説明

テープ構成体、テープ、テープの製造方法、基材コーティング方法、基剤の製造方法、レーザ描像可能剤、および像キャリー基剤の製造方法

レーザ照射によってテープに像を形成することができるレーザ描像可能組成物を含有する、テープ構成体。別法として、色素、バインダ、およびキャリアを含有する、基材に対するスプレー塗布に適したレーザ描像可能剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ描像可能マーキング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開公報第02/068205号、同第02/074548号、同第2004/043704号および同第2005/012442号、さらに米国特許第2003/0186000号、同第2003/0186001号、同第2005/0032957号および同第2006/0040217号(そのそれぞれの内容を参照により本明細書に組み込む)には、レーザイメージングと、さらにその目的に使用できる物質が記載されている。典型的には、提供されている例には、高エネルギーレーザの使用が伴う。
【特許文献1】国際公開公報第02/068205号
【特許文献2】国際公開公報第02/074548号
【特許文献3】国際公開公報第2004/043704号
【特許文献4】国際公開公報第2005/012442号
【特許文献5】米国特許第2003/0186000号
【特許文献6】米国特許第2003/0186001号
【特許文献7】米国特許第2005/0032957号
【特許文献8】米国特許第2006/0040217号
【特許文献9】国際公開公報第02/074548号
【特許文献10】国際公開公報第2006018640号
【特許文献11】国際公開公報第2006051309号
【特許文献12】PCT英国特許第2006/003945号
【特許文献13】PCT英国特許第2006/001969号
【特許文献14】米国特許第6888095号
【特許文献15】米国特許第6911262号
【非特許文献1】Ciba−Geigy Corp(Greenboro, NC)のDyestuffs and Chemicals部門がCoating Conference (1983, San Francisco, CA pp 157−165)で発表した"Dyestuffs and Chemicals for Carbonless Copy Paper"
【非特許文献2】Developments in the Chemistry and Technology of Organic dyes, J Griffiths(編), Oxford: Blackwell Scientific, 1984
【非特許文献3】Infrared Absorbing Dyes, M Matsuoka(編), New York: Plenum Press, 1990
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非印刷物に対して非接触型近赤外線光源、特にダイオードレーザ用いて情報表示包装等の像を形成させることは、非常に魅力的である。経済性、携帯性、および使いやすさなどダイオードレーザの有利な属性は、包装業界における現在のニーズ、例えば、店内でのラベリングに対して魅力的なものである。
【0004】
遠赤外〜中赤外領域の波長の放射、例えば、レーザ加熱(約1〜20μm)やCO2レーザ(約10μm)を吸収する物質を含有するインク剤に対して、近赤外領域を除くこのような波長を照射すると、明瞭な着色像が形成されたコーティングを設けることができる。近赤外領域の波長の放射、例えば、ダイオードレーザ(約1μm)を吸収する物質を含有するインク剤に対して、近、中、または遠赤外領域の波長を照射すると、明瞭な着色像形成したコーティングを設けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、二次的な包装に対するラベルの形成を提供する。具体的には、現在のラベリングシステムには、テープおよびスプレーをそれぞれ使用するという2つの代替法がある。前者では、レーザによるマーキングが可能なインク組成物層および接着剤層をテープに対して形成する。後者の態様は、レーザによる像の形成が可能組成物を基材に、射出液体を即時迅速な液体流(sudden swift stream)によって、またはスプレーによって塗布することができ、スプレーがスプレー塗布装置によって塗布されるという着想に基づいている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のテープには、連続的または不連続的コーティングを施すことができる。好適なインク組成物は知られており、上記に明示した特許明細書を参照されたい。好適な接着剤も当業者には公知である。
【0007】
例示のみを目的とする一具体例では、第1テープ層、第2インク層、および第3接着剤層をこの順に有するテープ構成体にインクを組み込む。典型的には、インクには、AOM(オクタモリブデン酸アンモニウム)など、レーザによるマーキングが可能な物質が含有されている。
【0008】
テープ基材は、任意のポリマー物質、例えば、ポリエステルもしくはポリオレフィン、または他の好適な既知の物質とすることができる。典型的には、それはBOPP(二軸配向ポリプロピレン)であるが、それを通して印刷した像が見られる任意の透明物質であってもよい。
【0009】
あるいは、ある適用では、それを通しては像を視認できないが、それを貼付した対象物から一度テープを除去すれば、裏面を通じて視認できる、例えば、セキュリティー/プロモーション的適用において、不透明な基材が望ましいこともあり得る。
【0010】
多様な溶剤系または水性インク剤を使用することができる。現在、ニトロセルロース/ポリウレタン系インクまたはPVB系インクが特に好ましい。これによって、良好なレーザイメージング性能、基材への接着性、および環境安定性が得られるからである。中でも、アクリル系、メタクリル系、スチレン系、アセテート、ウレタン系、イミド系、セルロース系、ビニル、バインダ系を含むインク組成物を利用することもできる。
【0011】
接着剤も、溶剤系または水性であってよいが、本出願では水性剤が一般的に利用される。接着剤は、溶融処理によって塗布してもよい。
【0012】
様々な大きさのテープ切片を包装箱などの対象物に、直に手による手作業で、塗布器具/分配器具を使用する手作業で、または自動塗付装置により貼付することができる。そして次に所与の時間/点で、レーザを使用し、テープ/対象物に像を印刷することができる。この方法を「貼付印刷」と呼ぶことができる。あるいは、貼付前にレーザを使用してテープに像を印刷してもよく、一般に「印刷貼付」方法と呼ばれる。
【0013】
この印刷方法は本来非接触型なので、両方法によって従来の印刷/貼付ラベル技術に優る利点が得られる。特に、レーザの使用によって、再現性が高く一貫した像の複製が可能になり、それは、バーコードまたは他の機械読み取り式の像を生成する場合に特に適切な要因である。
【0014】
テープ/テープパッチを貼付するための数種の市販の自動装置があり、それらの装置は、貼付/印刷用テープを貼付するように適合でき、または印刷/貼付技術用レーザを組み込むように適合させることもできる。
【0015】
レーザイメージング、そしてテープ/ラベルの貼付、またはその逆を伴う完全自動化装置を使用してもよい。印刷/貼付には、それは、テープ貼付器具およびレーザ印刷エンジンを備えた一体型装置であってよい。貼付/印刷には、それは、テープ貼付器具と、そのさらに下流のある点にある分離したレーザであってもよい。
【0016】
単純なテープ構成体は、従来のラベル技術で必要とされる裏紙/剥離紙が不要になる点で有利である。
【0017】
さらに、像/コーティングが基材の後ろに保護されるので、その構成体によって耐環境性も高まる。多くの従来のラベル技術とは異なって、その像/コーティングは、UV、水/湿気/蒸気、摩耗、溶剤、および他の化学薬品、例えば、腐食剤に対して抵抗性が高い。
【0018】
UV、NIR、またはCO2レーザにより描像可能な組成物を調製することができる。全ての場合において、統合性を損なうことなく、すなわち歪みまたは貫通することなく、基材または接着剤を通して像を描くことができる。
【0019】
本明細書の目的では、「テープ」という用語は、通常、長く薄く狭い幅の物質を巻き上げた帯状物をさす。テープは、ポリマー、紙、織物、金属材料、またはそれらの組合せから作製することができる。テープは、二軸配向されたポリプロピレンなどのポリマー、ポリエチレンなどの他のポリオレフィン、およびコポリマー、PETなどのポリエステル、PVCなどのビニルポリマー、または当業者には公知の他の任意の適切なポリマーから得られるものが好ましい。
【0020】
テープは、接着テープ、例えば、対象物と対象物の間を一時的に、またはある場合には永久的に接着するために使用される、接着剤をコートした締結テープであることが好ましい。テープは、片面テープであっても、または両面テープであってもよい。好ましくは、テープは、2個の重なり合う、または隣接する物質を結合させる片面テープである。
【0021】
本発明のスプレー態様では、適切なスプレー塗付装置は、手動操作するスプレー装置(例えば、スプレー/エアロゾル缶、圧力装置など)であっても、または自動化装置であってもよい。どちらの場合にも、所与の対象物の表面に、レーザ描像可能なコーティングが塗布される。
【0022】
自動塗付装置は、市販の装置を活用することができ、その際、対象物(例えば包装段ボール箱)が、コンベヤに沿って移動する間に、コーティングを塗布することができる。次いで、レーザを使用し、このコートした領域に像を生成することができる。スプレー塗布装置の好適な例には、Spraying−Systems Co.(Wheaton, IL,米国)が供給するものによって得られるものが含まれる。
【0023】
好適なレーザ描像可能組成物は、バルブジェット、インクジェット、バブルジェット(登録商標)、または類似の塗布装置を使用し、基材に塗布することもできる。
【0024】
基本的に無色/透明または不透明白色コーティングを塗布できるような、様々な水性および溶剤系コーティング剤を使用してよい。CO2、NIR、およびUVにより描像可能組成物が好ましい。
【0025】
スプレー塗付装置を使用して、従来の印刷技術(グラビア、フレキソなど)よりも極めて重いコート重量を容易に塗布できるので、本組成物中のレーザ描像可能な顔料の濃度を著しく低減させることができ、正味効果は、耐環境性および弾性がより高いコーティングである。
【0026】
例えば、水性のアクリル系PUバインダ中に、色素として10wt%オクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)を含有する組成物を使用し調製した、CO2レーザ描像可能なコーティング/像は顕著な耐環境性を示す。すなわち、像が形成された試料は、未描像領域を呈色し、または描像した領域の光学密度を減少させることなく、反復オートクレーブサイクル(121℃、95%相対湿度)にも、多様な化学薬品/家庭用薬剤などへの液浸にも耐えうる。これは、形成された像の情報が、製品の寿命全体にわたって残存する必要がある場合、例えば、二次包装に貼付したバーコードの場合には特に有利である。
【0027】
本発明で使用するレーザによる像の形成が可能なスプレー組成物は、典型的には、色素、バインダ、およびキャリアを含有する。添加物として、NIR吸収剤、分散剤、酸発生剤、UV吸収剤/安定剤、加工助剤、共溶剤、漂白剤、消泡剤などをさらに含有してもよい。
【0028】
非白色表面(例えば段ボール(corrugate))のコントラストは、二酸化チタンまたは酸化亜鉛など、従来の漂白剤を添加することによって高めることができる。二酸化チタンが特に好ましい。コントラストは、高品質バーコードが要求される適用では特に重要である。
【0029】
レーザ描像可能組成物は、CO2レーザ、NIRレーザ、可視光領域のレーザ、またはUVレーザによって標識できる、無機または有機色素をベースにすることができる。無機色素は、多価金属塩のオキシアニオンであってよく、好ましい例は、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、およびバナジン酸塩である。それらの塩は、第1族または第2族金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩とすることができる。本発明で使用するのに適している無機色素の別の例は、国際公開公報第02/074548号に見出すことができる。好ましい例は、オクタモリブデン酸塩、例えば、オクタモリブデン酸アンモニウムである。他の例には、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸アミン、例えば、モリブデン酸ビス(2−エチルヘキシル)アミンが含まれる。別の例は、メタタングステン酸アンモニウムなど、メタタングステン酸塩を含むタングステン酸塩、およびメタバナジン酸アンモニウムなど、メタバナジン酸塩を含むバナジン酸塩である。
【0030】
適切な有機色素には、ロイコ色素として当業者に知られている物質が含まれる。好適なロイコ色素は、Ciba−Geigy Corp(Greenboro, NC)のDyestuffs and Chemicals部門がCoating Conference (1983, San Francisco, CA pp 157−165)で発表した"Dyestuffs and Chemicals for Carbonless Copy Paper"に記載されている。ロイコ色素は、中性またはアルカリ媒体では無色であるが、酸性物質または電子求引性物質と反応させると着色することが分かっている。好適な例には、化合物、例えば、トリフェニルメタネフタリド化合物、アザフタリド化合物、イソインドリド(isoindolide)フタリド化合物、ビニルフタリド化合物、スピロピラン化合物、ローダミンラクタム化合物、ラクトンおよびジラクトン化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー(BLMB)、ビス−(p−ジ−アルキルアミノアリール)メタン誘導体、キサンテン、インドリル、アウラミン、クロメノインドール化合物、ピロロ−ピロール化合物、フルオレン化合物、およびフルオランおよびビスフルオラン化合物が含まれ、フルオラン化合物が好ましい。特に好ましい市販のロイコ色素製品には、Ciba Speciality Chemicals(スイス国バーゼル)製のPergascriptシリーズ、および山田化学工業株式会社(日本国京都府)製のものが含まれる。本発明で使用できる代替の有機色素は、国際公開公報第2006018640号および同第2006051309号に開示されているカルバゾールおよびジアセチレンであり、その内容を参照により組み込むことができる。
【0031】
有機色素が、テープ中に存在する場合、さらに酸発生成分を使用するのも望ましいであろう。これは、光酸発生剤または熱酸発生剤であってもよい。光酸発生剤の例には、スルホニウム化合物およびヨードニウム化合物など、「オニウム」型が含まれる。熱酸発生剤の例には、トリクロロメタン複素環系が含まれる。DataLase Ltd.らの名において2006年12月4日に出願された他のPCT出願を参照することができる。その内容を参照により本明細書に組み込むことができる。
【0032】
本発明のレーザ描像可能組成物は、金属塩ヒドロキシル化合物などの発色系を含有していてもよく、例えば、アルギン酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ヒドロキシル化合物と混合した金属塩が含まれ、その金属塩の例には、炭水化物、例えば、グルコースおよびスクロース、多糖、例えば、セルロース系、ガム、および澱粉などとの炭酸ナトリウムが含まれる。レーザ描像可能な金属塩の別の例には、ナトリウムのマロン酸塩、グルコン酸塩およびヘプトン酸塩が含まれる。別の例は、PCT英国特許第2006/003945号、同第2006/001969号、および米国特許第6888095号に示されており、その内容を参照により本明細書に組み込む。
【0033】
レーザなどの任意の好適なエネルギー源を用いて像を形成をしてもよい。適切なレーザには、典型的には9〜11.5μmの波長域の光を発するCO2レーザが含まれる。典型的には、可視光領域のレーザは、400〜780nmの波長域の光を発する。そのようなレーザを使用する場合、この波長域の光を吸収する物質を含有する組成物を使用するのが好ましい。典型的には、UVレーザは190〜400nmの波長域の光を発する。そのようなレーザを使用する場合、この波長域を吸収する物質を含有する組成物を使用するのが好ましい。
【0034】
近赤外線領域での放射は、780〜2500nmの範囲の波長である。適切な近赤外線レーザは、固体のダイオード、繊維、またはダイオードアレイ系であってよい。近赤外線レーザを使用する場合はいつでも、レーザ描像可能組成物に近赤外線吸収成分を添加するのが望ましい。近赤外線吸収化合物としては、最大吸光度が使用した近赤外線放射の波長に近く、色彩が、ほとんど、または全く視認できない化合物であることが好ましい。好適な例としては、リン酸ヒドロキシル銅(II)(CHP)などの銅化合物;還元した酸化スズインジウムまたは還元した酸化スズアンチモンなど、非化学量論的に混合した金属酸化物化合物;HC Starck社製導電性ポリマー製品Baytron(登録商標)Pなどの有機ポリマー;およびNIR色素/顔料として当業者に知られている近赤外吸収有機分子が含まれる。使用可能なNIR色素/顔料には、メタロ−ポルフィリン、メタロ−チオレン、およびポリチオレン、メタロ−フタロシアニン、これらのアザ変異体、これらの環化した変異体、ピリリウム塩、スクアリリウム、クロコニウム、アンミニウム、ジイモニウム、シアニンおよびインドレニンシアニンが含まれる。
【0035】
本発明で使用可能な有機化合物の例は、米国特許第6911262号に教示されており、そしてDevelopments in the Chemistry and Technology of Organic dyes, J Griffiths(編), Oxford: Blackwell Scientific, 1984、およびInfrared Absorbing Dyes, M Matsuoka(編), New York: Plenum Press, 1990に示されている。本発明のNIR色素または顔料の別の例は、Epolin社(Newark, NJ,米国)製Epolight(商標)シリーズ; American Dye Source Inc.社(カナダ国ケベック州)製ADSシリーズ; HW Sands社(Jupiter, FL,米国)製SDAおよびSDBシリーズ;BASF社(ドイツ国)製Lumogen(商標)シリーズ、特にLumogen(商標)IR765およびIR788;およびFujiFilm Imaging Colorants社(イギリス国マンチェスター、Blackley)製Pro-Jet(商標)色素シリーズ、特にPro-Jet(商標)830NP、900NP、825LDI、および830LDIに見出すことができる。
【0036】
テープは、未だ像が形成されていない状態、像形成済みの状態、または部分的に像が形成済みの状態で基材に貼付してもよい。テープが、未だ像が形成されていない状態または部分的に像が形成された状態である場合、続いてテープに詳しい情報を示す像を形成することができる。テープに、全ての必要な情報の像を形成し、次いで基材に貼付してもよい。
【0037】
バインダは、当業者には公知の任意のものであってよい。好適な例には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン;ニトロセルロースなどのセルロース化合物;アセテートおよびブチラールなどのビニルポリヤー(vinyl polyers);スチレン系、ポリエーテル、ポリエステルが含まれる。バインダ系は、水性であっても、または有機溶剤系であってもよい。使用可能なバインダ系の例には、Scott-Bader社製Texicrylシリーズ、ParaChem社製Paranolシリーズ、Wacker-Chemie社製Pioloformシリーズ、Lucite International Inc.社製Elvaciteシリーズ、Johnson Polymers社製Joncrylシリーズ、Baxenden Chemicals社製WitcoBondシリーズが含まれる。
【0038】
レーザによる描像可能組成物は、溶融処理を通じてテープに組み込むこともできる。テープ形成ポリマー組成物にそれらの成分を直接添加することによって、またはマスターバッチ経路により、これを行うことができる。
【0039】
スプレー用キャリアは、任意の好適な液体系であってよい。例には、水および有機溶剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、およびメチルエチルケトンが含まれる。
【0040】
本発明を塗付することができる基材には、段ボール、紙、カード、プラスチック、ガラス、木、織物、缶などの金属類、および食品、医薬調製物、および容器、またはビン蓋が含まれる。食品には、果実や野菜、砂糖菓子、および食肉製品が含まれる。医薬調製物には、丸剤および錠剤が含まれる。
【0041】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【実施例1】
【0042】
AOM(10〜45wt%)、ニトロセルロース−DLX−3,5−エタノール(4.69wt%)、vilosyn 339(2.69wt%)、casathane 920(10.17wt%)、セバシン酸ジブチル(2.43wt%)、tyzor ZEC(3.91wt%)、Crayvallac WS-4700(4.34wt%)、およびエタノールB(24〜59wt%)を含むコーティング剤を調製した。これを50μm膜厚のBOPPに塗布して、乾燥塗布コーティング重量10gsmにした。この上に、水性接着剤を乾燥塗布コート重量20gsmで塗布した。コーティング剤および接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含めることができる。このテープ構成体は、CO2レーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例2】
【0043】
水性接着剤の代わりに溶融接着剤を使用したこと以外は、実施例1と同様である。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例3】
【0044】
AOM(10〜45wt%)、Pioloform BN18(5〜25wt%)、aerosil 200(0〜5wt%)、酢酸エチル(5〜50wt%)、およびエタノールB(5〜60wt%)を含むコーティング剤を調製した。これを50μmの膜厚のBOPPに塗布して、乾燥塗布コーティング重量10gsmにした。この上に、水性接着剤を乾燥塗布コート重量20gsmで塗布した。コーティング剤および接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、CO2レーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例4】
【0045】
水性接着剤の代わりに溶融接着剤を使用したことを除いて、実施例3を繰り返した。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例5】
【0046】
Pioloform BN18を15%含むメチルエチルケトン(84g)、Yamada ETAC(5g)およびヒドロキシ安息香酸ベンジル(15g)含む剤を生成し、実施例1に記載したように基材に塗布した。このテープ構成体は、CO2レーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例6】
【0047】
Pioloform BN18を15%含むメチルエチルケトン(84g)、Yamada ETAC(5g)、ヒドロキシ安息香酸ベンジル(BHB、15g)、およびリン酸ヒドロキシル銅(II)(20g)を含む剤を生成し、実施例1に記載したように基材に塗布した。このテープ構成体は、1066nm NIRレーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例7】
【0048】
ビス−(2−エチルヘキシル)アミンモリブデート(10〜45wt%)、Pioloform BN18(5〜25wt%)、aerosil 200(0〜5wt%)、酢酸エチル(5〜50wt%)、およびエタノールB(5〜60wt%)を含むコーティング剤を調製した。これを50μmの膜厚のBOPPに塗布して、乾燥塗布コーティング重量10gsmにした。このコーティングは無色/透明であった。この上に、水性接着剤を乾燥塗布コート重量20gsmで塗布した。コーティング剤および接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、CO2レーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例8】
【0049】
AOM(5〜10wt%)、Pioloform BN18(5〜25wt%)、aerosil 200(0〜5wt%)、酢酸エチル(5〜50wt%)、およびエタノールB(5〜60wt%)を含むコーティング剤を調製した。これを50μmの膜厚のBOPPに塗布して、乾燥塗布コーティング重量10gsmにした。コーティングは無色/透明である。この上に、水性接着剤を乾燥塗布コート重量20gsmで塗布した。コーティング剤および接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、CO2レーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例9】
【0050】
ヘプタモリブデン酸アンモニウム(10〜45wt%)、Pioloform BN18(5〜25wt%)、aerosil 200(0〜5wt%)、酢酸エチル(5〜50wt%)、およびエタノールB(5〜60wt%)を含むコーティング剤を調製した。これを50μmの膜厚のBOPPに塗布して、乾燥塗布コーティング重量10gsmにした。この上に、水性接着剤を乾燥塗布コート重量20gsmで塗布した。コーティング剤および接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、CO2レーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例10】
【0051】
ヘプタモリブデン酸アンモニウム(10〜45wt%)、Paranol T-6320(10〜50wt%)、水(5〜50wt%)、およびdispelair CF49(0.1〜5wt%)を含むコーティング剤を調製した。これを50μmの膜厚のBOPPに塗布して、乾燥塗布コーティング重量10gsmにした。コーティングは無色/透明である。この上に、水性接着剤を乾燥塗布コート重量20gsmで塗布した。コーティング剤および接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、CO2レーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【実施例11】
【0052】
AOM(10〜30wt%)、CHP(10〜30wt%)、ニトロセルロース−DLX−3,5−エタノール(4.69wt%)、vilosyn 339(2.69wt%)、casathane 920(10.17wt%)、セバシン酸ジブチル(2.43wt%)、tyzor ZEC(3.91wt%)、Crayvallac WS-4700(4.34wt%)、およびエタノールB(10〜60wt%)を含むNIRレーザ描像可能コーティングを調製した。これを50μmの膜厚のBOPPに塗布して、乾燥塗布コーティング重量10gsmにした。この上に、乾燥塗布コート重量で20gsm含まれる水性自己接着剤(self-adhesive)を塗布した。接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、NIRレーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。OD>1の黒色像は、発光波長800〜2000nmのレーザを使用し容易に形成することができる。
【0053】
実施例11では、AOMの代わりに、ヘプタモリブデン酸アンモニウムまたはビス−(2−エチルヘキシル)アミンモリブデートを使用することができる。実施例1〜13では、像を形成するために、CO2またはNIRレーザの代わりに、UVレーザを使用してもよい。
【実施例12】
【0054】
AOM(5〜90wt%)およびEVA(10〜90wt%)を含むマスターバッチを溶融押出しによって調製した。次いで、この物質をポリプロピレンに1〜99wt%で加え、その混合物を溶融押出ししてテープにし、次いでそれを接着剤で処理して接着テープを形成した。このテープ構成体は、CO2またはUVレーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。通常、OD>1の黒色像を形成するには、フルエンスレベル2〜4Jcm-2が必要である。
【0055】
同じ方法で、NIR吸収剤を組み込むことによって、NIRレーザ描像可能組成物を調製した。
【実施例13】
【0056】
10,12−ペンタコサジイン酸(1〜25wt%)、Elvacite 2028(5〜50wt%)およびメチルエチルケトン(5〜60wt%)を含むコーティング剤を調製し、BOPPにコートした。この上に、乾燥塗布コート重量で20gsm含まれる水性自己接着剤を塗布した。この接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、UVレーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。テープの所定の領域に当てられるレーザのフルエンスを制御することによって、多色像を形成した。
【実施例14】
【0057】
N−エチルカルバゾール(1〜50wt%)を含むニトロセルロース−DLX−3,5−エタノール(1〜35wt%)、cyracure 6974(1〜30wt%)、およびメチルエチルケトン(5〜70wt%)含む剤を調製し、BOPPにコートした。この上に、水性自己接着剤を乾燥塗布コート重量で20gsm塗布した。この接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体は、UVレーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像でき、または貼付後に基材を通して描像することができる。テープの所定の領域に当てられるレーザのフルエンスを制御することによって緑色カラー像を形成した。
【実施例15】
【0058】
アルギン酸ナトリウム(1〜20wt%)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1〜20wt%)、および重炭酸ナトリウム(1〜20wt%)含有エタノール(1〜97)を含む剤を調製し、BOPPにコートした。この上に、水性自己接着剤を乾燥塗布コート重量で20gsm塗布した。この接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体に、対象的な像を発生させるために、CO2またはUVレーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像し、または貼付後に基材を通して描像した。
【実施例16】
【0059】
メタホウ酸ナトリウム(1〜40wt%)、Paranol T-6320(1〜99wt%)含む剤を調製し、BOPPにコートした。この上に水性自己接着剤を乾燥塗布コート重量で20gsmを塗布した。この接着剤には、像のコントラストを高めるために、任意により漂白剤、例えば、二酸化チタンを0〜10wt%含める。このテープ構成体を、CO2またはUVレーザを使用して、貼付前にいずれか一方の面から描像し、または対象的な像を形成するために貼付後に基材を通して描像した。
【実施例17】
【0060】
AOM(1〜40wt%)、Paranol T-6320(1〜99%)、およびDispelair CF-49(0.1〜5wt%)の混合物を自動スプレー装置を使用し段ボール箱に塗布した。二酸化チタン(0.5〜10wt%)を加えてよい。対象的な像を形成するために、CO2またはUVレーザを使用しそれに描像した。
【実施例18】
【0061】
実施例17を繰り返したが、CHP(1〜25%)も組み込んだ。NIRレーザで描像して対象的な像を形成した。
【実施例19】
【0062】
AOMをヘプタモリブデン酸アンモニウムに代えて、実施例17および18を繰り返した。
【実施例20】
【0063】
Pioloform BN18を15%を含むメチルエチルケトン(84g)、Yamada ETAC(5g)、およびヒドロキシ安息香酸ベンジル(15g)の混合物を生成し、実施例17に記載したように基材に塗布した。CO2レーザを使用しそれに描像し、対象的な像を形成した。
【実施例21】
【0064】
実施例20を繰り返したが、CHP(1〜25wt%)も加えた。NIRレーザを使用し描像して対象的な像を形成した。
【実施例22】
【0065】
メタホウ酸ナトリウム(1〜40wt%)、Paranol T-6320(1〜99%)、およびOctafoam E-235(0.1〜1%)の混合物を自動スプレー塗布器具を使用して段ボール箱に塗布した。それにCO2またはUVレーザを使用して描像し、対象的な像を形成した。
【実施例23】
【0066】
アルギン酸ナトリウム(1〜40wt%)、重炭酸ナトリウム(1〜20wt%)、HPMC(1〜20wt%)、およびエタノール(1〜99wt%)の混合物を自動スプレー塗布器具を使用して段ボール箱に塗布した。それにCO2またはUVレーザを使用して描像し、対象的な像を形成した。
【0067】
別の例示として、他の基材、すなわち飲料ビンの蓋の内表面、PETフィルム、PET飲料ボトル、HDPE容器、金属製缶、食用柑橘類、医薬錠剤および食肉に、実施例17〜23の手順を実施してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ照射によってテープに像を形成することができる、レーザ描像可能組成物を含有する、
テープ構成体。
【請求項2】
前記テープが接着テープである、
請求項1に記載のテープ。
【請求項3】
前記レーザ描像可能組成物が、色素およびバインダを含有する、
請求項1または2に記載のテープ。
【請求項4】
前記色素が無機物である、
請求項3に記載のテープ。
【請求項5】
前記無機発色剤が、多価金属のオキシアニオンを含む、
請求項4に記載のテープ。
【請求項6】
前記多価金属のオキシアニオンが、オクタモリブデン酸アンモニウムである、
請求項5に記載のテープ。
【請求項7】
前記色素が有機物である、
請求項3に記載のテープ。
【請求項8】
前記有機発色剤が、ロイコ色素、ジアセチレン、またはカルバゾールを含む、
請求項7に記載のテープ。
【請求項9】
前記色素が、金属ヒドロキシル化合物である、
請求項3に記載のテープ。
【請求項10】
前記金属ヒドロキシル化合物が、ホウ酸塩、ケイ酸塩、またはアルギン酸塩である、
請求項9に記載のテープ。
【請求項11】
前記色素が、ヒドロキシル化合物と混合された金属塩である、
請求項3に記載のテープ。
【請求項12】
前記ヒドロキシル化合物が、炭水化物または多糖である、
請求項11に記載のテープ。
【請求項13】
前記色素が、ヘプトン酸、グルコン酸、またはマロン酸金属塩である、
請求項3に記載のテープ。
【請求項14】
NIR吸収成分を含む、
請求項1〜13のいずれかに記載のテープ。
【請求項15】
前記NIR吸収成分が、銅(II)塩、還元混合金属酸化物、導電性ポリマー、またはNIR色素/顔料である、
請求項14に記載のテープ。
【請求項16】
CO2レーザを使用して描像することができる、
請求項1〜15のいずれかに記載のテープ。
【請求項17】
UVレーザを使用して描像することができる、
請求項1〜16のいずれかに記載のテープ。
【請求項18】
可視帯域レーザを使用して描像することができる、
請求項1〜17のいずれかに記載のテープ。
【請求項19】
NIRレーザを使用して描像することができる、
請求項14または15に記載のテープ。
【請求項20】
テープ基材層、レーザ描像可能インク層、および接着剤層をこの順に有する、
請求項1〜19のいずれかに記載のテープ。
【請求項21】
前記成分を溶融処理するステップを含む、
請求項1〜20のいずれかに記載のテープ構成体の生成方法。
【請求項22】
前記基材に、請求項1〜21のいずれかに記載のテープ構成体を塗布するステップを含む、
基材コーティング方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法、およびコートした基材にレーザで描像するステップを含む、
像を有する基材の製造方法。
【請求項24】
色素、バインダ、およびキャリアを含む、基材へのスプレー塗布に適した、
レーザ描像可能剤。
【請求項25】
前記色素が、請求項4〜14のいずれかに定義したものである、
請求項24に記載の剤。
【請求項26】
さらに、請求項14または15に定義したNIR吸収成分を含む、
請求項24または25に記載の剤。
【請求項27】
CO2レーザを使用して描像することができる、
請求項24〜26のいずれかに記載の剤。
【請求項28】
UVレーザを使用して描像することができる、
請求項24〜26のいずれかに記載の剤。
【請求項29】
可視光領域のレーザを使用して描像することができる、
請求項24〜26のいずれかに記載の剤。
【請求項30】
NIRレーザを使用して描像することができる、
請求項26に記載の剤。
【請求項31】
スプレー塗布器具を使用して、前記基材に、
請求項24〜30のいずれかに記載の剤を塗布するステップを含む、基材コーティング方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法、およびコートした基材にレーザで描像するステップを含む、
像を有する基材を生成する方法。

【公表番号】特表2009−517252(P2009−517252A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542839(P2008−542839)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004508
【国際公開番号】WO2007/063332
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(507055925)データレース リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】DATALASE LTD.
【Fターム(参考)】