説明

テープ終端検知方法及びテープ供給装置

【課題】リールに巻回されたテープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を的確に検知することができるテープ終端検知方法を提供する。
【解決手段】テープ残量を検知する工程と、テープ残量が第1の所定残量になるまでの間に終端マークの一端の検出を行う工程と、終端マークの一端を検出したときには、その後第1の所定の送り時間又は送り量以内の間に終端マークの他端の検出を行う工程と、終端マークの他端を検出したときには、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの他端を検出しなかったときには、終端マークの一端を検出した後の第3の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの一端を検出しなかったときには、テープ残量が第1の所定残量になった後に、それぞれ終端検知通知を行う工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ACF(異方性導電材フィルム)テープなどの粘着テープや圧着ツールの保護テープなど、リールに巻回された各種テープの終端を検知するテープ終端検知方法及びテープ供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルやPDP(Plasma Display Panel)に代表されるディスプレイパネルなどの基板に部品を実装する方法として、基板にACFテープなどの粘着テープを貼り付けた後、その支持テープを剥離して基板にACFなどの粘着材層を設け、その粘着材層の上に、例えばTCP(Tape Carrier Package)、IC、薄型LSIパッケージ部品等の部品を仮圧着した後、仮圧着よりも高い熱と圧力を加えて本圧着することで、基板に部品を実装する方法が知られており、その部品実装方法では、基板に粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付装置が使用されている。
【0003】
粘着テープ貼付装置としては、テープ供給装置にてリールに巻回された粘着テープを引き出して供給し、圧着装置の手前で粘着テープの粘着材層のみを所定の長さに切断した後粘着テープを圧着ツールと受け台上に載置された基板の間に送り、圧着ツールにて粘着テープを押圧して所定長さに切断された粘着材層を基板に貼り付け、その後支持テープを貼り付けた粘着材層から剥離して支持テープを回収するとともに、次の粘着テープの供給を行うという動作を繰り返すように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1では、図11(a)に示すように、使用中の粘着テープ102の終端を検知できるように、リール101に巻回された粘着テープ102の終端から所定長さの位置に終端マーク103を設け、図11(b)に示すように、その終端マーク103の一端を検出センサ(図示せず)で検知すると、粘着テープ102の終端を制御部に通知し、新たなリール101に交換することを指令するように構成されている。なお、特許文献1では、終端マーク103より終端側はダミーテープ102aが接続され、そのダミーテープの長さを、終端マーク103検知後に、1つの基板に対する圧着動作を完了できる長さ以上に設定し、圧着動作の途中で中断することがないようにされている。
【0005】
また、熱溶着が容易でかつセンサで容易に検知することができる接続テープを、粘着テープの始端と終端の両端に接着テープにて接続しておき、使用中の粘着テープの終端の接続テープをセンサにて検知すると、使用中の粘着テープの終端の接続テープと新たなリールの粘着テープの始端の接続テープとを熱溶着して両テープを接続する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、接続テープの全長が終端マークとして機能する。
【特許文献1】特開平7−270742号公報
【特許文献2】特開2005−336447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年はリールに巻回されて供給される粘着テープのコスト低下を図るために、上記特許文献1や特許文献2に記載のように粘着テープの終端部に粘着テープとは別のダミーテープや接続テープを接続した複雑な構成とせずに、単純にリールに粘着テープを巻回しただけのものが使用されることが多く、そのため終端マークを設けていないものや、終端マークを設けたものにおいても、粘着テープの終端から適当長さの位置に短寸(例えば60mm)の終端マークを設けたものや、粘着テープの終端から適当長さの位置まで連続する終端マークを設けたものが混在して流通するようになっている。
【0007】
しかるに、粘着テープの終端を的確に検知できないと、圧着工程が途中で中断することがないように、粘着テープが無くなる前に十分な余裕のテープ残量でリールを交換したり、粘着テープの終端と新たなリールの粘着テープの始端とを自動的に接続したりして、生産性の良い圧着工程を実現することができないことになる。そのため、上記のように終端マークが設けられていないものや、設けられていても終端マークの長短が著しく異なっている何れの粘着テープが巻回されたリールを使用した場合でも、粘着テープの終端を的確に検知できるようにすることが要請されるようになっている。そうでないと、使用できる粘着テープが限定されてしまって汎用性がなく、極めて使い勝手が悪い粘着テープ貼付装置になってしまうためである。
【0008】
ところが、粘着テープに終端マークが設けられていない場合に終端を的確に検知する構成については知られていない。また、粘着テープの終端部に設けられた終端マークを検出センサで検出するようにしている場合でも、近年は狭幅のICを接合することが多々あり、そのような場合には使用される粘着テープの幅が約1mm程度と狭いために確実に検出することができないことがあるという問題もあった。なお、設けられた終端マークを的確に検出できる場合には、一般に終端位置の検出精度が高いためにその検出に基づいた方が好ましい。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑み、リールに巻回されたテープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を的確に検知することができるテープ終端検知方法及びテープ供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のテープ終端検知方法は、テープを巻回したリールからテープを引き出して供給するテープ供給装置において、テープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を検知するテープ終端検知方法であって、テープ残量を検知する工程と、テープ残量が第1の所定残量になるまでの間に終端マークの一端の検出を行う工程と、終端マークの一端を検出したときには、その後第1の所定の送り時間又は送り量以内の間に終端マークの他端の検出を行う工程と、終端マークの他端を検出したときには、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの他端を検出しなかったときには、終端マークの一端を検出した後の第3の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの一端を検出しなかったときには、テープ残量が第1の所定残量になった後に、それぞれ終端検知通知を行う工程とを有するものである。
【0011】
この構成によれば、テープの終端部に短い終端マークが設けられている場合は、その一端を検出した後他端を検出すると、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量後に終端検知通知を行い、終端まで連続する終端マークが設けられている場合は、終端マークの一端を検出した後第3の所定の送り時間又は送り量後に終端検知通知を行い、終端マークが設けられていない場合は、検知しているテープ残量が第1の所定残量になった後終端検知通知を行うので、テープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を的確に検知して通知することができる。
【0012】
また、テープ残量を検知する工程が、所定長のテープを供給するときのリールの回転角度又は回転時間を検出する工程と、検出した回転角度又は回転時間からリールのテープ巻回径を検出する工程と、検出したテープ巻回径からテープ残量を検知する工程とを有すると、所定長のテープ供給長さに対してテープ巻回径に応じてリールの回転角度又は回転時間が変化することから、テープ供給時のリールの回転角度又は回転時間を検出することでテープ巻回径を求めることができ、そのテープ巻回径からがテープ残量を推定若しくは演算によって検知することができ、テープに終端マークが設けられていなくてもテープ残量を確実に検知することができる。
【0013】
また、検知したテープ残量が、第1の所定残量より大きく及び/あるいは終端マークの一端の配設位置の残量より大きい第2の所定残量になったとき、テープ交換事前通知を行うようにすると、テープ終端に到達する前に、事前通知がなされるので、予め交換すべきリールを準備しておくことができて、終端通知を受けると直ちに作業効率良くリール交換して新たなテープを接続することができる。
【0014】
また、本発明のテープ供給装置は、テープを巻回したリールからテープを引き出して供給するテープ供給装置であって、リールのテープ残量を検知する残量検知手段と、テープの終端又は終端近傍に設けられた終端マークを検出する検出センサと、テープ残量が所定残量になるまでの間に終端マークの一端の検出を行い、終端マークの一端を検出したときには、その後第1の所定の送り時間又は送り量以内の間に終端マークの他端の検出を行い、終端マークの他端を検出したときには、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの他端を検出しなかったときには、終端マークの一端を検出した後の第3の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの一端を検出しなかったときには、テープ残量が所定量になった後に、それぞれ終端検知通知を行う検知制御手段を備えたものである。
【0015】
この構成によれば、残量検知手段にてテープ残量を検知し、検出センサにて終端マークの一端と他端を検出し、検知制御手段にて上記テープ終端検知方法を実施することで、上記のようにテープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を的確に検知して通知することができる。
【0016】
また、リールのテープ残量を検知する手段は、テープの供給長さが所定長となるようにリールを回転する回転量制御手段と、所定長のテープを供給するときのリールの回転角度又は回転時間を検出する手段と、検出した回転角度又は回転時間からリールのテープ巻回径を検出する手段と、検出したテープ巻回径からテープ残量を検知する手段から成ると、リールに巻回された粘着テープの終端部に終端マーク等が設けられていなくても、上記のようにリールのテープ巻回径に基づいてテープの残量を確実に検知することができる。
【0017】
また、検知制御手段を、検知したテープ残量が、終端マークの一端の配設位置の残量及び/あるいは第1の所定残量より大きい第2の所定残量になったとき、テープ交換事前通知を行うようにすると、テープ終端に到達する前に事前通知がなされることで、上記のように作業効率良くリール交換して新たなテープを接続することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のテープ終端検知方法及びテープ供給装置によれば、テープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を的確に検知して通知することができるので、テープが無くなる前にリールを交換したり、テープの終端と新たなリールのテープの始端とを自動的に接続したりすることができ、任意のテープを使用しながらテープを供給して行う作業工程を途中で中断させる恐れなくテープを供給すること等が安定して可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を、液晶表示パネルのガラス基板などの基板に、異方性導電材などの粘着材層を有する粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付装置に適用した一実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
【0020】
図1において、本実施形態の粘着テープ貼付装置1は、基板2を支持して移動及び位置決めする位置決め装置3と、基板2の側端部を下方から支持する下受け台4と、貼り付けるべき粘着テープ5を上方から押圧して基板2に貼り付ける圧着装置6と、粘着テープ5を供給するテープ供給装置7と、基板2に貼付けられた粘着テープ5の粘着材層からその支持テープを剥離する剥離装置8と、剥離された粘着テープ5の支持テープを回収するテープ回収装置9にて構成されている。10は、粘着テープ貼付装置1の搬入位置に搬入された基板2を位置決め装置3に移載する移載装置である。
【0021】
圧着装置6は、図2に示すように、下方に配置された下受け部4と対向する圧着面11aを下面に有し、粘着テープ5の貼付動作を行う圧着ヘッド11と、この圧着ヘッド11を昇降駆動するシリンダ装置などのヘッド昇降装置12を備えている。圧着ヘッド11には、図示しない加熱手段が内蔵されており、圧着ヘッド11の圧着面11aを所定温度に加熱することが可能となっている。
【0022】
テープ供給装置7は、粘着テープ5が巻回されたリール13と、リール13から供給される粘着テープ5を案内する複数のガイドローラ14a、14b、14cと、間隔をあけて並列配置された一対のガイドローラ14a、14b間でこれらローラに対して遠近方向に移動自在にかつ遠ざかる方向に移動付勢されたテンションローラ15と、粘着テープ5における支持テープの片面に一連に設けられた粘着材層に対し、基板2における粘着材貼付領域の大きさに応じた長さ毎に切り込みを入れるカッター16と、粘着テープ5の終端と新たに装着したリール13から引き出した粘着テープ5の始端とを、熱溶着や超音波接合等にて接続するテープ接続装置17とを備えている。
【0023】
また、粘着テープ5の終端部に終端マーク33(図6参照)が設けられている場合に、終端マーク33の一端と他端を検出信号の「立ち上がり」と「立ち上がり」で検出する検出センサ32が、カッター16の上部位置に配設されている。
【0024】
剥離装置8は、下受け台4と圧着ヘッド11の圧着面11aとの間をその長手方向に往復移動可能な移動体18と、移動体18の移動に伴って基板2に圧着された粘着テープ5の上面に沿って転動しながら移動するテープ押さえローラ19aと、押さえローラ19aの斜め上方に配置され、粘着テープ5の支持テープを外周の一部に巻回させて移動体18の移動に伴って支持テープを剥離するテープ剥離ローラ19bと、移動体18に設けられて所要時に剥離された支持テープを把持固定し、基板2への粘着テープ5の粘着剤層の貼り付け長さに応じて粘着テープ5をフィードするチャック20にて構成されている。
【0025】
テープ回収装置9は、剥離された支持テープを上向きにガイドするガイドローラ21と、支持テープを把持固定するチャック22と、支持テープを吸引回収する回収手段23にて構成されている。
【0026】
以上の全体構成の粘着テープ貼付装置1において、本実施形態では、図3、図4に示すように、テープ供給装置7で、リール13に巻回された粘着テープ5の残量と終端を検知して通知するように構成されている。すなわち、テンションローラ15が原点(ORG)位置に位置したことを検出する原点センサ24と、上限位置と下限位置に位置したことを検出する上限センサ25a及び下限センサ25bが設けられ、また粘着テープ5を供給するようにリール13を回転駆動するモータ26が設けられるとともに、このモータ26の回転角度を検出するエンコーダ27が設けられている。エンコーダ27は、スリットを有する回転板27aとスリットを検出するセンサ27bにて構成されている。尚、図3、図4では、リール13の回転角度又は回転時間を検出する手段のエンコーダ27は、モータ26と別体で構成されているが、モータの回転位置検出手段であるロータリーエンコーダが内蔵されたパルスモータやサーボモータなど、モータとエンコーダが一体で構成されたものであってもよい。また、エンコーダ27は、モータ26やリール13の回転軸のほかに、粘着テープ5の走行経路上に設けても良い。好ましくは、テンションローラ15とリール13の間、若しくはリール13の回転軸に設けることにより、粘着テープ5の走行上の負荷が少ない状態でリール13から引き出された粘着テープ5の残量を正確に求めることができる。
【0027】
モータ26は、粘着テープ5の供給動作時に、モータ制御手段28にてテンションローラ15が原点センサ24にて検出するまで回転駆動するように構成されている。また、このモータ26の回転時に、エンコーダ27のセンサ27bの検出信号が回転角度検出手段29、又は回転時間検出手段に入力されている。また、回転角度検出手段29にて検出された回転角度信号がテープ巻回径演算手段30に入力されてテープ巻回径が演算される。その演算結果のテープ巻回径のデータと、検出センサ32による終端マーク33の一端又は他端の検出信号が検知制御手段31に入力され、テープ巻回径に基づいてテープ残量を検知し、検知したテープ残量と検出センサ32による検出信号に基づいてテープ残量又は終端を検出して、粘着テープ貼付装置1の制御部に通知するように構成されている。
【0028】
検知制御手段31の動作を、図5、図6を参照して説明する。まず、入力されたテープ巻回径のデータから粘着テープ5のテープ残量を検知し(ステップ#1)、そのテープ残量が第2の所定残量R2になったとき、テープ交換事前通知を行う(ステップ#2)。この所定残量R2は、終端マーク33の一端の配設位置の残量、及び/あるいは後述の第1の所定残量R1よりも大きい残量に設定されている。その後、引き続いて終端マーク33の一端の検出を行う(ステップ#3)。終端マーク33の一端を検出したときには、その後第1の所定の送り時間又は送り量T1以内の間に終端マークの他端の検出を行う(ステップ#4、ステップ#5)。終端マーク33の他端を検出したときには、図6(a)に示すように、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量T2の後に、終端検知通知を行う。一方、第1の所定の送り時間又は送り量T1以内に、終端マーク33の他端を検出しなかったときには、終端マーク33の一端を検出した後第3の所定の送り時間又は送り量T3になると(ステップ#6)、図6(b)に示すように、終端検知通知を行う。また、ステップ#3で終端マーク33の一端を検出しないままの場合は、テープ残量が第1の所定残量R1になったとき(ステップ#7)、図6(c)に示すように、終端検知通知を行う。
【0029】
次に、以上の構成の粘着テープ貼付装置1にて基板2の側縁部に粘着テープ5を貼り付ける工程とともに、上記リール13におけるテープ巻回径を求める工程を説明する。図1、図2に示す状態から位置決め装置3にて基板2の側縁部を下受け台4上に位置決めした状態で、ヘッド昇降装置12にて圧着ヘッド11を下降動作させ、圧着ヘッド11の下面の圧着面11aにて粘着テープ5を押圧して粘着テープ5を基板2に圧着させる。次に、テープ回収部9のチャック22を閉じて粘着テープ5の支持テープを保持固定し、剥離装置8のチャック20を開いた状態で、移動体18をテープ供給装置7側に移動させる。この動作により、基板2に貼り付けられた粘着テープ5の粘着材層からその支持テープが剥離される。
【0030】
次に、剥離装置8のチャック20を閉じて粘着テープ5を保持するとともに、テープ回収装置9のチャック22を開いて支持テープが回収手段23に自在に吸引回収される状態にして、剥離装置8の移動体18を図3に矢印で示すように所定のテープ供給量Sだけ移動させる。これによって粘着材層を設けられた粘着テープ5が、圧着ヘッド11の圧着面11aと下受け台4上に位置決めされた基板2の粘着テープ5を貼り付けるべき領域の間に供給されることになる。この動作により、テープ供給装置7では、図3に示すように、テンションローラ15が原点センサ24にて検出されている状態から、図7に示すように、原点センサ24と上限センサ25aの間の位置まで上昇する。このときの上昇移動量Lは、S/2である。なお、上限センサ25aと下限センサ25bは安全のために設けられたものであり、そのため原点センサ24と上限センサ25aの距離は、最大の基板2に対して粘着テープ5を貼り付ける場合のテープ供給量SのS/2よりも大きく設定されている。
【0031】
次に、図8に示すように、モータ制御手段28にてテンションローラ15が原点センサ24にて検出されるまでモータ26を駆動し、リール13を回転させてリール13に巻回された粘着テープ5を供給する。その供給量は、上記テープ供給量Sと同じである。
【0032】
このときのリール13の回転がエンコーダ27にて検出され、その回転角度θが回転角度検出手段29にて検出される。その回転角度θはテープ巻回径演算手段30に入力され、テープ巻回径演算手段30において、図9に示すように、所定のテープ供給量Sと、検出された回転角度θから、リール13におけるテープ巻回径rが演算される。すなわち、テープ供給量Sは、 S=2・π・r・θ/360 であるから、
テープ巻回径rは、 r=360・S/(2π・θ)で演算される。
【0033】
なお、以上の説明では粘着テープ5の供給時のリール13の回転角度θを回転角度検出手段29にて検出するようにした例を示したが、回転角度検出手段29に代えて、図4に括弧書きしたように、モータ26の回転時間、すなわち送り時間t(sec)を検出する回転時間検出手段を適用しても良い。すなわち、モータ26の回転速度N(rpm)が一定である場合、図10に示すように、粘着テープ5を所定のテープ供給量Sだけ送るのにt時間かかったとすると、テープ巻回径rは次の演算によって求められる。すなわち、
テープ送り速度Vは、 V=2・π・r・N/60 でかつ
V=S/t であるから、
テープ巻回径rは、 r=(S/t)・60/(2・π・N)で演算される。
【0034】
尚、モータ26の回転時間は、粘着テープ5の供給に伴いテンションローラ15の位置が原点センサ24の原点位置より外れてから粘着テープ5の供給後にテンションローラ15の位置が原点センサ24にて原点位置を検出されるまでのモータ26を回転する時間を検出して、リール13の回転時間としても良い。
【0035】
なお、リール13への粘着テープ5の巻回長さが高精度に管理されている場合には、剥離装置8の移動体18による粘着テープ5の送り動作によるテープ送り量Sをカウントし、リール13の初期のテープ巻回長さより引き算してリール13におけるテープ残量を検出しても良い。しかしながら、実際にはリール13の粘着テープ5の巻回長さは、リール13に記載されている数値より大きくかつばらついている場合が多く、テープ残量の検知を、リール13の供給回転角度あるいは送り時間で求めるのが好ましい。
【0036】
こうしてテープ巻回径演算手段30にて演算して検出されたテープ巻回径のデータが検知制御手段31に入力され、このテープ巻回径と検出センサ32による検出信号とに基づいて、上記のように粘着テープ5の終端が検知されて通知される。すなわち、検知制御手段31にて、図6(a)に示すように、粘着テープ5の終端部に短い終端マーク33が設けられている場合は、その一端を検出した後第1の所定の送り時間又は送り量T1の間に他端を検知すると、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量T2後に終端検知通知を行い、図6(b)に示すように、終端まで連続する終端マーク33が設けられている場合は、終端マークの一端を検出した後第3の所定の送り時間又は送り量T3後に終端検知通知を行い、図6(c)に示すように、終端マーク33が設けられていない場合は、検知しているテープ残量が第1の所定残量R1になった後終端検知通知を行うので、テープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を的確に検知して通知することができる。
【0037】
粘着テープ貼付装置1の制御部で、終端検知通知を受けると、その後動作途中の圧着動作を完了した後、次の圧着動作を停止してリール交換モードに移行する。リール交換モードでは、リール13を交換して新たなリール13をテープ供給装置7にセットし、使用中の粘着テープ5の終端と新たなリール13の粘着テープ5の始端とをテープ接続装置17にて接続するように順次動作指令が出される。こうして、粘着テープ5を連続して供給することが可能となる。また、本実施形態では、具体的な機構とその構成については開示していないが、リール13の交換及び粘着テープ5の終端と始端の接続を自動的に行うようにすることも可能である。
【0038】
また、以上の実施形態の説明では、粘着テープとしてACF(異方性導電材フィルム)を支持テープの片面に設けたACFテープの例についてのみ示したが、本発明はACFテープを用いた部品実装に限らず、非導電性フィルムを基板に貼り付けて部品を実装する場合にも同様に適用することができる。また、圧着ヘッドと粘着テープとの間や圧着ヘッドと部品との間に、保護テープを介在させて圧着することで、圧着ヘッドに粘着材が付着するのを防止するようにした粘着テープ貼付装置や圧着装置において、その保護テープの終端検知にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のテープ終端検知方法及びテープ供給装置によれば、テープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を的確に検知して通知することができるので、テープが無くなる前にリールを交換したり、テープの終端と新たなリールのテープの始端とを自動的に接続したりすることができ、任意のテープを使用しながらテープを供給する作業工程を途中で中断させる恐れなくテープを供給することができるので、基板に粘着テープを貼り付けて各種部品を実装する部品実装装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した粘着テープ貼付装置の一実施形態の全体斜視図。
【図2】同実施形態の要部の拡大斜視図。
【図3】同実施形態のテープ供給装置の構成を示す正面図。
【図4】同テープ供給装置における粘着テープの終端を検出する構成図。
【図5】同実施形態のテープ供給装置における粘着テープの終端を検出する検知制御手段の動作フロー図。
【図6】同実施形態における粘着テープの終端検知動作の説明図。
【図7】同実施形態のテープ供給装置における動作説明図。
【図8】同実施形態のテープ供給装置における動作説明図。
【図9】同テープ供給装置におけるテープ巻回径算出方法の説明図。
【図10】同テープ供給装置における他のテープ巻回径算出方法の説明図。
【図11】従来例における粘着テープを示し、(a)は終端部の斜視図、(b)は終端マークの検知動作の説明図。
【符号の説明】
【0041】
5 粘着テープ
7 テープ供給装置
13 リール
24 原点センサ(原点検出手段)
26 モータ
27 エンコーダ
28 モータ制御手段
29 回転角度検出手段
30 テープ巻回径演算手段
31 検知制御手段
32 検出センサ
33 終端マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを巻回したリールからテープを引き出して供給するテープ供給装置において、テープの終端部に設けられる終端マークの長短及び有無に関わらず終端を検知するテープ終端検知方法であって、テープ残量を検知する工程と、テープ残量が第1の所定残量になるまでの間に終端マークの一端の検出を行う工程と、終端マークの一端を検出したときには、その後第1の所定の送り時間又は送り量以内の間に終端マークの他端の検出を行う工程と、終端マークの他端を検出したときには、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの他端を検出しなかったときには、終端マークの一端を検出した後の第3の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの一端を検出しなかったときには、テープ残量が第1の所定残量になった後に、それぞれ終端検知通知を行う工程とを有することを特徴とするテープ終端検知方法。
【請求項2】
テープ残量を検知する工程は、所定長のテープを供給するときのリールの回転角度又は回転時間を検出する工程と、検出した回転角度又は回転時間からリールのテープ巻回径を検出する工程と、検出したテープ巻回径からテープ残量を検知する工程とを有することを特徴とする請求項1記載のテープ終端検知方法。
【請求項3】
検知したテープ残量が、第1の所定残量より大きくかつ終端マークの一端の配設位置の残量より大きい第2の所定残量になったとき、テープ交換事前通知を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のテープ終端検知方法。
【請求項4】
テープを巻回したリールからテープを引き出して供給するテープ供給装置であって、リールのテープ残量を検知する残量検知手段と、テープの終端又は終端近傍に設けられた終端マークを検出する検出センサと、テープ残量が所定残量になるまでの間に終端マークの一端の検出を行い、終端マークの一端を検出したときには、その後第1の所定の送り時間又は送り量以内の間に終端マークの他端の検出を行い、終端マークの他端を検出したときには、直ちに若しくは第2の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの他端を検出しなかったときには、終端マークの一端を検出した後の第3の所定の送り時間又は送り量後に、終端マークの一端を検出しなかったときには、テープ残量が所定量になった後に、それぞれ終端検知通知を行う検知制御手段を備えたことを特徴とするテープ供給装置。
【請求項5】
リールのテープ残量を検知する手段は、テープの供給長さが所定長となるようにリールを回転する回転量制御手段と、所定長のテープを供給するときのリールの回転角度又は回転時間を検出する手段と、検出した回転角度又は回転時間からリールのテープ巻回径を検出する手段と、検出したテープ巻回径からテープ残量を検知する手段から成ることを特徴とする請求項4記載のテープ供給装置。
【請求項6】
検知制御手段は、検知したテープ残量が、終端マークの一端の配設位置の残量及び/あるいは第1の所定残量より大きい第2の所定残量になったとき、テープ交換事前通知を行うようにしたことを特徴とする請求項4又は5記載のテープ供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−126625(P2009−126625A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302177(P2007−302177)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】