説明

ディスプレイ用光学フィルタ

【課題】近赤外線遮蔽剤を含有する粘着剤層を有するディスプレイ用光学フィルタであって、十分な近赤外線遮蔽効果を発揮し、且つ高いコストをかけることなく近赤外線遮蔽剤の劣化が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを提供する。
【解決手段】近赤外線遮蔽剤としてタングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物、平均粒径0.1〜20μmの微粒子、及び粘着剤を含む粘着剤層を有することを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)、ブラウン管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(電界発光)ディスプレイ等のディスプレイの画像表示部に用いられるディスプレイ用光学フィルタに関し、特に、近赤外線カット機能を有するディスプレイ用光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイには、通常、前面(視聴者側)に光学フィルタが設置されている。光学フィルタは、近赤外線カット、色再現性向上(発光色純度向上)、電磁波シールド、明所コントラスト向上(反射防止)、発光パネルの保護、発光パネルからの熱遮断等を目的として使用される。
【0003】
特に、PDPの発光パネルの発する近赤外線は、家庭用テレビやビデオ等に使用されるリモコンに誤作動を与えることを避けるために、低減する必要がある。またPDPの発光パネルの発する電磁波は、人体や精密機器への悪影響を避けるために、抑制する必要がある。またPDPの発光パネルからの発光を、人間の視覚にとって自然な色に感じられるように、フィルタでの補正によって色再現性向上(発光色純度向上)の工夫も求められている。さらにディスプレイの表示は、明るい室内等の明所においても外部からの光の反射等によって妨げられることなく、十分なコントラストで視認されることが望ましい。加えて、ディスプレイ製品に直接に手で触れたような場合でも、使用者がその高温に驚かされるような事態を避けるために、PDPの発光パネルの発する熱が遮断されることが望ましい。
【0004】
上記の目的に沿ったPDP用光学フィルタとして、一般に、反射防止、近赤外線遮蔽、電磁波遮蔽、更に色再現性向上のためにネオン発光による不要光(波長が560〜610nmの光)をカットする機能(ネオンカット機能)等の各種機能を有する光学フィルタが用いられている。例えば、近赤外線遮蔽機能を有するものとしては、広範囲の波長の近赤外線を遮蔽でき、可視光線透過率が高いセシウム含有酸化タングステンを含むものが開発されている(特許文献1)。また、ネオンカット機能を有するものとしては、特定波長の選択吸収機能を有するスクアリリウム系化合物やアザポルフィリン系化合物を含むものが開発されている(特許文献2)。
【0005】
一般に、PDP用光学フィルタは、各種機能を有する機能層(一般に、熱硬化性樹脂組成物や紫外線硬化性樹脂組成物等に上記化合物等を分散又は溶解した塗工液をフィルム上に塗工し、硬化して形成させる)を多数回塗工して積層したり、1種又は複数種の機能を有する光学フィルタを適宜組み合わせ、粘着剤層を介して貼り合わせたりすることにより形成されている。このように光学フィルタの構造が複雑になると、各種機能層を積層して塗工する工程や、複数の光学フィルタを貼り合わせる工程が複雑化し、製造コスト上昇の要因になるだけでなく、光学フィルタの重量や厚みが増加することになる。
【0006】
近年、光学フィルタには軽量化や薄膜化が要望されている。そのための手段として、光学フィルタにおいて積層する機能層の層数や張り合わせるフィルタ数を少なくし、構成を簡略することが考えられる。例えば、特許文献3には、近赤外線遮蔽剤として有用なタングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物等を粘着剤層に含有させる技術が開示されている。光学フィルタの貼り合わせに必ず使用する粘着剤層に機能を付与することにより、光学フィルタの構成を簡素化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−21998号公報
【特許文献2】特開2005−92196号公報
【特許文献3】特開2009−271514号公報
【特許文献4】特開2010−60617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者らの検討により、粘着剤層に近赤外線遮蔽剤等を含有させた場合、上述の熱硬化性樹脂等に配合した場合に比べて、近赤外線遮蔽剤等が劣化しやすくなる場合があること分かった。これは、一般にガラス転移点が低い粘着剤層においては、粘着剤成分、残渣成分、分解成分等と接触することにより、近赤外線遮蔽剤等の劣化が生じ易いものと考えられる。
【0009】
特許文献4には、ハードコート層又は粘着剤層に近赤外線吸収色素等を含有させた樹脂微粒子を用いることで、色素の安定化を図る手段が開示されている。しかしながら、この方法では、色素を含有させた樹脂微粒子の製造が煩雑で、高いコストがかかる点や、色素の分散性が微粒子の分散性に依存することになり、色素配合による近赤外線吸収効果が限定的になる点が問題になる。
【0010】
従って、本発明の目的は、近赤外線遮蔽剤を含有する粘着剤層を有するディスプレイ用光学フィルタであって、十分な近赤外線遮蔽効果を発揮し、且つ高いコストをかけることなく近赤外線遮蔽剤の劣化が抑制されたディスプレイ用光学フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、近赤外線遮蔽剤としてタングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物、平均粒子径0.1〜20μmの微粒子、及び粘着剤を含む粘着剤層を有することを特徴とするディスプレイ用光学フィルタによって達成される。
【0012】
近赤外線遮蔽剤として、800〜1100nmの波長範囲の近赤外線吸収性が高く、且つ可視光線の透過率が高いタングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物(以下、(複合)タングステン酸化物ともいう)を配合し、粘着剤層に十分な近赤外線遮蔽機能を付与する。そして、上記の平均粒径の微粒子を配合することで、煩雑な手段を用いることなく、(複合)タングステン酸化物の劣化を抑制することができる。この作用機作は明らかではないが、微粒子が存在することにより、熱等による粘着剤成分や残渣成分の分解が抑制されることや、(複合)タングステン酸化物と粘着剤との接触面積が低下し、粘着剤成分や残渣成分の分解物による(複合)タングステン酸化物の劣化が抑制されること、粘着剤成分や残渣成分の分解物を微粒子が吸着すること等が考えられる。また、上記平均粒径の微粒子であれば、ディスプレイ用光学フィルタのヘイズ(くもり価)の上昇が抑えられる。
【0013】
本発明に係るディスプレイ用光学フィルタの好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記微粒子が、透明樹脂微粒子又はシリカ微粒子である。これにより、微粒子によるヘイズの上昇を、更に抑えることができる。
(2)前記透明樹脂微粒子が、架橋アクリル樹脂微粒子、架橋スチレン樹脂微粒子、架橋(メタ)アクリレート−スチレン共重合体微粒子、メラミン樹脂微粒子からなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である。
(3)前記微粒子の含有率が、前記粘着剤層の不揮発分を基準として、0.1〜20質量%である。これにより、(複合)タングステン酸化物の劣化を、更に抑制することができ、且つ微粒子を含むことによる粘着剤層の接着力の低下が生じ難い。
(4)前記タングステン酸化物が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素を表し、そして2.2≦z/y≦2.999である)で表され、そして
前記複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素を表し、そして0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3である)で表される。
(5)前記粘着剤が、アクリル樹脂系粘着剤である。
(6)プラズマディスプレイパネル用である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のディスプレイ用光学フィルタによれば、粘着剤層に(複合)タングステン酸化物が配合されているので簡素化された層構成で、十分な近赤外線遮蔽機能が得られている。そして、所定の微粒子の配合により、光学フィルタのヘイズを上昇させることなく、(複合)タングステン酸化物の劣化が抑制されているので、高いコストをかけることなく耐候性が高いディスプレイ用光学フィルタとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のディスプレイ用光学フィルタの代表的な一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のディスプレイ用光学フィルタの好適態様の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の光学フィルタについて図面を参照しながら説明する。図1は本発明のディスプレイ用光学フィルタの代表的な一例を示す概略断面図である。
【0017】
図1に示すように、本発明のディスプレイ用光学フィルタ20は、矩形状の透明プラスチックフィルム11の表面に、近赤外線遮蔽剤として(複合)タングステン酸化物、平均粒径0.1〜20μmの微粒子19及び粘着剤を含む粘着剤層12が形成されている。
【0018】
(複合)タングステン酸化物は、800〜1100nmの波長範囲の近赤外線吸収性が高く、可視光透過率が高いので、ディスプレイ用光学フィルタの近赤外線遮蔽剤として有用である。通常、(複合)タングステン酸化物を用いる場合は、熱硬化性樹脂組成物等に配合した塗工液を用いて、塗工・硬化することにより、別途、近赤外線遮蔽層を形成する。本発明のように粘着剤層に近赤外線遮蔽機能を付与することにより、層構成を簡素化することができる。ただし、粘着剤層に(複合)タングステン酸化物を配合した場合、(複合)タングステン酸化物が劣化し易くなる場合がある。この原因としては、一般にガラス転移点が低い粘着剤層においては、粘着剤成分、残渣成分、分解成分等と接触することにより、近赤外線遮蔽剤等の劣化が生じるためと考えられる。
【0019】
本発明においては、微粒子19を配合することにより、(複合)タングステン酸化物の劣化が抑制されている。この作用機作は明らかではないが、粘着剤層12に微粒子19が存在することにより、熱や光による粘着剤成分や残渣成分の分解が抑制されることや、(複合)タングステン酸化物と粘着剤との接触面積が低下し、粘着剤成分や残渣成分の分解物による(複合)タングステン酸化物の劣化が抑制されること、粘着剤成分や残渣成分の分解物を微粒子が吸着すること等が考えられる。
【0020】
粘着剤層12は、(複合)タングステン酸化物の安定性を損なう等、その効果を低下させるもので無ければ、(複合)タングステン酸化物以外の近赤外線遮蔽剤、ネオンカット色素、及び色調調整剤、透過率調整剤等を含んでいても良い。
【0021】
また、粘着剤層12は、一般に、図1に示すように、透明プラスチックフィルム11等の透明基板の表面に形成され、PDP等のディスプレイパネル本体、ガラス基板、及び別のプラスチックフィルム等との接着に利用される。但し、本発明のディスプレイ用光学フィルタは、(複合)タングステン酸化物等を含む粘着剤層12を有していれば良く、透明プラスチックフィルム11は無くても良い。例えば、粘着剤層12の両面に剥離シートを設け、粘着剤シート状の独立したディスプレイ用光学フィルタとして使用しても良い。
【0022】
通常は、後述するように、各種機能を有する他の機能層を組み合わせて、用途に応じたディスプレイ用光学フィルタとして使用する。
【0023】
[微粒子」
本発明において、微粒子19は上記のように平均粒径が0.1〜20μmであれば良い。この平均粒径の微粒子であれば、(複合)タングステン酸化物の劣化抑制効果を発揮し、且つディスプレイ用光学フィルタのヘイズの上昇が抑えられる。微粒子の平均粒径が20μmより大きい場合は、光散乱によりディスプレイ用光学フィルタ20のヘイズが上昇する場合がある。微粒子19の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmが更に好ましい。
【0024】
微粒子としては、特に制限はなく、有機系又は無機系の微粒子を適宜使用できる。有機系微粒子としては、架橋又は非架橋の、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PMMA)等)、スチレン樹脂、(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、メラミン樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド縮合物からなる樹脂(通常、架橋されいている))、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、等の微粒子が挙げられる。無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス等の微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、その表面特性を疎水性にしたもの、親水性にしたものの何れでも良く、単独もしくは複数を混合して用いることができる。
【0025】
これらの微粒子は、(複合)タングステン酸化物の劣化を促進させたり、ヘイズを上昇させたりしないように、(複合)タングステン酸化物と反応性がないことが好ましい。
【0026】
本発明において、微粒子は、よりヘイズを上昇させないため、透明微粒子が好ましく、透明樹脂微粒子又はシリカ微粒子が好ましい。更に、微粒子の屈折率が、粘着剤の屈折率に近いことが好ましい(例えば、屈折率差が±0.1程度)。
【0027】
また、透明樹脂微粒子の場合は、粘着剤層の組成物中で溶解しないように、架橋構造を有する樹脂製のものが好ましい。即ち、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂及び、架橋(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、メラミン樹脂等の微粒子が好ましい。
【0028】
シリカ微粒子の場合は、例えば、非晶質(アモルファス)シリカの、疎水性フュームドシリカ、親水性フュームドシリカ、疎水性湿式法シリカ、親水性湿式法シリカ等のシリカ微粒子を挙げることができる。
【0029】
微粒子19の含有率は特に制限はないが、粘着剤層12の不揮発分を基準として、0.1〜20質量%が好ましい。これにより、(複合)タングステン酸化物の劣化を、更に抑制することができる。微粒子19の含有率が0.1質量%より小さい場合は、効果が得られない場合があり、20質量%より大きい場合は、粘着剤層12の粘着性が低下する場合がある。微粒子19の含有率は、粘着剤層12の不揮発分を基準として、1〜10質量%が更に好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
【0030】
[近赤外線遮蔽剤]
本発明において、近赤外線遮蔽剤として、(複合)タングステン酸化物が使用されている。(複合)タングステン酸化物は、耐候性が高く、可視光線をほとんど遮断せず、近赤外線(特に、50〜1150nm付近の近赤外線)の遮断機能に優れている点で有用である。
【0031】
上記タングステン酸化物は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表される酸化物であり、複合タングステン酸化物は、上記タングステン酸化物に、元素M(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Cs、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素)を添加した組成を有するものが好ましい。これにより、z/y=3.0の場合も含めて、WyOz中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効となる。本発明では、複合タングステン酸化物が好ましい。
【0032】
上述した一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子において、タングステンと酸素との好ましい組成範囲は、タングステンに対する酸素の組成比が3よりも少なく、さらには、当該赤外線遮蔽材料をWyOzと記載したとき、2.2≦z/y≦2.999である。このz/yの値が、2.2以上であれば、赤外線遮蔽材料中に目的以外であるWOの結晶相が現れるのを回避することが出来るとともに、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので有効な赤外線遮蔽材料として適用できる。一方、このz/yの値が、2.999以下であれば必要とされる量の自由電子が生成され効率よい赤外線遮蔽材料となり得る。
【0033】
複合タングステン酸化物の微粒子は、安定性の観点から、一般に、MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Cs、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、(0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3)で表される酸化物であることが好ましい。アルカリ金属は、水素を除く周期表第1族元素、アルカリ土類金属は周期表第2族元素、希土類元素は、Sc、Y及びランタノイド元素である。
【0034】
特に、赤外線遮蔽材料としての光学特性、耐候性を向上させる観点から、M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上であるものが好ましい。また複合タングステン酸化物が、シランカップリング剤で処理されていることが好ましい。優れた分散性が得られ、優れた赤外線カット機能、透明性が得られる。
【0035】
元素Mの添加量を示すx/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され赤外線遮蔽効果を十分に得ることが出来る。元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効果も上昇するが、x/yの値が1程度で飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、微粒子含有層中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
【0036】
酸素量の制御を示すz/yの値については、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物においても、上述のWyOzで表記される赤外線遮蔽材料と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦z/y≦3.0が好ましく、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
【0037】
さらに、複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。
【0038】
この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Sn、Li、Ca、Sr、Feを添加したとき六方晶が形成されやすい。勿論これら以外の元素でも、WO単位で形成される六角形の空隙に添加元素Mが存在すれば良く、上記元素に限定される訳ではない。
【0039】
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.33である。x/yの値が0.33となることで、添加元素Mが、六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
【0040】
また、六方晶以外では、正方晶、立方晶のタングステンブロンズも赤外線遮蔽効果がある。そして、これらの結晶構造によって、近赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶<正方晶<六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光線領域の吸収が少ないのは、六方晶<正方晶<立方晶の順である。このため、より可視光領域の光を透過して、より赤外線領域の光を遮蔽する用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。
【0041】
本発明で使用される複合タングステン酸化物微粒子の粒径は、透明性を保持する観点から、800nm以下の粒径(平均粒径)を有していることが好ましい。これは、800nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合は、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。この粒子による散乱の低減を重視するとき、粒径は400nm以下、好ましくは200nm以下が良い。
【0042】
また、本発明の複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alの一種類以上を含有する酸化物で被覆されていることは、耐候性の向上の観点から好ましい。
【0043】
本発明の複合タングステン酸化物微粒子は、例えば下記のようにして製造される。
上記一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子、または/及び、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を不活性ガス雰囲気もしくは還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
【0044】
タングステン化合物出発原料には、3酸化タングステン粉末、もしくは酸化タングステンの水和物、もしくは、6塩化タングステン粉末、もしくはタングステン酸アンモニウム粉末、もしくは、6塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、もしくは、6塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、もしくはタングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末から選ばれたいずれか一種類以上であることが好ましい。
【0045】
ここで、タングステン酸化物微粒子を製造する場合には製造工程の容易さの観点より、タングステン酸化物の水和物粉末、もしくはタングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、を用いることがさらに好ましく、複合タングステン酸化物微粒子を製造する場合には、出発原料が溶液であると各元素を容易に均一混合可能となる観点より、タングステン酸アンモニウム水溶液や、6塩化タングステン溶液を用いることがさらに好ましい。これら原料を用い、これを不活性ガス雰囲気もしくは還元性ガス雰囲気中で熱処理して、上述した粒径のタングステン酸化物微粒子、または/及び、複合タングステン酸化物微粒子を得ることができる。
【0046】
また、上記元素Mを含む一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子は、上述した一般式WyOzで表されるタングステン酸化物微粒子のタングステン化合物出発原料と同様であり、さらに元素Mを、元素単体または化合物の形で含有するタングステン化合物を出発原料とする。ここで、各成分が分子レベルで均一混合した出発原料を製造するためには各原料を溶液で混合することが好ましく、元素Mを含むタングステン化合物出発原料が、水や有機溶媒等の溶媒に溶解可能なものであることが好ましい。例えば、元素Mを含有するタングステン酸塩、塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酸化物、等が挙げられるが、これらに限定されず、溶液状になるものであれば好ましい。
【0047】
ここで、不活性雰囲気中における熱処理条件としては、650℃以上が好ましい。650℃以上で熱処理された出発原料は、十分な着色力を有し近赤外線遮蔽微粒子として効率が良い。不活性ガスとしてはAr、N等の不活性ガスを用いることが良い。また、還元性雰囲気中の熱処理条件としては、まず出発原料を還元性ガス雰囲気中にて100〜650℃で熱処理し、次いで不活性ガス雰囲気中で650〜1200℃の温度で熱処理することが良い。この時の還元性ガスは、特に限定されないがHが好ましい。また還元性ガスとしてHを用いる場合は、還元雰囲気の組成として、Hが体積比で0.1%以上が好ましく、さらに好ましくは2%以上が良い。0.1%以上であれば効率よく還元を進めることができる。
【0048】
水素で還元された原料粉末はマグネリ相を含み、良好な近赤外線遮蔽特性を示し、この状態で近赤外線遮蔽微粒子として使用可能である。しかし、酸化タングステン中に含まれる水素が不安定であるため、耐候性の面で応用が限定される可能性がある。そこで、この水素を含む酸化タングステン化合物を、不活性雰囲気中、650℃以上で熱処理することで、さらに安定な近赤外線遮蔽微粒子を得ることができる。この650℃以上の熱処理時の雰囲気は特に限定されないが、工業的観点から、N、Arが好ましい。当該650℃以上の熱処理により、近赤外線遮蔽微粒子中にマグネリ相が得られ耐候性が向上する。
【0049】
本発明の複合タングステン酸化物微粒子は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。シランカップリング剤が好ましい。これにより中間層、ハードコート層、熱線カット層等のバインダとの親和性が良好となり、透明性、熱線カット性の他、各種物性が向上する。
【0050】
シランカップリング剤の例として、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシアクリルシランを挙げることができる。ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、トリメトキシアクリルシランが好ましい。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。また上記化合物の含有量は、複合タングステン酸化物微粒子100質量部に対して5〜20質量部で使用することが好ましい。
【0051】
[粘着剤]
本発明において、粘着剤は粘着性樹脂であればどのような樹脂でも良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン系共重合体(なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を示す)、ゴム系粘着剤、SEBS及びSBS等の熱可塑性エラストマー等も用いることができる。特に、アクリル樹脂系粘着剤が好ましい。
【0052】
上記好ましいアクリル樹脂の構成成分(モノマー)として、下記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、芳香環含有モノマー、水酸基含有モノマー、分子内にカルボキシル基を有するモノマー、アミノ基含有モノマー等の化合物を挙げることができる。
【0053】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好ましい例として;炭素数1〜12の直鎖又は分岐していても良いアルキル基を分子内に有する(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートを挙げることができる((メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの両方を意味する)。特に、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0054】
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの特に好ましい例として;メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0055】
芳香環含有モノマー(分子構造中に芳香族基を含む共重合可能な化合物)の好ましい例としては;フェニルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化β−ナフトールアクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等を挙げることができる。特に、フェニルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0056】
水酸基含有モノマーの例としては;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール等を挙げることができる。特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0057】
更に、分子内にカルボキシル基を有するモノマーの好ましい例としては、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、3−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、4−カルボキシブチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及び無水マレイン酸等を挙げることができる。特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0058】
また、アミノ基含有モノマーの好ましい例としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等を挙げることができる。特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0059】
上記モノマー成分は、必要とする物性に合わせて適宜採用される。
【0060】
本発明において、好ましいアクリル樹脂の構成成分(モノマー)混合物の配合量は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル:4.5〜89質量%(特に22.7〜69質量%)、芳香環含有モノマー:10〜85質量%(特に30〜70質量%)、水酸基含有モノマー:1〜10質量%(特に0.05〜0.5質量%)、カルボキシル基を有するモノマー:0〜10質量%(特に0〜5質量%)、アミノ基含有モノマー0〜0.5質量%(特に0〜0.3質量%)である。
【0061】
前記モノマー混合物には、必要に応じて、その他の単量体を混合させても良い。その他の単量体の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル基含有(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、塩化ビニル並びに(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。その他のモノマーの混合比は、0〜10質量%の割合で含ませることができる。
【0062】
上記アクリル樹脂は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法及び懸濁重合法等の従来公知の重合法により製造することができるが、乳化剤や懸濁剤等の重合安定剤を含まない溶液重合法及び塊状重合法により製造したものが好ましい。また、前記アクリル系ポリマーのゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)は、80万〜160万であり、好ましくは80万〜150万である。Mwが、80万未満であると、硬化剤配合を好適な範囲に調製しても、熱時の粘着剤の凝集力が十分でなく、高温条件下での発泡が生じやすく、160万を超えると、粘着剤の応力緩和性が低下しやすい。重量平均分子量と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が10〜50であることが好ましい。さらに20〜50であるのが好適である。前記比(Mw/Mn)が大きくなりすぎると、低分子量ポリマーが増加し、発泡が生じやすくなり、逆に前記比(Mw/Mn)が小さくなりすぎると、応力緩和性が低下しやすくなる。
【0063】
上記アクリル樹脂(粘着剤)は、硬化剤と共に使用することが好ましい。硬化剤としては、エポキシ化合物系架橋剤、イソシアネート化合物系架橋剤、金属キレート化合物系架橋剤、アジリジン化合物系架橋剤及びアミノ樹脂系架橋剤を挙げることができる。中でも、分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物系架橋剤、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物系架橋剤、及びアジリジン化合物系架橋剤が好ましく、特に、エポキシ化合物系架橋剤が好ましい。
【0064】
分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物系架橋剤としては、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ基を2個以上有する化合物が好ましい。
【0065】
イソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等を挙げることができる。
【0066】
さらに、アジリジン化合物系架橋剤の例としては、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパントリ−β−(2-メチルアジリジン)プロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
【0067】
上記架橋剤の配合量は、乾式の質量部(固形分換算)として、アクリル樹脂100質量部に対して0.0001〜2.0質量部であることが好ましい。但し、エポキシ化合物系架橋剤を使用する場合は、0.0001〜0.1質量部が好ましく、特に、0.001〜0.05質量部が好ましい。
【0068】
本発明において、粘着剤組成物には、透明性、視認性及び本発明の効果を損なわない範囲で有れば、上述の紫外線吸収剤、酸化防止剤の他、防腐剤、防黴剤、粘着付与樹脂、可塑剤、消泡剤及び濡れ性調製剤等を配合しても良い。
【0069】
[ディスプレイ用光学フィルタ]
図2は、本発明のディスプレイ用光学フィルタの好適態様の1例を示す概略断面図である。図2に示すディスプレイ用光学フィルタは、特に、画像表示の発光部に高周波パルス放電を行っているPDP用の光学フィルタとして好ましく使用される。
【0070】
図示の通り、ディスプレイ用光学フィルタ30においては、矩形状の透明プラスチックフィルム21の表面全域にメッシュ状の導電層23が形成されている。その上に紫外線硬化性樹脂組成物からなるハードコート層24が形成され、さらにその上に、反射防止層として、高屈折率層25及び低屈折率層26が形成されている。そして、透明プラスチックフィルム21の導電層23が形成された面の他方の表面に、近赤外線遮蔽剤として(複合)タングステン酸化物、平均粒径0.1〜20μmの微粒子29及び粘着剤を含む粘着剤層22が形成されている。上述のように、粘着剤層22に近赤外線遮蔽機能を付与することにより、ディスプレイ用光学フィルタの層構成を簡素化することができ、且つ(複合)タングステン酸化物の熱等による劣化が抑制されている。
【0071】
なお、ディスプレイ用光学フィルタ30には、導電層23から外部への導通を図るため、ディスプレイ用光学フィルタ30の周囲のハードコート層等の機能層をレーザー照射等により除去して導電層を露出させたり、導電性粘着テープを導電層に挟みこんで外部に接地させたりする等の構造が含まれる(図示していない)。また、ハンドリング性向上のため、粘着剤層22上に剥離シートを設けても良い。
【0072】
一般に、ディスプレイ用光学フィルタ30は、粘着剤層22を介してPDP表面に直接貼着されるか、粘着剤層22を介してガラス板に貼着されPDPの前面に配置されて使用される。本発明の好適態様であるディスプレイ用光学フィルタ30は、粘着剤層22に近赤外線遮蔽剤として(複合)タングステン酸化物が含有されているが、上述の通り、(複合)タングステン酸化物の熱等による劣化が抑制されており、耐候性が高いディスプレイ用光学フィルタである。
【0073】
また、一般に、ディスプレイ用光学フィルタをPDP表面に直接貼着した場合、粘着剤層はPDPから発生する熱等の影響を受けやすいが、本発明のディスプレイ用光学フィルタ30であれば、その場合であっても、粘着剤層22に含有された(複合)タングステン酸化物の劣化を抑制することができる。
【0074】
本発明のディスプレイ用光学フィルタは、粘着剤層22を含んでいればどのような構成を有していても良く、図2に示した以外の構成を有するもの、例えば、上記で示した層の位置は適宜変更したものであっても良く、用途に応じて、反射防止層(高屈折率層25、低屈折率層26)のいずれか又は両方を省略したものでも良い。また、更に、ネオンカット層、色調調整層、透過率調整層等の機能層を備えていても良い。
【0075】
本発明のディスプレイ用光学フィルタは、本発明の効果を阻害しない限り、既知のどのような材料を用いても良い。以下に使用される材料の一例について説明する。
【0076】
[透明プラスチックフィルム]
透明プラスチックフィルムの材料としては、透明(「可視光に対して透明」を意味する。)のプラスチックフィルムであれば特に制限はない。例えば、ポリエステル[例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート]、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる。これらの中でも、加工時の負荷(熱、溶剤、折り曲げ等)に対する耐性が高く、透明性が特に高い等の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が好ましい。特に、PETが、加工性に優れているので好ましい。透明基材の表面には各機能層の密着性を良くするための易接着層を設けても良い。易接着層は、例えば、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂のみ、又はそれらの樹脂に、SiO、ZrO、TiO、Al等の金属酸化微粒子、好ましくは平均粒径1〜100nmの金属酸化微粒子を配合して、屈折率を調整したものが用いられる。
【0077】
透明基材の厚さとしては、光学フィルタの用途等によっても異なるが、一般に1μm〜10mm、1μm〜5mm、特に25〜250μmが好ましい。
【0078】
[導電層]
導電層は、得られる光学フィルタの表面抵抗値が、一般に10Ω/□以下、好ましくは0.001〜5Ω/□の範囲、特に0.005〜5Ω/□のとなるように設定される。メッシュ(格子)状の金属導電層、又は気相成膜法により得られる層(金属酸化物(ITO等)の透明導電薄膜)でも良い。さらに、ITO等の金属酸化物の誘電体膜とAg等の金属層との交互積層体(例、ITO/銀/ITO/銀/ITOの積層体)であっても良い。
【0079】
メッシュ状の金属導電層としては金属繊維及び金属被覆有機繊維の金属を網状にしたもの、透明基板上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、透明基板上に導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等を挙げることができる。また、フィルム面に、溶剤に対して可溶な材料によってドットを形成し、フィルム面に溶剤に対して不溶な導電材料からなる導電材料層を形成し、フィルム面を溶剤と接触させてドット及びドット上の導電材料層を除去することによって得られるメッシュ状の金属導電層を用いても良い。金属導電材料としては、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、チタン、タングステン、錫、鉛、鉄、銀、炭素又はこれらの合金、好ましくは銅、ステンレス、ニッケルが挙げられる。
【0080】
導電性を向上させるために、メッシュ状金属導電層上に、さらに銅又は銅合金等の金属メッキ層を設けても良い。また、防眩性能を付与させるため、導電層の表面に、金属膜の酸化処理、クロム合金等の黒色メッキ、黒又は暗色系のインクの塗布等により黒化処理防を行っても良い。
【0081】
[ハードコート層]
ハードコート層は、アクリル樹脂層、エポキシ樹脂層、ウレタン樹脂層、シリコン樹脂層等の合成樹脂を主成分とする樹脂組成物層である。通常、ハードコート層の厚さは透明基材表面から1〜50μm、層厚を厚くせず、高度な平面性を得るために、好ましくは5〜20μmである。合成樹脂は、一般にフェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂であり、上述の通り、短時間で硬化させることができ、生産性に優れる点から紫外線硬化性樹脂が好ましい。紫外線硬化性樹脂を用いる場合は、紫外線硬化性樹脂組成物(紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤等からなる)として使用する。
【0082】
さらに、ハードコート層は、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、老化防止剤、塗料加工助剤、着色剤等を少量含んでいても良い。特に、紫外線吸収剤(例、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤)を含むことが好ましく、これによりフィルタの黄変等の防止が効率的に行うことができる。その量は、樹脂組成物に対して一般に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0083】
[反射防止層]
反射防止層の内、高屈折率層は、ポリマー(好ましくは紫外線硬化性樹脂)中に、ITO,ATO,Sb,SbO,In,SnO,ZnO、AlをドープしたZnO、TiO等の導電性金属酸化物微粒子(無機化合物)が分散した層(硬化層)とすることが好ましい。金属酸化物微粒子としては、平均粒径10〜10000nm、好ましくは10〜50nmのものが好ましい。特にITO(特に平均粒径10〜50nmのもの)が好ましい。膜厚は一般に10〜500nmの範囲、好ましくは20〜200nmである。
【0084】
反射防止層の内、低屈折率層は、シリカ、フッ素樹脂等の微粒子、好ましくは中空シリカを10〜40重量%(好ましくは10〜30質量%)がポリマー(好ましくは紫外線硬化性樹脂)中に分散した層(硬化層)であることが好ましい。膜厚は一般に10〜500nmの範囲、好ましくは20〜200nmである。中空シリカとしては、平均粒径10〜100nm、好ましくは10〜50nm、比重0.5〜1.0、好ましくは0.8〜0.9のものが好ましい。
【0085】
ハードコート層と上記2層より構成される場合、例えば、ハードコート層の厚さは全体で5〜20μm、高屈折率層の厚さは50〜150nm、低屈折率層の厚さは50〜150nmであることが好ましい。
【0086】
各層を形成するには、例えば、前記の通り、ポリマー(好ましくは紫外線硬化性樹脂)に必要に応じ上記の微粒子を配合し、得られた塗工液を、前記の矩形透明プラスチックフィルム等の透明基板の表面に塗工し、次いで乾燥した後、紫外線照射して硬化すればよい。この場合、各層を1層ずつ塗工し硬化させてもよく、全層を塗工した後、まとめて硬化させてもよい。連続加工の場合各層の塗工後に硬化をしないと、塗工面に傷が付く場合があるので、各層を1層ずつ塗工し硬化するのが好ましい。
【0087】
塗工の具体的な方法としては、アクリル系モノマー等を含む紫外線硬化性樹脂をトルエン、n−ヘキサン、メチルエチルケトン等の溶媒で溶液にした塗工液をグラビアコータ等によりコーティングし、その後乾燥し、次いで紫外線により硬化する方法を挙げることができる。このウェットコーティング法であれば、高速で均一に且つ安価に成膜できるという利点がある。このコーティング後に例えば紫外線を照射して硬化することにより密着性の向上、膜の硬度の上昇という効果が得られる。
【0088】
紫外線硬化の場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等を挙げることができる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数秒〜数分程度である。また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加熱し、これに紫外線を照射してもよい。
【0089】
[剥離シート]
粘着剤層上に剥離シートを設ける場合、剥離シートの材料としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明のポリマーが好ましく、このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等のポリマーを主成分とする樹脂を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが好適に用いることができる。厚さは10〜200μmが好ましく、特に30〜100μmが好ましい。
【実施例】
【0090】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0091】
[実施例1]
1.粘着剤層の形成
(1)液Aの調製
下記の配合:
アクリル系粘着剤(SKダイン2094(綜研化学社製)、固形分25%);1000質量部
エポキシ系硬化剤(E−AX(綜研化学社製)、固形分5%);5質量部
トルエン;100質量部
を混合・撹拌して液Aを調製した。
(2)液Bの調製
次に別の容器を用いて、下記配合:
架橋アクリル樹脂微粒子(平均粒径;2.6μm)(リオスフィアRSP−3009(架橋PMMA製)(東洋インキ社製);0.25質量部
セシウムタングステン酸化物(住友金属鉱山社製);0.7質量部
トルエン;100質量部
メチルエチルケトン;100質量部
酢酸エチル;10質量部
を混合・撹拌して液Bを調製した。
(3)粘着剤組成物の調製
続いて、液Aに液Bを加えて30分間混合・撹拌して粘着剤組成物を調製した。
(4)粘着剤層の形成
粘着剤組成物をギャップが300μmのアプリケーターを使用して、セパレータフィルム(フィルムバイナ75E−0010 No.23(藤森工業社製))上に塗工し、オーブン中で100℃、3分間乾燥、熱硬化を行い、粘着剤層を形成した。粘着剤層の厚さは23μmであった。
【0092】
2.光学フィルタサンプルの作製
セパレータフィルム上に形成された粘着剤層をPETフィルム(ダイアホイルT680E100−W07(三菱樹脂社製)厚さ;100μm)にハンドローラーを用いて貼り合わせた。次いで、セパレータフィルムを粘着剤層から除去し、露出した粘着剤層上にハンドローラーを用いて、PETフィルム(同上)を貼り合わせた。このPET/粘着剤層/PET積層体をオーブン中で40℃、3日間養生し、光学フィルタサンプルを作製した。
【0093】
[実施例2]
実施例1(2)の架橋アクリル樹脂微粒子の配合量を5.0質量部とした以外は、実施例1と同様に、光学フィルタサンプルを作製した。
【0094】
[実施例3]
実施例1(2)の架橋アクリル樹脂微粒子の配合量を62.5質量部とした以外は、実施例1と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0095】
[実施例4]
実施例1(2)の架橋アクリル樹脂微粒子を、架橋アクリル樹脂微粒子(平均粒径;20μm)(テクポリマーSSX−120(架橋PMMA製)(積水化成品工業社製))とした以外は、実施例1と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0096】
[実施例5]
実施例4の架橋アクリル樹脂微粒子の配合量を5.0質量部とした以外は、実施例4と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0097】
[実施例6]
実施例4の架橋アクリル樹脂微粒子の配合量を62.5質量部とした以外は、実施例4と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0098】
[実施例7]
実施例1(2)の架橋アクリル樹脂微粒子を、メラミン樹脂微粒子(平均粒径;0.1〜0.3μm)(エポスター(登録商標)S(メラミン−ホルムアルデヒド縮合物製)(日本触媒社製))とした以外は、実施例1と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0099】
[実施例8]
実施例7のメラミン樹脂微粒子の配合量を5.0質量部とした以外は、実施例7と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0100】
[実施例9]
実施例7のメラミン樹脂微粒子の配合量を62.5質量部とした以外は、実施例7と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0101】
[実施例10]
実施例1(2)の架橋アクリル樹脂微粒子を、シリカ微粒子(平均粒径;0.08〜0.14μm)(アモルファスシリカ製)(シーホスターKE−P10(日本触媒社製))とした以外は、実施例1と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0102】
[実施例11]
実施例10のシリカ微粒子の配合量を5.0質量部とした以外は、実施例10と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0103】
[実施例12]
実施例10のシリカ微粒子の配合量を62.5質量部とした以外は、実施例10と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0104】
[比較例1]
実施例1(2)の架橋アクリル樹脂微粒子を配合しなかった以外は、実施例1と同様に光学フィルタサンプルを作製した。
【0105】
[評価方法]
(1)透過率
複合タングステン酸化物の劣化を評価するため、保存試験(温度80℃、及び温度60℃、湿度90%)を行い、初期と保存試験後の波長850nmの透過率を測定した。
測定は分光光度計U−4100(日立ハイテク社製)を用い、JIS−R−3106に準拠して測定した。
【0106】
[評価結果]
表1に実施例1〜12、及び比較例1の評価結果を示す。
【0107】
【表1】

【0108】
表1に示すように、平均粒径が0.1〜20μmの微粒子を配合した実施例1〜12は、微粒子を配合していない比較例1に比べて、保存試験後の透過率の変化が小さかった。従って、本発明により粘着剤層に配合した(複合)タングステン酸化物の劣化が抑制されることが示された。
【0109】
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明により、十分な近赤外線遮蔽効果を有し、簡素化した構成であり、低コストで、且つ耐候性が高い、PDP等に有効なディスプレイ用光学フィルタを提供することができる。
【符号の説明】
【0111】
11、21 透明基材
12、22 粘着剤層
19、29 微粒子
20、30 ディスプレイ用光学フィルタ
23 導電層
24 ハードコート層
25 高屈折率層
26 低屈折率層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線遮蔽剤としてタングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物、平均粒径0.1〜20μmの微粒子、及び粘着剤を含む粘着剤層を有することを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項2】
前記微粒子が、透明樹脂微粒子又はシリカ微粒子である請求項1に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項3】
前記透明樹脂微粒子が、架橋アクリル樹脂微粒子、架橋スチレン樹脂微粒子、及び架橋(メタ)アクリレート−スチレン共重合体微粒子、メラミン樹脂微粒子からなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である請求項2に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項4】
前記微粒子の含有率が、前記粘着剤層の不揮発分を基準として、0.1〜20質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項5】
前記タングステン酸化物が、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素を表し、そして2.2≦z/y≦2.999である)で表され、そして
前記複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Cs、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素を表し、そして0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3である)で表される請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項6】
前記粘着剤が、アクリル樹脂系粘着剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。
【請求項7】
プラズマディスプレイパネル用である請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイ用光学フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−42918(P2012−42918A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67103(P2011−67103)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】