に前記通話履歴を参照して、前回と同様の電話機能を使用対象として決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項3あるいは請求項4記載のテレビ電話装置。
【請求項7】
前記通話履歴は、過去に使用した電話機能の使用頻度を示す情報であり、
前記決定手段は、今回の通話時に前記通話履歴を参照して使用頻度の多い電話機能を使用対象として決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項3あるいは請求項4記載のテレビ電話装置。
【請求項8】
前記電話制御手段は、テレビ電話機能の使用を許可する場合にはそれに先立って、テレビ電話の使用有無を問い合わせる確認案内を行ったのち、この確認案内の問い合わせに応答してテレビ電話の使用が指示された際には、テレビ電話機能で電話着信を行い、テレビ電話の不使用が指示された際には、当該相手側に対してテレビ電話による着信拒否応答を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項4記載のテレビ電話装置。
【請求項9】
コンピュータに対して、
予め相手先に対応付けてテレビ電話を優先使用するか否かを示す情報を電話制御情報として記憶管理する機能と、
任意の相手先に電話発信する際に、その相手先に対応付けられている前記電話制御情報を参照して音声電話を優先使用するかテレビ電話を優先使用するかを判別する機能と、
この判別の結果、テレビ電話優先であれば、テレビ電話機能での電話発信を行い、音声電話優先であれば、音声電話機能での電話発信を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに対して、
音声電話機能、テレビ電話機能の何れを使用して電話発信を行ったかを示す発信実績を当該通話相手先との通話履歴として記憶管理する機能と、
任意の相手先に電話発信する際に、その相手先に対応する前記通話履歴を参照してテレビ電話機能を使用するか音声電話機能を使用するかを決定する機能と、
決定された電話機能を使用して発信制御を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータに対して、
音声電話機能、テレビ電話機能の何れを使用して電話発信を行ったかを示す発信実績を当該通話相手先との通話履歴として記憶管理する機能と、
何れかの相手先からテレビ電話による着信を受けた際に、その相手先に対応する前記通話履歴を参照してテレビ電話機能の使用を許可するか否かを決定する機能と、
決定されたテレビ電話機能の使用可否に応じて当該電話着信を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−28587(P2008−28587A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197585(P2006−197585)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】