説明

ディスクローディング装置およびディスク装置

【課題】挿入口から挿入したディスクの搬送開始直後に、ディスクガイドとの接触によりディスクに擦り傷が生じることを防止する。
【解決手段】ディスクガイド20は、搬送ローラ23に対向する面に、搬送ローラに対して挿入口から遠い側に第1の突条20aを有し、挿入口に近い側に第2の突条を有する。第1および第2の突条は、いずれも搬送ローラの軸方向と略平行な方向を長手方向とし、その中央部から両端部にかけて、搬送ローラ側への突出量が大きくなるテーパを有している。ディスクガイドの、搬送ローラの軸方向における中央部には、搬送ローラに対向する位置から第1の突条に向かって凹部20dが形成され、凹部は、ディスクガイドの基底部よりも搬送ローラから離れる方向に深さを有している。凹部は、第1の突条の中央部側の端部にほぼ連接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクガイドと搬送ローラとで光ディスクを挟持して搬送するディスクローディング装置、およびこのディスクローディング装置を備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディスク装置、特に車載用のディスク装置は、小型化および薄型化の要請が強く、これらを実現するための技術開発が進んでいる。ディスク装置の小型化および薄型化を実現するためには、光ディスクのディスク装置内へ挿入および装置外への排出を、光ディスクをトレイに載せて行う方式よりも、光ディスクを搬送ローラとディスクガイドとで挟持して搬送するスロットイン方式が有利であることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
スロットイン方式のディスクローディング装置では、ディスク挿入口から挿入された光ディスクを、ゴム製の搬送ローラによってディスクガイドに300〜400gfの力で押し当て、搬送ローラを回転させることにより光ディスクをディスク装置内に搬送する。光ディスクの搬送が完了すると、光ディスクをターンテーブルの中心位置に位置決めする。
【0004】
ディスクガイドの搬送ローラ側の面には、ディスク挿入口に近い側から順に、第3の突条、第2の突条および第1の突条が形成されている。第2の突条および第1の突条は、光ディスクの搬送方向において搬送ローラの両側に位置している。それぞれの突条は、搬送ローラの軸方向と平行な方向に長く、搬送ローラの軸方向における中央部から両端部にかけて搬送ローラ側への突出量が大きくなるようなテーパ形状を有している。突条がテーパ形状を有しているため、光ディスクの外縁を突条に接触させた状態で、光ディスクを搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4156490号公報(段落0017〜0021参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の構成では、搬送ローラによる光ディスクの搬送開始直後は、光ディスクの搬送方向の先端部分は搬送ローラを通過しているが、まだ光ディスクは第1の突条に到達していない。そのため、光ディスクが第1の突条に到達するまでの間、一時的に、光ディスクの搬送方向の先端部分がディスクガイドの基底部に接触し、さらに光ディスクの外縁が第2の突条または第3の突条に接触した状態で搬送される。このとき、搬送ローラの押圧力により、光ディスクの先端部分がディスクガイドの基底部に押し当てられて局所的に湾曲し、光ディスクのレーベル面側の先端部分(例えば、120mmの光ディスクの場合、外縁から5mm程度の範囲)に、ディスクガイドの基底部との接触により薄い擦り傷が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、挿入口から挿入したディスクの搬送開始直後に、ディスクガイドとの接触によりディスクに擦り傷が生じることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のディスクローディング装置は、回転可能な搬送ローラと、搬送ローラに略対向して配置されたディスクガイドとを備え、挿入口から挿入されたディスクを、搬送ローラとディスクガイドとの間で挟持して搬送ローラの軸方向に直交する方向に搬送する。ディスクガイドは、搬送ローラに対向する面に、搬送ローラに対して挿入口から遠い側に第1の突条を有し、挿入口に近い側に第2の突条を有する。第1の突条および第2の突条は、いずれも搬送ローラの軸方向と略平行な方向を長手方向とし、搬送ローラの軸方向における中央部から両端部にかけて、搬送ローラ側への突出量が大きくなるようなテーパを有している。ディスクガイドの、搬送ローラの軸方向における中央部には、搬送ローラに対向する位置から第1の突条に向かって凹部が形成されており、凹部は、ディスクガイドの前記面をなす基底部よりも搬送ローラから離れる方向に深さを有している。凹部は、第1の突条の中央部側の端部にほぼ連接するように形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送ローラにより、挿入口から挿入されたディスクの搬送を開始した直後に、ディスクの搬送方向の先端部分がディスクガイド側に変位しても、当該先端部分に対向する位置には凹部が形成されているため、光ディスクの先端部分とディスクガイドとの接触を防止することができる。従って、光ディスクの先端部分に、ディスクガイドとの接触による擦り傷が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置を備えたディスク装置の斜視図であり、光ディスクが収納または排出されている途中の状態を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置を備えたディスク装置の斜視図であり、光ディスクが収納された状態を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるカバーシャーシと、このカバーシャーシに取り付けられた構成部品を下方から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるクランパアームと、このクランパアームに取り付けられた構成部品を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるディスクガイドを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置を含むディスク装置の分解斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置を含むディスク装置を、図6とは異なる方向から見た分解斜視図である。
【図8A】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す斜視図であり、光ディスクの収納動作の開始直後の状態を示す図である。
【図8B】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す平面図であり、光ディスクの収納動作の開始直後の状態を示す図である。
【図8C】本発明の実施の形態1における光ディスクの収納動作を開始した直後の光ディスクとディスクガイドを示す斜視図である。
【図9A】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す斜視図であり、光ディスクの外縁がディスクストッパの当接ピンに当接した状態を示す図である。
【図9B】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す平面図であり、光ディスクの外縁がディスクストッパの当接ピンに当接した状態を示す図である。
【図10A】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す斜視図であり、ディスクセレクタがストッパアームの第2の溝部に係合した状態を示す図である。
【図10B】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す斜視図であり、ディスクセレクタがストッパアームの第2の溝部に係合した状態を示す図である。
【図11A】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す斜視図であり、スライダトリガがディスクセレクタと共に−Y方向に移動し、スライダと一体的に移動を開始する状態を示す図である。
【図11B】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す平面図であり、スライダトリガがディスクセレクタと共に−Y方向に移動し、スライダと一体的に移動を開始する状態を示す図である。
【図12A】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す斜視図であり、スライダが−Y方向の移動範囲の終端まで移動した状態を示す図である。
【図12B】本発明の実施の形態1におけるディスクローディング装置のディスク収納動作を示す平面図であり、スライダが−Y方向の移動範囲の終端まで移動した状態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2におけるディスクガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るディスクローディング装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1および図2は、本発明の実施の形態1におけるスロットイン方式のディスクローディング装置を備えたディスク装置を示す斜視図である。図1は、光ディスクの収納動作の途中または排出動作が完了した状態を示し、図2は、光ディスクがディスク装置内に収納された状態を示す。ディスク装置1は、CD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などの光ディスク200に対し、情報の記録、再生またはその両方を行う装置である。また、ユーザにより挿入された光ディスク200を、ディスク装置1に収納し、またディスク装置1から排出するための構成を、ディスクローディング装置と称する。
【0013】
以下の説明では、光ディスクの収納・排出方向に平行な方向をY方向とし、光ディスクの収納(挿入)方向を+Y方向、排出方向を−Y方向とする。光ディスクのレーベル面と平行な面内において上記Y方向と直交する方向をX方向とし、+Y方向を向いて右側を+X方向、左側を−X方向とする。また、光ディスクのレーベル面に直交する方向をZ方向とし、光ディスクのレーベル面側を+Z方向、反対側(記録再生面側)を−Z方向とする。
【0014】
<ディスク装置の全体構成>
図1および図2に示すように、ディスク装置1は、メインシャーシ11と、その上蓋であるカバーシャーシ9とで構成される筺体10を有している。この筺体10の1つの側面(−Y方向端面)には、光ディスク200を挿入、排出するためのスロット状のディスク出入口SL(挿入口)が形成されている。
【0015】
ディスク出入口SLは、X方向の長辺とZ方向の短辺とを有する矩形状の開口部である。このディスク出入口SLは、メインシャーシ11に設けられたコの字状の開口部11h(図2)と、板状部材からなるカバーシャーシ9の端部を曲げ加工した端面(曲げ端面)9hとにより周囲を規定されている。カバーシャーシ9の裏面(−Z側の面)においてディスク出入口SLよりも内側には、ディスク出入口SLから挿入される光ディスク200の外縁と接触し、後述する搬送ローラ23との間で光ディスク200を保持するディスクガイド20(図3)が配設されている。
【0016】
<光ディスクの直径判別および位置決めのための構成>
光ディスク200の直径判別および位置決めのための構成について、さらに図3〜図5を参照して説明する。図3は、カバーシャーシ9およびこのカバーシャーシ9に取り付けられた各構成部品を、カバーシャーシ9の裏面側から見た斜視図である。光ディスク200の直径判別および位置決めのために必要な構成部品は、ほぼカバーシャーシ9に取り付けられている。
【0017】
図1および図2に示すように、カバーシャーシ9の上面(+Z側の面)には、挿入される光ディスク200の直径を判別するためのディスクセレクタ8が配置されている。ディスクセレクタ8は、Y方向に延在する長尺形状を有し、略中央部に回動軸としてのボス部8cを有している。ボス部8cは、カバーシャーシ9に形成されたY方向に長い長穴部9c(図3)に係合している。これにより、ディスクセレクタ8はボス部8cを中心に回動可能に支持されている。また、ボス部8cは長穴部9c内においてY方向に移動可能であり、これによりディスクセレクタ8はY方向に所定距離(例えば4mm程度)移動可能に支持されている。
【0018】
ディスクセレクタ8の−Y方向の端部には、光ディスク200の外縁と当接可能な当接ピン8aが−Z方向に立設されている。ディスクセレクタ8の+Y方向の端部には、後述するストッパアーム16の溝部16b,16cと選択的に係合する係合ピン8bが−Z方向に立設されている。また、ディスクセレクタ8は、カバーシャーシ9に設けられたスプリング103によって、上面視で反時計回り方向、言い換えると、当接ピン8aが光ディスク200と当接する方向(すなわち、係合ピン8bが、後述するストッパアーム16の溝部16b,16cと係合する方向)に回動するよう付勢されている。ディスクセレクタ8は、また、スプリング103の付勢力により、ディスクセレクタ8のY方向における移動範囲において、最も+Y方向の位置が初期位置となる。
【0019】
図3に示すように、カバーシャーシ9の−Z側には、クランパアーム12が取り付けられている。クランパアーム12は、その+Y方向の端部近傍において、カバーシャーシ9に設けられたX方向の回動軸9a,9bにより回動可能に支持されている。また、クランパアーム12は、カバーシャーシ9に設けられたスプリング101(図1)により、−Y方向の端部が+Z方向に回動する方向に付勢されている。クランパアーム12の−X方向の側部にはカムピン12dが立設されており、このカムピン12dは、後述するスライダ18のカム部18bに係合している。カムピン12dとカム部18bとの係合により、クランパアーム12は回動軸9a,9bを中心として回動する。光ディスク200の収納動作が完了した状態では、クランパアーム12は水平面(XY面)と平行な姿勢になり、それ以外の状態では水平面に対して傾斜した姿勢に制御される。
【0020】
図4は、クランパアーム12と、このクランパアーム12に取り付けられた各構成部品を示す分解斜視図である。クランパアーム12には、上クランパ13、下クランパ14、ディスクストッパ15およびストッパアーム16が保持されている。
【0021】
上クランパ13および下クランパ14は、クランパアーム12の−Y方向の先端部近傍に配置され、光ディスク200を後述するターンテーブル52(図7)との間で圧着保持するものである。上クランパ13と下クランパ14との間には、図示しないマグネットが保持されている。クランパアーム12のX方向における略中央には、Y方向に延在するガイド溝12bが形成されている。
【0022】
ディスクストッパ15は、X方向に長い長尺形状を有しており、そのX方向の略中央には、+Z方向に突出するボス部15cと、その+Y側に隣接する突起であるガイド部15dとが設けられている。ディスクストッパ15は、ボス部15cおよびガイド部15dがクランパアーム12のガイド溝12bに係合することで、Y方向に移動可能に案内される。また、ディスクストッパ15は、その長手方向(X方向)両端に、光ディスク200の外縁と当接可能な一対の当接ピン15a(図3)を有しており、当該当接ピン15aよりもX方向内側に、光ディスク200の外縁と当接可能な一対の当接ピン15b(図3)を有している。内側の一対の当接ピン15bは、通常時において、光ディスク200に当接するものである。一方、外側の一対の当接ピン15aは、小径の光ディスク200がディスク出入口SLに対して片寄せされて挿入された場合に、その光ディスク200を内側の一対の当接ピン15bに向けて案内するものである。
【0023】
図4に示すように、ストッパアーム16は、ディスクストッパ15と共に光ディスク200の停止位置を規制するものであり、長尺形状を有し、その長手方向略中央部に円形の穴部16gを有している。この穴部16gに、クランパアーム12に立設された支持ピン12aが係合することにより、ストッパアーム16は回動可能に保持されている。ストッパアーム16は、その長手方向一端の近傍に、長穴(溝)状の係合部16aを有しており、この係合部16aがディスクストッパ15のボス部15c(ガイド溝12bを+Z方向に貫通している)と係合している。ディスクストッパ15がガイド溝12bに沿ってY方向に移動すると、その直進移動がボス部15cと係合部16aとの係合によりストッパアーム16の穴部16g(支持ピン12a)を中心とした回動に変換される。
【0024】
ストッパアーム16の係合部16aが形成された側と反対側の端部には、穴部160が形成されている。この穴部160の−Y方向の端部近傍および+Y方向の端部近傍には、それぞれ、上述したディスクセレクタ8の係合ピン8bと係合可能な第1の溝部16bおよび第2の溝部16cが形成されている。また、第1の溝部16bと第2の溝部16cとの間には、ストッパアーム16の回動中心(穴部16gの中心)と同軸の円弧に対し、第1の溝部16bから第2の溝部16cに向かって、回動中心からの距離が減少する方向に延在する第1の斜面16dと、この第1の斜面16dの終端部から第2の溝部16cにかけて、回動中心からの距離が増加する方向に延在する第2の斜面16eとが形成されている。第1の斜面16dおよび第2の斜面16eは、略V字状に連続して形成されている。ここでは、第1の斜面16dは曲線状に形成されており、第2の斜面16eは直線状に形成されている。
【0025】
ストッパアーム16の第1の溝部16bには、直径(外径)8cmの小径の光ディスク200が挿入された場合に、ディスクセレクタ8の係合ピン8bが係合する。また、ストッパアーム16の第2の溝部16cには、直径12cmの大径の光ディスク200が挿入された場合に、ディスクセレクタ8の係合ピン8bが係合する。この選択は、後述するようにディスクセレクタ8の当接ピン8aが光ディスク200の外縁に当接して回動することにより行われる。
【0026】
このようにディスクセレクタ8の係合ピン8bをストッパアーム16の第1の溝部16bまたは第2の溝部16cとを係合させる理由は、異なる直径の光ディスク200をそれぞれの直径に応じた所定の位置で停止させ、ディスクセレクタ8を−Y方向に移動させてクランプ動作に移行するためである。ディスクセレクタ8の係合ピン8bが、ストッパアーム16の第1の溝部16bまたは第2の溝部16cと係合した状態で、ストッパアーム16が−Y方向に移動すると、上述したボス8cが長穴部9c(図3)内で移動することにより、ディスクセレクタ8が−Y方向に所定距離だけ移動する。
【0027】
図1に示すように、ストッパアーム16は、クランパアーム12に設けられたスプリング(付勢部材)102により、穴部16gを中心とした所定の回動方向(上面視で時計回り方向)に付勢されている。この回動方向は、(図4に示した係合部16aとボス部15cとの係合により)ディスクストッパ15が−Y方向に移動する方向である。クランパアーム12上には、上クランパ13に隣接するように、ディスクストッパ15が−Y方向に移動した際に当接するクッションプレート17が設けられている。ディスクストッパ15に形成された当て面15e(図4)が、クッションプレート17に当接することにより、ディスクストッパ15の初期位置が決定される。
【0028】
<ディスクガイド>
ディスクガイド20は、後述する搬送ローラ23との間で光ディスク200を圧着保持し、光ディスク200を案内するものである。ディスクガイド20は、図3および図5に示すようなX方向に長い長尺形状を有している。ディスクガイド20は、搬送ローラ23に対向する面(XY面に平行な面)をなす基底部Bと、この基底部Bから−Z方向に突出する第1、第2および第3の突状20a,20b,20cとを有している。
【0029】
これら突条20a,20b,20cは、ディスク出入口SLに近い側から、第3の突条20c、第2の突条20bおよび第1の突条20aの順に配置されている。より詳細には、第1の突条20aは、搬送ローラ23の近傍で、且つ搬送ローラ23より+Y方向側に配置されている。これに対し、第2の突条20bは、搬送ローラ23の近傍で、且つ、搬送ローラ23より−Y方向側に配置されている。さらに、第3の突条20cは、第2の突条20bより更に−Y方向側で、かつ、ディスク出入口SLの近傍に配置されている。
【0030】
第1、第2および第3の突条20a,20b,20cは、いずれもX方向を長手方向とし、X方向中央部から両端部にかけて、搬送ローラ23側(−Z方向)への突出量が大きくなるようなテーパを有している。第1、第2および第3の突条20a,20b,20cは、それぞれX方向の長さを例えば34mmとし、テーパ角度を例えば1.9°とする。また、ここでは、第1、第2および第3の突条20a,20b,20cのX方向中央部は、基底部Bと同じ高さにある(すなわち突出量が0である)。
【0031】
ディスクガイド20の基底部BのX方向中央部には、搬送ローラ23に対向する位置から第1の突条20aに向かって、矩形状の凹部20dが形成されている。凹部20dは、+Z方向(すなわち搬送ローラ23から離れる方向)に深さを有している。
【0032】
凹部20dのX方向の幅は、例えば40mmであり、Y方向の長さは、例えば13mmである。また、凹部20dの深さは、例えば1mmである。ここでは、凹部20dは、ディスクガイド20の+Y方向端部(ディスク出入口SLから離れた側の端部)まで達している。
【0033】
また、矩形状の凹部20dのX方向両端をなす2辺は、Y方向(ディスク搬送方向)と略平行に延在しており、一対のエッジ20eを形成している。凹部20dのY方向両端をなす2辺は、X方向と略平行に延在している。
【0034】
凹部20dは、そのエッジ20eが、第1の突条20aのX方向内側(中央部側)の端部に、ほぼ連接するように形成されている。すなわち、後述するようにディスク出入口SLから挿入された光ディスク200の搬送開始直後は、光ディスク200の外縁が凹部20dのエッジ20eに接触した状態で+Y方向に搬送されるが、光ディスク200の外縁とエッジ20eとの接触が終了する前に、光ディスク200の外縁が第1の突条20aとの接触を開始するように構成されている。
【0035】
図5に示した例では、第1の突条20aの中央部側の端部は、ディスクガイド20の基底部Bと略同じ高さにあり、凹部20dのエッジ20eに連接している。但し、完全に連接していなくても、光ディスク200が+Y方向に搬送される際に、光ディスク200の外縁とエッジ20eとの接触が終了する前に、光ディスク200の外縁が第1の突条20aとの接触を開始できればよい。
【0036】
光ディスク200の外周が凹部20dのエッジ20eに接触しているときには、光ディスク200の+Y方向の先端部は凹部20d内に位置するため、ディスクガイド20の基底部Bと接触することはない。これにより、光ディスク200の搬送方向の先端部分の、ディスクガイド20の基底部Bとの接触による擦り傷の発生を防止している。
【0037】
なお、第1、第2および第3の突条20a,20b,20cの高さは、先端部分が搬送ローラ23を通過した光ディスク200が、第1の突条20aに接触するまでの間、光ディスク200の外縁が凹部20dのエッジ20eと第3の突条20cと接触するような高さに設定されている。
【0038】
なお、図5に示すように、ディスクガイド20には、後述するフォトダイオード31aとフォトトランジスタ31b(ディスク挿入検知手段31)に対向する開口部201,202と、フォトダイオード32aおよびフォトトランジスタ32b(ディスク排出検知手段32)に対向する開口部203,204が形成されている。
【0039】
<光ディスクの搬送とクランプ動作のための構成>
次に、図6、図7、図8A、図8B、図8C、図9Aおよび図9Bを用いて、光ディスク200の搬送とクランプ動作のための構成について説明する。図6は、ディスク装置1を左前方から見た分解斜視図である。図7は、ディスク装置1を右前方から見た分解斜視図である。図8Aおよび図8Bは、光ディスク200の収納動作を開始した直後の状態を示す斜視図および平面図であり、図8Cは、光ディスク200の収納動作を開始した直後の光ディスクとディスクガイドを示す図である。
【0040】
図8Aに示すように、メインシャーシ11にはディスク出入口SLの近傍にローラアーム21が取り付けられている。ローラアーム21は、X方向に長く、長手方向の両端に設けられた一対の支持ピン21aをX方向の回動軸として、メインシャーシ11に回動可能に取り付けられている。ローラアーム21の回動側の先端の長手方向両端には、プラスチックで形成された一対のベアリング22が取り付けられている。ベアリング22には、軸方向をX方向とするシャフト60が回動可能に取り付けられている。このシャフト60には、例えばゴムローラからなる搬送ローラ23が取り付けられている。この搬送ローラ23は、後述するテーパを有する略円筒状の2つのローラ部材を、軸方向(X方向)に並ぶようにシャフト60に取り付けたものである。
【0041】
ローラアーム21は、また、図示しないスプリングにより、搬送ローラ23がディスクガイド20との間で光ディスク200を圧着する方向に付勢されている。シャフト60の近傍には、ローラアーム21の−X側の端部から更に−X方向に延在する当接ピン21bが設けられている。この当接ピン21bは、後述するスライダ18に当接するものである。スライダ18と当接ピン21bとの当接により、ローラアーム21が支持ピン21aを中心として回動し、搬送ローラ23による光ディスク200の圧着および圧着の解除が行われる。
【0042】
搬送ローラ23の2つのローラ部材は、それぞれ、図8Cに示すように、それぞれが一対のベアリング22の間隔をほぼ2等分する長さを有している。各ローラ部材は、環状(ドーナツ状)の断面を有し、各ベアリング22から遠ざかるにつれて(シャフト60の軸方向中心に近づくにつれて)外径が減少するテーパを有している。すなわち、搬送ローラ23は、全体として、軸方向中央部から端部にかけて外径が大きくなる形状を有している。搬送ローラ23の内径はシャフト60の外径よりも僅かに大きく構成されているが、シャフト60と一体的に回転する。なお、ここでは、搬送ローラ23が2つのローラ部材を有する場合について説明したが、軸方向中央部から端部にかけて外径が大きくなる形状の一本の搬送ローラを用いてもよい。
【0043】
シャフト60の軸方向(X方向)一端部には、平歯車で構成されるローラギア24が圧入により取り付けられている。ローラギア24は、後述する第2のギア29に係合して回転し、ローラギア24と共にシャフト60および搬送ローラ23が回転する。これにより、搬送ローラ23とディスクガイド20との間で光ディスクを圧着保持した状態で、搬送ローラ23が回転して光ディスク200を収納方向または排出方向に搬送する。
【0044】
メインシャーシ11の−X方向の側壁近傍には、スライダ18が取り付けられている。スライダ18は、図8Aに示すように、Y方向に長い長尺形状を有し、Y方向に所定距離(15mm程度)往復移動可能に支持されている。スライダ18の−Y方向の端面には、上述したローラアーム21の当接ピン21bに当接して−Z方向に付勢する斜面18aが形成されている。また、スライダ18の+Y方向の端面近傍には、クランパアーム12のカムピン12dと係合する階段状のカム部(カム溝)18bが形成されている。また、スライダ18は、−Y方向の端部近傍に、長穴を有しており、この長穴の一部にY方向に沿ってラック18cが形成されている。
【0045】
スライダ18は、図示しないスプリングにより+Y方向に付勢されている。スライダ18が動作範囲の最も+Y側に位置するときには、カムピン12dとカム部18bとの係合により、クランパアーム12は水平面に対して傾斜した姿勢に保たれる。これにより、クランパアーム12の回動先端に保持された下クランパ14と、搬送される光ディスク200との隙間が確保される。一方、スライダ18が移動範囲の最も−Y側に位置するときには、カムピン12dとカム部18bとの係合により、クランパアーム12は水平面に対して平行な姿勢に保たれる。この状態で、クランパアーム12に搭載されたクランパ13および下クランパ14は、両者の間に保持されたマグネット(図示せず)により、光ディスク200を後述するターンテーブル52に圧着する。
【0046】
図7に示すように、スライダ18には、Y方向に長い長尺部材であるスライダトリガ19が、Y方向に相対的に所定距離(例えば4mm程度)往復動可能に取り付けられている。スライダトリガ19は、その−Y側に、Y方向に長いラック19aを有している。スライダトリガ19がスライダ18に対する相対移動範囲の−Y方向の終端にあるときに、スライダトリガ19のラック19aはスライダ18のラック18cと同じ位相になる。また、スライダトリガ19の+Y方向の端部近傍(ラック19aと反対側の端部近傍)には、+X方向に突出する突起部19bが形成されている。この突起部19bは、図8Aに示すように、ディスクセレクタ8に形成されたL字曲げ部8dの側端面と当接している。同じく図8Bに示すように、スライドトリガ19の突起部19bの近傍に形成されたフック部19cと、ディスクセレクタ8に形成されたフック部8eとの間にスプリング104が張架されており、スライドトリガ19とディスクセレクタ8とがY方向に所定距離(例えば4mm程度)一体的に移動できるよう構成されている。なお、スプリング101〜104は、他の図面では必要に応じて省略されている。
【0047】
スライダトリガ19の初期位置は、ディスクセレクタ8の初期位置によって決定される。この初期位置は、スライダトリガ19がスライダ18に対して相対移動可能な4mm程度の移動範囲において最も+Y側の位置である。従って、スライダトリガ19は、初期位置から+Y方向に移動することはできない。一方、スライダトリガ19は、初期位置から−Y方向に移動することは可能であり、ディスクセレクタ8と一体的に4mm程度移動すると、その後はスライダ18と一体的に15mm程度する。
【0048】
<駆動機構の構成>
次に、駆動機構の構成を説明する。図6に示すように、メインシャーシ11において、ローラギア24の近傍には、駆動機構を搭載したモータベース25が取り付けられている。モータベース25には、駆動源であるモータ26とギア列とが取り付けられている。モータ26の回転軸には、ウオームギア27が一体的に取り付けられている。このウオームギア27は、搬送ローラ23の回転軸と平行な(モータベース25に一体的に設けられた)回転軸に取り付けられた第1のギア28と係合している。第1のギア28は、その軸方向にハスバ歯車と平歯車とを有して構成されており、ハスバ歯車の部分がウオームギア26に係合している。一方、第1のギア26の平歯車の部分には、第1のギア28の回転軸と平行な回転軸に取り付けられた第2のギア29の大歯車部が係合している。
【0049】
第2のギア29は、その軸方向に小歯車部と大歯車部とを有して構成され、いずれも平歯車からなる。第2のギア29の小歯車部は、スライダ18のラック18cおよびスライダトリガ19のラック19aが所定の移動範囲にあるときにこれらと係合する。また、第2のギア29の大歯車部は、第1のギア28の平歯車部とは常時係合しており、ローラギア24が所定の移動範囲にあるときにローラギア24とも係合する。すなわち、搬送ローラ23が光ディスク200を搬送するときには、第2のギア29の大歯車部とローラギア24とが係合するが、光ディスク200の搬送を完了してクランプ動作に移行する際には、ローラアーム21がスライダ18の斜面18aに付勢されて回動するため、第2のギア29の大歯車部とローラギア24との係合が解除される。
【0050】
<トラバースユニットの構成>
次に、光ディスク200に信号を記録し、または光ディスク200の信号を再生する光ピックアップ53を含むトラバースユニット51の構成について、図6および図7を参照して説明する。トラバースユニット51は、メインシャーシ11にネジ止めにより取り付けられている。トラバースユニット51には、光ディスク200を載置して回転させるターンテーブル52と、このターンテーブル52を回転駆動するスピンドルモータ53と、レーザを用いて光ディスク200に信号を記録し、または光ディスク200の信号を再生する光ピックアップ53が保持されている。光ピックアップ53は、光ピックアップ駆動機構51aにより、光ディスク200の半径方向に移動する。
【0051】
ターンテーブル52の中央部には、光ディスク200の中心孔をターンテーブル52に同軸に載置するためのテーパ面を有する凸部52aが形成されている。凸部52aの先端には、上クランパ13および下クランパ14に保持されるマグネット(図示せず)との間で吸引力を発生させるための吸引板(図示せず)が配置されている。上クランパ13および下クランパ14がターンテーブル52に近接すると、この吸引力により、光ディスク200は下クランパ15とターンテーブル52との間で圧着保持される。
【0052】
<光ディスクの検知のための構成>
次に、光ディスク200の挿入および排出を検知するための構成について、図6および図7を参照して説明する。ディスクガイド20の下面(−Z側の面)に対向するように、かつ、搬送ローラ23の−Y側の近傍に、ディスク挿入検知手段31を構成するフォトダイオード31aとフォトトランジスタ31bとが配置されている。フォトダイオード31aおよびフォトトランジスタ31bは、X方向に一定間隔を開けて配置されており、ディスクガイド20には、フォトダイオード31aから出射された光を反射し、フォトトランジスタ31bに向けて出射するプリズム33が取り付けられている。光ディスク200が搬送ローラ23の位置まで挿入されていない状態では、フォトダイオード31aから出射された光がプリズム33で反射され、フォトトランジスタ31bに入射する。これに対し、光ディスク200が搬送ローラ23の位置まで挿入されている状態では、フォトダイオード31aから出射された光が光ディスク200に遮られるため、フォトトランジスタ31bには入射しない。これにより、挿入口から搬送ローラ23までの区間における光ディスク200の有無を検知することができる。
【0053】
また、ディスク挿入検知手段31の+Y側に隣接して、ディスク排出検知手段32を構成するフォトダイオード32aおよびフォトトランジスタ32bが配置されている。フォトダイオード32aおよびフォトトランジスタ32bは、X方向に一定間隔を開けて、搬送ローラ23に対して+Y側の近傍に配置されている。ディスクガイド20には、フォトダイオード32aから出射された光を反射し、フォトトランジスタ32bに向けて出射するプリズム34が取り付けられている。光ディスク200の排出時において、光ディスク200の+Y方向の端部が搬送ローラ23に達するまでは、フォトダイオード32aから出射された光が光ディスク200に遮られるため、フォトトランジスタ32bには入射しない。これに対し、排出される光ディスク200の+Y方向の端部が搬送ローラ23上を通過すると、フォトダイオード32aから出射された光がプリズム34で反射され、フォトトランジスタ32bに入射する。これにより、光ディスク200が搬送ローラ23により完全に排出される直前の状態(かつ、光ディスク200が搬送ローラ23とディスクガイド20の間で保持されている状態)を検知することができる。
【0054】
なお、上述したディスク挿入検知手段31およびディスク排出検知手段32は、ローラアーム21の下方(−Z方向)に配置された共通の基板30に取り付けられている。また、ローラアーム21には、ディスク挿入検知手段31およびディスク排出検知手段32の各光路を遮らない位置に開口部が設けられており、ディスクガイド20には上述した開口部201〜204が設けられている。
【0055】
<ディスクローディング装置による光ディスクの収納動作と排出動作>
上記のように構成されたディスクローディング装置において、直径12cmの大径の光ディスク200がターンテーブル52に装着され、光ディスク200に信号が記録され、または光ディスク200の信号が再生されるまでの動作を、図8A〜図12Bを参照して説明する。
【0056】
図8Aおよび図8Bは、光ディスク200の収納動作の開始直後の状態を示す斜視図および平面図であり、図8Cは、光ディスク200の収納動作を開始した直後の光ディスクとディスクガイドの接触位置を示す図である。ユーザにより光ディスク200がディスク出入口SLに挿入され、ディスク挿入検出手段31(図6、図7)により光ディスク200の挿入が検知されると、図示しない制御部がモータ26を駆動して一定方向に回転させ、これによりウオームギア27、第1のギア28および第2のギア29が常時回転する。このとき、ローラギア24は、第2のギア29の大歯車部に係合しており、シャフト60と共に搬送ローラ23が回転する。その結果、光ディスク200は、搬送ローラ23とディスクガイド20との間で圧着保持された状態で、+Y方向に搬送される。
【0057】
このときの光ディスク200の搬送状態について、さらに説明する。ユーザにより挿入された光ディスク200がディスク挿入検出手段31(図6、図7)によって検知され、搬送ローラ23が回転を開始すると、光ディスク200は、図8Cに示すように、搬送ローラ23とディスクガイド20とで挟持された状態で+Y方向に搬送される。
【0058】
光ディスク200の搬送方向(+Y方向)の先端部分が搬送ローラ23を通過してから、光ディスク200の外縁が第1の突条20aと接触するまでの間は、光ディスク200の外縁は、図8Cに示すM部およびN部でエッジ20eに接触し、K部およびL部で第3の突条20cに接触する。そのため、光ディスク200は、搬送方向の先端側が後端側より+Z方向に位置するように傾斜した状態で搬送される。
【0059】
光ディスク200の外縁がエッジ20eに接触している状態では、光ディスク200の搬送方向の先端部分は、ディスクガイド20の基底部Bより+Z方向に位置することになるが、光ディスク200の先端部分に対向する位置には凹部20dが形成されているため、光ディスク200の先端部分とディスクガイド20の基底部Bとは接触しない。従って、光ディスク200の先端部分(例えば、レーベル面側の外縁から5mm程度の部分)に、ディスクガイド20との接触による擦り傷が生じることが防止される。
【0060】
搬送ローラ23の回転により光ディスク200がさらに+Y方向に搬送されると、光ディスク200の外縁が第1の突条20aに接触する。このとき、凹部20dが、第1の突条20aのX方向の中央部側の端部にほぼ連接するように形成されているため、光ディスク200がエッジ20eとの接触を終える前に、第1の突条20aとの接触を開始する。すなわち、ディスク200がエッジ20eに接触している状態から、第1の突条20aに接触する状態に連続的に移行する。そのため、光ディスク200とディスクガイド20の基底部Bとが接触することはない。
【0061】
その後、搬送ローラ23がさらに回転すると、光ディスク200は、外縁を第1の突条20a、第2の突条20bおよび第3の突条20cに接触させた状態で、+Y方向に搬送される。
【0062】
図9Aおよび図9Bは、+Y方向に搬送される光ディスク200が、外縁がディスクストッパ15の一対の当接ピン15b(図3)に当接する位置に達した状態を示す斜視図および平面図である。+Y方向に搬送される光ディスク200の外縁がディスクセレクタ8の当接ピン8aに当接すると、当接ピン8aが光ディスク200の外縁により−X方向に付勢されることになるため、ディスクセレクタ8はボス部8cを中心に上面視で時計回り方向に回動する。これにより、ディスクセレクタ8の係合ピン8bが、ストッパアーム16の第1の溝部16b(図4)から抜け出し、係合ピン8bと第1の溝部16bとの係合が解除される。これにより、ストッパアーム16は、上面視で反時計回り方向に回動可能となり、ディスクストッパ15は+Y方向に移動可能となる。
【0063】
図10Aおよび図10Bは、ディスクセレクタ8の係合ピン8bがストッパアーム16の第2の溝部16cに係合した状態を示す斜視図および平面図である。モータ26が回転を続け、光ディスク200がさらに+Y方向に搬送され、光ディスク200に付勢されてディスクストッパ15が+Y方向に移動すると、ボス部15cと係合部16aとの係合により、ディスクストッパ15に連動してストッパアーム16が上面視で反時計回り方向に回動し、図10Aおよび図10Bに示すように、ディスクセレクタ8の係合ピン8bがストッパアーム16の第2の溝部16cと係合する。
【0064】
図11Aおよび図11Bは、スライダトリガ19がディスクセレクタ8と共に−Y方向に移動し、スライダ18と一体的に移動を開始する状態を示す斜視図および平面図である。ディスクセレクタ8の係合ピン8bがストッパアーム16の第2の溝部16cと係合した状態から、光ディスク200が僅かに+Y方向に搬送されると、ストッパアーム16の回動がディスクセレクタ8の−Y方向の直進移動(ボス8cが、図3に示した長穴部9c内を移動することによる)に変換される。ディスクセレクタ8とスライダトリガ19は、スプリング104(図8B)の作用により一体的に移動し、−Y方向に4mm程度移動する。この動作が完了した時点で、ディスクセレクタ8は移動範囲の−Y方向の終端に達しており、従ってディスクストッパ15とストッパアーム16はこれ以上動作することができない。また、光ディスク200はターンテーブル52を+Y方向に僅かに超えた位置で停止させられている。この状態で、スライダトリガ19のラック19aは、第2のギア29の小歯車部に係合する。また、スライダトリガ19は、スライダ18に対する相対移動可能な範囲(4mm)の−Y方向の終端に達しているため、これ以降はスライダトリガ19とスライダ18とが一体的に−Y方向に移動し、その移動開始直後に、スライダ18のラック18c(スライダトリガ19のラック19aと同位相)も第2のギア29の小歯車部に係合する。
【0065】
図12Aおよび図12Bは、スライダ18およびスライダトリガ19が−Y方向の終端まで移動した状態を示す斜視図および平面図である。モータ26がさらに回転を続けると、スライダ18およびスライダトリガ19は、ラック18c,19aと第2のギア29の小歯車部との係合により、一体的に−Y方向に15mm程度移動する。このとき、スライダ18の斜面18aがローラアーム21の当接ピン21bに当接して−Z方向に付勢するため、ローラアーム21が支持ピン21aを中心として回動し、搬送ローラ23が−Z方向に移動する。これにより、搬送ローラ23による光ディスク200の圧着保持が解除され、また、ローラギア24と第2のギア29の大歯車部との係合も解除される。
【0066】
さらに、クランパアーム12のカムピン12dとスライダ18のカム部18bとの係合により、クランパアーム12が回動軸9a(図3)を中心として揺動し、クランパアーム12が水平面(XY面)に対して平行な姿勢となる。上述した搬送ローラ23の−Z方向への移動(下降)に伴い、光ディスク200も下降し、ターンテーブル52の凸部52aのテーパ面に案内されて僅かに−Y方向に移動し、クランパアーム12に搭載された下クランパ14とターンテーブル52との間で圧着保持される。このときの光ディスク200の僅かな−Y方向の移動により、光ディスク200とディスクストッパ15の当接ピン15bの間に隙間が確保され、光ディスク200はディスクストッパ15に接触せずに回転することが可能になる。
【0067】
上述したスライダ18およびスライダトリガ19の−Y方向の移動により、スライダトリガ19とディスクセレクタ8との間に張架されたスプリング104は大きく変位し、そのバネ力(付勢力)はスプリング102およびスプリング103のバネ力を大きく上回る。これにより、ディスクセレクタ8は−Y方向に付勢され、ディスクストッパ15はストッパアーム16を介して+Y方向に付勢される。言い換えると、ディスクストッパ15、ストッパアーム16及びディスクセレクタ8がそれぞれの初期位置に戻ることが防止される。従って、振動などにより光ディスク200の外縁とディスクストッパ15の当接ピン15bとが接触することが防止される。
【0068】
スライダ18がその移動範囲の−Y方向の終端に達すると、図示しない終端検知手段がこれを検知し、図示しない制御部はモータ26の回転を停止し、光ディスク200のディスク装置1内への収納動作が完了する。そののち、スピンドルモータ53により光ディスク200が回転し、光ピックアップ54により信号の記録動作または再生動作が開始される。
【0069】
なお、光ディスク200の排出は上記と逆の動作によって行われるため、排出動作の詳細な説明は省略する。
【0070】
以上の説明は、直径12cmの大径の光ディスク200の収納動作および排出動作についてであるが、直径8cmの小径の光ディスク200の場合も、ほぼ同様に収納動作および排出動作が行われる。但し、小径の光ディスク200の収納動作時には、光ディスク200の外縁がディスクセレクタ8の当接ピン8aに当接しないため、ディスクセレクタ8は回動せず、ディスクセレクタ8の係合ピン8bがアームストッパ16の第1の溝部16bに係合した状態が保たれる。この状態で、挿入された光ディスク200がディスクストッパ15に当接すると、ディスクセレクタ8は(ボス8cが図3に示した長穴部9c内を移動することにより)+Y方向に移動し、上述したようにスライダ18及びスライダトリガ19を介して、光ディスク200のクランプ動作への移行が行われる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態1では、光ディスク200が搬送ローラ23によりディスクガイド20に圧着されて搬送が開始された直後、つまり、光ディスク200の搬送方向の先端部分が搬送ローラ23を通過してから、光ディスク200が第1の突条20aと接触するまでの間、光ディスク200は、外縁が凹部20dのエッジ20eおよび第3の突条20cと接触した状態で搬送される(図8C)。このとき、光ディスク200の先端部分は、ディスクガイド20の基底部Bより+Z方向に位置するが、ディスクガイド20の光ディスク200の先端部分に対向する位置に凹部20dが形成されているため、光ディスク200の先端部分とディスクガイド20とは接触せず、十分なクリアランスを確保することができる。従って光ディスク200の先端部分に、ディスクガイド20との接触による薄い擦り傷が発生することを防止することができる。
【0072】
また、ディスクガイド20に凹部20dを設けることによって、他の構成部品を追加せずに上記の効果を達成できるため、ディスクローディング装置(およびこれを備えたディスク装置1)の小型化に資することができる。また、光ディスク200を長い期間に亘って使用することが可能になるため、環境負荷を低減することができる。
【0073】
また、ディスクガイド20の凹部20dが、Y方向に延在するエッジ20eを有し、このエッジ20eが、第1の突条20aのX方向の内側(中央部側)の端部にほぼ連接しているため、光ディスク200の外縁をエッジ20eに接触させた状態で光ディスク200を搬送し、この状態から、光ディスク200の外縁が第1の突条20aに接触する状態に連続的に移行することができる。そのため、光ディスク200の先端部分とディスクガイド20の基底部Bとの接触を確実に防止することができる。
【0074】
また、ディスクガイド20の凹部20dが、ディスクガイド20の+Y方向の端部まで達するよう形成されているため、光ディスク200の先端部分とディスクガイド20の基底部Bとの接触を防止することができる上、凹部20dを比較的容易に形成することができる。
【0075】
なお、上記の実施の形態1では、ディスクガイド20の凹部20dのX方向の幅を約40mmとした。従来のディスクローディング装置での光ディスクの200の先端部分の擦り傷は、常温下では20mm程度だが、80℃の環境下では光ディスク200の剛性が大きく低下するために35mm程度の幅に増大することを実験にて確認しており、この実験結果に基づいて上記のように設定した。
【0076】
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2に係るディスクローディング装置のディスクガイド20を示す斜視図である。実施の形態2に係るディスクローディング装置のディスクガイド20は、実施の形態1で示したディスクガイド20の凹部20dに相当する部分を、X方向の幅が約40mmの開口部20fで形成したものである。この開口部20fは、ディスクガイド20の表裏をZ方向に貫通している。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0077】
このように構成した場合でも、光ディスク200の搬送方向の先端部分が搬送ローラ23を通過してから、光ディスク200が第1の突条20aと接触するまでの間、光ディスク200は、外縁が凹部20dのエッジ20eおよび第3の突条20cと接触した状態で搬送され、このとき、光ディスク200の先端部分がディスクガイド20の基底部Bより+Z方向に位置するが、ディスクガイド20の光ディスク200の先端に対向する位置には開口部2fが形成されているため、光ディスク200の先端とディスクガイド20とは接触しない。従って、光ディスク200の先端部分に、ディスクガイド20との接触による薄い擦り傷が発生することを防止することができる。すなわち、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0078】
なお、上述した各実施の形態では、ディスクガイド20に第1、第2および第3の突条20a,20b,20cを設けた例について説明したが、少なくとも、搬送ローラ23を挟んで+Y方向と−Y方向に、第1の突条20aと第2の突条20bが設けられていればよい。但し、第3の突条20cを設けることによって、より安定した光ディスク200の搬送が可能になることは言うまでもない。
【0079】
また、上述した各実施の形態では、複数種類の直径の光ディスク200に対応するため、ディスクセレクタ8等を備えたディスクローディング装置について説明したが、本発明は、一定の直径の光ディスクのみ使用可能なディスクローディング装置(すなわち、上述したディスクセレクタ8等を有さないもの)にも適用できる。
【0080】
また、上述した各実施の形態では、8cmおよび12cmの直径の光ディスクを用いた場合について説明したが、他の直径の光ディスクを用いてもよいことは言うまでもない。
【0081】
本発明は、車載用のディスク装置を始め、種々のディスク装置に適用することができる。使用するディスクとしては、例えばコンパクト・ディスクやディジタル・バーサタイル・ディスクなど、種々の光ディスクを用いることができ、さらに、光ディスク以外のディスク媒体を用いることもできる。
【符号の説明】
【0082】
1 ディスク装置、 8 ディスクセレクタ、 8a 当接ピン、 8b 係合ピン、 8c ボス、 12 クランパアーム、 15 ディスクストッパ、 15b 当接ピン、 16 ストッパアーム、 16b 第1の溝部、 16c 第2の溝部、 16d 第1の斜面、 16e 第2の斜面、 18 スライダ、 19 スライダトリガ、 20 ディスクガイド、 20a 第1の突条、 20b 第2の突条、 20c 第3の突条、 20d 凹部、 20e エッジ、 20f 開口部、 21 ローラアーム、 23 搬送ローラ、 26 モータ、 53 ターンテーブル、 101,102,103,104 スプリング、 200 光ディスク、 B 基底部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な搬送ローラと、前記搬送ローラに略対向して配置されたディスクガイドとを備え、挿入口から挿入されたディスクを、前記搬送ローラと前記ディスクガイドとの間で挟持して前記搬送ローラの軸方向に直交する方向に搬送するディスクローディング装置であって、
前記ディスクガイドは、前記搬送ローラに対向する面に、前記搬送ローラに対して前記挿入口から遠い側に第1の突条を有し、前記搬送ローラに対して前記挿入口に近い側に第2の突条を有し、
前記第1の突条および前記第2の突条は、いずれも前記搬送ローラの軸方向と略平行な方向を長手方向とし、前記搬送ローラの軸方向における中央部から両端部にかけて、前記搬送ローラ側への突出量が大きくなるようなテーパを有し、
前記ディスクガイドの、前記搬送ローラの軸方向における中央部には、前記搬送ローラに対向する位置から第1の突条に向かって凹部が形成されており、前記凹部は、前記ディスクガイドの前記面をなす基底部よりも前記搬送ローラから離れる方向に深さを有し、
前記凹部は、前記第1の突条の前記中央部側の端部にほぼ連接するように形成されている
ことを特徴とするディスクローディング装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記ディスクの搬送方向と略平行な一対のエッジを有することを特徴とする請求項1に記載のディスクローディング装置。
【請求項3】
前記第1の突条の前記中央部側の端部は、前記基底部と同じ高さにあり、前記凹部の前記エッジに連接するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のディスクローディング装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記ディスクガイドに形成された開口部であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のディスクローディング装置。
【請求項5】
前記凹部は、前記ディスクガイドの、前記挿入口から離れた側の端部まで達していることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のディスクローディング装置。
【請求項6】
前記第2の突条と前記挿入口との間に、さらに第3の突条を備え、
前記第3の突条は、前記搬送ローラの軸方向と略平行な方向を長手方向とし、前記搬送ローラの軸方向における中央部から両端部にかけて、前記搬送ローラ側への突出量が大きくなるようなテーパを有する
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のディスクローディング装置。
【請求項7】
前記搬送ローラは、当該搬送ローラの軸方向における中央部から両端部に近づくにつれて外径が大きくなる形状を有していることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のディスクローディング装置。
【請求項8】
前記挿入口を有する筺体と、
請求項1から7までのいずれか1項に記載のディスクローディング装置と
を備えたことを特徴とするディスク装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−181887(P2012−181887A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42456(P2011−42456)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】