説明

テレビ電話装置

【課題】通話中に通話相手に送信する画像を用いて、緊急地震速報またはユーザにより選択された情報を伝達することが可能なテレビ電話装置を提供する。
【解決手段】本発明のテレビ電話装置は、通信部と、記録部と、操作部と、撮像部とを備える。また、通話回線の接続先に対して所定の画像を送信する通話制御部を備える。また、記録部に記録されている情報の中から、送信する情報の指定を操作部により受け付ける受付部を備えている。また、通信網より緊急地震速報を受信して地震情報を算出する地震情報算出部を備える。また、受付部が受け付けた情報、または地震情報より画像を生成する画像生成部を備えている。画像生成部はさらに、生成した画像を、通話制御部により送信される撮像画像に重畳して重畳画像を生成する。生成された重畳画像は送信制御部により、通話制御部が実施している通話の通信先に対して送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域通信網に接続されて通信を行うテレビ電話装置に関するものであり、特に気象庁が配信する緊急地震速報を受信して避難指示を行うテレビ電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インフラの発達により、通信に関する様々な付加サービスが普及するようになってきた。例えば電話装置においては、一般電話回線以外に、IP電話網やインターネット等の広域通信網に接続して、データ通信サービス等の様々なサービスを受けることが可能な電話装置が普及している。
【0003】
このような電話装置に対するサービスとして、テレビ電話サービスが実用化されている。テレビ電話サービスの利用者は、撮像機能及び画像送信機能を備えたテレビ電話装置を通信回線に接続することにより、撮像画像の送受信を行いながら音声通話を行うことが可能である。
【0004】
またこの他のサービスとして、地震発生時に気象庁が配信する緊急地震速報が実用化されている。緊急地震速報とは、日本では西暦2007年10月1日より実施が開始された情報配信サービスである。ユーザは緊急地震速報に対応する電話装置を購入し、且つ緊急地震速報の配信サービス会社と契約することにより、このサービスを利用することができる。
【0005】
地震発生時に緊急地震速報を受信した電話装置は、電話装置に予め記録されている地域情報、例えば電話装置が設置されている場所の緯度/経度情報等を用いて、予測震度や主要動(=地震動のうち、人体に最も強く感じられる部分。通常はS波)が到達する予測時刻等を算出する。
【0006】
算出結果は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力により、ユーザに通知される。これによりユーザは、震源地から主要動が到達するまでの間に、机の下に隠れたり火の元を消したりする等の避難行動をとることができる。
【0007】
上記のような緊急地震速報を受信可能な装置として特許文献1においては、緊急地震速報等の緊急情報を検知した際に、ユーザに対して事前に効率良く避難行動を行わせしめることを目的とした報知装置が開示されている。
【0008】
この報知装置は、受信部で受信した緊急情報に含まれる情報と、予め設定されている設定情報とに基づいて、災害発生前に実施すべき事項を表す報知内容を決定して報知する。これにより、緊急情報の受信時に、ユーザが突然の災害に何をして良いのか判らず的確な行動がとれなくなることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−117166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら特許文献1に示されているような従来の電話装置は、その電話装置を所有するユーザに対して緊急地震速報を通知することはできるが、テレビ電話通信における通信画像を用いて、通話相手に緊急地震速報を通知することはできなかった。また緊急地震速報に限らず、電話装置に記録されている情報に関しても、テレビ電話通信における通信画像を用いて、通話相手に通知することはできなかった。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、通話相手との間で画像の送受信が可能なテレビ電話装置であって、通話中に通話相手に送信する画像を用いて、緊急地震速報またはユーザにより選択された情報を伝達することが可能なテレビ電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明のテレビ電話装置は、通信網に接続可能な通信部と、情報の記録を行う記録部と、操作入力の受け付けを行う操作部と、前記操作部により指定を受け付けた通信先に対して前記通信部により通話回線を接続し、前記接続先に対して予め定められた画像を送信する通話制御部とを備えたテレビ電話装置において、前記記録部に記録されている情報の中から前記接続先に対して送信する情報の指定を前記操作部により受け付ける受付部と、前記受付部により前記指定を受け付けた情報を示す画像を生成し、該画像を前記通話制御部により送信される画像に重畳して重畳画像を生成する画像生成部と、前記重畳画像を前記接続先へ送信するよう前記通話制御部を制御する送信制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、本発明のテレビ電話装置は、通信網に接続可能な通信部と、情報の記録を行う記録部と、操作入力の受け付けを行う操作部と、入力された通信先に通話回線を接続し、接続先に対して所定の画像を送信する通話制御部とを備えている。また、記録部に記録されている情報の中から、送信する情報の指定を操作部により受け付ける受付部を備えている。また、受付部が受け付けた情報を示す画像を生成する画像生成部を備えている。画像生成部はさらに、生成した画像を、通話制御部により送信される画像に重畳して重畳画像を生成する。また、この重畳画像を送信する送信制御部をテレビ電話装置が備えている。これによりユーザは、テレビ電話通信において送信される画像に所定の画像を重畳して送信することが可能である。
【0014】
また上記目的を達成するために本発明のテレビ電話装置は、撮像部を備え、前記通話制御部が、前記撮像部により撮像された撮像画像を前記通話回線の接続先に対して送信し、前記画像生成部が、前記受付部により前記指定を受け付けた情報から生成した画像を前記撮像画像に重畳して前記重畳画像を生成する。
【0015】
この構成によると、本発明のテレビ電話装置は、撮像部を備えている。通話制御部は、この撮像部により撮像された撮像画像を通話回線の接続先に対して送信する。また画像生成部は、生成した画像を撮像画像に重畳することにより重畳画像を生成する。これによりユーザは、テレビ電話通信において送信される撮像画像に所定の画像を重畳して送信することが可能である。
【0016】
また上記目的を達成するために本発明のテレビ電話装置は、前記送信制御部が、前記受付部により前記指定が受け付けられた場合に、前記通話制御部に対して、予め定められた画像の送信停止と、前記受付部により指定を受け付けた情報から前記画像生成部が生成した画像の送信とを指示する。
【0017】
この構成によると、送信制御部は、受付部により上記の指定が受け付けられた場合に、通話制御部に対して、通常時に送信している所定画像の送信停止と、画像生成部により生成された画像の送信とを指示する。これにより、テレビ電話通信において送信される撮像画像等の送信を停止した状態で、生成画像のみを送信することが可能である。
【0018】
また上記目的を達成するために本発明のテレビ電話装置は、時間を計測する計時部を備え、前記送信制御部が、前記受付部により前記指定が受け付けられてからの経過時間を前記計時部により計測し、前記経過時間が予め定められた時間を超過した場合、または予め定められた操作を前記操作部により受け付けた場合に、前記重畳画像の生成及び送信を停止するよう、前記画像生成部及び前記通話制御部を制御する。
【0019】
この構成によると、本発明のテレビ電話装置は、時間を計測する計時部を備えている。送信制御部は、受付部により上記の指定が受け付けられてからの経過時間を計時部により計測する。そして経過時間が所定時間を超過した場合、または所定操作を検知した場合に、重畳画像の生成及び送信を停止する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、テレビ電話装置に記録されている情報から生成した画像を、テレビ電話通信における通信画像に重畳して送信する。このため、音声通話では伝えにくい情報、例えばメールアドレスやURL等の文字情報を画像により伝達できるため、通話相手がより理解しやすい形で情報を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のテレビ電話装置が含まれる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るテレビ電話装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る画像送信処理の処理フローを示すフロー図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係るテレビ電話装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る画像送信処理の処理フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
〈1−1.電話システムの構成について〉
図1は、本発明のテレビ電話装置を含む電話システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、テレビ電話装置1、有線LAN41、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0023】
本発明のテレビ電話装置1は、IP通信網に接続可能な電話装置である。テレビ電話装置1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能である。またテレビ電話装置1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急地震速報を受信する機能を持つ。なお、テレビ電話装置1の内部構造の詳細については後述する。
【0024】
有線LAN41は、テレビ電話装置1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0025】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。
【0026】
本実施形態では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0027】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0028】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。
【0029】
なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0030】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0031】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やテレビ電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
〈1−2.テレビ電話装置の内部構成について〉
図2は、本発明の第一の実施形態に係るテレビ電話装置1の内部を示すブロック図である。本実施形態のテレビ電話装置1は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、操作部14、通信制御部15(=通信部)、フラッシュメモリ16(=記録部)、音声信号処理部17、スピーカ18、マイク19、時計回路20(=計時部)、及びカメラ21(=撮像部)を含むように構成されている。
【0032】
制御部11は、テレビ電話装置1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、通話制御部11a〜送信制御部11dを備えている。
【0033】
通話制御部11aは、操作部14により入力を受け付けた電話番号等を用いて、所定の通信先へ通話回線を接続するよう、通信制御部15へ指示する。そして通話回線が接続された後、通信先との間で、カメラ21で撮像された撮像画像の送受信処理を実施する。
【0034】
受付部11bは、ユーザが送信したい文字情報の指定を行うための操作(以下、「情報送信操作」という)を、操作部14により受け付ける。具体的には例えば、受付部11bはフラッシュメモリ16に記録されている電話帳データを表示部13に表示することにより、情報送信操作の待ち受け状態に移行する。この状態で、表示された電話帳データの中に含まれる情報、例えばメールアドレスやURL等が選択されると、選択内容を次の画像生成部11cへ通知する。
【0035】
画像生成部11cは、受付部11bにより選択が受け付けられた文字情報から文字画像の生成を行う。なお、テレビ電話装置1がOSD(On Screen Display)機能部を備える場合、画像生成部11cはこのOSD機能部を用いて画像を生成する形態でもよい。また画像生成部11cは、生成した上記の画像を、通話制御部により送信される画像、すなわち撮像画像に重畳することにより、重畳画像を生成する。
【0036】
送信制御部11dは、画像生成部11cにより生成された重畳画像を、通話回線の接続先へ送信するよう、通話制御部11aに指示する。送信が開始されると、時計回路20により送信開始後の経過時間を計測する。
【0037】
経過時間が所定時間を超えると、重畳画像の送信を停止し、通常の撮像画像を送信するよう通話制御部11aに指示する。また操作部14により所定の停止操作が検知された場合も、重畳画像の送信を停止し、通常の撮像画像を送信するよう通話制御部11aに指示する。
【0038】
メモリ12は、テレビ電話装置1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0039】
表示部13は、テレビ電話装置1が保持する各種情報、例えば他のテレビ電話装置より受信した撮像画像等をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。
【0040】
操作部14は、ユーザがテレビ電話装置1を用いて通信を行うための各種操作、例えば通話を行う相手の電話番号の入力等を行うためのものである。操作部14は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0041】
通信制御部15は、テレビ電話装置1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0042】
フラッシュメモリ16は、テレビ電話装置1が保持する各種データを一時的に記録する記録装置である。フラッシュメモリ16は、例えば通話相手に関する情報を記録した電話帳データや、各種制御よって発生する処理データ、例えばカメラ21により撮像された撮像画像等を記録する役割を持つ。
【0043】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して生成した音声情報や、フラッシュメモリ16に予め記録されている音声情報を、通信制御部15に与える。これにより音声情報は有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。
【0044】
時計回路20は、現在時刻を計時するための回路であり、例えば所定の周波数による発振出力を行う水晶振動子を用いて計時を行う。また時計回路20は、時刻情報だけではなく、現在の月日や曜日といった暦に関連する暦情報の管理を行うことも可能である。
【0045】
カメラ21は、画像撮像素子及び広角レンズを備えた小型の撮像装置であり、180度前後の画角を持つ。なお画像撮像素子としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)を用いる。CCDは撮像レンズユニット(不図示)により結像された被写体の光像(光学情報)をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の画像データに光電変換して出力する。この画像データを含む信号は、制御部11へ送られる。
〈1−3.画像送信処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態におけるテレビ電話装置1を用いた画像送信処理について、図3のフロー図を用いながら説明する。
【0046】
図3に示す処理フローは、テレビ電話装置1の電源が起動している状態において、テレビ電話通信の開始要求を検知した場合において開始される。テレビ電話通信の開始要求は、例えば14による発呼操作が行われた場合等に発行される。
【0047】
本処理の開始後、通話制御部11aはステップS110において、指定された通信先に対して通信リクエストを送信することにより、通話回線の接続を行う。通話回線の接続が完了すると通話制御部11aは、音声の送受信、及び画像の送受信を制御することによりテレビ電話通信を開始する。
【0048】
次に受付部11bはステップS120において、情報送信操作の待ち受け状態に移行する。そして操作部14による情報送信操作を検知したか否かを判定する。検知していない場合、後述するステップS150へ移行する。
【0049】
検知した場合、画像生成部11cはステップS130において、情報送信操作により選択された文字情報から文字画像を生成する。そして通話制御部11aが送信している画像、例えばカメラ21による撮像画像に文字画像を重畳することにより、重畳画像を生成する。
又、情報送信操作を行う際に、電話帳に格納されている複数の相手先から所望の相手先を選択し、選択された相手先の情報(例えば、氏名、電話番号、メールアドレス、誕生日等)を文字画像とする構成としても良いし、フラッシュメモリ16に格納した各種データ(例えば、着信履歴や発信履歴、メール本文等のデータ等)を文字画像とする構成としても良い。
【0050】
次に送信制御部はステップS140において、上記で生成された重畳画像を通話相手に対して送信するよう、通話制御部11aに指示する。次に送信制御部はステップS150において、重畳画像の送信が開始されてから所定時間、例えば一分が経過したか否かを判定する。
【0051】
経過した場合、後述するステップS170へ移行する。経過していない場合、送信制御部はステップS160において、重畳画像の送信停止操作が操作部14により検知されたか否かを判定する。検知されていない場合、再びステップS120へ移行する。
【0052】
検知された場合、送信制御部はステップS170において、重畳画像の送信停止を通話制御部11aに指示した後、ステップS120へ移行する。これにより、通常のテレビ電話通信が実施されている状態へ遷移する。なお以上の処理フローは、操作部14に含まれる通話停止ボタンが押下される等によりテレビ電話通信が停止された時点で、実行中のステップに関係なく終了する。
【0053】
以上に説明した本実施形態によれば、テレビ電話装置1に記録されている文字情報から生成した文字画像を、テレビ電話通信における通信画像に重畳して送信する。このため、音声通話では伝えにくい文字情報、例えばメールアドレスやインターネットサイトのURL等を画像により伝達できるため、より通話相手が理解しやすい形で情報を伝達することができる。
【0054】
次に、本発明の第二の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態2]
〈2−1.電話システムの構成について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.テレビ電話装置の内部構成について〉
図4は、本発明の第二の実施形態に係るテレビ電話装置1の内部を示すブロック図である。本実施形態のテレビ電話装置1は、実施の形態1の通話制御部11a、画像生成部11c、及び送信制御部11dに加え、地震情報算出部11eを備えている。また、各機能部の機能が、実施の形態1と一部異なる。
【0055】
地震情報算出部11eは、通信制御部15を用いてインターネット62から緊急地震速報を受信する。緊急地震速報には、地震検知時刻、地震識別番号、震央地名コード、震源の緯度/経度、震源の深さ、マグニチュード、最大予測震度、データの正確性(測定に使用したシステムや処理手法等)等のデータが含まれている。ただし緊急地震速報に含まれる予測震度及び主要動到達までの予測時間は大まかなものであり、地域毎の詳細な予測震度等は受信装置側で算出する必要がある。
【0056】
算出処理には大きく分けて、単独観測点処理と、複数観測点処理との二つが存在する。単独観測点処理は、例えばP波検測やレベル法といった、観測点の近くで地震が発生したことを前提とした、局地的な一点型の測定処理である。複数観測点処理は、複数の単独測定点処理の結果を用いて、特定地の予測震度や主要動到達時刻を算出するためのものである。代表的な処理方法としては、テリトリー法やグリッドサーチ法が存在する。
【0057】
地震情報算出部11eは、緊急地震速報に含まれる単独観測点処理結果と、メモリ12に記録されている緯度/経度情報に基づき、複数観測点処理を行う。具体的には例えば、まず複数の単独観測点処理結果から地震の三要素(震央:X、Y、時間:T、大きさ:M )を求める。さらに特定地の震央距離(震央X、Yから特定地X0、Y0までの距離)D、及び地震の大きさMから有感半径Rを求める。なおここでいう特定地とは、テレビ電話装置1が存在する緯度/経度を意味する。
【0058】
地震情報算出部11eは、震央距離Dと、地震の大きさMと、震源の深さHとから、特定地での標準強度Sr を求める。そして地質状況などによる特定地における増幅係数Aを求め、標準強度Sr と増幅係数Aとを用いて主要動(S波)の予測強度、最大速度、最大加速度、最大変位、及び到達予測時刻等を求める。なお、地震情報算出部11eが用いる算出方法は上記内容に限定されるものではなく、運用の形態や緊急地震速報に含まれるデータ内容に応じて適宜変更可能である。
〈2−3.画像送信処理について〉
ここで、本発明の第二の実施形態におけるテレビ電話装置1を用いた画像送信処理について、図5のフロー図を用いながら説明する。
【0059】
図5に示す処理フローは、テレビ電話装置1の電源が起動している状態において、テレビ電話通信の開始要求を検知した場合において開始される。本処理の開始後、通話制御部11aはステップS210において、指定された通信先に対して通信リクエストを送信することにより、通話回線の接続を行う。
【0060】
通話回線の接続が完了すると通話制御部11aは、音声の送受信、及び画像の送受信を制御することによりテレビ電話通信を開始する。
【0061】
次に地震情報算出部11eはステップS220において、緊急地震速報を受信したか否かを判定する。受信していない場合、再びステップS220へ移行し、継続して緊急地震速報受信の監視を行う。
【0062】
次に地震情報算出部11eはステップS230において、受信した緊急地震速報から、地震情報の算出を行う。次に画像生成部11cはステップS240において、算出された地震情報から、文字画像や地図画像、またはアイコン画像を含む地震報知用画像を生成する。そして通話制御部11aが送信している画像、例えばカメラ21による撮像画像に地震報知用画像を重畳することにより、重畳画像を生成する。
【0063】
次に送信制御部はステップS250において、上記で生成された重畳画像を通話相手に対して送信するよう、通話制御部11aに指示する。送信が開始されると、再びステップS220へ移行する。なお以上の処理フローは、操作部14に含まれる通話停止ボタンが押下される等によりテレビ電話通信が停止された時点で、実施中のステップに関係なく終了する。
【0064】
以上に説明した本実施形態によれば、受信した緊急地震速報から生成した地震報知用画像を、テレビ電話通信における通信画像に重畳して送信する。このため、通話相手のテレビ電話装置が緊急地震速報の受信機能を備えていない場合であっても、ユーザ操作を必要とすることなく、通話相手に緊急地震速報の内容を伝達することができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0065】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0066】
(A)上記の実施形態では、テレビ電話装置1が緊急地震速報を受信するための通信回線として、有線LAN41、及びインターネット62を使用しているが、これ以外の通信網、例えば専用回線やケーブルテレビ回線から緊急地震速報を受信する形態であってもよい。また、地上デジタル放送やBSデジタル放送のような、放送波から緊急地震速報を取得する形態であってもよい。
【0067】
(B)上記の実施形態では、画像送信処理に関わる各機能部及び各情報が、テレビ電話装置1の内部に備わっている構成を例として説明したが、これらの機能部の一部が、ネットワークを介して接続された外部装置により実現される形態であってもよい。例えば、緊急地震速報の受信機能が、テレビ電話装置1に接続可能な外部装置によって実現される形態でもよい。この場合、通信制御部15が備える接続端子に緊急地震速報受信機(不図示)を接続して相互通信を行い、緊急地震速報受信機から緊急地震速報を取得して重畳画像を生成する。また例えば、画像生成部11cが文字画像の生成に用いる情報が、フラッシュメモリ16ではなく、ネットワーク上に存在する情報処理装置(ネットワークサーバ等)に記録されている形態であってもよい。
【0068】
(C)上記の実施形態では、本発明の画像送信機能を備えた装置としてテレビ電話装置1を例にあげているが、広域通信網に接続して情報送信可能な装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、カメラ付き携帯電話、IP電話、通話機能を搭載したパソコン上で実行されるアプリケーション等において実施する形態であってもよい。
【0069】
(D)上記の実施形態では、本発明の通知処理に関わるテレビ電話装置1の各種機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0070】
(E)上記の実施形態では、緊急地震速報に含まれる情報のうち、画像生成部11cが重畳画像の生成に用いる情報の種別については特に規定していないが、これをユーザ設定可能とした形態でもよい。例えば、推定震度、推定到達時刻、推定地域等の情報の中から重畳画像として送信する情報の選択画面を表示し、この選択画面において受け付けた内容に基づいて画像生成部11cが重畳画像を生成する形態でもよい。
【0071】
(F)上記の実施形態では、画像生成部11cが文字情報から文字画像を生成して重畳を行っているが、これ以外の画像を重畳して送信する形態でもよい。例えば、予めフラッシュメモリ16に記録されている地図情報から地図画像を生成し、カメラ21で撮像した撮像画像に重畳して通話相手に送信する形態でもよい。或いは、フラッシュメモリ16に記録されているアイコン画像等を、カメラ21で撮像した撮像画像に重畳して通話相手に送信する形態でもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 テレビ電話装置
11 制御部
11a 通話制御部
11b 受付部
11c 画像生成部
11d 送信制御部
11e 地震情報算出部
14 操作部
15 通信制御部(通信部)
16 フラッシュメモリ(記録部)
20 時計回路(計時部)
21 カメラ(撮像部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に接続可能な通信部と、
情報の記録を行う記録部と、
操作入力の受け付けを行う操作部と、
前記操作部により指定を受け付けた通信先に対して前記通信部により通話回線を接続し、前記接続先に対して予め定められた画像を送信する通話制御部と
を備えたテレビ電話装置において、
前記記録部に記録されている情報の中から前記接続先に対して送信する情報の指定を前記操作部により受け付ける受付部と、
前記受付部により前記指定を受け付けた情報を示す画像を生成し、該画像を前記通話制御部により送信される画像に重畳して重畳画像を生成する画像生成部と、
前記重畳画像を前記接続先へ送信するよう前記通話制御部を制御する送信制御部と、を備えることを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項2】
撮像部を備え、
前記通話制御部が、前記撮像部により撮像された撮像画像を前記通話回線の接続先に対して送信し、
前記画像生成部が、前記受付部により前記指定を受け付けた情報から生成した画像を前記撮像画像に重畳して前記重畳画像を生成することを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話装置。
【請求項3】
前記送信制御部が、前記受付部により前記指定が受け付けられた場合に、前記通話制御部に対して、予め定められた画像の送信停止と、前記受付部により指定を受け付けた情報から前記画像生成部が生成した画像の送信とを指示することを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話装置。
【請求項4】
時間を計測する計時部を備え、
前記送信制御部が、前記受付部により前記指定が受け付けられてからの経過時間を前記計時部により計測し、前記経過時間が予め定められた時間を超過した場合、または予め定められた操作を前記操作部により受け付けた場合に、前記重畳画像の生成及び送信を停止するよう、前記画像生成部及び前記通話制御部を制御することを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−78059(P2011−78059A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230335(P2009−230335)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】