説明

ディスク装置

【課題】スロットイン方式のディスク装置では、ディスクをディスク装置に挿入したり取り出したりする時に、トラバースベースに支持されたスピンドルモータを下降させて、挿入のための一定のクリアランスを設ける必要があるが、薄型化を図る場合、トラバースベースの昇降のための距離を必要最小限に押さえる必要があった。
【解決手段】スピンドルモータ1をトラバースベース2に対して、下方へ移動させるスピンドルカム部材30A、30Bを設け、ローディングモータ6によってスピンドルカム部材30A、30Bを駆動する構成としたので、トラバースベース2の昇降距離を必要最小限に押さえても、ディスク400挿入のためのクリアランスを確保することが出来るので、更なるディスク装置の薄型化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどのディスク状の記録媒体への記録、または再生を行うディスク装置に関し、特に外部からディスクを直接挿入し、または直接排出できる、いわゆるスロットイン方式のディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク装置は、トレイまたはターンテーブル上にディスクを載置し、このトレイやターンテーブルを装置本体内に装着するローディング方式が多く採用されているが、このようなローディング方式では、トレイやターンテーブルが必要な分、ディスク装置本体を薄型化するには限度があった。このため、最近では、ローディングモータによりレバー等でディスクを直接操作する、いわゆるスロットイン方式のディスク装置が存在する(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−352498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしこのようなスロットイン方式のディスク装置では、ディスクをこのディスク装置に挿入したり取り出したりする時に、トラバースベースに支持されたスピンドルモータを下降させて、挿入のための一定のクリアランスを設ける必要がある。このため、スピンドルモータを支持しているトラバースベースを昇降させるが、トラバースベースの昇降のための距離が装置の厚み方向に必要とされる。近年、パーソナルコンピュータの小型化に伴い、ディスク装置も小型化、薄型化が求められており、スロットイン方式のディスク装置で薄型化を図る場合、トラバースベースの昇降のための距離を必要最小限に押さえる必要があった。
【0004】
そこで本発明は、スロットイン方式のディスク装置で、ディスクをディスク装置に挿入したり取り出したりする時に充分なクリアランスを確保した上で、装置の薄型化を図りつつ、スピンドルモータへのディスクの装着動作を確実に行うことができるディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のディスク装置は、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、前記ベース本体にトラバースベースを設け、前記トラバースベースにスピンドルモータとピックアップと当該ピックアップを移動させる駆動手段とを設け、前記トラバースベースを前記ベース本体側と前記蓋体側との間で変位させるトラバースベース移動手段を設けたディスク装置であって、前記スピンドルモータを弾性部材によって前記トラバースベース側に付勢して構成し、前記トラバースベース移動手段を、前記シャーシ外装に設けたローディングモータと、このローディングモータの駆動によって摺動するスライダーと、前記スライダーに設けられたトラバースカム部材と、前記スピンドルモータを前記トラバースベースに対して、下方へ移動させるスピンドルカム部材とによって構成し、前記スピンドルカム部材を前記トラバースベースに対して、下方へ移動させるスピンドルカム部材を前記スライダーに設け、前記ローディングモータによって前記スライダーを駆動する構成としたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のディスク装置において、前記スピンドルカム部材を前記スライダーに設けたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載のディスク装置において、前記スピンドルカム部材を前記スライダーと分離して前記トラバースベース側に設けたことを特徴とする
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載のディスク装置において、前記スピンドルモータは、前記スピンドルカム部材に挿入された複数個のピンを備え、前記ローディングモータにより駆動される前記スピンドルカム部材の動作が、このピンを介して前記スピンドルモータに伝達されて前記スピンドルモータを下降させる構成としたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載のディスク装置において、前記スピンドルモータは、前記ローディングモータの駆動により、前記スピンドルモータを最上昇位置とした後に前記トラバースベースを降下させ、前記トラバースベースの降下の後に前記ローディングモータを逆回転させて再び前記スピンドルモータを最上昇位置とした後に前記トラバースベースを降下させる構成としたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載のディスク装置において、前記スピンドルモータは、前記ローディングモータの逆回転による駆動の前に、前記スピンドルモータを起動して所定の位相又は所定時間だけディスクを回転させる構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ディスク装置の薄型化と小型化を図ることが出来るものであり、特に、スピンドルモータをトラバースベースに対して、下方へ移動させることが可能な構成としたので、トラバースベースの昇降距離を必要最小限に押さえても、ディスク挿入のためのクリアランスを確保することができ、更なるディスク装置の薄型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態によるディスク装置は、スピンドルモータを弾性部材によってトラバースベース側に付勢して構成し、トラバースベース移動手段を、シャーシ外装に設けたローディングモータと、ローディングモータの駆動によって摺動するスライダーと、スライダーに設けられたトラバースカム部材と、スピンドルモータをトラバースベースに対して、下方へ移動させるスピンドルカム部材とによって構成し、ローディングモータによってスピンドルカム部材を駆動する構成としたものである。本実施の形態によれば、スピンドルモータをトラバースベースに対して移動させることができるため、ベース本体と蓋体との隙間を狭くすることができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるディスク装置において、スピンドルカム部材をスライダーに設けたものである。本実施の形態によれば、スライダーにトラバースカム部材だけでなくスピンドルカム部材を設けることで、省スペースでトラバースカム部材とスピンドルカム部材とを設けることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態によるディスク装置において、スピンドルカム部材をスライダーと分離してトラバースベース側に設けたものである。本実施の形態によれば、スピンドルカム部材をスライダーと分離させることで、部材の精度誤差の影響を少なくして、スピンドルモータの昇降動作を安定して行わせることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態によるディスク装置において、スピンドルモータは、スピンドルカム部材に挿入された複数個のピンを備え、ローディングモータにより駆動されるスピンドルカム部材の動作が、このピンを介してスピンドルモータに伝達されてスピンドルモータを下降させる構成としたものである。本実施の形態によれば、ローディングモータの駆動によってスピンドルモータの下降を行わせることができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態によるディスク装置において、ローディングモータの駆動により、スピンドルモータを最上昇位置とした後にトラバースベースを降下させ、トラバースベースの降下の後にローディングモータを逆回転させて再びスピンドルモータを最上昇位置とした後にトラバースベースを降下させる構成としたものである。本実施の形態によれば、複数のチャッキング動作を行わせることによってチャッキングを確実に行わせることができる。
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態によるディスク装置において、ローディングモータの逆回転による駆動の前に、スピンドルモータを起動して所定の位相又は所定時間だけディスクを回転させる構成としたものである。本実施の形態によれば、複数のチャッキング動作を行わせる場合に、ディスクを所定角度回転させることによってチャッキングを確実に行わせることができる。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の一実施例におけるディスク装置において、ベース本体の詳細を省略した概略を示す平面図である。また、図2は同ディスク装置の蓋体の平面図、図3は同ディスク装置のシャーシ外装のフロント面に装着されるベゼルの正面図である。
本実施例によるディスク装置は、ベース本体100と蓋体200とからシャーシ外装が構成され、このシャーシ外装のフロント面にベゼル300が装着される。また本実施例によるディスク装置は、図3に示すベゼル300に設けたディスク挿入口301からディスクを直接挿入するスロットイン方式のディスク装置である。ベース本体100のフロント側にはディスクを直接挿入するため、ディスク挿入口301に対応して挿入スペース101を形成している。
スピンドルモータ1は、ベース本体100に設けたトラバースベース2によって保持されている。またトラバースベース2は、ディスクに対して信号を記録・再生するためのピックアップ600とピックアップ600を移動させる駆動手段(図示せず)とを保持している。そして、このトラバースベース2は、フロント側の挿入スペース101側において、仮想の回転支持軸Xにより回転支持され、トラバースベース移動手段によってトラバースベース2がベース本体100側と蓋体200側との間で変位する構成となっている。ベース本体100には、ディスク排出レバー4とディスク挿入レバー5とが設けられており、ディスクの挿入・排出は、これらのレバー4、5によってなされる。すなわち、ローディングモータ6を駆動し、この駆動力が歯車群7を介してスライダー3A、3Bを移動させ、スライダー3Aに連結したリンク群9とピン群10による公知の機構により行なわれる。
【0009】
図2は蓋体200を示し、蓋体200には、図1に示すスピンドルモータ1の回転台1Bに対向する位置において、この回転台1Bに向かって突出するように凸状部202が設けられている。蓋体200の外縁部には、複数のビス孔203が設けられ、蓋体200は、ビスによってベース本体100に取り付けられる。蓋体200の中央部(凸状部202の中央でもある)には、開口部201が設けられている。この開口部201は、ディスク400の中心孔よりも大きな半径の円形開口である。従って、ディスク400の中心孔に嵌合するスピンドルモータ1のハブ1A(図1参照)よりも大きな開口である。
【0010】
次に、トラバースベース2を変位させるトラバースベース移動手段について説明する。
図4は同ディスク装置の要部平面図であり、トラバースベース2およびスライダー3A、3Bを示している。また、図5はトラバースカム部材の側面図、図6はスピンドルカム部材の側面図である。
スピンドルモータ1は、トラバースベース2に対して独立して上下動可能なように、三ヶ所の支持部11により支持されている。また、スピンドルモータ1は、トラバースベース2に設けた支持部11において、スピンドルバネ12(図7〜図11参照)によってトラバースベース2側に付勢されており、通常はトラバースベース2に当接している。トラバースベース移動手段は、ベース本体100に設けたローディングモータ6と、このローディングモータ6の駆動によって摺動するスライダー3Aに設けたスピンドルカム部材30Aと、スライダー3Bに設けたスピンドルカム部材30Bにより構成される。なお、スライダー3Aとスライダー3Bとは、連結レバー14によって連結され、スライダー3Bは、スライダー3Aとともに動作する。
【0011】
スライダー3Bには、トラバースカム部材40が設けられ、このトラバースカム部材40には、ベース本体100に固定されたベースピン18が摺動するベースカム41と、トラバースベース2に設けられているトラバースピン17が摺動するトラバースカム42が設けられている。
スピンドルカム部材30B及びトラバースカム部材40は、スライダー3Bとともに水平方向に移動するとともに、ベースピン18によってスライダー3Bに対して垂直方向に移動する。スピンドルピン16は、スピンドルカム部材30Bのスピンドルカム31内を摺動し、トラバースピン17は、スピンドルカム部材30Bのトラバースカム32内とトラバースカム部材40のトラバースカム42内を摺動する。
そして、ローディングモータ6によってスライダー3A、3Bが移動すると、スピンドルカム部材30A、30B、及びトラバースカム部材40が駆動される構成となっている。
本実施例では、トラバースベース移動手段として、スピンドルカム部材30A、30Bとトラバースカム部材40によって構成したが、一つのカム部材に複数のカム部材の機能を持たせてもよいし、また更に多くのカム部材で構成してもよい。
【0012】
図5から図19を用いて同ディスク装置の更に詳細な構成と動作について説明する。
図5から図7は、ロード・エジェクト状態を示し、図7は同ディスク装置の要部側面図である。
図8から図10は、スピンドルモータが上昇した状態を示し、図8はトラバースカム部材の側面図、図9はスピンドルカム部材の側面図、図10は同ディスク装置の要部側面図である。
図11から図13は、チャッキング状態を示し、図11はトラバースカム部材の側面図、図12はスピンドルカム部材の側面図、図13は同ディスク装置の要部側面図である。
図14から図16は、チャッキングにおける最上昇位置を示し、図14はトラバースカム部材の側面図、図15はスピンドルカム部材の側面図、図16は同ディスク装置の要部側面図である。
図17から図19は、記録・再生状態を示し、図17はトラバースカム部材の側面図、図18はスピンドルカム部材の側面図、図19は同ディスク装置の要部側面図である。
図5から図19は、ディスク400のスピンドルモータ1への装着動作の各状態を示している。トラバースベース2は、ディスク400が挿入された後、フロント側の回転支持軸Xを支点としてスピンドルモータ1が蓋体200に近接する方向に変位する。スピンドルモータ1側が蓋体200に最も近接する方向に動作させた状態の時(図8から図10に示す)、ディスク400は、蓋体200に当接し、スピンドルモータ1との間に挟まれて、スピンドルモータ1の回転台1Bに設けたディスク保持機構500によりスピンドルモータ1に装着される。
ディスク保持機構500は、保持爪501と弾性部材502とを備えており、ディスク400がスピンドルモータ1と一体に回転可能なように保持爪501がディスク400を保持する第1の状態と、第1の状態とは異なる第2の状態(保持爪501より上方にディスク400が位置し、ディスク保持機構500によりスピンドルモータ1にディスク400が装着されていない状態)とを有する。
【0013】
まず、図5から図7に示すように、ロード・エジェクト状態では、ディスク400がスピンドルモータ1の上方に配置(ディスク保持機構500は第2の状態)され、又はディスク400が配置可能な空間を形成している。このとき、トラバースカム部材40とスピンドルカム部材30Bは、スライダー3A側に最も近接した位置にある。この状態では、図5に示すようにトラバースカム部材40は、ベースピン18に対して最も低い位置にある。また図6に示すようにスピンドルピン16は、スピンドルカム部材30Bに対して最も低位置のスピンドルカム31内にある。従って、図7に示すようにトラバースベース2はベース本体100側に最も近接した位置にあり、スピンドルモータ1もベース本体100側に最も近接した位置にある。
ディスク400がスピンドルモータ1の上方に配置された状態で、スピンドルモータ1の上昇が始まる。
【0014】
図8は、トラバースカム部材40が水平方向に所定距離X1だけ移動した状態を示している。図8に示す状態では、ベースピン18は図5と同一高さのベースカム41内に配置されているので、トラバースベース2はベース本体100側に最も近接した位置を維持している。一方、図9に示すようにスピンドルピン16は、スピンドルカム31内を上昇するので、スピンドルモータ1はベース本体100から離間する方向に移動する。このようにスピンドルモータ1が上昇することで、図10に示すようにディスク保持機構500はディスク400に当接する。
【0015】
図11は、トラバースカム部材40が水平方向に所定距離X2だけ移動した状態を示している。図11に示す状態では、ベースピン18は図5より低い位置のベースカム41内に配置されるので、トラバースカム部材40は垂直方向に所定高さZ1だけ移動する。一方、図12に示すようにスピンドルピン16は図9と同じ高さのスピンドルカム31内にあり、トラバースカム部材40とスピンドルカム部材30Bとはトラバースピン17によって同一高さを保持されるため、スピンドルモータ1は垂直方向に所定高さZ1だけ移動する。このようにスピンドルモータ1がトラバースベース2とともに上昇することで、図13に示すようにチャッキング動作となる。
【0016】
図14は、トラバースカム部材40が水平方向に所定距離X3だけ移動した状態を示している。図14に示す状態では、ベースピン18は図11より低い位置のベースカム41内に配置されるので、トラバースカム部材40は垂直方向に所定高さZ2だけ移動する。一方、図15に示すようにスピンドルピン16は図12と同じ高さのスピンドルカム31内にあり、トラバースカム部材40とスピンドルカム部材30Bとはトラバースピン17によって同一高さを保持されるため、スピンドルモータ1は垂直方向に所定高さZ2だけ移動する。このようにスピンドルモータ1がトラバースベース2とともに上昇することで、図16に示すようにスピンドルモータ1は最上昇位置となり、蓋体200の凸状部202がディスク400に当接し、この凸状部202により、ディスク400が反力により押し返されて、ディスク400はディスク保持機構500側に押され、ディスク保持機構500の状態が第2の状態から第1の状態となり、チャッキング動作が完了する。
【0017】
図17は、トラバースカム部材40が水平方向に所定距離X4だけ移動した状態を示している。図17に示す状態では、ベースピン18は再び図5と同じ高さのベースカム41内に配置されるので、トラバースカム部材40は垂直方向に所定高さZ2だけ降下する。一方、図18に示すようにスピンドルピン16は図15と同じ高さのスピンドルカム31内にあり、トラバースカム部材40とスピンドルカム部材30Bとはトラバースピン17によって同一高さを保持されるため、スピンドルモータ1は垂直方向に所定高さZ2だけ降下する。このようにスピンドルモータ1がトラバースベース2とともに降下することで、図19に示すように、この状態では、蓋体200の凸状部202がディスク400に当たらない状態となっている。蓋体200の凸状部202の下面はディスク400を傷つけないように、ウレタンコーティングなどの保護膜を設けている。なお、上記の状態の内、ディスク400がディスク保持機構500によって完全に保持されている図16や図19の状態は第1の状態であり、それ以外の状態は第2の状態である。
なお、エジェクト動作は、ローディングモータ6(図1参照)を逆回転して上記の動作と逆の動作を行う。すなわち、トラバースカム部材40は、図17の状態から、図14、図11、図8、図5の状態を順に移動し、スピンドルカム部材30Bは、図18の状態から、図15、図12、図9、図6の状態を順に移動する。
【0018】
ここで、スピンドルモータ1は、図7に示す状態では、スピンドルバネ12の力に抗して、トラバースベース2より相対的に下降させられた状態となっている。このように、スピンドルモータ1をトラバースベース2に対して、相対的に下方へ移動させることで、トラバースベース2の昇降距離を必要最小限に押さえても、蓋体200とトラバースベース2との間にディスク400を挿入する空間(ディスク挿入のためのクリアランス)を充分確保することができるので、ディスク装置全体の薄型化が可能となるものである。
【0019】
次に、同ディスク装置の他のローディング動作について説明する。
図5から図7に示すロード・エジェクト状態から、図8から図10に示すようにスピンドルモータ1を上昇させ、図11から図13に示す状態を経由し、図14から図16に示すチャッキングにおける最上昇位置とし、図17から図19に示すようにトラバースベース2を降下させる。
ここまでの動作を行った段階で、スピンドルモータ1を起動して所定の位相又は所定時間だけディスク400を回転する。
所定の位相又は所定時間だけディスク400を回転させた後にスピンドルモータ1を停止し、ローディングモータ6(図1参照)を逆回転して図17から図19に示す状態から、再び、図14から図16に示すチャッキングにおける最上昇位置を経由して、図11から図13に示す状態としてローディングモータ6(図1参照)の回転を停止する。
ここまでの動作を行った段階で、再びスピンドルモータ1を起動して所定の位相又は所定時間だけディスク400を回転する。
所定の位相又は所定時間だけディスク400を回転させた後にスピンドルモータ1を停止し、ローディングモータ6(図1参照)を正回転して図11から図13に示す状態から、図14から図16に示すチャッキングにおける最上昇位置とし、図17から図19に示すようにトラバースベース2を降下させる。
以上の動作によってローディング動作を完了する。
【0020】
このように、一度ローディング動作を行った後に、ローディングモータ6(図1参照)を逆回転してチャッキングにおける最上昇位置を経由させ、更にローディングモータ6(図1参照)を正回転してチャッキングにおける最上昇位置を再度経由させることで、一度のローディング動作ではチャッキングが正常に行われなかった場合であっても、二度目の最上昇位置又は三度目の最上昇位置の経由によってチャッキングを行わせることができる。特に、これら複数のチャッキング動作を行うにあたって、ディスク400を回転させるためにより確実なチャッキングを行うことができる。
【0021】
次に、他の実施例を図20から図27を用いて説明する。
図20は本発明の他の実施例におけるディスク装置の概略を示す平面図、図21は同装置のスライダー3B側から見たトラバースベース2及びスピンドルカム部材30Bの分解側面図、図22は同装置のスライダー3A側から見たトラバースベース2及びスピンドルカム部材30Aの分解側面図、図23から図27はスピンドルカム部材30Bの側面図である。なお、上記実施例と同一機能部材には同一番号を付して説明を省略する。
【0022】
本実施例においては、トラバースカム部材40をスライダー3Bに設け、スピンドルカム部材30Bをスライダー3Bと分離させてトラバースベース2側に設けている。
すなわち、トラバースカム部材40は、スライダー3Bとともに水平方向に移動するとともに、ベース本体100に固定されたベースピン18によってスライダー3Bに対して垂直方向に移動する。なお、スライダー3Aとスライダー3Bとは、連結レバー14によって連結され、スライダー3Bは、スライダー3Aとともに動作する。
一方、スピンドルカム部材30A、30Bは、第1の連結レバー14Aと第2の連結レバー14Bによってスライダー3Aの動作が伝達されることで水平方向に移動する。また、スピンドルカム部材30A、30Bは、スピンドルモータ1に固定されたスピンドルピン16によってトラバースベース2に対して垂直方向に移動する。なお、スピンドルカム部材30Aとスピンドルカム部材30Bとは、第2の連結レバー14によって連結され、スピンドルカム部材30Bは、スピンドルカム部材30Aとともに動作する。また、第2の連結レバー14Bは、第1の連結レバー14Aと連結ピン14Cによって連結され、第2の連結レバー14Bは第1の連結レバー14Aによって動作する。なお、第2の連結レバー14Bと第1の連結レバー14Aとを連結せずに、スピンドルカム部材30Aとスピンドルカム部材30Bとをスライダー3Aによって動作させる構成でもよい。
【0023】
図23から図27を用いて同ディスク装置の動作について説明する。
図23はロード・エジェクト状態を、図24はスピンドルモータが上昇した状態を、図25はチャッキング状態を、図26はチャッキングにおける最上昇位置を、図27は記録・再生状態をそれぞれ示している。なお図23は図6に相当し、図24は図9に相当し、図25は図12に相当し、図26は図15に相当し、図27は図18に相当し、トラバースカム部材40やトラバースベース2の移動については、図5から図19と同様であるので説明を省略する。
【0024】
まず、図23におけるスピンドルカム部材30Bは、スライダー3A側に最も近接した位置にある。この状態では、図23に示すようにスピンドルピン16は、スピンドルカム部材30Bに対して最も低位置のスピンドルカム31内にある。従って、トラバースベース2はベース本体100側に最も近接した位置にあり、スピンドルモータ1もベース本体100側に最も近接した位置にある。
図24に示す状態では、スピンドルピン16は、スピンドルカム31内を上昇するので、スピンドルモータ1はベース本体100から離間する方向に移動する。このようにスピンドルモータ1が上昇することで、ディスク保持機構500がディスク400に当接する。
図25に示す状態では、スピンドルピン16は図24と同じ高さのスピンドルカム31内にあり、トラバースカム部材40とスピンドルカム部材30Bとはトラバースピン17によって同一高さを保持されるため、スピンドルモータ1は垂直方向に所定高さZ1だけ移動する。このようにスピンドルモータ1がトラバースベース2とともに上昇することで、チャッキング動作となる。
図26に示す状態では、スピンドルピン16は図25と同じ高さのスピンドルカム31内にあり、トラバースカム部材40とスピンドルカム部材30Bとはトラバースピン17によって同一高さを保持されるため、スピンドルモータ1は垂直方向に所定高さZ2だけ移動する。このようにスピンドルモータ1がトラバースベース2とともに上昇することで、スピンドルモータ1は最上昇位置となり、チャッキング動作が完了する。
図27に示す状態では、スピンドルピン16は図15と同じ高さのスピンドルカム31内にあり、トラバースカム部材40とスピンドルカム部材30Bとはトラバースピン17によって同一高さを保持されるため、スピンドルモータ1は垂直方向に所定高さZ2だけ降下する。このようにスピンドルモータ1がトラバースベース2とともに降下することで、蓋体200の凸状部202がディスク400に当たらない状態となる。
【0025】
本実施例によれば、スピンドルカム部材30A、30Bをスライダー3A、3Bと分離させて設けることで、部材の精度誤差の影響を少なくして、スピンドルモータ1の昇降動作を安定して行わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、CD、DVD等のディスク状記録媒体の記録または再生を行うディスク装置において、ディスクを確実にスピンドルモータに装着させるためのトラバースベースの移動を最小限に制限しても、ディスクの確実な自動装着操作が可能となるスペースを確保することが可能となり、家庭用映像機器やコンピュータの周辺装置として用いられる薄型化の必要なディスク装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例によるディスク装置のベース本体の概略平面図
【図2】同ディスク装置の蓋体の平面図
【図3】同ディスク装置のシャーシ外装のフロント面に装着されるベゼルの正面図
【図4】同ディスク装置の要部平面図
【図5】ロード・エジェクト状態を示すトラバースカム部材の側面図
【図6】同状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図7】同状態を示す同ディスク装置の要部側面図
【図8】スピンドルモータが上昇した状態を示すトラバースカム部材の側面図
【図9】同状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図10】同状態を示す同ディスク装置の要部側面図
【図11】チャッキング状態を示すトラバースカム部材の側面図
【図12】同状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図13】同状態を示す同ディスク装置の要部側面図
【図14】チャッキングにおける最上昇位置を示すトラバースカム部材の側面図
【図15】同状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図16】同状態を示す同ディスク装置の要部側面図
【図17】記録・再生状態を示すトラバースカム部材の側面図
【図18】同状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図19】同状態を示す同ディスク装置の要部側面図
【図20】本発明の他の実施例におけるディスク装置の概略を示す平面図
【図21】同装置のスライダー3B側から見たトラバースベース2及びスピンドルカム部材30Bの分解側面図
【図22】同装置のスライダー3A側から見たトラバースベース2及びスピンドルカム部材30Aの分解側面図
【図23】同装置のロード・エジェクト状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図24】同装置のスピンドルモータが上昇した状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図25】同装置のチャッキング状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【図26】同装置のチャッキングにおける最上昇位置を示すスピンドルカム部材の側面図
【図27】同装置の記録・再生状態を示すスピンドルカム部材の側面図
【符号の説明】
【0028】
1 スピンドルモータ
2 トラバースベース
3A スライダー
3B スライダー
4 排出レバー
5 挿入レバー
6 ローディングモータ
12 スピンドルバネ
16 スピンドルピン
17 トラバースピン
30A スピンドルカム部材
30B スピンドルカム部材
40 トラバースカム部材
100 ベース本体
200 蓋体
202 凸状部
400 ディスク
600 ピックアップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、前記ベース本体にトラバースベースを設け、前記トラバースベースにスピンドルモータとピックアップと当該ピックアップを移動させる駆動手段とを設け、前記トラバースベースを前記ベース本体側と前記蓋体側との間で変位させるトラバースベース移動手段を設けたディスク装置であって、
前記スピンドルモータを弾性部材によって前記トラバースベース側に付勢して構成し、
前記トラバースベース移動手段を、前記シャーシ外装に設けたローディングモータと、前記ローディングモータの駆動によって摺動するスライダーと、前記スライダーに設けられたトラバースカム部材と、前記スピンドルモータを前記トラバースベースに対して、下方へ移動させるスピンドルカム部材とによって構成し、前記ローディングモータによって前記スピンドルカム部材を駆動する構成としたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記スピンドルカム部材を前記スライダーに設けたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記スピンドルカム部材を前記スライダーと分離して前記トラバースベース側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記スピンドルモータは、前記スピンドルカム部材に挿入された複数個のピンを備え、前記ローディングモータにより駆動される前記スピンドルカム部材の動作が、このピンを介して前記スピンドルモータに伝達されて前記スピンドルモータを下降させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ローディングモータの駆動により、前記スピンドルモータを最上昇位置とした後に前記トラバースベースを降下させ、前記トラバースベースの降下の後に前記ローディングモータを逆回転させて再び前記スピンドルモータを最上昇位置とした後に前記トラバースベースを降下させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記ローディングモータの逆回転による駆動の前に、前記スピンドルモータを起動して所定の位相又は所定時間だけディスクを回転させる構成としたことを特徴とする請求項5に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−73140(P2006−73140A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257560(P2004−257560)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】