説明

ディスク成形用金型、鏡面盤及びディスク基板

【課題】各ディスク同士が貼り付くのを十分に防止することができ、印刷範囲を広くすることができるようにする。
【解決手段】第1の金型と、第2の金型とを有する。第1、第2の金型のうちの一方の金型の鏡面盤の前端面に、内周側から外周側にかけて湾曲する凸面s11が形成される。凸面s11が形成されるので、ディスクの一方の面と、隣接するディスクの他方の面との間において各ディスクが互いに接触することがないので、各ディスク同士が貼り付くのを防止することができる。裏面側からレーザ光を照射することによって、ディスクに記録されたデータを読み取るようになっているので、非情報面側である表面に凹面を形成することによって、データを確実に読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク成形用金型、鏡面盤及びディスク基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク基板を成形するための射出成形機においては、加熱シリンダ内において溶融させられた樹脂をディスク成形用金型内のキャビティ空間に充填し、該キャビティ空間内において樹脂を冷却し、固化させることによってディスク基板を得るようにしている。
【0003】
そのために、前記射出成形機は、固定側の金型組立体及び可動側の金型組立体から成るディスク成形用金型、前記樹脂をキャビティ空間に充填するための射出装置、並びに前記可動側の金型組立体を固定側の金型組立体に対して接離させるための型締装置を備える。そして、該型締装置によって前記可動側の金型組立体を進退させると、ディスク成形用金型の型閉じ、型締め及び型開きが行われ、型締め時に、固定側の金型組立体の円盤プレートと、可動側の金型組立体の円盤プレートとの間にキャビティ空間が形成される。
【0004】
また、前記射出装置は、加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズル、及び前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリューを備える。
【0005】
そして、計量工程において、前記スクリューが回転させられ、樹脂が溶融させられてスクリューの前方に蓄えられ、それに伴って、スクリューが後退させられ、この間に、ディスク成形用金型の型閉じ及び型締めが行われる。次に、射出工程において、前記スクリューが前進させられ、スクリューの前方に蓄えられた前記樹脂が射出ノズルから射出され、ディスク成形用金型のスプルーを介してキャビティ空間に充填される。そして、冷却工程において、前記キャビティ空間内の樹脂が冷却され、穴開け加工が行われ、ディスク基板が成形される。続いて、型開きが行われ、前記ディスク基板が取り出される。
【0006】
ところで、完成品としてのディスクがブルーレイディスク(登録商標)である場合、ディスク基板の一方の面に微細な凹凸のパターン、すなわち、微細パターンから成る情報面が形成され、該情報面と対向させて、ディスク基板上に反射膜及びカバー層が積層されて形成され、必要に応じて更にハードコート層が積層させて形成される。そして、カバー層、ハードコート層等は、紫外線(UV)硬化樹脂を使用することによって、スピンコート法により形成される。
【0007】
この場合、紫外線硬化樹脂が十分に硬化するまでの間は、カバー層、ハードコート層等がべたつき易く、生産ラインでディスクを積み重ねると、各ディスク同士が貼り付いてしまう。
【0008】
そこで、前記ディスクの所定の箇所に突起を形成し、カバー層、ハードコート層等が形成された後の各ディスク同士が、カバー層、ハードコート層等を介して互いに接触することがないようにし、各ディスクが貼り付くのを防止するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−180251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来のディスクにおいては、前記突起が形成される位置によっては各ディスク同士が貼り付くのを十分に防止することができず、しかも、前記情報面と反対側の面、すなわち、非情報面に突起を形成して各ディスク同士が貼り付くのを防止しようとすると、印刷を施すことができる範囲、すなわち、印刷範囲がその分狭くなってしまう。
【0011】
本発明は、前記従来のディスクの問題点を解決して、各ディスク同士が貼り付くのを十分に防止することができ、印刷範囲を広くすることができるディスク成形用金型、鏡面盤及びディスク基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明のディスク成形用金型においては、第1の金型と、第2の金型とを有する。
【0013】
そして、前記第1、第2の金型のうちの一方の金型の鏡面盤の前端面に、内周側から外周側にかけて湾曲する凸面が形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ディスク成形用金型においては、第1の金型と、第2の金型とを有する。
【0015】
そして、前記第1、第2の金型のうちの一方の金型の鏡面盤の前端面に、内周側から外周側にかけて湾曲する凸面が形成される。
【0016】
この場合、前記第1、第2の金型のうちの一方の金型の鏡面盤の前端面に、湾曲する凸面が形成されるので、前記ディスク成形用金型を使用して成形されたディスク基板の一方の面に、前記凸面に対応する形状の凹面が形成される。
【0017】
したがって、前記ディスク基板上にカバー層、ハードコート層等を形成することによって製造されたディスクを積み重ねたときに、ディスクの前記一方の面と、隣接するディスクの他方の面との間において各ディスクが互いに接触することがないので、各ディスク同士が貼り付くのを防止することができる。
【0018】
また、ディスクがブルーレイディスク(登録商標)である場合、情報面である裏面側からレーザ光を照射することによって、ディスクに記録されたデータを読み取るようになっているので、非情報面である表面に前記凹面を形成することによって、データを確実に読み取ることができる。
【0019】
そして、前記ディスクの表面に突起を形成する必要がなくなるので、印刷範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における円盤プレートの要部を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるディスク成形用金型の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるディスクの製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるディスクの他の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるディスクの更に他の製造方法を説明する第1の図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるディスクの更に他の製造方法を説明する第2の図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるディスク基板の要部を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるディスクを積み重ねた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、射出成形機に使用される金型装置としてのディスク成形用金型について説明する。
【0022】
図2は本発明の実施の形態におけるディスク成形用金型の概念図である。
【0023】
図において、12は図示されない固定プラテンに、図示されないボルトによって取付板13を介して取り付けられた第1の金型としての固定側の金型組立体、32は図示されない可動プラテンに図示されないボルトによって取り付けられた第2の金型としての可動側の金型組立体であり、前記金型組立体12及び金型組立体32によってディスク成形用金型が構成される。なお、金型組立体12においては、金型組立体32に向いた方向を前方とし、金型組立体32から離れる方向を後方とする。また、金型組立体32においては、金型組立体12に向いた方向を前方とし、金型組立体12から離れる方向を後方とする。
【0024】
前記金型組立体12は、第1の支持プレートとしてのベースプレート15、該ベースプレート15に図示されないボルトによって取り付けられた環状の第1の鏡面盤としての円盤プレート16、前記取付板13内において前記固定プラテン側に臨ませて配設され、ベースプレート15を固定プラテンに対して位置決めするロケートリング23、並びにベースプレート15及び円盤プレート16内において前記ロケートリング23に隣接させて配設されたスプルーブッシュ24を備える。そして、該スプルーブッシュ24の前端に、キャビティ空間Cに臨ませて凹部から成るカット部28が形成され、該カット部28と連通させて、図示されない射出装置の射出ノズルから射出された成形材料としての樹脂を通すためのスプルー26が形成される。
【0025】
なお、前記射出装置は、シリンダ部材としての加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズル、及び前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリューを備える。
【0026】
そして、前記円盤プレート16には微細パターンが形成された、転写部材としての図示されないスタンパが取り付けられ、前記スプルーブッシュ24の前半部の径方向外方には、前記スタンパの内周縁を押さえるためのインナスタンパ押え(スタンパ押えブシュ)14が配設される。なお、前記金型組立体12には図示されないエアブローブシュ等も配設される。
【0027】
また、前記円盤プレート16の外周縁に環状の突当リング18がボルトb1によって取り付けられ、円盤プレート16及び突当リング18より径方向外方において環状の第1のガイドリング19がベースプレート15に取り付けられる。
【0028】
一方、前記金型組立体32は、ベースプレート35、該ベースプレート35にボルトb2によって取り付けられた第2の支持プレートとしての中間プレート40、該中間プレート40にボルトb3によって取り付けられた環状の第2の鏡面盤としての円盤プレート36、前記ベースプレート35内において可動プラテンに臨ませて配設され、中間プレート40にボルトb4によって取り付けられたシリンダ44、及び該シリンダ44に沿って進退させられ、前端が前記カット部28に対応する形状を有するカットパンチ48を備える。
【0029】
また、前記円盤プレート36の外周縁部において、円盤プレート36に対して移動自在に、かつ、突当リング18と対向させて環状のキャビティリング37が配設され、円盤プレート36及びキャビティリング37より径方向外方において前記第1のガイドリング19と対向させて環状の第2のガイドリング38が中間プレート40に取り付けられる。前記キャビティリング37は、ボルトb5によってロッド41に取り付けられ、該ロッド41を介して中間プレート40に対して移動自在に配設される。そして、39は図示されないボルトによって第2のガイドリング38に取り付けられたキャビティリング押えであり、該キャビティリング押え39は前記キャビティリング37の外周縁に係止させられる。また、前記キャビティリング37は、付勢部材としてのスプリング63によって、金型組立体12側に向けて付勢されることにより、円盤プレート36の前端面より突出させられ、キャビティリング37の内周面によって、ディスク基板の外周縁が形成される。
【0030】
前記シリンダ44内には、前記カットパンチ48と一体に形成されたフランジ51が進退自在に配設され、該フランジ51の後端51aが、前記シリンダ44によって受けられる。そして、フランジ51の前方にカットパンチ戻し用ばね52が配設され、該カットパンチ戻し用ばね52によって前記フランジ51が後方に付勢される。
【0031】
なお、金型組立体32を進退させ、金型組立体12に対して接離させるために、図示されない型締装置が配設される。そして、該型締装置の型締用の駆動部としての型締シリンダを駆動し、前記金型組立体32を進退させることによって、ディスク成形用金型の型閉じ、型締め及び型開きを行うことができ、型締め時に、円盤プレート16、36間に前記キャビティ空間Cが形成される。
【0032】
また、型締め時に、図示されない駆動シリンダを駆動することによってフランジ51を前進させると、前記カットパンチ48が前進させられ、カット部28内に進入する。その結果、前記キャビティ空間C内の樹脂に対して穴開け加工を行うことができる。
【0033】
なお、前記カットパンチ48の前半部における径方向外方には、ディスク基板を突き出すためのエジェクタブシュ62が配設され、該エジェクタブシュ62より径方向外方には、ディスク基板に圧縮空気を吹き付けてディスク基板を円盤プレート36から離型させるためのエアブローブシュ47が配設される。また、前記金型組立体32には図示されないエジェクタピン等も配設される。
【0034】
前記円盤プレート16、36には、それぞれ第1、第2の温調用流路93、94が形成され、該第1、第2の温調用流路93、94に水、油、空気等の温調用の媒体が供給されることによって、円盤プレート16、36が冷却される。
【0035】
そして、計量工程において、前記スクリューが回転させられ、樹脂が溶融させられてスクリューの前方に溜められ、それに伴って、スクリューが後退させられ、この間に、ディスク成形用金型の型閉じ及び型締めが行われる。次に、射出工程において、前記スクリューが前進させられ、スクリューの前方に溜められた前記樹脂が射出ノズルから射出され、キャビティ空間Cに充填される。そして、冷却工程において、前記キャビティ空間C内の樹脂が冷却され、このとき、前記スタンパの微細パターンが樹脂に転写され、樹脂に微細パターンが形成される。
【0036】
続いて、カットパンチ48が前進させられて穴開け加工が行われ、ディスク基板が成形される。続いて、型開きが行われ、前記ディスク基板が取り出される。
【0037】
次に、ディスク基板に基づいて完成品としてのディスクとして、ブルーレイディスク(登録商標)を製造する方法について説明する。
【0038】
図3は本発明の実施の形態におけるディスクの製造方法を説明する図である。
【0039】
図に示されるように、工程(a)において、前記構成のディスク成形用金型によってディスク基板B1を成形し、工程(b)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、ディスク基板B1上に金属薄膜から成る反射膜k1を形成し、工程(c)において、スピンコート法によって樹脂、本実施の形態においては、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、反射膜k1上にカバー層k2を最外層として形成する。このようにして、ディスクD1を形成することができる。なお、s1はディスク基板B1の情報面、s2はディスク基板B1の非情報面、sfはディスクD1において前記非情報面s2が形成される側の面である表面、sbはディスクD1において前記情報面s1が形成される側の面である裏面である。
【0040】
本実施の形態においては、反射膜k1上に紫外線硬化樹脂を塗布することによってカバー層k2を形成するようになっているが、光透過性の樹脂から成るシートを被覆することによってカバー層k2を形成することもできる。
【0041】
図4は本発明の実施の形態におけるディスクの他の製造方法を説明する図である。
【0042】
図に示されるように、工程(a)において、前記ディスク基板B1を成形し、工程(b)において、ディスク基板B1上に前記反射膜k1を形成し、工程(c)において、反射膜k1上に前記カバー層k2を形成し、工程(d)において、スピンコート法によって樹脂、本実施の形態においては、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、カバー層k2上にハードコート層k3を最外層として形成する。なお、前記ハードコート層k3を形成することなく、カバー層k2を最外層として形成することもできる。このようにして、ディスクD1を形成することができる。なお、s1はディスク基板B1の情報面、s2はディスク基板B1の非情報面、sfはディスクD1の表面、sbはディスクD1の裏面である。
【0043】
次に、ディスクとして、多層膜のブルーレイディスク(登録商標)を製造する方法について説明する。
【0044】
図5は本発明の実施の形態におけるディスクの更に他の製造方法を説明する第1の図、図6は本発明の実施の形態におけるディスクの更に他の製造方法を説明する第2の図である。
【0045】
図に示されるように、工程(a)において、前記ディスク基板B1を成形し、工程(b)において、ディスク基板B1上に前記反射膜k1を形成し、工程(c)において、スピンコート法によって樹脂、本実施の形態においては、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、反射膜k1上に中間層k4を形成する。これに伴って、ディスク基板B1、反射膜k1及び中間層k4から成る積層体70が形成される。
【0046】
続いて、工程(d)において、前記積層体70を、中間層k4の表面と転写部材としてのスタンパ71とが対向するように、スタンパ71に押し付ける。なお、該スタンパ71には、円盤プレート16(図2)に取り付けられた前記スタンパと同様に微細パターンが形成されるので、前記工程(d)において中間層k4に微細パターンが転写され、情報面s3が形成される。
【0047】
次に、工程(e)において、スタンパ71から積層体70を離型させる。そして、工程(f)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、中間層k4上に前記反射膜k1より薄い金属薄膜から成る半反射膜k5を形成し、工程(g)において、スピンコート法によって樹脂、本実施の形態においては、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、半反射膜k5上にカバー層k6を最外層として形成する。このようにして、ディスクD2を形成することができる。なお、s1はディスク基板B1の情報面、s2はディスク基板B1の裏面、sfはディスクD2の表面、sbはディスクD2の裏面である。
【0048】
また、図4に示されるディスクD1と同様に、カバー層k6を形成した後、スピンコート法によって樹脂、本実施の形態においては、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、カバー層k6上にハードコート層を最外層として形成することもできる。
【0049】
ところで、図3に示される製造方法によって形成されるディスクD1においては、カバー層k2が、図4に示される製造方法によって形成されるディスクD1においては、ハードコート層k3が、図5及び6に示される製造方法によって形成されるディスクD2においては、カバー層k6が最外層とされる。そして、前記カバー層k2、k6及びハードコート層k3は、樹脂、本実施の形態においては、紫外線硬化樹脂によって形成されるので、紫外線硬化樹脂が十分に硬化するまでの間はべたつき易い。したがって、生産ラインでディスクD1、D2を積み重ねたときに、各ディスクD1、D2同士が貼り付くと、各ディスクD1、D2を分離させるのが困難になったり、ディスクD1、D2が破損したりしてしまう。
【0050】
そこで、本実施の形態においては、スタンパが取り付けられない側の金型組立体32における円盤プレート36の前端面に、金型組立体12側に向けて突出させて凸面を形成することによって、ディスク基板B1の一方の面に、前記凸面に対応する形状の凹面を形成し、生産ラインにおいて、前記ディスク基板B1に基づいて製造されたディスクD1、D2を積み重ねたときに、各ディスクD1、D2同士が貼り付くのを防止するようにしている。
【0051】
図1は本発明の実施の形態における円盤プレートの要部を示す断面図である。
【0052】
図において、36は円盤プレート、72は前記カットパンチ48(図2)、エジェクタブシュ62、エアブローブシュ47等が配設される穴、73は前記キャビティリング37を配設するための切欠である。また、AR1は穴72の内周縁の近傍に設定され、ディスクD1、D2(図3、4及び6)にクランプ部を形成するための環状の領域、AR2は領域AR1より径方向外方において、ディスクD1の外周縁の近傍にかけて、ディスク基板B1の前記情報面s1、及び中間層k4の情報面s3に対応させて設定された領域である。
【0053】
そして、前記円盤プレート36の前端面に、金型組立体12側に向けて突出させて、円盤プレート36の内周側、例えば、内周縁から外周側、例えば、外周縁にかけて、連続的に突出量を異ならせて環状の凸面s11が形成される。すなわち、該凸面s11は、径方向における前記領域AR2の内周縁psと領域AR2の外周縁peとの間に、円弧状に形成されて湾曲する湾曲面を構成する。前記凸面s11の突出量を高さで表すと、内周縁ps及び外周縁peにおいて最も低く、内周縁ps及び外周縁peの中央pcにおいて最も高くされる。前記凸面s11の形状は、前記中央pcを中心にして径方向外方の部分と径方向内方の部分とが対称に形成される。
【0054】
次に、このような形状を有する円盤プレート36を備えたディスク成形用金型を使用することによって成形されたディスク基板B1について説明する。
【0055】
図7は本発明の実施の形態におけるディスク基板の要部を示す断面図である。
【0056】
図において、B1はディスク基板、74は前記穴開け加工を行うことによって形成された穴である。また、AR11は穴74の内周縁の近傍に設定された環状のクランプ部、AR12はクランプ部AR11より径方向外方において、ディスク基板B1の外周縁の近傍にかけて設定された領域である。
【0057】
そして、前記ディスク基板B1の一方の面、本実施の形態においては非情報面s2における前記領域AR12に、前記凸面s11に対応する形状の凹面s12が、内周側、例えば、内周縁から外周側、例えば、外周縁にかけて、連続的に厚さを異ならせて形成され、ディスク基板B1の他方の面、本実施の形態においては、情報面s1が平面状(平坦)にされる。すなわち、前記凹面s12は、径方向における前記領域AR12の内周縁qsと領域AR12の外周縁qeとの間に、非接触部として、円弧状に形成されて湾曲する湾曲面を構成する。前記凹面s12の後退量を深さで表すと、内周縁qs及び外周縁qeにおいて最も浅く、内周縁qs及び外周縁qeの中央qcにおいて最も深くされる。前記凹面s12の形状は、前記中央qcを中心にして径方向外方の部分と径方向内方の部分とが対称に形成される。
【0058】
次に、前記構成のディスク基板B1に基づいて製造されたディスクD1、D2を生産ラインで積み重ねたときの状態について説明する。この場合、図においては、ディスクD1、D2のうちのディスクD1についてだけ示される。
【0059】
図8は本発明の実施の形態におけるディスクを積に重ねた状態を示す図である。
【0060】
図において、D1はディスク、81は穴、sfは表面、sbは裏面である。ディスクD1を積み重ねると、各ディスクD1間に凹面s12によって隙間δ1が形成される。
【0061】
したがって、ディスクD1を生産ラインで積み重ねたときに、ディスクD1の裏面sbと隣接するディスクD1の凹面s12との間においてディスクD1同士が接触することがないので、各ディスクD1同士が貼り付くのを防止することができる。
【0062】
なお、ディスクD1においては、裏面sb側からレーザ光を照射することによって、記録されたデータを読み取るようになっている。本実施の形態においては、表面sfに凹面s12が形成され、裏面sbは平面状にされるので、データを確実に読み取ることができる。また、非情報面側である表面sfに突起が形成されないので、印刷面として使用したときの印刷範囲を広くすることができる。
【0063】
そして、前記凹面s12が湾曲面によって構成されるので、応力集中が発生するのを防止することができる。したがって、ディスクD1の強度を高くすることができる。
【0064】
本実施の形態において、スタンパは金型組立体12側に配設されるが、スタンパを金型組立体32側に配設することもできる。その場合、インナスタンパ押え14、突当リング18等は金型組立体32側に、キャビティリング37等は金型組立体12側に配設される。また、凸面は円盤プレート16に形成される。
【0065】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0066】
12、32 金型組立体
16、36 円盤プレート
s11 凸面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の金型と、
(b)第2の金型とを有するとともに、
(c)前記第1、第2の金型のうちの一方の金型の鏡面盤の前端面に、内周側から外周側にかけて湾曲する凸面が形成されることを特徴とするディスク成形用金型。
【請求項2】
(a)前記第1、第2の金型のうちの一方の金型にスタンパが取り付けられ、
(b)前記第1、第2の金型のうちの他方の金型の鏡面盤に前記凸面が形成される請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項3】
内周側から外周側にかけて湾曲する凸面が形成されることを特徴とする鏡面盤。
【請求項4】
非情報面側の中央部に非接触部が形成されることを特徴とするディスク基板。
【請求項5】
内周側から外周側にかけて湾曲する凹面が形成されることを特徴とするディスク基板。
【請求項6】
前記凹面は非情報面側に形成される請求項5に記載のディスク基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−250913(P2010−250913A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101218(P2009−101218)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(501495237)三菱化学メディア株式会社 (105)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】