説明

ディスク装置のスロットローディング機構

【課題】ディスクを検出するためのレバー5を有し、しかも振動によりディスク読取り性能が悪化することが防止されるディスク装置のスロットローディング機構を提供する。
【解決手段】ディスク14挿入路に延びる軸5aが立設されディスク挿入・排出時に回動する1対のレバー5が再生部シャーシ2に回動自在に支持され、前記1対のレバー5と前記ディスク挿入路の間に配置されディスクと接触する位置とディスクから離れる位置との間で位置を変えると共にディスク挿入・排出時に回転駆動される送りローラ10を備えたスロットローディング機構において、ディスク挿入が終了したディスククランプ時に前記送りローラ10がディスクから離れ前記1対のレバー5に圧接されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はディスク装置のスロットローディング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−116459号公報に開示された車載用ディスクプレーヤのスロットローディング機構を図3〜図12により説明する。図3は同スロットローディング機構を示す平面図であり、図4は同スロットローディング機構を示す正面図である。図に示す1は本体シャーシであり装置全体を支持する。再生部シャーシ2はダンパー11、11…を介して本体シャーシ1に浮動状態に支持されており、ディスクを再生するためのディスクモータやターンテーブルさらに光ピックアップを支持している。再生部シャーシ2はこの機構のディスク位置検出手段であるレバー4、5、連結部材6、6およびマイクロスイッチ作動部材12を支持している。
【0003】
送りローラ10はディスクに圧接され、図示していない駆動機構により回転駆動されディスクをローディングおよびイジェクトする。送りローラ10はディスク再生時にはディスクから離れた位置に退避される。
【0004】
レバー4は再生部シャーシ2に回動自在に支持されており、ディスク移動路に延びる軸4aが立設されている。レバー4には連結部材6の一端が回動自在に連結されている。レバー5は再生部シャーシ2に回動自在に支持されており、ディスク移動路に延びる軸5aが立設されている。レバー5には連結部材6の一端が回動自在に連結されている。
【0005】
図6および図7にも詳しく示すように、連結部材6、6の他端はマイクロスイッチ作動部材12の軸12aにより互いに回動自在に連結されている。マイクロスイッチ作動部材12の軸12aおよび軸12bは再生部シャーシ2のガイド溝2aを挿通している。ガイド溝2aの両縁には凹み2b、2bが形成されている。マイクロスイッチ作動部材12の軸12aがガイド溝2aに案内されるのでレバー4および5は同期して回動する。
【0006】
装置の動作を制御するプリント基板3にはマイクロスイッチ7および8が固定されている。マイクロスイッチ7はこの機構の第1の検出手段を構成し、マイクロスイッチ8はこの機構の第2の検出手段を構成する。再生部シャーシ2とマイクロスイッチ作動部材12との間に掛けられた引張りコイルばね9はマイクロスイッチ作動部材12を図3に示す矢印方向(ディスクローディング方向)に付勢する。そしてディスクがないときは、マイクロスイッチ作動部材12はマイクロスイッチ7を作動させる位置にある。
【0007】
図5に示すように、8cmCD13または12cmCD14がローディング開始位置まで挿入されると、レバー4および5が夫々時計方向および反時計方向に回動され、図6に詳しく示すように、マイクロスイッチ作動部材12がディスクイジェクト方向に動きマイクロスイッチ7がオフとなることによりディスクのローディング開始位置が検出される。そして、送りローラが駆動されてディスクをローディング方向に送る。
【0008】
8cmCDを送る場合は図8に示すようにレバー4の最大回動位置においてもマイクロスイッチ8は作動されない。8cmCDを片側に片寄せて挿入した場合、図9に示すように、軸12aがガイド溝2aに設けた凹み2bに入りこむためレバー4および5が回動されなくなり、8cmCDはレバー4および5により中央に案内される。8cmCDが中央位置に移動すると、送りローラにより再生位置まで送られる。
【0009】
12cmCDを送る場合は図10に示すようにレバー4の最大回動位置においてマイクロスイッチ8が作動される。マイクロスイッチ8の作動により、8cmCDと12CDが識別され、夫々のディスクを再生位置に送るために必要なだけ送りローラが駆動される。なお、先に説明したように、レバー4または5が8cmCDにより片押しされた場合凹み2bの作用により、8cmCDがレバー4および5により中央に案内されるので、8cmCDがレバーを大きく回動させて12cmCDと誤認識されることはない。
【0010】
8cmCDをイジェクトする場合、レバー4および5が一旦回動され、さらに、元に戻されマイクロスイッチ7がオンとなることによりイジェクストップ位置が検出される。12cmCDをイジェクトする場合、レバー4および5が回動され、マイクロスイッチ8が作動され、さらに、元に戻され図11に示すようにマイクロスイッチ8がオフとなることによりイジェクストップ位置が検出される。このように、誤動作がなく、製造コストの安いディスク位置検出手段を提供することができる。
【特許文献1】特開平10−116459号公報、段落0012〜段落0021、図1〜図10
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した特開平10−116459号公報に開示された車載用ディスクプレーヤのスロットローディング機構によれば、製造コストが安く、8cmCDと12cmCDを識別できるディスク位置検出手段を提供できる。
【0012】
しかしながら、送りローラ10やレバー4、5を回転自在に支持する軸と軸受の間には温度変化による膨脹・収縮を許容するためやクリアランスや製造における寸法公差を許容するクリアランスが必要であり、さらには、連結部材6、6を回動自在に連結する軸とそのガイド溝との間にクリアランスが必要である。また、レバー4、5の回動をスームズに案内するための軸やガイド溝が設けられた場合にもそれらの間にクリアランスが必要となる。
【0013】
車載用機器等のように機器が振動する場合や、ディスクが高速で回転し、装置が僅かに振動する場合には、上記のクリランスのため上記軸と軸受または軸とガイド溝とが衝突すると、衝突音や衝撃が発生する。この衝撃が再生部シャーシ2を介して光ピックアップに伝わり音飛びが発生したりして、ディスク読取り性能に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0014】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ディスクを検出するためのレバーを有し、しかも振動によりディスク読取り性能が悪化することが防止されるディスク装置のスロットローディング機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明のディスク装置のスロットローディング機構は、ディスク挿入路に延びる軸が立設されディスク挿入・排出時に回動する1対のレバーが再生部シャーシに回動自在に支持され、前記1対のレバーと前記ディスク挿入路の間に配置されディスクと接触する位置とディスクから離れる位置との間で位置を変えると共にディスク挿入・排出時に回転駆動される送りローラを備えたスロットローディング機構において、ディスク挿入が終了したディスククランプ時に前記送りローラがディスクから離れ前記1対のレバーに圧接されるものである。
【0016】
また、この発明のディスク装置のスロットローディング機構は、ディスク挿入路に延びる軸が立設されディスク挿入・排出時に回動する1対のレバーが再生部シャーシに回動自在に支持され、前記1対のレバーに夫々連結部材が回動自在に連結されており、前記連結部材同士が軸により回動自在に連結され前記軸が前記再生部シャーシに設けられたガイド溝に案内されて移動し、前記1対のレバーと前記ディスク挿入路の間に配置されディスクと接触する位置とディスクから離れる位置との間で位置を変えると共にディスク挿入・排出時に回転駆動される送りローラを備え、前記1対のレバーのディスク挿入時の最大回動角の差により挿入されるディスクのサイズを認識するディスク装置のスロットローディング機構において、ディスク挿入が終了したディスククランプ時に前記送りローラがディスクから離れ前記1対のレバーまたは前記連結部材の少なくとも一方に圧接されるように構成したものである。
【0017】
また、前記各ディスク装置のスロットローディング機構において、前記1対のレバーに前記送りローラに圧接されるリブが設けられたものである。
【0018】
また、前記同ディスク装置のスロットローディング機構において、前記1対のレバーが上方向凸に曲げられており、前記送りローラにより前記1対のレバーの上方向凸の頂上部近傍が前記送りローラに圧接され請求項1または2のスロットローディング機構。
【0019】
また、本体シャーシに弾性体を介して浮動状態に支持された再生部シャーシに前記1対のレバーまたは前記連結部材および送りローラが支持された車載用ディスク装置に前記各ディスク装置のスロットローディング機構が適用されたものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明のディスク装置のスロットローディング機構によれば、ディスク再生時において、ディスクの送りローラやディスクを検出するレバーのガタツキが抑えられ、振動ノイズの軽減、振動音飛び性能の向上および振動による部品同士の摩耗の軽減が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下この発明の実施例を図面により説明する。
【実施例1】
【0022】
図1(a)はこの発明の実施例1である車載用ディスク装置のスロットローディング機構の要部を一部部材を透視して示す側面図、図1(b)は同要部の他の状態を一部部材を透視して示す側面図である。
【0023】
図1(a)および図1(b)に示す送りローラ支持レバー20は再生部シャーシ2に軸2d回りに回動自在に支持されており、図示していない駆動機構により図1(a)に示す位置と図1(b)に示す位置との間で回動される。また、レバー5は再生部シャーシ2に立設された軸2cに回動自在に支持されている。
【0024】
図1(a)はディスクローディング状態またはディスクアンローディング状態を示しており、このときローラ支持レバー20に支持された送りローラ10と再生部シャーシ2に支持されたディスクガイド21はディスク14を挾持しており、送りローラ10の回転によりディスク14は挿入方向または排出方向に送られる。
【0025】
図1(b)はディスクローディングが終了したディスククランプ状態すなわちディスクが再生部シャーシ2に支持されたターンテーブルとクランパにより挾持された状態を示しており、この状態でディスクが回転されて再生部シャーシ2に支持された光ピックアップにより再生される。
【0026】
この状態ではディスク14は僅かに下動してディスクガイド21から離れ、また、送りローラ10は下動して送りローラ10がレバー5に設けられたリブ5bおよびレバー4に設けられた同様のリブ圧接される。なお、このディスククランプ状態ではローラ支持レバー20に設けられたディスク挿入口開閉ドア20aがディスク挿入口を閉じている。
【0027】
この実施例は図3〜図12に示した車載用ディスクプレーヤと、レバー4および5に送りローラ10と圧接するリブが設けられている点のみ異なり、他の構成は図3〜図12に示した従来の車載用ディスクプレーヤと同じである。そして、従来の車載用ディスクプレーヤではディスククランプ状態で送りローラ10とレバー4、5は離れていた。
【0028】
このように実施例のスロットローディング機構では、ディスクが再生されるディスククランプ状態において、ゴム等の弾性を有する送りローラの弾力により回動軸以外の位置で送りローラ10およびレバー4、5に力が加えられるため、送りローラ10およびレバー4、5にガタが発生せず、振動により衝撃が発生することが防止される。
【0029】
再生部シャーシが弾性部材を介して本体シャーシに浮動状態に支持された車載用ディスク装置では、送りローラ10やレバー4、5に振動が印加されやすく、また、その衝撃が再生部シャーシにより光ピックアップやターンテーブルに伝わりやすいため、送りローラの弾力によりレバー4、5のガタツキを抑える効果が特に大きくなる。なお、送りローラをレバー4、5と連結部材6、6とに圧接するようにしてもよく、連結部材6、6のみに圧接するようにしてもよい。
【0030】
この実施例1では、送りローラ10がレバー4、5に設けたリブに圧接されるため、リブの形状や寸法を任意に設定することにより送りローラ10とレバー4、5との接触圧力を容易に最適に設定することができる。
【0031】
実施例1は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、レバーにリブを設けることなく、送りローラをレバーの上面に圧接してもよい。また、ディスクを検出するためのレバーに連結部材が設けられていないものにもこの発明を適用することが可能である。
【実施例2】
【0032】
図2(a)この発明の実施例2である車載用ディスク装置のスロットローディング機構の要部を一部部材を透視して示す側面図、図2(b)同要部の他の状態を一部部材を透視して示す側面図である。
【0033】
この例では1対のレバー5が上方向凸に曲げられており、送りローラ10によりディスククランプ状態でレバー5の上方向凸の頂上部近傍が送りローラ10に圧接される。他の構成は実施例1と同様である。
【0034】
図2(a)はディスクローディング状態またはディスクアンローディング状態を示しており、このときローラ支持レバー20に支持された送りローラ10と再生部シャーシ2に支持されたディスクガイド21はディスク14を挾持しており、送りローラ10の回転によりディスク14は挿入方向または排出方向に送られる。
【0035】
図2(b)はディスクローディングが終了したディスククランプ状態すなわちディスクが再生部シャーシ2に支持されたターンテーブルとクランパにより挾持された状態を示しており、この状態でディスクが回転されて再生部シャーシ2に支持された光ピックアップにより再生される。この状態でレバー5の上方向凸の頂上部近傍が送りローラ10に圧接されれる。
【0036】
この例では、レバー5が送りローラ10に圧接されて撓むため、レバー5の先端部が再生部シャーシに強く圧接され、レバー5が再生部シャーシに強固に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1(a)この発明の実施例1である車載用ディスク装置のスロットローディング機構の要部を一部部材を透視して示す側面図、図1(b)同要部の他の状態を一部部材を透視して示す側面図である。
【図2】図2(a)この発明の実施例2である車載用ディスク装置のスロットローディング機構の要部を一部部材を透視して示す側面図、図2(b)同要部の他の状態を一部部材を透視して示す側面図である。
【図3】従来の車載用ディスクプレーヤのスロットローディング機構の例を示す平面図である。
【図4】同スロットローディング機構を示す正面図である。
【図5】同スロットローディング機構の作用を説明するための平面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】図6に示す部分の正面図である。
【図8】同スロットローディング機構の作用を説明するための平面図である。
【図9】図8の一部拡大図である。
【図10】同スロットローディング機構の作用を説明するための平面図である。
【図11】同スロットローディング機構の作用を説明するための平面図である。
【図12】図11の一部拡大図である。
【符号の説明】
【0038】
1 本体シャーシ
2 再生部シャーシ、2a ガイド溝、2b 凹み、2c、2d 軸
3 プリント基板
4 レバー
5 レバー、5b リブ
6 連結部材
7 マイクロスイッチ
8 マイクロスイッチ
9 引張りコイルばね
10 送りローラ
11 ダンパー
12 マイクロスイッチ作動部材、12a 軸、12b 軸
13 8cmCD
14 12cmCD
20 送りローラ支持レバー、20a ディスク挿入口開閉ドア
21 ディスクガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入路に延びる軸が立設されディスク挿入・排出時に回動する1対のレバーが再生部シャーシに回動自在に支持され、前記1対のレバーと前記ディスク挿入路の間に配置されディスクと接触する位置とディスクから離れる位置との間で位置を変えると共にディスク挿入・排出時に回転駆動される送りローラを備えたスロットローディング機構において、ディスク挿入が終了したディスククランプ時に前記送りローラがディスクから離れ前記1対のレバーに圧接されるように構成したディスク装置のスロットローディング機構。
【請求項2】
ディスク挿入路に延びる軸が立設されディスク挿入・排出時に回動する1対のレバーが再生部シャーシに回動自在に支持され、前記1対のレバーに夫々連結部材が回動自在に連結されており、前記連結部材同士が軸により回動自在に連結され前記軸が前記再生部シャーシに設けられたガイド溝に案内されて移動し、前記1対のレバーと前記ディスク挿入路の間に配置されディスクと接触する位置とディスクから離れる位置との間で位置を変えると共にディスク挿入・排出時に回転駆動される送りローラを備え、前記1対のレバーのディスク挿入時の最大回動角の差により挿入されるディスクのサイズを認識するディスク装置のスロットローディング機構において、ディスク挿入が終了したディスククランプ時に前記送りローラがディスクから離れ前記1対のレバーまたは前記連結部材の少なくとも一方に圧接されるように構成したディスク装置のスロットローディング機構。
【請求項3】
前記1対のレバーに前記送りローラに圧接されるリブが設けられている請求項1または2のスロットローディング機構。
【請求項4】
前記1対のレバーが上方向凸に曲げられており、前記送りローラにより前記1対のレバーの上方向凸の頂上部近傍が前記送りローラに圧接される請求項1または2のスロットローディング機構。
【請求項5】
本体シャーシに弾性体を介して浮動状態に支持された再生部シャーシに前記1対のレバーまたは前記連結部材および送りローラが支持された車載用ディスク装置に適用される請求項1から4のいずれかに記載されたスロットローディング機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−242102(P2007−242102A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60559(P2006−60559)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】