ディスク装置
【課題】ディスク装置へのディスクの装着を容易で、自由度の高い方法で行えるディスク装置を提供するものである。
【解決手段】ディスク4の外周に当接し、ディスク4の中心をターンテーブル1の中心に合うように移動させるセンタリング部8を、ターンテーブル1の中心を通り、ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第一の平面を中心に対称的にディスクに当接する一対または一対以上のセンタリング部材8aで構成し、トラバースベース5を搭載するシャーシ7に設け、ディスク4をトレイ3上の所定範囲内で自由な位置に載置すれば、トレイ3がディスク装置内に引き込まれて停止した後、センタリング部8によって、ディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うように自動的に移送される構成にすることによって、ディスク4を細かく位置決めして装着する必要はなく、装着が容易にできる。
【解決手段】ディスク4の外周に当接し、ディスク4の中心をターンテーブル1の中心に合うように移動させるセンタリング部8を、ターンテーブル1の中心を通り、ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第一の平面を中心に対称的にディスクに当接する一対または一対以上のセンタリング部材8aで構成し、トラバースベース5を搭載するシャーシ7に設け、ディスク4をトレイ3上の所定範囲内で自由な位置に載置すれば、トレイ3がディスク装置内に引き込まれて停止した後、センタリング部8によって、ディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うように自動的に移送される構成にすることによって、ディスク4を細かく位置決めして装着する必要はなく、装着が容易にできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の記録用または再生用のディスクを装着し、ディスクに対して各種情報信号を記録または再生するためのディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVDに映像音声信号などを記録再生可能な「DVDレコーダー」と称されるが商品が急速に普及し始めているが、今後の更なる普及拡大のために、ユニバーサルデザインなどの誰にでも使いやすい、より使いやすさを追求したディスク装置の開発が求められている。
【0003】
従来のディスク装置においては、装置にディスクを装着する方法として、トレイ方式が一般に使用されている。トレイ方式とは、ディスクを載置可能なトレイを、装置内部と外部との間で移動可能に設け、トレイが装置外部に位置している時にトレイ上にディスクを載置し、次にトレイを装置内に引き込むことで、ディスクをディスク装置に装着することができる構造になっている。
【0004】
以下に従来のディスク装置について説明する。従来、ディスク装置は特許文献1に記載されたものが知られている。
【0005】
特許文献1に開示されたディスク装置は、ディスク使用機器の前面パネルにトレイ出し入れ用の開口部を設け、開口部から引き出されるトレイ上にディスクが載置された後、ディスクがトレイと共に装置内部の所定位置(ターンテーブルへの着脱位置)に引き込まれるように構成されている。
【0006】
トレイ上には、大径及び小径のディスクの外形を型取った位置決め凹部が設けてあり、ディスクを位置決め凹部に位置決めして載置することで、トレイが装置内部に引き込まれた際に、ディスクの中心がターンテーブルの中心に合うように構成されている。
【0007】
そして、ディスクがターンテーブルに装着され、ディスクをクランパとターンテーブルのディスク載置面の間に挟み込んだ状態で所定の回転数で回転させながら、例えば再生する場合にあっては、このディスク上に記録された情報信号を光ピックアップなどの記録再生装置により再生することができる。すなわち、ディスク上の所定範囲に記録された信号のトラック位置に応じて、信号読み取りのためのピックアップを移動させることにより、情報信号の再生が行われるようになっている。
【特許文献1】特開平6−251479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の従来の構成では、ディスクをトレイに載置する際、トレイ上に設けられた位置決め凹部にディスクを位置決めして載置する必要があり、使い勝手を低下させていた。
【0009】
ディスクが位置決め凹部に位置決めされない状態でトレイに載置され、装置内へ引き込まれた場合は、クランプ位置において、ディスク中心とターンテーブル中心とが合わないため、ディスクをターンテーブルに装着することができない。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、ディスク装置へのディスクの装着を容易で、自由度の高い方法で行えるディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の撮像装置は、ディスクに対して情報信号を記録または再生可能なディスク装置であって、前記ディスクを載置可能なディスク載置部を有し、前記ディスク載置部が装置外に位置するディスク載置位置と、前記ディスク載置部が装置内に位置しかつ前記ディスク載置部に載置されている前記ディスクをクランプ可能なディスククランプ位置との間を移動可能なトレイと、前記ディスクに対して情報信号を記録/再生させる光ピックアップと、前記ディスクが載置されかつ前記光ピックアップが前記ディスクに対して情報信号を記録再生可能な位置で前記ディスクを回転させるターンテーブルとが搭載され、記録再生位置と待機位置との間を移動可能に配されたトラバースベースと、前記トラバースベースを内在させている開口部を備え、前記開口部内において前記トラバースベースを移動自在に支持しているシャーシと、前記ディスクの中心と前記ターンテーブルの中心とが一致する位置へ、前記ディスクを保持して移送させるセンタリング部材とを備え、前記センタリング部材は、前記ターンテーブルの中心を通り、前記ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第1の平面、及び前記ターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的に前記ディスクに当接し、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動可能に構成され、トレイのディスク載置部上にリブを配設し、前記リブの鉛直方向への高さは、前記トレイがディスククランプ位置にある状態において、前記ターンテーブル付近では低く、前記ターンテーブル付近からディスク径方向外側に向かうに従って次第に高くして形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撮像装置によれば、ディスク装置へのディスクの装着を容易で、自由度の高い方法で行えるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のディスク装置は、センタリング手段は、第1の平面とターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的にディスクに当接するように構成されたセンタリング部材で構成され、前記センタリング部材は、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動するように構成してもよい。
【0014】
また、前記第1の平面は、光ピックアップ光軸とターンテーブルの中心軸とを含む平面で構成してもよい。
【0015】
また、前記リブは、前記光ピックアップの移動方向に対して平行に配設してもよい。
【0016】
また、前記ターンテーブルに対向する部位に、クランプホルダーに保持されているクランパが配され、前記ターンテーブルと前記クランパとで前記ディスクを挟持可能に構成され、前記クランプホルダーは、前記トラバースベースの支軸に対向位置近傍において、前記クランパと前記ターンテーブルとが離間する離間位置と互いに結合可能な結合位置との間を回動自在に軸支され、前記トラバースベースが配されている方向に突出して設けられた第1のリブが配され、前記トラバースベースは、前記トラバースベースが記録再生位置にある時に前記第1のリブに当接可能な第2のリブを備え、記録再生時、前記第1のリブと前記第2のリブとを当接させて、前記クランパが前記ターンテーブルに結合可能なように前記クランプホルダーを回動させる構成としてもよい。
【0017】
(実施の形態1)
[1.基本構成]
図1は、本発明の実施の形態1におけるディスク装置のディスク載置可能状態での斜視図である。ここで、「ディスク載置可能状態」とは、ユーザーがトレイにディスクを載置することができる時の装置の状態である。なお、以下の説明では、装置がディスク載置可能状態にある時の各部品の位置を「ディスク載置位置」と称することもある。
【0018】
図2は、ディスク装置のクランプ位置での斜視図である。ここで、「クランプ状態」とは、ディスクをターンテーブルにクランプする位置にトレイが移動した状態である。トレイはディスク載置位置とクランプ位置との間を移動するように構成されている。なお、以下の説明では、装置がクランプ状態にある時の各部品の位置を「クランプ位置」と称することもある。
【0019】
図3はディスク装置がクランプ状態にある時の断面図で、図2におけるV−V部の断面である。図4はディスク装置のディスクのセンタリング完了状態の斜視図、図5はディスク装置のディスクの記録再生状態の斜視図である。図6はディスク装置のディスクの記録再生状態での断面図で、図5におけるW−W部の断面である。
【0020】
図1から図6に示すように、本実施の形態のディスク装置は、主に、ターンテーブル1と、光ピックアップ2と、トレイ3と、トラバースベース5と、ガイド軸6と、シャーシ7と、センタリング部8と、クランパ9とクランプホルダ10とから構成されている。
【0021】
ターンテーブル1は、略円盤状を成しており、ディスク4を載置可能なディスク載置面を備えている。ターンテーブル1のディスク載置面にディスク4を載置して、クランパ9(後述)とともにディスク4を挟持してディスク4を回転させることができる。なお、ターンテーブル1は、モータなどの駆動手段(図示せず)によって回転駆動される。
【0022】
光ピックアップ2は、ディスク4の情報層に対してレーザ光を照射し、情報層へ映像信号などを記録したり、ディスク4に記録されている情報を読み出したりすることができる。
【0023】
トレイ3は、その主面上にディスク4を載置可能であるとともに、Y方向あるいはその逆方向に移動自在に設けられている。また、トレイ3は、モーターと歯車とラック(いずれも後述)などの駆動手段によって駆動される。また、トレイ3には、ディスク載置面3a、リブ3b、開口部3c、壁部3dが設けられている。
【0024】
ディスク載置面3aは、ユーザーによってディスク4が載置される面である。
【0025】
リブ3bは、ディスク載置面3a上において、開口部3c近傍に立設されている。また、リブ3bは、その上面が、図1に示すように開口部3c近傍における高さが低くなるように湾曲させて構成されている。このように構成することで、ディスク4(大径または小径)がディスク載置面3a上に載置された時に、リブ3bでディスク4の外周縁近傍を受け、ディスク4のディスク載置面3aに対向する面(CDやDVDの場合は記録面)がディスク載置面3aに接触し、傷や汚れが付くのを防ぐことができる。また、リブ3bは、本実施の形態では図1に示すように光ピックアップ2の移動方向(Y方向あるいはその逆方向)に対して平行に形成している。また、リブ3bは、本実施の形態では開口部3c(後述する)を挟んで左右2カ所に設けられている。なお、左右2つのリブ3bの間隔は、左右2つのリブの間に小径ディスクが入り込まないように、少なくとも小径ディスクの直径より狭い間隔で設ける。また、リブ3bの長手方向の長さは、記録再生状態においてターンテーブル1を中心に少なくとも大径ディスクの外径寸法よりも長くなるように設けられている。また、図3に示すように、リブ3bのディスク載置面3aに対する高さは、ターンテーブル1付近が最も低くなるように形成し、ディスクの径方向外側に向かって高くなるように、長手方向の両端近傍が最も高くなるように形成されている。そして、リブ3bを側面から見た時の形状は、本実施の形態では図3に示すように連続的な略円弧形状となっている。なお、円弧形状に限定されるものではなく、少なくとも中央付近が最も低くなるような形状であればよく、例えば略V字形状としてもよい。また、各リブ3bの幅は、ディスク4との接触面積を極力少なくできる寸法でよく、例えばリブ3bの頂部の形状を尖らせる形状としてもよい。
【0026】
壁部3dは、トレイ3のディスク載置面3aの端部には、壁部3dが設けられており、ディスク4を載置する際のディスク載置位置のX方向、Y方向へのある程度の位置規制がなされ、ユーザーはディスク4を壁部3dに囲まれた範囲の中で自由に載置すればよい。
【0027】
ディスク4(情報媒体)は、CDやDVDなどの円盤状の情報媒体である。本装置では、ディスク4として大径ディスク及び小径ディスクを装着することができる。
【0028】
トラバースベース5は、シャーシ7における開口部7b内に回動自在に配され、主にターンテーブル1と光ピックアップ2が搭載されている。また、トラバースベース5は、モータやギヤなどの駆動手段(図示せず)によって、支軸5aの軸周りに回動自在に配され、待機位置と記録再生位置との間で回動するように設けられている。ここで、「待機位置」とは、図3に示すようにトレイ3がディスク装置内に引き込まれた状態で、ターンテーブル1のディスク載置面及び光ピックアップ2がトレイ3のリブ3bの上面より突出しない位置(つまり、リブ3bの上面より下部に位置した状態)である。また、「記録再生位置」とは、図6に示すように、ターンテーブル1のディスク載置面がトレイ3のリブ3bより上方向に突出して、ディスク4を載置して記録再生可能な位置である。また、トラバースベース5の支軸5a近傍には、図3に示すように、主面に対して略垂直方向に湾曲して形成されているリブ5eが設けられている。なお、トラバースベース5を回動させる駆動手段については後述する。
【0029】
ガイド軸6は、互いに平行な2本の支軸で構成され、トラバースベース5に設けられている開口部5b内に固定されている。ガイド軸6は、光ピックアップ2の両端を支持し、ディスク4の半径方向に移動する際に案内している。
【0030】
シャーシ7は、トレイ3、トラバースベース5,センタリング部8などを搭載している。また、シャーシ7は、主面の略中央に開口部7bが形成され、開口部7b内においてトラバースベース5が支軸5aで保持している。シャーシ7には、トラバースベース5を支軸5a中心に待機位置と記録再生位置との間で回動させるための駆動手段(図示せず)と、トレイ3を駆動する駆動手段(図示せず)も備えている。また、シャーシ7の上には、シャーシ7の上部を覆うようにトップカバー7aが取り付けられる。
【0031】
センタリング部8は、ディスク4が載置されているトレイ3がディスク装置内に移動して停止した後(図2の状態)、ディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うように、ディスク4を移動させるものである。本実施の形態では、記録再生状態におけるターンテーブル1を中心に、上下左右対称に4組のセンタリング部材8aと支軸8eとによって構成され、記録再生状態におけるターンテーブル1の中心軸と光ピックアップ2の中心軸を含む第一の平面、及びターンテーブル1の中心を通り第一の平面と略直角に交わる第二の平面を中心に対称的にディスク4に当接するように構成されている。
【0032】
センタリング部材8aは、トレイ3のディスク載置面3aに載置されたディスク4の外周部を4箇所で支持して、ディスク4をセンタリング方向へ移送する。なお、センタリング部材8aは、トレイ3のディスク載置面3aに載置されたディスク4の外周部以外の部位を支持して移送させてもよい。また、センタリング部材8aは、待機状態である第1の位置(図1、図2、図5)と、ディスク4を支持してセンタリング位置へ移動が完了した第2の位置(図4)との間を移動可能なように、それぞれ矢印AあるいはB方向へ支軸8eを中心に回動可能となっている。
【0033】
支軸8eは、シャーシ7に設けられており、ターンテーブル1に対する取付け位置精度を上げることができるため、ターンテーブル1に対するディスク4のセンタリング精度を高くできる。
【0034】
なお、センタリング部材8aの駆動方法については後述する。また、詳しくは後述するが、支軸8eの端部にはそれぞれギヤが設けられ、各ギヤは各支軸8eを中心に配置されている。それぞれ対になったセンタリング部材8aのギヤ同士は、互いに噛み合うようになっているため、対になったセンタリング部材8aはそれぞれ同タイミングで回動する構成になっている。また、2つの対になったセンタリング部材8aは同タイミングで回動するように、内部のメカニズムを構成している。センタリング部材8aは、回動することで、トレイ3のディスク載置面3aに載置された大径ディスク及び小径ディスクをすくい上げることができる長さで構成される。また、センタリング部材8aは、センタリング位置で回動動作を停止させる構成を備えており、その構成としては、ストッパー(図示せず)に当接させる構成や、支軸8eのギヤにスリップ手段(図示せず)を設けて駆動力を支軸8eに伝えないようにする構成などにより、回動動作を停止する構成となっている。本実施の形態では、大径ディスクと小径ディスクを装着可能としており、例えば大径ディスクをセンタリングする際はスリップ機構によりセンタリング部材の回動を停止させ、小径ディスクをセンタリングする際はストッパーにてセンタリング部材の回動を停止させる構成が考えられる。また、スリップ機構のみ設け、全てのディスクについてスリップ機構によりセンタリング手段の回動を停止させてもよい。このようにセンタリング部材8aの回動動作を停止させる手段を、以下「回動停止手段」と称する。
【0035】
クランパ9は、ディスク4をターンテーブル1のディスク載置面にクランプするものである。クランパ9は、ターンテーブル1のディスク載置面の鉛直方向(Z方向)に移動可能に、クランプホルダ10に遊嵌されている。
【0036】
クランプホルダ10は、クランパ9を保持しており、支軸10aを中心にクランプ待機位置とクランプ位置との間で回動可能に配されている。また、支軸10aは、トップカバー7aに支持されている。クランプ待機位置は図3に示すように、ディスク装置内に移動されたトレイ3とディスク載置面3aに載置されたディスク4に当接しない位置に設定される。クランプ位置は、図3の位置からクランプホルダ10が支軸10aを中心に図6に示すような位置までC方向に回動し、クランパ9がディスク4をターンテーブル1に固定し、且つ、クランプホルダ10がディスク4に当接しない位置に設定される。なお、クランプホルダ10の回動方法については、後述する。また、クランパ9は、磁性体を内設しており、ターンテーブル1のディスク載置面に配されている被磁性体に、磁力で吸着される構成になっている。また、クランプホルダ10は、コイルバネなどの弾性部材によって、常時図3に示す待避位置に位置するように付勢されている。また、クランプホルダ10の長手方向後端には、略鉛直方向へ湾曲して形成されているリブ10bが設けられている。リブ10bは、少なくともトラバースベース5のリブ5eに当接可能な寸法を有している。
【0037】
[2.ディスク着脱動作]
[2−1.基本動作]
まず、ディスク装置の表面に装備されているトレイ開閉スイッチ(図示せず)が、ユーザーによって操作されると、モータ41が駆動を開始し、その駆動力が中継ギヤ42を介してトレイ3裏面に形成されたラック3eに伝達される。これにより、トレイ3が、ディスク装置内部からY方向に引き出され、図1に示す状態となる。ユーザーは、ディスク載置面3aにおける、壁部3dで囲まれた範囲内の任意の位置にディスク4を載置する。この時、ディスク4の下面(記録面)は、リブ3bで受けられている。なお、モータ41、中継ギヤ42などから構成される、トレイ3を移送させるための駆動手段を、「第1の駆動手段」と称する。
【0038】
次に、トレイ開閉スイッチ(図示せず)が再度操作、あるいは、記録再生開始のスイッチ(例えば再生開始ボタンや記録開始ボタン)が操作されると、モータ41は前述の引き出し動作時とは逆方向の回転し、トレイ3がディスク装置内部に引き込まれ、図2及び図3に示す状態となる。
【0039】
なお、センタリング部8は、ディスク4をセンタリング動作する時以外は、トレイ3がディスク装置内に引き込まれた状態での、ディスク載置面3aのZ方向の投影面上に重ならない位置に退避している(例えば図7参照)。また、トレイ3がディスク装置内から装置外へ引き出される際、または装置外から装置内に引き込まれる際には、図3に示すように、クランプホルダー10及びクランパ9はトレイ3に当接しないように、Z方向の上方に退避している。また、ターンテーブル1と光ピックアップ2は、ディスク4に当接しないように、トラバースベース5の回動によってZ方向の下方に退避している。
【0040】
次に、図2及び図3において、モータ30が駆動を開始し、モータ30の出力軸に連結された中継ギヤ31が回転されることで、第1のラック16及び第2のラック17が移動を開始する。なお、モータ30、第1のラック16、第2のラック17などから構成され、トラバースベース5などを駆動させる駆動手段を、「第2の駆動手段」と称し、第2の駆動手段の具体的な動作については後述する。第1のラック16及び第2のラック17が移動することにより、センタリング部8の支軸8eに設けられたギヤ部(後述)に駆動力が伝達され、4カ所のセンタリング部材8aがそれぞれ支軸8eを軸に矢印A方向へ同時に回動する。そして、センタリング部材8aがディスク4の外周部に当接し、さらにセンタリング部材8aが回動を続けるとディスク4の縁部がセンタリング部材8aのディスク当接面を滑りながら、図4に示すようにディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合う位置に移動される。
【0041】
ディスク4が図4に示すセンタリング完了位置まで到達すると、センタリング部材8aは回動停止手段により回動動作を停止する。回動停止手段は、センタリング部材8aによって移動されるディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うセンタリング位置で、停止するように設けられる。なお、第2の駆動手段は、駆動を続けている。
【0042】
次に、駆動を続けている第2の駆動手段によって、図3に示すように、トラバースベース5が支軸5aの軸周りに矢印E方向へ回動を始め、ターンテーブル1が開口部3cを挿通して図6に示す記録再生位置まで移動する。この時、ディスク4は、その中心孔にターンテーブル1の突起が嵌合し、ディスク載置面に載って持ち上げられる。また、トラバースベース5が回動する際、リブ5eが、クランプホルダ10のリブ10bを矢印E方向へ押圧し、クランプホルダ10は弾性部材の弾性力に抗して矢印C方向へ回動される。
【0043】
次に、図6に示すように、トラバースベース5及びクランプホルダ10が、図6に示す位置まで回動すると、クランパ9が磁力によってターンテーブル1のディスク載置面に引き寄せられて、ディスク4はターンテーブル1とクランパ9とによってクランプされる。なお、この時、第2の駆動手段は駆動を続けている。
【0044】
なお、本実施の形態では、クランプホルダ10は、トレイ3のディスク装置内への引き込み動作が終了し、ディスク4がターンテーブル1の中心にセンタリングされた後に、トラバースベース5によって押圧されてクランプ位置まで回動する構成であるが、トレイ3のディスク装置内への引き込み動作と同時に、クランプホルダ10が矢印C方向に回動する構成としても良い。この場合、例えば、クランプホルダ10の一部が、引き込み動作中のトレイ3に当接して、クランプホルダ10が矢印C方向に回動する構成とする。
【0045】
次に、図5に示すように、駆動を続けている第2の駆動手段によって、センタリング部材8aはそれぞれ矢印D方向へ回動され、ターンテーブル1に載置されたディスク4の外周から離間する位置に退避する。なお、センタリング部材8aは、ターンテーブル1に載置されたディスク4の外周から離間していれば、どの位置に退避しても良い。本実施の形態では、センタリング部材8aは図1に示す第1の位置へ移動するようにした。
【0046】
図5に示す状態では、ディスク4は、ターンテーブル1とクランパ9とによって保持されている。そして、ターンテーブル1を回転させてディスク4を回転させ、光ピックアップ2をディスク4の半径方向に移動させながら、ディスク4に対して情報を記録再生することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、クランプベース10は、トラバースベース5の回動と同時に回動する構成としたが、タイミングをずらしてもよく、例えばトラバースベース5の回動が終了した後にクランプベース10が回動する構成としても良い。
【0048】
次に、ディスク装置からディスク4を取り出す動作について説明する。
【0049】
図5及び図6に示すディスク4が記録再生状態において、ディスク取出し用のスイッチ(図示せず)が操作されると、ターンテーブル1の回転が停止し、ディスク4の回転が停止する。
【0050】
次に、図6に示すモータ30を動作させて、中継ギヤ31を介して第1のラック16及び第2のラック17を動作させる。第1のラック16及び第2のラック17が動作すると、図5に示すセンタリング部材8aが図示の第1の位置(ディスクから離間した位置)から、図4に示すようにディスク4の外周を支持する第2の位置まで回動され、ディスク4の外周部を支持することができる。この時、第2の駆動手段は、駆動を続けている。なお、第1のラック16などで構成される第2の駆動手段の詳しい動作については、後述する。
【0051】
次に、第2の駆動手段の駆動に伴い、トラバースベース5は、図6に示す記録再生状態から、支軸5aを中心に矢印F方向へ回動し始める。トラバースベース5の回動に伴って、リブ5eがリブ10bから離れる方向へ回動するので、クランプホルダー10は弾性部材(図示せず)の弾性力によって矢印D方向に回動され、図3に示すクランプ待機位置に移動する。その際、ターンテーブル1とクランパ9とは磁気吸着力に抗して離間し、ターンテーブル1とクランパ9とでクランプ保持されていたディスク4は保持状態から解放される。さらに、トラバースベース5の回動中において、各センタリング部材8aが矢印D方向へ回動されて、センタリング部材8aはディスク4の外周縁から離間する。これにより、ディスク4は解放状態となり、図2及び図3に示すようにトレイ3のリブ3b上に載置される。
【0052】
第2の駆動手段は、センタリング部材8aが図2及び図3に示す状態になった時に、動作を停止する。
【0053】
なお、本実施の形態では、クランプホルダー10のクランプ待機位置への移動は、トラバースベース5の待機状態への移動後に行っているが、トラバースべース5の待機状態への移動前に、クランプホルダー10のクランプ待機位置への移動を行っても良い。また、トラバースベース5の待機状態への移動と同時にクランプホルダー10のクランプ待機位置への移動を行っても良い。
【0054】
次に、図2及び図3において、モータ41が駆動してトレイ3がディスク装置内から引き出され、図1に示すようにトレイ3はディスク載置位置まで移動して停止する。これにより、ユーザーがディスク4を取り出すことができる。
【0055】
なお、ディスク装置から引き出されたトレイ3がディスク載置位置で停止する時は、トレイ3あるいはトレイ3を動かすカム部が、シャーシ7に設けられた電気スイッチ(図示せず)を押すことで停止する。
【0056】
[2−2.センタリング動作]
図7〜図9はディスク装置の内部構成の平面図を示しており、図7はセンタリング前の状態で、図8はセンタリング中の状態で、図9はセンタリング完了状態を示している。なお、各図において、説明の便宜上、一部の部品や部材については描画を省略している。また、一部の部品や部材については仮装線で描画している。
【0057】
図7〜図9において、センタリング部材8a〜8dは、前述では4本のセンタリング部材を「センタリング部材8a」と表記していたが、本説明では4本のセンタリング部材に各々異なる符号を付与して説明している。センタリング部材8a〜8dは、ターンテーブル1の回転中心軸と光ピックアップ2の光軸とを含む第1の平面、及びターンテーブル1の中心を通り第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心にして対称的に、ディスク4に当接させている。また、第1及び第2のセンタリング部材8a及び8bは、ディスク4をセンタリングさせる際、ディスク4の上側を支持するものである。また、第3及び第4のセンタリング部材8c及び8dは、ディスク4をセンタリングさせる際、ディスク4の下側を支持するものである。本実施の形態では、センタリング部材8は、ディスク4の外周縁部を支持しているが、ディスク4の外周部以外の部位を支持して移送させてもよい。また、各センタリング部材8a〜8dは、図7に示すようにディスク4及びカートリッジ19をディスク載置面3aに載置可能なように退避されている第1の位置と、図8に示すようにディスク4を支持してセンタリング位置へ移動が完了している第3の位置と、図9に示すようにディスク4がセンタリング後にクランプされている第2の位置とに移動可能なように、それぞれ矢印AあるいはD方向へ回動可能に構成されている。本実施の形態では、ディスク装着時は第1の位置、第3の位置、第2の位置の順で変位し、ディスク取り出し時は第2の位置、第3の位置、第1の位置の順で変位するよう動作する。
【0058】
また、各センタリング部材8a〜8dの端部にはそれぞれギヤ8fが設けられている。センタリング部材8aと8cに設けられたギヤ8fは互いに噛み合い、センタリング部材8bと8dに設けられたギヤ8fは互いに噛み合うように構成されているため、センタリング部材8aと8cは同タイミングで回動し、センタリング部材8bと8dは同タイミングで回動する。また、センタリング部材8a〜8dが同じタイミングで回動するように、ディスク装置内部のメカニズムが構成されている。
【0059】
各センタリング部材8a〜8dは、回動時に、トレイ3に載置された大径ディスクまたは小径ディスクを、すくい上げることができる長さで構成されている。
【0060】
バネ13a及び13bは、センタリング部材8c及び8dを矢印Aに示すセンタリング方向へ付勢させている。なお、バネ13a及び13bは、本実施の形態ではコイルバネで構成されているが、センタリング部材8c及び8dをセンタリング方向へ付勢させることができれば、板バネなど他の弾性部材で実現してもよい。また、本実施の形態ではバネ13a及び13bを、コイル部分がセンタリング部材8c及び8dの回動中心に対して略同軸になるよう配したが、センタリング部材8a及び8bの回動中心に配してもよい。また、センタリング部材8a〜8dの各回動中心に配してもよい。また、バネ13a及び13bは、バネ13aがセンタリング部材8cに付与する負荷と、バネ13bがセンタリング部材8dに付与する負荷とが同じになるように、バネレートが設定されているため、ディスク4を正確にセンタリングさせることができる。なお、バネ13a及び13bの一端はフロントカバー3の一部に支持され、他端はセンタリング部材8c及び8dの一部に支持されている。
【0061】
センタリング調整部材14a及び14bは、センタリング部材8c及び8dと同軸位置、またはセンタリング部材8c及び8dの近傍位置において、回動自在に軸支されている。また、センタリング調整部材14a及び14bは、一端にギヤが形成され、センタリング調整部材14aのギヤはセンタリング部材8aのギヤ8fに噛み合い、センタリング調整部材14bのギヤはセンタリング部材8bのギヤ8fに噛み合っている。また、センタリング調整部材14a及び14bは、バネ13a及び13bにより矢印A方向へ付勢されたセンタリング部材8c及び8dに、センタリング部材8a及び8bを介して噛み合っているため、矢印A方向へ付勢されている。また、センタリング調整部材14a及び14bの他端側には、第1及び第2のラック16及び17(後述する)が当接されることにより、センタリング調整部材14a及び14bの矢印A方向への回動が規制されている。これにより、センタリング部材8a及び8bの回動が規制され、センタリング部材8a及び8bに噛み合ったセンタリング部材8c及び8dの回動も規制され、センタリング部材8a〜8d全ての回動が規制されることになる。よって、センタリング調整部材14a及び14bの回動を制御することで、センタリング部材8a〜8dの回動を制御することができる構造になっている。
【0062】
また、センタリング調整部材14a及び14bは、シャーシ7の裏面側に配置されている。したがって、図7におけるセンタリング調整部材14a及び14bの歯車と噛み合うセンタリング部材8a及び8bのギヤ8fは、シャーシ7の裏面側まで到達するように配されている。また、センタリング調整部材14a及び14bに設けられたギヤのピッチ円直径(PCD:Pitch Circle Diameter)は、ギヤ8fのピッチ円直径よりも大きく設定されており、これによりセンタリング調整部材14a及び14bを回動させた時、センタリング部材8a〜8dの回動量をセンタリング調整部材14a及び14bの回動量よりも大きくすることができる。本実施の形態では、センタリング調整部材14a及び14bのピッチ円直径を、ギヤ8fのピッチ円直径に対して約2倍に設定しているので、センタリング調整部材14a及び14bの回動角度(回動量)はセンタリング部材8a〜8dの回動角度(回動量)の半分となり、ラック16及び17の移動量も半分となる。
【0063】
第1ラック16及び第2のラック17は、ターンテーブル1の中心と光ピックアップ2の中心とを通る線を中心に、略直角方向でかつ相対向する方向(図7の矢印Bおよび矢印E方向)に、同速度で移動可能に配されている。第1のラック16は、ディスク装置がディスク載置可能状態の時は、図7に示すようにセンタリング部材8c側に位置しており、その左端部16aがセンタリング調整部材14aに当接し、センタリング調整部材14aの矢印A方向への回動を規制している。また、第2のラック17は、ディスク装置がディスク載置可能状態の時は、図7に示すようにセンタリング部材8d側に位置しており、その右端部17aがセンタリング調整部材14bに当接し、センタリング調整部材14bの矢印A方向への回動を規制している。また、第1のラック16は、別途設けられたモータ30(図3参照)から中継ギア31に伝達される駆動力により、矢印E方向へ移動可能で、第2のラック17は、矢印B方向へ移動可能に構成されている。なお、第1のラック16及び第2のラック17の駆動機構については後述する。
【0064】
また、第1のラック16と第2のラック17は、両方とも中継ギア31に噛み合っているため、モータ30が駆動を開始することで、両者を同タイミングで移動を開始することができる。第1のラック16と第2のラック17の移動開始タイミングを同時にすることで、ディスク4のセンタリング精度を高めることができる。さらに、移動開始タイミングを同時とするとともに移動速度を同速度とすることで、さらにセンタリング精度を高めることができる。
【0065】
なお、モータ30からの駆動力は、それぞれ独立して第1のラック16及び第2のラック17に伝達されるように構成してもよいが、本実施の形態では、第1のラック16及び第2のラック17の相対向する位置に歯16c及び17cを形成し、両方の歯16c及び17cに噛み合う中継ギヤ31を設け、駆動源からの駆動力を中継ギヤ31に伝達することで、中継ギヤ31に噛み合った歯16c及び17cに駆動力が伝達され、ラック16及び17をそれぞれ相対向する矢印B及びE方向へ移動させることができる。
【0066】
また、センタリング部材8a及び8cとセンタリング部材8b及び8dとが同じタイミングで回動するように、第1のラック16及び第2のラック17はセンタリング調整部材14a及び14bのできるだけ同じ部分に当接するように構成する。
【0067】
また、第1のラック16及び第2のラック17は、図3に示すようにディスク装置を正面から見た時の配置は、互いに接触しないように配置され、図4に示すように側面から見た時の配置は、縦方向に並ぶように配されている。
【0068】
また、第1のラック16及び第2のラック17の保持については図示していないが、例えば第1のラック16及び第2のラック17の長手方向に沿ってカム溝を設け、装置側にカム溝と係合するピンを設けて、ラックをスライド自在に保持する構成が考えられるが、他の構成であってもよい。
【0069】
以下、動作を説明する。なお、本説明では直径12cmの大径ディスクを着脱する動作について説明しているが、小径ディスク(例えば直径8cm)であっても同様に動作する。
【0070】
本実施の形態では、前述したようにトレイ3上にディスク4を位置決めする構成を設けておらず、ユーザーによってトレイ3のリブ3d上にラフに載置される。したがって、トレイ3によって装置内へ挿入されたディスク4は、図7に示すように、その中心がターンテーブル1の中心に対してずれている可能性が高い。この時、センタリング部材8a〜8dは、トレイ3のディスク載置面3aの投影面上に重ならないように、退避されている。また、センタリング調整部材14a及び14bは、図7に示す位置にある。また、第1のラック16は左端部16aがセンタリング調整部材14aに当接し、第2のラック17は右端部17aがセンタリング調整部材14bに当接し、センタリング調整部材14a及び14bとセンタリング部材8a〜8dの矢印A方向への回動を規制している。
【0071】
次に、トレイ3が装置内へ挿入完了したことを検出スイッチ(図示せず)が検出するか、記録再生開始のスイッチ(図示せず)が操作されると、モータ30が駆動を開始する。モータ30が駆動すると、モータ30に連結された中継ギア31が回転駆動し、その駆動力が第1のラック16及び第2のラック17へ伝達される。
【0072】
第1のラック16は、図7に示す位置から矢印E方向へ移動が開始され、第2のラック17は図7に示す位置から矢印B方向へ移動が開始される。すると、センタリング調整部材14a及び14bは、バネ13a及び13bの付勢力によりラック16及び17に当接したまま、矢印A方向へ回動する。これに伴い、センタリング調整部材14a及び14bに噛み合ったセンタリング部材8a及び8bが、支軸8eを軸に矢印A方向へ回動され、センタリング部材8a及び8bに噛み合ったセンタリング部材8c及び8dが、支軸8eを軸に矢印A方向へ回動される。
【0073】
第1のラック16及び第2のラック17の移動に伴って回動されているセンタリング部材8a〜8dは、やがてディスク4の外周部に当接し、さらに回動されると、図8に示すように、センタリング部材8a〜8dのディスク当接部をディスク4の外縁部が摺動しながら、ディスク4をターンテーブル1の中心方向へ移動させることができる。
【0074】
図8に示すように、ディスク4がセンタリング完了位置(第3の位置)まで到達すると、第1〜第4のセンタリング部材8a〜8dは、バネ13a及び13bの付勢力によりディスク4の縁部を押圧保持した状態で停止する。この時、センタリング部材8a〜8dは、ディスク縁部を押圧支持した状態で、力が釣り合って停止している。
【0075】
なお、第1のラック16及び第2のラック17は、センタリング部材8a〜8dがディスク4の縁部を支持しても、矢印B及びE方向への移動動作は継続される。センタリング部材8a及び8cがディスク4の縁部に当接されているため、センタリング部材8a及び8cの回動は規制され、センタリング調整部材14aの回動も規制されている。よって、第1のラック16が矢印E方向へ移動を続けることで、やがてセンタリング調整部材14aとラック16とが離間される。また、センタリング部材8b及び8dがディスク4の縁部に当接されているため、センタリング部材8b及び8dの回動が規制され、センタリング調整部材14bの回動が規制されている。よって、ラック17が矢印B方向へ移動を続けることで、やがてセンタリング調整部材14bとラック17とが離間される。
【0076】
次に、トラバースベース5が、支軸5aを中心に矢印E方向(図3参照)へ回動されて、ターンテーブル1が開口部3bを挿通して記録再生位置まで移動される。また、トラバースベース5の回動に伴い、クランプホルダ10が矢印C方向(図3参照)へ回動する。なお、トラバースベース5の詳しい回動動作については後述する。
【0077】
ターンテーブル1が、ディスク4のクランプ位置近傍まで移動すると、クランパ9が磁力によってターンテーブル1のディスク載置面に引き寄せられて、ディスク4はターンテーブル1とクランパ9とによってクランプされる。なお、この時、第1のラック16及び第2のラック17は、矢印B及びE方向への移動動作を継続している。
【0078】
ディスク4をクランプさせた後、第1のラック16及び第2のラック17の移動が継続されると、やがて第1のラック16の右端部16bがセンタリング調整部材14bに当接し、第2のラック17の左端部17bがセンタリング調整部材14aに当接する。
【0079】
さらに第1のラック16が矢印E方向、第2のラック17が矢印B方向へそれぞれ移動されると、第1のラック16がセンタリング調整部材14bを押圧してセンタリング調整部材14bが矢印D方向へ回動し始め、また、第2のラック17がセンタリング調整部材14aを押圧してセンタリング調整部材14aが矢印D方向へ回動し始める。
【0080】
それに伴って、センタリング調整部材14aの回動力がギヤを介してセンタリング部材8a及び8cに伝達され、センタリング調整部材14bの回動力がギヤを介してセンタリング部材8b及び8dに伝達される。これにより、図9に示すように、センタリング部材8a〜8dはそれぞれ矢印D方向へ回動され、ディスク4の縁部から離間する位置に退避される。この時、ディスク4は、クランパ9及びターンテーブル1によりクランプされている。
【0081】
次に、ターンテーブル1が回転されてディスク4を回転させ、光ピックアップ2によりディスク4に対して情報信号を記録または再生させることができる。
【0082】
なお、第1〜第4のセンタリング部材8a〜8dにおける、ディスク4から離間後の退避位置は、ターンテーブル1に載置されたディスク4の外周から離間していれば、第2の位置と第3の位置との間のどの位置に退避させても良い。
【0083】
なお、上記ディスク装着動作は、センタリング動作、トラバース移動(クランプ)動作という順序で行っているが、必ずしもこの順序にする必要はなく、ディスク4をクランプ状態まで移行できるのであれば順序が変わってもよい。
【0084】
次に、ディスク装置からディスク4を取り出す場合の動作について説明する。
【0085】
図9に示すように、ディスク4が記録再生位置にある状態において、ディスク取出し用のスイッチ(図示せず)が操作されると、ターンテーブル1の回転が停止され、ディスク4の回転が停止する。次に、モータ30(図6参照)から出力される駆動力が、中継ギア31を介して第1のラック16及び第2のラック17に伝達される。
【0086】
次に、第1のラック16は、図9に示す位置から矢印B方向へ移動が開始される。また、第2のラック17は、図9に示す位置から矢印E方向へ移動が開始される。それに伴って、バネ13a及び13bの付勢力により、センタリング調整部材14aがラック17に当接されたまま矢印A方向へ回動され、センタリング調整部材14bがラック16に当接されたまま、矢印A方向へ回動される。さらに、センタリング調整部材14a及び14bにギヤを介して噛み合っているセンタリング部材8a〜8dが、支軸8eを軸に矢印A方向へ回動される。
【0087】
次に、図8に示すように、センタリング部材8a〜8dが、第2の位置(ディスク4から離間した位置)から、ディスク4の縁部を支持する第3の位置まで回動され、ディスク4の縁部をバネ13a及び13bによる付勢力により押圧支持する。なお、ラック16及び17は、センタリング部材8a〜8dがディスク4の縁部を支持しても、矢印B及びE方向への移動動作は継続される。また、ラック16及び17が所定位置まで移動されると、第1のラック16の右端部16bとセンタリング調整部材14bとが離間し、第2のラック17の左端部17bとセンタリング調整部材14aとが離間する。
【0088】
次に、トラバースベース5は、支軸5aを中心に矢印F方向(図6参照)へ回動され、クランプ位置から図3に示す待機位置に移動される。それに伴って、クランプホルダ10は矢印D方向(図6参照)に回動されて、ターンテーブル1とクランパ9とは、磁気吸引力に抗して離間される。これにより、クランプされていたディスク4は、図8に示すように、センタリング部材8a〜8dのみにより支持された状態となる。
【0089】
さらに、第1のラック16が矢印B方向、第2のラック17が矢印E方向へ移動されると、図7に示すように、第1のラック16の左端部16aがセンタリング調整部材14aに当接し、第2のラック17の右端部17aがセンタリング調整部材14bに当接する。当接後、さらに第1のラック16が矢印B方向へ移動されると、第1のラック16によって押圧されるセンタリング調整部材14aは、バネ13aの付勢力に抗して回動される。センタリング調整部材14aに噛み合ったセンタリング部材8a及び8cは、それぞれバネ13a及び13bの付勢力に抗して矢印D方向へ回動される。それに伴って、ディスク4が、センタリング部材8cと8dのディスク当接面を滑り降りて、リブ3c上に載置される。そして、第1のラック16及び第2のラック17が図3に示す第1の位置に到達した時にモータ30が停止し、中継ギヤ31の回転が停止し、第1のラック16及び第2のラック17の移動が停止される。
【0090】
[2−3.トラバースベース5の動作]
図10〜図12は、トラバースベース5の移動機構を示す要部断面図であり、図7におけるR−R部分の断面である。図10はトラバースベース5が待機位置にある状態で、図3に示す状態に相当する。図11はトラバースベース5が移動途中の状態を示している。図12は記録再生位置にある状態を示し、図6に示す状態に相当する。なお、説明をわかりやすくするため、説明に必要な構成のみ図示している。
【0091】
図10〜図12に示すように、第2のラック17には、シャーシ7(例えば図3参照)の主平面に対してほぼ垂直に配置された板部を有し、当該部分に略Z字形状のカム溝17e及び17fが、互いに平行に形成されている。カム溝17eは、両端に、互いの高さ位置が異なる平坦部17g及び17mを有し、平坦部17g及び17mを空間的に繋いでいる傾斜部17hを有している。また、カム溝17fは、両端に、互いの高さ位置が異なる平坦部17n及び17pを有し、平坦部17n及び17pを空間的に繋いでいる傾斜部17kを有している。
【0092】
また、トラバースベース5には、ピン5b及び5cが形成され、それぞれカム溝17e及び17fに、移動自在に嵌合されている。
【0093】
また、図10〜図12における第2のラック17の移動方向である矢印Gは、図7における矢印Bと同じ方向を指している。
【0094】
上記構成において、トラバースベース5が図10に示す待機位置にある状態では、ピン5bはカム溝17eの平坦部17gに位置し、ピン5cはカム溝17fの平坦部17nに位置している。
【0095】
図10に示す状態から第2のラック17が矢印G方向へ移動されると、ピン5b及び5cは、カム溝17e及び17f内の平坦部17g及び17n内を移動し、図11に示すように傾斜部17h及び17k内へ移動する。ピン5b及び5cが傾斜部17h及び17k内を移動して第2のラック17に対する相対位置が上昇することで、トラバースベース5が矢印H方向へ移動される。
【0096】
さらに、第2のラック17が矢印G方向へ移動されると、トラバースベース5が矢印H方向へ移動されながら、ピン5b及び5cは、傾斜部17h及び17kから、図12に示すように平坦部17m及び17p内へと移動する。ピン5b及び5cが平坦部17m及び17p内へ移動した時、トラバースベース5は記録再生位置にあり、ターンテーブル1がディスクをクランプ可能な位置まで移動されている。
【0097】
なお、トラバースベース5を記録再生位置から待機位置へ移動させる場合は、上記動作の逆手順によって実現することができる。すなわち、第2のラック17を図12に示す位置から矢印Gの逆方向へ移動させることで、トラバースベース5を矢印Hの逆方向へ移動させることができる。
【0098】
このように、トラバースベース5の移動動作と、第2のラック17の移動動作とを連動させている。
【0099】
なお、本装置は、小径ディスクも装着可能としている。小径ディスクの装着動作は、前述の大径ディスクの装着動作とほぼ同じであるが、センタリング部材8aの回動量が異なる。小径ディスクは大径ディスクよりも直径が短いため、センタリングする際は大きな回動量が必要となる。また、センタリング部材8aの長さや配置も、リブ3b上に載置された小径ディスクを保持可能に最適化する必要がある。本実施の形態のセンタリング部材8aは、大径ディスクも小径ディスクも保持可能な長さ及び配置となっている。なお、詳しい動作説明については省略する。
【0100】
以上のように本実施の形態1によれば、ディスク4の外周に当接し、ディスク4の中心をターンテーブル1の中心に合うように移動させるセンタリング部8を、ターンテーブル1の中心を通り、ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第一の平面を中心に対称的にディスクに当接する一対または一対以上のセンタリング部材8aで構成し、トラバースベース5を搭載するシャーシ7に設け、ディスク4をトレイ3上の所定範囲内で自由な位置に載置すれば、トレイ3がディスク装置内に引き込まれて停止した後、センタリング部8によって、ディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うように自動的に移送される構成にすることによって、ディスク4を細かく位置決めして装着する必要はなく、装着が容易にできる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、第一の平面と、ターンテーブル1の中心を通り、第一の平面と略直角に交わる第二の平面を中心に対称的にディスク4に当接するように構成されたセンタリング部材8aを設けることで、4方向からディスクを支持するため、センタリング可能なディスク載置範囲が広く、ディスク装着の自由度を高くできる。
【0102】
また、シャーシ7上にセンタリング部8の支軸8eを設けているため、トレイ3等の他の部分にセンタリング手段を設けるよりも、ターンテーブル1に対するセンタリング部8の取付け位置精度を高くすることができ、よって、ターンテーブル1に対するディスク4のセンタリング精度を高くすることができるという作用を有する。
【0103】
また、本実施の形態によれば、第一の平面は、光ピックアップ2の光軸とターンテーブル1の中心軸を含む平面で構成されたことを特徴としたものであり、光ピックアップ2の移動経路に対して左右対称にセンタリング部材8aを配置するため、センタリング部材8aは光ピックアップ2の移動経路に干渉しにくくなり、センタリング部材8aの構成の自由度が増し、センタリング部材8aの回動範囲を大きくでき、よって、センタリング可能なディスク載置範囲が広くなり、ディスク装着の自由度を増やすことができるという作用を有する。
【0104】
また、トレイ3のディスク載置面3a上にリブ3bを設けたことにより、ディスク4のディスク載置面3aに対向する面への傷付きを防ぐことができ、ディスク4を保護できる。さらに、ディスク4とディスク載置面3aとの間にリブ3bにより隙間が生じるため、ディスクを装置から取り出しやすくでき、ディスク載置面3aへの着脱をより容易に、自由度高く行えるという作用を有する。
【0105】
また、リブ3bは、光ピックアップ2の移動方向に平行に配設したことにより、ディスク載置面3aに設けられる開口部3cは、光ピックアップ2の移動方向に平行に設けられるため、開口部3cによってリブ3bが途中で途切れることなく構成でき、ディスク4への傷付き防止の効果を高めることができる。
【0106】
なお、本実施の形態の回動停止手段はスリップ機構やストッパーなど機構的手段によるものとしたが、電気的制御によるものとしてもよい。
【0107】
また、センタリング部材8aの回動機構としてギヤを使うとしたが、これに限定されるものではなく、他の構成を用いてもよい。
【0108】
また、センタリング部材8aは対をなす部材同士、互いにギヤを噛み合わせ、それぞれ同期駆動する構成としたが、ギヤを用いずにそれぞれのセンタリング部材8aを独立した回転駆動方式で回動タイミングを合わせて回動駆動する構成としてもよい。
【0109】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明にかかるディスク装置は、トレイ方式のディスク装置に有用であり、その応用範囲は、例えば据置型ディスクプレーヤー/レコーダー、車載用ディスクプレーヤー/レコーダー、パーソナルコンピューターに搭載されるディスクドライブなどがある。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態1におけるディスクの構成を示す斜視図
【図2】実施の形態1におけるディスク装置の斜視図
【図3】実施の形態1におけるディスク装置の断面図
【図4】実施の形態1におけるディスク装置の斜視図
【図5】実施の形態1におけるディスク装置の斜視図
【図6】実施の形態1におけるディスク装置の断面図
【図7】実施の形態1におけるディスク装置の内部構成を示す平面図
【図8】実施の形態1におけるディスク装置の内部構成を示す平面図
【図9】実施の形態1におけるディスク装置の内部構成を示す平面図
【図10】実施の形態1におけるディスク装置のトラバースベースの移動課程を示す断面図
【図11】実施の形態1におけるディスク装置のトラバースベースの移動課程を示す断面図
【図12】実施の形態1におけるディスク装置のトラバースベースの移動課程を示す断面図
【符号の説明】
【0112】
1 ターンテーブル
2 光ピックアップ
3 トレイ
3a ディスク載置面
3b リブ
3c 開口部
4 ディスク
5 トラバースベース
5a 支軸
7 シャーシ
8 センタリング手段
8a、8b、8c、8d センタリング部材
8e 支軸
9 クランパ
10 クランプホルダ
10a 支軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の記録用または再生用のディスクを装着し、ディスクに対して各種情報信号を記録または再生するためのディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVDに映像音声信号などを記録再生可能な「DVDレコーダー」と称されるが商品が急速に普及し始めているが、今後の更なる普及拡大のために、ユニバーサルデザインなどの誰にでも使いやすい、より使いやすさを追求したディスク装置の開発が求められている。
【0003】
従来のディスク装置においては、装置にディスクを装着する方法として、トレイ方式が一般に使用されている。トレイ方式とは、ディスクを載置可能なトレイを、装置内部と外部との間で移動可能に設け、トレイが装置外部に位置している時にトレイ上にディスクを載置し、次にトレイを装置内に引き込むことで、ディスクをディスク装置に装着することができる構造になっている。
【0004】
以下に従来のディスク装置について説明する。従来、ディスク装置は特許文献1に記載されたものが知られている。
【0005】
特許文献1に開示されたディスク装置は、ディスク使用機器の前面パネルにトレイ出し入れ用の開口部を設け、開口部から引き出されるトレイ上にディスクが載置された後、ディスクがトレイと共に装置内部の所定位置(ターンテーブルへの着脱位置)に引き込まれるように構成されている。
【0006】
トレイ上には、大径及び小径のディスクの外形を型取った位置決め凹部が設けてあり、ディスクを位置決め凹部に位置決めして載置することで、トレイが装置内部に引き込まれた際に、ディスクの中心がターンテーブルの中心に合うように構成されている。
【0007】
そして、ディスクがターンテーブルに装着され、ディスクをクランパとターンテーブルのディスク載置面の間に挟み込んだ状態で所定の回転数で回転させながら、例えば再生する場合にあっては、このディスク上に記録された情報信号を光ピックアップなどの記録再生装置により再生することができる。すなわち、ディスク上の所定範囲に記録された信号のトラック位置に応じて、信号読み取りのためのピックアップを移動させることにより、情報信号の再生が行われるようになっている。
【特許文献1】特開平6−251479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の従来の構成では、ディスクをトレイに載置する際、トレイ上に設けられた位置決め凹部にディスクを位置決めして載置する必要があり、使い勝手を低下させていた。
【0009】
ディスクが位置決め凹部に位置決めされない状態でトレイに載置され、装置内へ引き込まれた場合は、クランプ位置において、ディスク中心とターンテーブル中心とが合わないため、ディスクをターンテーブルに装着することができない。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、ディスク装置へのディスクの装着を容易で、自由度の高い方法で行えるディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の撮像装置は、ディスクに対して情報信号を記録または再生可能なディスク装置であって、前記ディスクを載置可能なディスク載置部を有し、前記ディスク載置部が装置外に位置するディスク載置位置と、前記ディスク載置部が装置内に位置しかつ前記ディスク載置部に載置されている前記ディスクをクランプ可能なディスククランプ位置との間を移動可能なトレイと、前記ディスクに対して情報信号を記録/再生させる光ピックアップと、前記ディスクが載置されかつ前記光ピックアップが前記ディスクに対して情報信号を記録再生可能な位置で前記ディスクを回転させるターンテーブルとが搭載され、記録再生位置と待機位置との間を移動可能に配されたトラバースベースと、前記トラバースベースを内在させている開口部を備え、前記開口部内において前記トラバースベースを移動自在に支持しているシャーシと、前記ディスクの中心と前記ターンテーブルの中心とが一致する位置へ、前記ディスクを保持して移送させるセンタリング部材とを備え、前記センタリング部材は、前記ターンテーブルの中心を通り、前記ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第1の平面、及び前記ターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的に前記ディスクに当接し、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動可能に構成され、トレイのディスク載置部上にリブを配設し、前記リブの鉛直方向への高さは、前記トレイがディスククランプ位置にある状態において、前記ターンテーブル付近では低く、前記ターンテーブル付近からディスク径方向外側に向かうに従って次第に高くして形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撮像装置によれば、ディスク装置へのディスクの装着を容易で、自由度の高い方法で行えるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のディスク装置は、センタリング手段は、第1の平面とターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的にディスクに当接するように構成されたセンタリング部材で構成され、前記センタリング部材は、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動するように構成してもよい。
【0014】
また、前記第1の平面は、光ピックアップ光軸とターンテーブルの中心軸とを含む平面で構成してもよい。
【0015】
また、前記リブは、前記光ピックアップの移動方向に対して平行に配設してもよい。
【0016】
また、前記ターンテーブルに対向する部位に、クランプホルダーに保持されているクランパが配され、前記ターンテーブルと前記クランパとで前記ディスクを挟持可能に構成され、前記クランプホルダーは、前記トラバースベースの支軸に対向位置近傍において、前記クランパと前記ターンテーブルとが離間する離間位置と互いに結合可能な結合位置との間を回動自在に軸支され、前記トラバースベースが配されている方向に突出して設けられた第1のリブが配され、前記トラバースベースは、前記トラバースベースが記録再生位置にある時に前記第1のリブに当接可能な第2のリブを備え、記録再生時、前記第1のリブと前記第2のリブとを当接させて、前記クランパが前記ターンテーブルに結合可能なように前記クランプホルダーを回動させる構成としてもよい。
【0017】
(実施の形態1)
[1.基本構成]
図1は、本発明の実施の形態1におけるディスク装置のディスク載置可能状態での斜視図である。ここで、「ディスク載置可能状態」とは、ユーザーがトレイにディスクを載置することができる時の装置の状態である。なお、以下の説明では、装置がディスク載置可能状態にある時の各部品の位置を「ディスク載置位置」と称することもある。
【0018】
図2は、ディスク装置のクランプ位置での斜視図である。ここで、「クランプ状態」とは、ディスクをターンテーブルにクランプする位置にトレイが移動した状態である。トレイはディスク載置位置とクランプ位置との間を移動するように構成されている。なお、以下の説明では、装置がクランプ状態にある時の各部品の位置を「クランプ位置」と称することもある。
【0019】
図3はディスク装置がクランプ状態にある時の断面図で、図2におけるV−V部の断面である。図4はディスク装置のディスクのセンタリング完了状態の斜視図、図5はディスク装置のディスクの記録再生状態の斜視図である。図6はディスク装置のディスクの記録再生状態での断面図で、図5におけるW−W部の断面である。
【0020】
図1から図6に示すように、本実施の形態のディスク装置は、主に、ターンテーブル1と、光ピックアップ2と、トレイ3と、トラバースベース5と、ガイド軸6と、シャーシ7と、センタリング部8と、クランパ9とクランプホルダ10とから構成されている。
【0021】
ターンテーブル1は、略円盤状を成しており、ディスク4を載置可能なディスク載置面を備えている。ターンテーブル1のディスク載置面にディスク4を載置して、クランパ9(後述)とともにディスク4を挟持してディスク4を回転させることができる。なお、ターンテーブル1は、モータなどの駆動手段(図示せず)によって回転駆動される。
【0022】
光ピックアップ2は、ディスク4の情報層に対してレーザ光を照射し、情報層へ映像信号などを記録したり、ディスク4に記録されている情報を読み出したりすることができる。
【0023】
トレイ3は、その主面上にディスク4を載置可能であるとともに、Y方向あるいはその逆方向に移動自在に設けられている。また、トレイ3は、モーターと歯車とラック(いずれも後述)などの駆動手段によって駆動される。また、トレイ3には、ディスク載置面3a、リブ3b、開口部3c、壁部3dが設けられている。
【0024】
ディスク載置面3aは、ユーザーによってディスク4が載置される面である。
【0025】
リブ3bは、ディスク載置面3a上において、開口部3c近傍に立設されている。また、リブ3bは、その上面が、図1に示すように開口部3c近傍における高さが低くなるように湾曲させて構成されている。このように構成することで、ディスク4(大径または小径)がディスク載置面3a上に載置された時に、リブ3bでディスク4の外周縁近傍を受け、ディスク4のディスク載置面3aに対向する面(CDやDVDの場合は記録面)がディスク載置面3aに接触し、傷や汚れが付くのを防ぐことができる。また、リブ3bは、本実施の形態では図1に示すように光ピックアップ2の移動方向(Y方向あるいはその逆方向)に対して平行に形成している。また、リブ3bは、本実施の形態では開口部3c(後述する)を挟んで左右2カ所に設けられている。なお、左右2つのリブ3bの間隔は、左右2つのリブの間に小径ディスクが入り込まないように、少なくとも小径ディスクの直径より狭い間隔で設ける。また、リブ3bの長手方向の長さは、記録再生状態においてターンテーブル1を中心に少なくとも大径ディスクの外径寸法よりも長くなるように設けられている。また、図3に示すように、リブ3bのディスク載置面3aに対する高さは、ターンテーブル1付近が最も低くなるように形成し、ディスクの径方向外側に向かって高くなるように、長手方向の両端近傍が最も高くなるように形成されている。そして、リブ3bを側面から見た時の形状は、本実施の形態では図3に示すように連続的な略円弧形状となっている。なお、円弧形状に限定されるものではなく、少なくとも中央付近が最も低くなるような形状であればよく、例えば略V字形状としてもよい。また、各リブ3bの幅は、ディスク4との接触面積を極力少なくできる寸法でよく、例えばリブ3bの頂部の形状を尖らせる形状としてもよい。
【0026】
壁部3dは、トレイ3のディスク載置面3aの端部には、壁部3dが設けられており、ディスク4を載置する際のディスク載置位置のX方向、Y方向へのある程度の位置規制がなされ、ユーザーはディスク4を壁部3dに囲まれた範囲の中で自由に載置すればよい。
【0027】
ディスク4(情報媒体)は、CDやDVDなどの円盤状の情報媒体である。本装置では、ディスク4として大径ディスク及び小径ディスクを装着することができる。
【0028】
トラバースベース5は、シャーシ7における開口部7b内に回動自在に配され、主にターンテーブル1と光ピックアップ2が搭載されている。また、トラバースベース5は、モータやギヤなどの駆動手段(図示せず)によって、支軸5aの軸周りに回動自在に配され、待機位置と記録再生位置との間で回動するように設けられている。ここで、「待機位置」とは、図3に示すようにトレイ3がディスク装置内に引き込まれた状態で、ターンテーブル1のディスク載置面及び光ピックアップ2がトレイ3のリブ3bの上面より突出しない位置(つまり、リブ3bの上面より下部に位置した状態)である。また、「記録再生位置」とは、図6に示すように、ターンテーブル1のディスク載置面がトレイ3のリブ3bより上方向に突出して、ディスク4を載置して記録再生可能な位置である。また、トラバースベース5の支軸5a近傍には、図3に示すように、主面に対して略垂直方向に湾曲して形成されているリブ5eが設けられている。なお、トラバースベース5を回動させる駆動手段については後述する。
【0029】
ガイド軸6は、互いに平行な2本の支軸で構成され、トラバースベース5に設けられている開口部5b内に固定されている。ガイド軸6は、光ピックアップ2の両端を支持し、ディスク4の半径方向に移動する際に案内している。
【0030】
シャーシ7は、トレイ3、トラバースベース5,センタリング部8などを搭載している。また、シャーシ7は、主面の略中央に開口部7bが形成され、開口部7b内においてトラバースベース5が支軸5aで保持している。シャーシ7には、トラバースベース5を支軸5a中心に待機位置と記録再生位置との間で回動させるための駆動手段(図示せず)と、トレイ3を駆動する駆動手段(図示せず)も備えている。また、シャーシ7の上には、シャーシ7の上部を覆うようにトップカバー7aが取り付けられる。
【0031】
センタリング部8は、ディスク4が載置されているトレイ3がディスク装置内に移動して停止した後(図2の状態)、ディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うように、ディスク4を移動させるものである。本実施の形態では、記録再生状態におけるターンテーブル1を中心に、上下左右対称に4組のセンタリング部材8aと支軸8eとによって構成され、記録再生状態におけるターンテーブル1の中心軸と光ピックアップ2の中心軸を含む第一の平面、及びターンテーブル1の中心を通り第一の平面と略直角に交わる第二の平面を中心に対称的にディスク4に当接するように構成されている。
【0032】
センタリング部材8aは、トレイ3のディスク載置面3aに載置されたディスク4の外周部を4箇所で支持して、ディスク4をセンタリング方向へ移送する。なお、センタリング部材8aは、トレイ3のディスク載置面3aに載置されたディスク4の外周部以外の部位を支持して移送させてもよい。また、センタリング部材8aは、待機状態である第1の位置(図1、図2、図5)と、ディスク4を支持してセンタリング位置へ移動が完了した第2の位置(図4)との間を移動可能なように、それぞれ矢印AあるいはB方向へ支軸8eを中心に回動可能となっている。
【0033】
支軸8eは、シャーシ7に設けられており、ターンテーブル1に対する取付け位置精度を上げることができるため、ターンテーブル1に対するディスク4のセンタリング精度を高くできる。
【0034】
なお、センタリング部材8aの駆動方法については後述する。また、詳しくは後述するが、支軸8eの端部にはそれぞれギヤが設けられ、各ギヤは各支軸8eを中心に配置されている。それぞれ対になったセンタリング部材8aのギヤ同士は、互いに噛み合うようになっているため、対になったセンタリング部材8aはそれぞれ同タイミングで回動する構成になっている。また、2つの対になったセンタリング部材8aは同タイミングで回動するように、内部のメカニズムを構成している。センタリング部材8aは、回動することで、トレイ3のディスク載置面3aに載置された大径ディスク及び小径ディスクをすくい上げることができる長さで構成される。また、センタリング部材8aは、センタリング位置で回動動作を停止させる構成を備えており、その構成としては、ストッパー(図示せず)に当接させる構成や、支軸8eのギヤにスリップ手段(図示せず)を設けて駆動力を支軸8eに伝えないようにする構成などにより、回動動作を停止する構成となっている。本実施の形態では、大径ディスクと小径ディスクを装着可能としており、例えば大径ディスクをセンタリングする際はスリップ機構によりセンタリング部材の回動を停止させ、小径ディスクをセンタリングする際はストッパーにてセンタリング部材の回動を停止させる構成が考えられる。また、スリップ機構のみ設け、全てのディスクについてスリップ機構によりセンタリング手段の回動を停止させてもよい。このようにセンタリング部材8aの回動動作を停止させる手段を、以下「回動停止手段」と称する。
【0035】
クランパ9は、ディスク4をターンテーブル1のディスク載置面にクランプするものである。クランパ9は、ターンテーブル1のディスク載置面の鉛直方向(Z方向)に移動可能に、クランプホルダ10に遊嵌されている。
【0036】
クランプホルダ10は、クランパ9を保持しており、支軸10aを中心にクランプ待機位置とクランプ位置との間で回動可能に配されている。また、支軸10aは、トップカバー7aに支持されている。クランプ待機位置は図3に示すように、ディスク装置内に移動されたトレイ3とディスク載置面3aに載置されたディスク4に当接しない位置に設定される。クランプ位置は、図3の位置からクランプホルダ10が支軸10aを中心に図6に示すような位置までC方向に回動し、クランパ9がディスク4をターンテーブル1に固定し、且つ、クランプホルダ10がディスク4に当接しない位置に設定される。なお、クランプホルダ10の回動方法については、後述する。また、クランパ9は、磁性体を内設しており、ターンテーブル1のディスク載置面に配されている被磁性体に、磁力で吸着される構成になっている。また、クランプホルダ10は、コイルバネなどの弾性部材によって、常時図3に示す待避位置に位置するように付勢されている。また、クランプホルダ10の長手方向後端には、略鉛直方向へ湾曲して形成されているリブ10bが設けられている。リブ10bは、少なくともトラバースベース5のリブ5eに当接可能な寸法を有している。
【0037】
[2.ディスク着脱動作]
[2−1.基本動作]
まず、ディスク装置の表面に装備されているトレイ開閉スイッチ(図示せず)が、ユーザーによって操作されると、モータ41が駆動を開始し、その駆動力が中継ギヤ42を介してトレイ3裏面に形成されたラック3eに伝達される。これにより、トレイ3が、ディスク装置内部からY方向に引き出され、図1に示す状態となる。ユーザーは、ディスク載置面3aにおける、壁部3dで囲まれた範囲内の任意の位置にディスク4を載置する。この時、ディスク4の下面(記録面)は、リブ3bで受けられている。なお、モータ41、中継ギヤ42などから構成される、トレイ3を移送させるための駆動手段を、「第1の駆動手段」と称する。
【0038】
次に、トレイ開閉スイッチ(図示せず)が再度操作、あるいは、記録再生開始のスイッチ(例えば再生開始ボタンや記録開始ボタン)が操作されると、モータ41は前述の引き出し動作時とは逆方向の回転し、トレイ3がディスク装置内部に引き込まれ、図2及び図3に示す状態となる。
【0039】
なお、センタリング部8は、ディスク4をセンタリング動作する時以外は、トレイ3がディスク装置内に引き込まれた状態での、ディスク載置面3aのZ方向の投影面上に重ならない位置に退避している(例えば図7参照)。また、トレイ3がディスク装置内から装置外へ引き出される際、または装置外から装置内に引き込まれる際には、図3に示すように、クランプホルダー10及びクランパ9はトレイ3に当接しないように、Z方向の上方に退避している。また、ターンテーブル1と光ピックアップ2は、ディスク4に当接しないように、トラバースベース5の回動によってZ方向の下方に退避している。
【0040】
次に、図2及び図3において、モータ30が駆動を開始し、モータ30の出力軸に連結された中継ギヤ31が回転されることで、第1のラック16及び第2のラック17が移動を開始する。なお、モータ30、第1のラック16、第2のラック17などから構成され、トラバースベース5などを駆動させる駆動手段を、「第2の駆動手段」と称し、第2の駆動手段の具体的な動作については後述する。第1のラック16及び第2のラック17が移動することにより、センタリング部8の支軸8eに設けられたギヤ部(後述)に駆動力が伝達され、4カ所のセンタリング部材8aがそれぞれ支軸8eを軸に矢印A方向へ同時に回動する。そして、センタリング部材8aがディスク4の外周部に当接し、さらにセンタリング部材8aが回動を続けるとディスク4の縁部がセンタリング部材8aのディスク当接面を滑りながら、図4に示すようにディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合う位置に移動される。
【0041】
ディスク4が図4に示すセンタリング完了位置まで到達すると、センタリング部材8aは回動停止手段により回動動作を停止する。回動停止手段は、センタリング部材8aによって移動されるディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うセンタリング位置で、停止するように設けられる。なお、第2の駆動手段は、駆動を続けている。
【0042】
次に、駆動を続けている第2の駆動手段によって、図3に示すように、トラバースベース5が支軸5aの軸周りに矢印E方向へ回動を始め、ターンテーブル1が開口部3cを挿通して図6に示す記録再生位置まで移動する。この時、ディスク4は、その中心孔にターンテーブル1の突起が嵌合し、ディスク載置面に載って持ち上げられる。また、トラバースベース5が回動する際、リブ5eが、クランプホルダ10のリブ10bを矢印E方向へ押圧し、クランプホルダ10は弾性部材の弾性力に抗して矢印C方向へ回動される。
【0043】
次に、図6に示すように、トラバースベース5及びクランプホルダ10が、図6に示す位置まで回動すると、クランパ9が磁力によってターンテーブル1のディスク載置面に引き寄せられて、ディスク4はターンテーブル1とクランパ9とによってクランプされる。なお、この時、第2の駆動手段は駆動を続けている。
【0044】
なお、本実施の形態では、クランプホルダ10は、トレイ3のディスク装置内への引き込み動作が終了し、ディスク4がターンテーブル1の中心にセンタリングされた後に、トラバースベース5によって押圧されてクランプ位置まで回動する構成であるが、トレイ3のディスク装置内への引き込み動作と同時に、クランプホルダ10が矢印C方向に回動する構成としても良い。この場合、例えば、クランプホルダ10の一部が、引き込み動作中のトレイ3に当接して、クランプホルダ10が矢印C方向に回動する構成とする。
【0045】
次に、図5に示すように、駆動を続けている第2の駆動手段によって、センタリング部材8aはそれぞれ矢印D方向へ回動され、ターンテーブル1に載置されたディスク4の外周から離間する位置に退避する。なお、センタリング部材8aは、ターンテーブル1に載置されたディスク4の外周から離間していれば、どの位置に退避しても良い。本実施の形態では、センタリング部材8aは図1に示す第1の位置へ移動するようにした。
【0046】
図5に示す状態では、ディスク4は、ターンテーブル1とクランパ9とによって保持されている。そして、ターンテーブル1を回転させてディスク4を回転させ、光ピックアップ2をディスク4の半径方向に移動させながら、ディスク4に対して情報を記録再生することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、クランプベース10は、トラバースベース5の回動と同時に回動する構成としたが、タイミングをずらしてもよく、例えばトラバースベース5の回動が終了した後にクランプベース10が回動する構成としても良い。
【0048】
次に、ディスク装置からディスク4を取り出す動作について説明する。
【0049】
図5及び図6に示すディスク4が記録再生状態において、ディスク取出し用のスイッチ(図示せず)が操作されると、ターンテーブル1の回転が停止し、ディスク4の回転が停止する。
【0050】
次に、図6に示すモータ30を動作させて、中継ギヤ31を介して第1のラック16及び第2のラック17を動作させる。第1のラック16及び第2のラック17が動作すると、図5に示すセンタリング部材8aが図示の第1の位置(ディスクから離間した位置)から、図4に示すようにディスク4の外周を支持する第2の位置まで回動され、ディスク4の外周部を支持することができる。この時、第2の駆動手段は、駆動を続けている。なお、第1のラック16などで構成される第2の駆動手段の詳しい動作については、後述する。
【0051】
次に、第2の駆動手段の駆動に伴い、トラバースベース5は、図6に示す記録再生状態から、支軸5aを中心に矢印F方向へ回動し始める。トラバースベース5の回動に伴って、リブ5eがリブ10bから離れる方向へ回動するので、クランプホルダー10は弾性部材(図示せず)の弾性力によって矢印D方向に回動され、図3に示すクランプ待機位置に移動する。その際、ターンテーブル1とクランパ9とは磁気吸着力に抗して離間し、ターンテーブル1とクランパ9とでクランプ保持されていたディスク4は保持状態から解放される。さらに、トラバースベース5の回動中において、各センタリング部材8aが矢印D方向へ回動されて、センタリング部材8aはディスク4の外周縁から離間する。これにより、ディスク4は解放状態となり、図2及び図3に示すようにトレイ3のリブ3b上に載置される。
【0052】
第2の駆動手段は、センタリング部材8aが図2及び図3に示す状態になった時に、動作を停止する。
【0053】
なお、本実施の形態では、クランプホルダー10のクランプ待機位置への移動は、トラバースベース5の待機状態への移動後に行っているが、トラバースべース5の待機状態への移動前に、クランプホルダー10のクランプ待機位置への移動を行っても良い。また、トラバースベース5の待機状態への移動と同時にクランプホルダー10のクランプ待機位置への移動を行っても良い。
【0054】
次に、図2及び図3において、モータ41が駆動してトレイ3がディスク装置内から引き出され、図1に示すようにトレイ3はディスク載置位置まで移動して停止する。これにより、ユーザーがディスク4を取り出すことができる。
【0055】
なお、ディスク装置から引き出されたトレイ3がディスク載置位置で停止する時は、トレイ3あるいはトレイ3を動かすカム部が、シャーシ7に設けられた電気スイッチ(図示せず)を押すことで停止する。
【0056】
[2−2.センタリング動作]
図7〜図9はディスク装置の内部構成の平面図を示しており、図7はセンタリング前の状態で、図8はセンタリング中の状態で、図9はセンタリング完了状態を示している。なお、各図において、説明の便宜上、一部の部品や部材については描画を省略している。また、一部の部品や部材については仮装線で描画している。
【0057】
図7〜図9において、センタリング部材8a〜8dは、前述では4本のセンタリング部材を「センタリング部材8a」と表記していたが、本説明では4本のセンタリング部材に各々異なる符号を付与して説明している。センタリング部材8a〜8dは、ターンテーブル1の回転中心軸と光ピックアップ2の光軸とを含む第1の平面、及びターンテーブル1の中心を通り第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心にして対称的に、ディスク4に当接させている。また、第1及び第2のセンタリング部材8a及び8bは、ディスク4をセンタリングさせる際、ディスク4の上側を支持するものである。また、第3及び第4のセンタリング部材8c及び8dは、ディスク4をセンタリングさせる際、ディスク4の下側を支持するものである。本実施の形態では、センタリング部材8は、ディスク4の外周縁部を支持しているが、ディスク4の外周部以外の部位を支持して移送させてもよい。また、各センタリング部材8a〜8dは、図7に示すようにディスク4及びカートリッジ19をディスク載置面3aに載置可能なように退避されている第1の位置と、図8に示すようにディスク4を支持してセンタリング位置へ移動が完了している第3の位置と、図9に示すようにディスク4がセンタリング後にクランプされている第2の位置とに移動可能なように、それぞれ矢印AあるいはD方向へ回動可能に構成されている。本実施の形態では、ディスク装着時は第1の位置、第3の位置、第2の位置の順で変位し、ディスク取り出し時は第2の位置、第3の位置、第1の位置の順で変位するよう動作する。
【0058】
また、各センタリング部材8a〜8dの端部にはそれぞれギヤ8fが設けられている。センタリング部材8aと8cに設けられたギヤ8fは互いに噛み合い、センタリング部材8bと8dに設けられたギヤ8fは互いに噛み合うように構成されているため、センタリング部材8aと8cは同タイミングで回動し、センタリング部材8bと8dは同タイミングで回動する。また、センタリング部材8a〜8dが同じタイミングで回動するように、ディスク装置内部のメカニズムが構成されている。
【0059】
各センタリング部材8a〜8dは、回動時に、トレイ3に載置された大径ディスクまたは小径ディスクを、すくい上げることができる長さで構成されている。
【0060】
バネ13a及び13bは、センタリング部材8c及び8dを矢印Aに示すセンタリング方向へ付勢させている。なお、バネ13a及び13bは、本実施の形態ではコイルバネで構成されているが、センタリング部材8c及び8dをセンタリング方向へ付勢させることができれば、板バネなど他の弾性部材で実現してもよい。また、本実施の形態ではバネ13a及び13bを、コイル部分がセンタリング部材8c及び8dの回動中心に対して略同軸になるよう配したが、センタリング部材8a及び8bの回動中心に配してもよい。また、センタリング部材8a〜8dの各回動中心に配してもよい。また、バネ13a及び13bは、バネ13aがセンタリング部材8cに付与する負荷と、バネ13bがセンタリング部材8dに付与する負荷とが同じになるように、バネレートが設定されているため、ディスク4を正確にセンタリングさせることができる。なお、バネ13a及び13bの一端はフロントカバー3の一部に支持され、他端はセンタリング部材8c及び8dの一部に支持されている。
【0061】
センタリング調整部材14a及び14bは、センタリング部材8c及び8dと同軸位置、またはセンタリング部材8c及び8dの近傍位置において、回動自在に軸支されている。また、センタリング調整部材14a及び14bは、一端にギヤが形成され、センタリング調整部材14aのギヤはセンタリング部材8aのギヤ8fに噛み合い、センタリング調整部材14bのギヤはセンタリング部材8bのギヤ8fに噛み合っている。また、センタリング調整部材14a及び14bは、バネ13a及び13bにより矢印A方向へ付勢されたセンタリング部材8c及び8dに、センタリング部材8a及び8bを介して噛み合っているため、矢印A方向へ付勢されている。また、センタリング調整部材14a及び14bの他端側には、第1及び第2のラック16及び17(後述する)が当接されることにより、センタリング調整部材14a及び14bの矢印A方向への回動が規制されている。これにより、センタリング部材8a及び8bの回動が規制され、センタリング部材8a及び8bに噛み合ったセンタリング部材8c及び8dの回動も規制され、センタリング部材8a〜8d全ての回動が規制されることになる。よって、センタリング調整部材14a及び14bの回動を制御することで、センタリング部材8a〜8dの回動を制御することができる構造になっている。
【0062】
また、センタリング調整部材14a及び14bは、シャーシ7の裏面側に配置されている。したがって、図7におけるセンタリング調整部材14a及び14bの歯車と噛み合うセンタリング部材8a及び8bのギヤ8fは、シャーシ7の裏面側まで到達するように配されている。また、センタリング調整部材14a及び14bに設けられたギヤのピッチ円直径(PCD:Pitch Circle Diameter)は、ギヤ8fのピッチ円直径よりも大きく設定されており、これによりセンタリング調整部材14a及び14bを回動させた時、センタリング部材8a〜8dの回動量をセンタリング調整部材14a及び14bの回動量よりも大きくすることができる。本実施の形態では、センタリング調整部材14a及び14bのピッチ円直径を、ギヤ8fのピッチ円直径に対して約2倍に設定しているので、センタリング調整部材14a及び14bの回動角度(回動量)はセンタリング部材8a〜8dの回動角度(回動量)の半分となり、ラック16及び17の移動量も半分となる。
【0063】
第1ラック16及び第2のラック17は、ターンテーブル1の中心と光ピックアップ2の中心とを通る線を中心に、略直角方向でかつ相対向する方向(図7の矢印Bおよび矢印E方向)に、同速度で移動可能に配されている。第1のラック16は、ディスク装置がディスク載置可能状態の時は、図7に示すようにセンタリング部材8c側に位置しており、その左端部16aがセンタリング調整部材14aに当接し、センタリング調整部材14aの矢印A方向への回動を規制している。また、第2のラック17は、ディスク装置がディスク載置可能状態の時は、図7に示すようにセンタリング部材8d側に位置しており、その右端部17aがセンタリング調整部材14bに当接し、センタリング調整部材14bの矢印A方向への回動を規制している。また、第1のラック16は、別途設けられたモータ30(図3参照)から中継ギア31に伝達される駆動力により、矢印E方向へ移動可能で、第2のラック17は、矢印B方向へ移動可能に構成されている。なお、第1のラック16及び第2のラック17の駆動機構については後述する。
【0064】
また、第1のラック16と第2のラック17は、両方とも中継ギア31に噛み合っているため、モータ30が駆動を開始することで、両者を同タイミングで移動を開始することができる。第1のラック16と第2のラック17の移動開始タイミングを同時にすることで、ディスク4のセンタリング精度を高めることができる。さらに、移動開始タイミングを同時とするとともに移動速度を同速度とすることで、さらにセンタリング精度を高めることができる。
【0065】
なお、モータ30からの駆動力は、それぞれ独立して第1のラック16及び第2のラック17に伝達されるように構成してもよいが、本実施の形態では、第1のラック16及び第2のラック17の相対向する位置に歯16c及び17cを形成し、両方の歯16c及び17cに噛み合う中継ギヤ31を設け、駆動源からの駆動力を中継ギヤ31に伝達することで、中継ギヤ31に噛み合った歯16c及び17cに駆動力が伝達され、ラック16及び17をそれぞれ相対向する矢印B及びE方向へ移動させることができる。
【0066】
また、センタリング部材8a及び8cとセンタリング部材8b及び8dとが同じタイミングで回動するように、第1のラック16及び第2のラック17はセンタリング調整部材14a及び14bのできるだけ同じ部分に当接するように構成する。
【0067】
また、第1のラック16及び第2のラック17は、図3に示すようにディスク装置を正面から見た時の配置は、互いに接触しないように配置され、図4に示すように側面から見た時の配置は、縦方向に並ぶように配されている。
【0068】
また、第1のラック16及び第2のラック17の保持については図示していないが、例えば第1のラック16及び第2のラック17の長手方向に沿ってカム溝を設け、装置側にカム溝と係合するピンを設けて、ラックをスライド自在に保持する構成が考えられるが、他の構成であってもよい。
【0069】
以下、動作を説明する。なお、本説明では直径12cmの大径ディスクを着脱する動作について説明しているが、小径ディスク(例えば直径8cm)であっても同様に動作する。
【0070】
本実施の形態では、前述したようにトレイ3上にディスク4を位置決めする構成を設けておらず、ユーザーによってトレイ3のリブ3d上にラフに載置される。したがって、トレイ3によって装置内へ挿入されたディスク4は、図7に示すように、その中心がターンテーブル1の中心に対してずれている可能性が高い。この時、センタリング部材8a〜8dは、トレイ3のディスク載置面3aの投影面上に重ならないように、退避されている。また、センタリング調整部材14a及び14bは、図7に示す位置にある。また、第1のラック16は左端部16aがセンタリング調整部材14aに当接し、第2のラック17は右端部17aがセンタリング調整部材14bに当接し、センタリング調整部材14a及び14bとセンタリング部材8a〜8dの矢印A方向への回動を規制している。
【0071】
次に、トレイ3が装置内へ挿入完了したことを検出スイッチ(図示せず)が検出するか、記録再生開始のスイッチ(図示せず)が操作されると、モータ30が駆動を開始する。モータ30が駆動すると、モータ30に連結された中継ギア31が回転駆動し、その駆動力が第1のラック16及び第2のラック17へ伝達される。
【0072】
第1のラック16は、図7に示す位置から矢印E方向へ移動が開始され、第2のラック17は図7に示す位置から矢印B方向へ移動が開始される。すると、センタリング調整部材14a及び14bは、バネ13a及び13bの付勢力によりラック16及び17に当接したまま、矢印A方向へ回動する。これに伴い、センタリング調整部材14a及び14bに噛み合ったセンタリング部材8a及び8bが、支軸8eを軸に矢印A方向へ回動され、センタリング部材8a及び8bに噛み合ったセンタリング部材8c及び8dが、支軸8eを軸に矢印A方向へ回動される。
【0073】
第1のラック16及び第2のラック17の移動に伴って回動されているセンタリング部材8a〜8dは、やがてディスク4の外周部に当接し、さらに回動されると、図8に示すように、センタリング部材8a〜8dのディスク当接部をディスク4の外縁部が摺動しながら、ディスク4をターンテーブル1の中心方向へ移動させることができる。
【0074】
図8に示すように、ディスク4がセンタリング完了位置(第3の位置)まで到達すると、第1〜第4のセンタリング部材8a〜8dは、バネ13a及び13bの付勢力によりディスク4の縁部を押圧保持した状態で停止する。この時、センタリング部材8a〜8dは、ディスク縁部を押圧支持した状態で、力が釣り合って停止している。
【0075】
なお、第1のラック16及び第2のラック17は、センタリング部材8a〜8dがディスク4の縁部を支持しても、矢印B及びE方向への移動動作は継続される。センタリング部材8a及び8cがディスク4の縁部に当接されているため、センタリング部材8a及び8cの回動は規制され、センタリング調整部材14aの回動も規制されている。よって、第1のラック16が矢印E方向へ移動を続けることで、やがてセンタリング調整部材14aとラック16とが離間される。また、センタリング部材8b及び8dがディスク4の縁部に当接されているため、センタリング部材8b及び8dの回動が規制され、センタリング調整部材14bの回動が規制されている。よって、ラック17が矢印B方向へ移動を続けることで、やがてセンタリング調整部材14bとラック17とが離間される。
【0076】
次に、トラバースベース5が、支軸5aを中心に矢印E方向(図3参照)へ回動されて、ターンテーブル1が開口部3bを挿通して記録再生位置まで移動される。また、トラバースベース5の回動に伴い、クランプホルダ10が矢印C方向(図3参照)へ回動する。なお、トラバースベース5の詳しい回動動作については後述する。
【0077】
ターンテーブル1が、ディスク4のクランプ位置近傍まで移動すると、クランパ9が磁力によってターンテーブル1のディスク載置面に引き寄せられて、ディスク4はターンテーブル1とクランパ9とによってクランプされる。なお、この時、第1のラック16及び第2のラック17は、矢印B及びE方向への移動動作を継続している。
【0078】
ディスク4をクランプさせた後、第1のラック16及び第2のラック17の移動が継続されると、やがて第1のラック16の右端部16bがセンタリング調整部材14bに当接し、第2のラック17の左端部17bがセンタリング調整部材14aに当接する。
【0079】
さらに第1のラック16が矢印E方向、第2のラック17が矢印B方向へそれぞれ移動されると、第1のラック16がセンタリング調整部材14bを押圧してセンタリング調整部材14bが矢印D方向へ回動し始め、また、第2のラック17がセンタリング調整部材14aを押圧してセンタリング調整部材14aが矢印D方向へ回動し始める。
【0080】
それに伴って、センタリング調整部材14aの回動力がギヤを介してセンタリング部材8a及び8cに伝達され、センタリング調整部材14bの回動力がギヤを介してセンタリング部材8b及び8dに伝達される。これにより、図9に示すように、センタリング部材8a〜8dはそれぞれ矢印D方向へ回動され、ディスク4の縁部から離間する位置に退避される。この時、ディスク4は、クランパ9及びターンテーブル1によりクランプされている。
【0081】
次に、ターンテーブル1が回転されてディスク4を回転させ、光ピックアップ2によりディスク4に対して情報信号を記録または再生させることができる。
【0082】
なお、第1〜第4のセンタリング部材8a〜8dにおける、ディスク4から離間後の退避位置は、ターンテーブル1に載置されたディスク4の外周から離間していれば、第2の位置と第3の位置との間のどの位置に退避させても良い。
【0083】
なお、上記ディスク装着動作は、センタリング動作、トラバース移動(クランプ)動作という順序で行っているが、必ずしもこの順序にする必要はなく、ディスク4をクランプ状態まで移行できるのであれば順序が変わってもよい。
【0084】
次に、ディスク装置からディスク4を取り出す場合の動作について説明する。
【0085】
図9に示すように、ディスク4が記録再生位置にある状態において、ディスク取出し用のスイッチ(図示せず)が操作されると、ターンテーブル1の回転が停止され、ディスク4の回転が停止する。次に、モータ30(図6参照)から出力される駆動力が、中継ギア31を介して第1のラック16及び第2のラック17に伝達される。
【0086】
次に、第1のラック16は、図9に示す位置から矢印B方向へ移動が開始される。また、第2のラック17は、図9に示す位置から矢印E方向へ移動が開始される。それに伴って、バネ13a及び13bの付勢力により、センタリング調整部材14aがラック17に当接されたまま矢印A方向へ回動され、センタリング調整部材14bがラック16に当接されたまま、矢印A方向へ回動される。さらに、センタリング調整部材14a及び14bにギヤを介して噛み合っているセンタリング部材8a〜8dが、支軸8eを軸に矢印A方向へ回動される。
【0087】
次に、図8に示すように、センタリング部材8a〜8dが、第2の位置(ディスク4から離間した位置)から、ディスク4の縁部を支持する第3の位置まで回動され、ディスク4の縁部をバネ13a及び13bによる付勢力により押圧支持する。なお、ラック16及び17は、センタリング部材8a〜8dがディスク4の縁部を支持しても、矢印B及びE方向への移動動作は継続される。また、ラック16及び17が所定位置まで移動されると、第1のラック16の右端部16bとセンタリング調整部材14bとが離間し、第2のラック17の左端部17bとセンタリング調整部材14aとが離間する。
【0088】
次に、トラバースベース5は、支軸5aを中心に矢印F方向(図6参照)へ回動され、クランプ位置から図3に示す待機位置に移動される。それに伴って、クランプホルダ10は矢印D方向(図6参照)に回動されて、ターンテーブル1とクランパ9とは、磁気吸引力に抗して離間される。これにより、クランプされていたディスク4は、図8に示すように、センタリング部材8a〜8dのみにより支持された状態となる。
【0089】
さらに、第1のラック16が矢印B方向、第2のラック17が矢印E方向へ移動されると、図7に示すように、第1のラック16の左端部16aがセンタリング調整部材14aに当接し、第2のラック17の右端部17aがセンタリング調整部材14bに当接する。当接後、さらに第1のラック16が矢印B方向へ移動されると、第1のラック16によって押圧されるセンタリング調整部材14aは、バネ13aの付勢力に抗して回動される。センタリング調整部材14aに噛み合ったセンタリング部材8a及び8cは、それぞれバネ13a及び13bの付勢力に抗して矢印D方向へ回動される。それに伴って、ディスク4が、センタリング部材8cと8dのディスク当接面を滑り降りて、リブ3c上に載置される。そして、第1のラック16及び第2のラック17が図3に示す第1の位置に到達した時にモータ30が停止し、中継ギヤ31の回転が停止し、第1のラック16及び第2のラック17の移動が停止される。
【0090】
[2−3.トラバースベース5の動作]
図10〜図12は、トラバースベース5の移動機構を示す要部断面図であり、図7におけるR−R部分の断面である。図10はトラバースベース5が待機位置にある状態で、図3に示す状態に相当する。図11はトラバースベース5が移動途中の状態を示している。図12は記録再生位置にある状態を示し、図6に示す状態に相当する。なお、説明をわかりやすくするため、説明に必要な構成のみ図示している。
【0091】
図10〜図12に示すように、第2のラック17には、シャーシ7(例えば図3参照)の主平面に対してほぼ垂直に配置された板部を有し、当該部分に略Z字形状のカム溝17e及び17fが、互いに平行に形成されている。カム溝17eは、両端に、互いの高さ位置が異なる平坦部17g及び17mを有し、平坦部17g及び17mを空間的に繋いでいる傾斜部17hを有している。また、カム溝17fは、両端に、互いの高さ位置が異なる平坦部17n及び17pを有し、平坦部17n及び17pを空間的に繋いでいる傾斜部17kを有している。
【0092】
また、トラバースベース5には、ピン5b及び5cが形成され、それぞれカム溝17e及び17fに、移動自在に嵌合されている。
【0093】
また、図10〜図12における第2のラック17の移動方向である矢印Gは、図7における矢印Bと同じ方向を指している。
【0094】
上記構成において、トラバースベース5が図10に示す待機位置にある状態では、ピン5bはカム溝17eの平坦部17gに位置し、ピン5cはカム溝17fの平坦部17nに位置している。
【0095】
図10に示す状態から第2のラック17が矢印G方向へ移動されると、ピン5b及び5cは、カム溝17e及び17f内の平坦部17g及び17n内を移動し、図11に示すように傾斜部17h及び17k内へ移動する。ピン5b及び5cが傾斜部17h及び17k内を移動して第2のラック17に対する相対位置が上昇することで、トラバースベース5が矢印H方向へ移動される。
【0096】
さらに、第2のラック17が矢印G方向へ移動されると、トラバースベース5が矢印H方向へ移動されながら、ピン5b及び5cは、傾斜部17h及び17kから、図12に示すように平坦部17m及び17p内へと移動する。ピン5b及び5cが平坦部17m及び17p内へ移動した時、トラバースベース5は記録再生位置にあり、ターンテーブル1がディスクをクランプ可能な位置まで移動されている。
【0097】
なお、トラバースベース5を記録再生位置から待機位置へ移動させる場合は、上記動作の逆手順によって実現することができる。すなわち、第2のラック17を図12に示す位置から矢印Gの逆方向へ移動させることで、トラバースベース5を矢印Hの逆方向へ移動させることができる。
【0098】
このように、トラバースベース5の移動動作と、第2のラック17の移動動作とを連動させている。
【0099】
なお、本装置は、小径ディスクも装着可能としている。小径ディスクの装着動作は、前述の大径ディスクの装着動作とほぼ同じであるが、センタリング部材8aの回動量が異なる。小径ディスクは大径ディスクよりも直径が短いため、センタリングする際は大きな回動量が必要となる。また、センタリング部材8aの長さや配置も、リブ3b上に載置された小径ディスクを保持可能に最適化する必要がある。本実施の形態のセンタリング部材8aは、大径ディスクも小径ディスクも保持可能な長さ及び配置となっている。なお、詳しい動作説明については省略する。
【0100】
以上のように本実施の形態1によれば、ディスク4の外周に当接し、ディスク4の中心をターンテーブル1の中心に合うように移動させるセンタリング部8を、ターンテーブル1の中心を通り、ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第一の平面を中心に対称的にディスクに当接する一対または一対以上のセンタリング部材8aで構成し、トラバースベース5を搭載するシャーシ7に設け、ディスク4をトレイ3上の所定範囲内で自由な位置に載置すれば、トレイ3がディスク装置内に引き込まれて停止した後、センタリング部8によって、ディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うように自動的に移送される構成にすることによって、ディスク4を細かく位置決めして装着する必要はなく、装着が容易にできる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、第一の平面と、ターンテーブル1の中心を通り、第一の平面と略直角に交わる第二の平面を中心に対称的にディスク4に当接するように構成されたセンタリング部材8aを設けることで、4方向からディスクを支持するため、センタリング可能なディスク載置範囲が広く、ディスク装着の自由度を高くできる。
【0102】
また、シャーシ7上にセンタリング部8の支軸8eを設けているため、トレイ3等の他の部分にセンタリング手段を設けるよりも、ターンテーブル1に対するセンタリング部8の取付け位置精度を高くすることができ、よって、ターンテーブル1に対するディスク4のセンタリング精度を高くすることができるという作用を有する。
【0103】
また、本実施の形態によれば、第一の平面は、光ピックアップ2の光軸とターンテーブル1の中心軸を含む平面で構成されたことを特徴としたものであり、光ピックアップ2の移動経路に対して左右対称にセンタリング部材8aを配置するため、センタリング部材8aは光ピックアップ2の移動経路に干渉しにくくなり、センタリング部材8aの構成の自由度が増し、センタリング部材8aの回動範囲を大きくでき、よって、センタリング可能なディスク載置範囲が広くなり、ディスク装着の自由度を増やすことができるという作用を有する。
【0104】
また、トレイ3のディスク載置面3a上にリブ3bを設けたことにより、ディスク4のディスク載置面3aに対向する面への傷付きを防ぐことができ、ディスク4を保護できる。さらに、ディスク4とディスク載置面3aとの間にリブ3bにより隙間が生じるため、ディスクを装置から取り出しやすくでき、ディスク載置面3aへの着脱をより容易に、自由度高く行えるという作用を有する。
【0105】
また、リブ3bは、光ピックアップ2の移動方向に平行に配設したことにより、ディスク載置面3aに設けられる開口部3cは、光ピックアップ2の移動方向に平行に設けられるため、開口部3cによってリブ3bが途中で途切れることなく構成でき、ディスク4への傷付き防止の効果を高めることができる。
【0106】
なお、本実施の形態の回動停止手段はスリップ機構やストッパーなど機構的手段によるものとしたが、電気的制御によるものとしてもよい。
【0107】
また、センタリング部材8aの回動機構としてギヤを使うとしたが、これに限定されるものではなく、他の構成を用いてもよい。
【0108】
また、センタリング部材8aは対をなす部材同士、互いにギヤを噛み合わせ、それぞれ同期駆動する構成としたが、ギヤを用いずにそれぞれのセンタリング部材8aを独立した回転駆動方式で回動タイミングを合わせて回動駆動する構成としてもよい。
【0109】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明にかかるディスク装置は、トレイ方式のディスク装置に有用であり、その応用範囲は、例えば据置型ディスクプレーヤー/レコーダー、車載用ディスクプレーヤー/レコーダー、パーソナルコンピューターに搭載されるディスクドライブなどがある。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態1におけるディスクの構成を示す斜視図
【図2】実施の形態1におけるディスク装置の斜視図
【図3】実施の形態1におけるディスク装置の断面図
【図4】実施の形態1におけるディスク装置の斜視図
【図5】実施の形態1におけるディスク装置の斜視図
【図6】実施の形態1におけるディスク装置の断面図
【図7】実施の形態1におけるディスク装置の内部構成を示す平面図
【図8】実施の形態1におけるディスク装置の内部構成を示す平面図
【図9】実施の形態1におけるディスク装置の内部構成を示す平面図
【図10】実施の形態1におけるディスク装置のトラバースベースの移動課程を示す断面図
【図11】実施の形態1におけるディスク装置のトラバースベースの移動課程を示す断面図
【図12】実施の形態1におけるディスク装置のトラバースベースの移動課程を示す断面図
【符号の説明】
【0112】
1 ターンテーブル
2 光ピックアップ
3 トレイ
3a ディスク載置面
3b リブ
3c 開口部
4 ディスク
5 トラバースベース
5a 支軸
7 シャーシ
8 センタリング手段
8a、8b、8c、8d センタリング部材
8e 支軸
9 クランパ
10 クランプホルダ
10a 支軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクに対して情報信号を記録または再生可能なディスク装置であって、
前記ディスクを載置可能なディスク載置部を有し、前記ディスク載置部が装置外に位置するディスク載置位置と、前記ディスク載置部が装置内に位置しかつ前記ディスク載置部に載置されている前記ディスクをクランプ可能なディスククランプ位置との間を移動可能なトレイと、
前記ディスクに対して情報信号を記録/再生させる光ピックアップと、前記ディスクが載置されかつ前記光ピックアップが前記ディスクに対して情報信号を記録再生可能な位置で前記ディスクを回転させるターンテーブルとが搭載され、記録再生位置と待機位置との間を移動可能に配されたトラバースベースと、
前記トラバースベースを内在させている開口部を備え、前記開口部内において前記トラバースベースを移動自在に支持しているシャーシと、
前記ディスクの中心と前記ターンテーブルの中心とが一致する位置へ、前記ディスクを保持して移送させるセンタリング部材とを備え、
前記センタリング部材は、前記ターンテーブルの中心を通り、前記ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第1の平面、及び前記ターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的に前記ディスクに当接し、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動可能に構成され、
前記トレイは、前記ディスク載置部上に鉛直方向に突出したリブが配設され、前記リブの鉛直方向の高さは、前記トレイがディスククランプ位置にある状態において、前記ターンテーブル付近では低く、前記ターンテーブル付近からディスク径方向外側に向かうに従って次第に高くして形成されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
センタリング手段は、第1の平面とターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的にディスクに当接するように構成されたセンタリング部材で構成され、
前記センタリング部材は、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動するように構成されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記第1の平面は、光ピックアップ光軸とターンテーブルの中心軸とを含む平面で構成されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項4】
前記リブは、前記光ピックアップの移動方向に対して平行に配設されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ディスクを挟んで前記ターンテーブルに吸着されるクランパと、
略板状の部材で構成され、一端部近傍に前記クランパを遊嵌し、前記クランパが前記ターンテーブルに吸着可能な位置と離間した位置とに変位可能なように、回動自在に配されているクランプホルダーとを備え、
前記クランプホルダーは、他端側に、前記トラバースベースが配されている方向に突出した第1のリブが設けられ、
前記トラバースベースは、前記トラバースベースが記録再生位置にある時に前記第1のリブに当接可能な第2のリブを備え、
前記トラバースベースは、前記待機位置から前記記録再生位置へ移行する際、前記第2のリブが前記第1のリブを押圧して前記クランプホルダーを回動させ、前記記録再生位置において前記クランパと前記ターンテーブルとを吸着させる請求項1記載のディスク装置。
【請求項1】
ディスクに対して情報信号を記録または再生可能なディスク装置であって、
前記ディスクを載置可能なディスク載置部を有し、前記ディスク載置部が装置外に位置するディスク載置位置と、前記ディスク載置部が装置内に位置しかつ前記ディスク載置部に載置されている前記ディスクをクランプ可能なディスククランプ位置との間を移動可能なトレイと、
前記ディスクに対して情報信号を記録/再生させる光ピックアップと、前記ディスクが載置されかつ前記光ピックアップが前記ディスクに対して情報信号を記録再生可能な位置で前記ディスクを回転させるターンテーブルとが搭載され、記録再生位置と待機位置との間を移動可能に配されたトラバースベースと、
前記トラバースベースを内在させている開口部を備え、前記開口部内において前記トラバースベースを移動自在に支持しているシャーシと、
前記ディスクの中心と前記ターンテーブルの中心とが一致する位置へ、前記ディスクを保持して移送させるセンタリング部材とを備え、
前記センタリング部材は、前記ターンテーブルの中心を通り、前記ターンテーブルのディスク載置面に直角に交わる第1の平面、及び前記ターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的に前記ディスクに当接し、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動可能に構成され、
前記トレイは、前記ディスク載置部上に鉛直方向に突出したリブが配設され、前記リブの鉛直方向の高さは、前記トレイがディスククランプ位置にある状態において、前記ターンテーブル付近では低く、前記ターンテーブル付近からディスク径方向外側に向かうに従って次第に高くして形成されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
センタリング手段は、第1の平面とターンテーブルの中心を通り前記第1の平面と略直角に交わる第2の平面を中心に対称的にディスクに当接するように構成されたセンタリング部材で構成され、
前記センタリング部材は、前記第1の平面を中心に対称的に一対ずつ設けられ、それぞれ前記第2の平面を中心に対称的に回動するように構成されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記第1の平面は、光ピックアップ光軸とターンテーブルの中心軸とを含む平面で構成されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項4】
前記リブは、前記光ピックアップの移動方向に対して平行に配設されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ディスクを挟んで前記ターンテーブルに吸着されるクランパと、
略板状の部材で構成され、一端部近傍に前記クランパを遊嵌し、前記クランパが前記ターンテーブルに吸着可能な位置と離間した位置とに変位可能なように、回動自在に配されているクランプホルダーとを備え、
前記クランプホルダーは、他端側に、前記トラバースベースが配されている方向に突出した第1のリブが設けられ、
前記トラバースベースは、前記トラバースベースが記録再生位置にある時に前記第1のリブに当接可能な第2のリブを備え、
前記トラバースベースは、前記待機位置から前記記録再生位置へ移行する際、前記第2のリブが前記第1のリブを押圧して前記クランプホルダーを回動させ、前記記録再生位置において前記クランパと前記ターンテーブルとを吸着させる請求項1記載のディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−188600(P2007−188600A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6579(P2006−6579)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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