説明

ディスク装置

【課題】光ディスク装置において経年劣化やレンズに付着した埃によりアクチュエータコイルに流れる電流が増加する課題がある。さらに最悪の場合にはアクチュエータコイルに電流が定格を超えることで最悪アクチュエータが損傷、焼損に至ることがある。
【解決手段】情報面が積層された光ディスクの各層への焦点ずれを示すフォーカスエラー信号の振幅に応じて光検出器の電圧増幅率を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報面が積層された光ディスクに情報を記録または/あるいは記録された情報を再生するための記録再生装置の技術分野に属し、情報面が積層された光ディスクの各層への焦点ずれを示すフォーカスエラー信号の振幅に応じて光検出器の電圧増幅率を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置において経年劣化やレンズに付着した埃によりアクチュエータコイルに流れる電流が増加する課題がある。さらに最悪の場合にはアクチュエータコイルに電流が定格を超えると最悪アクチュエータが焼損に至る。この対策として例えば特許文献1のように光ディスク装置に内蔵されるアクチュエータ類を過電流から保護する為の方法が提案されている。
【0003】
特許文献2には、「レーザにより多層記録膜の記録媒体に対して信号を記録すると共に前記記録媒体に記録された信号を再生するヘッドと、前記記録媒体の面ブレに追従し記録膜上に集束したレーザスポットを形成するための前記ヘッドに搭載された対物レンズと対物レンズ駆動手段と焦点誤差検出手段と、前記ヘッドのレーザパワーを制御するレーザ制御回路と、前記焦点誤差検出手段の出力をパルス化しカウントする計数手段を有し前記記録媒体とヘッドの相対速度を記録再生が可能な状態まで駆動した後、前記レーザ制御回路によりレーザを発光し、前記対物レンズ駆動手段により対物レンズを記録媒体に向かって上下に駆動し前記対物レンズ駆動時の前記計数手段の出力によって前記多層記録膜の記録面数を検出する」との記載がある(請求項1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−168140号公報
【特許文献2】特開平4−364229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では過電流を検出すると電源電圧からの電力供給を遮断する方法である。この方法では記録中においては不適切な記録状態になり、再生時にはディスクに光ピックアップが衝突して傷がつくことも考えられる。
【0006】
そこで、例えばレンズに付着した埃等により生じる光ピックアップからの出力信号の信号と雑音の比であるSingle to Noise(以下SN)のSが低下することで過電流になるのであれば本発明のような方法で過電流を保護することが可能となる。
【0007】
光ピックアップからの出力信号のSの低下分は制御部で増幅されると、Sと共にNも増幅される。このように光ピックアップからのSNが低下した場合に制御部で増幅すると、制御部のNoise、光ピックアップに含まれるNoiseの2つを一緒に増幅することになる。これを防ぐために、光ピックアップの出力信号の増幅率を変えることで、制御部でのNoiseにより生じる不要な電流分を低減することが可能となる。このような方法で光ディスク装置の過電流保護機能を提供することが可能となる。
【0008】
また、特許文献2では、各層ごとにゲインを動的に変えてはおらず、全層で一律に同じゲインを静的に用いている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、例えば特許請求の範囲に記載の発明によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、光ピックアップのアクチュエータを焼損から保護して安定して制御を行うことができる光ディスク装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の光ディスク装置のブロック図
【図2】実施例1のフローチャート
【図3】実施例1の動作の説明図
【図4】実施例2の光ディスク装置のブロック図
【図5】実施例2のフローチャート
【図6】実施例2の動作の説明図
【図7】実施例3の光ディスク装置のブロック図
【図8】実施例3のフローチャート
【図9】実施例3の動作の説明図
【図10】実施例4の光ディスク装置のブロック図
【図11】実施例4のフローチャート
【図12】実施例4の動作の説明図
【図13】実施例5の光ディスク装置のブロック図
【図14】実施例5のフローチャート
【図15】実施例5の動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は本発明を実施するための形態として、光ディスク装置の例を示す。また、ここで説明する構成は実施形態の一例を示すものであり、この実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
実施例1の光ディスク装置140のブロック図を図1に示す。
【0014】
図1の光ディスク1は複数の再生および/あるいは記録層を持つ光ディスクである。ここでは各層を図1のようにL,L,・・・Lとする。
【0015】
光ピックアップ2は、光ディスク1に対応する光ピックアップであり、対物レンズ3、光検出器4、フォーカスアクチュエータ5、レーザ光源6、レーザ発光制御回路7、偏光ビームスプリッタ16、球面収差素子17、λ/4板18、コリメートレンズ19を備える。ここでレーザ発光制御回路7は、レーザ光源6の発光及び消光の制御を行う。レーザ光源6から照射されたレーザ光は発散光束であり、この発散光束はコリメートレンズ19により平行光束となり、この平行光束は偏光ビームスプリッタ16を透過し、球面収差素子17で所定の球面収差量を付加し、λ/4板18により偏光状態が直線偏光から円偏光に変化した後に対物レンズ3により光ディスク1上の所望の再生および/あるいは記録層に集光する。
【0016】
集光した再生および/あるいは記録層から反射した光はλ/4板18により偏光状態が円偏光から直線偏光に変わり偏光ビームスプリッタ機構16により光検出器4へ向かい光検出器4で光電変換され電気信号になり、この電気信号は増幅回路8で増幅される。
【0017】
プルインエラー信号演算回路9は、光検出器4で得られた電気信号から反射光の強度に相当するプルインエラー信号(以下、プルインエラー信号をPE信号と略す)を生成する回路である。
【0018】
フォーカス制御回路12は、光ディスク1の再生および/あるいは記録層面に対して垂直方向(以下、フォーカス方向と称する)にフォーカスアクチュエータドライバ13を介してフォーカスアクチュエータ5の移動制御を行うフォーカス制御信号を生成する制御回路である。
【0019】
マイクロコンピュータ14(以下、マイコン14と略す)は、光ディスク装置140全体の制御を行う。
【0020】
本光ディスク装置140に係る各再生および/あるいは記録層から得られるPE信号の振幅に応じて増幅回路8の増幅率を変えることで光ピックアップ2の出力信号の品質を確保する。このためのフローチャートを図2に示す。これにより例えばレンズに付着した埃や光ディスク装置140の経年劣化による信号の低下分を増幅回路8の増幅率により吸収することができる。ここでは複数の再生/記録層をもつ光ディスク1を4層として説明する。
【0021】
特許文献2では、各層ごとにゲインを動的に変えてはおらず、全層で一律に同じゲインを静的に用いる点で本実施例と異なる。
【0022】
本発明は光ディスク装置140を使う使用者が光ディスク1の記録あるいは再生が実行できるまで(以下セットアップ時と称する)に実施される。
【0023】
まず、ステップV01で球面収差素子17の補正量をL0に初期位置づけする。本発明の実施例においては球面収差素子17をL0に初期位置づけしたが、初期位置づけ位置はこれに限定されるものではない。次にステップV02で、光ピックアップ2をフォーカス方向に駆動を開始すると図3(a)に示すように対物レンズ3が光ディスク1に近づく。ここで、図3では近づく方向で説明しているが遠ざかる場合でも良い。このときに図3(b)に示すようなPE信号演算回路9により生成されるPE信号波形が得られる。
【0024】
次にステップV03でPE信号振幅の計測を開始し、光ピックアップ2が光ディスク1に近づくときに得られるPE信号の振幅をステップV04で保持する。ここで、計測のサンプリング周波数はPE信号演算回路9の動作周波数でサンプリングしても良いし、PE信号演算回路9の動作周波数を分周した信号でも良い。このステップV04で保持するのはPE信号の最大値である。この最大値は光ピックアップ2がステップV02でフォーカス方向へ移動を開始してからステップV05で終了するまでの全て値をマイコン14のメモリに保持した後にステップV06で最大値を求めても良いし、ステップV04で保持されている最大値より大きい値が測定されたら最大値を逐次更新してステップV05でフォーカス方向への駆動が終了した後にステップV06で最後に保持された最大値を最終的な最大値として求めても良いし、ステップV04で最大値を例えば3点保持しその平均値をステップV05でフォーカス方向への駆動が終了した後にステップV06で求めても良い。
【0025】
ステップV06でPE信号の最大値が確定した後、ステップV07で例えばPE信号の最大振幅値を500mVとして設計した場合には500mVを所望の振幅値とすると、この所望の振幅値と比較して光検出器の出力電圧が小さい場合には所望の振幅値に対してステップV06で確定した最大値が例えば6dB低ければ光検出器4の出力信号を増幅回路8の増幅率を6dBに最も近い増幅率になるようにマイコン14からの指令で増幅回路8の増幅率を変更する。また、逆に6dB高ければ光検出器4の出力電圧利得を下げる。このステップV07で光検出器4の出力電圧利得を変更した場合には、PE信号が所望の振幅になったことを確認するためにV02から繰り返す。
【0026】
本装置は、BD、DVD、CDなどの各種の光ディスク1が装着可能である。
本発明では光ピックアップ2の構成は一例として挙げているが、これに限定されるものでは無い。また、増幅回路8の増幅率は連続的に変えられる構成でも良いし、離散的に変える構成でも良い。更に、本発明ではPE信号演算回路9、マイコン14、フォーカス制御回路12を別々の回路としたが専用集積回路で実現することも可能である。
【0027】
本実施例では増幅回路8を一個として示しているが複数あっても良い。
【実施例2】
【0028】
実施例2の光ディスク装置141のブロック図を図4に示す。実施例1との違いは反射光の強度光検出器4の増幅率を制御する点である。本発明はセットアップ時に実施される。
【0029】
図4において、図1の実施例と同じ機能を有する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。本光ディスク装置141に係る各再生および/あるいは記録層から得られるフォーカスエラー信号演算回路10は、レーザ光源6から照射された光が光ディスク1上の所望の再生および/あるいは記録層に集光した光の焦点ずれに相当する信号であるフォーカスエラー信号(以下、フォーカスエラー信号をFE信号と略す)を生成する回路である。このFE信号の振幅に応じて増幅回路8の増幅率を切替えることで光ピックアップ2の出力信号の埃などによる低下分を補うためのフローチャートを図5に示す。ここでは複数の再生/記録層をもつ光ディスク1を4層として説明する。
【0030】
まず、ステップW01で球面収差素子17の補正量をL0に初期位置づけする。本発明の実施例においては球面収差素子17をL0に初期位置づけしたが、初期位置づけ位置はこれに限定されるものではない。次にステップW02で、光ピックアップ2をフォーカス方向に駆動を開始すると図6(a)に示すように対物レンズ3が光ディスク1に近づく。ここで、図6では近づく方向で説明しているが遠ざかる場合でも良い。このときに図6(b)に示すようなFE信号演算回路10により生成されるFE信号波形が得られる。
【0031】
次にステップW03でFE信号振幅の計測を開始し、光ピックアップ2が光ディスク1に近づくときに得られるFE信号の振幅をステップW04で保持する。ここで、計測のサンプリング周波数はFE信号演算回路10の動作周波数でサンプリングしても良いし、FE信号演算回路10の動作周波数を分周した信号でも良い。このステップW04で保持するのはFE信号の最大値である。この最大値は光ピックアップ2がステップW02でフォーカス方向へ移動を開始してからステップW05で終了するまでの全て値をマイコン14のメモリに保持した後にステップW06で最大値を求めても良いし、ステップW04で保持されている最大値より大きい値が測定されたら最大値を逐次更新してステップW05でフォーカス方向への駆動が終了した後にステップW06で最後に保持された最大値を最終的な最大値として求めても良いし、ステップW04で最大値を例えば3点保持しその平均値をステップW05でフォーカス方向への駆動が終了した後にステップW06で求めても良い。
【0032】
ステップW06で最大値が確定した後、ステップW07で例えばFE信号の最大振幅値を500mVとして設計した場合には500mVを所望の振幅値とすると、この所望の振幅値と比較して光検出器4の出力電圧が小さい場合には所望の振幅値に対してステップW06で確定した最大値が例えば6dB低ければマイコン14からの指令で増幅回路8の増幅率を6dBに最も近い増幅率になるように変更する。また、逆に6dB高ければ光検出器4の出力電圧利得を下げる。
【0033】
本装置は、BD、DVD、CDなどの各種の光ディスク1が装着可能である。
本発明では光ピックアップ2の構成は一例として挙げているが、これに限定されるものでは無い。また、光検出器4の出力電圧利得の利得値は連続的に変えられる構成でも良いし、離散的に変える構成でも良い。更に、本発明ではマイコン14で演算することを挙げているが専用集積回路で実現することも可能である。
【実施例3】
【0034】
実施例3の光ディスク装置142のブロック図を図7に示す。本実施例は実施例1、2を組み合わせた場合になる。
【0035】
本発明はセットアップ時に実施される。図7において、図1および図4の実施例と同じ機能を有する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0036】
PE信号とFE信号の振幅に応じて増幅回路8の増幅率を制御することで光ピックアップ2の出力信号の低下分を補償するためのフローチャートを図8に示す。ここでは複数の再生/記録層をもつ光ディスク1を3層として説明する。
【0037】
まず、ステップX01で球面収差素子17の補正量をL0に初期位置づけする。本発明の実施例においては球面収差素子17をL0に初期位置づけしたが、初期位置づけ位置はこれに限定されるものではない。次にステップX02で、光ピックアップ2をフォーカス方向に駆動を開始すると図9(a)に示すように対物レンズ3が光ディスク1に近づく。ここで、図9では近づく方向で説明しているが遠ざかる場合でも良い。このときに図9(b)および(c)に示すようなPE信号演算回路9およびFE信号演算回路10により生成されるPE信号とFE信号が得られる。
【0038】
次にステップX03でPEおよびFE信号振幅の計測を開始し、光ピックアップ2が光ディスク1に近づくときに得られるPE信号およびFE信号の振幅をステップX04で保持する。ここで、計測のサンプリング周波数はPE信号演算回路9、FE信号演算回路10の動作周波数でサンプリングしても良いし、PE信号演算回路9、FE信号演算回路10の動作周波数を分周した信号でも良い。このステップX04で保持するのはPE信号およびFE信号の最大値である。この最大値は光ピックアップ2がステップX02でフォーカス方向へ移動を開始してからステップX05で終了するまでの全て値をマイコン14に保持した後にステップX06で最大値を求めても良いし、ステップX04で保持されている最大値より大きい値が測定されたら最大値を逐次更新してステップX05でフォーカス方向への駆動が終了した後にステップX06で求めて最後に保持された最大値を最終的な最大値として求めても良いし、ステップX04で最大値を例えば3点保持しその平均値をステップW05でフォーカス方向への駆動が終了した後にステップX06で求めても良い。
【0039】
ステップX06で最大値が確定した後、ステップX07で例えばPE信号とFE信号の最大振幅値を500mVとして設計した場合には500mVを所望の振幅値とすると、この所望の振幅値と比較して、両方あるいは何れか一方でも光検出器の出力電圧が小さい場合には所望の振幅値に対してステップX06で確定した最大値が例えば6dB低ければ増幅回路8の増幅率をマイコン14からの指令で6dBに最も近い増幅率になるように変更する。また、逆に6dB高ければ増幅回路8の増幅率を下げる。
【0040】
本装置は、BD、DVD、CDなどの各種の光ディスク1が装着可能である。
本発明では光ピックアップ2の構成は一例として挙げているが、これに限定されるものでは無い。また、光検出器4の出力電圧利得の利得値は連続的に変えられる構成でも良いし、離散的に変える構成でも良い。更に、本発明ではマイコン14で演算することを挙げているが専用集積回路で実現することも可能である。
【実施例4】
【0041】
実施例4の光ディスク装置143のブロック図は図10である。本実施例は、実施例1、2、3とは異なり、光ディスク1の複数の再生および/あるいは記録層の何れかの層にレーザ光が収束し、このレーザ光が層に追従している制御状態である。
【0042】
本発明はセットアップ時に実施され、図10において図4の実施例と同じ機能を有する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0043】
本光ディスク装置143に係るFE信号演算回路10の出力であるFE信号の絶対値を演算し平均化する絶対値演算回路11である。この絶対値演算回路は図11に示すように例えば光ディスク1が一回転分のFE信号(図11のFE(t))の絶対値を演算し、一回転の時間で割ることで一回転の間の平均電圧を知ることが出来る。ここで、計測のサンプリング周波数は絶対平均演算回路11の動作周波数でサンプリングしても良いし、絶対平均演算回路11の動作周波数を分周した信号でも良い。ここではΔtはサンプリング時間である。この平均電圧と光ピックアップ1の抵抗で決まる電力が規定されている定格電力の例えば5割で設計しているが7割を超えている場合には増幅回路8の増幅率を3dB上げる。このFE信号の絶対平均値に応じて増幅回路8の増幅率を切替えるフローチャートを図12に示す。ここでは複数の再生/記録層をもつ光ディスク1を3層として説明する
まず、ステップY01でFE信号の計測を開始し、ステップY02でディスク1回転分のFE信号のデータが蓄積する。その後、ステップY03で得られたデータの絶対を取り、一回転分の総和を計算し、一回転時間で平均化することで絶対平均値を算出する。この絶対平均値Vと光ピックアップ2で決まるフォーカスアクチュエータ5の抵抗値RからV /Rで平均電力をステップY04で求める。このステップY04で求まった平均電力が光ピックアップ2で規定されている定格電力に対して例えば設計が5割に対して測定された平均電力が7割であればステップY05で増幅回路8の増幅率を例えば初期値に対して+3dBし、セットアップを最初からやり直す。
【0044】
本装置は、BD、DVD、CDなどの各種の光ディスク1が装着可能である。
本発明では光ピックアップ2の構成は一例として挙げているが、これに限定されるものでは無い。また、増幅回路8の増幅率は連続的に変えられる構成でも良いし、離散的に変える構成でも良い。更に、本発明ではマイコン14で演算することを挙げているが専用集積回路で実現することも可能である。
【実施例5】
【0045】
実施例5の光ディスク装置144のブロック図は図13である。本実施例は、FE信号演算回路10をフォーカス制御回路12に変更した点が異なる。
【0046】
本発明はセットアップ時に実施され、図13において図4の実施例と同じ機能を有する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0047】
本光ディスク装置144に係るフォーカス制御回路12の出力信号をフォーカス駆動(以下FODと呼ぶ)信号とする。このFODの絶対値を演算し平均化する絶対値演算回路11である。この絶対値演算回路は図14に示すように例えば光ディスク1が一回転分のFOD信号(図11のFOD(t))の絶対値を演算し、一回転の時間で割ることで一回転の間の平均電圧を知ることが出来る。ここで、計測のサンプリング周波数は絶対平均演算回路11の動作周波数でサンプリングしても良いし、絶対平均演算回路11の動作周波数を分周した信号でも良い。この平均電圧と光ピックアップ1の抵抗で決まる電力が規定されている定格電力の例えば5割で設計しているが7割を超えている場合には光検出器4の出力電圧利得を3dB上げる。このFE信号の絶対平均値に応じて光検出器4の出力電圧の利得を切替えることで光ピックアップ2の出力信号の品質を確保するためのフローチャートを図15に示す。ここでは複数の再生/記録層をもつ光ディスク1を3層として説明する
まず、ステップZ01でFOD信号の計測を開始し、ステップZ02でディスク1回転分のFOD信号のデータが蓄積する。ここで、計測のサンプリング周波数は絶対平均演算回路11の動作周波数でサンプリングしても良いし、絶対平均演算回路11の動作周波数を分周した信号でも良い。その後、ステップZ03で得られたデータの絶対を取り、一回転分の総和を計算し、一回転時間で平均化することで絶対平均値を算出する。この絶対平均値Vと光ピックアップ2で決まるフォーカスアクチュエータ5の抵抗値RからV /Rで平均電力をステップZ04で求める。このステップZ04で求まった平均電力が光ピックアップ2で規定されている定格電力に対して例えば設計が5割に対して測定された平均電力が7割であればステップZ05で増幅回路8の増幅率を例えば初期値に対して+3dBし、セットアップを最初からやり直す。
【0048】
本装置は、BD、DVD、CDなどの各種の光ディスク1が装着可能である。
本発明では光ピックアップ2の構成は一例として挙げているが、これに限定されるものでは無い。また、増幅回路8の増幅率は連続的に変えられる構成でも良いし、離散的に変える構成でも良い。更に、本発明ではマイコン14で演算することを挙げているが専用集積回路で実現することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・(多層の)光ディスク、2・・・光ピックアップ、3・・・対物レンズ、4・・・光検出器、5・・・フォーカスアクチュエータ、6・・・レーザ光源、7・・・レーザ発光制御回路、8・・・増幅回路、9・・・PE信号演算回路、10・・・FE信号演算回路、11・・・絶対平均演算回路、12・・・フォーカ制御回路、13・・・フォーカスアクチュエータドライバ、14・・・マイコン、16・・・偏光ビームスプリッタ、17・・・球面収差補正素子、18・・・λ/4板、19・・・コリメートレンズ、140、141、142、143、144・・・光ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の複数の情報面を有する光ディスクに対して情報の記録および/または再生を行うディスク装置であって、
前記光ディスクに対してレーザを照射する照射部と、
前記照射部から照射されたレーザ光を情報の記録または再生を行う層に集光する対物レンズ部と、
前記レーザ光の集光点を前記光ディスクのフォーカス方向に移動させる移動部と、
前記光ディスクからの戻り光を検出し電気信号に変換する光検出部と、
前記光検出部より得られる電気信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部より得られる戻り光の反射強度に相当する総和信号を生成するプルインエラー信号生成部と、を備え、
前記プルインエラー信号の振幅により前記増幅部を制御するディスク装置。
【請求項2】
2以上の複数の情報面を有する光ディスクに対して情報の記録および/または再生を行うディスク装置であって、
前記光ディスクに対してレーザを照射する照射部と、
前記照射部から照射されたレーザ光を情報の記録または再生を行う層に集光する対物レンズ部と、
前記レーザ光の集光点を前記光ディスクのフォーカス方向に移動させる移動部と、
前記光ディスクからの戻り光を検出し電気信号に変換する光検出部と、
前記光検出部より得られる電気信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部より得られる戻り光より情報の記録および/または再生層との焦点ずれ量に相当するフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、を備え、
前記フォーカスエラー信号の振幅により前記増幅部を制御するディスク装置。
【請求項3】
2以上の複数の情報面を有する光ディスクに対して情報の記録および/または再生を行うディスク装置であって、
前記光ディスクに対してレーザを照射する照射部と、
前記照射部から照射されたレーザ光を情報の記録または再生を行う層に集光する対物レンズ部と、
前記レーザ光の集光点を前記光ディスクのフォーカス方向に移動させる移動部と、
前記光ディスクからの戻り光を検出し電気信号に変換する光検出部と、
前記光検出部より得られる電気信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部より得られる戻り光の反射強度に相当する総和信号を生成するプルインエラー信号生成部と、
前記増幅部より得られる戻り光より情報の記録および/または再生層との焦点ずれ量に相当するフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、を備え、
前記プルインエラー信号の振幅および前記フォーカスエラー信号の振幅により前記増幅部を制御するディスク装置。
【請求項4】
請求項2に記載のディスク装置であって、
前記光ディスクを回転させるディスクモータ部と、
前記フォーカスエラー信号の単位時間当たりの絶対値を求め、計測した単位時間で割ることで平均値を演算する絶対平均値処理部と、を設け、
前記絶対値平均値処理部の平均値に応じて前記増幅部を制御するディスク装置。
【請求項5】
請求項2に記載のディスク装置であって、
前記光ディスクを回転させるディスクモータ部と、
前記移動部を制御する制御部と、
単位時間当たりの前記制御部から前記移動部への制御信号の絶対値を求め単位時間当たりの平均値を演算する絶対平均値処理部と、を設け、
前記絶対値平均値処理部の平均値に応じて前記増幅部を制御するディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−64265(P2012−64265A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206232(P2010−206232)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】